【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、全ての上記要件を満足する新たな材料に関し、発泡体が、液体含浸ではなく、乾式方法を使用して含浸される。
【0010】
本発明の第1の態様は、車両の壁を覆いかつ/または防音にするためのパネルに関し、そのパネルは、
- 可撓多孔性材料に熱成形性樹脂を含浸させ、次いで熱成形性樹脂を剛性化することによって製造された中央層と、
- 中央層の両面に配置された2つの補強層と、
- 前述の熱成形性樹脂の粉末を交番電界に曝すことによって可撓多孔性材料内部深くまで行われた、熱成形性樹脂による前記可撓多孔性材料の含浸と、
- 可撓性または準剛性材料を用いて製造された2つの補強層と
を含む。
【0011】
このように、本発明は、軽量であると共に熱成形可能であり、防音性を有し、安全性および堅固性に関する全ての要件に適合する自動車両内の車室用のパネルを実現する。中心層を形成する可撓多孔性材料は、有利には、少なくとも部分的に連続気泡からなる発泡体であり得る。
【0012】
発泡体の気泡中心内深くまでの樹脂の含浸、および可撓性または準剛性材料から製作された補強層の使用が、樹脂の分割および補強層と中央層との粘着を強化する。補強ファイバグラス層はもはや必要なく、今後、パネルのリサイクルが容易になる。
【0013】
また、湿式製作工程の異臭および熟練度の問題も、液体を使用せずに熱成形性樹脂が可撓多孔性材料に含浸される乾式方法によって解消される。熱成形性樹脂の剛性化は、熱成形性樹脂が材料に充分浸透した後に行うことができ、可撓多孔性材料内の液体熱成形性樹脂の乾燥に関する時間的制約が取り除かれる。
【0014】
一実施形態によれば、少なくとも1つの補強層が、成形性樹脂粉末を交番電界に曝すことにより第2の多孔性材料内に熱成形性樹脂粉末を含浸させることによって製造される。乾式含浸樹脂は後に剛性化することができ、補強層は、付随的製造ラインで中央層と同様な方法によって製造することができる。好ましくは、第2の多孔性材料は、合成繊維系の不織布である。あるいは、第2の多孔性材料は、天然繊維または他の繊維から製作される布である。
【0015】
一製造方法によれば、パネルは、補強層の面にヒートシーリング層によって接着された装飾層を備える。有利には、パネルは、補強層の一方の面にヒートシーリング層によって接着された保護層をさらに備える。
【0016】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様によるパネルを製造する方法に関し、その方法は、
- 可撓多孔性材料上に粉末形態の熱成形性樹脂を堆積させるステップと、
- 可撓多孔性材料を貫通して交番電界を加えることによって、可撓多孔性材料内部深くまで熱成形性樹脂を含浸させるステップと、
- 軟化させることによって熱成形性樹脂を可撓多孔性材料に接着するステップと
を含む。
【0017】
製造工程の第1の実施形態によれば、本方法は、
- 熱成形性樹脂を堆積させるステップの前に、可撓多孔性材料の下面に下側補強層を組み込むステップと、
- 熱成形性樹脂を含浸させるステップの前に、可撓多孔性材料の上面に上側補強層を組み込むステップと、
- 第2の多孔性材料を使用して補強層を製造するステップと、
- 補強層の第2の多孔性材料に含浸させることが可能な熱成形性樹脂を含浸させるステップと
を含む。
【0018】
前記実施形態は、中央層と補強層とを同時に含浸させることを可能にする。
【0019】
製造工程の第2の実施形態によれば、本方法は、
- 熱成形性樹脂を含浸させるステップの後に、可撓多孔性材料の下面に下側補強層を組み込むステップと、
- 熱成形性樹脂を含浸させるステップの後に、可撓多孔性材料の上面に上側補強層を組み込むステップと、
- 第2の多孔性材料を使用して補強層を製造するステップと
を含み、
各補強層に関し、
- 第2の多孔性材料上に粉末形態の熱成形性樹脂を堆積させるステップと、
- 第2の多孔性材料を貫通して交番電界を加えることによって、第2の多孔性材料内部深くまで熱成形性樹脂を含浸させるステップと、
- 軟化させることによって熱成形性樹脂を第2の多孔性材料に接着するステップと
を含む。
【0020】
前記実施形態は、中央層と補強層との間で、樹脂化合物および/または可撓多孔性材料の変更を可能にする。
【0021】
有利には、本方法は、
- 熱成形性樹脂を含浸させるステップの前に、補強層の第2の多孔性材料同士を組み合わせるステップと、
- 軟化させることによって熱成形性樹脂を接着する前記ステップの後に、2つの第2の多孔性材料を分離するステップと
を含み、
- 熱成形性樹脂を含浸させるステップが、両方の第2の多孔性材料に含浸させることができる。
【0022】
前記実施形態は、単一の製造ラインで2つの補強層を製作することを可能にする。
【0023】
一実施形態によれば、軟化させることによって熱成形性樹脂を可撓多孔性材料に接着するステップは、
- 可撓多孔性材料に熱間接着圧力を加えるステップと、
- 可撓多孔性材料が再膨張するように圧力を解放するステップと
を含む。
【0024】
前記実施形態は、樹脂を可撓多孔性材料中に分散させ、様々な層に接着することを可能にし、熱い間に、もはや拘束されていない場合、その部分に最初の厚さを回復することができる可撓多孔性材料の特性を利用することができる。
【0025】
前記再膨張は、後で熱成形を行う比較的厚い半製品の部品を作るために、多孔性材料に圧力を掛ける装置を出た直後に行ってもよい。また、再膨張を、熱成形装置内にある熱を利用して、熱成形中に行うことも可能であり、その場合、半製品の部品はそれほど厚くなく、製造設備が簡略化される。
【0026】
一実施形態によれば、樹脂を堆積させるステップは、可撓多孔性材料の一方の面全体に樹脂を散布することによって実施される。
【0027】
一実施形態によれば、樹脂を堆積し含浸するステップが、局所的な適用によって実施される。前記実施形態は、また、可撓多孔性材料が樹脂を含浸していないか、さもなければ不十分な量しか含浸していない潰れた面を生じるように、熱成形性樹脂を可撓多孔性材料内部で局所的になるように堆積し含浸させることを可能にする。前記毀損面は、ある特別な用途、たとえばサンルーフを作るために後で切り取ることができる。前記毀損面は、ファイバグラスを有さない非含浸層を分離することによって、既存の廃棄物より容易にリサイクルすることができる。さらに、この実施形態は樹脂を節減する。
【0028】
本発明の実行方式ならびにそこから得られる利点が、添付図面を参照して非限定的例として示される以下の実施形態から明瞭に分かるであろう。