(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記着座判定部は、前記シート温度が前記外気温に基づく閾値温度よりも低い場合に未着座と判定し、前記シート温度が前記閾値温度よりも高い場合に着座と判定することを特徴とする請求項1に記載のシートヒータの制御装置。
前記着座判定部は、前記外気温が取得されてから前記外気温に基づく経過時間が経過した時点における前記シート温度が、閾値温度よりも低い場合に未着座と判定し、前記シート温度が前記閾値温度よりも高い場合に着座と判定することを特徴とする請求項1に記載のシートヒータの制御装置。
前記外気温、前記外気温が取得されてからの経過時間、および前記シート温度を関連付けたテーブルを記憶する記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項4または5に記載のシートヒータの制御装置。
前記着座判定部は、前記シート温度の温度上昇率が前記外気温に基づく閾値速度よりも小さい場合に未着座と判定し、前記温度上昇率が前記閾値速度よりも大きい場合に着座と判定することを特徴とする請求項1に記載のシートヒータの制御装置。
前記外気温および前記シート温度の温度上昇率を関連付けたテーブルを記憶する記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項7または8に記載のシートヒータの制御装置。
前記シートヒータのヒータ素子に一端が接続され、バッテリに他端が接続されたヒータスイッチをさらに備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のシートヒータの制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、二輪車(バイク)、スノーモービル、ゴルフカート等のように、シートの表面が外気に直接触れる車両の場合、シート温度は外気温の影響を強く受ける。このため、特許文献1の手法では、適切な着座判定およびシートヒータの通電制御を行えないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、シート表面が外気に直接触れる場合であっても、適切な着座判定およびシートヒータの通電制御を行うことが可能なシートヒータの制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシートヒータの制御装置は、
車両に設けられたシートの表面を暖めるシートヒータを制御するための制御装置であって、
前記車両の外気温を取得する外気温取得部と、
前記シートのシート温度を取得するシート温度取得部と、
前記外気温および前記シート温度に基づいて、乗員の着座または未着座を判定する着座判定部と、
未着座と判定された場合、前記シートヒータを停止するための制御信号を出力する制御信号出力部と、を有する制御部を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記着座判定部は、前記シート温度が前記外気温に基づく閾値温度よりも低い場合に未着座と判定し、前記シート温度が前記閾値温度よりも高い場合に着座と判定するようにしてもよい。
【0008】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記閾値温度は、前記外気温が高いほど高いようにしてもよい。
【0009】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記着座判定部は、前記外気温が取得されてから前記外気温に基づく経過時間が経過した時点における前記シート温度が、閾値温度よりも低い場合に未着座と判定し、前記シート温度が前記閾値温度よりも高い場合に着座と判定するようにしてもよい。
【0010】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記経過時間は、前記外気温が高いほど短いようにしてもよい。
【0011】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記外気温、前記外気温が取得されてからの経過時間、および前記シート温度を関連付けたテーブルを記憶する記憶部をさらに備えてもよい。
【0012】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記着座判定部は、前記シート温度の温度上昇率が前記外気温に基づく閾値速度よりも小さい場合に未着座と判定し、前記温度上昇率が前記閾値速度よりも大きい場合に着座と判定するようにしてもよい。
【0013】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記閾値速度は、前記外気温が高いほど小さいようにしてもよい。
【0014】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記外気温および前記シート温度の温度上昇率を関連付けたテーブルを記憶する記憶部をさらに備えてもよい。
【0015】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記シートの表面は、複数のシート領域から構成されており、前記各シート領域にヒータ素子がそれぞれ設けられており、
前記シート温度取得部は、前記各シート領域のシート温度を取得し、
前記着座判定部は、前記各シート領域について、前記外気温および前記シート領域のシート温度に基づいて乗員の着座または未着座を判定し、
前記制御信号出力部は、未着座と判定されたシート領域がある場合、当該シート領域のヒータ素子を停止するための制御信号を出力するようにしてもよい。
【0016】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記外気温取得部は、前記車両の発熱体から離れた位置に設けられた外気温センサで測定された温度を取得するようにしてもよい。
【0017】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記シートヒータのヒータ素子に一端が接続され、バッテリに他端が接続されたヒータスイッチをさらに備えてもよい。
【0018】
また、前記シートヒータの制御装置において、
前記車両は二輪車、スノーモービルまたはゴルフカートであってもよい。
【0019】
本発明に係るシートヒータの制御方法は、
車両に設けられたシートの表面を暖めるシートヒータを制御するための制御方法であって、
外気温取得部が、前記車両の外気温を取得し、
シート温度取得部が、前記シートのシート温度を取得し、
着座判定部が、前記外気温および前記シート温度に基づいて、乗員の着座または未着座を判定し、
制御信号出力部が、未着座と判定された場合、前記シートヒータを停止するための制御信号を出力する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、外気温およびシート温度に基づいて乗員の着座または未着座を判定し、未着座と判定された場合にシートヒータを停止するための制御信号を出力する。よって、本発明によれば、シート表面が外気に直接触れる場合であっても、適切な着座判定およびシートヒータの通電制御を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るシートヒータシステム1について、
図1〜
図4を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係るシートヒータシステム1は、
図1に示すように、制御装置100と、車両のシート500に設けられたシートヒータ200と、外気温を測定する外気温センサ300とを備えている。
【0025】
まず、車両に設けられたシート500について説明する。本実施形態では、シート500は、
図3に示すように、二輪車(バイク)の座席である。このシート500は、シート表面として、座面500aおよび背もたれ(バックレスト)面500bを有する。座面500aおよび背もたれ面500bは、外気に直接触れる部位である。なお、シート500は、背もたれ面500bを有さなくてもよい。また、本発明において車両は、シート表面が外気に直接触れる車両であれば、バイクに限定されない。例えば、スノーモービル、ゴルフカート等であってもよい。
【0026】
シート500の表面は、
図3に示すように、複数のシート領域A1,A2,A3から構成されている。各シート領域A1,A2,A3には、ヒータ素子210,220,230がそれぞれ設けられている。なお、シート領域の数は3つに限らず、1つまたは2つでもよいし、あるいは4つ以上でもよい。
【0027】
次に、シート500の表面を暖めるシートヒータ200について説明する。
【0028】
シートヒータ200は、
図1に示すように、ヒータ素子210,220,230と、シート温度センサ240,250,260と、を有する。ヒータ素子210,220,230は、通電によりシート500の表面を暖めるように構成されている。ヒータ素子210はシート領域A1を暖め、ヒータ素子220はシート領域A2を暖め、ヒータ素子230はシート領域A3を暖めるように各々配置されている。
【0029】
ヒータ素子210は、一端がバッテリBの正極に接続され、他端がヒータスイッチ21の端子(本実施形態ではMOSFETのドレイン端子)に接続されている。同様に、ヒータ素子220は、一端がバッテリBの正極に接続され、他端がヒータスイッチ22の端子に接続されている。また、ヒータ素子230は、一端がバッテリBの正極に接続され、他端がヒータスイッチ23の端子に接続されている。
【0030】
シート温度センサ240,250,260は、シート500のシート温度を測定する。より詳しくは、シート温度センサ240はシート領域A1の温度を測定し、シート温度センサ250はシート領域A2の温度を測定し、シート温度センサ260はシート領域A3の温度を測定する。なお、シート温度センサ240,250,260は、例えばサーミスタにより構成される。
【0031】
外気温センサ300は、車両の外気温を測定するためのセンサであり、例えばサーミスタにより構成される。この外気温センサ300は、外気温をできるだけ正確に測定するため、エンジン等の発熱体から離れた位置(例えばメーター、リアフェンダー等)に設けられる。
【0032】
次に、シートヒータ200を制御する制御装置100について説明する。
【0033】
制御装置100は、シートヒータ200(ヒータ素子210,220,230)を制御し、シート500の表面温度(シート温度)を調整するように構成されている。この制御装置100は、
図1に示すように、制御部10と、シートヒータ200を駆動する駆動部20と、シート温度を検出する検出回路31,32,33と、外気温を検出する検出回路34と、記憶部40とを有している。例えば、制御装置100は、車両のECU(Electronic Control Unit)内に設けられる。
【0034】
制御部10は、検出回路31〜33,34から出力された検出信号(温度情報)を入力するとともに、駆動部20に制御信号(ゲート信号)を出力する。また、制御部10は、記憶部40にアクセスして情報の読み出しや書き込みを行う。制御部10は、例えばマイクロプロセッサにより構成される。
【0035】
駆動部20は、シートヒータ200のヒータ素子210,220,230に電流を流すためのヒータスイッチ21,22,23を有する。本実施形態では、ヒータスイッチ21,22,23は、N型MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect−Transistor)である。
図1に示すように、ヒータスイッチ21,22,23のソース端子Sは、バッテリBの負極に電気的に接続されている。一方、ヒータスイッチ21,22,23のドレイン端子Dは、ヒータ素子210,220,230にそれぞれ電気的に接続されている。
【0036】
ヒータ素子210,220,230を停止するための制御信号は、本実施形態では、N型MOSFETをオフ状態にするLレベル信号である。
【0037】
なお、ヒータスイッチ21,22,23は、MOSFETに限られず、バイポーラトランジスタ等、他の半導体スイッチでもよいし、あるいは、コンタクタ等のメカニカルスイッチでもよい。
【0038】
また、ヒータスイッチ21,22,23は、ヒータ素子210,220,230と、バッテリBの正極との間に設けられてもよい。
【0039】
検出回路31,32,33,34は、例えば分圧回路により構成され、温度センサにより測定された温度に応じた電圧を出力する。検出回路31,32,33は、シートヒータ200のシート温度センサ240,250,260に接続されている。より詳しくは、
図1に示すように、検出回路31,32,33の入力端子は、シート温度センサ240,250,260にそれぞれ接続されている。検出回路31,32,33の出力端子は、制御部10に接続されている。
【0040】
検出回路34は、外気温センサ300に接続されている。より詳しくは、検出回路34の入力端子は外気温センサ300に接続され、出力端子は制御部10に接続されている。
【0041】
記憶部40は、パラメータテーブル等の各種情報を記憶する。このパラメータテーブルは、
図4に示すように、外気温、経過時間およびシート温度を関連付けたテーブルである。本願において、経過時間とは、外気温が制御部10により取得されてから経過した時間である。テーブル中のパラメータの大小関係は、例えば、外気温についてT1<T2、経過時間についてt1>t2>t3、シート温度についてST1<ST2<ST3である。
【0042】
記憶部40は、例えば不揮発性の半導体メモリから構成される。なお、記憶部40は、制御部10の動作プログラム等の他の情報を記憶してもよい。
【0043】
次に、
図2を参照して、制御部10の詳細について説明する。
【0044】
制御部10は、
図2に示すように、外気温取得部11と、シート温度取得部12と、着座判定部13と、制御信号出力部14とを有している。なお、これら各部は、ハードウェアにより構成されてもよいし、制御部10がプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0045】
外気温取得部11は、外気温センサ300で測定された、車両の外気温を取得する。より詳しくは、外気温取得部11は、外気温センサ300に接続された検出回路34から出力された電圧により、車両の外気温を取得する。
【0046】
シート温度取得部12は、シート500のシート温度を取得する。より詳しくは、シート温度取得部12は、検出回路31,32,33から出力された電圧により、シート500のシート領域A1,A2,A3の温度をそれぞれ取得する。
【0047】
着座判定部13は、外気温取得部11により取得された外気温と、シート温度取得部12により取得されたシート温度とに基づいて、乗員の着座または未着座を判定する。具体的な判定方法については後述する。
【0048】
制御信号出力部14は、駆動部20に制御信号を出力する。この制御信号出力部14は、着座判定部13により未着座と判定された場合、シートヒータ200を停止するための制御信号を駆動部20に出力する。すなわち、制御信号出力部14は、着座判定部13により未着座と判定された場合、ヒータ素子210,220および230のうち少なくとも一つのヒータ素子を停止するための制御信号を駆動部20に出力する。より詳しくは、制御信号出力部14は、未着座と判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を停止するための制御信号を駆動部20に出力する。すなわち、制御信号出力部14は、未着座と判定されたシート領域がある場合、当該シート領域のヒータ素子を停止するための制御信号を出力する。このようにすることで、未着座と判定されたシート領域のヒータ素子のみを停止することができる。
【0049】
次に、制御装置100の動作フローについて、
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0050】
まず、制御部10の制御信号出力部14が、ヒータスイッチ21,22,23にオン信号(Hレベル信号)を出力し、ヒータスイッチ21,22,23をオンにする(ステップS1)。これにより、シート500のシート領域A1,A2,A3が暖められ始める。
【0051】
次に、制御部10の外気温取得部11が、車両の外気温を取得する(ステップS2)。より詳しくは、外気温取得部11は、検出回路34から受信した電圧に基づいて外気温を取得する。
【0052】
次に、制御部10が、外気温取得部11により取得された外気温がT1℃以下であるか否かを判定する(ステップS3)。そして、外気温がT1℃以下の場合(S3;Yes)、ステップS4に進み、外気温がT1℃より高い場合(S3;No)、ステップS10に進む。
【0053】
外気温がT1℃以下の場合(S3;Yes)、外気温取得部11が外気温を取得してから時間t1秒が経過した後、制御部10のシート温度取得部12はシート温度を取得する(ステップS4)。より詳しくは、シート温度取得部12は、検出回路31,32,33から出力された電圧により、シート500のシート領域A1,A2,A3の温度をそれぞれ取得する。なお、時間t1の値は、制御部10が記憶部40のパラメータテーブルから取得する。
【0054】
そして、制御部10が、シート温度取得部12により取得されたシート温度がST1℃以下であるか否かを判定する(ステップS5)。なお、閾値温度ST1の値は、制御部10が記憶部40のパラメータテーブルから取得する。
【0055】
シート温度がST1℃以下である場合(ステップS5;Yes)、制御部10の着座判定部13は、シート領域が未着座部位であると判定する(ステップS6)。より詳しくは、シート領域A1のシート温度がST1℃以下の場合、着座判定部13はシート領域A1が未着座部位であると判定する。同様に、シート領域A2のシート温度がST1℃以下の場合、着座判定部13はシート領域A2が未着座部位であると判定する。また、シート領域A3のシート温度がST1℃以下の場合、着座判定部13はシート領域A3が未着座部位であると判定する。
【0056】
その後、制御部10の制御信号出力部14は、未着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を停止する(ステップS7)。より詳しくは、シート領域A1が未着座部位であると判定された場合、制御信号出力部14は、ヒータスイッチ21にオフ信号(Lレベル信号)を出力し、ヒータスイッチ21をオフにする。同様に、シート領域A2が未着座部位であると判定された場合、制御信号出力部14は、ヒータスイッチ22にオフ信号を出力し、ヒータスイッチ22をオフにする。また、シート領域A3が未着座部位であると判定された場合、制御信号出力部14は、ヒータスイッチ23にオフ信号を出力し、ヒータスイッチ23をオフにする。
【0057】
シート温度がST1℃より高い場合(ステップS5;No)、制御部10の着座判定部13は、シート領域が着座部位であると判定する(ステップS8)。より詳しくは、シート領域A1のシート温度がST1℃より高い場合、着座判定部13はシート領域A1が着座部位であると判定する。同様に、シート領域A2のシート温度がST1℃より高い場合、着座判定部13はシート領域A2が着座部位であると判定する。また、シート領域A3のシート温度がST1℃より高い場合、着座判定部13はシート領域A3が着座部位であると判定する。そして、制御部10は、着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を継続する(ステップS9)。すなわち、制御信号出力部14は、着座部位であると判定されたシート領域のヒータスイッチにオン信号をそのまま継続して出力する。
【0058】
一方、外気温がT1℃より高い場合(S3;No)、制御部10が、外気温取得部11により取得された外気温がT2℃以下であるか否かを判定する(ステップS10)。ここで、外気温T2は外気温T1よりも高い温度である。外気温がT2℃以下の場合(S10;Yes)、ステップS11に進み、外気温がT2℃より高い場合(S10;No)、ステップS17に進む。
【0059】
外気温がT2℃以下である場合(S10;Yes)、外気温取得部11が外気温を取得してから時間t2秒が経過した後、制御部10のシート温度取得部12はシート温度を取得する(ステップS11)。より詳しくは、シート温度取得部12は、検出回路31,32,33から出力された電圧により、シート500のシート領域A1,A2,A3の温度をそれぞれ取得する。なお、時間t2の値は、制御部10が記憶部40のパラメータテーブルから取得する。前述のように、時間t2は時間t1よりも短い。
【0060】
そして、制御部10が、シート温度取得部12により取得されたシート温度がST2℃以下であるか否かを判定する(ステップS12)。ここで、閾値温度ST2は閾値温度ST1よりも高い値である。なお、閾値温度ST2は、制御部10が記憶部40のパラメータテーブルから取得する。
【0061】
シート温度がST2℃以下である場合(ステップS12;Yes)、制御部10の着座判定部13は、シート領域が未着座部位であると判定する(ステップS13)。より詳しくは、シート領域A1のシート温度がST2℃以下の場合、着座判定部13はシート領域A1が未着座部位であると判定する。同様に、シート領域A2のシート温度がST2℃以下の場合、着座判定部13はシート領域A2が未着座部位であると判定する。また、シート領域A3のシート温度がST2℃以下の場合、着座判定部13はシート領域A3が未着座部位であると判定する。その後、制御部10の制御信号出力部14は、未着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を停止する(ステップS14)。詳細は、ステップS7で説明したのと同様である。例えばシート領域A2が未着座部位であると判定された場合、制御信号出力部14は、ヒータスイッチ22にオフ信号を出力してヒータスイッチ22をオフにする。
【0062】
シート温度がST2℃より高い場合(ステップS12;No)、制御部10の着座判定部13は、シート領域が着座部位であると判定する(ステップS15)。より詳しくは、シート領域A1のシート温度がST2℃より高い場合、着座判定部13はシート領域A1が着座部位であると判定する。同様に、シート領域A2のシート温度がST2℃より高い場合、着座判定部13はシート領域A2が着座部位であると判定する。また、シート領域A3のシート温度がST2℃より高い場合、着座判定部13はシート領域A3が着座部位であると判定する。制御部10は、着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を継続する(ステップS16)。より詳しくは、制御信号出力部14は、着座部位であると判定されたシート領域のヒータスイッチにオン信号をそのまま継続して出力する。
【0063】
一方、外気温がT2℃より高い場合(S10;No)、外気温取得部11が外気温を取得してから時間t3秒が経過した後、制御部10のシート温度取得部12はシート温度を取得する(ステップS17)。なお、時間t3の値は、制御部10が記憶部40のパラメータテーブルから取得する。前述のように、時間t3は時間t2よりも短い。
【0064】
そして、制御部10は、シート温度取得部12により取得されたシート温度がST3℃以下であるか否かを判定する(ステップS18)。ここで、閾値温度ST3は閾値温度ST2よりも高い温度である。なお、閾値温度ST3は、制御部10が記憶部40のパラメータテーブルから取得する。
【0065】
シート温度がST3℃以下である場合(ステップS18;Yes)、制御部10の着座判定部13は、シート領域が未着座部位であると判定する(ステップS19)。より詳しくは、シート領域A1のシート温度がST3℃以下の場合、着座判定部13はシート領域A1が未着座部位であると判定する。同様に、シート領域A2のシート温度がST3℃以下の場合、着座判定部13はシート領域A2が未着座部位であると判定する。また、シート領域A3のシート温度がST3℃以下の場合、着座判定部13はシート領域A3が未着座部位であると判定する。その後、制御部10の制御信号出力部14は、未着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を停止する(ステップS20)。詳細は、ステップS7で説明したのと同様である。例えばシート領域A3が未着座部位であると判定された場合、制御信号出力部14は、ヒータスイッチ23にオフ信号を出力してヒータスイッチ23をオフにする。
【0066】
シート温度がST3℃より高い場合(ステップS18;No)、制御部10の着座判定部13は、シート領域が着座部位であると判定する(ステップS21)。より詳しくは、シート領域A1のシート温度がST3℃より高い場合、着座判定部13はシート領域A1が着座部位であると判定する。同様に、シート領域A2のシート温度がST3℃より高い場合、着座判定部13はシート領域A2が着座部位であると判定する。また、シート領域A3のシート温度がST3℃より高い場合、着座判定部13はシート領域A3が着座部位であると判定する。制御部10は、着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を継続する(ステップS22)。すなわち、制御部10の制御信号出力部14は、着座部位であると判定されたシート領域のヒータスイッチにオン信号をそのまま継続して出力する。
【0067】
上記の動作フローから明らかなように、制御部10の着座判定部13は、以下のようにして乗員の着座または未着座を判定する。
【0068】
着座判定部13は、シート温度が閾値温度よりも低い場合に未着座と判定し、一方、シート温度が当該閾値温度よりも高い場合に着座と判定する。ここで、閾値温度は、前述の閾値温度ST1,ST2,ST3から分かるように、外気温に基づく温度値である。より詳しくは、閾値温度は、外気温が高いほど高い。このように、外気温が高いほどシート温度の判定閾値も高くすることで、未着座の状態を着座であると誤って判定することを抑制できる。
【0069】
また、着座判定部13は、所定の経過時間が経過した時点におけるシート温度が、閾値温度よりも低い場合に未着座と判定し、一方、シート温度が当該閾値温度よりも高い場合に着座と判定する。ここで、経過時間は、外気温が外気温取得部11により取得されてから経過した時間である。この経過時間は、前述の時間t1,t2,t3で示したように、外気温に基づく時間である。外気温が高いほどシート温度が早く上昇することから、経過時間は外気温が高いほど短いことが好ましい。これにより、より迅速かつ正確に着座判定を行うことができる。
【0070】
以上説明したように、第1の実施形態では、外気温およびシート温度に基づいて乗員の着座または未着座を判定し、未着座と判定された場合にシートヒータを停止するための制御信号を出力する。よって、第1の実施形態によれば、シート表面が外気に直接触れる場合であっても、適切な着座判定およびシートヒータの通電制御を行うことができる。
【0071】
さらに、第1の実施形態では、一つのシートを複数のシート領域に分け、各シート領域について、ヒータ素子とシート温度センサを設けている。そして、各シート領域について、着座または未着座を判定し、ヒータ素子の通電制御を行う。未着座と判定されたシート領域のヒータ素子をオフにすることで、未着座部位を暖めるための無駄な電流消費を回避することができる。その結果、車両の燃費の改善を図ることができる。例えば、二輪車の場合、シートの前方寄りにライダー(運転者)が座るときにはシート後方部のヒータスイッチ23をオフにし、反対に、シートの後方寄りにライダーが座るときにはシート前方部のヒータスイッチ21をオフにすることで、燃費を改善することができる。
【0072】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態と第1の実施形態との相違点の一つは、シート温度の温度上昇率により着座判定を行う点である。シートヒータシステムの構成については、第1の実施形態と同様である。以下、相違点を中心に第2の実施形態について説明する。
【0073】
第2の実施形態に係る制御部10Aは、
図6に示すように、外気温取得部11と、シート温度取得部12Aと、着座判定部13Aと、制御信号出力部14とを有している。外気温取得部11と制御信号出力部14は第1の実施形態と同様であるので、シート温度取得部12Aおよび着座判定部13Aについて説明する。
【0074】
シート温度取得部12Aは、シート500のシート温度を取得し、当該シート温度の温度上昇率を算出する。より詳しくは、シート温度取得部12Aは、ある期間にわたってシート500のシート領域A1,A2,A3の温度をそれぞれ取得し、当該期間における温度上昇率をシート領域ごとに算出する。なお、この期間は、予め定めておいた時間でもよいし、あるいはシート温度がユーザ設定温度に達するまでの時間でもよい。また、温度上昇率は、例えば、上記期間の平均温度上昇率である。
【0075】
着座判定部13Aは、算出された温度上昇率が外気温に基づく閾値速度よりも小さい場合に未着座と判定し、一方、温度上昇率が閾値速度よりも大きい場合に着座と判定する。ここで、閾値速度は、外気温に基づく値である。外気温が高いほどシート温度が早く上昇することから、閾値速度は、外気温が高いほど小さいことが好ましい。これにより、より迅速かつ正確に着座判定を行うことができる。
【0076】
次に、第2の実施形態に係る制御装置100の動作フローについて、
図7のフローチャートを参照して説明する。なお、ステップS1〜S3については、第1の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略し、ステップS4Aから説明する。
【0077】
外気温がT1℃以下の場合(S3;Yes)、シート温度取得部12Aはシート温度の温度上昇率を取得する(ステップS4A)。より詳しくは、シート温度取得部12Aは、ある期間にわたってシート領域A1,A2,A3の温度をそれぞれ取得し、当該期間における温度上昇率をシート領域ごとに算出する。そして、制御部10Aが、シート温度取得部12Aにより算出されたシート温度の温度上昇率がV1以下であるか否かを判定する(ステップS5A)。なお、温度上昇率V1の値は、制御部10Aが記憶部40のパラメータテーブルから取得してもよい。このパラメータテーブルでは、
図4と同様の表形式により、外気温と、シート温度の温度上昇率とが関連付けられている。
【0078】
シート温度の温度上昇率がV1以下である場合(ステップS5A;Yes)、制御部10Aの着座判定部13Aは、シート領域が未着座部位であると判定する(ステップS6A)。その後、制御部10Aの制御信号出力部14は、未着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を停止する(ステップS7A)。
【0079】
シート温度の温度上昇率がV1より高い場合(ステップS5A;No)、制御部10Aの着座判定部13Aは、シート領域が着座部位であると判定する(ステップS8A)。そして、制御部10Aは、着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を継続する(ステップS9A)。
【0080】
一方、外気温がT1℃より高い場合(S3;No)、制御部10Aが、外気温取得部11により取得された外気温がT2℃以下であるか否かを判定する(ステップS10A)。ここで、外気温T2は外気温T1よりも高い温度である。外気温がT2℃以下の場合(S10A;Yes)、ステップS11Aに進み、外気温がT2℃より高い場合(S10A;No)、ステップS17Aに進む。
【0081】
外気温がT2℃以下である場合(S10A;Yes)、シート温度取得部12Aはシート温度の温度上昇率を取得する(ステップS11A)。取得方法の詳細は、ステップS4Aと同様である。そして、制御部10Aが、シート温度取得部12Aにより算出されたシート温度の温度上昇率がV2以下であるか否かを判定する(ステップS12A)。ここで、温度上昇率V2は温度上昇率V1よりも高い値である。なお、ステップS5Aの場合と同様に、温度上昇率V2の値は、外気温およびシート温度の温度上昇率が関連付けられたパラメータテーブルから取得してもよい。
【0082】
シート温度の温度上昇率がV2以下である場合(ステップS12A;Yes)、着座判定部13Aは、シート領域が未着座部位であると判定する(ステップS13A)。その後、制御部10Aの制御信号出力部14は、未着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を停止する(ステップS14A)。
【0083】
シート温度の温度上昇率がV2より高い場合(ステップS12A;No)、着座判定部13Aは、シート領域が着座部位であると判定する(ステップS15A)。制御部10Aは、着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を継続する(ステップS16A)。
【0084】
一方、外気温がT2℃より高い場合(S10A;No)、シート温度取得部12Aはシート温度の温度上昇率を取得する(ステップS17A)。取得方法の詳細は、ステップS4Aと同様である。そして、制御部10Aは、シート温度取得部12Aにより算出されたシート温度の温度上昇率がV3以下であるか否かを判定する(ステップS18A)。ここで、温度上昇率V3は温度上昇率V2よりも高い値である。なお、ステップS5Aの場合と同様に、温度上昇率V3の値は、外気温およびシート温度の温度上昇率が関連付けられたパラメータテーブルから取得してもよい。
【0085】
シート温度の温度上昇率がV3以下である場合(ステップS18A;Yes)、着座判定部13Aは、シート領域が未着座部位であると判定する(ステップS19A)。その後、制御部10Aの制御信号出力部14は、未着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を停止する(ステップS20A)。
【0086】
シート温度の温度上昇率がV3より高い場合(ステップS18A;No)、着座判定部13Aは、シート領域が着座部位であると判定する(ステップS21A)。制御部10Aは、着座部位であると判定されたシート領域のヒータ素子の駆動を継続する(ステップS22A)。
【0087】
以上説明したように、第2の実施形態では、外気温、およびシート温度の温度上昇率に基づいて乗員の着座または未着座を判定し、未着座と判定された場合にシートヒータを停止するための制御信号を出力する。よって、第2の実施形態によれば、シート表面が外気に直接触れる場合であっても、適切な着座判定およびシートヒータの通電制御を行うことができる。
【0088】
さらに、第1の実施形態と同様に、一つのシートを複数のシート領域に分け、未着座と判定されたシート領域のヒータ素子をオフにすることで、未着座の部位を暖めるための無駄な電流消費を回避し、車両の燃費の改善を図ることができる。
【0089】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。