特許第6884148号(P6884148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6884148同時動作可能な複数の送信機及び受信機を有する無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバを試験するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6884148
(24)【登録日】2021年5月13日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】同時動作可能な複数の送信機及び受信機を有する無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバを試験するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/17 20150101AFI20210531BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20210531BHJP
【FI】
   H04B17/17
   H04B17/29 200
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-529046(P2018-529046)
(86)(22)【出願日】2016年10月21日
(65)【公表番号】特表2019-502308(P2019-502308A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】US2016058186
(87)【国際公開番号】WO2017099892
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2019年10月7日
(31)【優先権主張番号】14/966,761
(32)【優先日】2015年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507308186
【氏名又は名称】ライトポイント・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】LitePoint Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】オルガード、 クリスチャン ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ルイズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、 チーヨン
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/099099(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0067417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/17
H04B 17/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバ被試験装置(DUT)を試験するための方法であって、
前記DUTは、同時動作可能な少なくとも第1のRF信号送信機及び第2のRF信号送信機並びに第1のRF信号受信機及び第2のRF信号受信機を有し、
前記方法は、
一連の第1の複数の試験データパケットを含む第1のRF試験データパケット信号を送信するステップと、
前記第1のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答して第1のRF DUTデータパケット信号を前記第1のRF信号送信機から受信するステップであって、前記第1のRF DUTデータパケット信号は一連の第1の複数のDUTデータパケットを含み、前記一連の第1の複数のDUTデータパケットはそれぞれが前記一連の第1の複数の試験データパケットのそれぞれに関係するステップと、
一連の第2の複数の試験データパケットを含む第2のRF試験データパケット信号を送信するステップと、
前記第2のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答して第2のRF DUTデータパケット信号を前記第2のRF信号送信機から受信するステップであって、前記第2のRF DUTデータパケット信号は一連の第2の複数のDUTデータパケットを含み、前記一連の第2の複数のDUTデータパケットはそれぞれが前記一連の第2の複数の試験データパケットのそれぞれに関係するステップと
を含み、
前記一連の第1の複数のDUTデータパケットそれぞれが、前記一連の第2の複数の試験データパケットのそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に受信され、
前記一連の第2の複数のDUTデータパケットそれぞれが、前記一連の第1の複数の試験データパケットのそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に受信される、方法。
【請求項2】
前記一連の第1の複数の試験データパケットそれぞれが、前記一連の第2の複数の試験データパケットのそれぞれと等しい持続時間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一連の第1の複数の試験データパケットそれぞれが、前記一連の第2の複数の試験データパケットのそれぞれよりも短い持続時間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記一連の第1の複数の試験データパケットそれぞれが、前記一連の第2の複数の試験データパケットのそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記一連の第1の複数のDUTデータパケット及び前記一連の第2の複数のDUTデータパケットそれぞれが相互排他的な時間間隔の間に受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバ被試験装置(DUT)を試験するための方法であって、
前記DUTは、同時動作可能な少なくとも第1のRF信号送信機及び第2のRF信号送信機並びに第1のRF信号受信機及び第2のRF信号受信機を有し、
前記方法は、
一連の第1の複数の試験データパケットを含む第1のRF試験データパケット信号を送信するステップと、
前記第1のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答して第1のRF DUTデータパケット信号を前記第1のRF信号送信機から受信するステップであって、前記第1のRF DUTデータパケット信号は一連の第1の複数のDUTデータパケットを含み、前記一連の第1の複数のDUTデータパケットはそれぞれが前記一連の第1の複数の試験データパケットのそれぞれに関係するステップと、
一連の第2の複数の試験データパケットを含む第2のRF試験データパケット信号を送信するステップと、
前記第2のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答して第2のRF DUTデータパケット信号を前記第2のRF信号送信機から受信するステップであって、前記第2のRF DUTデータパケット信号は一連の第2の複数のDUTデータパケットを含み、前記一連の第2の複数のDUTデータパケットはそれぞれが前記一連の第2の複数の試験データパケットのそれぞれに関係するステップと
を含み、
前記一連の第1の複数のDUTデータパケットそれぞれが、前記一連の第2の複数の試験データパケットのそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に受信され、
前記一連の第1の複数のDUTデータパケット及び前記一連の第2の複数のDUTデータパケットは相互排他的な時間間隔の間に受信される、方法。
【請求項7】
前記一連の第1の複数の試験データパケットそれぞれが第1の持続時間を有し、
前記一連の第2の複数の試験データパケットそれぞれが第2の持続時間を有し、
前記第1の持続時間及び前記第2の持続時間は等しくない、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記一連の第1の複数の試験データパケットそれぞれが、前記一連の第2の複数の試験データパケットのそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に送信される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記一連の第1の複数の試験データパケット及び前記一連の第2の複数の試験データパケットは相互排他的な時間間隔の間に送信される、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照によりその開示を本明細書に明確に援用する、2015年12月11日に出願された米国特許出願第14/966,761号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバを試験することに関し、具体的には同時動作可能な複数の送信機及び受信機を有するかかる装置を試験することに関する。
【背景技術】
【0003】
今日の電子装置の多くは接続性及び通信の両方のために無線信号技術を使用する。無線装置は電磁エネルギを送受信し、2つ以上の無線装置がその信号周波数及び電力スペクトル密度によって互いの動作と干渉する可能性があるので、これらの装置及びこれらの装置の無線信号技術は様々な無線信号技術の標準仕様に準拠しなければならない。
【0004】
かかる無線装置を設計するとき、エンジニアはかかる装置が含まれる無線信号技術によって規定される標準に基づく仕様のそれぞれをかかる装置が満たし又は上回ることを確実にするために格別の注意を払う。更に、それらの装置が後で多量に製造されるとき、含まれる無線信号技術の標準に基づく仕様への準拠を含め、製造欠陥が不適切な動作を引き起こさないことを確実にするためにそれらの装置は試験される。
【0005】
その製造及び組立後にこれらの装置を試験するために、現在の無線装置試験システムは、各被試験装置(DUT)に試験信号を与え、各DUTから受信される信号を解析するための試験サブシステムを概して使用する。一部のサブシステム(「テスタ」と呼ばれることが多い)は、DUTに送信すべきソース又は試験信号を提供するための1つ以上のベクトル信号発生器(VSG)、及びDUTが作り出す信号を解析するための1つ以上のベクトル信号解析器(VSA)を含む。VSGによる試験信号の生成及びVSAが行う信号解析は、様々な周波数範囲、帯域幅、及び信号変調特性を有する多岐にわたる無線信号技術標準への準拠について様々な装置を試験するためにそのそれぞれを使用できるようにするために、(例えば内部のプログラム可能コントローラやパーソナルコンピュータ等の外部のプログラム可能コントローラを使用することによって)概してプログラム可能である。
【0006】
無線装置を試験することは、無線装置の受信及び送信サブシステムを試験することを概して含む。テスタは、典型的には例えば様々な周波数、電力レベル、及び/又は変調技術を使用して一連の規定の試験データパケット信号をDUTに送信し、DUTの受信サブシステムが適切に動作しているかどうかを判定する。同様に、DUTは様々な周波数、電力レベル、及び/又は変調技術において試験データパケット信号を送信し、DUTの送信サブシステムが適切に動作しているかどうかを判定する。
【0007】
かかる無線装置は、同じ又は異なる信号帯域内の複数の送信機、複数の受信機、並びに/又は送信機及び受信機両方の同時動作を益々サポートしており、かかる同時動作を実行するために装置内の単一の集積回路(IC)コンポーネントを多くの場合使用する。試験の観点から、これらの同時動作はあり得る欠陥を識別するために製造中に試験しなければならない新たな潜在的な装置性能問題を提起する。例えば2つの送信機が同時に動作している場合、システム電源に対する電力需要が増加し、搬送波信号及び/又は周波数アップコンバージョン若しくはダウンコンバージョン信号を提供する電圧制御発振器(VCO)の動作周波数の「プッシング」又は「プリング」を引き起こし得る。そのように電力需要が増加することは、送信信号の電力を限定し又は低減する可能性もある。
【0008】
更に、同じIC内の第2のトランシーバが送信している間に或るトランシーバが受信している事例では、とりわけ導電(有線)信号伝達ではなく放射(無線)信号伝達を使用する場合、送信信号が受信機内のブロッキングを引き起こし得る。送信信号は更に、VCOの周波数をプルするのに十分な影響を電源電圧レベルに及ぼし得るので、受信機内の信号利得の変化を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、自らの複数の送信機、複数の受信機、並びに/又は送信機及び受信機両方の同時動作について設計される、複数のRF信号送信機及び受信機を有する無線装置を確実に試験できるようにする技法を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に記載の本発明によれば、同時動作可能な複数のRF信号送信機及びRF信号受信機を有する、無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバ被試験装置(DUT)を試験するための方法が提供される。複数のRF信号送信、複数のRF信号受信、又はRF信号の送受信が少なくとも部分的に同時に行われるように、テスタからDUTの個々のRF信号受信機に複数の一連の試験データパケットを伝達し、DUTの個々のRF信号送信機からテスタに複数の一連の応答DUTデータパケットを伝達する。
【0011】
本明細書に記載の本発明の一実施形態によれば、同時動作可能な少なくとも第1のRF信号送信機及び第2のRF信号送信機並びに第1のRF信号受信機及び第2のRF信号受信機を有する、無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバ被試験装置(DUT)を試験するための方法であって、
一連の第1の複数の試験データパケットを含む第1のRF試験データパケット信号を送信するステップと、
第1のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第1の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第1の複数のDUTデータパケットを含む、第1のRF DUTデータパケット信号を第1のRF信号送信機から受信するステップと、
一連の第2の複数の試験データパケットを含む第2のRF試験データパケット信号を送信するステップと、
第2のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第2の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第2の複数のDUTデータパケットを含む、第2のRF DUTデータパケット信号を第2のRF信号送信機から受信するステップと
を含み、
第1の複数のDUTデータパケットの少なくとも一部のそれぞれが、第2の複数の試験データパケットの少なくとも一部のそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に受信され、
第2の複数のDUTデータパケットの少なくとも一部のそれぞれが、第1の複数の試験データパケットの少なくとも一部のそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に受信される。
【0012】
本明細書に記載の本発明の別の実施形態によれば、同時動作可能な少なくとも第1のRF信号送信機及び第2のRF信号送信機並びに第1のRF信号受信機及び第2のRF信号受信機を有する、無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバ被試験装置(DUT)を試験するための方法であって、
一連の第1の複数の試験データパケットを含む第1のRF試験データパケット信号を送信するステップと、
第1のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第1の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第1の複数のDUTデータパケットを含む、第1のRF DUTデータパケット信号を第1のRF信号送信機から受信するステップと、
一連の第2の複数の試験データパケットを含む第2のRF試験データパケット信号を送信するステップと、
第2のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第2の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第2の複数のDUTデータパケットを含む、第2のRF DUTデータパケット信号を第2のRF信号送信機から受信するステップと
を含み、
第1の複数のDUTデータパケットの少なくとも一部のそれぞれが、第2の複数の試験データパケットの少なくとも一部のそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に受信され、第1の複数のDUTデータパケット及び第2の複数のDUTデータパケットが相互排他的な時間間隔の間に受信される。
【0013】
本明細書に記載の本発明の別の実施形態によれば、同時動作可能な少なくとも第1のRF信号送信機及び第2のRF信号送信機並びに第1のRF信号受信機及び第2のRF信号受信機を有する、無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバ被試験装置(DUT)を試験するための方法であって、
一連の第1の複数の試験データパケットを含む第1のRF試験データパケット信号を送信するステップと、
第1のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第1の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第1の複数のDUTデータパケットを含む、第1のRF DUTデータパケット信号を第1のRF信号送信機から受信するステップと、
一連の第2の複数の試験データパケットを含む第2のRF試験データパケット信号を送信するステップと、
第2のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第2の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第2の複数のDUTデータパケットを含む、第2のRF DUTデータパケット信号を第2のRF信号送信機から受信するステップと
を含み、
第1の複数の試験データパケットの少なくとも一部のそれぞれが、第2の複数の試験データパケットの少なくとも一部のそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に送信され、
第1の複数のDUTデータパケットの少なくとも一部のそれぞれが、第2の複数のDUTデータパケットの少なくとも一部のそれぞれの受信と少なくとも部分的に同時に受信される。
【0014】
本明細書に記載の本発明の別の実施形態によれば、同時動作可能な少なくとも第1のRF信号送信機及び第2のRF信号送信機並びに第1のRF信号受信機及び第2のRF信号受信機を有する、無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバ被試験装置(DUT)を試験するための方法であって、
一連の第1の複数の試験データパケットを含む第1のRF試験データパケット信号を第1のRF信号受信機を用いて受信するステップと、
第1のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第1の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第1の複数のDUTデータパケットを含む、第1のRF DUTデータパケット信号を第1のRF信号送信機を用いて送信するステップと、
一連の第2の複数の試験データパケットを含む第2のRF試験データパケット信号を第2のRF信号受信機を用いて受信するステップと、
第2のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第2の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第2の複数のDUTデータパケットを含む、第2のRF DUTデータパケット信号を第2のRF信号送信機を用いて送信するステップと
を含み、
第1の複数のDUTデータパケットの少なくとも一部のそれぞれが、第2の複数の試験データパケットの少なくとも一部のそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に受信され、
第2の複数のDUTデータパケットの少なくとも一部のそれぞれが、第1の複数の試験データパケットの少なくとも一部のそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に受信される。
【0015】
本明細書に記載の本発明の別の実施形態によれば、同時動作可能な少なくとも第1のRF信号送信機及び第2のRF信号送信機並びに第1のRF信号受信機及び第2のRF信号受信機を有する、無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバ被試験装置(DUT)を試験するための方法であって、
一連の第1の複数の試験データパケットを含む第1のRF試験データパケット信号を第1のRF信号受信機を用いて受信するステップと、
第1のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第1の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第1の複数のDUTデータパケットを含む、第1のRF DUTデータパケット信号を第1のRF信号送信機を用いて送信するステップと、
一連の第2の複数の試験データパケットを含む第2のRF試験データパケット信号を第2のRF信号受信機を用いて受信するステップと、
第2のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第2の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第2の複数のDUTデータパケットを含む、第2のRF DUTデータパケット信号を第2のRF信号送信機を用いて送信するステップと
を含み、
第1の複数のDUTデータパケットの少なくとも一部のそれぞれが、第2の複数の試験データパケットの少なくとも一部のそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に受信され、第1の複数のDUTデータパケット及び第2の複数のDUTデータパケットが相互排他的な時間間隔の間に受信される。
【0016】
本明細書に記載の本発明の別の実施形態によれば、同時動作可能な少なくとも第1のRF信号送信機及び第2のRF信号送信機並びに第1のRF信号受信機及び第2のRF信号受信機を有する、無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバ被試験装置(DUT)を試験するための方法であって、
一連の第1の複数の試験データパケットを含む第1のRF試験データパケット信号を第1のRF信号受信機を用いて受信するステップと、
第1のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第1の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第1の複数のDUTデータパケットを含む、第1のRF DUTデータパケット信号を第1のRF信号送信機を用いて送信するステップと、
一連の第2の複数の試験データパケットを含む第2のRF試験データパケット信号を第2のRF信号受信機を用いて受信するステップと、
第2のRF試験データパケット信号の1つ以上の部分に応答し且つ一連の第2の複数の試験データパケットの1つ以上の部分に関係する一連の第2の複数のDUTデータパケットを含む、第2のRF DUTデータパケット信号を第2のRF信号送信機を用いて送信するステップと
を含み、
第1の複数の試験データパケットの少なくとも一部のそれぞれが、第2の複数の試験データパケットの少なくとも一部のそれぞれの送信と少なくとも部分的に同時に送信され、
第1の複数のDUTデータパケットの少なくとも一部のそれぞれが、第2の複数のDUTデータパケットの少なくとも一部のそれぞれの受信と少なくとも部分的に同時に受信される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】無線信号トランシーバのための典型的な動作環境及び潜在的試験環境を示す。
図2】導電試験信号経路を使用する、無線信号トランシーバのための試験環境を示す。
図3】本明細書に記載の本発明の例示的実施形態による、同時動作可能な複数のRF信号送信機及びRF信号受信機を有する、無線周波数(RF)データパケット信号トランシーバ被試験装置(DUT)を試験するための試験環境を示す。
図4】2つのDUTトランシーバが同時に送信している間の試験間隔を示す。
図5】DUT送信機及びDUT受信機が少なくとも部分的に同時に送受信している間の試験間隔を示す。
図6】2つのDUT受信機が同時に動作しており、干渉する送信受信確認信号を作り出している試験間隔を示す。
図7】2つのDUT受信機が同時に動作しており、干渉する送信受信確認信号を作り出している別の試験間隔を示す。
図8】2つのDUT受信機が同時に動作しており、同時発生する送信受信確認信号を作り出している試験間隔を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明は、添付図面に関する本明細書に記載の本発明の実施形態例についてのものである。この説明は、本発明の範囲に関して限定的ではなく例示的であることを意図する。かかる実施形態は、当業者が本発明を実践できるようにするために十分詳しく説明されており、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなしに幾らかの改変と共に他の実施形態が実践され得ることが理解されよう。
【0019】
本開示の全体を通して、文脈から明確に逆に示されることがない場合、記載されている個々の回路要素の数は単数でも複数でも良いことが理解されよう。例えば、「回路」及び「回路構成」という用語は、能動及び/又は受動であり、記載する機能を提供するために一緒に(例えば1つ以上の集積回路チップとして)接続され或いは結合される単一のコンポーネント又は複数のコンポーネントを含み得る。加えて「信号」という用語は、1つ以上の電流、1つ以上の電圧、又はデータ信号を指し得る。図中、同様の又は関係する要素は同様の又は関係する英字、数字、又は英数字の識別子を有する。更に、本発明は(好ましくは1つ以上の集積回路チップ形式の)ディスクリート電子回路構成を用いた実装形態の文脈で解説するが、処理しようとする信号周波数又はデータ転送速度に応じて、かかる回路構成の如何なる部分の機能も1個又は複数個の適切にプログラムされたプロセッサを使用して代わりに実装することができる。更に、図面が様々な実施形態の機能ブロックの図解を示す限りにおいて、機能ブロックは必ずしもハードウェア回路構成間の区分を示すものではない。
【0020】
携帯電話、スマートフォン、タブレット等の無線装置は標準に基づく技術(例えばIEEE 802.11a/b/g/n/ac、3GPP LTE、Bluetooth(登録商標))を利用する。これらの技術の基礎を成す標準は高信頼の無線の接続性及び/又は通信をもたらすように設計されている。それらの標準は、エネルギ効率が良いように且つ隣接し又は無線スペクトルを共用する同じ技術又は他の技術を使用する装置間の干渉を最小限にするように概して設計される物理的仕様及び高水準の仕様を規定する。
【0021】
これらの標準によって規定される試験は、標準によって規定される仕様に準拠するようにかかる装置が設計されていること、及び製造される装置がそれらの規定の仕様に準拠し続けることを確実にすることを意図する。殆どの装置は少なくとも1つ以上の受信機及び送信機を含むトランシーバである。従って試験は、受信機及び送信機の両方が準拠するかどうかを確認することを意図する。DUTの受信機の試験(RX試験)は、受信機に試験パケットを送信する試験システム(テスタ)、及びその試験パケットにDUT受信機がどのように応答するのかを明らかにする何らかの方法を概して含む。DUTの送信機は、試験システムにパケットを送信させることによって試験され、試験システムは次にDUTによって送信される信号の物理的特性を評価する。
【0022】
以下でより詳細に論じるように、本明細書に記載の本発明の例示的実施形態によれば、無線周波数(RF)信号トランシーバの非同期性の同時の多帯域動作を試験するための方法が提供されている。本明細書に記載の本発明によれば、かかる試験方法は、第2の周波数帯域内のDUT動作と同時に生じる或る周波数帯域内の干渉するDUT信号送信として、正しく受信されたデータパケットに対するDUTの送信された応答(例えば受信確認データパケットや「ACK」信号)を使用することでテスタによって効果的に制御される。従って、DUTの応答時間は典型的には特定のタイミング要件によって定められるので、テスタはDUTからのタイミングを制御することができる。
【0023】
テスタは、複数のDUT受信機が受信するための同時の試験データパケット信号を与えるために協調的に動作可能な複数の試験データパケット信号源(例えば複数のVSG)を好ましくは含む。試験データパケット信号の持続時間に対する様々な時間間隔においてACK信号による干渉が別のDUT受信機によって受信される試験データパケット信号と同時に生じることを確実にするために、試験データパケット信号のタイミング並びに試験データパケット信号の特性が、DUTからのACK信号のタイミング及び重なりに要求される制御を可能にし、それによりかかる干渉信号に関係する問題を識別できるようにする。試験データパケット信号とACK信号との間のかかる潜在的干渉を正確に制御することは複数の装置の反復的な試験測定を可能にし、最悪のシナリオも保証しながら高信頼の試験を確実にし得る。
【0024】
図1を参照し、無線信号トランシーバの(少なくとも実世界での動作をシミュレートすることに関する)典型的な動作環境及び理想的な試験環境は、テスタ100とDUT200とを無線で通信させる。典型的には、有線信号インタフェース11a、11bを介してテスタ100及びDUT200と試験コマンド及びデータをやり取りするために、何らかの形の試験コントローラ10(例えばパーソナルコンピュータ)も使用される。テスタ100及びDUT200は、導電信号コネクタ104、204(例えばその多くの種類が当技術分野で良く知られている同軸ケーブル接続)によって接続する1つ(又はMIMO装置では複数)の個々のアンテナ102、202をそれぞれ有する。試験信号(ソース及び応答)は、アンテナ102、202を介してテスタ100とDUT200との間で無線伝達される。例えばDUT200の送信(TX)試験中、電磁信号203がDUTのアンテナ202から放射される。アンテナの放射パターンの指向性にもよるが、この信号203は様々な方向に放射し、入射信号成分203i及び反射信号成分203rがテスタのアンテナ102によって受信されることになる。上記のように、多くの場合マルチパス信号効果並びに他の場所(不図示)で生じる他の電磁信号の成果物であるこれらの反射信号成分203rは、建設的信号干渉及び相殺的信号干渉を引き起こし、それにより高信頼且つ再現可能な信号受信及び試験結果を妨げる。
【0025】
図2を参照し、そのような信頼できない試験結果を回避するために、RF同軸ケーブル106等の導電信号経路を使用してテスタ100及びDUT200のアンテナコネクタ104、204を接続し、テスタ100とDUT200との間で試験信号を伝達するための一貫した高信頼且つ再現可能な導電性信号経路を設ける。しかし、上記で論じたように、導電信号経路を使用することは試験前及び試験後にケーブル106を接続し切断するのにかかる時間が原因で全体的な試験時間を増加させる。
【0026】
図3を参照し、上記のように本明細書に記載の本発明による試験方法は、複数の試験データパケット信号源及び受信機を有するテスタ100a、並びに複数のデータパケット信号の送信機及び受信機を同じく有するDUT200aを使用して有利に実践することができる。例えばテスタ100aは、RF信号スイッチ、カップラ、ダイプレクサ等の信号結合装置116a、116bを介して信号経路106a、106bに接続される複数の試験データパケット信号源(例えばVSG)114a、114b、及び複数のデータパケット受信機(例えばVSA)112a、112bを含む。同様に各DUT200aは、RF信号結合回路216a、216bを介して試験信号経路106a、106bにやはり接続される複数の信号送信機212a、212b及び複数の信号受信機214a、214bを含む。
【0027】
図4を参照し、データパケット信号を同時に送信するように2つのDUTトランシーバが制御される場合、他方に対する各信号送信TX1、TX2のデューティサイクルを変えることにより、両方の信号送信TX1、TX2が少なくとも部分的に同時である時間部分を変更することができる。従って信号送信TX1、TX2は、図示のように時間間隔t1、t2、t3、t4、t5の間、少なくとも部分的に同時の信号間隔を有し得る。これらの信号送信TX1、TX2が十分な持続時間続く場合、2つの発信元の信号送信機は、徐々に位置がシフトする少なくとも部分的に同時の送信間隔を有するデータパケット信号を送信することになる。
【0028】
例えば第1の時間間隔t1の間、第1の信号送信TX1はその全信号時間の間、第2の信号送信TX2の一部と同時になる。その後の時間間隔t4に続いて、第2の信号送信TX2は、第2の信号送信TX2の完全な信号周期に及ぶ第1の送信信号TX1と同時の信号間隔を有している。これらの同時の信号送信中、規定の標準仕様又は限界を満たさない程に十分劣化したレベル、値、又は質を有する送信信号特性を同時送信動作が引き起こしたかどうかを判定するために、テスタの信号解析サブシステムが各信号の誤りベクトル度(EVM)等、これらの信号送信TX1、TX2の特性を評価していても良い。このように同時の信号送信TX1、TX2を用いて確実に試験できることは、信号の電力レベルを増減(例えば増加又は減少)させるとき特に有利である。
【0029】
かかる試験方法は貴重な試験結果を与え得るが、2つの信号送信TX1、TX2の相対位置を識別してそれらの信号間の任意の相互作用を適切に検出することを確実にできる場合、更なる利益を実現することができる。更に、2つのDUT送信機は非同期式に動作するので、一方のDUTから他方のDUTまでデータパケット信号間隔の同一重複条件を維持できることを確実にすることが望ましい。
【0030】
EVMを記号ごとに解析することは、影響を受けない記号を省きながら影響を受けた記号を解析に使用できる限りにおいて少なくとも部分的補償を提供し得る。しかし、全ての捕捉パケットが所望の数の影響を受けた記号を作り出すとは限らないので、EVM計算に関する十分な平均化を可能にするために更に多くのパケットが必要である。信号の相互作用についての最悪のシナリオを設定する、例えばチャネル推定が確立された直後に信号電力を減らし、それにより更に多数の影響を受けた記号を作り出すことによって更なる試験効率を実現することができる。さもなければ、多くの連続したパケットを捕捉し、干渉源を明らかにするために捕捉後の解析を行うことなしに必要数の影響を受けた記号を確実に取得することは困難であり得る。
【0031】
図5を参照し、一方の送信機が送信しているのと同時に他方が受信しているように複数のDUTトランシーバが動作する例では、同時に送信される信号が干渉するために誤った受信機動作が生じることがあり得る。かかる干渉は、送信機及び受信機の同時動作中のパケット誤り率(PER)を評価することによって試験することができる。信号シーケンス5aに示すように、かかる試験は、VSGが送信データパケットの始まり又は終わりにトリガすることを可能にするために、データパケットを送信する時間を整列させることによって実現され得る。図示のように、送信されるDUTデータパケットの始まりは、第2のDUT受信機が受信するための受信データパケットRX2をVSGに送信させるようにVSGをトリガする(201)。DUTが自らの受信確認ACK2を送信するその後の時間間隔の間にテスタの第2のデータパケット送信TX1が行われる。その後、(さもなければ自らの受信確認ACK2の送信によってDUTチャネルが占有されていることにより)対応する受信動作RX2を発生させない介在DUTデータパケット送信TX1と共に、別のトリガ事象202が続く。
【0032】
通常、データパケットの開始のトリガ間には、内部遅延による並びに送信データパケットの信号電力の円滑な増減を確実にするための僅かな遅延が存在する。データパケット送信動作の始まりは最大の電源電流が消費される可能性が高いときであり、受信データパケットの開始前又は開始時に起こる。受信機が必ずしもパケットの正確な始まりを検出する必要なくデータパケットを受信できることを確実にするために、受信データパケットのヘッダはデータ冗長性をしばしば含む。
【0033】
信号シーケンス5bに示すように、受信されるVSGデータパケット送信RX2を遅延トリガ203、204に従って遅らせて、DUTデータパケット送信TX1が次に受信されるVSGデータパケット送信RX2と相互作用することを確実にすることにより、そのように増加した電源電流消費量に由来する任意の悪影響を試験が捕捉することを確実にし得る。
【0034】
信号シーケンス5cに示すように、かかる遅延は、図示のように遅延トリガ205、206を使用してDUTデータパケット送信TX1の終わりにトリガすることによって実現することもできる。
【0035】
信号シーケンス5dに示すように、テスタは、DUTデータパケット送信TX1の始まりをテスタデータパケットRX2の受信に対する別の位置に移動することによって遅延を制御することもできる。このことはDUTデータパケット送信のデューティサイクルが一定だという仮定に基づき、そのためテスタデータパケットRX2の予期されるその後の受信との相互作用を制御するために、前のDUTデータパケット送信TX1を使用する。しかし、データパケット間のより長い遅延208によって示すようにデューティサイクルが一定ではない場合、信号が相互作用する、即ち同時である時間間隔が一貫していない可能性があり、従って再現可能な試験結果を作り出さない場合がある。
【0036】
図6を参照し、DUTの応答性の受信確認信号ACKを使用して干渉する送信信号ACK1、ACK2を作り出すことにより、試験の一貫性及び再現性の更なる改善を実現することができる。該当するIEEE標準に基づいてこれらのACK信号の相対的なタイミングは明確に定められており且つ再現可能であり、それにより、各DUT受信機に試験データパケットを送信して対応する応答性の受信確認信号ACKを引き出すために自らのデータパケット信号源(例えばVSG)を使用するテスタが試験のタイミングを制御することを可能にする。これらの試験データパケットの発生及び持続時間のタイミングを取ることにより、テスタは、受信確認信号ACKを試験目的で干渉させることが望ましいDUTの受信動作RX1のタイミングに対して時間の点で移動させるやり方で受信確認応答ACKを送信させることができる。かかる移動は、概して受信動作の全持続時間を通して受信−送信RX/TX干渉が生じることを確実にする。かかる干渉の発生は、どの試験データパケットが受信確認パケットACKを作り出し、どの試験データパケットが受信確認パケットACKを作り出さないのかをモニタすることでテスタによってモニタされ得る。
【0037】
信号シーケンス6aに示すように、例えば第2のDUT受信機の動作RX2中にテスタからの試験データパケットが受信された後、第1のDUT受信機の動作RX1中にテスタからの別の試験データパケット信号が受信されている。従って、第2のDUT受信機の動作RX2は、その対応する送信機に自らの受信確認ACK2を用いて応答させ、受信確認ACK2は第1のDUT受信機の動作RX1の後の部分と同時である(301)。このことは、送信されるDUT信号である受信確認ACK2と第1のDUT受信機RX1の動作との同時発生をもたらす。その後、第1のDUT受信機の動作RX1中に受信されるテスタからの試験データパケットに応答し、その対応する送信機が、第2のDUT受信機の動作RX2の先行部分と同時である(302)受信確認ACK1で応答する。
【0038】
DUT受信機によってテスタから所定数の試験データパケットを受信した後、テスタは自らの試験データパケット送信の開始時間を変更することができ、それによりかかる試験データパケットと、その結果生じる受信確認ACK1、ACK2との同時発生が様々な時間間隔において生じる。かかる開始時間の変更は、概してDUT受信機RX1、RX2の動作のそれぞれの持続時間の全体を通し、DUT受信機RX1、RX2の動作に対する受信確認信号ACKの同時発生があるまで繰り返すことができる。全ての信号のタイミングはテスタによって又はテスタから制御され得るので、そのような最悪のシナリオが確立されると、そのシナリオを将来の試験のためにレプリケートすることができる。
【0039】
更に信号シーケンス6aに示すように、第2の試験データパケットを受信するための第2のDUT受信機RX2の動作後、受信確認信号ACKが生じていないことが見て取れる。この誤り、即ち受信確認ACKを作り出せないことの表れは、第1のDUT送信機が受信確認ACK1を生成する試験データパケット信号のその部分の間、第2のDUT受信機のPERが規定の上限を上回った可能性があることを示すパケット誤り率(PER)計算の一部になり得る。タイミングを正確に制御することにより、PERの変化を容易に試験するために最悪の試験シナリオが作成され再現されることを確実にし得る。
【0040】
信号シーケンス6bに示すように、ほぼ同じデータパケットの持続時間を使用することができる。図示のように、対応する応答ACK1、ACK2が時間の点で移動し、それにより第1のDUT受信機RX1及び第2のDUT受信機RX2の動作の全持続時間を通してかかる受信確認ACK1、ACK2が概して同時発生するように、第1のDUT受信機RX1及び第2のDUT受信機RX2の動作中に受信するためのテスタからの試験データパケット信号のデューティサイクルを決めることができる。従って信号シーケンス6aに示したように試験データパケットの開始時間を変えるのではなく、様々な試験データパケットの持続時間を使用して受信動作と送信される受信確認応答ACKとの包括的な同時性を実現することができる。(上記で論じた最悪の試験シナリオと異なり、この形態は「ランダム化」PER試験結果を作り出す。)
【0041】
図7を参照し、データパケット長の違い又は相対的遅延の違いを使用して単一のPER試験操作を両方の試験データパケット源(例えばVSG)に行わせるために、図6の信号シーケンスの代替策として反復トリガ事象401を使用することができる。
【0042】
信号シーケンス7aに示すように、短い方のデータパケットの受信確認ACKと他方のDUT受信機の動作との間の反復的な相互作用、即ち同時性を作り出すために、異なるデータパケット長を使用することができる。この形態は、各トリガ事象に由来する再現可能な動作を可能にする。
【0043】
信号シーケンス7bに示すように、代わりに試験データパケットシーケンスの1つに遅延403を取り入れることにより、相互作用(同時性)のタイミング又は時間に関する位置を制御することができる。更に図示のように、この形態は全体的な試験時間を短縮するために試験データパケットの持続時間を制御することと組み合わせることもできる。
【0044】
図8を参照し、図6及び図7の信号シーケンスについて上記で論じた技法を拡張して、DUT送信機の動作間の制御された相互作用を発生させることができる。例えば、上記で論じたような従来の送信データパケット(図1)を利用するのではなく、DUTによって送信される受信確認信号ACK1、ACK2間の相互作用(同時性)は所望の送信−送信相互作用をもたらし得る。テスタの受信機(例えばVSA)によって受信される受信確認パケットACKを整列させ、より強い信号電力を使用することにより、受信確認ACK1、ACK2を完全に同時にすることができる(501)。或いは、テスタのデータパケットを互いに対して時間の点で移動することにより、又はデータパケット長を制御することにより、受信確認ACK1、ACK2を重複させることができ(502)、それによりテスタがそれらの相互作用の任意の効果をより完全に評価することを可能にする。
【0045】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなしに本発明の構造及び動作方法の他の様々な修正形態及び代替形態が当業者に明らかになる。本発明を好ましい具体的実施形態に関して説明してきたが、特許請求の範囲に記載の本発明は、かかる具体的実施形態に不当に制限されるべきではないことを理解すべきである。添付の特許請求の範囲は本発明の範囲を定め、それらの請求項及びその等価物の範囲に含まれる構造及び方法が特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8