特許第6884380号(P6884380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6884380
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/20 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
   B65B11/20
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-105698(P2017-105698)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-199523(P2018-199523A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 耕作
(72)【発明者】
【氏名】香西 真介
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−312605(JP,A)
【文献】 特開2000−255508(JP,A)
【文献】 特開2016−137897(JP,A)
【文献】 特開2014−181061(JP,A)
【文献】 特開2014−213912(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0039552(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 11/20
B65B 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
張架したフィルムに下方から被包装物を突き上げて当該被包装物を前記フィルムにより包装する包装装置であって、
被包装物の搬送方向に直交する方向から底面にフィルムを折り込む第1のフィルム折込機構と、
前記被包装物の底面に前記被包装物の搬送方向上流側から下流側へフィルムを折り込む第2のフィルム折込機構と、
前記被包装物を搬送方向下流へ押し出す押出部と、
前記被包装物の底面に搬送方向下流側から当接してフィルムの折り込みを行う支持部材と、
前記第2のフィルム折込機構により前記被包装物の底面に搬送方向上流側からフィルムの折り込みを開始するときに、前記押出部が前記被包装物の搬送方向上流端に当接するように制御する制御部と、
を有することを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記張架されるフィルムを把持する上流側把持部及び下流側把持部を有し、
前記制御部は、前記押出部により、前記被包装物の搬送方向上流側の側面に前記フィルムを介して押圧支持した状態で、且つ、前記押出部、前記上流側把持部、及び前記第2のフィルム折込機構により前記フィルムに所定の張力を与えた状態で、前記押出部により前記被包装物を搬送方向下流側に押動する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記被包装物の底部の中央と搬送方向下流側の端部との間の範囲内に、前記支持部材が位置するまで、前記押出部により前記被包装物を押動して、前記支持部材により前記被包装物の底部へ搬送方向下流側からフィルムを折り込む、制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被包装物の底部の中央と搬送方向下流側の端部との間の範囲内に、前記支持部材が位置した状態で前記押出部を一時停止し、前記第2のフィルム折込機構により、前記被包装物の搬送方向上流側の端部から該被包装物の底部の中央に向けてフィルムを折り込みつつ、前記上流側把持部を非把持状態とする、制御を行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の包装装置。
【請求項5】
前記押出部の先端部は、水平面を基準として傾斜した傾斜面を有し、当該傾斜面の傾斜角度は、前記被包装物の搬送方向上流側の側面に当接する角度、又はそれより大きい角度であり且つ90°以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物をフィルムにより包装する包装装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。一般的な包装装置の包装動作を説明する。
ステップA.張架されたフィルムの下方から、被包装物をエレベータにより上昇させ、一対の左右折込板にてフィルムを被包装物の側面両側から底面側へ折り込む。
ステップB.前後折込部材により奥側(手前搬出型包装装置の場合)から被包装物の底面へフィルムを折り込む。
ステップC.排出プッシャーにより奥側から手前側(排出口)へ押し出す際に、被包装物の底面にフィルムを折り込む。
一般的な包装装置では、フィルムを引き伸ばして、被包装物の底面でフィルムを重ねることで包装を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−145061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した包装装置では、フィルムを引き伸ばして、被包装物の底面でフィルムを重ねることで包装を行っているが、例えば、奥行きの大きい大型の被包装物(大型トレイなど)を包装する場合、ストレッチした張力の反動でフィルムの戻り(ハジケ)やストレッチ量の限度により、被包装物の底面でのフィルムの重なりが十分に確保できず、被包装物の底面をきれいに覆うことができない虞がある。
【0005】
また、従来の包装装置では、細長形状の被包装物、例えば、大きい幅で短い奥行きで細長形状のトレイ等の被包装物をフィルムにて包装する場合、一対の左右折込板にて、細長形状の被包装物の左右両端部から底部へフィルムを折込み、一対の左右折込板にて、細長形状の被包装物の底部の左右両端部付近を支持した状態となり、フィルムの張力により、細長形状の被包装物の中央部に下方向へ力が加わり、被包装物が変形、破損する不具合が生じる虞れがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装装置は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
張架したフィルムに下方から被包装物を突き上げて当該被包装物を前記フィルムにより包装する包装装置であって、
被包装物の搬送方向に直交する方向から底面にフィルムを折り込む第1のフィルム折込機構と、
前記被包装物の底面に前記被包装物の搬送方向上流側から下流側へフィルムを折り込む第2のフィルム折込機構と、
前記被包装物を搬送方向下流へ押し出す押出部と、
前記被包装物の底面に搬送方向下流側から当接してフィルムの折り込みを行う支持部材と、
前記第2のフィルム折込機構により前記被包装物の底面に搬送方向上流側からフィルムの折り込みを開始するときに、前記押出部が前記被包装物の搬送方向上流端に当接するように制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大型の被包装物や細長形状などの被包装物であっても、被包装物の形状に応じてフィルムに張力を付与し、被包装物に剛性を付与することで、被包装物を破損することなく、きれいに包装することができる包装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る包装装置の一例を示す斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る包装装置の一例を示す概念図。
図3】本発明の実施形態に係る包装装置の電気的な機能ブロック図。
図4】本発明の実施形態に係る包装装置の左右折込部材(左右折込板)、前後折込部材、排出ローラーの一例を示す斜視図。
図5】本発明の実施形態に係る包装装置の左右折込部材、前後折込部材、排出ローラーの動作の一例を示す図。
図6】左右折込部材によりフィルムを折込む時の包装装置の動作の一例を説明するための図、(a)は上面図、(b)は側面図。
図7】排出プッシャーが被包装物にフィルムを介して当接した時の包装装置の動作の一例を説明するための図、(a)は上面図、(b)は側面図。
図8】排出プッシャーの押出しにより被包装物の底部の中央部と端部(搬送方向下流側の端部)との間に排出ローラーが位置する時の包装装置の動作の一例を説明するための図、(a)は上面図、(b)は側面図。
図9】排出プッシャーが被包装物を押動し排出ローラーで搬送方向上流側からフィルムを折込む時の包装装置の動作の一例を説明するための図、(a)は上面図、(b)は側面図。
図10】フィルムにより包装された被包装物を搬送方向下流側へ排出する時の包装装置の動作の一例を説明するための図、(a)は上面図、(b)は側面図。
図11】本発明の実施形態に係る包装装置の細長形状の被包装物を包装する動作の一例を説明するための図、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は搬送方向上流側から視認した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。尚、以後の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。
【0010】
本発明の実施形態に係る包装装置100を、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係る包装装置100の一例を示す斜視図である。図2は本発明の実施形態に係る包装装置100の一例を示す概念図概である。図3は本発明の実施形態に係る包装装置100の電気的なブロック図である。図4は本発明の実施形態に係る包装装置100の左右折込部材7(7a、7b)、前後折込部材6、排出ローラー9の一例を示す斜視図である。図5は本発明の実施形態に係る包装装置100の左右折込部材7(7a、7b)、前後折込部材6、排出ローラー9の動作の一例を示す図である。
【0011】
本発明の実施形態に係る包装装置100は、包装部16に張架したフィルム17aに対して、そのフィルム17aの下方から被包装物Wを昇降手段(エレベータ14)により突き上げて当該被包装物Wの上面をフィルム17aで覆い、左右折込部材7(7a、7b)で被包装物の左右両端から底部にフィルムを折り込み、前後折込部材6でフィルム17aを被包装物Wの底面側に折り込んで被包装物を包装する。前後折込部材6の先端部には回転ローラ6aが設けられていてもよい。
【0012】
詳細には、この包装装置100は、被包装物の搬送方向に直交する方向の両端から底面にフィルムを折り込む第1のフィルム折込機構(左右折込部材7(7a、7b))と、被包装物の底面に被包装物の搬送方向上流側から下流側へフィルムを折り込む第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)と、被包装物を搬送方向下流へ押し出す押出部(排出プッシャー8)と、被包装物の底面に搬送方向下流側から当接しフィルムの折込みを行う支持部材(排出ローラー9)と、第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)により被包装物の底面に搬送方向上流側からフィルムの折り込みを開始するときに、押出部(排出プッシャー8)が被包装物の搬送方向上流端に当接するように制御する制御部61とを有する。なお、被包装物の搬送方向とは、包装装置に備えられた押出部である排出プッシャー8により、被包装物を押し出す方向である。
つまり、本発明の一実施形態に係る包装装置100は、フィルム包装時、被包装物に対して、前後折込部材で、被包装物の底面の搬送方向上流側から底面の中央にフィルムを折り込む動作、排出プッシャーを押動する動作、それぞれの開始タイミングを同時又は略同時となるように制御することで、被包装物の(手前)のフィルムの折込タイミングが早まり、ストレッチ力が大きく、フィルムが伸びやすくなり、大型の被包装物を包装する場合であっても、被包装物の底面で確実にフィルムを重ねて包装することができる。
例えば、包装装置にフィルム幅350mmと300mmのフィルムを切り換て使用している場合、フィルム幅350mmのフィルムのままでは、奥行が80mmなどの短い被包装物ではフィルムの折込部の余りがでてしまったり、また、フィルム幅300mmのフィルムのまま奥行230mm程度の被包装物を包装すると、被包装物底面のフィルムの重なりが不足する。このような現場でも、本発明の実施形態に係る包装装置は、例えば、フィルム幅300mmの1種類のフィルムを用いて、上記どちらのサイズの被包装物に対してもきれいに包装を行うことができる。
【0013】
次に、本発明の一実施形態に係る包装装置100を詳細に説明する。
図1に示したように、包装装置100は、包装部を備えた本体部(筐体)に、表示操作部4(コンソール部)やラベル発行部40を有する。表示操作部4は、キーボードとタッチパネルからなる操作入力部38と、表示装置などで構成された表示部39等を有する。ラベル発行部40は、被包装物に応じた印字内容を印字したラベルを発行する。そのラベルはラベル貼付装置により、フィルム包装された被包装物に貼付される。
【0014】
また、包装装置100は、図2図5に示したように、ストレッチ包装部11と、ラベル発行部40(計量ラベルプリンタ)と、ラベル発行部40から発行されたラベルを受け取って包装済みの商品である物品にラベルを貼付するラベル貼付部41と、などを有する。ラベル発行部40はストレッチ包装部11におけるヒータ部10(ヒートシール部)の側方上部に配置され、ラベル貼付部41はラベル発行部40の近傍に配置されている。
【0015】
なお、ラベル貼付部41の構成は詳細に図示していないが、以下のような構成となっている。
ラベル貼付部41は、3つの駆動機構を備えており、第一の駆動機構は、水平モーターとその水平モーターを駆動させる駆動回路を備え、ラベル吸着部面を水平、即ち商品の搬送方向と直交する方向に移動させる水平モーター(第1の駆動機)を駆動する回路で、その水平モーターとしてはステッピングモーターが使用されている。従って、ステッピングモーター駆動パルス数をカウントすることでラベル吸着部の位置を検出することができる。このステッピングモーター、例えば、右回転の時はプラスカウント、左回転の時はマイナスカウントとなるように構成されている。また、ラベル貼付部41は、水平基準位置センサを備え、この水平基準位置センサは、ラベル吸着部が水平方向の基準位置に位置したことを検出するセンサであり、この基準位置からの前記駆動パルスのカウント値によってラベル吸着部の水平方向の位置決めが行われる。
【0016】
第二の駆動機構は、上下モーターと該上下モーターを駆動させる駆動回路及び上下基準位置センサとを備えたものであり、上下モーター(第2の駆動機構)がラベル吸着部を上下方向へ移動させるものである以外は前記した水平モーターと同様である。
【0017】
第三の駆動機構は、ラベル吸着部を回転させるための回転モーターと該回転モーターを駆動させる駆動回路及び回転基準位置センサを備えたものであり、回転モーター(第3の駆動機構)は、ラベル吸着部を商品搬送面と平行な面で回転させるモーターで、回転モーターの駆動パルスで位置決めされる距離ではなく、回転角度である点を除くと前記した水平モーターの場合と同じである。
【0018】
また、ラベル貼付部41は、ラベル貼付センサを更に備える。このラベル貼付センサはラベルが商品に貼付されたこと、つまりラベル吸着部の吸着面が物品(フィルム包装された被包装物)に当接されたことを検出するセンサであり、ラベル吸着部に上側方向の力が一定以上加わったことにより、前記上側の平行アームが支持腕から離間したことを検出する。
【0019】
<ストレッチ包装部11>
ストレッチ包装部11は、機枠11aの前方に物品である被包装物Wを載置する商品載置部12が配置され、その商品載置部12に載せた被包装物をプッシャーコンベヤ13により機枠内部に設けたエレベータ14(昇降手段)まで搬送する。
尚、被包装物は容器であるトレイに収容された状態で搬送される場合を例示し、また、商品載置部12は計量部50の計量皿として構成されており、その商品載置部12の手前側近傍には被包装物の横幅を検出する幅検出センサ15aが設けられている。
更に、プッシャーコンベヤ13による商品搬送路上には、そのプッシャーコンベヤ13の側方に位置させて被包装物の高さを検出する高さ検出センサ15bが設けられており、そのセンサ15bは、高さを検出すると共に被包装物の奥行き寸法(搬送方向に沿った長さ寸法)を計測する長さ検出センサを兼ねている。
【0020】
商品載置部12に載置された被包装物の横幅を検出する幅検出センサ15aは、可動式の右側および左側の反射型光センサを有する。
被包装物の右側長さを検出する右側の反射型光センサ、および被包装物の左側長さを検出する左側の反射型光センサはそれぞれ、被包装物が載置された略中央位置から横幅方向に離間するように移動して(商品の右側長さ+商品の左側長さ)を検出する。この被包装物の横幅は包装機の制御に使用される。幅検出センサ15aは、長さデータを制御部に送信する。
【0021】
また、被包装物の高さを検出する検出センサ15bは投光器と受光器を有し、投光器と受光器が商品搬送路の途中に搬送路を挟んで高さ方向に所定の間隔をおいて多数個配置され、搬送路上を搬送される商品の高さに応じて投光器の光が遮られることで商品の高さHを検出する。そして、その高さデータは包装機の制御に用いられると共に制御部に送信される。
【0022】
また、被包装物の奥行き寸法を検出するセンサは、所定の基準点に対するセンサの位置P0と、商品載置部12に載置された被包装物がプッシャーコンベヤ13のプッシャーに押されて機枠内部に設けたエレベータ14に被包装物を搬送する際、搬送路上を搬送される被包装物によってセンサの投光器の光が遮られたときのプッシャーの位置Pとの差分(P0−P)として被包装物の奥行き寸法が検出される。
このように、被包装物(トレイ)のサイズ(横幅・高さ・奥行き)は、ストレッチ包装部11の機枠内部に設けたエレベータ14に搬送される途中で検出される。
【0023】
上記エレベータ14の上方には包装部16が設けられ、その包装部16の側方(プッシャーコンベヤと直角に交差した方向)にフィルムロール17をセットし、該フィルムロール17から繰り出されるフィルム17aをフィルムフィード機構5により引き出し、所定長さにカットした後に包装部16まで移送する。
【0024】
上記包装部16には、フィルムフィード機構5の上方に、被包装物の上面を覆うフィルム17aの端部を被包装物の底部側に折り込む前後折込部材6と左右折込部材7(7a、7b)、その左右折込部材7の上方に位置して包装済みの被包装物を排出する排出プッシャー8(プッシャー)、及び排出プッシャー8の移動方向前方位置に排出ローラー9(支持部材)が配設されている(図4図5参照)。本実施形態では、左右折込部材7a、7bはそれぞれ上下二枚の板7f、板7gで構成され、その上下板7f、板7g間に前後折込部材6、排出ローラー9が摺動可能に配置されている。
【0025】
上記フィルムフィード機構5は、フィルムの幅方向の側端部を挟持する上下一対の無端状の弾性ベルト5a,5bと、下側の弾性ベルト5bを上側の弾性ベルト5a側へ圧接するクランプ板5cとで構成され、それらが包装部16を挟んで前後に配置されている。つまり、フィルムフィード機構5は、それぞれ弾性ベルト5aとクランプ板5cとで構成される、下流側把持部51と上流側把持部52とを有する。
【0026】
また、排出ローラー9の前方には、被包装物の底面側に折り込まれたフィルムの端部の重なり部を加熱して接着し排出するヒータ(ヒートシール部)10とその前部に排出部が配設され、機枠11a上には表示操作部4(コンソール部)が、更にヒータ(ヒートシール部)10の側方上部にラベル発行部40(計量ラベルプリンタ)が、ヒータ(ヒートシール部)10の上方にはラベル貼付部41が設置されている。
【0027】
ヒータ部10(ヒートシール部)は、複数のプーリに亘ってガラス繊維等からなる無端状ベルトが回転可能に巻回され、その無端状ベルトの搬送面(往路側ベルト)の下部に熱板が配置されて構成されている。熱板は電気的に加熱されヒータ(ヒートシール部)の熱源となる。また、熱板は温度検出手段として制御手段を構成するサーモスタット(図示省略)に電気的に接続され、一定温度を保つように制御されている。サーモスタットが所定値以上の温度になると熱板への通電が遮断され、所定値以下の温度になると熱板に通電される。無端状ベルトはベルト全体が包装されて排出された商品の底面に折込まれたフィルムをヒートシール可能な温度に加熱維持されている。
【0028】
排出プッシャー8の底部に断熱部は必須ではないが、発泡合成樹脂、例えばポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォーム等の断熱材で構成された断熱部が、排出プッシャー8の底部一面に設けるようにしてもよい。そして、排出プッシャー8の底部に設けられた断熱部の底面はヒータ(ヒートシール部)10の上面(無端状ベルトの表面)に対して擦らないよう僅かな隙間が設けられている。
【0029】
また、排出プッシャー8を移動させる駆動機構(図示省略)には、その排出プッシャー8が待機位置に位置することを検知する第1プッシャー位置検出センサと、排出プッシャー8が包装済みの被包装物を排出部上のラベル貼付領域へ排出させた位置(即ち、ヒータ(ヒートシール部)10上に位置する)に移動したことを検知する第2プッシャー位置検出センサが設けられ、排出プッシャー8を第2プッシャー位置検出センサで検知すると排出プッシャー8を初期位置(待機位置)に戻す制御を行う。これにより、被包装物をラベル貼付領域Lpへ排出させる移動制御が行なわれる。
つまり、排出プッシャー8を第1プッシャー位置検出センサで待機位置に位置していることを検知した後、第2プッシャー位置検出センサにより前記排出プッシャー8を検出することにより、被包装物がラベル貼付領域Lpに位置していると判断することができる。ラベル貼付領域Lpに包装された被包装物が位置することは、排出プッシャー8が被包装物を排出部へ排出するという包装動作の完了を示している。例えば、第1及び第2プッシャー位置検出センサは透過型フォトセンサが使用され、該位置にて排出プッシャー8に付いているフラグがセンサを遮ることで該位置に排出プッシャー8が位置していることを検知する。なお、第1及び第2プッシャー位置検出センサとしては、例えば反射型フォトセンサを使用してもよい。
【0030】
図3に示したように、本発明の実施形態に係る包装装置100は、ラベル発行貼付部40Eと包装機構制御部102Eとを備えている。ラベル発行貼付部40Eは、主としてラベル発行部40とラベル貼付部41などの制御を行なうもので、CPU31によって制御される。包装機構制御部102Eは、主としてストレッチ包装機の機構部の制御を行うもので、制御部61(CPU)によって制御される。また、本実施形態では、制御部61(CPU)とCPU31が、包装機構制御部102Eとラベル発行貼付部40Eの各構成要素を統括的に制御する。
【0031】
<包装機構制御部102E>
次に、包装機構制御部102Eについて説明する。
包装機構制御部102Eは、制御部61(CPU)、通信用インタフェース回路(INF)65、記憶部60(ROM62、RAM63)、操作部64、及び機構駆動部66を有する。各構成要素はバス61a(データ通信線など)を介して接続されている。
【0032】
通信用インタフェース回路(INF)65は、ラベル発行貼付部40Eと各種データ、指令の通信を行なうための回路である。
【0033】
ROM62は、制御部61が実行する制御プログラムを記憶している。
RAM63は、制御部61がROM62の制御プログラムを実行する場合に用いる各種レジスタ及びフラグのエリアの他に、商品の形状データ(横幅、高さ、奥行き)に基づいて制御データを決定するための各種テーブル等が記憶されている。
操作部64は、装置の起動、停止等のためのスイッチである。
【0034】
機構駆動部66は、包装を実行する場合に包装機の各機構部を駆動するための回路で、具体的にはエレベータを駆動するエレベーターモーター67、被包装物を搬入するプッシャーコンベヤの搬入モーター68、フィルムフィード機構のフィルム移送モーター69、左右折込部材7を駆動する左右折込モーター70、前後折込部材6を駆動する前後折込モーター71、排出プッシャー8を駆動する排出プッシャーモーター73、等がある。尚、包装機の詳細については説明を省略する。
また、機構駆動部66には、被包装物の横幅を検出する商品の幅検出センサ15aと、被包装物の高さを検出する高さ検出センサ15b、商品の長さを検出する長さ検出センサが接続されており、検出データを制御部61へ供給するようになっている。
【0035】
ラベル発行貼付部40Eから包装機構制御部102Eへ、商品載置部上に載置された被包装物の計量が安定したことを報知する信号が送信される。また、包装機構制御部102Eからラベル発行貼付部40Eへ、ラベル貼付位置決定のためのデータとして、幅検出センサ15aで検出された一方の長さデータ(商品の中央から幅方向端部までの長さデータ)と、検出センサ15bにより検出された高さデータが送信される。高さ検出センサ15bは、長さ(奥行き)センサを兼ねており、制御部61は、搬送される被包装物の速度と、センサ15bを通過する時間に基づいて、被包装物の搬送方向の長さ(奥行き)を算出して得ることができる。
【0036】
<ラベル発行貼付部40E>
ラベル発行貼付部40Eは、CPU31、ROM33、RAM34、表示操作部(コンソール部)4、通信用のインタフェース回路(INF)46、ラベル発行部40、ラベル貼付部41、貼付駆動部42、搬送駆動部43、商品検出センサ59、計量部50、などを有する。各構成要素は、バス31d(データ通信線)などを介して接続されている。
【0037】
ラベル発行部40は、サーマルヘッド(印字手段)25b、プラテンローラを駆動するステッピングモーター24、サーマルヘッド25bで印字したラベル用紙を切断する切断手段26としてのカッターなどを有する。サーマルヘッド(印字部)25b、ステッピングモーター、切断手段26としてのカッターなどは、インタフェース37を介して、CPU31に接続されている。
【0038】
ROM33、RAM34などには、被包装物のサイズ、ラベルのサイズ、印字項目などが記憶される。詳細には、ROM33には、CPU31が実行する各種制御プログラムが記憶されている。RAM34は、CPU31がROM33の制御プログラムを実行する場合に用いる各種レジスタ、フラグ等のエリアと、商品毎に予め各種データが記憶されたプリセットデータエリアとを備えている。プリセットデータエリアには、被包装物(商品番号)に対応して、値段計算及びラベル印字用のデータである「品名」、「単価」、「バーコード」等の各種商品データが記憶された商品ファイル、ラベル印字のフォーマットが定義されたラベルフォーマットファイル、トレイファイル、などが記憶されている。
【0039】
表示操作部4(コンソール部)は、キーボードとタッチパネルからなる操作入力部38と、液晶表示器などで構成された表示部39と、を有する。表示操作部4(コンソール部)は、各種データ及び指令の入力、或いはCPU31の指令に基づいて入力データの表示、プリセットデータの表示、各種メッセージの表示を行う。
本発明における台紙レスラベルLの貼付に関する各種データの入力等は、この表示操作部4の操作部または操作入力部38を操作することで行うことができる。
計量部50は、商品載置部に載置された被包装物の計量信号をCPU31へ供給するものである。
【0040】
通信用のインタフェース回路46(INF)は、包装機構制御部102Eと各種データ、指令の通信を行う。
サーマルヘッド25b、ステッピングモーター、切断手段26としてのカッターは、ラベル発行部40の印字部を構成し、CPU31の指令に基づいて台紙レスラベルテープに品名、値段、単価、バーコード等の印字を行い、印字したラベルテープを切断手段26としてのカッターで枚葉状に切断して、台紙レスラベルLをラベル発行口に発行する。
商品検出センサ59は、排出路の側方で、ラベル吸着部が貼付のために垂直下降する位置の若干手前(包装部寄り)に配置され、該排出路に包装物の有無を検出して、ラベル貼付のための信号を発生する。商品検出センサ59は、包装物がラベル貼付場所、即ち排出路(ヒートシール部)へ位置した場合、その旨をCPU31へ出力する。
【0041】
搬送駆動部43は、搬送コンベア(搬送手段1)を駆動する搬送モーターなどを有し、CPU31の制御により搬送モーターを駆動または駆動停止を行う。
【0042】
CPU31は、各構成要素を統括的に制御する。CPU31は、ROM33、RAM34などから読み出した制御プログラム(PRG)などを実行することにより、コンピュータとしての包装装置100に各機能を実現させる。
【0043】
<包装装置100の動作>
図6は本発明の実施形態に係る包装装置100の動作の一例を示す図である。
【0044】
被包装物Wを商品載置部12に載置する。詳細には、オペレータ(作業者)は、包装装置100の前部に位置する商品載置部12に被包装物Wを載置する。被包装物としては、例えば、トレイ上に商品などの物品が載置された物や、物品そのもの等である。
【0045】
包装装置の検知部は、被包装物の載置位置を検知する。
包装装置の制御部は、検知部からの検知信号に基づいて、センタリングの必要のない規定範囲内に、被包装物が載置されていると判別した場合、被包装物を搬送部によりそのままの状態で搬送する処理を行う。
また、制御部は、検知部からの検知信号に基づいて、被包装物が上記規定範囲を超えた位置、詳細には、規定範囲から左側または右側にずれた位置に載置されたと判別した場合、その旨を報知する処理を行う。
詳細には、報知処理としては、スピーカなどの発音装置から報知音を出力する処理、例えば、「トレイが少しずれました」などのメッセージや画像などを包装装置の表示部により表示する処理などを挙げることができる。
【0046】
また、制御部は、上記載置部に載置された被包装物の載置位置の、上記規定範囲からのずれ量に応じた報知レベルの報知を行ってもよい。次に、具体例を説明する。
【0047】
(A−1)包装に影響がない載置位置の場合、詳細には、上記規定範囲内に、被包装物の載置位置が検出される場合、報知を行わない。
【0048】
(A−2)包装に少し影響がでる場合、詳細には、上記規定範囲からのずれ量が僅かな値の場合、フィルムの使用量が通常よりも増える、センタリング処理、例えば、スピーカなどの発音装置から報知音として第1のブザー音を出力する。
【0049】
(A−3)包装に影響がある場合、詳細には、フィルム使用量が増加、センタリング動作あり、などの処理を行う場合、第2のブザー音を出力する。
【0050】
(A−4)包装不能の場合、詳細には、制御部は、検知部からの検知信号に基づいて、載置された被包装物の位置が、包装装置の載置部の規定範囲から、著しくずれていると判別した場合、包装装置の制御部は、警告音として第3のブザー音の発音処理、包装不能を示す画面を表示部に表示する処理、載置しなおしを促す画面を表示部に表示する処理、搬入部による搬入動作を停止する処理、(搬送コンベア)を停止する処理、などのいずれか1つ以上の処理を行う。
作業者に対しても、トレイを包装可能位置に確実に載置させることができる。
【0051】
また、包装装置では、作業開始時、入力部から包装装置の作業者の識別情報(ID)が入力され、記憶部に記憶される。
また、包装装置では、被包装物の載置時にエラーが生じた場合、制御部は、その載置に関するエラーを示すエラーコードと、作業者の識別情報(ID)と、時刻情報となどを関連付けて記憶部に記憶する。なお、包装装置に通信可能に接続された管理用コンピュータなどの記憶部に、上記情報を記憶してもよい。
すなわち、包装装置や管理用コンピュータは、そのエラーコードと作業者の識別情報(ID)に基づいて、そのエラーに関する分析処理、管理処理などを簡単に行うことができる。
【0052】
また、フィルムの使用量、駆動部の動作回数の削減による消耗品、部品交換費等のランニングコストの削減を実現することができる。
【0053】
計量部50は、商品載置部12の計量皿に載置された被包装物の重量を計量し、制御部61は、計量部50で計量された被包装物Wの重量を示すデータを取得する。
【0054】
制御部61は、包装装置100内に被包装物Wを搬送する処理を行う(インフィードスタート)。詳細には、制御部61は、搬入モーター68を駆動することにより、プッシャーコンベヤ13を回転駆動させ、被包装物Wをプッシャーコンベヤ13によってエレベータ14まで搬送する制御を行う。
尚、プッシャーコンベヤ13による被包装物Wの搬送途中において、被包装物Wの高さ、奥行きの各寸法は検出センサ15a、15bにより測定される。なお、商品載置部12に被包装物が載置された場合、幅検出部により被包装物の幅が検出され、幅検出部から検出信号が制御部61に出力される。被包装物の奥行き寸法、高さ寸法、幅寸法に基づいて、包装装置の本体部にセットされているフィルムサイズに応じた、フィルムのストレッチ量を決定する処理を行う。
【0055】
制御部61は、フィルムフィード制御を行う。詳細には、制御部61は、フィルム移送モーター69等のフィルムフィード機構5によって、フィルムロール17からフィルム17aを引き出し、被包装物Wの計測したサイズ(寸法)に基づいてフィルム17aを所定の長さにカッターにより切断し、そのフィルム17aをセンタリングして、フィルム張架する制御を行う。詳細には、把持部(クランプ)に把持されたフィルムは、把持部(クランプ)同士が離れるように移動して、フィルムが張架される。
【0056】
制御部61は、エレベータ14を上昇させる制御を行う。詳細には、制御部61は、機構駆動部66を介してエレベーターモーター67を駆動して、エレベータ14を上昇させる制御を行う。エレベータ14の上昇によって、張架されたフィルム17aに下方から突き上げられ、被包装物の上面がフィルム17aで覆われる。
【0057】
具体的には、昇降手段(エレベータ14)上に被包装物Wが載置され、制御部61の制御により、機構駆動部66を介してエレベーターモーター67を駆動することにより、昇降手段(エレベータ14)上の被包装物Wをフィルムに向けて上昇させ、図6(b)に示したように、被包装物Wの上面がフィルム17aにより覆われる。
制御部61は、機構駆動部66を介してエレベーターモーター67を更に駆動することにより、昇降手段(エレベータ14)上の被包装物を更に上昇させ、被包装物(物品)の底面が前後折込部材6、排出ローラー9、および、左右折込部材7(7a、7b)よりも上方の位置に突き上げて静止させる。
昇降手段(エレベータ14)による被包装物の突き上げ完了時、前後折込部材6と排出ローラー9が、フィルム17aに当接する位置、又は、フィルムから僅かに離れた位置に配置されている。
こうすることで、被包装物を覆うフィルム17aの張力が、左右均等、前後均等となり、且つ、被包装物にフィルム17aにより過剰な力が加わることを防止することができる。詳細には、被包装物と排出ローラー9との間の水平距離は、上記フィルム17aにより過剰な力が被包装物に掛からないような距離に設定されている。
【0058】
図6に示したように、制御部61は、左右折込部材7(7a、7b)を閉じるように制御を行う。詳細には、制御部61は、左右折込部材7(7a、7b)を閉じるように、機構駆動部66を介して左右折込モーター70を駆動する。制御部61は、昇降手段(エレベータ14)の上昇で、被包装物の上面がフィルム17aで覆われた後、左右折込部材7a,7bが中央方向に摺動してフィルム17aの左右端部を被包装物の底部側に折り込む。
左右折込部材(7a、7b)の摺動により被包装物は左右折込部材(7a、7b)で支えられ、同時にエレベータ14は前後折込部材6に干渉しないように降下する。
尚、左右折込部材(7a、7b)の摺動による左右端部の折り込みは、被包装物W(平板状トレイ)のサイズ、フィルムフィード機構5によるフィルム17aの張りの調整等に基づいて決定される。
【0059】
次に、図7に示したように、制御部61は、前後折込部材6の前方へ移動制御を行うとともに、排出ローラー9による被包装物の移動制御を行う。
従来、前後折込み板が排出方向への移動が完了した時点で排出プッシャーの動作を開始し払出しをしていた。
本発明の実施形態では、前後折込部材6と排出プッシャー8が略同時に被包装物へ接触し押動することで、被包装物側面の剛性が増強され負荷に耐えれるようになる。さらに、被包装物の側面と排出プッシャー8が当接することにより、被包装物の搬送方向下流側の前後折板の折込によるフィルムへの影響範囲が、該当接部から把持部までの範囲になることで、前後折板が折り込む際にフィルム全体に力がかかり、被包装物が搬送方向へ押し出されてフィルム底面を十分に覆うことができないことも、前後折板上面と被包装物底面に挟まれたフィルムの挟持部が被挟持の状態になった時にだまになる原因のフィルムが引き戻る範囲も限定されるので、フィルムの弾けによる影響を最小限に抑えることができる。これによりフィルム幅に余裕がない場合でも、包装の仕上がりが向上し、トレイなどの被包装物も破損しない。
【0060】
詳細には、制御部61は、押出部(排出プッシャー8)により、被包装物の搬送方向上流側の側面にフィルム17aを介して押圧支持した状態で、押出部(排出プッシャー8)、上流側把持部52、及び第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)によりフィルムに所定の張力を与えた状態で、押出部(排出プッシャー8)により被包装物を搬送方向下流側に押動する制御を行う。
すなわち、押出部(排出プッシャー8)により、被包装物の搬送方向上流側の側面にフィルム17aを介して押圧支持するので、被包装物に剛性を付与することができる。また、この包装装置は、フィルムの張力による被包装物の変形や破損を防止することができる。
また、押出部(排出プッシャー8)により、被包装物の搬送方向上流側の側面にフィルム17aを介して押圧支持した状態で、押出部(排出プッシャー8)、上流側把持部、及び第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)によりフィルムに所定の張力(必要以上の張力と比較して小さい張力)を与えた状態で、押出部(排出プッシャー8)により被包装物を搬送方向下流側に押動するので、被包装物に必要以上の力が加わることがない。
また、被包装物の側面の剛性が増強され、負荷に耐えれるようになる。
また、フィルム幅に余裕がない場合であっても、包装の仕上がりが向上し、トレイなどの被包装物の変形や破損を防止することができる。
【0061】
図8に示したように、制御部61は、被包装物の底部の中央と搬送方向下流側の端部との間の範囲内に、支持部材が位置するまで、押出部(排出プッシャー8)により被包装物を押動して、支持部材(排出ローラー9)により被包装物の底部へ搬送方向下流側からフィルムを折り込む、制御を行う。
すなわち、支持部材(排出ローラー9)により、被包装物を基準として搬送方向下流側のフィルムに張力を付与するので、被包装物の底部に搬送方向下流側からフィルムをきれいに折り込むことができる。
【0062】
図9に示したように、制御部61は、被包装物の底部の中央と搬送方向下流側の端部との間の範囲内に、支持部材(排出ローラー9)が位置した状態で押出部(排出プッシャー8)を一時停止し、第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)により、被包装物の搬送方向上流側の端部から該被包装物の底部の中央に向けてフィルムを折り込みつつ、上流側把持部を非把持状態としてフィルムを離す、制御を行う。
すなわち、本実施形態では、第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)によりフィルムを被包装物の搬送方向上流から底部へ折り込むときの張力は比較的小さいので、上流側把持部を非把持状態としてフィルムを離した場合であっても、急激にフィルムが収縮することなく、被包装物の搬送方向上流から底部の中央まできれいにフィルムを折り込むことができる。また、被包装物を支持部材のどの位置まで押動するかは、被包装物の材質・剛性やフォルムの素材や伸縮率などにより調整可能である。
【0063】
図10に示したように、制御部61は、第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)により、被包装物の搬送方向上流側の端部から該被包装物の底部の中央に向けてフィルムを折り込んだ後、押出部(排出プッシャー8)により被包装物を搬送方向下流側へ押動して、被包装物の底部にて第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)により折り込まれたフィルムと重畳するように、支持部材(排出ローラー9)によりフィルムを折り込む制御を行う。
すなわち、支持部材(排出ローラー9)によりフィルムを折り込む場合、フィルムを伸張しながら(ストレッチしながら)、下流側把持部を非把持状態としてフィルムを離したときのフィルムの弾け(収縮)を弱めて、十分に折り込むことができ、きれいに包装を行うことができる。
【0064】
また、図11に示した例は、さんまトレイなどの、細長形状の被包装物、詳細には、大きい幅で短い奥行きで細長形状のトレイ等の被包装物を包装する場合である。図11に示した例では、左右折込部材の移動量が少ない。その影響で、エレベータが降下すると中央部の支えがなくなり中央下側への力がかかる。そこで、本発明の実施形態に係る包装装置の制御部は、排出プッシャー8が前後折込部材と同時に動作して、被包装物搬出方向上流側の側面に当接(接触)することで、被包装物の剛性を高め、被包装物の変形や破損を防止することができる。
【0065】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係る包装装置100は、張架したフィルム17aに下方から被包装物Wを突き上げて当該被包装物Wをそのフィルム17aにより包装する。この包装装置100は、被包装物Wの両端(搬送方向に直交する方向の両端)から底面にフィルム17aを折り込む第1のフィルム折込機構(左右折込部材7a、7b)と、被包装物Wの底面に被包装物Wの搬送方向上流側から下流側へフィルムを折り込む第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)と、被包装物Wを搬送方向下流へ押し出す押出部(排出プッシャー8)と、被包装物Wの底面に搬送方向下流側から当接しフィルムの折り込みを行う支持部材(排出ローラー9)と、制御部61と、を有する。この制御部61は、第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)により被包装物Wの底面に搬送方向上流側からフィルムの折り込みを開始するときに、押出部(排出プッシャー8)が被包装物Wの搬送方向上流端に当接するように制御する。また、制御部61は、第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)により被包装物Wの搬送方向下流底面にフィルムを折り込む又は被包装物搬送方向上流端に移動するタイミングと、押出部(排出プッシャー8)が被包装物Wの搬送方向上流端に当接するタイミングを略同時となるように制御する。つまり、制御部61は、前後折込部材6と排出プッシャー8が被包装物Wの搬送方向上流端の位置で揃うように制御する。なお、前後折込部材6や排出プッシャー8は、その位置で停止しても停止しなくてもよい。
本実施形態では、制御部61により、被包装物のサイズに応じて、第2のフィルム折込機構(前後折込部材6)により被包装物の搬送方向下流底面にフィルムを折り込む又は被包装物搬送方向上流端に移動するタイミングと、押出部(排出プッシャー8)が被包装物Wの搬送方向上流端に当接するタイミングを略同時となるように制御するので、被包装物に応じて、フィルムに張力を付与し、被包装物に剛性を付与することで、包装の仕上がりが良好となる包装装置を提供することができる。また、奥行きの大きい大型の被包装物(大型トレイなど)を包装する場合であっても、きれいに包装を行うことができる包装装置を提供することができる。
【0066】
また、本発明の実施形態に係る包装装置の押出部(排出プッシャー8)の先端部は、水平面を基準として傾斜した傾斜面を有し、当該傾斜面の傾斜角度θ(図7参照)は、前記被包装物の搬送方向上流側の側面に当接する角度、又はそれより大きい角度であり且つ90°以下であることが好ましい。すなわち、押出部(排出プッシャー8)の先端部により、被包装物の搬送方向上流側の側面を確実に押圧支持することができる。
【0067】
また、上述したように、本発明の実施形態に係る包装装置は、排出プッシャーと、前後折込部材が同時に移動を開始することで、被包装物の搬送方向上流側のフィルムのテンションが低減する。その後、前後折込部材が移動範囲の最後まで移動した後に、遅れて排出プッシャーが被包装物を押し出すことで、被包装物搬送方向下流が支持部材と接触するタイミングが早まるために、前後折込部材がフィルムを十分に、具体的には被包装物の中心部よりも搬出方向下流に確実に覆うことができ、その後の排出プッシャーによる押出で、支持部材を接点に被包装物の搬送方向下流のフィルムの折込みも十分に達成することができる。その結果、フィルムサイズに余裕がないフィルム幅のフィルムを用いた場合であっても、十分にストレッチを行う、且つ被包装物を確実に覆うことができる。
また、被包装物の寸法に応じて、クランプ(把持部)のストレッチ量を調整すれば、通常サイズの今まで包装可能であった被包装物の包装も特に問題なく実施できる。
【0068】
また、被包装物の奥行寸法が小さなもの、例えば、80mmの被包装物と、奥行が長いもの、例えば230mmの被包装物を取り扱う現場でも、フィルムサイズが今まで使用していた350mmではなく、300mmのフィルムを用いて切替なしで包装装置が包装を行うことができる。よって、フィルム使用量は削減され、さらに、在庫するフィルムは1種類でよいので、ランニングコストの改善に大きな効果をもたらす。また、包装の仕上がりが向上するのは言うまでもない。
【0069】
また、本発明の実施形態では、一般的なハードウェア構成を有する包装装置に、上述した本発明に係る包装装置の制御方法を適用することで、本発明の効果を容易に実現することができ、稼働中の包装装置の価値を高めるという点でも非常に価値がある。また、包装装置のハードウェア構成の入れ替えを行わずに、性能の改善を実現することができる。
【0070】
また、包装装置により、包装が完了した被包装物に対して、ラベルプリンタにより自動値付けを行ってもよい。
また、実施例は、前方排出タイプのストレッチ包装装置であったが、後方排出タイプのストレッチ包装装置でもよく、フィルムの搬送方向も特定しない。
【0071】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
6…前後折込部材(第2のフィルム折込機構)
7…左右折込部材(第1のフィルム折込機構)
7a、7b…左右折込部材(第1のフィルム折込機構)
8…排出プッシャー(押出部)
9…排出ローラー(支持部材)
17a…フィルム
51…下流側把持部
52…上流側把持部
61…制御部
62…ROM(記憶部)
63…RAM(記憶部)
100…包装装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11