特許第6884328号(P6884328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6884328
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】オーバーヘッドシャワー装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
   A47K3/28
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-34586(P2017-34586)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-139697(P2018-139697A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】芝田 稔
(72)【発明者】
【氏名】荒木 一文
(72)【発明者】
【氏名】入江 恭亮
(72)【発明者】
【氏名】押川 卓矢
(72)【発明者】
【氏名】村田 剛
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−075722(JP,A)
【文献】 特開2003−336300(JP,A)
【文献】 特開2010−172506(JP,A)
【文献】 米国特許第05309582(US,A)
【文献】 特開2003−090616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02−4/00
E03C 1/00−1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定され上方から水を吐水するオーバーヘッドシャワー装置であって、
複数の散水孔が形成された吐水ヘッドと、
上記吐水ヘッドを壁面に固定支持するとともに、給水源から供給された水が通水する通水路を内部に有する支持部と、
上記給水源から供給され、上記吐水ヘッドへ向かう水をろ過するフィルタと、
このフィルタが収納されたフィルタ収納部と、
を備え、
上記フィルタ収納部は、上記支持部の基端部に設けられていると共に、上記支持部によって上記吐水ヘッドが固定支持されている状態で上記フィルタが上記フィルタ収納部から着脱可能となるように構成され
上記フィルタ収納部は、上記壁面に形成された壁面開口の内部に設けられていることを特徴とするオーバーヘッドシャワー装置。
【請求項2】
さらに、上記壁面に形成された壁面開口を覆うカバーを備えることを特徴とする請求項記載のオーバーヘッドシャワー装置。
【請求項3】
上記カバーには、貫通孔が形成されており、上記支持部は、上記貫通孔に貫通しているものであって、上記貫通孔は、上記カバーが上記吐水ヘッドを越えて脱落しない寸法形状であることを特徴とする請求項記載のオーバーヘッドシャワー装置。
【請求項4】
上記フィルタ収納部は、収納している上記フィルタを外部から着脱可能にするように、上記フィルタ収納部の外部に露出した着脱口を有しており、
上記着脱口は、上記壁面開口に向かって開口していることを特徴とする請求項または請求項記載のオーバーヘッドシャワー装置。
【請求項5】
上記フィルタ収納部は、上記支持部に対して傾斜した方向から上記着脱口を介して、上記フィルタを着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項記載のオーバーヘッドシャワー装置。
【請求項6】
さらに、上記フィルタを保持するフィルタ保持部材を備え、上記フィルタを上記フィルタ保持部材に取り付けることにより、フィルタユニットが構成されており、上記フィルタ保持部材は、上記フィルタユニットを上記フィルタ収納部から着脱するための把持部を備えていることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか一項に記載のオーバーヘッドシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドシャワー装置に関し、特に、壁面に固定され上方から水を吐水するオーバーヘッドシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャワー装置には散水ノズルにゴミなどが詰まり、吐水の状態が不安定になることを防止するために、吐水される水をろ過するためのフィルタが内蔵されている。このようなフィルタは、定期的に掃除をすることでフィルタに溜まったゴミなどを取り除くために、シャワー装置から着脱できることが求められる。
【0003】
特開2000−116562(特許文献1)記載のハンドシャワー装置においては、ヘッド本体(吐水ヘッド)にフィルタが内蔵されている。このシャワーヘッド装置では、フィルタに溜まったゴミなどを取り除く場合において、ヘッド本体(吐水ヘッド)と柄部(支持部)を分割してフィルタを取り外し、溜まったゴミなどを取り除いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−116562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成を、オーバーヘッドシャワー装置に適用した場合、吐水ヘッドが例えば使用者の頭部よりも高い位置に固定されているため、フィルタを掃除する際に吐水ヘッドと支持部を分解することが困難である。また、オーバーヘッドシャワー装置用の吐水ヘッドは比較的大きく重たいため、吐水ヘッドを支持部より取り外すことは重労働である。
【0006】
さらには、支持部から取り外す際に、吐水ヘッドそのものを誤って落下させたり、一度取り外した吐水ヘッドの固定が不十分で使用中に落下してしまうおそれがあった。吐水ヘッドは高い位置に固定されており比較的大きく重たい為、自由落下によって破損したり、シャワー室の床面等を傷つけてしてしまうおそれがあり、改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、容易に且つ安全にフィルタの掃除を行うことができるオーバーヘッドシャワー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、壁面に固定され上方から水を吐水するオーバーヘッドシャワー装置であって、複数の散水孔が形成された吐水ヘッドと、吐水ヘッドを壁面に固定支持するとともに、給水源から供給された水が通水する通水路を内部に有する支持部と、給水源から供給され、吐水ヘッドへ向かう水をろ過するフィルタと、このフィルタが収納されたフィルタ収納部と、を備え、フィルタ収納部は、支持部の基端部に設けられていると共に、支持部によって吐水ヘッドが固定支持されている状態でフィルタがフィルタ収納部から着脱可能となるように構成され、フィルタ収納部は、壁面に形成された壁面開口の内部に設けられていることを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明によれば、フィルタ収納部が支持部の基端部に設けられていると共に、支持部によって吐水ヘッドが固定支持されている状態でフィルタがフィルタ収納部から着脱可能となるように構成されている。このため、フィルタをフィルタ収納部から取り外して掃除する際に、吐水ヘッドを支持部から取り外したり、吐水ヘッド自体を分解したりする必要がなく、吐水ヘッドを分解した際の吐水ヘッドの落下や、不十分な取付によって吐水ヘッドが落下しやすくなることを抑制することができる。
従って、容易且つ安全にオーバーヘッドシャワー装置のフィルタの掃除を行うことができる。
【0011】
このように構成された本発明によれば、フィルタが収納されているフィルタ収納部が、壁面に形成された壁面開口の内部に設けられているため、フィルタ収納部が壁面の外部に露出しておらず使用者の視野に入りづらいとともに、フィルタ収納部を隠ぺいするために壁面の外部に突出したケースなどを設ける必要がなく、意匠性が向上する。また、フィルタ収納部が、壁面に形成された壁面開口の内部に設けられているため、オーバーヘッドシャワー装置の露出部分にフィルタを着脱するための開口等を設ける必要がなく、意匠性が向上する。
【0012】
本発明において、好ましくは、さらに、壁面に形成された壁面開口を覆うカバーを備える。
【0013】
このように構成された本発明によれば、壁面開口を覆うカバーを備えているので、壁面開口の内部に設けられているフィルタ収納部が使用者から視認できず、より意匠性を向上させることができるとともに、メンテナンス時にはカバーを取り外すという簡易な作業でフィルタの掃除を行うことができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、カバーには、貫通孔が形成されており、支持部は、貫通孔に貫通しているものであって、貫通孔は、カバーが吐水ヘッドを越えて脱落しない寸法形状である。
【0015】
このように構成された本発明によれば、壁面に形成された壁面開口からカバーを取り外した場合でも、カバーが吐水ヘッドを越えて脱落することがないため、カバーがオーバーヘッドシャワー装置から落下することを防止することができ、メンテナンス時の作業性が向上する。
【0016】
本発明において、好ましくは、フィルタ収納部は、収納しているフィルタを外部から着脱可能にするように、フィルタ収納部の外部に露出した着脱口を有しており、着脱口は、壁面開口に向かって開口している。
【0017】
このように構成された本発明によれば、着脱口が壁面に形成された壁面開口に向かっているため、壁面の内部にフィルタが配置されている場合であっても、メンテナンス者が着脱口を視認することができ、フィルタの着脱を容易に行うことができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、フィルタ収納部は、支持部に対して傾斜した方向から着脱口を介して、フィルタを着脱可能に構成されている。
【0019】
このように構成された本発明によれば、フィルタ収納部は着脱口を介して、フィルタを支持部に対して傾斜した方向から着脱可能に構成されているため、壁面に形成された壁面開口が小さい場合であっても、メンテナンス者がフィルタをフィルタ収納部から着脱する際に、支持部への干渉を避けながら作業を行うことができ、よりフィルタの着脱を容易に行うことができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、さらに、フィルタを保持するフィルタ保持部材を備え、フィルタをフィルタ保持部材に取り付けることにより、フィルタユニットが構成されており、フィルタ保持部材は、フィルタユニットをフィルタ収納部から着脱するための把持部を備えている。
【0021】
このように構成された本発明によれば、フィルタがフィルタ保持部材に保持され、フィルタユニットを構成しているので、壁面の内部にフィルタが配置されていても、フィルタ保持部材の把持部を操作することで一体的に着脱することが出来、容易にフィルタの着脱を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、フィルタをフィルタ収納部から着脱する際に、吐水ヘッドを支持部から取り外したり、吐水ヘッド自体を分解したりする必要がなく、吐水ヘッドを分解した際の部品や吐水ヘッド自体の落下を抑制することができる。
従って、容易且つ安全にオーバーヘッドシャワー装置のフィルタの掃除を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態のオーバーヘッドシャワー装置を備えたシャワー室を示した説明図である。
図2】本発明の実施形態のオーバーヘッドシャワー装置を図1中のII−II線に沿って切断した部分断面図である。
図3】本発明の実施形態のオーバーヘッドシャワー装置における支持部とフィルタ収納部を示した分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態のオーバーヘッドシャワー装置におけるフィルタ収納部を示した斜視図である。
図5】本発明の実施形態のオーバーヘッドシャワー装置を図3中のV−V線に沿って切断した部分断面図である。
図6】本発明の実施形態のオーバーヘッドシャワー装置を図3中のVI−VI線に沿って切断した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
はじめに、図1及び図2にて本発明の実施形態におけるオーバーヘッドシャワー装置1の全体構成について以下に説明する。
【0025】
図1は本発明の実施形態のオーバーヘッドシャワー装置を設置したシャワー室を示した説明図である。図2は、本発明の実施形態のオーバーヘッドシャワー装置を図1中のII−II線に沿って切断した部分断面図である。図3は、本発明の実施形態における支持部と給水部材を示した分解斜視図である。
【0026】
オーバーヘッドシャワー装置1は使用者に対して上方から吐水を行うオーバーヘッドシャワーであり、シャワー室の壁面W(以下、シャワー室の壁面を「壁面」と称する。)に固定されている。
【0027】
オーバーヘッドシャワー装置1は、シャワーヘッド2と、シャワーヘッド2を壁面Wに固定支持している支持部4と、を備えている。本実施形態のオーバーヘッドシャワー装置1においては、使用者が壁面Wに設けられた操作ハンドル32を操作することにより、シャワーヘッド2の下面に設けられたシャワー吐水孔12(図2)からのシャワー吐水を行うことができる。なお、本実施形態において、水とは湯、湯と水を混合した適温水などを含む。
【0028】
図1に示すようにシャワーヘッド2は、円盤状の円盤部6と、円盤部6上面の中心部から上方に延びる円柱状の円柱部8と、を有している。
円盤部6の下面には、中心に整流吐水を行うための整流吐水孔10が形成され、その周囲にシャワー吐水を行うための複数の散水孔であるシャワー吐水孔12が形成されている(図2)。
【0029】
図2に示すように、シャワーヘッド2の円柱部8の内部には概ね円柱形の金属製の通水路形成部材24が内蔵されている。この通水路形成部材24の内部には、支持部4を介して供給された水を整流吐水孔10へ導くための整流用通水路24a、及び各シャワー吐水孔12へ導くためのシャワー用通水路24bが夫々形成されている。また、通水路形成部材24の側面には、支持部4の内側に挿通された整流用配管16及びシャワー用配管18(図3)を夫々接続するための接続部24cが設けられている。
【0030】
シャワーヘッド2の円盤部6の内部には、薄いドーナツ板状の通水路形成板26及び薄い円板状のシリコン製の散水ノズル形成部材28が内蔵されている。
整流用通水路24aによって導かれた水は、通水路形成板26中央の開口を貫通して延びる通路を通って、円盤部6下面中央の整流吐水孔10へ導かれる。
【0031】
散水ノズル形成部材28は円板状のシリコン製の部材であり、その下面には切頭円錐形状に形成された複数の散水ノズル30が下方に向けて突出するように形成されている。各散水ノズル30先端の開口がシャワー吐水孔12として機能する。散水ノズル形成部材28は、円盤部6の中に、通水路形成板26と平行に延びるように配置されている。シャワー用通水路24bを介して導かれた水は、散水ノズル形成部材28と通水路形成板26の間の空間に流入し、散水ノズル形成部材28に設けられた各散水ノズル30のシャワー吐水孔12から吐水される。
【0032】
図2及び図3に示すように、支持部4は、長方形断面の筒状の部材であり、給水源である建物内の配管(図示せず)から供給されてきた水をシャワーヘッド2へ向けて通水させるための通水路である整流用配管16及びシャワー用配管18が内部に配置されている。
【0033】
支持部4の先端は、シャワーヘッド2の円柱部8の側面に挿入されており、シャワーヘッド2と支持部4は、固定ねじ(図示せず)によって結合されている。
支持部4の基端は、壁面Wに円状に形成された壁面開口Cの中へ延び、フィルタ収納部である給水部材22にねじ(図示せず)によって結合されている。
【0034】
給水部材22は、建築物の構造躯体Sに固定される金属製の部材であり、整流用配管16及びシャワー用配管18へ流入させる水をろ過するフィルタ20(図4)を内部に収納するように構成されている。また、給水部材22の内部には、建物内の配管から供給された水を整流用配管16及びシャワー用配管18へ導く通水路が形成されている。給水部材22に関する詳細な説明は後述する。
なお、本実施形態では、給水部材22は支持部4と別体で構成され、支持部4の基端部に設けられているが、給水部材22を支持部4と一体で構成してもよい。
【0035】
図3に示すように、給水部材22は、構造躯体Sを覆うように設けられた壁面Wに形成された壁面開口Cの内部に位置するように、4本の六角ボルト23により建築物の構造躯体Sに固定されている。
壁面開口Cは円形に形成され、略リング状の壁面固定部材36及び円形のカバー38によって覆われており、壁面Wの外部からは壁面開口Cの内部を視認できないようになっている。
【0036】
壁面固定部材36は、略リング状の部材であり、壁面開口Cを取り囲むように壁面Wに配置される。また、壁面固定部材36の4隅にはねじ穴が設けられ、4本のねじ39により壁面Wに固定されている。
カバー38は、円形の平板状の部材であり、壁面固定部材36に圧入可能に構成されている。また、カバー38の中央には貫通穴38aが形成され、支持部4は貫通穴38aを貫通して延びている。貫通穴38aの寸法形状は、支持部4の横断面の寸法形状と略同一である。略同一とは、支持部4上をカバー38に形成された貫通孔38aがわずかな摩擦抵抗で動かせる程度を指す。また、支持部4の断面の寸法形状は、シャワーヘッド2の寸法形状より小さい。なお、カバー38は、壁面固定部材36にスナップ嵌め可能に構成されていてもよい。
【0037】
次に、図4及び図5にて給水部材22の詳細な構造について説明する。
図4は、本発明の実施形態における給水部材を示した斜視図である。図5は、本発明の実施形態におけるオーバーヘッドシャワー装置を図3中のV−V線に沿って切断した部分断面図である。
【0038】
図4に示すように、給水部材22は黄銅製の鍛造品で形成されており、フィルタ20を内部に保持可能なフィルタ保持部材40が2つ取り付けられている。なお、給水部材の材料としては、黄銅製の鋳物等であってもよい。
また、給水部材22は、正方形板状の板部50と、板部50から前方へ延びる支持部受け52と、フィルタ20を収容するフィルタ受部54と、を有する。
【0039】
板部50は、正方形板状の部分であり、4隅にボルト穴が設けられ、ボルトにより躯体Sに固定される。
支持部受け52は、板部50の前面から板部50に対して直交するように前方へ延び、支持部4の内側に挿入されるように形成されている。また、支持部受け52の上面には、支持部4を固定するためのねじ穴52aが設けられている。さらに、支持部受け52の内部には、支持部4の中に配置された整流用配管16及びシャワー用配管18を夫々接続するための2つの通水路52b、52cが平行に形成されている。
【0040】
フィルタ受部54は、板部50から前方へ延び、支持部受け52の左右にそれぞれ1か所ずつ、支持部受け52に対して傾斜するように合計2か所設けられている。これらのフィルタ受部54の先端面には着脱口54aが夫々形成されている。これらの着脱口54aは、板部50の背面の流入口50b、50cまで夫々連通している(図5)。
【0041】
また、図5に示すように、各着脱口54aは、給水部材22の内部において、隣接する通水路52b、52cと連通するように構成されている。このため、板部50の背面の流入口50b、50cから流入した水は、各フィルタ受部54の内部を通って、支持部受け52に形成された通水路52b、52cから夫々流出する。さらに、着脱口54aの内面にはねじ山が形成されており、このねじ山にフィルタ保持部材40を螺合させることでフィルタ保持部材40を給水部材22に取り付けることができる。
【0042】
このように、給水部材22には、建物内の配管から給水された水を支持部4の中に配置されている整流用配管16及びシャワー用配管18へ流入させるための流路が内部に形成されている。板部50の背面の流入口50b、50cから各着脱口54aへ延びる流路は、支持部4に対して着脱口54aの開口に向かうにつれて離間するように傾斜しており、流路の途中が支持部受け52の内部に形成された通水路52b、52cと夫々連通している。支持部受け52の内部に形成された流路は壁面Wに対して直交するように真っすぐ支持部4の内部に形成された整流用配管16及びシャワー用配管18へ向かっている。
【0043】
図4に示すように、フィルタ保持部材40は、円柱状の本体部44と、本体部44の前面から延びる棒状の把持部46と、本体部44の背面から延びる円筒状のフィルタ保持部48から形成されている。
把持部46は本体部44の前面において中心部から前方に向かってのびる棒状の部分である。
【0044】
フィルタ保持部48は内側にフィルタ20を受け入れるように円筒状に形成されており、その側面には受け入れたフィルタ20を露出させるための窓48aが形成されている。このように、フィルタ保持部材40にフィルタ20を嵌め込んで取り付けることにより、フィルタユニットが構成される。
【0045】
フィルタ20は、一面が開放された籠状に形成された樹脂製の網であり、フィルタ保持部48の内側に嵌め込まれている。フィルタ20がフィルタ保持部48に嵌め込まれた状態では、フィルタ20の側面がフィルタ保持部48に設けられた窓48aから露出する。
【0046】
また、図4に示すように、把持部46の先端面には六角の溝が形成されており、六角レンチを使用して、着脱口54aに螺合されているフィルタ保持部材40を、給水部材22に着脱できるようになっている。
【0047】
六角レンチを使用してフィルタ保持部材40を取り付けることにより、フィルタ20及びフィルタ保持部材40をフィルタユニットとして、しっかりと給水部材22に締結することができる。このため、例えば、メンテナンス者以外がフィルタ保持部材40の把持部46を手で回転操作したとしてもこの締結が緩み、外れることを抑制できると共に、締結が弱かったため、時間経過による緩みにより自然に外れることを抑制できる。
【0048】
次に、図6を参照して、壁面開口C内部の給水部材22において、フィルタ受け部54にフィルタユニットを取り付けた状態を説明する。
図6は、本発明の実施形態のオーバーヘッドシャワー装置を図3中のVI−VI線に沿って切断した部分断面図である。
【0049】
図6に示すように、着脱口54aは、壁面開口Cに向かって開口していると共に、支持部4に対して傾斜している。
具体的には、着脱口54aは壁面開口Cに向かうにつれて、支持部受け52および支持部受け52に挿入された支持部4から離間する方向に傾斜して開口している。
【0050】
次に、本発明の実施形態によるオーバーヘッドシャワー装置1の作用を説明する。
使用者が操作ハンドル32を操作することにより、建物内の配管から給水されてきた水は、給水部材22の背面側の流入口50b又は50cから流入し、着脱口54aの内部に収容されたフィルタ20を通過し、支持部受け52内部に形成された通水路52b又は52cへ流入する。なお、使用者が操作ハンドル32により整流吐水を選択した場合には、流入口50bから通水路52bを通って整流用配管16に流入し、シャワーヘッド2の整流吐水口10から吐水が行われる。使用者がシャワー吐水を選択した場合には、流入口50cから通水路52cを通ってシャワー用配管18に流入し、シャワー吐水口12から吐水が行われる。
【0051】
本発明の実施形態のオーバーヘッドシャワー装置1によれば、フィルタ20をフィルタ収納部である給水部材22から着脱する際に、シャワーヘッド2を支持部4から取り外したり、シャワーヘッド2自体を分解したりする必要がない。このため、シャワーヘッド2を分解した際の部品やシャワーヘッド2自体の落下を抑制することができ、より安全にフィルタ20の掃除を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態のオーバーヘッドシャワー装置1によれば、フィルタ20を収納している給水部材22が、壁面Wに形成された壁面開口Cの内部に設けられているため(図3)、給水部材22が壁面Wの外部に露出しておらず使用者の視野に入りづらいとともに、給水部材22を隠ぺいするために壁面Wの外部に突出したケースなどを設ける必要がなく、意匠性が向上する。また、給水部材22が、壁面に形成された壁面開口Cの内部に設けられているため、オーバーヘッドシャワー装置1の露出部分にフィルタ20を着脱するための開口等を設ける必要がなく、意匠性が向上する。
【0053】
さらに、本実施形態のオーバーヘッドシャワー装置1によれば、壁面開口Cを覆うカバー38を備えているので、壁面開口Cの内部に設けられている給水部材22が使用者から視認できず、より意匠性を向上させることができるとともに、メンテナンス時にはカバー38を取り外すという簡易な作業でフィルタ20の掃除を行うことができる。
【0054】
また、本実施形態のオーバーヘッドシャワー装置1によれば、壁面Wに形成された壁面開口Cからカバー38を取り外した場合でも、カバー38がシャワーヘッド2を越えて脱落することがないため(図3)、カバー38がオーバーヘッドシャワー装置1から落下することを防止することができ、メンテナンス時の作業性が向上する。
【0055】
さらに、本実施形態のオーバーヘッドシャワー装置1によれば、着脱口54aが壁面に形成された壁面開口Cに向かって開口しているため(図6)、壁面Wの内部にフィルタ20が配置されている場合であっても、メンテナンス者が着脱口54aまたは着脱口54aに挿入されたフィルタ保持部材40の把持部46を視認することができ、フィルタ20の着脱を容易に行うことができる。
【0056】
また、本実施形態のオーバーヘッドシャワー装置1によれば、着脱口54aが支持部受け52及び支持部受け52に挿入された支持部4に対して傾斜した方向に開口しているため(図6)、壁面Wに形成された壁面開口Cが小さい場合であっても、メンテナンス者がフィルタ20を給水部材22から着脱する際に、支持部4への干渉を避けながら作業を行うことができ、よりフィルタ20の着脱を容易に行うことができる。
【0057】
さらに、本実施形態のオーバーヘッドシャワー装置1によれば、フィルタ20がフィルタ保持部材40に保持され、フィルタユニットを構成しているので(図4)、壁面Wの内部にフィルタ20が配置されていても、フィルタ保持部材40の把持部46を操作することで一体的に着脱することが出来、容易にフィルタ20の着脱を行うことができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。本発明においては、シャワーヘッド2が支持部4を介して壁面Wに固定され使用者の上方から吐水されるように構成されていれば良く、例えば、支持部4が天井壁に固定されていても良い。また、上述した実施形態においては、フィルタ収納部である給水部材22には2つのフィルタ20が収容されていたが、収納するフィルタ20の数は、オーバーヘッドシャワー装置1の構成に合わせて任意の数に変更することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 オーバーヘッドシャワー装置
2 シャワーヘッド
4 支持部
6 円盤部
8 円柱部
10 整流吐水孔
12 シャワー吐水孔
16 整流用配管(通水路)
18 シャワー用配管(通水路)
20 フィルタ
22 給水部材(フィルタ収納部)
23 六角ボルト
24 通水路形成部材
24a 整流用通水路
24b シャワー用通水路
24c 接続部
26 通水路形成板
28 散水ノズル形成部材
30 散水ノズル
32 操作ハンドル
36 壁面固定部材
38 カバー
38a 貫通孔
39 ねじ
40 フィルタ保持部材
44 本体部
46 把持部
48 フィルタ保持部
48a 窓
50 板部
50b、50c 流入口
52 支持部受け
54 フィルタ受部
54a 着脱口
52b、52c 通水路
W 壁面
C 壁面開口
S 躯体
図1
図2
図3
図4
図5
図6