特許第6884360号(P6884360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6884360
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】多機能衛生容器
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/22 20060101AFI20210531BHJP
   B65F 1/00 20060101ALI20210531BHJP
   A47G 23/02 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   A47G19/22 R
   B65F1/00 A
   A47G23/02 A
   A47G19/22 D
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-157599(P2020-157599)
(22)【出願日】2020年9月18日
【審査請求日】2020年9月18日
(31)【優先権主張番号】特願2020-107596(P2020-107596)
(32)【優先日】2020年6月23日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520228164
【氏名又は名称】空野 加代子
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】空野 加代子
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−223956(JP,A)
【文献】 特開2014−144032(JP,A)
【文献】 実開昭50−112477(JP,U)
【文献】 特開平11−253293(JP,A)
【文献】 特開2006−314739(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3126053(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3162736(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0018828(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0014299(KR,A)
【文献】 実開昭56−064387(JP,U)
【文献】 特表2019−528220(JP,A)
【文献】 米国特許第05772069(US,A)
【文献】 中国実用新案第204561684(CN,U)
【文献】 特開2011−213489(JP,A)
【文献】 実開昭53−097586(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/22
A47G 23/02
B65F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した有底状の内容器と、内容器が収容される上部が開口した外容器とを有する飲料容器または廃棄物容器である多機能衛生容器であって、前記内容器の外周面には縦方向または横方向に伸びる板状の指先で摘まむ一または複数の把持用摘みが突設され、前記外容器には、その上縁から下方に伸びるスリットまたは切欠が形成され、該スリットまたは切欠に前記内容器の把持用摘みが進入するようになされており、内容器外周における上縁下側には前記外容器の上縁に係止される係止用突起が設けられ、該係止用突起の下側に所定間隔をあけて前記把持用摘みが突設されている、多機能衛生容器。
【請求項2】
把持用摘みが、折り畳み自在となされている、請求項1記載の多機能衛生容器。
【請求項3】
内容器または外容器に蓋が装着されている、請求項1または請求項2記載の多機能衛生容器。
【請求項4】
外容器は筒状となされている、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の多機能衛生容器。
【請求項5】
把持用摘みがコップの高さ中央部分に形成されている、請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項の多機能衛生容器。
【請求項6】
外容器に接触面積減少用の多数の開口部が形成されている、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載の多機能衛生容器。
【請求項7】
把持用摘みがリング状またはC形状の帯状体の外面に突設され、該帯状体を内容器の側周面に嵌め被せることで内容器に把持用摘みが別体構成で設けられている、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項記載の多機能衛生容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店等において、酒類やジュース、水等の種々の飲料を衛生的に提供するための飲料容器、並びに灰皿やゴミその他の廃棄物を衛生的に廃棄するための廃棄物容器等としても使用することができる多機能衛生容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウィルスやSARS等の感染拡大に伴って、特に飲食業の分野では、感染リスクを極力抑えながら、飲料等を提供することが求められている。
【0003】
従来から、コップホルダを使用して、使い捨てのコップで飲料を提供することが行われ、そして、前記コップホルダとしては、開口部の外径が底部の外径よりも大きい軟質のコップホルダであって、 コップの底部を挿入可能な円筒状の支持部を備え、更に、該支持部の端面等に一端部が連結され、該一端部から前記支持部の軸線に沿って前記支持部の外方へ延びる連結部と、該連結部の他端部に連なる基部、および該基部に連なる弾性変形可能な帯板状の腕部等を備えたものが知られている。
【0004】
より詳細には、前記コップホルダは、前記支持部の軸線を囲むように前記基部から湾曲または屈曲して延びる2つの腕部を有し、更に前記支持部にコップの底部が挿入された状態で、前記2つの腕部がコップの外周面を弾発的に押圧する把持部を備え、そして、該把持部の基部および前記連結部の少なくとも一方には、取手部等が形成されたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−217439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような構成の従来のコップホルダでは、飲食業において、使い捨てのコップをホルダ内に挿入したり、使用済の使い捨てコップをホルダから取り出すのに、飲料の提供を受ける客が口をつける前記使い捨てコップの上縁飲み口部分を飲料の提供者が手で触ることとなるため、衛生上の問題があった。
【0007】
また、従来から取手付きのコップが知られているが、該コップにおいても、飲料の提供を受ける客が口をつけたコップ上縁部分を飲料の提供者が手で触ることとなるため、衛生上の問題があり、また前記取手部分についても飲料の提供者と客の両方が把持することとなるため、感染防止面でも問題があった。
【0008】
本発明の目的は、前述したようなコップの上縁飲み口部分や取っ手部分における衛生上の問題を解消することができる多機能衛生容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明は、上部が開口した有底状の内容器と、内容器が収容される上部が開口した外容器とを備え、前記内容器の外周面には一または複数の指先サイズの把持用摘みが突設され、 前記外容器には、その上縁から下方に伸びるスリットまたは切欠が形成され、該スリットまたは切欠に前記内容器の把持用摘みが進入するようになされていることを特徴とする多機能衛生容器である。
【0010】
本発明において、前記把持用摘みは、従来のようなコップに設けられた取っ手ではなく、指先サイズの極小な指で摘まむものであることを構成上の特徴とする。
【0011】
そして、本発明に係る多機能衛生容器は、後述する実施形態のような飲料容器として使用する場合の他、検尿用容器や飲む検査液(バリウム等)の医療用容器、更にはゴミや汚物或いはタバコの灰を入れる灰皿等としても使用され得るものである。
【0012】
また、本発明の多機能衛生容器を構成する内容器および外容器は、用途や機能に応じて、紙、合成樹脂、アルミニウムやスチール等の金属等といった種々の材質が使用され得る。
【0013】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の多機能衛生容器について、把持用摘みが、縦方向または横方向に伸びる板状となされていることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の本発明は、前記請求項2記載の多機能衛生容器について、把持用摘みが折り畳み自在となされていることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の多機能衛生容器について、内容器または外容器に蓋が装着されているものである。
【0016】
すなわち、内容器の上部飲み口部分が外容器から出ている場合には、内容器に施蓋され、内容器の上部飲み口部分が外容器から出ていない場合には、外容器の上縁部分に施蓋される。
【0017】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載の多機能衛生容器について、内容器外周における上縁下側には該上縁から所定間隔をあけて前記外容器の上縁に係止される係止用突起が設けられ、該係止用突起の下側に前記把持用摘みが突設され、外容器は筒状となされていることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項の多機能衛生容器について、把持用摘みがコップの高さ中央部分に形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の本発明は、前記請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項記載の多機能衛生容器について、内容器がその上部から下部に向かって外形が縮小した形状となされて、該内容器の外周と前記外容器の内周との間に側部断熱用空所が形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項8記載の本発明は、前記請求項1〜請求項7のうちのいずれか一項記載の多機能衛生容器について、内容器の外底面と外容器の内底面との間に底部断熱用空所が形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項9記載の本発明は、前記請求項1〜請求項8のうちのいずれか一項記載の多機能衛生容器について、外容器に接触面積減少用の多数の開口部が形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項10記載の本発明は、前記請求項1〜請求項9のうちのいずれか一項記載の多機能衛生容器について、把持用摘みがリング状またはC形状の帯状体の外面に突設され、該帯状体を内容器の側周面に嵌め被せることで内容器に把持用摘みが別体構成で設けられていることを特徴とする。
【0023】
なお、以上述べた構成の本発明に係る多機能容器は、主として、飲料容器として使用され得るものであるが、本発明はこれに限定されず、前述した通り、例えば医療の分野において、検尿用容器、胃部X線検査における造影剤用容器やごみおよび汚物等を入れるゴミ容器た灰皿としても使用することができる。
【0024】
また、本発明の多機能衛生容器は、前述した通り、外容器および内容器について、構成材料は特に限定されず、金属、合成樹脂および紙等、種々のものが使用され得る。ただし、紙やアルミニウム、或いはバイオマス等の環境面や再生利用面で有効なものが好適である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の多機能衛生容器は、上部が開口した有底状の内容器と、内容器が収容される外容器とを備え、前記内容器の外周面には一または複数の指先サイズの把持用摘みが突設されている構成であるため、例えば前記内容器をコップとして使用する場合には、飲料提供者は、従来のように、コップ上縁の飲み口部分を手で持つことなく、コップにおける前記指先サイズの極小な把持用摘みを指で摘まんで、該コップ(内容器)を外容器(ホルダ)内に落し込むことで、外容器(ホルダ)内にコップ(内容器)がセットされ、この状態でコップ(内容器)内に飲料を入れて提供することができ、飲料の提供を受ける人は、外容器(ホルダ)を手で持って飲料を飲むようにすることで、飲料の提供にあたって、飲料提供者と飲料被提供者が同じ接触場所を共有することが回避される。そのため、新型コロナウィルス等の接触感染防止が確実に実現される。
【0026】
また、前記飲料の提供後においても、飲料の提供者は、使い捨てとした前記コップ(内容器)の摘みだけを手で摘まんでそのまま廃棄すれば良いため、飲料提供者が使用済みのコップ(内容器)を手洗いすることもないため、更なる接触感染防止が図られ得る。
【0027】
特に、外容器(ホルダ)に前記把持用摘みが進入するスリットや切欠が形成されている構成のものは、前記摘み挿通用のスリット等に前記内容器の把持用摘みを入れるだけで、内容器が外容器内に落とし込まれると共に、該内容器外周の係止用突起が外容器の上縁に係止されて、内容器が外容器内に衛生的且つ安定的に保持され得るという格別の実用的利点を有する。
【0028】
更に、使い捨ての内容器(コップ)の使用後においては、飲料提供者等は、従来のように、内容器(コップ)上縁の飲み口部分を手で持つことなく、内容器(コップ)外周の前記把持用摘みを指で摘まんで、該内容器を外容器(ホルダ)から持ち上げるだけで使用済の内容器を衛生的に外容器から外してそのまま廃棄できるという利点を有する。このような利点は、当該多機能衛生容器を、ゴミや汚物を入れるゴミ箱、或いはタバコの灰を入れる灰皿として使用する場合も同様に得られ、使用者の手が汚れることがなく、また蓋付のものについては、特に大きな利点となり、廃棄の際に、粉塵等が飛散することが防止され得る。
【0029】
また、本発明の多機能衛生容器について、把持用摘みが内容器(コップ)の高さ中央部分に形成されているものは、特に重心面で、内容器(コップ)内に飲料等の液体が入った状態での持ち運びをより安定的に行うことができる。
【0030】
この他、本発明の多機能衛生容器について、内容器が、その上部から下部に向かって外形が縮小した形状となされて、該内容器の外周と前記外容器内周との間に側部断熱用空所が形成されているものは、内容器に飲料用の氷を入れた場合における外容器の結露が抑制され得る。また、このような実用的利点は、内容器外底面と外容器の内底面との間に底部断熱用空所が形成されている本発明の多機能衛生容器についても同様である。また、把持用摘みが折り畳み自在となされている本発明の衛生飲料容器によれば、把持用摘みを折り畳んで多数の内容器を積み重ねることができるという利点がある。
【0031】
更に本発明の多機能衛生容器について、外容器(ホルダ)に接触面積減少用の多数の開口部が形成されているものは、該ホルダを持った人の手との接触面積が減少するため、1つの外容器を複数の人が持った場合でも更なる衛生度の向上が図られる。また、前記多数の開口部によって、外容器に模様が施された本発明の多機能衛生容器によれば、外容器(ホルダ)の美観が向上する。
【0032】
また、本発明の多機能衛生容器について、外容器および/または内容器に使用者名が表示されたものは、内容器や外容器の専用性が確保され、また使用者の愛着が得られると共に、使用者の特定も明確であるため、衛生管理面でも有利である。
【0033】
この他、本発明に係る多機能衛生容器は、全体サイズを大きくして、内容器をゴミ入れや汚物入れ、更には灰皿として衛生的に使用することもできるという実用的利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態であって、内容器とコップホルダとの分離状態を示す斜視図である。
図2】同実施形態であって、コップをコップホルダ内に入れた状態を示す斜視図である。
図3図2の状態における垂直断面図である。
図4図2の状態における水平断面図である。
図5】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
図6】本発明の多機能衛生容器におけるコップの他の実施形態を示す斜視図であって、(a)が左右の摘みを広げた状態、(b)が左側の摘みを折り畳んだ状態である。
図7】本発明の更に他の実施形態を示す垂直断面図である。
図8】本発明の別の実施形態を示す斜視図である。
図9】本発明の更に他の実施形態を示す斜視図である。
図10】本発明の別の実施形態を示す斜視図である。
図11】本発明の実施形態に係る多機能衛生容器における内容器の積み重ね状態を示す垂直断面図である。
図12】本発明に係る多機能衛生容器の更に他の実施形態を示す斜視図である。
図13図12の多機能衛生容器の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明の多機能衛生容器を飲料容器とした場合の実施形態について説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
【0036】
図1図4に示すように、前記の通り、本発明の多機能衛生容器は、飲料容器として使用するものであり、上部が開口した金属または合成樹脂製のコップホルダ(外容器)1と、該ホルダ1内に収容される使い捨ての紙または合成樹脂製のコップ(内容器)2とを有するものであって、コップ2外周における上縁2aの下側には該上縁2aから所定間隔をあけて前記コップホルダ1の上縁1aに係止される係止用突起3が周設され、該係止用突起3の下側には指先サイズの把持用摘み5が一つ形成され、前記コップホルダ1には、その上縁1aから垂直方向に前記把持用摘み5が挿通される摘み挿通用スリット6が形成されている。
【0037】
コップ2における前記係止用突起3は、本実施形態では、コップ2の上縁2aから上縁寄り部分を下側部分よりも厚肉にすることで段差状に形成されたものである。
【0038】
また、本実施形態では、前記把持用摘み5は、コップ2の高さ中央部分に形成されている。また、コップ2は、その上部2bから下部2cに向かって外形が縮小した形状となされて、該コップ2の外周と前記コップホルダ1内周との間に側部断熱用空所8Aが形成されており、更に本実施形態では、コップ1外底面2dとコップホルダ1の底部1bとの間に底部断熱用空所8Bが形成されている。
【0039】
この他、本実施形態では、前記コップホルダ1に接触面積減少用の多数の方形開口部7が形成され、且つ該方形開口部7は、整列状に形成されることで全体として網目様の模様が描成されている。
【0040】
更に、コップホルダ1の上部やコップ2にはコップホルダ1やコップ2の専用使用者を示す使用者名が表示される場合もある。
【0041】
次に、本実施形態に係る多機能衛生容器の使用方法について説明すると、飲料の提供者が、コップ2の把持用摘み5を指で摘まんで、該摘み5部分をコップホルダ1の摘み挿通用スリット6に差し込むようにして、コップ2をコップホルダ1内にセットする。この際、コップ2の上縁2aの飲み口部分に前記飲料提供者の指が触れることがないため、衛生的である。
【0042】
そして、例えば、前記コップ2内に飲料と共に氷を入れた場合でも、該コップ2とコップホルダ1との間に、側部断熱用空所8Aおよび底部断熱用空所8Bが形成されているため、コップホルダ1は結露せず、飲料を飲む人の手が結露で濡れることがない。
【0043】
当該多機能衛生容器の使用後においては、前記コップホルダ1内に入っているコップ2の把持用摘み5を飲料提供者が指で摘まんで、そのまま取り出して廃棄することができ、飲料提供者は、飲料を飲んだ人の口が触れたコップ2の上縁2aの飲み口部分に指で触れることがないため、衛生的でウィルスの感染予防面でも好適である。そして、この際、把持用摘み5は従来の大きいサイズの取手とは異なり、指先サイズの極小なものであるため、飲料提供者にとって、感染防止効果が非常に高い。
【0044】
図5に示すように、コップホルダ21に設けられた多数の方形開口部7は、図1および図2に示したコップホルダ1よりも更に上側部分に多く形成する場合もある。また逆に、開口部7のようなものを全く設けない場合もある。
【0045】
また、この他、図6(a)(b)に示すように、前記把持用摘み5は、コップ2の側周面の左右に二箇所設ける場合もあり、この場合、前記コップホルダ1においても前記把持用摘み5に対応して摘み挿通用スリット6を左右二箇所に形成することとなる。
【0046】
更に、図6(b)に示すように、コップ2の側周面に形成する把持用摘み5は横方向に折り畳み自在として複数のコップ2を積み重ね得るようにする場合もある。
【0047】
以上述べた実施形態1の多機能衛生容器は、外容器をコップホルダ1とし、内容器をコップ2とする飲料容器として説明してきたが、全体サイズを大きくしてコップ2をゴミ等の廃棄物を入れるゴミ容器としたり、タバコの灰を入れる灰皿として使用し、コップホルダ1を前記ゴミ容器を入れる外容器とすることもできる。
【0048】
なお、本実施形態1並びに後述する各実施形態において、コップ2等の内容器は、紙、合成樹脂、或いはアルミニウム等の金属製とすることができ、使い捨てとするのが通常であるが、それでない場合もある。
(実施形態2)
【0049】
図7に示すように、本実施形態に係る多機能衛生容器は、前記実施形態1におけるコップホルダ1の底部1bを無くして、コップホルダ1全体を円筒状とし、またコップ2の上縁2aに蓋10を装着したものである。
【0050】
その他の構成は、前記実施形態1と同様であるため、実施形態1のものと同様の符号を付すことによって説明を省略する。
【0051】
本実施形態2の多機能衛生容器は、飲料容器として使用する場合には、施蓋された内容器であるコップ2内の飲み物の保温性が確保され、また前述した通り、ゴミ容器として使用する場合には、施蓋された内容器に入れられたゴミや汚物、タバコの灰等が飛散することなく、また汚物等を見ることなく、施蓋されたまま内容器ごと捨てることができるという実用的利点を有する。
(実施形態3)
【0052】
図8に示すように、本実施形態3に係る多機能衛生容器は、外容器であるコップホルダ31と、内容器であるコップ32で構成されるものであって、本実施形態3では、把持用摘み35が、前記実施形態1および実施形態2のように縦方向に形成されたものではなく、横方向に形成され、またこれに対応して前記スリット6よりも横幅の広い上部が開口した切欠36がコップホルダ31に形成されている。
(実施形態4)
【0053】
図9に示すように、本実施形態4に係る多機能衛生容器は、外容器であるコップホルダ41と、内容器であるコップ42で構成されるものであって、本実施形態4では、把持用摘み45が、前記実施形態1および実施形態2のように縦方向に形成されたものではなく、横方向に形成され、また本実施形態4では、前記横方向の把持用摘み45は、コップ42側周面における前記コップホルダ41の上縁41aよりも上方に突設されているため、コップホルダ41には前記実施形態1および実施形態2のような摘み挿通用スリット6や前記実施形態3のような広幅の摘み挿通用切欠36は全く形成されていない。
【0054】
その他の構成は、前記実施形態と同様であるため、実施形態1のものと同様の符号を付すことによって説明を省略する。
(実施形態5)
【0055】
図10示すように、本実施形態5に係る多機能衛生容器は、前記実施形態1と同様のコップホルダ1と、本実施形態5に係るコップ52を有するものであって、コップ52は、その側周面にリング状またはC形の帯状体50が嵌め被せられ、該帯状体50に前記実施形態1と同様の縦方向の把持用摘み55が形成されたものである。
【0056】
その他の構成は、前記実施形態と同様であるため、実施形態1のものと同様の符号を付すことによって説明を省略する。
(実施形態6)
【0057】
図11に示すように、本実施形態6では、コップ62の側周面62aに左右一対の横方向に伸びる前記実施形態3や実施形態4のような把持用摘み65を設け、且つ該把持用摘み65が上方に折り畳み自在なものとして、コップ62を積み重ね得るようにしたものである。
(実施形態7)
【0058】
図12図13に示すように、前記実施形態1の多機能衛生容器について、蓋22aを有し、開口部7を省略する場合もある。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る多機能衛生容器によれば、飲料等を提供する際に、提供者は、コップ上縁の飲み口部分に触れることなく、該コップをホルダにセットして飲料等を提供することができ、そして、飲料の提供の受ける者だけがコップの上縁の飲み口部分に触れることとなるため、飲料等を提供する者と提供を受ける者との間での衛生管理が行え、飲食業や医療検査業界等において幅広い利用が期待できる。
【0060】
また、本発明に係る多機能衛生容器は、前述した通り、全体サイズを大きくして、内容器をゴミ入れや汚物入れ、更には灰皿として衛生的に使用することもできるという実用的利点を有する。
【符号の説明】
【0061】
1 コップホルダ
2 コップ
2a コップ上縁
3 係止用突起
5 把持用摘み
6 摘み挿通用スリット
7 開口部
【要約】
【課題】 コップの上縁の飲み口部分における衛生上の問題を解消することができるようにする。
【解決手段】上部が開口したコップホルダ1と、コップホルダ1内に収容される使い捨てのコップ2とを有するものであって、コップ2外周における上縁2aの下側には該上縁2aから所定間隔をあけて前記コップホルダ1の上縁1aに係止される係止用突起3が周設され、該係止用突起3の下側には指先サイズの把持用摘み5が一つ形成され、前記コップホルダ1には、その上縁1aから垂直方向に前記把持用摘み5が挿通される摘み挿通用スリット6が形成されている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13