特許第6884320号(P6884320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6884320
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】連結具
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/16 20060101AFI20210531BHJP
   B65C 5/00 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   B65D63/16 Z
   B65C5/00
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-136373(P2020-136373)
(22)【出願日】2020年8月12日
【審査請求日】2020年8月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519364048
【氏名又は名称】日本成型産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(72)【発明者】
【氏名】山本 健太
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−283784(JP,A)
【文献】 特開平07−271307(JP,A)
【文献】 実開昭55−038739(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 63/16
B65D 55/06
B65C 5/00
G09F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を備える線状部と、前記線状部の一端側に設けられる差込部と、前記線状部の他端側に設けられて前記差込部と係合可能な受け部と、を有する連結具であって、
切断可能な切断部を挟んで第1部位および第2部位を備える切断操作部を有し、
前記差込部を前記受け部に係合した状態において、前記第1部位および前記第2部位の各々が前記線状部に接続され、
前記切断部は、前記第1部位の少なくとも一部を囲んで前記第2部位側へ凸状となることを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記切断部は、円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載の連結具。
【請求項3】
前記切断部は、溝を有することを特徴とする請求項1または2に記載の連結具。
【請求項4】
前記切断部は、孔部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の連結具。
【請求項5】
前記第1部位に接続される前記線状部の中心軸と直交する方向の前記第1部位の前記最大幅は、前記差込部に接続される前記線状部の中心軸に対して直交する方向の前記差込部の最大幅以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の連結具。
【請求項6】
前記切断操作部は、扁平形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の連結具。
【請求項7】
前記線状部は、前記第1部位から延在する第1線状部と、前記第2部位から延在する第2線状部と、を有し、
前記差込部は、前記第1線状部の前記第1部位から離れている端部に形成され、
前記受け部は、前記第2線状部の前記第2部位から離れている端部に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の連結具。
【請求項8】
前記受け部は、前記第2部位に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば表示札を対象物に取り付けるための線状の連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣料品等の対象物に値段や品質等を表示する表示札を取り付けるために、樹脂製の連結具が使用されている。連結具は、柔軟な線材の一端側に設けられる受け部に、他端側に設けられる差込部を差し込んで係合することで、環状となることができる。このため、対象物の孔等に連結具を通し、さらに表示札の取付孔に連結具を通した後、受け部に差込部を差し込んで係合することで、対象物に表示札を容易に取り付けることができる。
【0003】
対象物に取り付けられた表示札等が入れ替えられないように、係合オス部が係合メス部に係合されると、外れない構造となっている。したがって、環状となった連結具を対象物から取り外す際には、鋏やカッター等の切断器具で切断する必要がある。
【0004】
連結具を対象物から取り外すために切断器具が必要不可欠であると、面倒であるという問題がある。また、切断器具を使用すると、対象物を傷つける可能性がある。このため、特許文献1には、捩じり、折り曲げ又は引き裂きにより、手操作で容易に破断できる切断部を設けた連結具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−229659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の連結具の切断部は、通常的に作用する張力によっては切断されない程度の引張強度を有するとされている。しかしながら、切断部に通常時よりも強い張力が作用すれば、切断部が意図せずに切断される可能性がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、意図せずに切断されることを効果的に抑制しつつ、必要に応じて手でも容易に切断できる連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る連結具は、可撓性を備える線状部と、前記線状部の一端側に設けられる差込部と、前記線状部の他端側に設けられて前記差込部と係合可能な受け部と、を有する連結具であって、切断可能な切断部を挟んで第1部位および第2部位を備える切断操作部を有し、前記差込部を前記受け部に係合した状態において、前記第1部位および前記第2部位の各々が前記線状部に接続され、前記切断部は、前記第1部位の少なくとも一部を囲んで前記第2部位側へ凸状となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した連結具は、切断部が第1部位の少なくとも一部を囲んでいるため、切断部に作用する引張力に強く対抗できる。このため、切断部において意図せずに切断されることを効果的に抑制しつつ、必要に応じて切断操作部の切断部を手で容易に切断できる。
【0010】
前記切断部は、円弧形状であってもよい。これにより、切断部が指または爪の形状に適合し、指や爪を用いて切断することが容易となる。
【0011】
前記切断部は、溝を有してもよい。これにより、切断操作部の切断部は、溝に沿って切断しやすくなる。このため、切断操作部の切断部を手でも容易に切断できる。
【0012】
前記切断部は、孔部を有してもよい。これにより、切断操作部の切断部は、孔部によって切断しやすくなる。このため、切断操作部の切断部を手でも容易に切断できる。
【0013】
前記第1部位に接続される前記線状部の中心軸と直交する方向の前記第1部位の最大幅は、前記差込部に接続される前記線状部の中心軸に対して直交する方向の前記差込部の最大幅以下であってもよい。これにより、差込部を通すことができた表示札等の取付孔から、切断された後の第1部位を容易に引き抜くことができる。
【0014】
前記切断操作部は、扁平形状であってもよい。これにより、第1部位および第2部位をつまみやすくなり、切断する操作が容易となる。
【0015】
前記線状部は、前記第1部位から延在する第1線状部と、前記第2部位から延在する第2線状部と、を有し、前記差込部は、前記第1線状部の前記第1部位から離れている端部に形成され、前記受け部は、前記第2線状部の前記第2部位から離れている端部に形成されてもよい。これにより、第1線状部または第2線状部を通された表示札が切断操作部の近傍にある場合に、表示札に阻害されることなしに、表示札から離れている差込部および受け部を容易に係合できる。
【0016】
前記受け部は、第2部位に形成されてもよい。これにより、切断操作部と異なる位置に受け部が設けられないため、構成をシンプルとすることができる。このため、差込部を受け部に係合した環状の状態において、第1部位および第2部位に連なる線状部を、直線的な部位のみで構成可能である。したがって、対象物へ取り付けた後に、連結具が対象物に対して必要以上に引っ掛からず、表示札等を適切に配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る連結具を示す正面図である。
図2】連結具の一部を拡大して示す図であり、(A)は正面図、(B)は図2(A)のA−A線に沿う断面図である。
図3】連結具の使用方法を説明するための図であり、(A)は表示札が取り付けられて環状となった状態、(B)は切断部を切断した状態を示す。
図4】連結具の第1変形例を示す図であり、(A)は正面図、(B)は図4(A)のB−B線に沿う断面図である。
図5】連結具の変形例を示す正面図であり、(A)は第2変形例、(B)は第3変形例、(C)は第4変形例、(D)は第5変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
本発明の実施形態に係る連結具10は、図3に示すように、衣料品、商品等の対象物に値段や品質等を表示する表示札60を取り付けるために使用される部材である。連結具10は、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアミド等の樹脂により一体的に形成され、可撓性を備えている。なお、樹脂にはエラストマーやゴムも含まれるものとする。連結具10は、一体的に形成されない場合もあり得る。連結具10は、図1に示すように、長尺な線状部20と、線状部20の端部に連結された差込部30と、線状部20の他の端部に連結されて差込部30と係合可能な受け部40とを備えている。また、連結具10は、切断可能な切断部51が形成される切断操作部50を備えている。なお、連結具10は、一体的に形成されなくてもよい。例えば、線状部20、差込部30、受け部40および切断操作部50が、異なる部材により形成されてもよい。
【0020】
線状部20は、第1線状部21と第2線状部22とを備えている。第1線状部21および第2線状部22は、切断操作部50に連結されている。線状部20は、細い線材により形成されている。線状部20は、略一定の線径を有しても、部位によって異なる線径を有してもよい。例えば、線状部20の差込部30に連結される部位や、切断操作部50に連結される部位は、太く形成されてもよい。
【0021】
差込部30は、第1線状部21の、切断操作部50から離れた側の端部に配置される。差込部30は、先端側に位置する頭部31と、頭部31の基端側に位置する係合フック32と、係合フック32の基端側に位置すると係止部33を備えている。なお、差込部30の先端側は、差込部30を受け部40に対して差し込む方向側であり、差込部30の基端側は、先端側の反対側である。差込部30の基端側の係止部33は、第1線状部21に連結されている。頭部31は、受け部40に入り込むことが可能な大きさで形成される。係止部33は、受け部40の後述する係合突起42を通過できない大きさで形成されている。係合フック32は、線状部20の中心軸に対して傾斜しつつ、基端側へ突出している。このため、係合フック32は、受け部40へ挿入される際に、線状部20の中心軸に向かって弾性的に撓むことができる。係合フック32の数は、例えば2つであるが、1つ以上であれば特に限定されない。差込部30の形状は、特に限定されず、例えば中心軸と直交する断面が略円形、略三角形、略四角形等であってもよい。また、差込部30の形状は、全体的に扁平で薄い形状であってもよい。差込部30が扁平で薄い形状であれば、受け部40を薄く形成することが可能である。
【0022】
受け部40は、差込部30が差し込まれる受け穴41が形成されて、差込部30と係合する部位である。受け部40は、第2線状部22の、切断操作部50から離れた側の端部に配置される。受け部40は、貫通孔を有する筒状の部材に形成される。なお、差込部30および受け部40は、係合可能であれば、構成は限定されない。
【0023】
受け穴41は、受け穴41の内周面で突出する係合突起42と、係合突起42よりも差込方向側に位置する収容部43とを備えている。係合突起42は、頭部31が通過可能であり、かつ弾性的に撓んだ係合フック32が通過可能な大きさで突出している。収容部43は、係合突起42を通過した頭部31および係合フック32を収容可能な大きさで形成されている。第2線状部22は、受け部40の外周面に連結されている。受け穴41の貫通方向、すなわち差込部30が差し込まれる方向は、差込部30に連結された第2線状部22と略垂直である。
【0024】
第1線状部21は、第2線状部22よりも長い。このため、図3に示すように、差込部30を受け部40に係合させて、切断操作部50が重力によって下方に下がった状態において、商品等に引っ掛かる上方の部位が、差込部30および受け部40からずれた第1線状部21となる。このため、第1線状部21よりも大きな差込部30および受け部40が、対象物に形成される孔等に引っ掛かり難くなる。このため、連結具10は、対象物に対して適切な位置を維持しやすい。なお、第1線状部21は、第2線状部22よりも短くてもよい。この場合、切断操作部50が重力によって下方に下がった状態において、商品等に引っ掛かる上方の部位が、差込部30および受け部40からずれた第2線状部22となる。なお、第1線状部21および第2線状部22は、略同じ長さであってもよい。
【0025】
切断操作部50は、操作者が指でつまんで切断できる部位である。切断操作部50は、切断可能な切断部51と、切断部51を挟んで位置する第1部位52および第2部位53とを備えている。第1部位52は、第1線状部21に連結され、第2部位53は、第2線状部22に連結されている。第1部位52は、第2部位53よりも小さく形成される。第1部位52の少なくとも一部は、第2部位53に囲まれていることが好ましい。切断操作部50は、切断部51で切断しやすいように、略一定の厚さを有する扁平形状であることが好ましい。本実施形態において、第1部位52は略半円柱形状であるが、第1部位52の形状は特に限定されない。例えば、第1部位52は略四角柱形状であり、3面が略コ字形状の切断部51に連結されてもよい。第1部位52は、扁平な切断操作部50の縁部の一部を構成するように配置される。なお、切断操作部50は、切断できるのであれば、扁平形状でなくてもよい。第1部位52および/または第2部位53の表面には、印字したり、着色したり、シール等を付着させたりすることができる。
【0026】
切断部51は、第1部位52および第2部位53の間で延在する円弧形状の溝59で形成されている。切断部51は、第1部位52を部分的に囲むように、第2部位53側へ凸状となる円弧形状で形成されている。切断部51は、溝59が形成されることで、第1部位52および第2部位53よりも薄く形成される。溝59の延在方向の両端は、扁平な切断操作部50の縁部に配置される。溝59は、切断操作部50の対向する両面のうちの一方面のみに形成されても、両面に形成されてもよい。溝59は、切断操作部50の両面に形成されれば、切断が容易となる。溝59は、切断操作部50の一方面のみに形成されれば、意図せずに切断されることをより確実に抑制できる。なお、切断部51の構成は、指で切断可能であれば、特に限定されない。例えば、切断部51は、図4に示す第1変形例のように、複数の孔部54が並んで形成されてもよい。第1部位52と第2部位53の間には、複数の孔部54と交互に配置される複数の連結部55が形成される。複数の連結部55は、第1部位52と第2部位53を接続している。連結部55は、第1部位52および第2部位53と同じ厚さで形成されてもよいが、第1部位52および第2部位53よりも薄く形成されてもよい。すなわち、切断部51は、切断操作部50の一方面または両面に形成される溝59と、複数の孔部54の両方を有してもよく、または一方のみを有してもよい。切断部51は、溝59と孔部54の両方を有している場合、切断が容易となる。切断部51は、溝59または孔部54の一方のみを有すれば、意図せずに切断されることをより確実に抑制できる。孔部54の形状は、特に限定されず、例えば丸孔、四角孔、または孔部54が並ぶ方向へ長いスリット状の孔であってもよい。また、孔部54は、貫通孔であることが好ましいが、貫通孔でなくてもよい。また、貫通しない孔は、切断操作部50の一方面のみに形成されても、両面に形成されてもよい。また、切断部51は、第1部位52および第2部位53とは異なる材料により形成されてもよい。この場合、切断部51の材料は、第1部位52および第2部位53よりも破断しやすい材料であることが好ましい。なお、
【0027】
切断部51の延在方向の両端には、誘導凹部58が形成されている。誘導凹部58は、第1部位52および第2部位53の間の切断部51に向かって窪む切り欠きである。誘導凹部58は、操作者が切断部51を切断する際に応力が集中して、切断部51に亀裂を生じさせやすくする。このため、誘導凹部58は、切断部51を切断しやすくすることができる。
【0028】
第1部位52に接続される線状部20の中心軸と直交する方向の第1部位52の最大幅D1は、差込部30に接続される線状部20の中心軸に対して直交する方向の差込部30の最大幅D2以下であることが好ましいが、これに限定されない。差込部30の最大幅D2は、特に限定されないが、通常、1.8〜4.2mm程度である。したがって、第1部位52の最大幅D1は、特に限定されないが、好ましくは4.2mm以下であり、より好ましくは4.0mm以下、さらに好ましくは3.8mm以下、さらに好ましくは3.6mm以下、さらに好ましくは3.4mm以下、さらに好ましくは3.2mm以下である。第1部位52の最大幅D1は、特に限定されないが、好ましくは1.2mm以上であり、さらに好ましくは1.4mm以上、さらに好ましくは1.6mm以上である。
【0029】
次に、実施形態に連結具10の作用を説明する。
【0030】
始めに、表示札60を取り付ける取付者が、表示札60の取付孔61に差込部30または受け部40を挿入する。表示札60の取付孔61に差込部30を差し込む場合、表示札60は、差込部30と第1部位52の間の第1線状部21に保持される。表示札60の取付孔61に受け部40を差し込む場合、表示札60は、受け部40と第2部位53の間の第2線状部22に保持される。以降は、表示札60の取付孔61に差込部30を差し込んだ場合を説明する。
【0031】
次に、差込部30または受け部40を、衣料品等の対象物に形成される孔等に挿入する。そして、取付者は、図3(A)に示すように、差込部30を受け部40に差し込む。これにより、差込部30の頭部31が係合突起42を通過して収容部43へ到達する。さらに、差込部30の係合フック32が、係合突起42に押されて変形しながら係合突起42を通過して収容部43へ到達する。収容部43に到達した係合フック32は、自己の弾性力によって元の形状に戻り、係合突起42よりも大きく広がる。このため、係合フック32が係合突起42を通過して収容部43へ到達すると、係合フック32が係合突起42に引っ掛かる。これにより、受け部40に差し込まれた差込部30は、受け部40から引き抜き不能となる。このため、対象物に取り付けられた表示札60等が入れ替えられることが抑制される。切断操作部50は、重力によって下方へ下がる。このため、切断操作部50から、線状部20の両端部が略平行に上方へ延びる。したがって、表示札60は、重力により下がって、切断操作部50の近傍で略平行に並ぶ線状部20の間に挟まれる。このため、表示札60は、安定した位置で良好に保持される。
【0032】
連結具10において、切断部51が第1部位52の少なくとも一部を囲んでいる。このため、切断部51は、平面状ではないため、第2部位52が第1部位53に囲まれて保持されるとともに、第1部位52と第2部位53を接続する面積が増加し、作用する引張力に強く対抗できる。さらに、切断部51は、部位によって、引っ張り力が作用する方向に対する角度が異なる。このため、切断部51のいずれかの部位が、引っ張り力に対抗しやすい角度で形成されるため、切断部51は、作用する引張力に強く対抗できる。したがって、連結具10は、切断部51において意図せずに切断されることを抑制できる。
【0033】
表示札60および連結具10を対象物から取り外す際には、操作者は、第1部位52を一方の手の指でつまみ、第2部位53を他方の手の指でつまむ。次に、操作者は、切断部51に捩じり力や折り曲げる力等を作用させる。このとき、操作者は、切断部51に捩じり力や折り曲げる力等を作用させつつ、第1部位52および第2部位53に、離れる方向の力を作用させてもよい。これにより、切断部51に応力が集中して切断部51に亀裂が生じ、亀裂が進展する。切断部51が円弧形状であるため、第1部位52が小さくて第2部位52に囲まれていても、切断部51が指または爪の形状に適合し、指や爪によって切断部51に亀裂を生じさせやすい。
【0034】
切断部51が完全に切断されると、図3(B)に示すように、第1部位52および第2部位53が離れ、連結具10の切断が完了する。第1部位52の最大幅D1は、差込部30の最大幅D2以下であるため、差込部30を通すことができた表示札60の取付孔61から、切断された後の第1部位52を容易に引き抜くことができる。なお、第1部位52の最大幅D1は、差込部30の最大幅D2よりも大きくてもよい。これにより、切断された連結具10から、表示札60が脱落しにくくなる。したがって、切断された連結具10および表示札60を、ばらけさせずにまとめて処理(例えば、処分)できる。
【0035】
以上のように、本実施形態に係る連結具10は、可撓性を備える線状部20と、線状部20の一端側に設けられる差込部30と、線状部20の他端側に設けられて差込部30と係合可能な受け部40と、を有する連結具10であって、切断可能な切断部51を挟んで第1部位52および第2部位53を備える切断操作部50を有し、差込部30を受け部40に係合した状態において、第1部位52および第2部位53の各々が線状部20に接続され、切断部51は、第1部位52の少なくとも一部を囲んでいる。
【0036】
上記のように構成した連結具10は、切断部51が第1部位52の少なくとも一部を囲んでいるため、切断部51に作用する引張力に強く対抗できる。このため、切断部51において意図せずに切断されることを効果的に抑制しつつ、必要に応じて切断操作部50の切断部51を手で容易に切断できる。
【0037】
また、切断部51は、円弧形状である。このため、切断部51が指または爪の形状に適合し、指や爪を用いて切断することが容易となる。
【0038】
また、切断部51は、溝59を有している。これにより、切断操作部50の切断部51は、溝59に沿って切断しやすくなる。このため、切断操作部50の切断部51を手でも容易に切断できる。
【0039】
また、切断部51は、孔部54を有してもよい。これにより、切断操作部50の切断部51は、孔部54によって切断しやすくなる。このため、切断操作部50の切断部51を手でも容易に切断できる。
【0040】
また、第1部位52に接続される線状部20の中心軸と直交する方向の第1部位52の最大幅D1は、差込部30に接続される線状部20の中心軸に対して直交する方向の差込部30の最大幅D2以下である。これにより、差込部30を通すことができた表示札60等の取付孔61から、切断された後の第1部位52を容易に引き抜くことができる。
【0041】
また、切断操作部50は、扁平形状である。これにより、第1部位52および第2部位53をつまみやすくなり、切断する操作が容易となる。
【0042】
また、線状部20は、第1部位52から延在する第1線状部21と、第2部位から延在する第2線状部22と、を有し、差込部30は、第1線状部21の第1部位52から離れている端部に形成され、受け部40は、第2線状部22の第2部位53から離れている端部に形成されている。これにより、第1線状部21または第2線状部22を通された表示札60が切断操作部50の近傍にある場合に、表示札60に阻害されることなしに、表示札60から離れている差込部30および受け部40を容易に係合できる。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、図5(A)に示す第2変形例のように、受け部40は、第2部位53に形成されてもよい。線状部20の一端に第1部位52が連結され、線状部20の他端に第2部位53が連結されている。受け部40の差込方向は、切断操作部50に連結される線状部20と略直交する方向であり、受け部40は貫通している。このため、受け部40のいずれの開口からも、差込部30を差し込んで、係合フック32を係合突起42に係合できる。受け部40が第2部位53に形成されることにより、切断操作部50と異なる位置に受け部40が設けられないため、構成をシンプルとすることができる。このため、差込部30を受け部40に係合した環状の状態において、第1部位52および第2部位53に連なる線状部20を、直線的な部位のみで構成可能である。したがって、対象物へ取り付けた後の連結具10は、対象物に対して必要以上に引っ掛からず、表示札60を適切に配置できる。
【0044】
また、図5(B)に示す第3変形例のように、切断操作部50は、線状部20に連結される部位に向かって凸状に形成され、第1部位52は、凸状の部位の頂部に配置されてもよい。これにより、第1部位52を第2部位53から分けて指でつまみやすくなり、第1部位52を第2部位53から分離するように、切断部51を手で容易に切断できる。受け部40は、第2部位53に形成されるが、第2部位53に形成されなくてもよい。凸状の部位に第1部位52を配置する構造は、他の実施形態(例えば、図1に示す実施形態)に適用されてもよい。
【0045】
また、図5(C)に示す第4変形例のように、受け部40は、切断操作部50の線状部20が連結される側の反対側の第2部位53に配置されてもよい。受け部40の中心軸は、第1部位52に連結される線状部20の中心軸と同一線上に位置するが、同一線上に位置しなくてもよい。例えば、受け部40の中心軸は、第1部位52に連結される線状部20の中心軸に対して傾き、差込部30を受け部40に対して少し斜めから差し込み可能であってもよい。
【0046】
また、図5(D)に示す第5変形例のように、受け部40は、切断操作部50の線状部20が連結される側またはその反対側から差込部30を受け入れ可能に配置されてもよい。受け部40の中心軸は、第1部位52に連結される線状部20の中心軸から所定距離離れて平行に配置される。受け部40の差込方向は、切断操作部50に連結される線状部20と略平行方向であり、受け部40は貫通している。このため、受け部40のいずれの開口からも、差込部30を差し込んで、係合フック32を係合突起42に係合できる。
【符号の説明】
【0047】
10 連結具
20 線状部
21 第1線状部
22 第2線状部
30 差込部
31 頭部
32 係合フック
33 係止部
40 受け部
41 受け穴
42 係合突起
43 収容部
50 切断操作部
51 切断部
52 第1部位
53 第2部位
54 孔部
55 連結部
58 誘導凹部
59 溝
60 表示札
D1 第1の部位の最大幅
D2 差込部の最大幅
【要約】
【課題】意図せずに切断されることを効果的に抑制しつつ、必要に応じて手でも容易に切断できる連結具を提供する。
【解決手段】可撓性を備える線状部20と、線状部20の一端側に設けられる差込部30と、線状部20の他端側に設けられて差込部30と係合可能な受け部40と、を有する連結具10であって、切断可能な切断部51を挟んで第1部位52および第2部位53を備える切断操作部50を有し、差込部30を受け部40に係合した状態において、第1部位52および第2部位53の各々が線状部20に接続され、切断部51は、第1部位52の少なくとも一部を囲んでいる。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5