(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部品供給部から供給される部品を受け取って保持するノズルと、前記ノズルにより保持された前記部品を撮像する撮像部と、前記部品を保持した前記ノズルを前記部品供給部から移動させるノズル駆動部とを有し、前記撮像部により撮像された部品画像に基づいて前記ノズルの移動先を補正した後で補正された移動先に前記ノズルを前記ノズル駆動部により移動させて前記部品を搬送する部品搬送装置であって、
前記部品画像に基づいて前記部品の外形情報を取得する外形情報取得部と、
前記外形情報から前記部品の検査領域を特定する検査領域特定部と、
前記検査領域で前記部品の異常が発生しているか否かを検査する部品検査部とを備え、
前記移動先の補正と前記補正された移動先への前記ノズルの移動とのうちの少なくとも一方と並行して前記部品の検査を行い、
前記検査領域特定部は、前記外形情報から前記部品の一部を前記検査領域として特定する
ことを特徴とする部品搬送装置。
部品供給部から供給される部品を受け取って保持するノズルと、前記ノズルにより保持された前記部品を撮像する撮像部と、前記部品を保持した前記ノズルを前記部品供給部から移動させるノズル駆動部とを有し、前記撮像部により撮像された部品画像に基づいて前記ノズルの移動先を補正した後で補正された移動先に前記ノズルを前記ノズル駆動部により移動させて前記部品を搬送する部品搬送装置であって、
前記部品画像に基づいて前記部品の外形情報を取得する外形情報取得部と、
前記外形情報から前記部品の検査領域を特定する検査領域特定部と、
前記検査領域で前記部品の異常が発生しているか否かを検査する部品検査部とを備え、
前記部品が平面視でN(ただし、Nは3以上の自然数)角形状を有しているとき、
前記外形情報取得部は、互いに異なる複数の外形情報を取得可能で、かつ、前記外形情報として、前記部品の平面視における外形中心座標と、前記部品に含まれる複数の角部うちの一の角部座標とを取得可能となっており、
前記移動先の補正と前記補正された移動先への前記ノズルの移動とのうちの少なくとも一方と並行して前記部品の検査を行い、
前記部品の検査領域が複数個存在するとき、
前記外形情報取得部は、前記検査領域毎に前記外形情報として前記外形中心座標および前記角部座標からいずれか一方を選択し、
前記検査領域特定部は前記外形情報取得部により選択された前記外形情報に基づいて前記検査領域を特定する
ことを特徴とする部品搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2では、部品画像に基づいて部品の良否を検査しているが、その具体的な手法は開示も示唆もされておらず、例えばウエハのうちダイシングされた部分、つまりダイシングラインが設定位置からずれると、以下のような問題が発生することがあった。例えば部品のうち検査すべき領域(以下「検査領域」という)は、ウエハのダイシングが所定位置で行われているという前提の下で、予め設定されている。しかしながら、通常、ウエハにダイシング処理を施して複数のダイに分割する場合、ダイを分離させる位置(上記の場合には、「ダイシングライン」がこれに相当)の変動は不可避である。このため、当該変動により検査領域が部品の外側にあると特定されてしまうと、誤った検出がなされる(後述の
図6中の「誤検出」欄を参照)。また、検査領域が部品の機能部位(配線、電極や回路などが設けられる部位)を有する機能領域内に特定されてしまうと、検査領域に対する検査自体が不能となることがある。
【0007】
また、このような問題は他の部品供給方式、例えばトレイやテープなどの部品収納体に予め収納されている部品(以下「収納部品」と称する)を実装用ヘッドに設けられたノズルにより搬送する装置においても生じる。いわゆる段取り作業を行っている間や部品収納体の輸送中など種々の場面で部品に割れ、欠けや傷などの異常が発生することがあるが、収納部品の検査領域を適切に特定することができず、検査を良好に行うことが困難となることがあった。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、移動先に部品を搬送するのと並行して部品の検査を正確に行うことができる部品搬送技術、ならびに当該部品搬送技術を組み込んだ部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1態様は、部品供給部から供給される部品を受け取って保持するノズルと、ノズルにより保持された部品を撮像する撮像部と、部品を保持したノズルを部品供給部から移動させるノズル駆動部とを有し、撮像部により撮像された部品画像に基づいてノズルの移動先を補正した後で補正された移動先にノズルをノズル駆動部により移動させて部品を搬送する部品搬送装置であって、部品画像に基づいて部品の外形情報を取得する外形情報取得部と、外形情報から部品の検査領域を特定する検査領域特定部と、検査領域で部品の異常が発生しているか否かを検査する部品検査部とを備え、移動先の補正と補正された移動先へのノズルの移動とのうちの少なくとも一方と並行して部品の検査を行い、検査領域特定部は、外形情報から部品の一部を検査領域として特定することを特徴としている。
この発明の第2態様は、部品供給部から供給される部品を受け取って保持するノズルと、ノズルにより保持された部品を撮像する撮像部と、部品を保持したノズルを部品供給部から移動させるノズル駆動部とを有し、撮像部により撮像された部品画像に基づいてノズルの移動先を補正した後で補正された移動先にノズルをノズル駆動部により移動させて部品を搬送する部品搬送装置であって、部品画像に基づいて部品の外形情報を取得する外形情報取得部と、外形情報から部品の検査領域を特定する検査領域特定部と、検査領域で部品の異常が発生しているか否かを検査する部品検査部とを備え、部品が平面視でN(ただし、Nは3以上の自然数)角形状を有しているとき、外形情報取得部は、互いに異なる複数の外形情報を取得可能で、かつ、外形情報として、部品の平面視における外形中心座標と、部品に含まれる複数の角部うちの一の角部座標とを取得可能となっており、移動先の補正と補正された移動先へのノズルの移動とのうちの少なくとも一方と並行して部品の検査を行
い、部品の検査領域が複数個存在するとき、外形情報取得部は、検査領域毎に外形情報として外形中心座標および角部座標からいずれか一方を選択し、検査領域特定部は外形情報取得部により選択された外形情報に基づいて検査領域を特定することを特徴としている。
【0010】
また、この発明の第
3様は、部品搬送方法であって、部品をノズルにより受け取って保持する部品保持工程と、ノズルにより保持された部品を撮像する撮像工程と、撮像工程の実行により取得された部品画像に基づいてノズルの移動先を補正する移動先補正工程と、部品を保持したノズルを補正された移動先に移動させるノズル移動工程と、部品画像に基づいて部品の外形情報を取得する外形情報取得工程と、外形情報から部品の検査領域を特定する検査領域特定工程と、移動先補正工程とノズル移動工程とのうちの少なくとも一方と並行して、検査領域で部品の異常が発生しているか否かを検査する検査工程と
、を備え、検査領域特定工程は、外形情報から部品一部を検査領域として特定する工程であることを特徴としている。
【0011】
さらに、この発明の第3態様は、部品実装装置であって、部品を供給する部品供給部と、上記部品搬送装置と、部品検査部により部品の異常が発生していないと判定されたときには移動先に移動してきたノズルにより部品を基板に搭載する一方、部品の異常が発生していると判定されたときには部品の基板への搭載を中止する制御部とを備えることを特徴としている。
【0012】
このように構成された発明では、撮像部により撮像された部品画像に基づいて補正された移動先にノズルが移動して部品を搬送する。また、上記移動先の補正および移動先へのノズルの移動のうち少なくとも一方と並行して上記部品画像に基づく部品の検査が行われる。したがって、部品を所望の移動先に正確に搬送するのと同時に、搬送中の部品の外形情報に基づいて検査領域が正確に特定され、当該検査領域での異常発生が良好に検査される。
【0013】
また、部品実装装置では、上記検査結果を受けて部品の異常が発生していると判定された部品については基板への搭載が中止される。したがって、不良部品の実装が回避されて基板の製造歩留りが改善される。
【0014】
ここで、部品としては、例えばダイシングにより複数のダイに分割されたウエハから部品供給部により供給されるダイや複数の収納部品を収納する部品収納体から部品供給部により供給される収納部品などが含まれる。
【0015】
また、外形情報取得部が互いに異なる複数の外形情報を取得可能となるように構成してもよく、これによって検査領域を正確に求めることができ、検査精度をさらに高めることができる。
【0016】
また、部品が平面視でN(ただし、Nは3以上の自然数)角形状を有しているとき、外形情報取得部が、外形情報として、部品の平面視における外形中心座標と、部品に含まれる複数の角部うちの一の角部座標とを取得可能となるように構成してもよい。このように複数の外形情報を用意することで種々の検査領域に対応することができ、後で説明するように部品を多面的に検査することができる。その結果、高精度な検査が可能となる。
【0017】
上記外形中心座標については例えばN角形状の部品の平面視におけるN個の辺部またはN個の角部から取得してもよく、外形中心座標を精度良く求めることができる。したがって、検査領域を正確に求めることができ、検査精度をさらに高めることができる。
【0018】
なお、部品の検査領域が複数個存在することがあるが、このような場合、外形情報取得部が検査領域毎に外形情報として外形中心座標および角部座標からいずれか一方を選択し、検査領域特定部が外形情報取得部により選択された外形情報に基づいて検査領域を特定するように構成してもよい。このような構成を採用することで多様な検査領域をそれぞれ高精度に特定することができ、検査精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
上記のように構成された発明によれば、ウエハをダイシングする位置が変動したとしても、移動先に部品を正確に搬送するのと同時に当該部品の検査を正確に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明に係る部品搬送装置の一実施形態を装備する部品実装装置を模式的に示す平面図である。また、
図2は
図1に示す部品実装装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本明細書では、搬送方向X、幅方向Yおよび鉛直方向Zで構成されるXYZ直交座標軸を適宜用いる。搬送方向Xおよび幅方向Yは水平方向に並行であるとともに互いに直交し、鉛直方向Zは搬送方向Xおよび幅方向Yに直交する。
【0022】
この部品実装装置10は、搬送方向Xの上流側から搬入された基板Bに対して部品を実装して搬送方向Xの下流側に搬出する。基板Bには複数の実装対象点(図示省略)が設けられており、部品実装装置10に具備された制御部100は、部品実装装置10の各部を制御することで、各実装対象点に部品Wpを1個ずつ実装する。また、各部品WpはウエハWをダイシングすることでウエハWにおいて格子状に形成されたダイであり、互いに同一の構成を有している。この部品Wpでは、一方主面にバンプなどの回路構成が形成されている。また、各部品Wpの平面視は矩形形状である(本発明のN=4)。
【0023】
この部品実装装置10は搬送方向Xに基板Bを搬送する搬送部2を備える。搬送部2は、搬送方向Xにこの順番で並ぶ、待機コンベア21、実装コンベア22、待機コンベア23、実装コンベア24および搬出コンベア25を有し、これらのコンベア21〜25が協働して搬送方向Xに基板Bを搬送することができる。待機コンベア21は待機位置P1に対して設けられ、部品実装装置10の外部から搬入した基板Bを待機位置P1に待機させ、あるいは実装コンベア22に受け渡す。実装コンベア22は待機位置P1の搬送方向Xの下流側に位置する実装位置P2に対して設けられ、待機コンベア21から受け取った基板Bを実装位置P2に固定し、あるいは待機コンベア23に受け渡す。待機コンベア23は実装位置P2の搬送方向Xの下流側に位置する待機位置P3に対して設けられ、実装コンベア22から受け取った基板Bを待機位置P3で待機させ、あるいは実装コンベア24に受け渡す。実装コンベア24は待機位置P3の搬送方向Xの下流側に位置する実装位置P4に対して設けられ、待機コンベア23から受け取った基板Bを実装位置P4に固定し、あるいは搬出コンベア25に受け渡す。搬出コンベア25は実装位置P4の搬送方向Xの下流側の位置に対して設けられ、実装コンベア24から受け取った基板Bを部品実装装置10の外部へ搬出する。このように、搬送部2では、M個の実装位置P2、P4が搬送方向Xに並んで設けられている。ここで、Mは2以上の整数で、
図1の例ではM=2である。
【0024】
また、部品実装装置10は部品Wpを供給する部品供給部3を備える。部品供給部3は、複数のウエハWを収納可能なウエハ収納部31と、ウエハ収納部31からウエハ供給位置PpまでウエハWを引き出すウエハ引出部33とを有する。ウエハ収納部31は、それぞれウエハWを保持する複数のウエハホルダーWhを鉛直方向Zに並べて収納するラックを鉛直方向Zに昇降させることで、ウエハ引出部33がウエハWを受取可能な高さにウエハホルダーWhを位置させて、このウエハホルダーWhをウエハ引出部33に押し出すことができる。
【0025】
ウエハ引出部33は、ウエハホルダーWhを支持するウエハ支持テーブル331と、ウエハ支持テーブル331を幅方向Yに移動可能に支持する固定レール332と、幅方向Yに設けられてウエハ支持テーブル331に取り付けられたボールネジ333と、ボールネジ333を駆動するY軸モータ334とを有する。したがって、Y軸モータ334によりボールネジ333を回転させることで、ウエハ支持テーブル331を固定レール332に沿って幅方向Yに移動させることができる。なお、
図1に示すように、ウエハ収納部31とウエハ供給位置Ppとは搬送部2を幅方向Yから挟むように配置されており、ウエハ支持テーブル331は搬送部2の下方を通過する。かかるウエハ支持テーブル331は、ウエハ収納部31に隣接する受取位置でウエハ収納部31からウエハホルダーWhを受け取って、受取位置よりウエハ収納部31から幅方向Yに離れたウエハ供給位置Ppへと移動することで、ウエハ供給位置PpにウエハWを引き出す。
【0026】
さらに、部品供給部3は、ウエハ供給位置Ppから部品Wpを取り出す部品取出部35を有する。部品取出部35は、ウエハ供給位置Ppから部品Wpを取り出す取出ヘッド36を有し、取出ヘッド36をXY方向に駆動可能である。つまり、部品取出部35は、取出ヘッド36を搬送方向Xに移動可能に支持する支持部材351と、搬送方向Xに設けられて取出ヘッド36に取り付けられたボールネジを駆動するX軸モータ352とを有し、X軸モータ352によりボールネジを駆動することで、取出ヘッド36を搬送方向Xに移動させることができる。また、部品取出部35は、支持部材351を幅方向Yに移動可能に支持する固定レール353と、幅方向Yに設けられて固定レール353に取り付けられたボールネジ354と、ボールネジ354を駆動するY軸モータ355とを有する。したがって、Y軸モータ355によりボールネジ354を駆動することで、支持部材351とともに取出ヘッド36を幅方向Yに移動させることができる。
【0027】
取出ヘッド36は、搬送方向Xに延設されたブラケット361と、ブラケット361に回転可能に支持された2個のノズル362とを有する。各ノズル362は、搬送方向Xに平行な回転軸を中心に回転することで、下方を向く吸着位置および上方を向く受渡位置(
図1の位置)のいずれかに位置する。また、ブラケット361は、各ノズル362を伴って昇降可能である。
【0028】
かかる部品供給部3は、吸着位置に位置させたノズル362を、ウエハ供給位置Pp上の部品Wpに上方から対向させると、ノズル362を下降させて部品Wpに接触させる。さらに、部品供給部3はノズル362に負圧を与えつつノズル362を上昇させることで、ウエハ供給位置Ppから部品Wpを吸着する。そして、部品供給部3は、ノズル362を受渡位置に位置させることで、部品Wpを供給する。
【0029】
部品実装装置10は、こうして部品供給部3によって供給された部品Wpを基板Bに実装する実装部4A、4Bを備える。特にM個の実装位置P2、P4に対して一対一の対応関係で、M個の実装部4A、4Bが設けられている(上述の通り、
図1の例ではM=2である)。つまり、実装部4Aは、実装位置P2に対応して設けられ、実装部4Bは、実装位置P4に対応して設けられている。実装部4A、4Bは、部品実装装置10の天井に幅方向Yに設けられた固定レールに沿って移動可能な支持部材41と、支持部材41によって搬送方向Xに移動可能に支持された実装ヘッド42と、実装ヘッド42をXY方向に移動させてヘッド駆動部(図示省略)とを有している。なお、実装ヘッド42は、下方を向く2個のノズル421を有しており、ヘッド駆動部による実装ヘッド42の移動によってノズル421をXY方向に移動可能となっている。
【0030】
部品Wpの吸着・認識・実装に際しては、実装部4A、4Bそれぞれは、取出ヘッド36の上方に移動して、受渡位置に位置するノズル362に保持される部品Wpに対してノズル421を上方から対向させると、ノズル421を下降させて部品Wpに接触させる。続いて、部品供給部3がノズル362の負圧を解除するとともに、実装部4A、4Bがノズル421に負圧を与えつつノズル421を上昇させる。こうして、ノズル421は部品供給部3から部品Wpを受け取って吸着保持する。そして、ヘッド駆動部による実装ヘッド42の移動により部品Wpを保持したノズル421が部品認識カメラ5の上方位置を経由して所望の移動先に移動することで当該部品Wpが実装位置P2、P4の基板Bの上方に位置決めされる。このように本実施形態では部品Wpがノズル421に保持された状態で実装ヘッド42により部品供給部3から移動先に搬送される。こうして移動先、つまり実装対象点の上方位置に搬送されてきた部品Wpがノズル421により基板Bに搭載され、部品実装が行われる。
【0031】
上記した部品認識カメラ5、5は所定位置に固定されており、ノズル421により吸着保持される部品Wpおよびノズル421を撮像し、その撮像した画像(以下「部品画像」という)の信号を画像処理部150に出力する。この部品画像は、ノズル421の移動中にノズル421による部品Wpの保持状態を認識して移動先を補正する際に用いられるだけでなく、後で詳述するように部品Wpを検査する際にも利用される。
【0032】
さらに、部品実装装置10には、オペレータとのインターフェースとして機能する表示ユニット7(
図2)が設けられている。表示ユニット7は、制御部100と接続され、部品実装装置10の動作状態を表示する機能のほか、タッチパネルで構成されてオペレータからの入力を受け付ける入力端末としての機能も有する。
【0033】
次に、制御部100の構成について
図2を参照しつつ説明する。制御部100は、装置本体の内部の適所に設けられ、論理演算を実行する周知のCPU(Central Processing Unit)、初期設定等を記憶しているROM(Read Only Memory)、装置動作中の様々なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されている。
【0034】
制御部100は、機能的には、演算処理部110、記憶部120、モータ制御部130、外部入出力部140および画像処理部150などを備えている。これらのうちモータ制御部130は、コンベア21〜25、ウエハ引出部33、取出ヘッド36やヘッド駆動部に装備されたモータの駆動を制御する。外部入出力部140は、部品実装装置10に装備されている各種センサー類からの信号を入力する一方、部品実装装置10に装備されている各種アクチュエータ等に対して信号を出力する。画像処理部150は、部品認識カメラ5から画像信号を取り込み、部品画像に対して種々の画像処理を施して部品認識や部品検査に好適な部品画像を生成する。
【0035】
記憶部120は、部品実装処理を行うためのプログラム、各実装ターンでの基板位置、実装される部品や実装位置などを示す実装データや部品画像を記憶する。
【0036】
上記演算処理部110は、CPU等のような演算機能を有するものであり、上記記憶部120に記憶されているプログラムおよび実装データに従ってモータ制御部130や画像処理部150を制御することで、ノズル421の部品供給部3への移動、部品供給部3から供給される部品Wpのノズル421による吸着保持、部品Wpを保持するノズル421の移動先への移動、当該移動中に部品認識カメラ5により撮像された部品画像に基づく部品認識、部品Wpを保持するノズル421の移動先への移動および基板Bへの部品Wpの搭載からなる一連の動作(以下「実装ターン」という)を繰り返して部品実装を行う。また、演算処理部110は、実装ターンの実行中に部品Wpの検査を並行して行う。この部品検査では、次に詳述するように、部品画像に基づいて部品Wpの外形情報が取得され(外形情報取得工程)、その外形情報から部品Wpの検査領域が特定され(検査領域特定工程)、その検査領域で部品Wpの異常が発生しているか否かが検査される(検査工程)。これらの工程は演算処理部110により行われ、演算処理部110は外形情報取得部111、検査領域特定部112および部品検査部113として機能する。
【0037】
次に、上記のように構成された部品実装装置10の動作について
図3ないし
図8を参照しつつ説明する。
図3は
図1の部品実装装置の動作を示すフローチャートである。また、
図4は実装ターンの主要工程を模式的に示す図である。部品実装装置10では、記憶部120に記憶されているプログラムにしたがって演算処理部110が装置各部を以下のように制御して実装部4A、4B毎に実装ターンを繰り返す。また、部品Wpをノズル421で保持しながら部品供給部3から移動先、つまり実装対象点の上方位置に搬送させる間に部品検査を行う。そこで、部品検査に関連する検査ステップを部品実装に関連する実装ステップと明確に区別するために検査ステップに対してドットを参考的に付すとともに、以下においては、まず検査ステップを除く実装部4Aによる実装ステップについて説明し、その後で検査ステップについて詳述する。なお、実装部4Bによる実装ステップおよび検査ステップについても基本的に同一であるため、ここでは説明を省略する。
【0038】
実装部4Aによる実装ターンを実行するための実装データが作成され(ステップS1)、それにしたがって以下の実装ターンが実行される。実装部4Aの実装ヘッド42は部品供給部3に移動し(ステップS2)、部品供給部3から供給される部品Wpを受け取って吸着保持する(ステップS3)。この部品保持動作はノズル421の本数分だけ実行される。なお、ここでは、発明内容の理解を容易にするため、1本のノズル421にのみ部品Wpが吸着保持されるものとして説明を続ける。
【0039】
ノズル421による部品Wpの吸着保持が完了すると、実装ヘッド42は部品認識カメラ5の上方位置を経由して基板Bの上方に向けて移動する(ステップS4)。こうしたノズル421の移動中に部品認識カメラ5によりノズル421に保持された部品Wpとノズル421とが撮像され、例えば
図4の(a)欄に示すような部品画像I1が記憶部120に記憶される(ステップS5)。同図中の符号Idは部品Wpを構成するダイの全体像を示し、符号Ibはダイの一方主面に形成されたバンプBP(
図4参照)の像を示している。
【0040】
次に、予め取得して記憶部120に記憶しておいたテンプレートして機能する基準部品画像I0が読み出され、
図4の(b)欄に示すように、基準部品画像I0と部品画像I1とを比較することで部品Wpの吸着ずれのX方向成分dx、Y方向成分dyおよび回転方向成分drがそれぞれ導出されるとともに、これらに基づいてノズル421の移動先が補正される(ステップS6)。より詳しくは、この実施形態では、
図4の(c)欄に示すように、最終的に基板B上の配線WRにバンプBPが正確に接触するように基板Bに部品Wpを実装するものであるため、部品画像I1における各バンプ像Ibの座標位置を求め、これらを基準部品画像I0における各バンプ像Ibの座標位置と比較することでX方向成分dx、Y方向成分dyおよび回転方向成分drを導出し、それらを移動先の補正に用いている。したがって、この補正によって部品Wpを保持したノズル421の移動先および回転角が調整され、
図4の(c)欄に示すように、部品Wpが実装対象点の上方位置に適正な部品姿勢で位置決めされた(ステップS9)後でノズル421から基板Bに部品Wpが搭載される(ステップS10)。これによってバンプBPが基板Bに予め形成されている配線WRに対して正確に位置決めされて基板Bに実装される。
【0041】
次に、部品検査に関連する検査ステップについて説明する。上記のようにして実装ターンが行われる間に、部品の検査(ステップS7)、検査結果の判定(ステップS8)および不良部品の廃棄(ステップS11)が実行される。より具体的には、上記移動先の補正および補正された移動先へのノズル421の移動と並行して部品の検査が実行される(ステップS7)。
【0042】
図5は実装ターン中に実行される部品検査動作を示すフローチャートである。この部品検査では、記憶部120から部品画像I1が読み出され(ステップS701)、当該部品画像I1に基づいて部品Wpのエッジ部分や角部に割れ、欠けや傷などに異常が存在しているか否かを調べられる。本実施形態では、部品Wpのエッジ部分や角部を検査領域としている。ここで、上記部品認識においてはバンプBPの座標位置を求めているため、それを基準に検査領域を特定することが考えられる。しかしながら、上記したようにダイシング位置の変動は不可避であるため、
図6に示すようにダイの全体像Idに対する検査領域Kの位置はダイシング位置に応じて相違する。したがって、バンプBPに対して検査領域Kが所定距離だけ離れた位置が検査領域Kであるというルールにしたがって検査領域Kを特定したときに、例えば
図6の(a)欄に示すように当該検査領域Kを検査することで割れ、欠けや傷などの異常を検査することができる場合がある。しかしながら、ダイシング位置の変動によって部品WpにおけるバンプBPの位置が変位すると、上記ルールに従う限り、同図の(b)欄に示すように検査領域Kが全体像Idから外れて誤検出を招いたり、同図の(c)欄に示すように検査領域KがバンプBPなどの回路構成に近づいて検出不能となることがある。
【0043】
そこで、本実施形態では、
図5に示す一連の処理を実行することでダイシング位置の変動による影響を受けることなく、検査領域Kを正確に、かつ適切に特定して検査領域Kにおける部品Wpの異常を検査可能となっている。また、多くの場合、検査領域Kは複数個所であり、しかも種類も相違している。したがって、多様なアプローチで検査領域Kを特定するのが望ましい。そこで、本実施形態では、
図7に示すように検査領域を特定する特定アルゴリズムを3種類用意するとともに、
図8に示す8つの検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4をそれぞれ上記特定アルゴリズムと組み合わせて特定し、部品Wpの検査を行っている。
【0044】
図7は検査領域を特定する特定アルゴリズムの概要を模式的に示す図である。同図の(a)欄では、第1特定アルゴリズムおよび第2特定アルゴリズムが示されている。これらでは、ダイの全体像Idから部品Wpの外形中心座標(xd、yd)が本発明の「外形情報」および「外形中心情報」として求められる。さらに外形中心座標(xd、yd)および外形中心座標(xd、yd)からのX方向距離LxおよびY方向距離Lyが検査領域Kの中心座標(xk、yk)を特定するための特定情報として求められ、記憶部120に記憶される。なお、第1特定アルゴリズムおよび第2特定アルゴリズムの相違点は、外形中心座標(xd、yd)の導出方法のみであり、その他の点については同一である。具体的には、第1特定アルゴリズムでは全体像Idの4つの辺部のエッジ情報に基づき導出しているのに対し、第2特定アルゴリズムでは全体像Idの4つの角部のエッジ情報に基づき導出している。
【0045】
一方、同図の(b)欄には、第3特定アルゴリズムが示されている。ここでは、ダイの全体像Idに含まれる複数の角部うちの一の角部座標(xc、yc)が本発明の「外形情報」として求められ、さらに角部座標(xc、yc)並びに当該角部座標(xc、yc)からのX方向距離LxおよびY方向距離Lyが検査領域Kの中心座標(xk、yk)を特定するための特定情報として求められ、記憶部120に記憶される。このように、本実施形態では、3つの特定アルゴリズムから選択可能となっている。
【0046】
図5に戻って部品検査動作(ステップS7)の説明を続ける。次のステップS702では、検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4のうちの1つが検査対象として選択されるとともに、選択された検査対象を特定するための特定アルゴリズムが上記3つの特定アルゴリズムから選択される。そして、選択された特定アルゴリズムにしたがって特定情報が既に求められて記憶部120に登録されているか否かが判定され(ステップS703)、その判定結果に応じてステップS704〜S706が実行される。例えば特定情報が登録されていない場合(ステップS703で「NO」)には、選択された特定アルゴリズムにしたがって検査領域を特定するための特定情報が求められ(ステップS704)、記憶部120に登録される(ステップS705)。一方、特定情報が既に登録されている場合(ステップS703で「YES」)には、記憶部120から登録済みの特定情報が読み出されて取得される(ステップS706)。
【0047】
上記したステップS703〜S706の実行によって検査領域に対応する特定情報が取得されると、その特定情報に基づいて検査領域が特定される。つまり、外形中心座標(xd、yd)や角部座標(xc、yc)からX方向距離LxおよびY方向距離Lyだけオフセットされた位置が検査領域の中心座標であり、部品画像I1のうち当該検査領域に相当する画像データが検査データとして抽出される(ステップS707)。そして、検査データに基づいて検査領域に割れ、欠けや傷などの異常が含まれているかが検査される(ステップS708)。このステップS708で異常が見つかると、その他の検査領域について部品の検査を行うことなく、直ちに部品Wpは不良品であるとの判定が下され(ステップS710)、部品の検査(ステップS7)を終了する。
【0048】
一方、ステップS708で異常が見つからなかった場合には、全ての検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4について部品の検査が行われたか否かが判定される(ステップS711)。ここで、未検査の検査領域が存在している(ステップS711で「NO」)間、上記した一連の処理(ステップS702〜S709)が繰り返して実行される。そして、全ての検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4において異常が認められなかった場合(ステップS711で「YES」)には、部品Wpは良品であるとの判定が下され(ステップS712)、部品の検査(ステップS7)を終了する。
【0049】
このようにして部品の検査が終了すると、
図3に示すように、実装ヘッド42が移動先に到達する前に部品検査の結果が良品および不良品のいずれであるかが判定される(ステップS8)。ここで、ノズル421に吸着保持されている部品Wpが良品であると判定された場合には、実装ヘッド42の移動が継続されて部品Wpの位置決め(ステップS9)および基板Bへの搭載(ステップS10)が実行される。一方、ノズル421に吸着保持されている部品Wpが不良品であると判定された場合には、部品Wpの実装が中止され、当該部品Wpが不良品回収部(図示省略)に廃棄される(ステップS11)。
【0050】
こうして実装ターンが完了するため、ステップS1に戻って次の実装ターン処理が繰り返して実行される。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、部品認識カメラ5により撮像された部品画像I1に基づいて、ノズル421の移動先を補正して基板Bへの部品Wpの搭載精度を高めるとともに当該部品Wpの検査を行っている。このように部品搭載のための認識(吸着ずれのX方向成分dx、Y方向成分dyおよび回転方向成分drの導出)と部品検査のための認識(検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4の特定および検査データの取得)とを一度にできることから、タクトロスを発生させることなく、歩留りの低下を防止することができる。しかも、部品検査のために部品Wpの外形情報に基づいて検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4を特定しているため、ウエハW上でのダイシングの位置が変動していたとしても検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4を確実に特定することができ、各検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4での異常発生を良好に検査することができる。
【0052】
また、互いに異なる3つの特定アルゴリズムが準備されており、同一の部品Wpについて3種類の外形情報のうちの一つを選択的に取得可能となっている。このように外形情報を検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4毎に選択的に取得し、その上で検査領域の特定を行っている。したがって、各検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4を正確に求めることができ、検査精度をさらに高めることができる。また、このように3つの特定アルゴリズムを選択しながら検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4を特定しており、ロバスト性が高い検査データを得ることができる。このため、部品Wpの検査を安定して行うことができる。
【0053】
また本実施形態では、数多くの検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4について異常発生の有無を検査しているため、部品Wpの良否判定を高い精度で行うことができ、不良品を確実に取り除き、良品の部品Wpのみを基板Bに実装することができ、信頼性の高い製品を提供することができる。
【0054】
このように本実施形態では、部品認識カメラ5およびヘッド駆動部がそれぞれ本発明の「撮像部」および「ノズル駆動部」の一例に相当しており、これらと実装ヘッド42および制御部100との組み合わせが本発明の「部品搬送装置」として機能している。また、
図3中のステップS3、S5、S6がそれぞれ本発明の「部品保持工程」、「撮像工程」および「移動先補正工程」の一例に相当し、ステップS4、S9が本発明の「ノズル移動工程」の一例に相当している。また、
図5中のステップS703〜S706が本発明の「外形情報取得工程」の一例に相当し、ステップS707、S708がそれぞれ本発明の「検査領域特定工程」および「検査工程」の一例に相当している。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、平面視で矩形形状のダイを部品Wpとしている、つまり本発明の「N」が4の場合について説明しているが、N=3、5、6、…のダイを部品Wpとする場合にも、本発明を適用することができる。
【0056】
また、上記実施形態では、8個の検査領域KC1〜KC4、KE1〜KE4について検査しているが、検査領域の数、形状や位置などについては任意である。
【0057】
また、上記実施形態では、3つの特定アルゴリズムを用いているが、特定アルゴリズムの個数はこれに限定されるものではなく、任意である。
【0058】
また、上記実施形態では、部品認識カメラ5を固定し、当該部品認識カメラ5の上方を実装ヘッド42が通過した際に部品を撮像しているが、いわゆるスキャンカメラを実装ヘッド42に取り付け、実装ヘッド42の移動中にスキャンカメラによって部品画像を取得するように構成してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、移動先の補正動作および補正された移動先へのノズル421の移動動作と並行して部品の検査(ステップS7)を実行しているが、上記補正動作または上記移動動作とのみ並行して部品の検査(ステップS7)を実行するように構成してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、2つの実装部4A、4Bを備えた部品実装装置10に本発明を適用しているが、実装部の個数はこれに限定されるものではなく、任意である。
【0061】
また、上記実施形態では、部品供給部3から供給された部品Wpをそのまま基板Bの上方位置に搬送しているが、フラックス塗布部を経由して基板の上方位置に搬送した後で当該部品を基板に搭載して実装する部品実装装置に対して本発明に係る部品搬送装置(=実装ヘッド42+部品認識カメラ5+ヘッド駆動部+制御部100)を適用してもよい。また、当該部品搬送装置に適用対象はこれに限定されるものではなく、例えば特許文献2に記載のチップソータに適用してもよい。
【0062】
さらに、上記実施形態では、ダイシングにより複数のダイに分割されたウエハから供給されるダイを部品とする装置に本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。例えばトレイやテープなどの部品収納体に予め収納されている収納部品を搬送する部品搬送装置およびこれを備える部品実装装置に対しても適用可能である。つまり、収納部品の部品画像に基づいて収納部品の外形情報を取得し、その外形情報から収納部品の検査領域を特定した上で当該検査領域で収納部品の異常が発生しているか否かを検査するように構成してもよい。これによって、収納部品の検査領域を確実に特定することができ、各検査領域での異常発生を良好に検査することができる。