(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の整髪剤組成物は、オキシエチレン基の平均付加モル数が20以上、50以下であり、かつ炭素数が16以上、22以下のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルと、重量平均分子量が30000以上、150000以下であり、かつ必須のモノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いて得られる皮膜形成ポリマーと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、水とを含む。
【0025】
本明細書においては、上記「オキシエチレン基の平均付加モル数が20以上、50以下であり、かつ炭素数が16以上、22以下のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル」を「成分(A)」と称する場合がある。
【0026】
本明細書においては、上記「重量平均分子量が30000以上、150000以下であり、かつ必須のモノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いて得られる皮膜形成ポリマー」を「成分(B)」と称する場合がある。
【0027】
本明細書においては、上記「ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油」を「成分(C)」と称する場合がある。
【0028】
本明細書においては、上記「水」を「成分(D)」と称する場合がある。
【0029】
本発明の整髪剤組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、及び成分(D)を含み、成分(A)の含有量が30.0質量%以上、45.0質量%以下であり、成分(B)の含有量が0.1質量%以上であり、成分(C)の含有量が0.1質量%以上、5.0質量%以下であり、成分(A)の含有量の成分(B)の含有量に対する質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)が、5.0以上である。
【0030】
本発明の整髪剤組成物では、上記の構成によって、高温下(例えば、50℃の温度下)での性状の安定性に優れ、なおかつ、整髪された毛髪の耐湿性も高めることができる。本発明の整髪剤組成物では、上記の構成によって、整髪後の毛髪に適度な硬さを付与することもできる。また、本発明の整髪剤組成物では、上記の構成によって、べたつきを少なくし、塗布性を高めることもできる。さらに、本発明の整髪剤組成物では、上記の構成によって、毛髪をまとめて毛束を形成し、毛束のまとまりを良好にすることができる。
【0031】
本発明の整髪剤組成物は、さらに、ポリオキシプロピレンソルビットを含むことが好ましい。
【0032】
本明細書においては、上記「ポリオキシプロピレンソルビット」を「成分(E)」と称する場合がある。
【0033】
上記のように、本発明の整髪剤組成物は、成分(A)と成分(B)と成分(C)と成分(D)とを少なくとも含む。本発明の整髪剤組成物は、さらに、成分(E)を含んでいてもよい。
【0034】
本発明の整髪剤組成物は、成分(A)〜(E)以外の他の成分を含んでいてもよい。
【0035】
上記の成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)や、他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
以下、本発明の整髪剤組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0037】
(成分(A))
成分(A)は、オキシエチレン基の平均付加モル数が20以上、50以下であり、かつ炭素数が16以上、22以下のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルである。成分(A)は、主として、グリース状の性状を形成する主成分である。成分(A)によってグリース状の性状とすることができるのは、成分(A)が水とヘキサゴナル液晶を形成し、流動性のない又は極めて低い強固なゲルを形成するためであると推察されるが、理由はこれに限定されない。成分(A)により、本発明の整髪剤組成物の性状が硬くなり、毛髪をまとめて毛束を形成しやすくなり、毛束のまとまりを良好にすることができる。また、成分(A)はべたつきが少ないため、整髪剤組成物のべたつきを抑える効果も有する。成分(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
成分(A)のオキシエチレン基の平均付加モル数は、20以上、50以下である。グリース状の整髪剤組成物の形成性を効果的に高め、かつ、高温安定性を高める観点から、成分(A)のオキシエチレン基の平均付加モル数は、好ましくは40以下である。
【0039】
成分(A)は、炭素数が16以上、22以下のアルキル基を有する。上記アルキル基としては、例えば、ステアリル基、セチル基、及びベヘニル基等が挙げられる。グリース状の整髪剤組成物の形成性を効果的に高める整髪力を効果的に高める観点から、上記アルキル基は、ステアリル基、セチル基、又はベヘニル基であることが好ましく、セチル基であることがより好ましい。
【0040】
グリース状の整髪剤組成物の形成性をより一層効果的に高める観点から、成分(A)は、オキシエチレン基の平均付加モル数が20以上、50以下であるポリオキシエチレンステアリルエーテル、オキシエチレン基の平均付加モル数が20以上、50以下であるポリオキシエチレンベヘニルエーテル、及びオキシエチレン基の平均付加モル数が30以上、50以下であるポリオキシエチレンセチルエーテルからなる群より選ばれるポリオキシエチレンアルキルエーテル(少なくとも1のポリオキシエチレンアルキルエーテル)を含むことが好ましい。
【0041】
本明細書においては、上記「オキシエチレン基の平均付加モル数が20以上、50以下であるポリオキシエチレンステアリルエーテル、オキシエチレン基の平均付加モル数が20以上、50以下であるポリオキシエチレンベヘニルエーテル、及びオキシエチレン基の平均付加モル数が30以上、50以下であるポリオキシエチレンセチルエーテルからなる群より選ばれるポリオキシエチレンアルキルエーテル」を「成分(A1)」と称する場合がある。すなわち、成分(A)は、成分(A1)を含むことが好ましい。本発明の整髪剤組成物は、成分(A1)を含むことが好ましい。
【0042】
成分(A1)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
成分(A1)の内、上記ポリオキシエチレンステアリルエーテルのオキシエチレン基の平均付加モル数は、好ましくは20以上、好ましくは50以下である。
【0044】
成分(A1)の内、上記ポリオキシエチレンベヘニルエーテルのオキシエチレン基の平均付加モル数は、好ましくは30以下である。
【0045】
成分(A1)の内、上記ポリオキシエチレンセチルエーテルのオキシエチレン基の平均付加モル数は、好ましくは45以下、より好ましくは40以下である。
【0046】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、30.0質量%以上、好ましくは35.0質量%以上であり、45.0質量%以下、好ましくは40.0質量%以下である。本発明では、成分(A)の含有量が上記下限以上であるので、整髪剤組成物を適度に硬くし、グリース状の性状とすることができ、毛束のまとまりを良好にすることできる。また、本発明では、成分(A)の含有量が上記下限以上であるので、高温下での性状の安定性を効果的に高めることができる。本発明では、成分(A)の含有量が上記上限以下であるので、整髪剤組成物中で成分(A)を均一に溶解することができる。整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量が30.0質量%未満であると、整髪剤組成物を高温下で保管したとき、整髪剤組成物の一部が液状化しやすくなる。成分(A)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(A)の含有量の合計である。
【0047】
成分(A)100質量%中、成分(A1)の含有量は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以上、最も好ましくは100質量%である。したがって、成分(A)の全体が、成分(A1)であることが、最も好ましい。上記成分(A1)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(A)の含有量の合計に対する、全ての成分(A1)の含有量の合計の割合である。
【0048】
(成分(B))
成分(B)は、重量平均分子量が30000以上、150000以下であり、かつ必須のモノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いて得られる皮膜形成ポリマーである。成分(B)は、整髪された毛髪の耐湿性を高める成分である。成分(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0049】
整髪された毛髪の耐湿性をより一層効果的に高める観点から、成分(B)は、アクリル酸アルキルコポリマーAMP、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド)コポリマー、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、及び(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマーからなる群より選ばれる皮膜形成ポリマー(少なくとも1の皮膜形成ポリマー)を含むことが好ましい。
【0050】
本明細書においては、上記「アクリル酸アルキルコポリマーAMP、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド)コポリマー、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、及び(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマーからなる群より選ばれる皮膜形成ポリマー」を「成分(B1)」と称する場合がある。すなわち、成分(B)は、成分(B1)を含むことが好ましい。本発明の整髪剤組成物は、成分(B1)を含むことが好ましい。
【0051】
成分(B1)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0052】
成分(B)の重量平均分子量は、30000以上、好ましくは50000以上であり、150000以下、好ましくは100000以下である。本発明では、成分(B)の重量平均分子量が上記下限以上であるので、整髪された毛髪の耐湿性をより一層高めることができる。また、本発明では、成分(B)の重量平均分子量が上記上限以下であるので、性状の安定性(特に高温下での性状の安定性)を高めることができる。
【0053】
成分(B1)の重量平均分子量は、30000以上、好ましくは50000以上であり、150000以下、好ましくは100000以下である。本発明では、成分(B1)の重量平均分子量が上記下限以上であるので、整髪された毛髪の耐湿性をより一層高めることができる。また、本発明では、成分(B1)の重量平均分子量が上記上限以下であるので、性状の安定性(特に高温下での性状の安定性)を高めることができる。
【0054】
成分(B)の市販品としては、例えば、商品名「プラスサイズL−9540UW」((アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、互応化学社製)、及び商品名「プラスサイズL−6466」((アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、互応化学社製)等が挙げられる。
【0055】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(B)の含有量は、0.1質量%以上、好ましくは1.0質量%以上である。本発明では、成分(B)の含有量が上記下限以上であるので、整髪された毛髪の耐湿性を高めることができる。成分(B)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(B)の含有量の合計である。
【0056】
成分(B)100質量%中、成分(B1)の含有量は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以上、最も好ましくは100質量%である。したがって、成分(B)の全体が、成分(B1)であることが、最も好ましい。上記成分(B1)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(B)の含有量の合計に対する、全ての成分(B1)の含有量の合計の割合である。
【0057】
高温下での性状の安定性(高温安定性)を高める観点から、成分(A)の含有量の成分(B)の含有量に対する質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)は5.0以上である。上記質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)が5.0未満であると、高温安定性が低下する。これは、成分(B)により、成分(A)と水とで形成されたヘキサゴナル液晶構造が崩れるためであると推察される。本発明では、上記質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)が5.0以上であるので、グリース状の性状を維持しつつ、耐湿性を高めることができる。高温安定性をより一層高める観点からは、上記質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)は、好ましくは7.0以上である。
【0058】
(成分(C))
成分(C)は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。成分(A)により形成されたグリース状の整髪剤組成物において、成分(C)を用いることにより、毛髪同士をまとめ毛束を良好に形成することができ、毛束のまとまりを良好にすることができる。整髪剤組成物が成分(C)を含まない場合には、毛束を良好に形成できず、毛髪同士がばらけやすくなる。本発明の整髪剤組成物は、成分(C)を含むので、毛髪同士を効果的にまとめることができ、毛束のまとまりを良好にすることができる。成分(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
毛髪同士をより一層効果的にまとめ、毛束のまとまりを一層良好にする観点から、成分(C)のオキシエチレン基の平均付加モル数は、好ましくは30以上、より好ましくは40以上、好ましくは100以下、より好ましくは60以下である。
【0060】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量は、0.1質量%以上、好ましくは1.0質量%以上であり、5.0質量%以下、好ましくは3.0質量%以下である。本発明では、成分(C)の含有量が上記下限以上であるので、毛髪同士をより一層効果的にまとめ、毛束のまとまりを良好にすることができる。本発明では、成分(C)の含有量が上記上限以下であるので、べたつきを少なくし、高温下での性状の安定性をより一層効果的に高めることができる。整髪剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量が5.0質量%を超えると、整髪剤組成物を高温下で保管したとき、整髪剤組成物の一部が液状化しやすくなる。成分(C)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(C)の含有量の合計である。
【0061】
(成分(D))
成分(D)は、水である。水を用いることにより、水性のグリース状の整髪剤組成物を形成でき、べたつきを低減できる。また、水を用いることにより、グリース状の整髪剤組成物の調製が容易になる。
【0062】
成分(D)の含有量は、他の配合成分の含有量によって、適宜調整することができる。グリース状の整髪剤組成物の形成性を効果的に高める観点から、本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(D)の含有量は、好ましくは30.0質量%以上、より好ましくは40.0質量%以上、更に好ましくは50.0質量%以上、好ましくは69.0質量%以下、より好ましくは65.0質量%以下である。
【0063】
(成分(E))
成分(E)は、ポリオキシプロピレンソルビットである。成分(E)を用いることにより、毛髪同士をより一層効果的にまとめ、毛束のまとまりを良好にすることができる。
【0064】
成分(E)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0065】
成分(E)の数平均分子量は、特に限定されない。毛髪同士をより一層効果的にまとめ、毛束のまとまりを良好にする観点から、成分(E)の数平均分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは400以上、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下である。
【0066】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(E)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。成分(E)の含有量が上記下限以上であると、毛髪同士をより一層効果的にまとめ、毛束のまとまりを良好にすることができる。成分(E)の含有量が上記上限以下であると、べたつきを少なくし、高温下での性状の安定性をより一層効果的に高めることができる。成分(E)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(E)の含有量の合計である。
【0067】
(他の成分)
さらに、本発明の整髪剤組成物は、上述した成分(A)〜(E)以外の成分を含んでいてもよい。成分(A)〜(E)以外の成分としては、特に限定されないが、例えば、エタノール等の炭素数2〜5の低級アルコール;グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等の多価アルコール;ソルビトール、マルチトール及びトレハロース等の糖アルコール;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール等の炭素数12〜18の高級アルコール;パルミチン酸イソプロピル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸ポリグリセリル等のエステル油;流動パラフィン、ワセリン、スクワレン、スクワラン等の炭化水素油;オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油等の油脂;カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、ラノリン等のロウ;シリコーン油;ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤;金属イオン封鎖剤;酸化防止剤;植物抽出エキス;染料;顔料;pH調整剤;香料;防腐剤;溶剤等が挙げられる。成分(A)〜(E)以外の成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0068】
本発明の整髪剤組成物は、製剤安定性を高める観点から、エタノールを含まないか、又はエタノールを7.0質量%未満で含むことが好ましい。本発明の整髪剤組成物がエタノールを含む場合に、本発明の整髪剤組成物100質量%中、エタノールの含有量は、好ましくは5.0質量%未満、より好ましくは1.0質量%未満である。
が挙げられる。
【0069】
(整髪剤組成物の他の詳細)
本発明の整髪剤組成物の性状は、特に限定されないが、取扱い性を高める観点から、グリース状であることが好ましい。本発明の整髪剤組成物は、グリース状整髪剤組成物であることが好ましい。上記グリース状整髪剤組成物としては、例えば、ヘアグリース、ウォーターグリース、水性ポマード等と称される組成物などが挙げられる。
【0070】
本発明の整髪剤組成物の製造方法としては、特に限定されないが、公知の整髪剤組成物の製造方法を採用することができる。本発明の整髪剤組成物の製造方法としては、例えば、各成分をパドルミキサー等で撹拌して均一化する方法等が挙げられる。
【0071】
本発明の整髪剤組成物は、特に限定されないが、例えば、容器に充填された形態で用いることができる。本発明の整髪剤組成物がグリース状整髪剤組成物である場合には、上記容器は、ジャー容器であることが好ましい。
【0072】
取扱い性をより一層高める観点からは、本発明の整髪剤組成物の25℃での稠度は、好ましくは50gf以上、より好ましくは70gf以上であり、好ましくは800gf以下、より好ましくは600gf以下である。上記稠度は、10φ球型アダプターを備える稠度計を用いて、25℃、スピード60mm/分、ストローク20mmの条件で測定することができる。稠度計としては、サン科学社製「RHEO METER」等が挙げられる。
【実施例】
【0073】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0074】
(試験例)
本発明の整髪剤組成物では、成分(A)の含有量の成分(B)の含有量に対する質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)は5.0以上である。また、高温安定性をより一層高める観点からは、上記質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)は、好ましくは7.0以上である。
【0075】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、30.0質量%以上、45.0質量%以下である。整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量が30.0質量%未満であると、整髪剤組成物を高温下で保管したとき、整髪剤組成物の一部が液状化しやすくなる。
【0076】
上記質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)、及び成分(A)の含有量が高温安定性に与える影響を、以下の試験例により確認した。
【0077】
試験例では、下記の成分を用いた。
【0078】
(成分(A))
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.):オキシエチレン基の平均付加モル数40、アルキル基の炭素数16
【0079】
(成分(B))
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP:商品名「プラスサイズL−9540UW」、互応化学社製、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、重量平均分子量110000
【0080】
(成分(C))
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.):オキシエチレン基の平均付加モル数50
【0081】
(成分(D))
精製水
【0082】
(成分(E))
ポリオキシプロピレンソルビット:商品名「サンニックスSP−750」、三洋化成工業社製、数平均分子量750
【0083】
下記の表1、2に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、整髪剤組成物を調製した。表1、2中の配合量(整髪剤組成物100質量%中の配合量)は、純分の配合量(単位:質量%)で示した。
【0084】
(評価)
得られた整髪剤組成物について、高温安定性の評価を行った。評価結果は表1、2中に示した。
【0085】
(試験例:高温安定性)
得られた整髪剤組成物を、50℃の恒温槽中に12時間保管し、保管後の性状(組成物の硬さ、透明性、析出の有無)を観察し、下記の基準で高温安定性を評価した。
【0086】
<高温安定性の評価基準>
○(良好):透明で流動性のないグリース状の性状であった
×(不良):一部または全体に液状化(流動化)、白濁、又は析出が見られた
【0087】
組成及び結果を下記の表1、2に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
なお、試験例5、9では、保管した整髪剤組成物に極めて僅かな流動性(長時間で僅かに変形する程度)が見られた。
【0091】
試験例の評価結果より、(1)整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量が30.0質量%未満であると、高温安定性に劣る傾向があること、(2)上記質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)が5.0未満であると、高温安定性に劣る傾向があること、(3)上記質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)が5.0以上であると、高温安定性に優れること、(4)上記質量比(成分(A)の含有量/成分(B)の含有量)が7.0以上であると、高温安定性により一層優れることが確認された。
【0092】
(実施例及び比較例)
実施例及び比較例で用いた主な成分は下記の通りである。
【0093】
(成分(A))
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.):オキシエチレン基の平均付加モル数40、アルキル基の炭素数16
ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.):オキシエチレン基の平均付加モル数30、アルキル基の炭素数16
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.):オキシエチレン基の平均付加モル数20、アルキル基の炭素数18
【0094】
(成分(A)に相当しない成分)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(30E.O.):オキシエチレン基の平均付加モル数30、アルキル基の炭素数12
ポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.):オキシエチレン基の平均付加モル数10、アルキル基の炭素数16
【0095】
(成分(B))
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP(1):商品名「プラスサイズL−9540UW」、互応化学社製、重量平均分子量110000
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP(2):商品名「プラスサイズL−6466」、互応化学社製、重量平均分子量62000
【0096】
(成分(B)に相当しない成分)
(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー:商品名「プラスサイズL−2700」、互応化学社製、重量平均分子量15000
アクリル酸アルキルコポリマー:商品名「Luviflex soft」、BASF社製、重量平均分子量500000
ポリビニルピロリドン:商品名「PVP K−30」、アイエスピー社製
(ビニルピロリドン/VA)コポリマー:商品名「PVA−6450」、大阪有機化学工業社製
ポリクオタニウム−11:商品名「H.C.ポリマー1N(M)」、大阪有機化学工業社製
【0097】
(成分(C))
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.):オキシエチレン基の平均付加モル数50
【0098】
(成分(D))
精製水
【0099】
(成分(E))
ポリオキシプロピレンソルビット:商品名「サンニックスSP−750」、三洋化成工業社製、数平均分子量750
【0100】
(実施例1〜10及び比較例1〜13)
下記の表3〜5に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、整髪剤組成物を調製した。表中の配合量(整髪剤組成物100質量%中の配合量)は、純分の配合量(単位:質量%)で示した。
【0101】
実施例1〜10で得られた整髪剤組成物の性状はいずれも透明かつグリース状であった。
【0102】
(評価)
得られた整髪剤組成物について、以下の評価を行った。評価結果は表3〜5中に示した。
【0103】
(試験例1:高温安定性)
得られた整髪剤組成物を、50℃の恒温槽中に12時間保管し、保管後の性状(組成物の硬さ、透明性、析出の有無)を観察し、下記の基準で高温安定性を評価した。
【0104】
<高温安定性の評価基準>
○(良好):透明で流動性のないグリース状の性状であった
×(不良):一部または全体に液状化(流動化)、白濁、又は析出が見られた
【0105】
(試験例2:耐湿性)
得られた整髪剤組成物2gを手にとり、ショートヘアのウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の毛髪に均一に塗布し、毛髪全体を、後頭部方向にクシでなでつけて整髪を施した。
【0106】
整髪後のウィッグを高湿度条件(35℃、80%RH)に設定した恒温恒湿器に1時間静置(耐湿試験)した。静置前(耐湿試験前)および静置後(耐湿試験後)の毛髪を手で触り、毛髪の硬さを評価した。耐湿試験前後の毛髪の流れ(毛流れ)の方向を比較し、耐湿性を下記の基準で評価した。なお、比較例1〜4、6、8〜11の整髪剤組成物は、試験を行わなかった。
【0107】
<耐湿性の評価基準>
○○(かなり良好):耐湿試験前後で毛流れの方向がほとんど変わらない。
○(良好):耐湿試験前の毛流れの方向に比べて、耐湿試験後の毛流れの方向がやや下方に垂れている。
×(不良):耐湿試験前の毛流れの方向に比べて、耐湿試験後の毛流れの方向が明らかに下方を向いて垂れている。
【0108】
なお、耐湿性がかなり良好であった場合は、耐湿試験前後で毛髪の硬さがほとんど変わっていなかった。耐湿性が良好の場合は、耐湿試験後の毛髪が耐湿試験前の毛髪と比べてやや軟らかくなっていた。耐湿性が不良の場合は、耐湿試験後の毛髪が耐湿試験前の毛髪と比べて明らかに軟らかくなっていた。
【0109】
(試験例3:毛束のまとまり)
得られた整髪剤組成物2gを手にとり、ショートヘアのウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の毛髪に均一に塗布し、毛髪全体を、後頭部方向にクシでなでつけて整髪を施した。整髪後のウィッグの下部を床に10回打ち付けて、ウィッグに縦方向の振動を与えた後に、毛流れが維持されているか観察し、毛束のまとまりを下記の基準で評価した。なお、比較例1〜4、6、8〜11の整髪剤組成物は、試験を行わなかった。
【0110】
<毛束のまとまりの評価基準>
○○(かなり良好):毛束がまとまっており、ばらけた毛束が認められない。
○(良好):わずかにばらけた毛束が認められる。
×(不良):ほとんどすべての毛束がばらけており、毛束が崩れている。
【0111】
(試験例4:べたつきのなさ)
得られた整髪剤組成物2gを手にとり、ショートヘアのウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の毛髪に均一に塗布し、毛髪全体を、後頭部方向にクシでなでつけて整髪を施した。整髪後に毛髪を手で触り、べたつきのなさを下記の基準で評価した。なお、比較例1〜4、6、8〜11の整髪剤組成物は、試験を行わなかった。
【0112】
<べたつきのなさの評価基準>
○(良好):べたつきが少なく、気にならない程度である
×(不良):べたつきが強く感じられ、不快な使用感である
【0113】
組成及び結果を下記の表3〜5に示す。
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
【表5】
【0117】
以下、処方例を示す。
【0118】
(処方例1(水性ポマード))
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.):40.0質量%
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP:4.0質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.):2.5質量%
ポリオキシプロピレンソルビット(10P.O.):0.5質量%
ジグリセリン:2.0質量%
ジプロピレングリコール:1.0質量%
フェノキシエタノール:0.5質量%
メチルパラベン:0.3質量%
香料:0.5質量%
ヒアルロン酸Na:0.01質量%
加水分解ケラチン液:0.01質量%
水:残部
合計:100質量%