(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作盤機能制限手段は、前記乗降室の停止位置に車両が停止された後に、前記第1操作盤からの操作を無効とするとともに、前記第2操作盤からの操作を有効とする請求項2に記載の機械式立体駐車場。
前記操作盤機能制限手段は、前記入庫処理の進行状況及びユーザによる操作盤の操作に応じて、前記第1操作盤及び前記第2操作盤の操作有効及び操作無効を制御する請求項2に記載の機械式立体駐車場。
前記操作盤機能制限手段は、前記乗降室の所定の停止位置に車両が停止された後に、前記第1操作盤及び前記第2操作盤の操作を有効とする請求項5に記載の機械式立体駐車場。
乗降室へ車両を入庫させる入庫扉の近傍に設けられ、入庫処理時に操作される第1操作盤と、前記第1操作盤とは異なる場所に設けられ、前記乗降室への車両の入庫処理時に操作される第2操作盤とを備える機械式立体駐車場の制御方法であって、
前記第1操作盤は、前記入庫扉を開けるための入力が可能な構成とされ、
前記第2操作盤は、前記入庫扉を閉めるための入力が可能な構成とされ、
入庫処理の進行状況に応じて、前記第1操作盤及び前記第2操作盤の操作有効及び操作無効を制御する機械式立体駐車場の制御方法。
乗降室から車両を出庫させる出庫扉の近傍に設けられ、出庫処理時に操作される第3操作盤と、前記第3操作盤とは異なる場所に設けられ、前記乗降室からの車両の出庫処理時に操作される第4操作盤とを備える機械式立体駐車場の制御方法であって、
前記第4操作盤は、前記出庫扉を開けるための入力が可能な構成とされ、
前記第3操作盤は、前記出庫扉を閉めるための入力が可能な構成とされ、
出庫処理の進行状況に応じて、前記第3操作盤及び前記第4操作盤の操作有効及び操作無効を制御する機械式立体駐車場の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1にも記載されているように、乗降室への車両の出入り及び人の出入りは入出庫扉(出入口扉と呼称されることもある)を介して行われるのが一般的である。すなわち、特許文献1に開示されている機械式立体駐車場では、入庫時において、入出庫扉から車両を乗降室に移動させ、乗降室内で降車したユーザ(運転手)は、同じく入出庫扉を介して乗降室から退出する。また、出庫時においても、入出庫扉から運転手は乗降室に進入し、乗車した後に、入出庫扉を介して乗降室から車両を外部に移動させる。このように、一般的な機械式立体駐車場では、一つの出入口を介してユーザが乗降室内と乗降室外とを移動する。
【0007】
これに対し、乗降室に入出庫扉とは異なる出入口を設け、乗降室で降車したユーザが入出庫扉とは異なる出入口から外部に移動できるように構成された機械式立体駐車場が存在する。そのような機械式立体駐車場においては、異なる出入口にも操作盤を設けてユーザの利便性を高めるとともに、安全性を確保した車両の入出庫が行えるようにする必要がある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、乗降室に対して複数の操作盤が存在する場合に、ユーザの利便性を担保しながら、安全性を確保した車両の入出庫を行うことのできる機械式立体駐車場及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、乗降室へ車両を入庫させる入庫扉の近傍に設けられ、入庫処理時に操作される第1操作盤と、前記第1操作盤とは異なる場所に設けられ、前記乗降室への車両の入庫処理時に操作される第2操作盤と、入庫処理の進行状況に応じて、前記第1操作盤及び前記第2操作盤の操作有効及び操作無効を制御する操作盤機能制限手段とを具備する機械式立体駐車場を提供する。
【0010】
本発明の機械式立体駐車場によれば、乗降室に対して複数の操作盤が設けられている。複数の操作盤のうちの一つは、入庫扉の近傍に設けられた第1操作盤であり、他の一つは、第1操作盤とは異なる場所に設けられた第2操作盤である。そして、第1操作盤及び第2操作盤の操作有効及び操作無効が、入庫処理の進行状況に応じて操作盤機能制限手段によって同時に操作できないように制御される。このように、入庫処理の進行状況に応じて第1操作盤及び第2操作盤を連動制御することにより、両操作盤からの操作が衝突することを容易に避けることができ、安定した入出庫処理を実現することが可能となる。
【0011】
上記機械式立体駐車場において、前記乗降室は、前記乗降室内と前記乗降室外との移動のために人が利用する少なくとも1つの通路扉を有し、前記第2操作盤は、例えば、前記乗降室外であって、前記通路扉の近傍に設けられている。
【0012】
上記機械式立体駐車場によれば、乗降室に、乗降室内と乗降室外との移動のために人が利用する少なくとも1つの通路扉が設けられているので、ユーザは通路扉を介して乗降室から退出することが可能となる。これにより、入庫扉のみが設けられていた場合に比べて、ユーザの利便性を高めることが可能となる。
更に、乗降室の外側であって、通路扉の近傍には、第2操作盤が設けられているので、ユーザが通路扉を通じて乗降室を退出した場合でも、第2操作盤を使用することにより、容易に入庫処理を継続して行うことが可能となる。
【0013】
上記機械式立体駐車場において、前記操作盤機能制限手段は、前記乗降室の停止位置に車両が停止された後に、前記第1操作盤からの操作を無効とするとともに、前記第2操作盤からの操作を有効としてもよい。
【0014】
例えば、ユーザが乗降室に車両を停止させた後に、通路扉から乗降室を退出することが前提とされている場合、通路扉から乗降室を退出した後に、第1操作盤が用いられる可能性は極めて低い。したがって、このような場合に、第1操作盤の操作を無効とすることにより、他のユーザや第三者によって第1操作盤が操作され、進行中の入庫処理に影響を与えるような指示が送信されるような事象を防止することが可能となる。これにより、安定した入庫の運用を実現することができる。
【0015】
上記機械式立体駐車場は、前記第1操作盤から第1の認証操作が行われた場合に、前記第1の認証操作で入力されたユーザ識別情報を用いてユーザ認証を行うユーザ認証手段と、前記ユーザ認証手段によるユーザ認証が正常に完了した後に、前記入庫扉を開く開扉手段と、前記乗降室の所定の停止位置に車両が停止され、前記第2操作盤から第2の認証操作が行われた場合に、前記第2の認証操作で入力されたユーザ識別情報と前記第1の認証操作で入力されたユーザ識別情報とが予め設定された所定の関係を満たすか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって、前記第2の認証操作で入力されたユーザ識別情報と前記第1の認証操作で入力されたユーザ識別情報とが前記所定の関係を満たすと判定された後に、前記入庫扉を閉じるとともに、前記通路扉を施錠する扉制御手段とを更に有していてもよい。
【0016】
上記機械式立体駐車場によれば、第1操作盤及び第2操作盤の操作有効及び操作無効の制御に加えて、ユーザの認証処理等が行われる。これにより、入庫処理を操作するユーザをより確実に制限することができ、安全性を確保した入出庫を実現することが可能となる。
ここで、「所定の関係を満たすか否かを判定する」とは、例えば、第1の認証操作で入力されたユーザ認証情報と第2の認証操作で入力されたユーザ認証情報とが一致するか否かを判定することを含む。更に、「所定の関係を満たすか否かを判定する」とは、複数のユーザ識別情報を関連付けて予め登録しておき、第1の認証操作で入力されたユーザ識別情報と第2の認証操作で入力されたユーザ識別情報とが予め関連付けられたものであるか否かを判定することも含む。例えば、駐車場の操作員のユーザ識別情報と駐車場の契約者(ユーザ)のユーザ識別情報とが予め関連付けられていてもよい。
【0017】
上記機械式立体駐車場において、前記操作盤機能制限手段は、前記入庫処理の進行状況及びユーザによる操作盤の操作に応じて、前記第1操作盤及び前記第2操作盤の操作有効及び操作無効を制御することとしてもよい。
【0018】
例えば、機械式立体駐車場において、前記操作盤機能制限手段は、前記乗降室の所定の停止位置に車両が停止された後に、前記第1操作盤及び前記第2操作盤の操作を有効としてもよい。
【0019】
より具体的には、上記機械式立体駐車場は、前記第1操作盤から第1の認証操作が行われた場合に、前記第1の認証操作で入力されたユーザ識別情報を用いてユーザ認証を行うユーザ認証手段と、前記ユーザ認証手段によるユーザ認証が正常に完了した後に、前記入庫扉を開く開扉手段と、前記乗降室の所定の停止位置に車両が停止され、前記第1操作盤または前記第2操作盤から第2の認証操作が行われた場合に、前記第2の認証操作で入力されたユーザ識別情報と前記第1の認証操作で入力されたユーザ識別情報とが予め設定された所定の関係を満たすか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって、前記第2の認証操作で入力されたユーザ識別情報と前記第1の認証操作で入力されたユーザ識別情報とが前記所定の関係を満たすと判定された後に、前記入庫扉を閉じるとともに、前記通路扉を施錠する扉制御手段とを具備し、前記操作盤機能制限手段は、前記第2の認証操作が行われなかった方の前記操作盤の操作を無効とすることとしてもよい。
【0020】
このように、入庫処理の進行状況だけでなく、ユーザによる操作盤の操作も加味して第1操作盤及び第2操作盤の操作有効及び操作無効を制御するので、ユーザ自らが乗降室からの退路を決定することが可能となる。これにより、ユーザの利便性をより高めることが可能となる。また、ユーザが乗降室からの退路に用いなかった扉の近傍に設置されている操作盤については、本入庫処理についてユーザが操作する可能性が極めて低いため、そのような操作盤については操作を無効とする。これにより、他のユーザや第三者によってその操作盤が操作され、入庫処理に影響を与えるような指示が送信されるような事象を防止することが可能となる。これにより、安全性を高めることが可能となる。
【0021】
上記機械式立体駐車場において、前記操作盤機能制限手段は、前記第1操作盤または前記第2操作盤の操作を無効とする場合に、無効とする前記第1操作盤または前記第2操作盤を用いた出庫の予約が他のユーザによって行われている場合には、該出庫の予約が終了した後に、前記第1操作盤または前記第2操作盤の操作を無効としてもよい。
【0022】
例えば、入庫処理において乗降室に空きパレットを搬送しなければならない場合、空きパレットの到着までに時間を要する。このような場合、少しでも操作盤を有効に利用する為に、当該出庫処理に影響を与えない範囲で操作盤の操作(機能)を有効化しておくことが好ましい。上記機械式立体駐車場によれば、操作盤を無効にする際に、継続中の出庫予約処理が行われていた場合には、その出庫予約が終了するまで無効化を行うのを待機し、出庫予約が終了した後に、操作盤の操作を無効化する。これにより、操作盤を有効に活用でき、入出庫の効率を向上させることが可能となる。
【0023】
上記機械式立体駐車場において、前記第1操作盤または前記第2操作盤から操作が行われている場合に、操作が行われていない方の前記操作盤の表示部には、現在の入庫の進行状況に応じた表示が行われることとしてもよい。
【0024】
これにより、入庫処理を行っていない他のユーザに対して機械式立体駐車場がどのような状況にあるのかを報知することが可能となる。これにより、他のユーザ等によってむやみに操作盤が操作されることを防止することができ、安定した駐車場の運用が期待できる。
【0025】
本発明は、乗降室から車両を出庫させる出庫扉の近傍に設けられ、出庫処理時に操作される第3操作盤と、前記第3操作盤とは異なる場所に設けられ、前記乗降室からの車両の出庫処理時に操作される第4操作盤と、出庫処理の進行状況に応じて、前記第3操作盤及び前記第4操作盤の操作有効及び操作無効を制御する操作盤機能制限手段とを具備する機械式立体駐車場を提供する。
【0026】
本発明の機械式立体駐車場によれば、乗降室に対して複数の操作盤が設けられている。複数の操作盤のうちの一つは、出庫扉の近傍に設けられた第3操作盤であり、他の一つは、第3操作盤とは異なる場所に設けられた第4操作盤である。そして、第3操作盤及び第4操作盤の操作有効及び操作無効が、出庫処理の進行状況に応じて操作盤機能制限手段によって制御される。このように、出庫処理の進行状況に応じて第3操作盤及び第4操作盤を連動制御することにより、両操作盤からの操作が衝突することを容易に避けることができ、安定した入出庫処理を実現することが可能となる。
なお、出庫時と入庫時とで共通の乗降室が利用され、かつ、入庫時と出庫時とで共通の入出庫扉を用いる場合には、上記第1操作盤と第3操作盤とは一台の操作盤を共有することができる。
【0027】
上記機械式立体駐車場において、前記乗降室は、前記乗降室内と前記乗降室外との移動のために人が利用する少なくとも1つの通路扉を有し、前記第4操作盤は、前記乗降室外であって、前記通路扉の近傍に設けられている。
【0028】
上記機械式立体駐車場によれば、乗降室に、乗降室内と乗降室外との移動のために人が利用する少なくとも1つの通路扉が設けられているので、目的に応じてユーザは便利な扉を介して移動をすることができる。これにより、出庫扉のみが設けられていた場合に比べて、ユーザの利便性を高めることが可能となる。
更に、乗降室の外側であって、通路扉の近傍には、第4の操作盤が設けられているので、ユーザが通路扉を通じて乗降室に進入したい場合に、第4の操作盤を操作することにより、容易に出庫操作を行うことが可能となる。
なお、出庫時と入庫時とで共通の乗降室が利用され、かつ、入庫時と出庫時とで共通の通路扉を用いる場合には、第2操作盤と第4操作盤とは一台の操作盤を共有することができる。
【0029】
上記機械式立体駐車場において、前記操作盤機能制限手段は、出庫のための操作が前記第4操作盤からなされた場合に、前記第3操作盤からの操作を無効とし、前記車両が前記乗降室の外部に移動したことが検知された場合に、前記第3操作盤からの操作を有効とし、前記第4操作盤からの操作を無効とすることとしてもよい。
また、上記機械式立体駐車場において、前記操作盤機能制限手段は、出庫のための操作が前記第3操作盤からなされた場合に、前記第4操作盤からの操作を無効としてもよい。
【0030】
このように、出庫のための操作がされなかった方の操作盤については、操作を無効化することにより、他のユーザや第三者による操作を無効化することができる。これにより、安全性を高めることが可能となる。
【0031】
本発明は、乗降室へ車両を入庫させる入庫扉の近傍に設けられ、入庫処理時に操作される第1操作盤と、前記第1操作盤とは異なる場所に設けられ、前記乗降室への車両の入庫処理時に操作される第2操作盤とを備える機械式立体駐車場の制御方法であって、入庫処理の進行状況に応じて、前記第1操作盤及び前記第2操作盤の操作有効及び操作無効を制御する機械式立体駐車場の制御方法を提供する。
【0032】
本発明は、乗降室から車両を出庫させる出庫扉の近傍に設けられ、出庫処理時に操作される第3操作盤と、前記第3操作盤とは異なる場所に設けられ、前記乗降室からの車両の出庫処理時に操作される第4操作盤とを備える機械式立体駐車場の制御方法であって、出庫処理の進行状況に応じて、前記第3操作盤及び前記第4操作盤の操作有効及び操作無効を制御する機械式立体駐車場の制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、乗降室に対して複数の操作盤が存在する場合に、ユーザの利便性を担保しながら、安全性を確保した車両の入出庫を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、モータの動力により車両を移動させる機能を有する機械式立体駐車場であれば幅広く適用できるものであって、以下の説明にある垂直循環式立体駐車場に限定されるものではない。
【0036】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る機械式立体駐車場の一例を示す斜視図である。この機械式立体駐車場1は、オフィスビルやマンション等に併設される契約者専用のものである。操作方法及び安全操作について教育を受けた契約者には予め固有のユーザ識別情報が記憶されたICカードが付与されており、このICカードは入出庫時のユーザ認証に使用される。以下の説明では、ICカードをユーザを識別するものの例として記載するが、ICタグ、磁気カード、暗証番号、リモコン装置、指紋などの生態認証など、ユーザ個人を識別できるものであればよく、特に限定されない。
【0037】
機械式立体駐車場1は、複数の車両2を収容可能な垂直循環式の立体駐車場施設であり、地上部に車両2の入出庫口3が開口する塔状の車庫装置(駐車塔)内に複数のパレット4(車体搬送手段)が収容されている。各パレット4は車庫装置内で上下に駆動される搬送チェーン6にアーム7を介して所定間隔で設けられたケージ8に吊設されており、搬送チェーン6の位置に拘らず常に水平な姿勢を保たれている。
【0038】
図1には図示しないパレット駆動機構に備えられた昇降用モータにより搬送チェーン6が駆動されると、各パレット4が水平な姿勢で車庫装置内を上下に循環し、最下部の位置でパレット4が地上レベルの高さとなり、入出庫口3から車両2の積み降ろしが行われる。また、車両2は入出庫口3の前に設けられたターンテーブル9により向きを変えられ、例えば常に前向きでパレット4上に載置される。ターンテーブル9は図示しないパレット旋回機構に備えられた旋回用モータにより旋回駆動される。入出庫口3には入出庫扉(入庫扉・出庫扉)11が設けられている。なお、本実施形態では、入庫と出庫とが同一の扉を介して行われる場合について例示しているが、この例に限定されず、入庫口と出庫口とは異なってもよい。この場合、入庫口には入庫扉が設けられ、出庫口には出庫扉が設けられる。また、本実施形態のように、入庫と出庫とが同一の扉を介して行われる場合には、入出庫扉11は、入庫扉と出庫扉との両方を包含する。
また、機械式駐車設備の前に十分な方向転換のスペースがある場合や、機械式駐車場設備がターンテーブルを内蔵している場合には、立駐設備前のターンテーブル9は設置されなくてもよい。
【0039】
図2は本実施形態に係る乗降室5の平面図である。
図2に示すように、乗降室5は、入出庫口3とは異なる位置に、乗降室内と乗降室外との移動のために人が利用する通路扉15を有している。通路扉15には遠隔操作によって施錠及び解錠が制御可能な鍵が設けられている。通路扉15が解錠されることにより、ユーザは、乗降室5からオフィスビル内またはマンション内に直接移動することができる。このような通路扉15を設けることで、ユーザは入出庫口3を経由して遠回りしてビル内に移動する手間が省け、利便性を高めることができる。
【0040】
また、乗降室5内には、庫内の人や動物等を検知するためのセンサや、車両2が乗降室5内の規定位置に正常に停止されたか否かを検知するためのセンサ等が設置されている。これら各種センサのセンサ出力は後述する主制御部50に送信されるようになっている。
また、乗降室5において、車両2の進入方向前方の内壁には、車両2を空きパレット4の規定位置に停止させるための誘導表示を行う案内表示部22が設けられている。乗降室5の入出庫扉11の近傍の外壁には、入出庫時に操作される第1操作盤(第3操作盤)20aが設けられている。また、
図2、
図3に示すように、乗降室5の外部であって通路扉15の近傍には、入出庫時に操作される第2操作盤(第4操作盤)20bが設けられている。
なお、本実施形態においては、入出庫時において共通の入出庫扉11を介して車両が入庫及び出庫する場合を想定して説明するが、入庫時に用いる乗降室と、出庫時に用いる乗降室とが異なる場合には、第1操作盤20aとは別に出庫専用に操作される第3操作盤や、第2操作盤20bとは別に出庫専用に操作される第4操作盤等が設けられていてもよい。
【0041】
図4は、第1操作盤20a及び第2操作盤20bの概略図である。以下、特に第1操作盤20a及び第2操作盤20bを区別しない場合は、操作盤20として説明する。
図4に示すように、操作盤20は、例えば、表示部31と、スピーカ32と、入力部33と、ICカードリーダ34とを備えている。入力部33は、例えば、テンキー操作部41、安全確認ボタン42、閉扉ボタン43、起動ボタン44等を備えている。
入力部33はユーザが各種入力操作を行うためのものであり、表示部31とスピーカ32とは、画面および音声によってユーザに操作方法を指示するものであり、ICカードリーダ34はICカードを用いた認証を行わせるものである。入力部33において、テンキー操作部41は、例えば、ユーザがICカードを忘れた場合に、識別情報を手入力するための入力手段として機能し、安全確認ボタン42はユーザが庫内等の安全を確認した上で操作するボタンであり、閉扉ボタン43は扉を閉める際に操作するボタンであり、起動ボタン44はパレット4の呼び出しや格納を指示する際に操作するボタンである。
操作盤20が備えるこれら各種構成は、例えば、後述する操作盤制御部40(40a、40b:
図5参照)とバスを介して接続され、操作盤制御部40(40a、40b)によって統括制御される。
なお、本実施形態では、表示部31、スピーカ32、入力部33、ICカードリーダ34、テンキー操作部41、各種ボタン42〜44を個々の部品として記載しているが、この例に限定されず、複数のこれらの構成が一つの部品として構成されていてもよい。例えば、タッチパネル式操作盤のように、表示画面上にテンキー、ボタン、案内表示等を行うなどのように、同等の機能を実現できる構成とされていればよい。また、上記全ての構成や機能を備えている必要はなく、適宜省略追加が可能である。
【0042】
図5は、本実施形態に係る機械式立体駐車場1が備える制御システムの概略構成を示したブロック図である。制御システムは、第1操作盤20aが備える操作盤制御部40a、第2操作盤20bが備える操作盤制御部40b、及び主制御部50を備える。
【0043】
操作盤制御部40a、40b及び主制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、後述する各部の機能を実現するための一連の処理が、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して情報の加工・演算処理を実行することにより、後述する各部による機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0044】
図5に示されるように、操作盤制御部40a、40bはそれぞれ主制御部50と接続され、双方向通信が可能な構成とされている。
主制御部50は、機械式立体駐車場1全体の制御を行うものであり、例えば、ユーザ認証部51、認証データベース52、操作盤機能制限部53、記憶部54、判定部55、扉制御部56、及びパレット駆動制御部57等を主な構成(機能)として備えている。また、主制御部50が備える機能はこれらに限られず、後述する入庫処理及び出庫処理を実現するための各種機能を備えており、一つ又は機能毎に複数のCPUユニットで構成されている。
【0045】
ユーザ認証部51は、操作盤制御部40a、40bからユーザ識別情報を受信した場合に、受信したユーザ識別情報が認証データベース52に登録されているか否かを判定することによりユーザ認証を行う。
認証データベース52には、機械式立体駐車場1を利用する権限を持つ契約者のユーザ識別情報が予め登録されている。
操作盤機能制限部53は、入庫処理や出庫処理の進行状況に応じて、第1操作盤20a、第2操作盤20bにおけるユーザによる一部または全部の操作を制限する。
例えば、「操作無効」とは、各操作盤を用いたユーザの操作が全て無効とされる、換言すると、入力操作が全く受け付けられないことを意味するだけでなく、操作盤へ行う入力操作のうちの決められた一部のみの操作については無効とされずに有効とされている状態、すなわち一部の入力操作のみについては有効とされる場合も含む。「操作有効」は、各操作盤においてユーザによって行われた入力操作が有効とされる、換言すると、入力が受け付けられることを意味する。
【0046】
記憶部54は、主制御部50が後述する入庫処理及び出庫処理を実行する際に必要となるプログラムやデータを格納するとともに、入庫処理や出庫処理で発生した種々のデータを格納する。
判定部55は、例えば、扉開操作を行ったユーザと、扉閉操作を行ったユーザとが同一人物であるか否かを判定し、同一人物である場合に、閉扉操作を許可する。
扉制御部56は、ユーザ認証部51及び判定部55による判定結果に基づいて入出庫口3の開扉及び閉扉を制御するとともに、通路扉15の解錠及び施錠を制御する。
パレット駆動制御部57は、第1操作盤20a、第2操作盤20bから受信した操作指示に基づいてパレットの昇降等を制御する。
【0047】
次に、本実施形態に係る機械式立体駐車場1の入庫時に行われる入庫処理について、
図6、7を参照して説明する。
図6、7は、本実施形態に係る入庫処理の手順を示したフローチャートである。
【0048】
まず、ユーザ(車両のドライバー)は車両2を入出庫扉11の前(ターンテーブル9の上)に停車して降車し、ドアミラーを畳み、アンテナを下げる。続いて、ユーザは、第1操作盤20aに向かい、自身のユーザ識別情報が記憶されたICカードをICカードリーダ34にかざすことにより、第1の認証操作を行う(ステップSA1)。これにより、ICカードに記憶されているユーザ識別情報がICカードリーダ34によって読み取られ、主制御部50に送信される。
【0049】
主制御部50のユーザ認証部51では、操作盤制御部40aから受信したユーザ識別情報が認証データベース52に格納されているか否かを判定することにより、ICカードをかざしたユーザが契約者か否かを判定する(ステップSA2:第1のユーザ認証処理)。
なお、ICカードを用いた認証に代えて、ユーザがテンキー操作部41からユーザ識別情報を入力することにより、第1の認証操作を行うこととしてもよいし、遠隔操作可能なリモコン装置を用いて無線によりユーザ識別情報を第1操作盤20aに送信することにより第1の認証操作を行うこととしてもよい。このように、ユーザ識別情報を第1操作盤20aに入力する手法は特に限定されない。
【0050】
ICカードをかざしたユーザが当該機械式立体駐車場1の契約者であることが確認されることにより、第1のユーザ認証処理が正常に完了すると(ステップSA2において「YES」)、主制御部50は、ユーザ認証が正常に完了したことを示す信号を操作盤制御部40aに通知するとともに、第1のユーザ認証処理で用いたユーザ識別情報を記憶部54に格納する。
【0051】
続いて、主制御部50のパレット駆動制御部57は、乗降室5に空きパレット4があるか否かを判定し、空きパレット4がなければ、空きパレット4を乗降室5に移動させる(ステップSA3:空きパレット搬送処理)。
また、SA3の空きパレット搬送処理の開始と並行して、操作盤機能制限部53は、第2操作盤20bを操作無効とする(ステップSA4:第2操作盤の操作無効)。これにより、第2操作盤20bから入力操作がされたとしても、その入力操作は無効とされ、何の処理も行われない。また、この操作の無効化に併せて、第2操作盤20bの表示部31に、「現在、操作できません。」等のように、第2操作盤20bからの操作ができないことを他のユーザに対して通知するメッセージを表示させてもよい。
【0052】
なお、第2操作盤20bからの操作を無効とする際に、出庫予約等の操作が行われている途中であった場合には、操作盤機能制限部53は、その予約操作については許可し、予約操作が終了した後に、第2操作盤20bの操作(機能)を無効としてもよい。
あるいは、操作盤機能制限部53は、予約操作に限って入力操作を許可するようにしてもよい。
【0053】
次に、SA3の処理が完了したら、第1操作盤20aの操作盤制御部40aは、表示部31とスピーカ32によって、入出庫扉11を開扉するために必要とされる第2の認証操作を実行するよう指示する。この指示を受けて、ユーザがICカードをICカードリーダ34に再度かざすと、ユーザ識別情報が主制御部50に送信される(ステップSA5)。主制御部50の判定部55は、第2の認証操作で入力されたユーザ識別情報と先の第1の認証操作で入力されたユーザ認証情報とが予め設定された所定の関係を有するか否かを判定する。本実施形態では、契約者自身が入出庫を行うことを前提としているため、判定部55は、例えば、第2の認証操作で入力されたユーザ識別情報と第1の認証操作で入力されたユーザ認証情報とが一致するか否かを判定する。この結果、一致しなければ(ステップSA6において「NO」)、その旨の信号が主制御部50から操作盤制御部40aに送信され、表示部31やスピーカ32によってエラー通知が行われる(ステップSA7)。
【0054】
一方、一致した場合には、第1操作盤20aの表示部31とスピーカ32によって、安全確認を行った上で安全確認ボタン42を押すようユーザに指示する。これにより、安全確認ボタン42がユーザによって押されると(ステップSA8)、その操作指示が主制御部50に送信され、扉制御部56によって入出庫扉11が開扉される(ステップSA9)。
【0055】
入出庫扉11が開くと、ユーザは再び車両に乗り込み、車両を前進させて、乗降室5に置かれている空のパレット4上の規定位置に車両を停車させる。この間、乗降室5内で異常が発生した場合には、その異常が乗降室5内に設けられた各種センサ(図示略)によって検知され、異常を解消するようなアナウンスや表示を行うことで、空のパレット4の規定位置に車両が停止されるようにユーザを誘導する。
【0056】
そして、車両が空のパレット4の規定位置に停車され(ステップSA10)、乗降室5内に設置された各種センサによってその旨が検知されると、主制御部50は、例えば、案内表示部22に規定位置に停止された旨を表示し、ユーザに通知する。
その表示を確認したユーザは同乗者とともに降車し、通路扉15へ向かう。また、主制御部50の扉制御部56は通路扉15を解錠し(ステップSA11)、操作盤機能制限部53は第1操作盤20aを操作無効とするとともに、第2操作盤20bを操作有効とする(ステップSA12)。すなわち、操作可能な操作盤を第1操作盤20aから第2操作盤20bに切り替える。
【0057】
扉制御部56によって通路扉15が解錠されることにより、ユーザ及び同乗者は通路扉15を通じて乗降室5から退出し、ビル等の内部に直接移動することができる(ステップSA13)。また、このように車両2が空のパレット4の規定位置に停止されるまでは通路扉15を施錠しておくことで、第三者が乗降室5に誤って進入してしまうことを防止することができ、安全性を確保することができる。
【0058】
続いて、通路扉15を通じて乗降室5から退出したユーザは、第2操作盤20bのICカードリーダ34にICカードをかざすことにより第3の認証操作を行う(ステップSA14)。これにより、ICカードに記憶されているユーザ識別情報がICカードリーダによって読み取られ、操作盤制御部40bから主制御部50に送信される。主制御部50の判定部55は、受信したユーザ識別情報が第2の認証操作において入力されたユーザ識別情報と一致するか否かを判定することにより、開扉操作を行ったユーザと同一人物か否かを判定する。
この結果、一致しなければ(ステップSA15において「NO」)、上述と同様に、エラー通知が行われる(ステップSA16)。
【0059】
一方、判定部55によって、第3の認証操作を行った人物が第2の認証操作を行った人物と同一である、換言すると、閉扉操作を行おうとしている人物が開扉操作を行った人物と同一人物であると判定すると(ステップSA15において「YES」)、表示部31とスピーカ32により、ユーザに乗降室5内の安全確認を行った上で安全確認ボタン42を押し、更に、閉扉ボタン43を押すように指示がなされる。この指示に従い、ユーザは乗降室5内に人が残っていないかどうかを確認してから安全確認ボタン42を押し(ステップSA17)、更に、閉扉ボタン43を押すと(ステップSA18)、閉扉指示が主制御部50に送信され、扉制御部56によって入出庫扉11が閉扉されるとともに、通路扉15が施錠される(ステップSA19)。
【0060】
その後、ユーザによって起動ボタン44が押されると、主制御部50のパレット駆動制御部57は、車両2が載置されたパレット4を乗降室5から所定の格納場所に移動させる。また、主制御部50は、車両2が載置されたパレット4の格納位置と第1の認証操作で受信したユーザ識別情報とを対応付けた駐車管理リストを記憶部54に格納する。これにより、第1の認証操作が行われた際に、駐車管理リストに識別情報が記載されているか否かを判定することにより、ユーザが入庫を希望しているのか、出庫を希望しているのかを判定することが可能となる。
【0061】
次に、本実施形態に係る機械式立体駐車場1の出庫時に行われる出庫処理について、
図8、9を参照して説明する。
図8、9は、本実施形態に係る出庫処理の手順を示したフローチャートである。
【0062】
まず、ユーザ(車両のドライバー)は、第1操作盤20aまたは第2操作盤20bに向かい、第1の認証操作を行う。この第1の認証操作の手順および第1の認証処理は入庫時に行ったものと同様であり、仮に非契約者が認証操作を行っても、表示部31とスピーカ32によりエラー表示がなされて機械式立体駐車場1は動作しない(ステップSB1)。
ユーザ認証が正常に完了すると、主制御部50の操作盤機能制限部53は、第1の認証操作が行われなかった操作盤の操作を無効とする(ステップSB2)。以下の説明では、第2操作盤20bから第1の認証操作が行われた場合を例示して説明する。この場合、第1操作盤20aは操作無効とされ、「操作有効」とされるまでこの状態が維持される。
【0063】
続いて、操作盤制御部40bは、表示部31とスピーカ32によって起動ボタン44を押すようユーザに指示し、ユーザが起動ボタン44を押すと起動信号が操作盤制御部40bから主制御部50へ送信される。主制御部50は、ユーザ識別情報が記憶部54に格納されている駐車管理リストに記載されているか否かを判定し、記載されていれば出庫であると判定し、パレット駆動制御部57がユーザ識別情報に対応付けられているパレット4を乗降室5に搬送させる(ステップSB3)。
【0064】
車両2が載置されたパレット4が到着すると、表示部31とスピーカ32によって第2の認証操作をユーザに指示する。これにより、ICカードがICカードリーダ34によって読み取られると(ステップSB4)、出庫時と同様の手順に従って第2の認証処理が行われる(ステップSB5、SB6)。
そして、第2の認証処理が正常に完了すると、第2操作盤20bの表示部31とスピーカ32によって、安全確認を行った上で安全確認ボタン42を押すようユーザに指示する。これにより、安全確認ボタン42がユーザによって押されると(ステップSB7)、その操作指示が主制御部50に送信され、扉制御部56によって入出庫扉11が開扉されるとともに、通路扉15が解錠される(ステップSB8)。
【0065】
入出庫扉11が開くと、ユーザは同乗者とともに通路扉15から乗降室5内に入り、車両2に乗り込んでエンジンを掛け、車両2を入出庫扉11から出庫させ、乗降室5外の所定位置に停止させる(ステップSB9)。そして、乗降室5内に設けられている各種センサの検出信号に基づいて乗降室5から車両2が完全に出たことが確認されると(ステップSB10)、主制御部50の操作盤機能制限部53は、第1操作盤20aを操作有効とするとともに、第2操作盤20bを操作無効とする(ステップSB11)。
【0066】
続いて、ユーザは降車し、第1操作盤20aから第3の認証操作を行う(ステップSB12)。第3の認証操作の操作手順および判定内容も、入庫時に行った第3の認証操作と同様である。ここで、仮に、ユーザがまだ乗降室5内に居る時に次のユーザが訪れて第1の認証操作を行っても、ユーザ識別情報が一致しないため、表示部31とスピーカ32によりエラー通知がなされ、機械式立体駐車場1は動作しない。このため、入庫時と同様に、前のユーザがまだ乗降室5の中に居る状態で入出庫扉11が閉じられてパレット駆動機構が起動してしまうことが防止される。
【0067】
そして、主制御部50の判定部55によって第2と第3の認証操作を行ったユーザが同一であるか否かが判定され(ステップSB13)、同一でなければ(ステップSB13において「NO」)、エラー通知が行われ(ステップSB14)、同一であれば(ステップSB13において「YES」)、表示部31とスピーカ32により、ユーザに乗降室5内の安全確認を行うよう指示し、さらに安全確認が取れたら閉扉ボタン43を押して入出庫扉11を閉じるように指示する。これにより、ユーザは乗降室5内に人が残っていないかどうかを確認した後、安全確認ボタン42、閉扉ボタン43を押す(ステップSB15、16)。これにより、扉制御部56は入出庫扉11を閉じるとともに、通路扉15を施錠する(ステップSB17)。
【0068】
その後、ユーザ及び同乗者は、車両2に乗車して、必要に応じてターンテーブル9により車両の向きを変更してから出発する。
また、主制御部50の操作盤機能制限部53は、入出庫扉11が完全に閉じられると、第2操作盤20bを操作有効とする。これにより、第1操作盤20a、第2操作盤20bからの操作が可能な状態とされ、次のユーザによる入庫または出庫の待ち受け状態となる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る機械式立体駐車場1及びその制御方法によれば、入出庫扉11の近傍に設けられた第1操作盤20aに加えて、乗降室5内から乗降室5外へ通ずる通路扉15の近傍に設けられた第2操作盤20bを備え、入出庫の進行状況に応じて第1操作盤20a及び第2操作盤20bの操作有効及び操作無効を制御する。このように、第1操作盤20a及び第2操作盤20bを連動制御することにより、両操作盤からの操作が衝突することを容易に避けることができ、安定した入出庫処理を実現することが可能となる。また、ユーザは、乗降室5内から通路扉15を介して例えば、ビル内に移動することができ、更に、安全確認や閉扉指示等を第2操作盤20bから行うことができるので、入出庫扉11からビル内等に移動する場合に比べて、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
更に、上述した第1操作盤20a及び第2操作盤20bの連動制御と、認証処理とを組み合わせることにより、入庫処理や出庫処理を操作するユーザを制限することができる。これにより、安全性を確保した入出庫を実現することが可能となり、例えば、乗降室5内に人が取り残された状態で入出庫扉11が閉じられてしまうことを確実に防止することができる。
【0070】
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態では、入庫時において、入出庫扉11から乗降室5に進入し、その後、通路扉15を通じて乗降室5からユーザが退出する場合を前提として、第1操作盤20a及び第2操作盤20bの操作無効及び操作有効を制御していた。
しかしながら、入庫時において、通路扉15ではなく、入出庫扉11を通じて乗降室5から退出したいユーザもいる。そのため、本実施形態では、ユーザが希望する扉を通じて乗降室5から退出することのできる入庫処理を実現する。
【0071】
具体的には、上述した第1実施形態では、入庫の進行状況に応じて第1操作盤20a及び第2操作盤20bの操作有効及び操作無効を制御していた。本実施形態では、入庫処理の進行状況と、ユーザによる操作盤からの操作とに基づいて第1操作盤20a及び第2操作盤20bの操作有効及び操作無効を制御する。
以下、上述した第1実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0072】
図10は本実施形態における機械式立体駐車場の入庫処理の手順を示したフローチャートである。
ステップSA1〜SA11は上述した第1実施形態と同一であるので説明を省略する。本実施形態では、ステップSA11において通路扉15を解錠した後、ステップSA121において、第2操作盤の操作を有効とする。すなわち、上述した第1実施形態では、
図7のステップSA12において、第1操作盤20aの操作を無効とし、第2操作盤20bの操作を有効としていたところ、本実施形態では、第1操作盤20aも第2操作盤20bも操作有効な状態とされる。これにより、ユーザは入出庫扉11及び通路扉15のどちらからでも退出可能となる。
そして、例えば、ユーザが入出庫扉11を通じて乗降室5から退出した場合には、続くステップSA14における第3認証操作は第1操作盤20aからなされることとなり、また、ユーザが通路扉15を通じて乗降室5から退出した場合には、第3認証操作は第2操作盤20bからなされることとなる。
【0073】
そして、第3認証操作が正常に完了すると(ステップSA15において「YES」)、ステップSA122において、第3認証操作がされなかった操作盤を操作無効とする。これにより、例えば、ユーザが入出庫扉11を介して乗降室5から退出し、第1操作盤20aから第3認証操作を行った場合には、ステップSA122において、第2操作盤20bの操作を無効とする。これに対し、例えば、ユーザが通路扉15を介して乗降室5から退出し、第2操作盤20bから第3認証操作を行った場合には、ステップSA122において、第1操作盤20aの操作を無効とする。その後、第1実施形態と同様の処理が行われる(ステップSA17〜SA19)。
【0074】
このように、本実施形態に係る機械式立体駐車場及びその制御方法によれば、乗降室からの退路をユーザ自身が自由に選択することができる。これにより、ユーザの利便性をより向上させることが可能となる。
【0075】
なお、上述した各実施形態においては、駐車場の契約者自身が入出庫における全ての操作を行うことを前提にしていたが、例えば、契約者の代わりに、駐車場の操作員が操作を行ってもよい。この場合、操作員にも固有のユーザ識別情報が付与されており、そのユーザ識別情報が記憶されたICカードが貸与されている。また、認証データベース52には、操作員のユーザ識別情報であることが識別できるように、操作員のユーザ識別情報が予め登録されている。また、操作員は、通常、入出庫扉側にいるため、操作員によって入出庫操作が行われる場合には、基本的には、第1操作盤20aから種々の操作が行われることとなる。
【0076】
また、上述の第1〜第3認証操作を操作員が行った場合でも、閉扉の際の安全確認(例えば、
図7のステップSA17)に関してはユーザ本人(運転手)が行わなければならない場合がある。この場合には、例えば、第1操作盤20aに、手動で第2操作盤20bの操作を有効化するような機能有効化切替手段(例えば、入力ボタン等)を設けておき、この機能有効化切替手段が操作員によって操作された場合に、一時的に第2操作盤20bの操作を有効化することとしてもよい。
【0077】
この場合、安全確認操作を行う段階において、すなわち、
図7のステップSA15とSA17との間に、操作員が第1操作盤20aに設けられている機能有効化切替手段を押す。これにより、第2操作盤20bの表示部31及びスピーカ32から、安全確認を行った上で、安全確認ボタン42を押すようにユーザへの指示が行われる。ユーザは、乗降室内に人がいないことを確認した上で、安全確認ボタン42を押す。第2操作盤20bにおいて安全確認ボタン42が押されると、第2操作盤20bにおける操作が再び無効化され、第1操作盤20aのみによる操作が可能とされる。
【0078】
このようにすることで、操作員によって第1〜第3の認証操作が行われた場合でも、安全確認をユーザ本人に行わせることが可能となる。
また、上記例において、ユーザが安全確認ボタンを押す前に、ユーザが保有するICカードを第2操作盤20bのICカードリーダ34にかざすことにより、ユーザ認証を行うこととしてもよい。これにより、ユーザによって安全確認ボタン42が押されたことを確認することができる。
【0079】
また、上述した各実施形態においては、通路扉15及び第2操作盤20bが一つずつ設けられている場合を例示して説明したが、通路扉15及び第2操作盤20bは複数設けられていてもよい。
通路扉15が複数存在する場合であって、ユーザが使用する通路扉15を予め特定することができる場合、例えば、マンションのA棟及びB棟の間に機械式立体駐車場1が配置されている場合、A棟の住人はA棟側通路扉を用い、B棟の住人はB棟側通路側扉を用いる場合が想定できる。このような場合には、各ユーザが使用する通路扉15及び第2操作盤20bの識別情報をユーザ識別情報に関連付けて予め登録しておき、登録されていない他の通路扉15については入出庫処理が行われている期間中、施錠された状態を維持することしてもよい。また、使用されない通路扉15の近傍に設けられている第2操作盤20bについても、入出庫処理が行われている期間中、操作無効としてもよい。
【0080】
また、通路扉15が複数存在する場合には、入庫処理中にユーザが使用する通路扉15を指定することとし、指定されなかった他の通路扉15及びその通路扉の近傍に設けられている第2操作盤20bについては、上記と同様の取り扱いとすればよい。
【0081】
また、上記各実施形態では、図面を参照して入庫処理及び出庫処理の手順について説明したが、これらの手順は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。