(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
吸収性物品に用いられる消臭剤としては、安価で消臭効果に優れるという点で活性炭が広く使用されている。ところが、吸収性物品に用いると、活性炭の黒色が透けて目立ち、外観が不衛生な印象を与えていた。
【0008】
上記特許文献1では、活性炭の黒色を隠蔽する隠蔽層を設けているが、その分だけ資材コストが上昇する問題があった。また、上記特許文献2では、裏面シートに消臭材を塗布しているが、裏面シートまで達しない体液に対しては消臭効果が低いという問題があった。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、活性炭の黒色が目立たず、消臭効果に優れた吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記吸収体がクレープ紙によって囲繞された吸収性物品において、
前記吸収体の前記透液性表面シート側の面を覆う前記クレープ紙に、吸収性物品の長手方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけた複数の線状パターン及び吸収性物品の長手方向及び幅方向に間隔をあけた複数のドット状パターンのいずれか又はこれらを組み合わせたパターンで、活性炭が配置され
、
前記透液性表面シートは、吸収性物品の長手方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけて、肌側に突出する複数の凸部又は非肌側に窪む複数のエンボス部が形成され、前記活性炭は、前記凸部又はエンボス部と吸収性物品の厚み方向に重なる位置に配置されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0011】
上記請求項1記載の発明では、前記吸収体の透液性表面シート側の面を覆うクレープ紙に活性炭が配置されているため、体液が吸収体に吸収される過程で活性炭に接触しやすく、悪臭の発生を確実に抑えることができ、消臭効果に優れるようになる。
【0012】
また、前記活性炭は、クレープ紙に対して、吸収性物品の長手方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけた複数の線状パターン及び吸収性物品の長手方向及び幅方向に間隔をあけた複数のドット状パターンのいずれか又はこれらを組み合わせたパターンで配置されているため、クレープ紙の全面に配置した場合に比べて、透けて見える活性炭の黒色が目立ちにくく、着用者に不衛生な印象を与えにくい。
【0013】
また本発明では、前記透液性表面シートは、吸収性物品の長手方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけて、肌側に突出する複数の凸部又は非肌側に窪む複数のエンボス部が形成されている
ことにより、透液性表面シートのデザインとの関係で活性炭の黒色の印象を薄めている。具体的には、前記透液性表面シートとして、吸収性物品の長手方向に沿って凸部及び凹部が連なる凹凸形状に形成したものを用いるか、吸収性物品の長手方向に沿ってエンボス部が形成されたものを用いている。前記透液性表面シートの凹凸パターンと活性炭の配置パターンとを吸収性物品の長手方向に合わせることによって、線状パターンやドット状パターンで配置された活性炭の黒色部分が目立ちにくくしている。
【0014】
更に、前記活性炭を、前記透液性表面シートの凸部又はエンボス部と吸収性物品の厚み方向に重なる位置に配置することによって、透液性表面シートの凸部では活性炭との間に厚み方向に隙間ができて表面側から透けて見えにくくなるとともに、透液性表面シートのエンボス部では熱融着により繊維が圧密化されて活性炭が透けて見えにくくなる。
【0015】
請求項2に係る本発明として、前記活性炭は、前記クレープ紙の前記透液性表面シート側の面に配置されている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0016】
上記請求項2記載の発明では、前記活性炭を、吸収体の透液性表面シート側の面を覆うクレープ紙の前記透液性表面シート側の面に配置することによって、活性炭が体液と接触する機会が増加し、より確実に消臭効果が得られるようになるとともに、活性炭を肌側に配置することによって、吸収性物品と肌面との隙間部分にこもりやすい悪臭を確実に吸着できるようになる。
【0017】
請求項3に係る本発明として、前記活性炭が配合された塗工液が前記クレープ紙に印刷されている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0018】
上記請求項3記載の発明では、前記活性炭をクレープ紙に配置する手段として、前記活性炭が配合された塗工液を前記クレープ紙に印刷する方法を用いている。これにより、クレープ紙に活性炭を簡単に配置することができるとともに、抄造したクレープ紙に印刷するため、活性炭を配置しない吸収性物品と資材を共通化でき、製造コストを低く抑えることができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
以上詳説のとおり本発明によれば、活性炭の黒色が目立たず、消臭効果に優れた吸収性物品が提供できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0022】
〔生理用ナプキン1の基本構成〕
本発明に係る生理用ナプキン1は、
図1及び
図2に示されるように、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2,3間に介在された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、肌当接面側の両側部にそれぞれ長手方向に沿って配設されたサイドシート7、7とから構成されている。また、前記吸収体4の周囲において、そのナプキン長手方向の前後端縁部では、前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4の側縁よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と前記サイドシート7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接着手段によって接合され、外周に吸収体4の存在しない外周フラップ部が形成されている。
【0023】
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0024】
次いで、前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法及びエアスルー法は嵩高で圧縮復元性が高い点で優れている。不織布の繊維は、長繊維または短繊維のいずれでもよいが、好ましくはタオル地の風合いを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を好適に用いることもできる。
【0025】
前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばパルプ中に高吸水性樹脂を混入したもの、或いはパルプ中に化学繊維を混入させるとともに、高吸水性樹脂を混入したものが使用される。前記吸収体4は、図示のように、形状保持、および経血等を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した経血等の逆戻りを防止するためにクレープ紙5によって囲繞されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。また、前記吸収体4として、嵩を小さくできるエアレイド吸収体や、2層の不織布層間に高吸水性樹脂を配置してなるポリマーシートを用いてもよい。
【0026】
また、前記吸収体4には合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
【0027】
前記高吸水性樹脂としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性樹脂は製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力と吸水速度の調整が可能である。前記高吸水性樹脂の含有率は吸収体重量の5〜60%とするのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が5%未満の場合には、十分な吸収能を与えることができず、60%を超える場合にはパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、シート強度が低下し破れや割れ等が発生し易くなる。
【0028】
一方、本生理用ナプキン1の肌当接面側の両側部にはそれぞれ、長手方向に沿ってかつナプキン1のほぼ全長に亘ってサイドシート7、7が設けられ、このサイドシート7、7の一部が側方に延在されるとともに、同じく側方に延在された不透液性裏面シート2の一部とによって、本体部分の両側部に外側に突出するウイング状フラップW、Wが形成されている。前記ウイング状フラップW、Wは、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むように、基端部の折り線RL(
図1)にて外側に折り返して使用され、ウイング状フラップWの不透液性裏面シート2の外面に備えられたズレ止め粘着剤層(図示せず)を下着の外面に貼着することにより、下着とのズレ止めを図るためのものである。
【0029】
前記サイドシート7としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが望ましい。また、前記ウイング状フラップW、Wにおける経血等の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるようにすることが望ましい。
【0030】
〔クレープ紙5〕
前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5としては、薄葉紙やティッシュペーパーなどを用いることが可能であり、特に好ましいものとしては、目付け10〜20g/m
2程度、厚み0.1〜0.3mm程度の薄葉紙を挙げることができる。クレープ率は5〜20%程度、特に5〜15%程度のものを用いるのが好ましい。クレープ率が20%以上であると、後段で詳述するように活性炭10が配合された塗工液を印刷する際に、定着量は多くなるが滲みが生じて印刷に適さない。クレープ率が5%以下であると塗工液が浸透しにくいため定着量が少なくなる。
【0031】
前記クレープ紙5を構成する繊維素材は、パルプ繊維100%からなるのが望ましく、薄葉紙やティシュペーパーに用いられるNBKP及びLBKPであるのが望ましい。古紙パルプが配合されていてもよいが、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。
【0032】
本例のように、吸収体4を囲繞するクレープ紙5を設ける場合には、結果的に透液性表面シート3と吸収体4との間にクレープ紙5が介在することになる。吸収性に優れる前記クレープ紙5によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。
【0033】
前記クレープ紙5によって吸収体4を囲繞する形態は公知の方法を採用することができる。例えば、前記吸収体4の裏面側(不透液性裏面シート2側)から両側縁を巻き上げて表面側(透液性表面シート3側)で両端部を重ね合わせた1枚のクレープ紙5で額巻きする形態、前記吸収体4の裏面側から表面側の両側部まで両側縁を巻き上げて包むとともに、表面側に別のクレープ紙5を両側部が重なるように配置する形態、吸収体4の表面側を包むクレープ紙5と裏面側を包むクレープ紙5とをそれぞれ配置する形態などを採ることができる。
【0034】
なお、前記クレープ紙5に代えて、不織布によって吸収体4を囲繞しても良い。クレープ紙5に代えて不織布を使用する場合、親水性のスパンボンド不織布やSMS不織布(SMS、SSMMS等)が好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。この場合、後段で詳述するように、表面に活性炭10が配合された塗工液が印刷できるように、表面の平滑性が高く印刷し易いもの、具体的には、目付け10〜25g/m
2程度、厚み0.1〜0.3mm程度の不織布(特にスパンボンド部の繊度が1.0〜3.0dtex程度のスパンボンド不織布やSMS不織布)を用いるのが好ましい。
【0035】
〔活性炭10〕
本生理用ナプキン1では、前記吸収体4の透液性表面シート3側(肌当接面側)の面を覆うクレープ紙5に、所定のパターンで活性炭10が配置されている。前記活性炭10は、前記吸収体4の透液性表面シート3側の面を覆うクレープ紙5のみに配置され、それ以外の部材(例えば吸収体4の不透液性裏面シート2側(非肌当接面側)のクレープ紙5や吸収体4など)には配置されていない。
【0036】
前記活性炭10の配置パターンとしては、
図3及び
図4に示されるように、ナプキン長手方向に沿うとともに、幅方向に間隔をあけた複数の線状パターン(
図3及び
図4(A)、(B))及びナプキン長手方向及び幅方向に間隔をあけた複数のドット状パターン(
図4(C)、(D))のいずれか又はこれらの組み合わせからなるパターンとされている。
【0037】
以上の構成からなる本生理用ナプキン1では、吸収体4の透液性表面シート3側の面を覆うクレープ紙5に活性炭10が配置されているため、体液が透液性表面シート3を透過して吸収体4に吸収される過程で、クレープ紙5に配置された活性炭10に接触しやすく、悪臭の発生を確実に抑えることが可能となる。このため、消臭効果に優れたものとなる。
【0038】
また、前記活性炭10は、クレープ紙5に対して、ナプキン長手方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけた複数の線状パターン又はナプキンの長手方向及び幅方向に間隔をあけた複数のドット状パターンで配置されているため、クレープ紙5の全面に配置した場合に比べて、透けて見える活性炭10の黒色が目立ちにくく、着用者に不衛生な印象を与えにくくなる。つまり、前記線状パターン又はドット状パターンで配置されることにより、透けて見える活性炭10の黒色部分とそれ以外の地色の部分とが交互に配置され、所定のパターンで明暗が生じるため、この明暗のパターンがあたかも表面にデザインが施されたかのような、或いは表面に凹凸があるかのような印象を与え、デザインとしての認識性が高まるようになる。
【0039】
前記活性炭10としては、一般に食品工業用に使用されているものであれば特に限定されない。例えば、木炭、竹炭、ヤシ殻炭、石炭などを用いることができ、賦活の方法としてはガスや薬品のいずれを用いてもよい。活性炭10の形状としては粉末状、粒状、繊維状のいずれでもよいが、後段で詳述するように、塗工液に配合して印刷する場合には、粉末状のものを用いるのが好ましい。
【0040】
前記活性炭10の平均粒径は、1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1〜10μm程度である。平均粒径が100μmを超える場合には、活性炭10を塗工液に添加して印刷する際にクレープ紙5への定着性が悪くなる。また、1μmより小さいと、悪臭の吸着効果が低下するおそれがある。
【0041】
前記活性炭10の配置部分における活性炭10の量としては、30〜70g/m
2、好ましくは40〜60g/m
2とするのがよい。30g/m
2より少ないと充分な消臭機能が得られない。また、70g/m
2より多いと密度が高くなりすぎて活性炭10の定着性が悪くなり脱落しやすくなる。
【0042】
前記活性炭10の配置パターンの一つである線状パターンは、生理用ナプキン1の長手方向に線状に延びる活性炭の配置部と、活性炭が配置されない非配置部とが、生理用ナプキン1の幅方向に交互に縞状に配置されたパターンである。この線状パターンは、
図4(A)に示されるように連続線からなるものでもよいし、同
図4(B)に示されるように破線(不連続線)からなるものでもよい。
【0043】
図3に示されるように、線状パターンで配置された各線の幅aは、0.5〜3.0mm、好ましくは1.0〜2.0mmとするのがよい。0.5mmより小さいと、活性炭10が体液と接触しにくく、充分な脱臭効果が得られないおそれがある。3.0mmより大きいと、活性炭10の線が表面から透けて見えやすくなり、デザイン性が低下する。同様に活性炭10による脱臭効果及びデザイン性の観点から、隣り合う線同士の間隔bは、1.0〜3.0mm、好ましくは1.5〜2.5mmとするのがよい。また、
図4(B)に示されるように、破線状パターンで形成した場合、活性炭配置部のナプキン長手方向に沿う長さcは隣り合う活性炭配置部同士の間隔dより長くするのが好ましい(c>d)。この差は、約1〜3mm程度とするのがよい。
【0044】
また、前記ドット状パターンは、ドット状に形成された活性炭の配置部が生理用ナプキン1の長手方向及び幅方向に間隔をあけて複数配置されたパターンである。
図4(C)に示されるように、各ドットが生理用ナプキン1の長手方向及び幅方向に整列する正格子状パターン、同
図4(D)に示されるように、各ドットが生理用ナプキン1の長手方向又は幅方向に対して1列おきに半ピッチずらして配置される千鳥格子状パターンのいずれでもよい。
【0045】
図4(C)、(D)に示されるように、ドット状パターンで配置された各ドットの平面形状は、図示例では円形であるが、楕円形や多角形などのその他の幾何学的な図形でもよく、星形や花形などの具象的な図形などでもよい。各ドットの大きさeは、1.0〜3.0mm、好ましくは1.5〜2.5mmとするのがよい。また、隣り合うドット間のナプキンの幅方向及び長手方向の間隔は、2.0〜10.0mm、好ましくは2.5〜5.0mmとするのがよい。
【0046】
前記活性炭10の配置パターンは、吸収体4の全体に亘って一様である必要はなく、前記線状パターンとドット状パターンとを組み合わせたパターン、例えば体液排出部Hに対応する領域では線状パターンとし、それより外側の領域ではドット状パターンとするなど、部分的に異なるパターンで配置してもよい。また、活性炭10の配置部分の大きさ(線の幅やドットの大きさ)や間隔は一様である必要はなく、部分的に異なるパターンで配置してもよい。
【0047】
前記活性炭10は、
図3に示されるように、吸収体4の全体に亘って配置するのが好ましいが、少なくとも体液排出部Hに対応する領域を含む領域に配置されていればよい。例えば、必ずしも吸収体4の全長に亘って配置する必要はなく、体液排出部Hに対応する領域を含む長手方向の中間部のみに配置してもよい。
【0048】
前記活性炭10は、吸収体4の透液性表面シート3側を覆うクレープ紙5に対して、透液性表面シート3側の面(外側面)に配置するのが好ましい。すなわち、活性炭10が配合された塗工液をクレープ紙5に印刷する場合、吸収体4側の面(内側面)ではなく、クレープ紙5の外側面に印刷するようにする。これによって、透液性表面シート3を透過した体液がその下層側に設けられたクレープ紙5に移行する際に、活性炭10と接触しやすくなり、体液との接触機会が増加し、より確実に消臭効果が得られるようになる。また、活性炭10を肌面に近い側に配置することによって、生理用ナプキンと肌面との隙間部分にこもりやすい悪臭を確実に吸着できるようになる。
【0049】
前記活性炭10のクレープ紙5への配置は、抄造されたクレープ紙5に対して、フレキソ印刷機、グラビア印刷機等のロール転写装置、スプレー塗布装置など公知の塗布設備を用いて、外添によって行なうのが好ましい。特に、活性炭10と有機溶剤とウレタンやSBS等のバインダーとが配合された塗工液(インク)をクレープ紙5に印刷するのが好ましい。活性炭をクレープ紙の抄造時に配合するのではなく、クレープ紙5の抄造後に印刷により配置しているため、クレープ紙5に活性炭10を簡単に配置することができるとともに、活性炭10を配置しない吸収性物品との資材の共通化ができ、吸収性物品の製造コストを低く抑えることが可能となる。
【0050】
次に、前記活性炭10が表面側から透けて見えにくくする手段について、更に詳細に説明する。この手段としては、透液性表面シート3を凹凸状に形成することが挙げられる。具体的には、前記透液性表面シート3として、
図5に示されるように、生理用ナプキン1の長手方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけて、肌側に突出する複数の凸部3aが形成されたものを用いるか、
図6に示されるように、生理用ナプキン1の長手方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけて、非肌側に窪む複数のエンボス部3cが形成されたものを用いる。これにより、透液性表面シート3の凸部3aやエンボス部3cのデザインとの関係で活性炭10の黒色の印象が薄まり、活性炭10が透けて見えにくくなる。また、透液性表面シート3の凹凸パターンと活性炭10の配置パターンとを生理用ナプキン1の長手方向に合わせることによって、線状パターンやドット状パターンで配置された活性炭10の黒色部分が目立ちにくくなる。
【0051】
図5(A)に示される透液性表面シート3は、ナプキン長手方向に延びるとともに幅方向に間隔をあけて、肌側に突出する複数の凸部3aと、相対的に窪む複数の凹部3bとが交互に配置されることにより波状に形成されたものである。前記凸部3aの断面形状は、先端に行くに従って左右の間隔が徐々に狭くなる山形に形成されている。このような透液性表面シート3を製造するには、公知の方法を採用でき、例えば前記凸部3aに対応する凸状部と前記凹部3bに対応する凹状部が形成された凸ロールと、これに噛み合わさる凹凸が形成された凹ロールとの間に透液性表面シート3を通過させることにより成すことができる。
【0052】
図5(B)に示される透液性表面シート3は、凸部3aの断面形状が、基端部から先端部に向かう中間部で左右の離間幅が最大となるΩ形を成す襞状に形成されている。このような透液性表面シート3を製造するには、公知の方法を採用でき、例えば前記凸部3aに対応する凸部と前記凹部3bに対応する凹部が形成された凸ロールと、これに噛み合わさる凹凸が形成された凹ロールとの間に透液性表面シート3を通過させた後、凹部3bの底部を所定の離間幅で基材シート6に接合することにより成すことができる。本実施形態の透液性表面シート3では、凸部3aが襞状に形成され、凸部3aの高さを高くできるため、下層側がより一層透けて見えにくくなる。
【0053】
図5(C)に示される透液性表面シート3は、生理用ナプキン1の長手方向に延びるとともに、相対的に厚みの大きな多数の凸部3a(畝部)と相対的に厚みの小さな多数の凹部3b(溝部)とを有している。このような透液性表面シート3を製造するには、公知の方法を採用でき、例えば表面が平坦な表面シート原反に、前記凹部3bに対応する位置に設けられた噴射ノズルから噴射された流体を吹き付け、この吹き付け圧力によって凹部3bに存在する構成繊維が凸部3aに移動することにより得られる。本実施形態の透液性表面シート3では、凸部3aが相対的に厚く形成されるため、下層の活性炭10が透けて見えにくくなる。
【0054】
前記エンボス部3cが設けられた透液性表面シート3は、
図6に示されるように、ナプキン長手方向に延びるとともに、ナプキン幅方向に間隔をあけて、透液性表面シート3の肌当接面側からの圧搾により複数のエンボス部3cが形成されている。
【0055】
凹凸状に形成した前記透液性表面シート3において、凸部3aやエンボス部3cと前記活性炭10の配置位置との関係は任意であるが、
図7に示されるように、前記活性炭10を、前記凸部3a又はエンボス部3cと生理用ナプキン1の厚み方向に重なる位置に配置することにより、凸部3a又はエンボス部3cによって活性炭10が透けて見えにくくなるので好ましい。
図5(A)又は(B)に示される波状の透液性表面シート3の凸部3aでは活性炭10との間に厚み方向に隙間ができ、
図5(C)に示される畝溝状の透液性表面シート3では表面シートの厚みが大きく形成されるため、表面側から透けて見えにくくなる。また、
図6に示されるエンボス部3cを備えた透液性表面シート3では、エンボス部3cにおいて熱融着により繊維が圧密化されるため、活性炭10が透けて見えにくくなる。
【0056】
前記活性炭10を見えにくくする変形例としては、
図8に示されるように、吸収体4を額巻き形態で包んだクレープ紙5のうち、透液性表面シート3側の面で端部同士を二重に重ね合わせた部分の下層側(吸収体4側)に位置するクレープ紙5に、活性炭10を配置することができる。これにより、活性炭10が配置されたクレープ紙5の上層側(透液性表面シート3側)に、他方側のクレープ紙5の端部が配置されるため、活性炭10が透けて見えにくくなる。