(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6884567
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】接続端子
(51)【国際特許分類】
H01R 4/38 20060101AFI20210531BHJP
H01L 23/34 20060101ALI20210531BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
H01R4/38 C
H01L23/34 A
H05K7/20 D
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-242908(P2016-242908)
(22)【出願日】2016年12月15日
(65)【公開番号】特開2018-98083(P2018-98083A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090310
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正俊
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一旗
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−289734(JP,A)
【文献】
特開2015−216024(JP,A)
【文献】
実開平04−131868(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0141770(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00−12/91
H01R24/00−24/86
H01L23/34
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に配置された電気発熱部品の複数の接続される部分にそれぞれ接触する複数の第1の舌片部が、互いの間に第1の隙間を有して一列に配置され、前記複数の第1の舌片部と異なる高さ位置に前記複数の第1の舌片部と離れて位置する第1の接続部に、第1の結合部を介して前記複数の第1の舌片部の一端が結合されている第1の部材と、
複数の第2の舌片部が、第2の隙間を有して一列に配置され、前記複数の第2の舌片部と異なる高さ位置に前記複数の第2の舌片部と離れて位置する第2の接続部に、第2の結合部を介して前記複数の第2の舌片部の一端が結合されている第2の部材とを有し、
前記第1の部材の前記複数の第1の舌片部それぞれの上に前記第2の部材の前記複数の第2の舌片部がそれぞれ接触して配置されている状態では、前記第1の部材の前記第1の接続部に前記第2の部材の第2の接続部が接触し、前記第1の隙間と前記第2の隙間の少なくとも一部が重なり合うとともに、前記第1の部材の前記第1の結合部と前記第2の部材の第2の結合部が間隔をおいて位置し、
第1及び第2の部材が伝導性及び伝熱性材料製である接続端子。
【請求項2】
請求項1記載の接続端子において、前記第1の結合部に、前記第1の隙間が延長され、前記第2の結合部に、前記第2の隙間が延長されている接続端子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の接続端子において、前記第1及び第2の結合部の少なくとも一方に、貫通した窓が形成されている接続端子。
【請求項4】
請求項1及至請求項3いずれか記載の接続端子において、前記第1及び第2の舌片部の少なくとも一方に貫通した窓が形成されている接続端子。
【請求項5】
請求項1及至請求項4いずれか記載の接続端子において、前記第1及び第2の舌片部には、一部が重なり合っている孔が形成されている接続端子。
【請求項6】
請求項1及至請求項5いずれか記載の接続用端子において、前記第1及び第2の接続部には、一部が重なり合っている孔が形成されている接続端子。
【請求項7】
請求項1及至請求項6いずれか記載の接続用端子において、前記第1の舌片部の上面及び第2の接続部の下面の少なくとも一方に凸部が形成されている接続用端子。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7いずれか記載の接続端子において、前記第1及び第2の部材は、同一形状である接続端子。
【請求項9】
請求項1及至請求項7いずれか記載の接続端子において、前記第1の結合部と前記第2の結合部とは、それぞれ屈曲されている接続端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体モジュールのような電気発熱部品
と接続する接続端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような接続端子としては、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1の接続端子では、逆U字状に形成された応力緩和部の2つの脚の下端からそれぞれ外方に同一直線上で水平に接続部を伸ばしてある。これら2つの接続部は、回路基板上に一列に配置されている2つの回路パターンにそれぞれはんだ付けされ、2つの接続部のうち一方は、更に外方に直線状に延長され、回路基板の外部に設けたブスバーにねじ止めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−64635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術を利用して、一列に配置された2つの電極を有する電気発熱部品、例えば半導体モジュールの或る電極を、例えば接続端子でブスバーに接続することが考えられる。しかし、この場合、接続端子は、半導体モジュールの2つの電極からの電流を流す必要性から、比較的厚みのある材料で製作することになる。この際、半導体モジュールの2つの電極の寸法の若干の相違や、接続端子の半導体モジュールへの取り付け角度が微妙に異なることがある。また、半導体モジュールの取り付けの際、半導体モジュールの電極の高さが微妙に異なることがある。このような場合、接続端子の取付時に半導体モジュールにストレスがかかる。また、接続端子が固定された状態で半導体モジュールが熱膨張すると、接続端子が電極を押圧する力が発生し、半導体モジュール内部で電極に接続されている半導体チップにその力が加えられ、半導体チップが破損する恐れがある。
【0005】
本発明は、電気発熱部品の複数の
接続される部分をそれぞれ共通の
部材に接続する際に、電気発熱部品にストレスがかかることなく、また電気発熱部品を充分に放熱することができる接続端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の接続端子は、第1及び第2の部材を有している。第1の部材は、複数の第1の舌片部と、第1の接続部と、第1の結合部とを有している。複数の第1の舌片部は、一列に配置された電気発熱部品の複数の
接続される部分にそれぞれ接触するもので、互いの間に第1の隙間を有して一列に配置されている。電気発熱部品としては、例えば半導体モジュールを使用することができる。第1の接続部は、前記複数の第1の舌片部と異なる高さ位置に前記複数の第1の舌片部と離れて位置している。第1の結合部は、前記複数の第1の舌片部の一端と第1の接続部の一端とを結合している。第2の部材も、複数の第2の舌片部と、第2の接続部と、第2の結合部とを有している。複数の第2の舌片部は、第2の隙間を有して一列に配置されている。第2の接続部は、前記複数の第2の舌片部と異なる高さ位置に前記複数の第2の舌片部と離れて位置している。第2の結合部が、第2の接続部の一端に前記複数の第2の舌片部の一端を結合している。第1及び第2の接続部の位置は、第1及び第2の結合部を中心として第1及び第2の舌片部と反対側あるいは同一側にそれぞれある。前記第1の部材の前記複数の第1の舌片部それぞれの上に前記第2の部材の前記複数の第2の舌片部がそれぞれ接触して配置されている状態では、前記第1の部材の前記第1の接続部に前記第2の部材の第2の接続部が接触し、前記第1の隙間と前記第2の隙間の少なくとも一部が重なり合うとともに、前記第1の部材の前記第1の結合部と前記第2の部材の第2の結合部が間隔をおいて位置している。第1及び第2の部材は、伝導性及び伝熱性材料、例えば銅製である。
【0007】
このように構成された接続端子では、電気発熱部品が発熱して、その熱は、接続端子に伝達される。接続端子に伝達された熱は、放熱面積が大きく、放熱効果が高い第1及び第2の結合部の表面から主にそれぞれ放熱される。しかも、第1及び第2の結合部は間隔をあけて位置しているので、第1及び第2の結合部間を空気が良好に流れ、益々放熱効果が高くなる。また、各電気発熱部品が発熱して膨張し、その膨張が電気発熱部品の
接続される部分ごとに差があっても、第1の舌片部間には第1の隙間があるので、第1の舌片部は互いに独立して撓むことで膨張を吸収できるので、
接続される部分ごとの膨張差を吸収する。各第1の舌片部には各第2の舌片部が接触しているが、各第2の舌片部間にも、第1の隙間と同様に第2の隙間があり、第2の隙間は、少なくとも一部が第1の隙間と重なり合っているので、第2の舌片部も第1の舌片部と同じように撓むことで膨張差を吸収できる。従って、放熱効果を高めることができる上に、熱膨張差を吸収して電気発熱部品にストレスがかかることを確実に阻止することができる。また、第1及び第2の部材を組み合わせて使用しているので、電気発熱部品が大電流を流すものであっても、充分に対応できる。
【0008】
前記第1の結合部に、前記第1の隙間を延長し、前記第2の結合部に、前記第2の隙間を延長することもできる。このように構成すると、第1及び第2の舌片部それぞれが撓みやすくなり、電気発熱部品の膨張を確実に吸収することができる。
【0009】
前記第1及び第2の結合部の少なくとも一方に、貫通した窓を形成することもできる。即ち、窓は、第1の結合部のみに、あるいは第2の結合部のみに、または第1及び第2の結合部の両方に形成することができる。また、窓の形状は任意である。このように構成すると、間隔をおいて配置された第1及び第2の結合部間の空気の流通量が増加して放熱効果を更に高めることができる。
【0010】
前記第1及び第2の舌片部の少なくとも一方に貫通した窓を前記第1及び第2の結合部一端に沿って形成することもできる。即ち、窓は、第1の舌片部のみに、あるいは第2の舌片部のみに、または第1及び第2の舌片部の両方に形成することができる。また、窓の形状は任意である。このように構成した場合も、第1及び第2の舌片部の下に位置する空気を、間隔をおいて配置された第1及び第2の結合部間に流入させることができ、空気の流通量が増加することで放熱効果を更に高めることができる。
【0011】
前記第1及び第2の舌片部には、一部が重なり合っている孔を形成することができる。このように構成すると、一部が重なり合っている孔を利用して、第1及び第2の舌片部を電気発熱部品の
接続される部分に接続することができる。孔は、円形の孔、長孔、矩形の孔等種々の形状のものを使用でき
る。
【0012】
前記第1及び第2の接続部には、一部が重なり合っている孔を形成することができる。このように構成すると、一部が重なり合っている孔を利用して、第1及び第2の接続部をブスバーや接続ラインに接続することができる。孔は、円形の孔、長孔、矩形の孔等種々の形状のものを使用できる。
【0013】
前記第1の舌片部の上面及び第2の接続部の下面の少なくとも一方に凸部を形成することもできる。このように構成すると、第1の舌片部の上面の凸部を第2の結合部の下端に接触させるか、第2の接続部の下面の凸部を第1の結合部の上端に接触させることによって、第1及び第2の結合部間の間隔を予め定めた間隔に維持することができる。即ち、第1及び第2の部材間の位置決めを容易に行える。
【0014】
前記第1及び第2の部材を、同一形状とすることもできる。このように構成すると、第1及び第2の部材を個別に製造する必要が無いので、第1及び第2の部材の製造が容易になり、製造費用を抑えることができる。
【0015】
前記第1の結合部と前記第2の結合部とを、それぞれ屈曲することができる。このように構成すると、第1及び第2の接続部の取付角度を自由に設定することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明による接続端子では、電気発熱部品の複数の
接続される部分を共通の
部材に接続する際に、電気発熱部品に熱によるストレスがかかることなく、かつ接続端子から充分に放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態の接続端子の平面図、側面図及び正面図である。
【
図2】
図1の接続端子において使用する第1の部材の平面図である。
【
図3】
図1の接続端子において使用する第1の部材の斜視図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態の接続端子において使用する第1の部材の背面図、平面図及び側面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態の接続端子において使用する第1の部材の斜視図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態の接続端子の側面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態の接続端子の斜視図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態の接続端子において使用する第1の部材の斜視図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態の接続端子において使用する第1の部材の斜視図である。
【
図10】本発明の第5の実施形態の接続端子の側面図である。
【
図11】本発明の第6の実施形態の接続端子の側面図である。
【
図12】本発明の第7の実施形態の接続端子の側面図及び正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1乃至
図3に第1の実施形態の接続端子を示す。この接続端子は、
図1(a)乃至(c)に示すように、第1及び第2の部材2a、2bからなる。第1及び第2の部材2a、2bは、電気発熱部品、例えば半導体モジュール6の2つの
接続される部分、例えば電極8を、共通の接続ライン、例えばブスバーに接続するために使用される。なお、半導体モジュール6は、電極8が間隔をおいて一列に配置されて取り付けられている。第1及び第2の部材2a、2bは、熱伝導性及び導電性が良好な材料、例えば銅製で、同一形状に形成されている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、第1の部材2aは、第1の舌片部14aを有している。第1の舌片部14aは、半導体モジュール6の2つの電極8に対応して2つ設けられ、その配置は、電極8に対応して一列に配置されている。これら第1の舌片部14aは、電極8の全面に接触可能な大きさの矩形に形成され、電極8の配列方向に平行な2つの縁と、電極8の配列方向に直交する2つの縁を有している。
【0020】
2つの第1の舌片部14a、14aの間、例えば電極8の配列方向に直交する縁の隣接するもの間には、所定の第1の隙間16aが形成されている。第1の隙間16aが形成されていることにより、第1の舌片部14a、14aは、それぞれ独立して撓むことが可能である。特に、半導体モジュール6に印加される電流は、第1及び第2の部材2a、2bに分かれて流れるので、第1及び第2の部材2a、2bは、単独の接続端子で電流を流す場合よりも厚みを薄くすることができ、例えば単独の接続端子の場合、厚みは3mm程度となるが、第1及び第2の部材2a、2bの厚みは1.5mm乃至0.3mm程度、具体的には0.8mmと薄くすることができる。厚みが薄い分だけ、第1の舌片部14a、14aはより多く撓むことが可能である。
【0021】
これら第1の舌片部14aの中央には、第1の舌片部14aを半導体モジュール6の電極8に接続するための孔18aが、第1の舌片部14aの表裏方向に貫通するように形成されている。これら孔18aは、その長さ方向が、電極8の配列方向に直交するように配置されている。
【0022】
第1の舌片部14a、14aにおける電極8の配列方向に平行な2つの縁のうち一方の縁から、第1の舌片部14a、14aに対して上方に向かって第1の結合部20aが伸延している。第1の結合部20aも矩形に形成され、第1の舌片部14aと同じ厚さである。
図3に示すように、第1の結合部20aにおける第1の舌片部14aとの連結縁から上方に向かって第1の隙間16aを延長した第1の延長隙間22aが形成されている。第1の延長隙間22aの長さは、僅かでもよいし、第1の結合部20aの中心付近まで延長してもよい。第1の結合部20aにも第1の隙間16aが延長されているので、第1の舌片部14a、14aは、より撓みやすくなっている。
【0023】
第1の結合部20aの第1の舌片部14aと結合されている縁とは反対側の縁、即ち上縁には、第1の接続部24aが形成されている。第1の接続部24aは、第1の舌片部14aとは、結合部20aを中心に反対方向に延びており、その形状は矩形である。第1の接続部24aの中央には、第1の接続部24aを、配線ライン、例えばブスバー(図示せず)に接続するための孔26aが、第1の接続部24aの表裏方向に貫通して形成されている。この孔26aの長さ方向が孔18aと同じ長さ方向である。
【0024】
第1の舌片部14a、第1の結合部20a、第1の接続部24aは、1枚の矩形の銅板の両端を折り曲げることによって製造することができる。但し、孔18a、26a、第1の隙間18a及び延長隙間22aを予め形成してから、折り曲げる。
【0025】
第2の部材2bも、第1の部材2aと同一構造であるので、同一構成要素には末尾の添え字をaからbに変更した符号を付して、その説明を省略する。
【0026】
これら第1及び第2の部材2a、2bは、
図1(a)乃至(c)に示すようにして、半導体モジュール6の電極8を、それぞれブスバーに接続している。即ち、第1の部材2aの第1の舌片部14a、14aを半導体モジュール6上の電極8、8上に配置し、第2の部材2bの第2の舌片部14b、14bを、第1の舌片部14a、14a上に一部を重ねて配置してある。このとき、第1の結合部20aと第2の結合部20bとが同じ側に位置するように重ねてある。この状態で、孔18aと18bとが重なって両者の間に、電極8を第1及び第2の舌片部14a、14bに接続するためのボルト28を挿通可能な間隙がそれぞれ形成されるように、第1及び第2の舌片部14a、14bが重ねられている。この状態では、第1及び第2の結合部20a、20b間には
図1(b)に示すように所定の間隔があけられており、第1及び第2の接続部24a、24bの一部が重なり合っており、更に孔26a、26b間にも、第1及び第2の接続部24a、24bとブスバーとを接続するためのボルト(図示せず)を挿通するための間隙が形成されている。また、第1及び第2の隙間16a、16bは、
図1(a)に示すように一部が重なり合っている。
【0027】
第1及び第2の部材2a、2bによって半導体モジュール6の電極8をブスバーに接続した場合、半導体モジュール6が発熱して膨張すると、第1及び第2の舌片部14a、14bが上下方向に異なる高さに撓む。第1及び第2の隙間16a、16bによって第1の舌片部14a同士、第2の舌片部14b同士は互いに独立して上下方向に撓むことが可能で、半導体モジュール6にストレスがかかり難くなる。また、第1の舌片部14a同士、第2の舌片部14b同士は独立して撓むので、電極8の高さが微妙に異なっていても、第1の舌片部14a、14aと電極8の接続位置の高さが変化できるので、その影響を受けず、半導体モジュール6にストレスがかかることがない。第2の舌片部14bでも同様である。さらに、第1の隙間16aは延長部22aによって第1の結合部20a側まで延長され、第2の隙間16bも延長部22bによって第2の結合部20bまで延長されているので、第1の舌片部14a、第2の舌片部14bはより撓みやすくなっており、第1及び第2の舌片部14a、14bの一部が重なり合っていて、充分に半導体モジュール6の発熱に追従して、互いに独立して撓む。従って、半導体モジュール6にストレスが更にかかり難くなる。第1及び第2の舌片部は、それぞれの厚みが薄く撓み易いために、単独の接続端子を用いる場合よりも多く撓むことが可能である。しかも、重ねて厚みを厚くしているため、より電流容量を大きくすることができる。
【0028】
また、半導体モジュール6が発生した熱は、第1及び第2の部材2a、2bに伝達され放熱される。特に、第1及び第2の結合部20a、20bは、放熱面積が大きく、互いに離れて位置しているので放熱効果が高い。しかも、第1及び第2の結合部20a、20b間を空気が流通しやすいので、更に放熱効果を高めることができる。
【0029】
本発明の第2の実施形態の接続端子を
図4乃至
図7に示す。この接続端子も、同一形状の第1の部材102aと、第2の部材102bとを有している。従って、第1の部材の構成について詳細に説明し、第2の部材102bについては、第1の部材102aの構成要素に付した符号の末尾の文字aに代えてbを付して、説明を省略する。
【0030】
第1の部材102aも、第1の実施形態の第1の部材2aと同様に、第1の舌片部114a、第1の結合部120a、第1の接続部124aを有している。第1の舌片部114aは、半導体モジュールの3つの電極8に対応するために、3つ一列に配置されている。それぞれには、孔118aが形成されている。また、3つの第1の舌片部114aの間に、合計2つの第1の隙間116aが形成され、これら第1の隙間116aを延長した第1の延長隙間122aが、第1の結合部120aに形成されている。第1の結合部120aは、
図5に示すように水平な上縁が中途から斜めに切断されて台形状に形成されている。第1の接続部124aは、第1の結合部120aの水平な上縁の非切断部分に形成され、第1の結合部120aの傾斜部側の縁が傾斜部側と反対側に切断されて、傾斜縁とされている。第1の接続部124aには、孔126aが形成されている。
【0031】
第1及び第2の部材102a、102bは、
図6及び
図7に示すように、第1及び第2の結合部120a、120b間に間隔をおいて、組み合わされる。このとき、孔118a、118bの一部が重なり合い、かつ孔26a、26bの一部が重なり合い、第1及び第2の隙間116a、116bの一部が重なり合っている。
【0032】
この接続端子においても、第1の実施形態の接続端子と同様に、半導体モジュールへのストレスを緩和することができる上に、放熱効果を高めることができる。
【0033】
第3の実施形態の接続端子の第1の部材302aを
図8に示す。この実施形態の接続端子では、第1の舌片部14aの第1の間隙16aを第1の結合部20a側に延長せずに、第1の結合部20aに窓304を形成してある。窓304は、矩形のもので、第1の結合部20aにおける第1の舌片部14aとの境界から上方に形成されている。窓304は、第1の隙間16aの両側に均等に位置している。図示していないが、第2の部材も、第1の部材202aと同様に形成し、第1の実施形態の接続端子と同様に使用する。この場合、窓304が形成されているので、この窓304を介して空気の流通が促進され、放熱効果を高められる。なお、第1の部材302aと共に使用する第2の部材として第1の実施形態の第2の部材2bを利用することも可能である。逆に、第1の実施形態の第1の部材2aと、この実施形態の第1の部材302aを第2の部材として使用することもできる。また、窓304は矩形に形成したが、これに限らず、例えば長孔や円形状に形成することもできる。
【0034】
第4の実施形態の第1の部材402aを
図9に示す。第4の実施形態の接続端子の第1の部材402aでは、第3の実施形態の接続端子302aにおいて第1の舌片部14aに窓404を形成したものである。窓404は、第1の舌片部14aの第1の結合部20a側の縁から第1の結合部20aと反対側に形成された矩形のもので、第1の隙間16aの両側に均等に位置している。なお、その幅寸法(第1の結合部20aの長縁方向の長さ)は、窓304の幅寸法(第1の結合部20aの長縁方向の長さ)よりも短い。図示していないが、第2の部材も、第1の部材402aと同様に形成し、第1の実施形態の接続端子と同様に使用する。この場合、窓304の他に、窓404も形成されているので、窓304、404を介して空気の流通が促進され、放熱効果を第3の実施形態の接続端子よりも高められる。なお、第1の部材402aと共に使用する第2の部材として第1の実施形態の第2の部材2bを利用することも可能である。逆に、第1の実施形態の第1の部材2aと、この実施形態の第1の部材402aを第2の部材として使用することもできる。窓304を除去し、窓404のみを形成することもできる。窓404も矩形に限らず、例えば長孔、円形状に形成することもできる。
【0035】
第5の実施形態の接続端子を
図10に示す。この実施形態の接続端子の第1及び第2の部材502a、502bは、第2の実施形態の第1及び第2の部材102a、102bと同様に、第1及び第2の舌片部114a、114b、第1及び第2の結合部120a、120b及び第1及び第2の接続部124a、124bで構成されており、更に、第1及び第2の舌片部側凸部504a、504bと、第1及び第2の接続部側凸部506a、506bとが形成されている。
【0036】
第1の舌片部側凸部504aは、3つの第1の舌片部114aそれぞれに或いは3つの第1の舌片部114aのうち両外側に位置するものの上面に、それぞれ形成されている。これらは、例えば第1の舌片部114aを切り起こすことに形成することができる。第2の舌片部側凸部504bも同一に構成されている。
【0037】
第1の接続部側凸部506aは、第1の接続部124aの下面に1つ、或いは所定の間隔を第1の結合部120aの長さ方向にあけて複数形成されている。第1の接続部側凸部506aも第1の接続部124aを切り起こすことによって形成されている。第2の接続部側凸部506bも同一に構成されている。但し、第1及び第2の舌片側凸部504a、504b、第1及び第2の接続部側凸部506a、506bの形成位置は、第1及び第2の部材502a、502bを
図10に示すように第1及び第2の結合部120a、120b間に所定の間隔をおいて組み合わせたときに、第1の舌片側凸部504aが第2の結合部120bの第2の接続部124b側の面に接触し、第2の接続部側凸部506bが第1の結合部120aの第1の接続部124aと反対側の面に接触するように、設定されている。このように構成すると、第1及び第2の部材502a、502bの位置決めが容易に行える。なお、第1及び第2の部材502aと502bとを同一形状にして製造を容易にする必要の無い場合には、第2の舌片部側凸部504bと、第1の接続部側凸部506aとは、形成する必要はない。
【0038】
この実施形態では、第1及び第2の舌片部側凸部504a、504b、第1及び第2の接続部側凸部506a、506bは、第2の実施形態の接続端子に設けたが、第1及び第4の実施形態の接続端子に設けることもできる。
【0039】
第6の実施形態の接続端子を
図11に示す。この実施形態の接続端子では、第1及び第2の部材602a、602bの第1及び第2の接続部624a、624bが、第1及び第2の舌片部14a、14b側に位置している以外、第1の実施形態の接続端子と同様に構成されている。なお、他の実施形態において、第1及び第2の接続部を、第1及び第2の舌片部側に位置させることもできる。
【0040】
第7の実施形態の接続端子を
図12(a)、(b)に示す。第1及び第2の部材202a、202bの第1及び第2の結合部220a、220bは、第1及び第2の屈曲部221a、221bで第1及び第2の舌片部14a、14bと反対方向に屈曲されている。また、第1及び第2の接続部224a、224bは、第1及び第2の折り曲げ部222a、222bで上方に折り曲げて形成されている。第1及び第2の接続部の孔226a、226bも、第1及び第2の接続部の中心に形成されている。他の構成は、第1の実施形態と同一に構成されているので、同一部分には同一符号を付して、説明を省略する。
【0041】
この接続端子では、第1及び第2の接続部224a、224bの角度を自由に決めることができるので、ブスバーがどのような角度で配置されていても、第1及び第2の接続部224a、224bと接続することができる。
【0042】
上記の各実施形態では、電気発熱素子として半導体モジュールを使用したが、半導体モジュール以外の電気部品を使用することもできるし、複数の電極を有するモジュールではなく、互いに独立した複数の電気部品を一列に配置することもできる。上記の第1乃至第6実施形態では、第1及び第2の部材を同一形状としたが、これは両者の製造を容易にするためで、第1及び第2の部材を異なる形状とすることもできる。また、各実施形態では、第1及び第2の舌片部を矩形形状としたが、これに限ったものではなく、電気発熱部品の
接続される部分に接触可能な形状であれば、他の形状とすることもできる。また、第1乃至第4、第6乃至第7の実施形態では、第1及び第2の結合部を平坦な板状としたが、第1の結合部を第1の舌片部と反対側に凸に、第2の結合部を第2の舌片部側に凸に、それぞれ湾曲させることもできる。各実施形態において、孔の形状は、長孔や円孔、多角形孔とすることもできる。また、各実施形態では、第1及び第2の舌片部に隙間を形成しているが、これに限ったものではなく、第1及び第2の接続部に隙間を形成してもよい。接続部に形成した隙間によって接続部にストレスがかかり難くすることができる。
【符号の説明】
【0043】
2a 2b 第1及び第2の部材
6 半導体モジュール(電気発熱部品)
8 電極(
接続される部分)
14a 14b 第1及び第2の舌片部
16a 16b 第1及び第2の隙間
20a 20b 第1及び第2の結合部
24a 24b 第1及び第2の接続部