(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6884504
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】ニゲロオリゴ糖を含有する、アルコール感が付与または増強された飲料、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C12G 3/04 20190101AFI20210531BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20210531BHJP
A23L 27/30 20160101ALI20210531BHJP
【FI】
C12G3/04
A23L2/00 B
A23L27/30 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-248386(P2015-248386)
(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公開番号】特開2017-112846(P2017-112846A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(72)【発明者】
【氏名】中 島 麻紀子
(72)【発明者】
【氏名】鬼 頭 英 明
【審査官】
山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−067946(JP,A)
【文献】
特開2001−046033(JP,A)
【文献】
特開2015−043767(JP,A)
【文献】
特開2002−186450(JP,A)
【文献】
特開平11−056336(JP,A)
【文献】
特開平05−068528(JP,A)
【文献】
特開2012−147780(JP,A)
【文献】
特開平11−146778(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/196265(WO,A1)
【文献】
特開2015−221019(JP,A)
【文献】
特開2014−168426(JP,A)
【文献】
澱粉科学,1981年,Vol.28, No.2,pp.109-117
【文献】
『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較!どれが一番美味しい!?,Amebaニュース,2014年12月19日,<https://news.ameba.jp/entry/20141219-633>
【文献】
ニューフードインダストリー,1998年,Vol.40, No.7,pp.17-23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G 3/00−3/08
A23L 2/00−35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール飲料の飲用感が付与または増強された飲料(ヘスペリジンを酵素反応によって処理することにより溶解度を高めた水溶性ヘスペリジンを0.005〜0.015重量%の濃度で含む飲料、豆乳を含む飲料、ワイン入りグレープゼリー飲料、発酵麦芽飲料、非発酵ノンアルコールビールテイスト飲料および日本酒を除く)であって、ニゲロオリゴ糖の濃度が140〜14000ppmであり、かつ、アルコール濃度が0.0〜12.0v/v%であり、ここで、
(a)アルコール濃度が1.0v/v%未満である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が280〜2800ppmであり;
(b)アルコール濃度が1.0v/v%以上9.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が140〜14000ppmであり;
(c)アルコール濃度が9.0v/v%より高く、10.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が280〜14000ppmであり;
(d)アルコール濃度が10.0v/v%より高く、12.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が560〜14000ppmである、飲料。
【請求項2】
ニゲロオリゴ糖の濃度が560〜2800ppmである、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
アルコール濃度が0.0〜10.0v/v%である、請求項1に記載の飲料。
【請求項4】
容器詰飲料である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項5】
アルコール飲料の飲用感が付与または増強された飲料(ヘスペリジンを酵素反応によって処理することにより溶解度を高めた水溶性ヘスペリジンを0.005〜0.015重量%の濃度で含む飲料、豆乳を含む飲料、ワイン入りグレープゼリー飲料、発酵麦芽飲料、非発酵ノンアルコールビールテイスト飲料および日本酒を除く)を製造する方法であって、飲料中のニゲロオリゴ糖の濃度を140〜14000ppmに調整し、かつ、アルコール濃度を0.0〜12.0v/v%に調整することを含んでなり、ここで、
(a)アルコール濃度が1.0v/v%未満である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が280〜2800ppmに調整され;
(b)アルコール濃度が1.0v/v%以上9.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が140〜14000ppmに調整され;
(c)アルコール濃度が9.0v/v%より高く、10.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が280〜14000ppmに調整され;
(d)アルコール濃度が10.0v/v%より高く、12.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が560〜14000ppmに調整される、方法。
【請求項6】
飲料(ワイン入りグレープゼリー飲料、発酵麦芽飲料、非発酵ノンアルコールビールテイスト飲料および日本酒を除く)にアルコール飲料の飲用感を付与または増強する方法であって、飲料中のニゲロオリゴ糖の濃度を140〜14000ppmに調整し、かつ、アルコール濃度を0.0〜12.0v/v%に調整することを含んでなり、ここで、
(a)アルコール濃度が1.0v/v%未満である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が280〜2800ppmに調整され;
(b)アルコール濃度が1.0v/v%以上9.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が140〜14000ppmに調整され;
(c)アルコール濃度が9.0v/v%より高く、10.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が280〜14000ppmに調整され;
(d)アルコール濃度が10.0v/v%より高く、12.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度が560〜14000ppmに調整される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール飲料の飲用感(以下「アルコール感」ともいう)が付与または増強された飲料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向の高まりの中でアルコール摂取量を自己管理する消費者が増加している。このような中で、アルコール飲料の飲用感が、実際のアルコール含有量よりも強く感じられる飲料への需要が高まっている。また、清涼飲料でありながらアルコール飲料の飲用感を感じられる飲料への需要も存在する。
【0003】
一方で、ニゲロオリゴ糖は、グルコースを構成単位とし、少なくとも一つのα−1,3グルコシド結合を含むオリゴ糖であり、飲食品のコクや味の厚みに寄与することが知られている。例えば、ニゲロオリゴ糖は、高甘味度甘味料の味質改良効果(特許文献1)、飲食品のフレーバー増強効果(特許文献2)、飲食品の退色防止効果および活性酸素消去効果(特許文献3)などを有することが報告されている。また、ニゲロオリゴ糖の一種であるニゲロースは、虫歯予防効果およびビフィズス菌増殖促進効果を有することが報告されている(特許文献4)。
【0004】
しかし、飲料を飲んだときのアルコール感とニゲロオリゴ糖との関係は未だ報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−234331号公報
【特許文献2】特開2002−186450号公報
【特許文献3】特開2000−189101号公報
【特許文献4】特開平3−22958号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、特定のアルコール濃度を有するアルコール飲料にニゲロオリゴ糖を特定の濃度範囲で添加することにより、飲用時に感じるアルコール感を増強できることを見出した。さらに、本発明者らは、非アルコール飲料にニゲロオリゴ糖を特定の濃度範囲で添加することにより、非アルコール飲料にアルコール感を付与できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づくものである。
【0007】
従って、本発明は、アルコール飲料の飲用感が付与または増強された飲料とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)アルコール飲料の飲用感が付与または増強された飲料であって、ニゲロオリゴ糖の濃度が140〜14000ppmであり、かつ、アルコール濃度が0.0〜12.0v/v%である、飲料。
(2)ニゲロオリゴ糖の濃度が140〜2800ppmである、(1)の飲料。
(3)ニゲロオリゴ糖の濃度が560〜2800ppmである、(1)の飲料。
(4)アルコール濃度が0.0〜10.0v/v%である、(1)の飲料。
(5)容器詰飲料である、(1)〜(4)のいずれかの飲料。
(6)アルコール飲料の飲用感が付与または増強された飲料を製造する方法であって、飲料中のニゲロオリゴ糖の濃度を140〜14000ppmに調整し、かつ、アルコール濃度を0.0〜12.0v/v%に調整することを含んでなる、方法。
(7)飲料にアルコール飲料の飲用感を付与または増強する方法であって、飲料中のニゲロオリゴ糖の濃度を140〜14000ppmに調整し、かつ、アルコール濃度を0.0〜12.0v/v%に調整することを含んでなる、方法。
【0009】
本発明によれば、アルコール飲料の飲用感が付与または増強された飲料とその製造方法が提供される。特に、本発明の飲料は非アルコール飲料であってもよく、この場合には、本発明の飲料は、非アルコール飲料であるにもかかわらず、アルコール飲料の飲用感が感じられる。
【0010】
定義
本発明において「アルコール飲料」とは、酒税法上アルコール飲料とみなされる、アルコール度数1度以上の飲料を意味する。
【0011】
本発明において「非アルコール飲料」とは、酒税法上アルコール飲料とみなされない、アルコール度数1度未満の飲料を意味する。「非アルコール飲料」のうち、アルコールが全く含まれない、すなわち、アルコール含量が0v/v%である飲料については特に「完全無アルコール飲料」と表現することができる。本発明における非アルコール飲料としては、例えば、チューハイ様飲料、カクテル様飲料、ワイン様飲料や、その他アルコール飲料との代替性がある飲料が挙げられる。
【0012】
本発明において「アルコール感」とは、アルコール飲料の飲用時に感じるアルコール特有の苦みや辛み、刺激感、バーニング感をいう。また、アルコール飲料の飲用感の「増強」とは、その飲料を飲んだときに、実際のアルコール濃度よりも高いアルコール濃度を有する飲料を飲んだときのアルコール感を感じることをいう。さらに、アルコール飲料の飲用感の「付与」とは、非アルコール飲料を飲んだときに、アルコール飲料を飲んだときのアルコール感を感じることをいう。
【0013】
本明細書において、「1ppm」は1mg/Lに相当する。
【0014】
本発明の飲料
本発明の飲料は、飲料中のニゲロオリゴ糖の濃度を調整することにより製造することができる。このニゲロオリゴ糖の濃度調整により、該飲料において、アルコール飲料の飲用感(アルコール感)が付与または増強される。ニゲロオリゴ糖の濃度調整は、ニゲロオリゴ糖を添加することにより行ってもよいし、あるいは、ニゲロオリゴ糖を含有する原料を配合すること、またはその配合量を増減させることによって行ってもよい。
【0015】
ニゲロオリゴ糖は、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースなどのように、グルコースを構成単位とし、少なくとも1つ以上のα−1,3グルコシド結合を含むグルコース重合度2以上のオリゴ糖を意味し、好ましくはグルコース重合度2〜10のオリゴ糖、より好ましくは重合度2〜7のオリゴ糖である。また、本発明において、ニゲロオリゴ糖は、α−1,3グルコシド結合のみからなるオリゴ糖の他に、α−1,3グルコシド結合とそれ以外の結合(例えばα−1,1、α−1,2、α−1,4、α−1,6グルコシド結合など)とからなるオリゴ糖も包含するものである。
【0016】
ニゲロオリゴ糖は、合目的的な任意の方法により製造することができるが、具体的には下記のような公知の方法によって調製することができる。例えば、M.Stacey and J.M.Webber: Methods in Carbohydrate Chemistry, I, 339-341, Academic Press (1962)には、微生物の生産する多糖類である、ニゲラン、エルシナン等を基質として、酵素或いは酸類などを用いて加水分解してニゲロオリゴ糖を製造する方法が提案されている。また、公知のα−グルコシダーゼの糖転移・縮合反応を用いてニゲロースを調製する方法も知られている(金谷憲一他,日本農芸化学会誌,53, 385-390 (1979)、H.Fujimoto et al., Agric. Biol. Chem., 52, 1345-1351 (1988)など)。更に、特開平3−22958号公報には、澱粉加水分解物に、サイクロデキストリン生成酵素を作用させてニゲロースを製造する方法が開示されている。その他に、α−1,4グルコシド結合したポリサッカライドまたはオリゴサッカライドを含む基質に、α−1,3グルコシド結合をもたらす1種または2種以上の糖転移酵素、具体的には
Acremonium属に属し、α−1,3結合をもたらす糖転移酵素を生産する真菌、例えば
Acremonium sp. S4G13(FERM BP-4373)を常法に従って培養することにより調製される糖転移酵素、を作用させてニゲロオリゴ糖を製造する方法も開示されている(特開平7−59559号公報)。本発明において使用するニゲロオリゴ糖は、いずれの方法で調製されたものでもよく、上記の方法に限定されない。
【0017】
本発明の飲料は、ニゲロオリゴ糖の他に、そのアルコール感の付与・増強効果に悪影響を与えない他の成分を含んでいてもよい。すなわち、上述のような方法で調製した糖類(シラップ)中には、少なくとも1つのα−1,3グルコシド結合を含むグルコース重合度2以上のオリゴ糖(ニゲロオリゴ糖)の他に、グルコース等の単糖類、α−1,3結合以外の結合からなる各種オリゴ糖(マルトース等)、デキストリンなども含まれている場合があるが、ニゲロオリゴ糖が含まれていれば本発明に使用可能である。本発明の飲料は、重合度の異なるニゲロオリゴ糖を含むニゲロオリゴ糖混合物を含むものであってもよい。
【0018】
本発明において、ニゲロオリゴ糖としては市販されているものを使用することができる。
【0019】
本発明の飲料中のニゲロオリゴ糖濃度は、140〜14000ppm、より好ましくは140〜2800ppm、さらに好ましくは280〜2800ppm、さらに好ましくは560〜2800ppm、さらに好ましくは840〜2800ppmとなるように調整することができる。また、原料となる飲料の味や香りによっては、アルコール感の付与・増強効果以外の風味への影響を最小化するためにニゲロオリゴ糖濃度を低く抑えることが望ましい場合も考えられる。例えば、ニゲロオリゴ糖濃度は、1400ppm以下、より好ましくは840ppm以下とすることができる。
【0020】
飲料中のニゲロオリゴ糖の濃度は、公知の方法によって測定することができる。その際に、より正確な濃度測定のためには、既知の濃度を有する幾つかの対照サンプルの測定値に基づいて作成した検量線を用いることが望ましい。
【0021】
本発明の飲料(最終製品)のアルコール濃度は、0.0〜12.0v/v%、より好ましくは0.0〜10.0v/v%、さらに好ましくは1.0〜9.0v/v%とすることができる。
【0022】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の飲料のアルコール濃度が0.0v/v%以上1.0v/v%未満(つまり1.0v/v%未満)である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度は、280〜14000ppm、より好ましくは560〜2800ppmとされる。
【0023】
本発明の他の好ましい実施態様によれば、本発明の飲料のアルコール濃度が1.0v/v%以上9.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度は、140〜14000ppm、より好ましくは560〜2800ppmとされる。
【0024】
本発明の他の好ましい実施態様によれば、本発明の飲料のアルコール濃度が9.0v/v%より高く、10.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度は、280〜14000ppm、より好ましくは840〜2800ppmとされる。
【0025】
本発明の他の好ましい実施態様によれば、本発明の飲料のアルコール濃度が10.0v/v%より高く、12.0v/v%以下である場合には、ニゲロオリゴ糖濃度は、560〜14000ppm、より好ましくは1400〜2800ppmとされる。
【0026】
本発明の飲料は、アルコール飲料であっても、非アルコール飲料であってもよい。
【0027】
本発明の飲料は、水を原料として得られる飲料とすることができる。この飲料には、甘味料(例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、オリゴ糖、異性化液糖、糖アルコール、高甘味度甘味料等)、酸味料(例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、リン酸、フィチン酸、イタコン酸、フマル酸、グルコン酸、アジピン酸、酢酸、またはそれらの塩類等)、フレーバリング(例えば、香料(例えば、シトラス類(オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、マンダリン、ユズ等)の香料、その他のフルーツ(アップル、ブドウ、モモ、バナナ、パイナップル、ストロベリー、メロン、ウメ、ライチ、マンゴ、パッションフルーツ等)の香料)、果汁(例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、マンダリン、ユズ、アップル、ブドウ、モモ、バナナ、パイナップル、ストロベリー、メロン、ウメ、ライチ、マンゴ、パッションフルーツ等の果汁))等を加えることもできる。
【0028】
本発明の飲料は、また、水以外の飲料とすることもできる。水以外の飲料としては、例えば、果汁飲料、野菜汁飲料、果汁および野菜汁飲料、果汁含有飲料、茶飲料、牛乳、豆乳、乳飲料、ドリンクタイプのヨーグルト、コーヒー、ココア、栄養ドリンク、スポーツ飲料等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明の飲料には、甘味料(例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、オリゴ糖、異性化液糖、糖アルコール、高甘味度甘味料等)、酸味料(例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、リン酸、フィチン酸、イタコン酸、フマル酸、グルコン酸、アジピン酸、酢酸、またはそれらの塩類等)、フレーバリング(例えば、香料(例えば、シトラス類(オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、マンダリン、ユズ等)の香料、その他のフルーツ(アップル、ブドウ、モモ、バナナ、パイナップル、ストロベリー、メロン、ウメ、ライチ、マンゴ、パッションフルーツ、ナシ等)の香料)、果汁(例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、マンダリン、ユズ、アップル、ブドウ、モモ、バナナ、パイナップル、ストロベリー、メロン、ウメ、ライチ、マンゴ、パッションフルーツ、ナシ等の果汁))、苦味料(例えば、イソα酸、ナリンジン、クワッシャー、カフェイン等)等を加えることもできる。
【0029】
果汁飲料、果汁および野菜汁飲料および果汁含有飲料に用いられる果物としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、マンダリン、ユズ、アップル、ブドウ、モモ、バナナ、パイナップル、ストロベリー、メロン、ウメ、ライチ、マンゴ、パッションフルーツ、ナシ等が挙げられる。また、野菜汁飲料や果汁および野菜汁飲料に用いられる野菜としては、例えば、トマト、ニンジン、セロリ、キュウリ、スイカ、ピーマン、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、クレソン、ケール、ほうれん草、大根、かぼちゃ、白菜、レタス等が挙げられる。
【0030】
茶飲料とは、ツバキ科の常緑樹である茶樹の葉(茶葉)、または茶樹以外の植物の葉もしくは穀類等を煎じて飲むための飲料をいい、発酵茶、半発酵茶および不発酵茶のいずれも包含される。茶飲料の具体例としては、日本茶(例えば、緑茶、麦茶)、紅茶、ハーブ茶(例えば、ジャスミン茶)、中国茶(例えば、中国緑茶、烏龍茶)、ほうじ茶等が挙げられる。
【0031】
乳飲料とは、生乳、牛乳等またはこれらを原料として製造した食品を主原料とした飲料をいい、牛乳等そのもの材料とするものの他に、例えば、栄養素強化乳、フレーバー添加乳、加糖分解乳等の加工乳を原料とするものも包含される。
【0032】
本発明の飲料は、二酸化炭素を圧入したもの、すなわち、炭酸飲料とすることができる。
【0033】
本発明による飲料の製造方法
本発明によれば、飲料中のニゲロオリゴ糖濃度を上述の範囲に調整し、かつ、アルコール濃度を上述の範囲に調整することを含んでなる、アルコール飲料の飲用感が付与または増強された飲料の製造方法が提供される。
【0034】
本発明の飲料の製造においては、原料となる液体に、ニゲロオリゴ糖以外の、通常の飲料の処方設計に用いられている甘味料、酸味料、香料、色素、果汁、食品添加剤(例えば、起泡・泡持ち向上剤、苦味料、保存料、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、食物繊維、pH調整剤など)等を適宜添加することができる。
【0035】
本発明の飲料は、pHを、例えば、アルコール飲料の飲用感を明確に確認できる範囲として、2.0〜4.0、好ましくは2.5〜3.9に調整することができる。本発明の飲料に、果実やその由来成分、果汁などを使用する場合には、それらも利用してpHを調整することができる。なお、飲料のpHは市販のpHメーター(例えば、東亜電波工業株式会社製pHメーター)を使用して容易に測定することができる。
【0036】
本発明の飲料は、好ましくは、果汁または果汁フレーバー含有炭酸飲料として提供される。
【0037】
果汁または果汁フレーバー含有炭酸飲料は、例えば、チューハイ様飲料またはチューハイ飲料として提供される。「チューハイ様飲料」とは、チューハイ飲料を飲用したような感覚を飲用者に与える飲料である。「チューハイ飲料」は、一般的には、果汁または果汁フレーバーを含んでなる炭酸ガス含有アルコール飲料をいう。本発明の飲料は、チューハイ様飲料またはチューハイ飲料として、例えば、ニゲロオリゴ糖と、果汁または果汁フレーバーと、必要に応じて、甘味料、酸味料等とを含んでなる炭酸飲料とすることができる。
【0038】
果汁または果汁フレーバー含有炭酸飲料は、また、例えば、カクテル様飲料またはカクテル飲料として提供される。「カクテル様飲料」とは、カクテル飲料を飲用したような感覚を飲用者に与える飲料である。「カクテル飲料」は、一般的には、アルコール飲料に、果汁または果汁フレーバー、果実、香辛料、甘味料(シロップ)、炭酸水等を混ぜ合わせて製造される飲料をいう。本発明の飲料は、カクテル様飲料またはカクテル飲料として、例えば、ニゲロオリゴ糖と、果汁または果汁フレーバーと、炭酸水と、必要に応じて、甘味料(シロップ)、果実、香辛料等とを含んでなる炭酸飲料とすることができる。
【0039】
本発明の飲料は、好ましくは、容器詰飲料として提供される。本発明の飲料に使用される容器は、飲料の充填に通常使用される容器であればよく、例えば、金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器等が挙げられるが、好ましくは金属缶・樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル)、または瓶とされる。
【0040】
本発明の他の態様によれば、飲料中のニゲロオリゴ糖の濃度を上述の範囲に調整し、かつ、アルコール濃度を上述の範囲に調整することを含んでなる、飲料にアルコール飲料の飲用感を付与または増強する方法が提供される。
【0041】
さらに、本発明の他の態様によれば、ニゲロオリゴ糖を含んでなる、飲料にアルコール飲料の飲用感を付与または増強するための食品添加剤が提供される。
【実施例】
【0042】
以下の実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
実施例1:アルコール飲料および非アルコール飲料へのニゲロオリゴ糖の添加試験
(1)飲料サンプルの調製
ニゲロオリゴ糖を添加する前のベースとなる飲料としては、pH3.3、エキス分5.0%、炭酸ガス圧0.20MPa(測定温度20℃)である飲料(レモンフレーバー使用)を使用した。また、下記の表1に示すように、アルコール含有量が、0.0v/v%、1.0v/v%、3.0v/v%、6.0v/v%、9.0v/v%、10.0v/v%、12.0v/v%または15.0v/v%である複数種のベース飲料を用意した。このベース飲料に、ニゲロオリゴ糖を、表1で示すような濃度で存在するように添加することにより、各飲料サンプルを調製した。また、ニゲロオリゴ糖を添加していない上記の各アルコール含有量のベース飲料そのものを、対照サンプルとして使用した。
【0044】
ニゲロオリゴ糖としては、日食テイストオリゴ(登録商標)(日本食品化工株式会社製)を使用した。日食テイストオリゴ(登録商標)は、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースなどの複数種のニゲロオリゴ糖を含有する。
【0045】
(2)飲料サンプルの評価
上記(1)で調製された各飲料サンプルを、官能評価試験に供した。官能評価試験では、良く訓練されたパネル5名により、以下の基準でアルコール飲料の飲用感について官能評価を行った。
【0046】
[アルコール飲料の飲用感の評価]
A:対照サンプルと比較して、アルコール感が明らかに増強されている。
B:対照サンプルと比較して、アルコール感がやや増強されている。
C:対照サンプルと比較して、アルコール感に差異はない。
【0047】
官能評価試験の結果は以下の通りであった。
【表1】
【0048】
表1から、ニゲロオリゴ糖の濃度調整により、アルコール飲料および非アルコール飲料の両方において、アルコール感が増強または付与されることが認められる。特に、好ましいニゲロオリゴ糖の濃度は、140〜14000ppm、より好ましくは140〜2800ppm、さらに好ましくは280〜2800ppm、さらに好ましくは560〜2800ppm、さらに好ましくは840〜2800ppmであることが認められる。さらに、好ましいアルコール濃度は、0.0〜12.0v/v%、より好ましくは0.0〜10.0v/v%、さらに好ましくは1.0〜9.0v/v%であることが認められる。