特許第6884660号(P6884660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱日立パワーシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000002
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000003
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000004
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000005
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000006
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000007
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000008
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000009
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000010
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000011
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000012
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000013
  • 特許6884660-蒸気タービンシステム 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6884660
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】蒸気タービンシステム
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/24 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
   F01D25/24 L
【請求項の数】14
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-137198(P2017-137198)
(22)【出願日】2017年7月13日
(65)【公開番号】特開2019-19715(P2019-19715A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(72)【発明者】
【氏名】大西 智之
(72)【発明者】
【氏名】濱田 雄久
【審査官】 吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−124634(JP,A)
【文献】 特開2017−096194(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03299592(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/24
F01D 25/26
F01D 25/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転し、かつ水平方向に延びるロータ、該ロータを収容するとともに、蒸気が導入される内車室、及び該内車室を収容するとともに、横方向一方側に排気口が形成され、かつ内部が真空状態とされた外車室を有する蒸気タービンと、
前記外車室の前記横方向一方側に配置されて、前記排気口を介することで、前記蒸気が供給される復水器と、
前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第1の支持棒と、
を備え、
前記外車室は、前記ロータの軸線が延在する軸線方向において前記内車室と対向する端板と、前記内車室の上方に配置され、水平面に沿って延びるとともに、前記端板と接続された天井板と、前記天井板の下方に配置され、前記水平面に沿って延びるとともに前記端板と接続された底板と、前記軸線と交差する方向において前記排気口と対向するとともに、該排気口から離間する方向に突出し、前記外車室の横方向他方側に配置された前記天井板の端及び前記底板の端、並びに前記端板と接続された湾曲板と、を有し、
前記第1の支持棒の一端は、前記端板の上半分の内面のうち、前記軸線よりも前記横方向一方側に位置する面と接続されており、
前記第1の支持棒の他端は、前記一端よりも前記外車室の横方向他方側に配置された前記天井板の内面と接続されている蒸気タービンシステム。
【請求項2】
前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第2の支持棒を備え、
前記第2の支持棒の一端は、前記端板の上半分の内面のうち、前記軸線よりも前記横方向他方側に位置する面と接続されており、
前記第2の支持棒の他端は、軸線方向視した状態において、該第2の支持棒が前記外車室の上下方向に対して平行となるように、前記第2の支持棒の一端よりも上方に位置する前記湾曲板の内面と接続されている請求項1記載の蒸気タービンシステム。
【請求項3】
前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第3の支持棒を備え、
前記外車室は、前記軸線と交差する方向において前記湾曲板と対向するとともに、前記横方向一方側に配置された前記天井板の端及び前記底板の端、並びに前記端板と接続された側板をさらに有し、
前記第3の支持棒の一端は、前記側板の内面と接続されており、
前記第3の支持棒の他端は、該第3の支持棒の一端よりも前記横方向他方側に位置する前記天井板の内面と接続されている請求項1または2記載の蒸気タービンシステム。
【請求項4】
前記外車室の下方に配置され、前記底板が固定されるタービン架台と、
前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第4の支持棒と、
を備え、
前記第4の支持棒の一端は、前記端板の下半分の内面のうち、前記ロータの軸線よりも前記横方向他方側の面と接続されており、
前記第4の支持棒の他端は、該第4の支持棒の一端よりも前記外車室の横方向他方側に配置され、かつ前記第4の支持棒の一端よりも下方に位置する前記湾曲板の内面と接続されている請求項1から3のうち、いずれか一項記載の蒸気タービンシステム。
【請求項5】
前記外車室の下方に配置され、前記底板が固定されるタービン架台と、
前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第5の支持棒と、
をさらに備え、
前記外車室は、前記底板から上方に突出するとともに、前記端板の内面と対向する対向面を含む補強リブを有し、
前記第5の支持棒の一端は、前記端板の下半分の内面のうち、前記軸線よりも前記横方
向一方側の面と接続されており、
前記第5の支持棒の他端は、該第5の支持棒の一端よりも前記外車室の横方向他方側で、かつ前記第5の支持棒の一端よりも上方に位置する前記補強リブの対向面と接続されている請求項4記載の蒸気タービンシステム。
【請求項6】
軸線方向視した状態において、前記第5の支持棒は、前記第4の支持棒の傾斜よりも緩やかに傾斜している請求項5記載の蒸気タービンシステム。
【請求項7】
軸線回りに回転し、かつ水平方向に延びるロータ、該ロータを収容するとともに、蒸気が導入される内車室、及び該内車室を収容するとともに、横方向一方側に排気口が形成され、かつ内部が真空状態とされた外車室を有する蒸気タービンと、
前記外車室の前記横方向一方側に配置されて、前記排気口を介することで、前記蒸気が供給される復水器と、
前記外車室を支持するタービン架台と、
前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第1の支持棒と、
を備え、
前記外車室は、前記ロータの軸線が延在する軸線方向において前記内車室と対向する端板と、前記内車室の上方に配置され、水平面に沿って延びるとともに、前記端板と接続された天井板と、前記天井板の下方に配置され、前記水平面に沿って延びるとともに前記端板と接続された底板と、前記ロータの軸線と交差する方向において前記排気口と対向するとともに、該排気口から離間する方向に突出し、前記外車室の横方向他方側に配置された前記天井板の端及び前記底板の端、並びに前記端板と接続された湾曲板と、を有し、
前記第1の支持棒の一端は、前記端板の下半分の内面のうち、前記ロータの軸線よりも前記横方向他方側の面と接続されており、
前記第1の支持棒の他端は、該第1の支持棒の一端よりも前記外車室の横方向他方側に配置され、かつ前記第1の支持棒の一端よりも下方に位置する前記湾曲板の内面と接続されている蒸気タービンシステム。
【請求項8】
前記外車室は、前記底板から上方に突出し、かつ前記端板の内面と対向する対向面を含む補強リブを有しており、
前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第2の支持棒を備え、
前記第2の支持棒の一端は、前記端板の下半分の内面のうち、前記軸線よりも前記横方向一方側の面と接続されており、
前記第2の支持棒の他端は、該第2の支持棒の一端よりも前記外車室の横方向他方側で、かつ前記第2の支持棒の一端よりも上方に位置する前記補強リブの対向面と接続されている請求項7に記載の蒸気タービンシステム。
【請求項9】
軸線方向視した状態において、前記第2の支持棒は、前記第1の支持棒の傾斜よりも緩やかに傾斜している請求項8記載の蒸気タービンシステム。
【請求項10】
前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第3の支持棒を備え、
前記第3の支持棒の一端は、前記端板の上半分の内面のうち、前記ロータの軸線よりも前記横方向一方側の面と接続されており、
前記第3の支持棒の他端は、前記一端よりも前記外車室の横方向他方側に配置された前記天井板の内面と接続されている請求項7から9のうち、いずれか一項記載の蒸気タービンシステム。
【請求項11】
前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第4の支持棒を備え、
前記第4の支持棒の一端は、前記端板の上半分の内面のうち、前記軸線よりも前記横方向他方側の面と接続されており、
前記第4の支持棒の他端は、軸線方向視した状態において、該第4の支持棒が前記外車室の上下方向に対して平行となるように、前記第4の支持棒の一端よりも上方に位置する前記湾曲板の内面と接続されている請求項7から10のうち、いずれか一項記載の蒸気タービンシステム。
【請求項12】
前記外車室は、前記湾曲板と対向するとともに、前記横方向一方側に配置された前記天井板の端、前記横方向一方側に配置された前記底板の端、及び前記端板と接続された側板をさらに有し、
前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第5の支持棒を備え、
前記第5の支持棒の一端は、前記側板の内面と接続されており、
前記第5の支持棒の他端は、該第5の支持棒の一端よりも前記横方向他方側に位置する前記天井板の内面と接続されている請求項7から11のうち、いずれか一項記載の蒸気タービンシステム。
【請求項13】
前記端板は、前記軸線方向において、前記内車室を挟んで対向するように2つ配置されている請求項1から12のうちいずれか一項記載の蒸気タービンシステム。
【請求項14】
前記外車室は、前記軸線と交差する方向において前記排気口と対向する側板を有し、
前記排気口は、前記軸線方向に2つ設けられており、
前記側板は、2つの前記排気口の間に配置されている請求項1から13のうち、いずれか一項記載の蒸気タービンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントでは、蒸気タービンを含む蒸気タービンシステムが使用されている。蒸気タービンは、回転するタービンロータと、内車室と、外車室と、を備える。
内車室は、上部に蒸気が導入される蒸気導入口を有する。内車室は、タービンロータを収容している。外車室は、内車室を収容している。外車室は、内車室内で仕事をした蒸気が導出される。外車室は、真空状態とされている。
【0003】
蒸気タービンのうちの1つとして、外車室の横方向一方側に復水器(コンデンサ)が配置されたサイドコンデンサ方式の蒸気タービンシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に開示された外車室は、底板、天井板、湾曲板、一対の端板、及び排気口を有する。
天井板は、底板と対向してするように、底板の上方に配置されている。湾曲板は、排気口と対向するように配置されている。湾曲板は、天井板の一端、及び底板の一端と一体に形成されている。
一対の端板は、湾曲板、天井板、及び底板をタービンロータの軸線方向から挟み込むように配置されている。一対の端板には、それぞれタービンロータを挿入するための開口部が形成されている。
【0005】
特許文献1に開示された蒸気タービンシステムでは、蒸気タービンで仕事をした蒸気が外車室の横方向一方側に形成された排気口を介して復水器に供給される。
このような構成とされた蒸気タービンシステムは、蒸気を下方向に排出する蒸気タービンと比較して、建屋の高さ及び基礎の高さを低くすることが可能になるとともに、コストを低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−124634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示された蒸気タービンシステムでは、上述したように、外車室内が真空状態とされているため、外圧の影響により、外車室が凹む可能性があった。
また、外車室内の蒸気を排気口から排気することで、外車室の一部が排気口に向かう方向に変形すると、排気口に向かう横方向に、外車室及び内車室が変位してしまう可能性があった。
【0008】
そこで、本発明は、外車室の変形を抑制した上で、排気口に向かう横方向に外車室及び内車室が変位することを抑制可能な蒸気タービンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムは、軸線回りに回転し、かつ水平方向に延びるロータ、該ロータを収容するとともに、蒸気が導入される内車室、及び該内車室を収容するとともに、横方向一方側に排気口が形成され、かつ内部が真空状態とされた外車室を有する蒸気タービンと、前記外車室の前記横方向一方側に配置されて、前記排気口を介することで、前記蒸気が供給される復水器と、前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第1の支持棒と、を備え、前記外車室は、前記ロータの軸線が延在する軸線方向において前記内車室と対向する端板と、前記内車室の上方に配置され、水平面に沿って延びるとともに、前記端板と接続された天井板と、前記天井板の下方に配置され、前記水平面に沿って延びるとともに前記端板と接続された底板と、前記軸線と交差する方向において前記排気口と対向するとともに、該排気口から離間する方向に突出し、前記外車室の横方向他方側に配置された前記天井板の端及び前記底板の端、並びに前記端板と接続された湾曲板と、を有し、前記第1の支持棒の一端は、前記端板の上半分の内面のうち、前記軸線よりも前記横方向一方側に位置する面と接続されており、前記第1の支持棒の他端は、前記一端よりも前記外車室の横方向他方側に配置された前記天井板の内面と接続されている。
【0010】
本発明によれば、上記構成とされた第1の支持棒を有することで、端板の内面と天井板の内面との間において、第1の支持棒がつっかえ棒(支え棒)として機能するため、内部が真空状態とされた外車室(具体的には、端板及び天板)の変形を抑制することができる。
【0011】
また、上記構成とされた第1の支持棒を有することで、外車室内よりも高い圧力とされた外車室の外側の圧力により、端板が凹む変形をした際、端板の変形による力を第1の支持棒の一端を介して、第1の支持棒の他端と接続された天井板に伝達することが可能となる。
このとき、第1の支持棒の一端よりも外車室の横方向他方側に第1の支持棒の他端が配置されているため、天井板に伝えられる力は、外車室の横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分と、湾曲板を上方に押し上げる方向に働く上成分と、を含むことになる。
【0012】
したがって、天井板に伝えられる力の上成分により、外車室の外側の圧力による天井板の凹む変形を抑制することができる。
また、排気口を介して外車室内の蒸気を排気する際に発生する力(具体的には、外車室の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室及び内車室を移動させようとする力)を、天井板に伝えられる力の横成分により弱めることができる。
【0013】
つまり、上記構成とされた第1の支持棒を有することで、外車室の変形を抑制した上で、外車室、及び内車室が排気口に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0014】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第2の支持棒を備え、前記第2の支持棒の一端は、前記端板の上半分の内面のうち、前記軸線よりも前記横方向他方側に位置する面と接続されており、前記第2の支持棒の他端は、軸線方向視した状態において、該第2の支持棒が前記外車室の上下方向に対して平行となるように、前記第2の支持棒の一端よりも上方に位置する前記湾曲板の内面と接続されていてもよい。
【0015】
このように、上記構成とされた第2の支持棒を有することで、端板の内面と湾曲板の内面との間において、第2の支持棒がつっかえ棒として機能するため、内部が真空状態とされた外車室(具体的には、端板及び湾曲板)の変形を抑制することができる。
【0016】
また、上記構成とされた第2の支持棒を有することで、外車室内よりも高い圧力とされた外車室の外側の圧力により、端板が凹む変形をした際、端板の変形による力を第2の支持棒を介して、湾曲板の上部に伝達することが可能となる。
このとき、軸線方向視した状態において、外車室の上下方向に対して平行となるように第2の支持棒が配置されているため、湾曲板に伝えられる力は、軸線方向に平行な方向に働く横成分と、湾曲板を上方に押し上げる方向に働く上成分と、を含むことになる。
【0017】
したがって、第2の支持棒が湾曲板に伝達する力には、横方向他方側から横方向一方側に向う方向に働く成分(外車室及び内車室を排気口側に移動させる成分)が含まれていない。これにより、第2の支持棒を設けることに起因する外車室、及び内車室の排気口側への変位(横方向の変位)を抑制することができる。
【0018】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第3の支持棒を備え、前記外車室は、前記軸線と交差する方向において前記湾曲板と対向するとともに、前記横方向一方側に配置された前記天井板の端及び前記底板の端、並びに前記端板と接続された側板をさらに有し、前記第3の支持棒の一端は、前記側板の内面と接続されており、前記第3の支持棒の他端は、該第3の支持棒の一端よりも前記横方向他方側に位置する前記天井板の内面と接続されていてもよい。
【0019】
上記構成とされた第3の支持棒を有することで、側板の内面と天井板の内面との間において、第3の支持棒がつっかえ棒として機能するため、内部が真空状態とされた外車室(具体的には、側板及び天井板)の変形を抑制することができる。
【0020】
また、上記構成とされた第3の支持棒を有することで、外車室内よりも高い圧力とされた外車室の外側の圧力により、側板が湾曲板側に凹むように変形した際、側板の変形による力を第3の支持棒の一端を介して、第3の支持棒の他端と接続された天井板に伝達することが可能となる。
このとき、天井板に伝えられる力は、外車室の横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分と、天井板を上方に押し上げる方向に働く上成分と、を含むことになる。
【0021】
したがって、天井板に伝えられる力の上成分により、外車室の外側の圧力による天井板の凹む変形を抑制することができる。
また、排気口を介して外車室内の蒸気を排気する際に発生する力(具体的には、外車室の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室及び内車室を移動させようとする力)を、天井板に伝えられる力の横成分により弱めることができる。
【0022】
つまり、上記構成とされた第3の支持棒を有することで、外車室の変形を抑制した上で、外車室、及び内車室が排気口に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0023】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、前記外車室の下方に配置され、前記底板が固定されるタービン架台と、前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第4の支持棒と、を備え、前記第4の支持棒の一端は、前記端板の下半分の内面のうち、前記ロータの軸線よりも前記横方向他方側の面と接続されており、前記第4の支持棒の他端は、該第4の支持棒の一端よりも前記外車室の横方向他方側に配置され、かつ前記第4の支持棒の一端よりも下方に位置する前記湾曲板の内面と接続されていてもよい。
【0024】
ところで、外車室の底板がタービン架台に固定された状態では、外車室の底板とタービン架台との固定部分が拘束点となる。そして、この状態とされた外車室には、拘束点を中心としたモーメントが発生する。
具体的には、湾曲板側では下から上に向かう方向にモーメントが発生し、排気口側では上から下に向かう方向にモーメントが発生し、天板側では横方向他端から横方向一端に向かう方向にモーメントが発生する。
【0025】
上記構成とされた第4の支持棒を有することで、外車室の内部よりも高い圧力とされた外車室の外側の圧力により、端板がロータの軸線方向に凹むように変形した際、端板の変形による力を第4の支持棒の一端を介して、第4の支持棒の他端と接続された湾曲板の下部に伝達することが可能となる。
このとき、湾曲板の下部に伝えられる力は、横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分と、湾曲板を下方に押し下げる方向に働く下成分と、を含むことになる。
【0026】
したがって、湾曲板の下部に伝えられる力の下成分により、湾曲板の下部が凹む変形を抑制できるとともに、湾曲板側で発生する下から上に向かう方向のモーメントの一部を打ち消すことができる。
【0027】
また、湾曲板の下部に伝えられる力の横成分により、排気口を介して外車室内を排気する際に発生する力(具体的には、外車室の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室及び内車室を移動させようとする力)を弱めることができる。
【0028】
つまり、上記構成とされた第4の支持棒を有することで、外車室の変形を抑制した上で、外車室、及び内車室が排気口に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0029】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、前記外車室の下方に配置され、前記底板が固定されるタービン架台と、前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第5の支持棒と、をさらに備え、前記外車室は、前記底板から上方に突出するとともに、前記端板の内面と対向する対向面を含む補強リブを有し、前記第5の支持棒の一端は、前記端板の下半分の内面のうち、前記軸線よりも前記横方向一方側の面と接続されており、前記第5の支持棒の他端は、該第5の支持棒の一端よりも前記外車室の横方向他方側で、かつ前記第5の支持棒の一端よりも上方に位置する前記補強リブの対向面と接続されていてもよい。
【0030】
上記構成とされた第5の支持棒を設けることで、端板の内面と補強リブの対向面との間において、第5の支持棒がつっかえ棒として機能するため、内部が真空状態とされた外車室(具体的には、端板)の変形を抑制することができる。
【0031】
また、上記構成とされた第5の支持棒を有することで、外車室内よりも高い圧力とされた外車室の外側の圧力により、端板がロータの凹むように変形した際、端板の変形による力を第5の支持棒の一端を介して、第5の支持棒の他端と接続された補強リブに伝達することが可能となる。
このとき、補強リブに伝えられる力は、横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分と、補強リブを上方に押し上げる方向に働く上成分と、を含むことになる。
【0032】
したがって、補強リブに伝えられる力の上成分により、排気口側で発生する上から下に向かう方向のモーメントを低減することができる。
【0033】
また、補強リブに伝えられる力の横成分により、排気口を介して外車室内を排気する際に発生する力(具体的には、外車室の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室及び内車室を移動させようとする力)を弱めることができる。
【0034】
つまり、上記構成とされた第5の支持棒を有することで、外車室の変形を抑制した上で、外車室、及び内車室が排気口に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0035】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、軸線方向視した状態において、前記第5の支持棒は、前記第4の支持棒の傾斜よりも緩やかに傾斜していてもよい。
【0036】
このように、第5の支持棒の傾斜を第4の支持棒の傾斜よりも緩やかにすることで、湾曲板側及び排気口側で発生するモーメントをそれぞれ効率良く低減することができる。
【0037】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムは、軸線回りに回転し、かつ水平方向に延びるロータ、該ロータを収容するとともに、蒸気が導入される内車室、及び該内車室を収容するとともに、横方向一方側に排気口が形成され、かつ内部が真空状態とされた外車室を有する蒸気タービンと、前記外車室の前記横方向一方側に配置されて、前記排気口を介することで、前記蒸気が供給される復水器と、前記外車室を支持するタービン架台と、前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第1の支持棒と、を備え、前記外車室は、前記ロータの軸線が延在する軸線方向において前記内車室と対向する端板と、前記内車室の上方に配置され、水平面に沿って延びるとともに、前記端板と接続された天井板と、前記天井板の下方に配置され、前記水平面に沿って延びるとともに前記端板と接続された底板と、前記ロータの軸線と交差する方向において前記排気口と対向するとともに、該排気口から離間する方向に突出し、前記外車室の横方向他方側に配置された前記天井板の端及び前記底板の端、並びに前記端板と接続された湾曲板と、を有し、前記第1の支持棒の一端は、前記端板の下半分の内面のうち、前記ロータの軸線よりも前記横方向他方側の面と接続されており、前記第1の支持棒の他端は、該第1の支持棒の一端よりも前記外車室の横方向他方側に配置され、かつ前記第1の支持棒の一端よりも下方に位置する前記湾曲板の内面と接続されている。
【0038】
本発明によれば、上記構成とされた第1の支持棒を設けることで、端板の内面と湾曲板の内面との間において、第1の支持棒がつっかえ棒(支え棒)として機能するため、内部が真空状態とされた外車室(具体的には、端板及び湾曲板の下部)の変形を抑制することができる。
【0039】
ところで、外車室の底板がタービン架台に固定された状態では、外車室の底板とタービン架台との固定部分が拘束点となる。そして、この状態とされた外車室には、拘束点を中心としたモーメントが発生する。
具体的には、湾曲板側では下から上に向かう方向にモーメントが発生し、排気口側では上から下に向かう方向にモーメントが発生し、天板側では横方向他端から横方向一端に向かう方向にモーメントが発生する。
【0040】
上記構成とされた第1の支持棒を有することで、外車室内よりも高い圧力とされた外車室の外側の圧力により、端板が凹むように変形した際、端板の変形による力を第1の支持棒の一端を介して、第1の支持棒の他端と接続された湾曲板の下部に伝達することが可能となる。
このとき、湾曲板の下部に伝えられる力は、横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分と、湾曲板を下方に押し下げる方向に働く下成分と、を含むことになる。
【0041】
したがって、湾曲板の下部に伝えられる力の下成分により、湾曲板の下部が凹む変形を抑制できるとともに、湾曲板側で発生する下から上に向かう方向のモーメントの一部を打ち消すことができる。
【0042】
また、湾曲板の下部に伝えられる力の横成分により、排気口を介して外車室内を排気する際に発生する力(具体的には、外車室の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室及び内車室を移動させようとする力)を弱めることができる。
【0043】
つまり、上記構成とされた第1の支持棒を有することで、外車室の変形を抑制した上で、外車室、及び内車室が排気口に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0044】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、前記外車室は、前記底板から上方に突出し、かつ前記端板の内面と対向する対向面を含む補強リブを有しており、前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第2の支持棒を備え、前記第2の支持棒の一端は、前記端板の下半分の内面のうち、前記軸線よりも前記横方向一方側の面と接続されており、前記第2の支持棒の他端は、該第2の支持棒の一端よりも前記外車室の横方向他方側で、かつ前記第2の支持棒の一端よりも上方に位置する前記補強リブの対向面と接続されていてもよい。
【0045】
このように、上記構成とされた第2の支持棒を設けることで、端板の下半分の内面と補強リブの対向面との間において、第2の支持棒がつっかえ棒として機能するため、内部が真空状態とされた外車室(具体的には、端板)の変形を抑制することができる。
【0046】
また、上記構成とされた第2の支持棒を有することで、外車室内よりも高い圧力とされた外車室の外側の圧力により、端板が凹むように変形した際、端板の変形による力を第2の支持棒の一端を介して、第2の支持棒の他端と接続された補強リブに伝達することが可能となる。
このとき、補強リブに伝えられる力は、横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分と、補強リブを上方に押し上げる方向に働く上成分と、を含むことになる。
【0047】
したがって、補強リブに伝えられる力の上成分により、排気口側で発生する上から下に向かう方向のモーメントを低減することができる。
【0048】
また、補強リブに伝えられる力の横成分により、排気口を介して外車室内を排気する際に発生する力(具体的には、外車室の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室及び内車室を移動させようとする力)を弱めることができる。
【0049】
つまり、上記構成とされた第2の支持棒を有することで、外車室の変形を抑制した上で、外車室、及び内車室が排気口に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0050】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、軸線方向視した状態において、前記第2の支持棒は、前記第1の支持棒の傾斜よりも緩やかに傾斜していてもよい。
【0051】
このように、一端が端板の内面と接続される第2の支持棒の傾斜を、一端が湾曲板の下半分の内面と接続される第1の支持棒の傾斜よりも緩やかにすることで、湾曲板側及び排気口側で発生するモーメントをそれぞれ効率良く低減することができる。
【0052】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第3の支持棒を備え、前記第3の支持棒の一端は、前記端板の上半分の内面のうち、前記ロータの軸線よりも前記横方向一方側の面と接続されており、前記第3の支持棒の他端は、前記一端よりも前記外車室の横方向他方側に配置された前記天井板の内面と接続されていてもよい。
【0053】
このように、上記構成とされた第3の支持棒を有することで、端板の内面と天井板の内面との間において、第3の支持棒がつっかえ棒(支え棒)として機能するため、内部が真空状態とされた外車室(具体的には、端板及び天板)の変形を抑制することができる。
【0054】
また、上記構成とされた第3の支持棒を有することで、外車室内よりも高い圧力とされた外車室の外側の圧力により、端板が凹む変形をした際、端板の変形による力を第3の支持棒の一端を介して、第3の支持棒の他端と接続された天井板に伝達することが可能となる。
このとき、第3の支持棒の一端よりも外車室の横方向他方側に第3の支持棒の他端が配置されているため、天井板に伝えられる力は、外車室の横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分と、湾曲板を上方に押し上げる方向に働く上成分と、を含むことになる。
【0055】
したがって、天井板に伝えられる力の上成分により、外車室の外側の圧力による天井板の凹む変形を抑制することができる。
また、排気口を介して外車室内の蒸気を排気する際に発生する力(具体的には、外車室の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室及び内車室を移動させようとする力)を、天井板に伝えられる力の横成分により弱めることができる。
【0056】
つまり、上記構成とされた第3の支持棒を有することで、外車室の変形を抑制した上で、外車室、及び内車室が排気口に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0057】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第4の支持棒を備え、前記第4の支持棒の一端は、前記端板の上半分の内面のうち、前記軸線よりも前記横方向他方側の面と接続されており、前記第4の支持棒の他端は、軸線方向視した状態において、該第4の支持棒が前記外車室の上下方向に対して平行となるように、前記第4の支持棒の一端よりも上方に位置する前記湾曲板の内面と接続されていてもよい。
【0058】
このように、上記構成とされた第4の支持棒を有することで、端板の内面と湾曲板の内面との間において、第4の支持棒がつっかえ棒として機能するため、内部が真空状態とされた外車室(具体的には、端板及び湾曲板)の変形を抑制することができる。
【0059】
また、上記構成とされた第4の支持棒を有することで、外車室内よりも高い圧力とされた外車室の外側の圧力により、端板が凹む変形をした際、端板の変形による力を第4の支持棒を介して、湾曲板の上部に伝達することが可能となる。
このとき、軸線方向視した状態において、外車室の上下方向に対して平行となるように第4の支持棒が配置されているため、湾曲板に伝えられる力は、軸線方向に平行な方向に働く横成分と、湾曲板を上方に押し上げる方向に働く上成分と、を含むことになる。
【0060】
したがって、第4の支持棒が湾曲板に伝達する力には、横方向他方側から横方向一方側に向う方向に働く成分(外車室及び内車室を排気口側に移動させる成分)が含まれていない。これにより、第4の支持棒を設けることに起因する外車室、及び内車室の排気口側への変位(横方向の変位)を抑制することができる。
【0061】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、前記外車室は、前記湾曲板と対向するとともに、前記横方向一方側に配置された前記天井板の端、前記横方向一方側に配置された前記底板の端、及び前記端板と接続された側板をさらに有し、前記外車室内に設けられ、一方向に延在する第5の支持棒を備え、前記第5の支持棒の一端は、前記側板の内面と接続されており、前記第5の支持棒の他端は、該第5の支持棒の一端よりも前記横方向他方側に位置する前記天井板の内面と接続されていてもよい。
【0062】
このように、上記構成とされた第5の支持棒を有することで、側板の内面と天井板の内面との間において、第5の支持棒がつっかえ棒として機能するため、内部が真空状態とされた外車室(具体的には、側板及び天井板)の変形を抑制することができる。
【0063】
また、上記構成とされた第5の支持棒を有することで、外車室内よりも高い圧力とされた外車室の外側の圧力により、側板が湾曲板側に凹むように変形した際、側板の変形による力を第5の支持棒の一端を介して、第5の支持棒の他端と接続された天井板に伝達することが可能となる。
このとき、天井板に伝えられる力は、外車室の横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分と、天井板を上方に押し上げる方向に働く上成分と、を含むことになる。
【0064】
したがって、天井板に伝えられる力の上成分により、外車室の外側の圧力による天井板の凹む変形を抑制することができる。
また、排気口を介して外車室内の蒸気を排気する際に発生する力(具体的には、外車室の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室及び内車室を移動させようとする力)を、天井板に伝えられる力の横成分により弱めることができる。
【0065】
つまり、上記構成とされた第5の支持棒を有することで、外車室の変形を抑制した上で、外車室、及び内車室が排気口に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0066】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、前記外車室は、前記軸線と交差する方向において前記排気口と対向する側板を有し、前記排気口は、前記軸線方向に2つ設けられており、前記側板は、2つの前記排気口の間に配置されていてもよい。
【0067】
このように、ロータの軸線方向において、内車室を挟んで対向するように2つの端板を配置してもよい。
【0068】
また、上記本発明の一態様に係る蒸気タービンシステムにおいて、前記排気口は、前記軸線方向に2つ設けられており、前記側板は、2つの前記排気口の間に配置されていてもよい。
【0069】
このように、ロータの軸線方向に2つの排気口を設けて、2つの排気口の間に側板を配置させてもよい。
【発明の効果】
【0070】
本発明によれば、外車室の変形を抑制した上で、外車室、及び内車室が排気口に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本発明の第1の実施形態に係る蒸気タービンシステムの概略構成を示す図である。
図2図1に示す低圧蒸気タービン、復水器、及び中間胴(図1に図示せず)をA視した側面図である。
図3図2に示す低圧蒸気タービンの概略構成を示す斜視図である。
図4図3に示す低圧蒸気タービンのA−A線方向の断面図である。
図5図3に示す低圧蒸気タービンのB−B線方向の断面の斜視図である。
図6図5に示す構造体を軸線方向視した図である。
図7図3に示す低圧蒸気タービンのC−C線方向の断面図である。
図8図2に示す低圧蒸気タービンと中間胴とを離間させた状態を模式的に示す斜視図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る蒸気タービンシステムを構成する第1の支持棒を説明するため図(その1)であり、一方の端板に第1の支持棒が設けられた状態を模式的に示す外車室の断面斜視図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る蒸気タービンシステムを構成する第1の支持棒を説明するため図(その2)であり、他方の端板に第1の支持棒が設けられた状態を模式的に示す外車室の断面斜視図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る蒸気タービンシステムを構成する第2の支持棒を説明するため図であり、外車室の排気口の下部、及び側板の下部を拡大した図である。
図12図11に示す構造体の領域Dを拡大した斜視図である。
図13】第1及び第2の支持棒を軸線方向視した状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。
【0073】
(第1の実施形態)
図1及び図2を参照して、第1の実施形態の蒸気タービンシステム10について説明する。図1では、図1に示す低圧蒸気タービン16の紙面手前側にある復水器23(コンデンサ)を点線で図示する。また、図1では、図2に示す中間胴21の図示、及び図3に示す排気口56の図示を省略する。図1において、X方向はタービンロータ18(ロータ)の軸線方向(軸線Ax方向)、Z方向は鉛直方向(上下方向)をそれぞれ示している。
図2において、Y方向は、X方向及びZ方向に対して直交する方向(軸線方向に対して直交する方向)を示している。図2では、図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0074】
第1の実施形態の蒸気タービンシステム10は、蒸気発生器11と、蒸気供給ライン12と、分岐ライン12Aと、高圧蒸気タービン13と、湿分分離加熱器14と、ライン15A,15Bと、低圧蒸気タービン16と、タービンロータ18と、発電機19と、中間胴21と、伸縮部材22と、復水器23と、タービン架台25と、を備える。
【0075】
蒸気発生器11は、蒸気供給ライン12の一端と接続されている。蒸気発生器11は、高圧の蒸気を生成する。蒸気発生器11は、蒸気供給ライン12を介して、高圧蒸気タービン13、及び湿分分離加熱器14に高圧の蒸気を供給する。
【0076】
蒸気供給ライン12は、他端が高圧蒸気タービン13と接続されている。蒸気供給ライン12は、高圧蒸気タービン13に蒸気発生器11が生成した高圧の蒸気を供給する。
分岐ライン12Aは、蒸気供給ライン12から分岐されている。分岐ライン12Aの先端は、低圧蒸気タービン16の蒸気導入口31Aと接続されている。
【0077】
高圧蒸気タービン13は、タービン架台25上に固定されている。高圧蒸気タービン13は、X方向に延在するタービンロータ18の一部を収容している。
湿分分離加熱器14は、蒸気発生器11及び高圧蒸気タービン13からの蒸気の湿分を分離して加熱させる。
【0078】
ライン15Aは、一端が高圧蒸気タービン13と接続されており、他端が湿分分離加熱器14と接続されている。ライン15Aは、高圧蒸気タービン13からの蒸気の湿分を湿分分離加熱器14に供給する。
ライン15Bは、一端が湿分分離加熱器14と接続されており、他端が低圧蒸気タービン16の蒸気導入口31Aと接続されている。ライン15Bは、加熱した蒸気を低圧蒸気タービン16の蒸気導入口31Aに供給する。
【0079】
図1図7を参照して、低圧蒸気タービン16について説明する。図1図7に示す構造体において、同一構成部分には同一符号を付す。図3では、低圧蒸気タービン16を構成するタービンロータ18(図1参照)の図示を省略する。図4では、図5図7に示す第1の支持棒41、第2の支持棒42、及び第3の支持棒43の図示を省略する。図4では、説明の便宜上、低圧蒸気タービン16の構成要素ではないライン15Bを図示する。
図4図6、及び図7において、Axは、図1に示すX方向に延在するタービンロータ18の軸線(以下、「軸線Ax」という)を示している。軸線Axは、X方向に対して平行である。また、以下の説明では、軸線Axが延在する方向を軸線Ax方向という。図5図7では、説明の便宜上、図4に示す内車室31の図示を省略する。また、図6及び図7では、説明の便宜上、図3には図示していないタービンロータ18を図示する。
【0080】
なお、第1の実施形態では、一例として、低圧蒸気タービン16がダブルフロー方式(複流方式)の蒸気タービンである場合を例に挙げる。
また、本発明において、「横方向一方側」とは、外車室33のうち、排気口56が形成されたY方向側を指す。また、「横方向他方側」とは、外車室33のうち、湾曲板51が配置された側を指す。
【0081】
低圧蒸気タービン16は、X方向において、高圧蒸気タービン13と発電機19との間に配置されている。低圧蒸気タービン16は、タービン架台25上に固定されている。
低圧蒸気タービン16は、タービンロータ18と、内車室31と、外車室33と、第1の支持棒41と、第2の支持棒42と、第3の支持棒43と、を有する。
【0082】
タービンロータ18は、X方向に延在しており、軸線Ax周りに回転する。なお、タービンロータ18は、X方向及びY方向に対して平行な水平方向に延在しておればよく、タービンロータ18の延在方向は、X方向に限定されない。第1の実施形態では、一例として、タービンロータ18がX方向に延在する場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
【0083】
タービンロータ18は、内車室31及び外車室33をX方向に貫通している。タービンロータ18のうち、高圧蒸気タービン13側に配置された一方の端部側は、高圧蒸気タービン13内に配置されており、発電機19側に配置された他方の端部側は、発電機19内に配置されている。
【0084】
タービンロータ18のうち、高圧蒸気タービン13内に配置された部分、及び低圧蒸気タービン16内に配置された部分には、それぞれX方向に沿って配置された多段の翼列(図示せず)が設けられている。
タービンロータ18は、外車室33の外側に配置されたロータ軸受(図示せず)により、軸線回りに回転可能な状態で支持されている。
【0085】
内車室31は、外車室33内に収容された状態で、外車室33に固定されている。内車室31は、その内部に空間31Bを区画している。内車室31は、上端にライン15Bの他端と接続される蒸気導入口31Aを有する。
【0086】
蒸気導入口31Aは、ライン15Bを介して、加熱された蒸気を空間31Bに導入させる。空間31Bに導入された蒸気は、内車室31とタービンロータ18との隙間を通過して仕事をした後、外車室33内におけるX方向(具体的には、内車室31から高圧蒸気タービン13に向かう方向、及び内車室31から発電機19に向かう方向)に排出される。
【0087】
外車室33は、内部に空間33Aを区画している。空間33Aは、真空状態とされている。外車室33の外側の圧力は、真空状態とされた空間33Aの圧力よりも高い。
外車室33は、一対の端板45,46(2つの端板)と、底板47と、天井板48と、湾曲板51と、側板53と、補強リブ54と、開口部55と、2つの排気口56と、を有する。
【0088】
一対の端板45,46は、X方向において、内車室31を挟んで対向するように配置されている。一対の端板45,46は、それぞれタービンロータ18が挿入するための開口部61と、コーン部62と、を有する。端板45,46に形成された開口部61は、X方向において対向配置されている。
コーン部62は、空間33A側に凹む円錐形状とされた部分である。タービンロータ18を回転可能に支持するロータ軸受(図示せず)は、コーン部62に近接して配置されている。
【0089】
底板47は、天井板48の下方に配置され、水平面(X方向及びY方向に対して平行な面)に沿って延びている。底板47は、一対の端板45,46の下端、及び側板53の下端と接続されている。
底板47は、Z方向に対して直交する内面47aを有する。内面47aは、外車室33の内面の一部を構成している。底板47は、タービン架台25に固定されている。底板47とタービン架台25とが接続された部分が、拘束点として機能する。
【0090】
天井板48は、内車室31の上方に配置され、水平面(X方向及びY方向に対して平行な面)に沿って延びている。天井板48は、一対の端板45,46の上端、及び側板53の上端と接続されている。天井板48は、底板47の内面47aに対向するとともに、内面47aに対して平行な内面48a(下面)を有する。内面48aは、外車室33の内面の一部を構成している。
【0091】
湾曲板51は、横方向他方側に配置された天井板48の端、横方向他方側に配置された底板47の端、及び横方向他方側に配置された一対の端板45,46と接続されている。
湾曲板51は、Y方向(タービンロータ18の軸線Axと直交する方向)において排気口56と対向している。湾曲板51は、排気口56と対向する内面51aを有する。内面51aは、曲面とされている。
【0092】
なお、第1の実施形態では、一例として、軸線Axと直交する方向において、湾曲板51と排気口56とが対向する場合を例に挙げて説明するが、軸線Axと交差する方向において、湾曲板51と排気口56とを対向配置させてもよい。
【0093】
湾曲板51は、排気口56から離間する方向に突出している。軸線Ax方向視した状態において、湾曲板51は、例えば、タービンロータ18の軸線Axを中心とする半円形状とすることが可能である。
なお、第1の実施形態では、一例として、湾曲板51の形状がタービンロータ18の軸線Axを中心とする半円形状の場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
【0094】
側板53は、横方向一方側に配置された天井板48の端、横方向一方側に配置された底板47の端、及び横方向一方側に配置された一対の端板45,46と接続されている。
【0095】
側板53は、上部53Aと、下部53Bと、挿入部53Cと、を有する。上部53Aは、下部53Bよりも上方に配置されており、天井板48と接続されている。上部53Aは、下部53Bよりも横方向一方側に配置されている。これにより、上部53Aの下方には、挿入部53Cが形成されている。
【0096】
挿入部53Cには、タービン架台25の支持部25Bが挿入される。支持部25Bが挿入部53Cに挿入された状態において、上部53Aの下面、及び下部53Bの外面は、支持部25Bと接触する。
【0097】
補強リブ54は、底板47の内面47aに複数設けられている。複数の補強リブ54は、互いに間隔を空けた状態でX方向に配列されている。補強リブ54は、Y方向に延在する板材である。
補強リブ54は、排気口56に対応する底板47の内面47aにも設けられている。補強リブ54は、端板45、46の一部と対向している。排気口56に設けられた補強リブ54は、端板45,46のうち、補強リブ54に近接して配置された一方の端板(端板45または端板46)の内面(内面45aまたは内面46a)と対向する対向面54aを有する。
【0098】
開口部55は、天井板48と湾曲板51との境界部分に設けられている。開口部55には、内車室31の蒸気導入口31Aが配置されている。
【0099】
排気口56は、X方向から側板53を挟み込むように、側板53の両側にそれぞれ1つ設けられている。2つの排気口56は、側板53の上部53Aよりも横方向一方側に突出している。排気口56は、内車室31から外車室33内に導出された蒸気を外車室33の外に排気させる。
排気口56は、伸縮部材22を介して、中間胴21と接続されている。排気口56は、中間胴21を介して、復水器23に蒸気を供給する。排気口56の形状は、例えば、四角形とすることが可能である。
【0100】
第1の支持棒41は、一方向に延在する支持棒であり、外車室33内に4本設けられている(図6及び図7参照)。このうち2本の第1の支持棒41の一端41Aは、端板45の上半分の内面45aのうち、タービンロータ18の軸線Axよりも横方向一方側の面と接続されている(図6参照)。
これら2本の第1の支持棒41の他端41Bは、一端41Aよりも外車室33の横方向他方側に配置された天井板48の内面48aと接続されている。2本の第1の支持棒41は、間隔を空けてY方向に配列されている。
【0101】
残りの2つの第1の支持棒41の一端41Aは、端板46の上半分の内面46aのうち、タービンロータ18の軸線Axよりも横方向一方側の面と接続されている(図7参照)。これら残りの2本の第1の支持棒41の他端41Bは、一端41Aよりも外車室33の横方向他方側に配置された天井板48の内面48aと接続されている。残りの2本の第1の支持棒41は、間隔を空けて配列されている。
【0102】
このような構成とされた第1の支持棒41を有することで、端板45,46の内面45a,46aと天井板48の内面48aとの間において、第1の支持棒41がつっかえ棒(支え棒)として機能するので、内部が真空状態とされた外車室33(具体的には、端板45,46及び天井板48)の変形を抑制できる。
【0103】
また、上記構成とされた第1の支持棒41を有することで、外車室33内よりも高い圧力とされた外車室33の外側の圧力により、端板45,46が凹む変形をした際、端板45,46の変形による力を第1の支持棒41の一端41Aを介して、第1の支持棒41の他端41Bと接続された天井板48に伝達することが可能となる。
【0104】
このとき、第1の支持棒41の一端41Aよりも外車室33の横方向他方側に第1の支持棒41の他端41Bが配置されているため、天井板48に伝えられる力は、外車室33の横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分(以下、「横成分S1」という)と、湾曲板51を上方に押し上げる方向に働く上成分(以下、「上成分U1」という)と、を含むことになる。
【0105】
したがって、天井板48に伝えられる力の上成分U1により、外車室33の外側の圧力により天井板48の凹む変形を抑制することができる。
また、排気口56を介して外車室33内の蒸気を排気する際に発生する力(具体的には、外車室33の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室33及び内車室31を移動させようとする力)を、天井板48に伝えられる力の横成分S1により弱めることができる。
つまり、上記構成とされた第1の支持棒41を有することで、外車室33の変形を抑制した上で、外車室33、及び内車室31が排気口56に向かう横方向に変位することを抑制することができる。
【0106】
なお、図5図7では、一例として、外車室33内に4つの第1の支持棒41を設けた場合を例に挙げて説明したが、外車室33内に設ける第1の支持棒41の数は、1本以上であればよく、4本に限定されない。つまり、一対の端板45,46のうち、一方の端板のみに第1の支持棒41を設けてもよい。
【0107】
第2の支持棒42は、一方向に延在する支持棒である。第2の支持棒42は、両端が外車室33の内面に接続された状態で、外車室33内に2つ設けられている。
一方の第2の支持棒42の一端42Aは、端板45の上半分の内面45aのうち、タービンロータ18の軸線Axよりも横方向他方側の面と接続されている。
一方の第2の支持棒42の他端42Bは、軸線Ax方向視した状態(図6に示す状態)において、第2の支持棒42が外車室33のZ方向(上下方向)に対して平行となるように、第2の支持棒42の一端42Aよりも上方に位置する湾曲板51の内面51aと接続されている。
【0108】
他方の第2の支持棒42の一端42Aは、端板46の上半分の内面45aのうち、タービンロータ18の軸線Axよりも横方向他方側の面と接続されている。
他方の第2の支持棒42の他端42Bは、軸線Ax方向視した状態(図7に示す状態)において、第2の支持棒42が外車室33のZ方向(上下方向)に対して平行となるように、第2の支持棒42の一端42Aよりも上方に位置する湾曲板51の内面51aと接続されている。
【0109】
このような構成とされた第2の支持棒42を有することで、端板45,46の内面45a,46aと湾曲板51の内面51aとの間において、第2の支持棒42がつっかえ棒(支え棒)として機能するため、内部が真空状態とされた外車室33(具体的には、端板45,46及び湾曲板51)の変形を抑制できる。
【0110】
また、上記構成とされた第2の支持棒42を有することで、外車室33内よりも高い圧力とされた外車室33の外側の圧力により、端板45,46が凹む変形をした際、端板45,46の変形による力を第2の支持棒42を介して、湾曲板51の上部に伝達することが可能となる。
【0111】
このとき、軸線Ax方向視した状態(図6及び図7参照)において、外車室33のZ方向(上下方向)に対して平行となるように第2の支持棒42が配置されているため、湾曲板51に伝えられる力は、軸線Ax方向に平行な方向に働く横成分(以下、「横成分S2」という)と、湾曲板51の上部を上方に押し上げる方向に働く上成分(以下、「上成分U2」という)と、を含むことになる。
【0112】
したがって、第2の支持棒42から湾曲板51に伝達される力には、横方向他方側から横方向一方側に向う方向に働く成分(外車室33及び内車室31を排気口56側に移動させる成分)が含まれていない。これにより、第2の支持棒42を設けることに起因する外車室33、及び内車室31の排気口56側への変位(横方向の変位)を抑制することができる。
【0113】
なお、図5図7では、一例として、外車室33内に2本の第2の支持棒42を設ける場合を例に挙げて説明したが、外車室33内に設ける第2の支持棒42の数は、1本以上であればよく、2本に限定されない。つまり、一対の端板45,46のうち、一方の端板のみに第2の支持棒42を設けてもよい。
【0114】
第3の支持棒43は、一方向に延在する支持棒である。第3の支持棒43は、両端が外車室33の内面に接続された状態で、外車室33内に2本設けられている。
2本の第3の支持棒43の一端43Aは、側板53の上部53Aの内面53Aaと接続されている。2本の第3の支持棒43の他端43Bは、第3の支持棒43の一端43Aよりも横方向他方側に位置する天井板48の内面48aと接続されている。2本の第3の支持棒43は、X方向に配列されている。
【0115】
上記構成とされた第3の支持棒43を有することで、側板53の上部53Aの内面53Aaと天井板48の内面48aとの間において、第3の支持棒43がつっかえ棒(支え棒)として機能するため、内部が真空状態とされた外車室33(具体的には、側板53及び天井板48)の変形を抑制することができる。
【0116】
また、上記構成とされた第3の支持棒43を有することで、外車室33内よりも高い圧力とされた外車室33の外側の圧力により、側板53の上部53Aが湾曲板51側に凹むように変形した際、側板53の上部53Aの変形による力を第3の支持棒43の一端43Aを介して、第3の支持棒43の他端43Bと接続された天井板48に伝達することが可能となる。
【0117】
このとき、天井板48に伝えられる力は、外車室33の横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分(以下、「横成分S3」という)と、天井板48を上方に押し上げる方向に働く上成分(以下、「上成分U3」という)と、を含むことになる。
【0118】
したがって、天井板48に伝えられる力の上成分U3により、外車室33の外側の圧力により天井板48の凹む変形を抑制することができる。
また、排気口56を介して外車室33内の蒸気を排気する際に発生する力(具体的には、外車室33の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室33及び内車室31を移動させようとする力)を、天井板48に伝えられる力の横成分S3により弱めることができる。
【0119】
つまり、上記構成とされた第3の支持棒43を有することで、外車室33の変形を抑制した上で、外車室33、及び内車室31が排気口56に向かう横方向に変位することを抑制することができる。
【0120】
なお、図5図7では、一例として、外車室33内に2本の第3の支持棒43を設ける場合を例に挙げて説明したが、外車室33内に設ける第3の支持棒43の数は、1本以上であればよく、2本に限定されない。
【0121】
上記説明した第1〜第3の支持棒41〜43としては、例えば、金属(例えば、炭素鋼)製の棒を用いることが可能である。また、第1〜第3の支持棒41〜43の両端(一端41A〜43A、及び他端41B〜43B)と外車室33の内面との接続方法としては、例えば、溶接を用いることが可能である。なお、溶接に替えて、フランジ付きの棒をボルト固定してもよい。
【0122】
次に、図1を参照して、発電機19について説明する。発電機19は、タービン架台25上に固定されている。発電機19は、タービンロータ18の一部を収容している。発電機19は、タービンロータ18の回転エネルギーにより発電機19が発電する。
【0123】
次に、図2及び図8を参照して、中間胴21について説明する。図8では、図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。また、図8では、図2に示す伸縮部材22の図示を省略する。
【0124】
中間胴21は、低圧蒸気タービン16と復水器23との間に設けられている。中間胴21は、Y方向に延在する部材である。中間胴21は、流入口21Aと、流出口21Bと、流路21Cと、を有する。
【0125】
流入口21Aは、低圧蒸気タービン16と対向する側に2つ設けられている。2つの流入口21Aは、X方向に配列されている。2つの流入口21Aは、Y方向においてそれぞれ1つの排気口56と対向している。流入口21Aは、枠形状とされた伸縮部材22を介して、外車室33の排気口56と接続されている。流入口21Aには、内車室31から外車室33内に導出された蒸気が排気される。
【0126】
流出口21Bは、復水器23と対向する側に設けられている。流出口21Bは、流路21Cを介して、流入口21Aと連通している。流出口21Bは、復水器23と接続されている。流出口21Bを通過した蒸気は、復水器23内に供給される。
【0127】
流路21Cは、中間胴21に内設されている。流路21Cは、流入口21Aと流出口21Bとを接続している、流路21Cは、蒸気が流通するための経路である。
【0128】
復水器23は、低圧蒸気タービン16の外車室33の横方向の一方側に配置されている。復水器23は、支持面1上に載置されている。
復水器23は、中間胴21を介して、低圧蒸気タービン16から供給された蒸気から熱を奪うことで、蒸気を液化させて水を生成する。復水器23で生成された水は、蒸気発生器11に戻され、再利用される。
【0129】
なお、第1の実施形態では、低圧蒸気タービン16の外車室33の横方向の一方側に復水器23を配置させた場合を例に挙げて説明したが、外車室33の横方向の両側に復水器23を配置させてもよい。
【0130】
次に、図1及び図3を参照して、タービン架台25について説明する。タービン架台25は、支持面1上(例えば、建屋の床面上)に固定されている。
タービン架台25は、高圧蒸気タービン13、低圧蒸気タービン16、及び発電機19を支持するとともに、これらの位置を規制している。タービン架台25の中央部には、外車室33の下部の一部が収容される凹部25Aが形成されている。凹部25Aは、外車室33の底板47と対向する底面25Aaを有する。
【0131】
タービン架台25は、底面25Aaから上方に延出し、外車室33の挿入部53Cに挿入される支持部25Bを有する。支持部25Bは、凹部25Aに収容された外車室33を支持する機能を有する。
タービン架台25の材料としては、例えば、コンクリート、鉄筋コンクリート等を用いることが可能である。また、タービン架台25は、少なくとも一部が鋼鉄で構成されていてもよい。
【0132】
第1の実施形態の蒸気タービンシステム10によれば、上述した第1の支持棒41を有することで、端板45,46の内面45a,46aと天井板48の内面48aとの間において、第1の支持棒41をつっかえ棒として機能させることが可能となる。
これにより、内部が真空状態とされた外車室33(具体的には、端板45,46及び天井板48)の変形を抑制することができる。
【0133】
また、上記構成とされた第1の支持棒41を有することで、外車室33内よりも高い圧力とされた外車室33の外側の圧力により、端板45,46が凹む変形をした際、端板45,46の変形による力を第1の支持棒41の一端41Aを介して、第1の支持棒41の他端41Bと接続された天井板48に伝達することが可能となる。
【0134】
このとき、第1の支持棒41の一端41Aよりも外車室33の横方向他方側に第1の支持棒41の他端41Bが配置されているため、天井板48に伝えられる力は、外車室33の横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分S1と、湾曲板51を上方に押し上げる方向に働く上成分U1と、を含むことになる。
【0135】
したがって、天井板48に伝えられる力の上成分U1により、外車室33の外側の圧力により天井板48の凹む変形を抑制することができる。
また、排気口56を介して外車室33内の蒸気を排気する際に発生する力(具体的には、外車室33の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室33及び内車室31を移動させようとする力)を、天井板48に伝えられる力の横成分S1により弱めることができる。
【0136】
つまり、第1の実施形態の蒸気タービンシステム10によれば、上記構成とされた第1の支持棒41を有することで、外車室33の変形を抑制した上で、外車室33、及び内車室31が排気口56に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0137】
なお、第1の実施形態では、一例として、外車室33の内面と接続された支持棒として、第1〜第3の支持棒41〜43を設けた場合を例に挙げて説明したが、第2及び第3の支持棒42,43は、必要に応じて設ければよく、必須の構成ではない。
また、外車室33内に、第1の支持棒41と第2の支持棒42とを組み合わせて配置させてもよいし、第1の支持棒41と第3の支持棒43とを組み合わせて配置させてもよい。
【0138】
また、外車室33を補強する観点から外車室33の外面に複数のリブを設けてもよい。この場合、リブの交点に対応する端板45,46の内面45a,46aに、第1及び第2の支持棒41,42の一端41A,42Aを接続させることが好ましい。
【0139】
(第2の実施形態)
図9図13を参照して、第2の実施形態の蒸気タービンシステム70について説明する。図9図11では、蒸気タービンシステム70を構成する構成要素のうち、一部の構成要素のみ図示する。図9図13において、先に説明した図1図8に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。また、図9図13において、同一構成部分には同一符号を付す。
【0140】
第2の実施形態の蒸気タービンシステム70は、第1の実施形態の蒸気タービンシステム10を構成する第1〜第3の支持棒41〜43に替えて、第1及び第2の支持棒71,72を有すること以外は、蒸気タービンシステム10と同様な構成とされている。
【0141】
第1の支持棒71は、一方向に延在しており、外車室33内に4本設けられている。2本の第1の支持棒71の一端71Aは、端板45の下半分の内面45aのうち、タービンロータ18の軸線Axよりも横方向他方側の面と接続されている(図9参照)。
これら2本の第1の支持棒71の他端71Bは、第1の支持棒71の一端71Aよりも外車室33の横方向他方側に配置され、かつ第1の支持棒71の一端71Aよりも下方に位置する湾曲板51の内面51aと接続されている。
【0142】
残りの2つの第1の支持棒71の一端71Aは、端板46の下半分の内面46aのうち、タービンロータ18の軸線Axよりも横方向他方側の面と接続されている(図10参照)。
これら残りの2本の第1の支持棒71の他端71Bは、第1の支持棒71の一端71Aよりも外車室33の横方向他方側に配置され、かつ第1の支持棒71の一端71Aよりも下方に位置する湾曲板51の内面51aと接続されている(図10参照)。
【0143】
ところで、外車室33の底板47が図1に示すタービン架台25に固定された状態では、底板47とタービン架台25との固定部分が拘束点となる。そして、この状態とされた外車室33には、拘束点を中心としたモーメントが発生する。
具体的には、湾曲板51側では下から上に向かう方向にモーメントが発生し、排気口56側では上から下に向かう方向にモーメントが発生し、天井板48側では横方向他端から横方向一端に向かう方向にモーメントが発生する。
【0144】
上記構成とされた第1の支持棒71を有することで、外車室33内よりも高い圧力とされた外車室33の外側の圧力により、端板45,46が凹むように変形した際、端板45,46の変形による力を第1の支持棒71の一端71Aを介して、第1の支持棒71の他端71Bと接続された湾曲板51の下部に伝達させることが可能となる。
このとき、湾曲板51の下部に伝えられる力は、横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分(以下、「横成分S4」という)と、湾曲板51を下方に押し下げる方向に働く下成分(以下、「下成分D1」という)と、を含むことになる。
【0145】
したがって、湾曲板51の下部に伝えられる力の下成分D1により、湾曲板51の下部が凹む変形を抑制できるとともに、湾曲板51側で発生する下から上に向かう方向のモーメントの一部を打ち消すことができる。
【0146】
また、湾曲板51の下部に伝えられる力の横成分S4により、排気口56を介して外車室33内を排気する際に発生する力(具体的には、外車室33の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室33及び内車室31(図4参照)を移動させようとする力)を弱めることができる。
【0147】
つまり、上記構成とされた第1の支持棒71を有することで、外車室33の変形を抑制した上で、外車室33、及び内車室31が排気口56に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0148】
なお、第2の実施の形態では、一例として、外車室33内に4本の第1の支持棒71を設けた場合を例に挙げて説明したが、外車室33内に設ける第1の支持棒71の数は、1本以上であればよく、4本に限定されない。つまり、一対の端板45,46のうち、一方の端板のみに第1の支持棒71を設けてもよい。
【0149】
第2の支持棒72は、一方向に延在しており、外車室33内に2本設けられている。一方の第2の支持棒72の一端72Aは、端板45の下半分の内面45aのうち、タービンロータ18の軸線Axよりも横方向一方側の面と接続されている。
一方の第2の支持棒72の他端72Bは、第2の支持棒72の一端72Aよりも外車室33の横方向他方側で、かつ第2の支持棒72の一端72Aよりも上方に位置する補強リブ54の対向面54aと接続されている。
【0150】
他方の第2の支持棒72の一端72Aは、端板46の下半分の内面46aのうち、タービンロータ18の軸線Axよりも横方向一方側の面と接続されている。
他方の第2の支持棒72の他端72Bは、第2の支持棒72の一端72Aよりも外車室33の横方向他方側で、かつ第2の支持棒72の一端72Aよりも上方に位置する補強リブ54の対向面54aと接続されている。
【0151】
このように、上記構成とされた第2の支持棒72を設けることで、端板45,46の下半分の内面45a,46aと補強リブ54の対向面54aとの間において、第2の支持棒72がつっかえ棒(支え棒)として機能するため、内部が真空状態とされた外車室33(具体的には、端板45,46)の変形を抑制することができる。
【0152】
また、上記構成とされた第2の支持棒72を有することで、外車室33内よりも高い圧力とされた外車室33の外側の圧力により、端板45,46が凹むように変形した際、端板45,46の変形による力を第2の支持棒72の一端72Aを介して、第2の支持棒72の他端72Bと接続された補強リブ54に伝達することが可能となる。
このとき、補強リブ54に伝えられる力は、横方向一方側から横方向他方側に向かう方向に働く横成分と、補強リブ54を上方に押し下げる方向に働く上成分と、を含むことになる。
【0153】
したがって、補強リブ54に伝えられる力の上成分により、排気口56側で発生する上から下に向かう方向のモーメントを低減することができる。
【0154】
また、補強リブ54に伝えられる力の横成分により、排気口56を介して外車室33内を排気する際に発生する力(具体的には、外車室33の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室33及び内車室31(図4参照)を移動させようとする力)を弱めることができる。
【0155】
つまり、上記構成とされた第2の支持棒72を有することで、外車室33の変形を抑制した上で、外車室33、及び内車室31が排気口56に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0156】
なお、第2の実施の形態では、一例として、外車室33内に2本の第2の支持棒72を設けた場合を例に挙げて説明したが、外車室33内に設ける第2の支持棒72の数は、1本以上であればよく、2本に限定されない。つまり、一対の端板45,46のうち、一方の端板のみに第2の支持棒72を設けてもよい。
【0157】
上記説明した第1及び第2の支持棒71,72としては、例えば、金属(例えば、炭素鋼)製の棒を用いることが可能である。また、第1及び第2の支持棒71,72の両端(一端71A,72A、及び他端71B,72B)と外車室33の内面との接続には、例えば、溶接を用いることが可能である。なお、溶接に替えて、フランジ付きの棒をボルト固定してもよい。
【0158】
次に、図13を参照して、第1及び第2の支持棒71,72の傾斜について説明する。図13は、端板45側に配置された第1及び第2の支持棒71,72を軸線Ax方向視した図である。図13において、図9及び図11に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0159】
図13に示すように、軸線Ax方向視した状態において、第2の支持棒72は、第1の支持棒71の傾斜よりも緩やかに傾斜していてもよい。このように、一端72Aが端板45,46の内面45a,46aと接続される第2の支持棒72の傾斜を、一端71Aが湾曲板51の下半分の内面51aと接続される第1の支持棒71の傾斜よりも緩やかにすることで、湾曲板側及び排気口側で発生するモーメントをそれぞれ効率良く低減することができる。
【0160】
第2の実施形態の蒸気タービンシステム70によれば、上述した第1の支持棒71を有することで、第1の支持棒71を介して、湾曲板51の下部に伝えられる力の下成分により、湾曲板51の下部が凹む変形を抑制できるとともに、湾曲板51側で発生する下から上に向かう方向のモーメントの一部を打ち消すことができる。
また、湾曲板51の下部に伝えられる力の横成分により、排気口56を介して外車室33内を排気する際に発生する力(具体的には、外車室33の横方向他方側から横方向一方側に向う方向に外車室33及び内車室31(図4参照)を移動させようとする力)を弱めることができる。
【0161】
つまり、上記構成とされた第1の支持棒71を有することで、外車室33の変形を抑制した上で、外車室33、及び内車室31が排気口56に向かう横方向に変位することを抑制できる。
【0162】
なお、第2の実施形態では、外車室33内に第1及び第2の支持棒71,72を設けた場合を例に挙げて説明したが、第2の支持棒72は、必修の構成ではなく、必要に応じて適宜設ければよい。
【0163】
また、外車室33を補強する観点から外車室33の外面に複数のリブを設けてもよい。この場合、リブの交点に対応する端板45,46の内面に、第1の支持棒71の一端71A、及び第2の支持棒72の一端72Aを接続させることが好ましい。
【0164】
また、第2の実施形態の蒸気タービンシステム70に、第1の実施形態で説明した第1の支持棒41を第3の支持棒として適用してもよいし、第1の実施形態で説明した第2の支持棒42を第4の支持棒として適用してもよい。さらに、第2の実施形態の蒸気タービンシステム70に、第1の実施形態で説明した第3の支持棒43を第5の支持棒として適用してもよい。
【0165】
このように、第1の実施形態で説明した第3の支持棒41〜43のうち、少なくとも1つを第2の実施形態の蒸気タービンシステム70に適用することで、第1の実施形態で説明した効果と同様な効果を得ることができる。
【0166】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0167】
例えば、第2の実施形態で説明した第1の支持棒71を第4の支持棒として、第1の実施形態の蒸気タービンシステム10に適用してもよい。この場合、第2の実施形態で説明した第1の支持棒71と同様な効果を得ることができる。
また、第2の実施形態で説明した第2の支持棒72を第5の支持棒として、第1の実施形態の蒸気タービンシステム10に適用してもよい。この場合、第2の実施形態で説明した第2の支持棒72と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0168】
1…支持面、10,70…蒸気タービンシステム、11…蒸気発生器、12…蒸気供給ライン、12A…分岐ライン、13…高圧蒸気タービン、14…湿分分離加熱器、15A,15B…ライン、16…低圧蒸気タービン、18…タービンロータ、19…発電機、21…中間胴、21A…流入口、21B…流出口、21C…流路、22…伸縮部材、23…復水器、25…タービン架台、25A…凹部、25Aa…底面、25B…支持部、31…内車室、31A…蒸気導入口、31B,33A…空間、33…外車室、41,71…第1の支持棒、41A,42A,43A,71A,72A…一端、41B,42B,43B,71B,72B…他端、42,72…第2の支持棒、43…第3の支持棒、45,46…端板、45a,46a,47a,48a,51a,53Aa…内面、47…底板、48…天井板、51…湾曲板、53…側板、53A…上部、53B…下部、53C…挿入部、54…補強リブ、54a対向面、55,61…開口部、56…排気口、62…コーン部、Ax…軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13