(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベース(8)と、シート(4)と、前記ベース(8)および前記シート(4)の間で鉛直方向に延在するチェアカラム(6)と、バックレスト(12)と、を備えているオフィスチェア(2)であって、
電動モータおよび変速機構を有する電気駆動ユニットをさらに備え、前記変速機構が、前記電動モータの回動力を前記シート(4)の高さを調節するための第1調節装置に入力するように構成され、かつ、前記回動力を前記シート(4)または前記バックレスト(12)の傾きを調節するための力に第2調節装置において変換し、
前記第1調節装置が、チェアカラム(6)に配置されたスピンドル機構により構成され、
前記第2調節装置が、前記シート(4)または前記バックレスト(12)に配置されたウォームホイールセグメント(210)および前記電気駆動ユニットに連結されているシャフト(218)に配置されているウォーム(216)により構成され、
前記変速機構が、
前記電動モータに接続されている駆動入力部(16)(116)と、
前記第1調節装置を駆動する第1回転駆動出力部と、
前記第1回転駆動出力部に対して平面視でオフセットして平行に配置されている前記第2調節装置を駆動する第2回転駆動出力部と、
前記第1回転駆動出力部および前記第2回転駆動出力部がオフセットしている方向に揺動、並進または揺動および並進されることによって2つの伝動位置の間で駆動される伝動軸(22)と、を備え、
前記伝動軸(22)が、第1伝動位置において前記駆動入力部(16)(116)を前記第1回転駆動出力部に連結し、第2伝動位置において前記駆動入力部(16)(116)を前記第2回転駆動出力部に連結し、
前記電気駆動ユニットが、平面的に構成され、シートロワーシェル(44)の内部空間に配置されている
ことを特徴とするオフィスチェア。
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のオフィスチェアにおいて、前記第1伝動位置および前記第2伝動位置の間の変位過程において、前記伝動軸(22)が少なくとも部分的に、前記伝動軸(22)の軸線方向に垂直な方向に動かされる
ことを特徴とするオフィスチェア。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、快適かつ正確に調節可能であり、好ましくは高い費用対効果で製造可能なオフィスチェアを提供することである。また、当該目的を達成するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様によれば、前記目的は、ベースと、シートと、前記ベースおよび前記シートの間で鉛直方向に延在するチェアカラムと、バックレストと、を備えているオフィスチェアであって、電動モータおよび変速機構を有する電気駆動ユニットをさらに備え、前記変速機構が、前記電動モータの回動力を前記シートの高さを調節するための第1調節装置に入力するように構成され、かつ、前記力を前記シートまたは前記バックレストの傾きを調節するための第2調節装置において変換することを特徴とするオフィスチェアにより達成される。電気的な操作要素が、駆動機構の位置合わせに結合されておらず、かつ、電気駆動機構はラッチ機構およびクランプ機構より正確に調節することができるので、オフィスチェアが快適かつ正確に調節される。
【0005】
駆動機構を備えていない作動ユニットはオフィスチェアの構成要素(シート、バック、アームレストなど)の位置、当該構成要素の姿勢(シート、バック、アームレスト等の傾き)、または(例えばスピンドル駆動手段により)前記ばねを圧縮しもしくは軽減することによってばねの付勢力を変化させる機構であると解される。
【0006】
前記変速機構が、前記電動モータに接続されている駆動入力部と、少なくとも2つの回転駆動出力部と、を備え、第1回転駆動出力部が前記第1調節装置を駆動し、かつ、第2回転駆動出力部が前記第2調節装置を駆動してもよい。その結果、単一の電動モータが2つの調節装置を駆動することができるので、製造コストを低減することができる。
【0007】
前記変速機構が、前記電動モータに接続されている駆動入力部と、少なくとも2つの回転駆動出力部と、を備え、第1回転駆動出力部が前記第1調節装置を駆動し、かつ、第2回転駆動出力部が前記第2調節装置を駆動する。前記変速機構が少なくとも2つの伝動位置の間で駆動される伝動軸を備え、前記伝動軸は、第1伝動位置において前記駆動入力部を前記2つの回転駆動出力部のうち一の回転駆動出力部に連結し、第2伝動位置において前記駆動入力部のうち他の回転駆動出力部に連結していてもよい。可動である伝動軸は、駆動入力部および特定の回転駆動出力部の間の簡易かつ信頼性が高い、切り替え可能な力伝達要素である。
【0008】
前記電気駆動ユニットは、シートの座面の下、またはシートロワーシェルの内部に配置されていることが好ましい。この結果電気駆動ユニットがオフィスチェアの広い領域に配置可能であり、大規模かつ強力な電気駆動ユニットを使用することも可能である。
【0009】
前記電動モータまたは前記電動モータおよび前記変速機構がシートカラムの中に配置されていてもよい。これにより、シートの高さ調節は不要な摩擦損失なしで可能な限り直接的に駆動されうる。
【0010】
オフィスチェアは、前記バックレストの高さ、前記シートの傾き、前記バックレストの傾き、アームレストの傾き、前記シートの形状および前記バックレストの形状の中から選択される少なくとも1つの付加的なパラメータを調節するための少なくとも1つの付加的な調節装置を備えていることが好ましい。これにより、オフィスチェアが特に快適に調節されうる。具体的には、バックレスト、シートまたはアームレストの要素(ばね/空気ばね)の付勢力が調節装置によってパラメータとして調節される。
【0011】
本発明の第2態様によれば、電気駆動ユニットは、電動モータと、前記電動モータに連結されている駆動入力部および少なくとも2つの回転駆動出力部を有する変速機構と、を備え、前記変速機構は、少なくとも2つの伝動位置の間で駆動される伝動軸をさらに備え、前記伝動軸は、第1伝動位置において前記駆動入力部を前記2つの回転駆動出力部のうち一方の回転駆動出力部に連結し、第2伝動位置において前記駆動入力部を前記2つの回転駆動出力部のうち他方の回転駆動出力部に連結する。
【0012】
これにより費用対効果が高くかつ正確に調節可能な電気駆動ユニットが提供される。
【0013】
前記第1伝動位置および前記第2伝動位置の間の変位過程において、前記伝動軸が、揺動、並進または揺動および並進によって前記回転駆動出力部のうち少なくとも1つに対して相対的に動かされてもよい。これにより変速機構のコンパクト化が可能になり、これは変速機構が対応する寸法を有するオフィスチェアの構成要素に対して高コストの変更なしに統合することができることを意味する。
【0014】
同様に、前記第1伝動位置および前記第2伝動位置の間の変位過程において、前記伝動軸が少なくとも部分的に、前記伝動軸の軸線方向または前記伝動軸の軸線方向に垂直な方向に動かされてもよい。これにより、オフィスチェアにおける設置場所の空間的な条件に変速機構の構成を合致させることができる。
【0015】
同様に、前記第1伝動位置および前記第2伝動位置の間の変位過程において、前記伝動軸が、前記電動モータと一緒に前記回転駆動出力部のうち少なくとも1つに対して相対的に動かされてもよい。その結果、駆動ユニットおよび伝動軸の間の費用対効果および信頼性が高い接続が実現される。
【0016】
前記伝動軸が、前記電動モータのモータ軸と一緒に回動するために前記電動モータのモータ軸を形成し、または前記電動モータのモータ軸に同軸に取り付けられていてもよい。これにより、モータ軸および伝導軸が非常に簡易に接続されうる。
【0017】
好ましい実施形態では、前記電動モータにより、前記回転駆動出力部のそれぞれが独占的に駆動される。これにより、電気駆動ユニットが相互に独立して複数の出力部を駆動することができる。
【0018】
前記回転駆動出力部の少なくとも2つの駆動軸が同軸上に配置されていてもよい。これにより、同軸の駆動軸に対して横方向について電気駆動ユニットのサイズをコンパクトに構成することができ、その結果として当該ユニットがチェアカラムなどの細長い構成要素に設置されうる。
【0019】
この場合、前記変速機構が、それぞれが前記伝動軸の一端に係合する2つの連結機構をさらに備え、前記伝動軸が、前記第1伝動位置および前記第2伝動位置の間の変位過程において前記伝動軸に沿った変位により、前記回転駆動出力部のうち少なくとも1つの回転駆動出力部に対してオフセットされ、かつ、当該変位に際して前記連結機構のうち一の連結機構が連結される一方、他の連結機構が連結解除されていてもよい。これにより、回転駆動出力部を高い信頼性をもって駆動することができる。
【0020】
同様に、前記回転駆動出力部が、オフセットし、または相互に平行にもしくは傾斜してオフセットするように配置されていてもよい。これにより、特に長手延在方向について電気駆動ユニットのサイズをコンパクトに構成することができ、その結果として当該ユニットが家具の部品として平面的な構成要素に配置されうる。
【0021】
この場合、前記変速機構が、前記伝動軸に配置されたウォームと、前記出力側に配置されている少なくとも2つのをウォームホイールと、をさらに備え、前記ウォームは、前記第1伝動位置においてウォームホイールのうち一方のウォームホイールを駆動または独占的に駆動するように構成され、前記第2伝動位置においてウォームホイールのうち他方のウォームホイールを駆動または独占的に駆動するように構成されていてもよい。この結果、特に大きな力が、好ましくはそれぞれが回転出力部に連結されているウォームホイールに伝達されうる。
【0022】
前記電気駆動ユニットが、少なくとも1つの制動機構をさらに備え、前記制動機構が、前記伝動軸の前記第1伝動位置および前記第2伝動位置のうち少なくとも一方において、前記一方のウォームホイールが動かされている際、前記他方のウォームホイールの動きを阻止してもよい。これにより、ウォームホイールに接続され、かつ、セルフロックしない機構の固定が可能になる。
【0023】
本発明の第1態様は、第2態様の構成要素と組み合わせられてもよく、第1態様の電気駆動ユニットの構成要素が本発明の第2態様の電気駆動ユニットにおいて使用されてもよいことに留意されたい。
【0024】
本発明のさらなる利点および詳細は、添付図面を用いて説明される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を以下のチェアの実施形態を用いて説明する。しかし、電気駆動ユニットは当該実施形態に限定されるわけではなく、独立した本発明の概念であることに留意されたい。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1態様のオフィスチェア2を示している。オフィスチェア2は、ベース8と、座面を有するシート4と、ベース8およびシート4の間で鉛直方向に延在するチェアカラム6と、バックレスト12と、を備えている。オフィスチェア2は、少なくとも1つのアームレストを備えていてもよい(図示略)。キャスタ10は、ベース8に配置されてもよい。
【0028】
オフィスチェア2は、複数のパラメータに関して調節可能である。例えば、シート4の高さH1がチェアカラム6の長さを変更することによって変更される。シート4の座面の傾き(シート傾き−傾斜角度a1で表わされる。)が調節される。バックレスト12の高さH2(バックレスト高さ)は、シート4に対して調節可能である。シート4の座面に沿ったバックレスト12のシート4に対する距離Xが調節されてもよい。バックレスト12の傾き(バックレスト傾き−傾斜角度a2で表わされる。)が調節可能であることが特に好ましい。
【0029】
スピンドル駆動機構は、例えば、高さH1およびH2ならびに距離Xを調節するために用いられる。当該駆動機構は、高さH1を変更するためにチェアカラム6に配置され、距離Xを変更するための座面に平行に配置され、あるいは、高さH2を変更するためにバックサポート15に配置されてもよい。傾斜角度a1、a2を調節するためにウォームギヤが用いられてもよい。この場合、ウォームホイールまたはその一部が、シート4の座面またはバックレスト12が揺動または回動するピボット軸に配置され、バックレスト12またはシート4の座面の傾動負荷が当該構成要素を傾動させないという意味において変速機構がセルフロックする。同様に、ラックまたは剛性チェーンが用いられてもよい。
【0030】
アームレスト(図示略)は、シート4の座面に対する高さおよび傾き(アームレスト傾き)のうち一方または両方が調節されることが好ましい。シート4またはバックレスト12の内側の装飾要素が相対的に変位、回転または変位かつ回転させることによって、オフィスチェア2のシート形状およびバックレスト形状のうち一方または両方が調節されてもよい。
【0031】
オフィスチェア2は、電動モータ18および変速機構14を有する電気駆動ユニットを備えている。変速機構14は、シート4の高さを調節するために電動モータ18の回動力を第1調節装置に入力し、シート4またはバックレスト12の傾きを調節するために当該力を第2調節装置において変換する。
【0032】
シート4の高さを調節するための調節装置は、チェアカラム6に配置されたスピンドル機構であってもよい。
【0033】
本願に係る調節装置は、電動式、気圧式または油圧式の駆動機構を備えていない機械的機構であって、電動モータ18の回動力をシート4の高さの調節、シート4の傾斜角度a1の調節、付勢力の調節などの構成要素の調節に変換するように構成されている。
【0034】
調節装置は、ロッド、チェーン、(例えば90°の角度で力を伝達するための)傘歯車、タンブルギヤまたはハイポイドドライブを備えている力伝達機構を介して電気駆動ユニットに接続されていてもよい。このタイプの力伝達機構は、電気駆動ユニットが個々の調節装置を駆動することができるように、電気駆動ユニットの回転駆動出力部20a、20bに結合されていてもよい。
【0035】
力伝達機構が油圧式または気圧式の力伝達機構により構成されていてもよく、この場合、電気駆動ユニットの回転駆動出力部20a、20bのうち一方にポンプが連結され、ポンプが圧力連結を介してシリンダとして構成されている調節装置に接続される。
【0036】
前記概念は、少なくとも2つ、好ましくはすべての調節装置を調節するために用いられる一または単一の電動モータが電気駆動ユニットに設けられ、これがコストおよび重量の節約をもたらす。オフィスチェア2に取り付けられている操作要素13、リモートコントロールまたはプログラムによって電気駆動ユニットを作動させてもよく、該当技術分野ではよく知られている作動要素および受信要素のうち一方または両方が電気駆動ユニットに設けられていてもよい。その結果、簡単にアクセスできるように、その結果、操作要素13がアクセス容易な形態で配置され、これを利用するための労力が小さくて済む。オフィスチェア2の構成要素の高さおよび傾き位置が、ボタンを押す以外のユーザによる操作を要せずに実現される。電気駆動ユニットが適当に構成されている場合、ユーザがオフィスチェアに座りながら最適なシート位置を設定することができる。
【0037】
調節装置は、昇降量、傾斜角度または同様の変数を測定するための調節測定装置を備えていてもよく、これにより調節装置の目標位置または複数の現在目標位置が電子モジュールに保存され、これは複数のまたはすべての調節装置にとっても同様である。
【0038】
該当技術分野において知られている制御機構を用いる電気駆動ユニットによって、保存または記憶保持されている位置または対応する調節測定装置の出力に基づき、適当な位置に接近させることができる。特に、シートの高さおよびバックレストの傾きのうち一方または両方に対応する調節装置の接近位置を保存することが可能である。
【0039】
電力または電気エネルギーは、バッテリ、アキュムレータまたはケーブルにより電気駆動ユニットに対して供給されてもよい。
【0040】
バックレスト204の傾きの傾き調節機構に基づき、シート4またはバックレスト12の傾きを調節するための調節装置202の原理が
図4に示されている。構成要素222〜224は当該調節装置には属していない。この実施形態において、バックレスト204は座面206に対して傾動可能である。バックレスト204はピボット軸208の回りに座面206に対して揺動または旋回可能であることが好ましい。バックレスト204のピボットポイント212およびウォームホイールセグメント210の回転中心214が一致するように、ウォームホイールセグメント210は好ましくは回転しないようにバックレスト204に配置されている。シャフト218に配置されているウォーム216によりウォームホイールセグメント210を駆動してもよい。シャフト218は調節装置202のベアリング220に支持されていてもよい。シャフト218は傘歯車によりチェアカラム6に配置されている電気駆動ユニットに対して連結されていてもよい。しかし、
図4に示されているように、電気駆動ユニットにより座面の傾きが実現された場合、シャフト218を駆動するための別個の電動モータ224および226と共に別個の変速機構222が設けられてもよい。
【0041】
本発明の第2態様の電気駆動ユニットに関して、これが前述したオフィスチェア2に設けられている形で説明する。
【0042】
電気駆動ユニットは、変速機構14と、駆動入力部16と、駆動入力部16に接続されている電動モータ18と、を備えている。変速機構14は、出力軸20l、20rとして構成されている2つの回転駆動出力部をさらに備え、一方の回転駆動出力部がシート4の高さを調節するための調節装置を駆動し、かつ、他方の回転駆動出力部がシート4またはバックレスト12の傾きを調節するための調節装置を駆動してもよい。
【0043】
変速機構14は、伝動軸22を備えていてもよい。伝動軸22は、好ましくはそこに配置されたウォームホイール24lおよびウォーム26によって
図2に示されている第1伝動位置において駆動入力部16を出力軸20lに連結する。電動モータ18は、回転軸30の回りに揺動または旋回可能なオフセットキャリア28に配置されていてもよい。
【0044】
伝動軸22は、電動モータ18のモータ軸23を構成してもよく、または、電動モータ18のモータ軸23と連動して回転するためにモータ軸23に同軸に取り付けられてもよい。
【0045】
駆動入力部16が出力軸20rに係合する、伝動軸22の第2伝動位置(図示略)に到達するため、オフセットキャリア28が回転軸30の回りに方向Wに揺動または旋回する。続いて、ウォーム26が第2のウォームホイール24rに係合することができる。この場合、伝動軸22が第1伝動位置および第2伝動位置との間の変位過程において、電動モータ18と一緒に動かされる。伝動軸22は、当該過程における揺動または旋回運動により、その延在方向または当該軸に対して実質的に横方向に動かされる。この運動は、2つの出力軸20l、20rに対して行われる。方向Wと反対方向への回動によって、伝動軸22は再び第1伝動位置に戻る。個々の出力軸20l、20rは独占的に、すなわち相互に個別かつ独立に各伝動位置に駆動される。
【0046】
出力軸20lが連動回転のためにウォームホイール24lに接続され、出力軸20rが連動回転のためにウォームホイール24rに接続されていることが好ましい。
【0047】
電動モータ18および伝動軸22の間の変位は、変速機構14の駆動入力部16であると考えることができる。ウォーム26は、好ましくは伝動軸22と共にオフセットキャリア28に配置されている。オフセットキャリア28は、オフセット機構32により回転軸30を中心に回動または旋回することができる。
【0048】
オフセットキャリア28を回転させないことも可能であるが、むしろ、例えばレールに沿って案内されることで当該キャリアを動かし、これによりウォームを一方のウォームホイールまたは他方のウォームホイールに接触させ、それぞれのウォームホイールのそれぞれを独占的に駆動してもよい。
【0049】
ウォームホイール24l、24rは、実質的にウォーム26のオフセット平面に配置されてもよい。しかし、ウォームホイール24l、24rは、当該オフセット平面に対して実質的に垂直に配置されてもよく、ウォームホイールの回転平面がオフセットキャリアの回動または旋回運動の回転軸線に交差してもよく、好ましくはその縦軸が当該回転軸線を通って延在するウォームが、連結のために旋回運動により2つのウォームホイールの間で駆動されてもよい。この実施形態においては(図示略)、ウォームホイールの軸は相互にある角度で傾斜しているので、相互にオフセットまたは隔離されて配置される。
【0050】
図2に示されている実施形態では、出力軸20l、20rが相互に平行にオフセットされるように配置されている。
【0051】
オフセット機構32は、ウォームギヤの位置決めウォーム36を駆動する付加的な電動モータ34を備えていることが好ましい。ウォームギヤは対応するウォームホイール38またはその一部であり、連動回転のためにオフセットキャリア28に連結され、あるいは一体的に形成されている。ほとんどの場合、オフセットキャリア28の揺動または旋回運動が小さい角度範囲でなされるので、ウォーム36に噛合する場合、ウォームホイール38の一部が十分な公差を有するラックに置換されてもよい。適当なガイドが存在する場合、この種の駆動機構は、オフセットキャリア28のオフセット並進のために用いられてもよい(前記参照)。オフセットキャリアが、例えば旋回運動および並進運動の組み合わせなどのより複雑な運動を実行する場合、これは並進駆動機構または旋回駆動機構の対応する組み合わせによって実現される。
【0052】
オフセット機構32にウォームギヤを設けることは、オフセット機構32が無電流でオフセットキャリア28の位置を維持することができることを意味する。
【0053】
オフセットキャリア28の位置が位置センサによって測定されることが好ましい。これは、制御ユニット(図示略)が第1伝動位置および第2伝動位置のうち一方または両方に対するオフセット機構32の接近を制御することができることを意味する。
【0054】
第1伝動位置および第2伝動位置のうち一方または両方に加えて、オフセット機構32は、当該2つの伝動位置の中間位置であって、伝動軸22に配置されているウォーム26がウォームホイールの24l、24rのいずれ係合していない中立位置に接近可能である(
図6参照)。中立位置への接近のため、必要に応じて制御ユニットと連携する前記位置センサが設けられていることが特に好ましい。
【0055】
例えば第1伝動位置に第2ウォームホイール24rを停止させるように構成されている第1制動機構40aが、オフセットキャリア28に設けられていることが好ましい。これは、ウォームホイール24rのピニオンに係合する構成によって実現される。
図2に示されている第2制動機構40bは、第2伝動位置において第1ウォームホイール24lの回転を防止するように構成されている。オフセットキャリア28に対する第2制動機構40bの相対位置は、当業者の試行錯誤により決定される。
【0056】
しかし、この種の制動機構の設置が省略されてもよい。当該制動機構がオフセットキャリア28のオフセット移動のためのエンドストッパとして機能してもよい。単一の制動機構が設けられている場合、オフセットキャリア28のオフセットを制限するためにストッパ42が設けられてもよく、この場合、これはオフセットキャリア28に堅固に接続されている電動モータ18のストッパにより構成される。
【0057】
オフィスチェアの構成要素に対して力が加えられるのではなく駆動力が調節装置に入力された場合のみに当該構成要素の調節の変更が可能であるという意味でセルフロックする調節装置に対して電気駆動ユニットが係合している場合、制動機構40a、40bのような制動機構が省略されてもよい。
【0058】
前述の電気駆動ユニットは、高さが小さく(投影面から外れる寸法)なるように平面的に構成されている。このため、座面4などのオフィスチェア2の表面の下方に配置される場合に適している。これは、座面およびシートロワーシェル44の間の空間、ひいてはシートロワーシェル44の内部の配置を意味する。この場合、特に回転駆動出力軸20rは、好ましくはシートカラム6の内側に配置され、座面の高さを調節可能なスピンドル機構またはスピンドル式駆動機構を駆動するために用いられてもよい。第2回転駆動出力軸20rは、座面またはバックレスト12の傾斜角度を変更するため、傘歯車およびウォームギヤのうち一方または両方と組み合わせられて用いられてもよい。
【0059】
歯によってウォームホイールと係合する前述の制動機構40a、40bに代えて、シャフト300が制動されるように構成される制動機構が、電磁石302が設けられ、さらにヒンジ機構306を有しているクランプ機構304を備えていてもよい。少なくとも1つの、好ましくは複数のブレーキパッド308がクランプ機構304の内側に、好ましくはシャフト300と一緒に回動しないように設けられている。制動機構が、無電流状態で制動することが意図されているか否かに応じて、電磁石302の無電流状態で制動効果が必要である際にブレーキパッド308がシャフト300に係合し、または、電磁石302の無電流状態でシャフト300に係合するブレーキパッド308が存在しないように、ばねまたはその他の付勢手段により当該制動機構がヒンジ機構306に対して付勢されてもよい。
【0060】
前者の場合、電磁石302のコイル302a、302bは、給電時に相互に反発するように構成され、後者の場合、電磁石300のコイル302a、302bは、給電時に相互に引き合うように構成されてもよい。
【0061】
このように、制動機構は、無電流状態または給電停止状態で制動する一方、給電状態で制動しない、あるいは、無電流状態または給電停止状態で制動しない一方、給電状態で制動してもよい。
【0062】
また、他の形態の制動機構が
図2に破線で示されている。この場合、電動モータ34がその出力軸35の軸線方向に変位可能に、かつ、比較的強いバネaによってストッパbに対して付勢するように取り付けられていてもよい。伝動軸22を駆動するために両方向に変化モータ34が通常回転している際、変化モータ34は好ましくは常にストッパbに当接したままである。第1伝動位置および第2伝動位置のうち一方またはそれぞれに到達した場合、変化モータ34はモータ電流を制限することによって自動的にオフにされる。しかし、図示されている変化モータ34の切り替え状態において、ブレーキボタンを押すことにより、または、所定の操作モードが指定されることにより、モータ電流の増大を伴って回転が継続する場合、位置決めウォーム36が、ばねaの付勢力に抗してモータ軸35を横切るようにストッパbから変化モータ34を離間させる。変化モータ34は、ポイントeに旋回または揺動可能に設置されているブレーキレバーdをストッパcを横切るように動かす。制動要素fがブレーキレバーdに設けられ、制動要素fはウォームホイール24rに当接してブレーキパッドまたはブレーキ歯により当該ウォームホイール24rを制動する。ウォームギヤ36、38の構成により、当該制動位置がオフセット機構32に電力を供給する必要がない制動状態のままであることに留意されたい。
【0063】
図1に示されている実施形態の代替的な実施形態の有意差が
図6に示されている。ウォーム26’がオフセットキャリア28から突出し、伝動軸22’がオフセット機構32’の回転軸30’と交差していてもよい。ウォームホイールセグメント38’はウォーム26’の反対側に配置されている。オフセット機構32’は、オフセット機構32に対応するように構成されていてもよい。他の実施形態において、オフセットキャリア28’は、第1伝動位置において第1ストッパ42’aに当接し、第2伝動位置において第2ストッパ42’bに当接してもよい。ストッパ42’a、42’bおよび
図2の実施形態のストッパ42への当接は、オフセット機構32’および32のそれぞれが制御される。
【0064】
なお、ウォームホイール24’l、24’rのサイズが異なっていてもよく、オフセット軸22’の回転および出力軸20’l、20’rの間の目標速度比を実現するため、歯の数が異なっていてもよいことに留意されたい。
【0065】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態では、第1実施形態とは異なる電気駆動ユニットがオフィスチェア2に適用され、当業者であれば力伝達機構を回転出力部の位置に適用することが可能である。
【0066】
本発明の第2実施形態では、電気駆動ユニットは、変速機構114と、モータシャフトとして構成されている駆動入力部116と、駆動入力部116に接続されている電動モータ118と、を備えている。変速機構114は、出力軸120a、120bとして構成されている2つの回転駆動出力部を備え、一方の回転駆動出力部はシート4の高さを調節するための調節装置を駆動し、他方の回転駆動出力部はシート4またはバックレスト12の傾きを調節するための調節装置を駆動する。変速機構114は、モータ軸と一致する伝動軸122を備えている。出力軸120aは、120bは同軸となるように構成されていることが好ましい。
【0067】
簡素な実施形態では、電動モータ118はガイド(図示略)に載置され、スピンドル機構または類似の機構によって+/−Z方向についてベース要素148(例えば、レール機構)に対して駆動されてもよい。その結果、伝動軸122は、
図3に示されている第1伝動位置および第2伝動位置の間の移動過程において、実質的に伝動軸122の方向(伝動軸122の軸線方向)に沿って変位することにより少なくとも1つの回転駆動出力部に対してオフセットされる。
【0068】
第1クロー式連結機構144a、144bのそれぞれの半分が、伝動軸122の両端に配置されていることが好ましい。それぞれ関連する第2クロー式連結機構146a、146bはそれぞれ出力軸120a、120bの対応する端部に配置され、当該出力軸は電動モータ118の駆動機構に対して固定されていることが好ましい。
図3に示されている伝動軸122の第1伝動位置において2つの第2クロー式連結機構144a、146aが相互に連結して出力軸120aが駆動される。同時に、第2クロー式連結機構144b、146bが、当該2つの連結機構半部が連結していないという意味で離間し、出力軸120aが独占的に駆動される(連結機構144a、146aが連結し、かつ、連結機構144b、146bが連結解除される)。第2伝動位置(図示略)に到達するため、第2クロー式連結機構144b、146bが前記のように相互に連結する一方で第2クロー式連結機構144a、146aが連結しないで離間するように、電動モータ118が、伝動軸122および第2クロー式連結機構144a、144bと一緒に−Z方向に動かされる。したがって、第2伝動位置において出力軸120bが独占的に駆動される。
【0069】
図3に示されているように、ベース要素148がチェアカラム6の構成要素として形成され、回転出力軸120aがオフィスチェア2の座面4の下方領域まで延在していてもよい。第1実施形態で説明したように駆動力をさらに分散させることができる。特に、電気駆動ユニットが全体的にチェアカラム6の内部に形成されるのみならず、変速機構および電動モータのうち少なくとも1つがチェアカラム6の内部に形成されてもよい。
【0070】
他の回転出力軸120bが、変速機構150によってスピンドル機構を駆動することができる。スピンドル機構は、雌ねじを有する外筒152と、雄ねじを有する内側スライド154と、を備え、外筒152が電動モータ118に逆らって回転することが防止されている。これは、外筒152のスロット156と、電動モータ118に対して実質的に固定されるように配置されているスロットナット158との間の接続によって実現される。当該構成は、セルフロック式スピンドル機構を実現する。