【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を備えるリール交換装置、および、請求項8の特徴を備えるリール交換方法、によって達成される。有利な実施形態およびさらなる発展形態は、従属請求項において請求され、かつ/または、以下に説明される。
【0009】
本発明は、まず、紡糸装置もしくはフレームから吐出される繊維ストランドからの、繊維束の、特に中空繊維束の、巻き取り、特に連続的な巻き取り、のために提供され、特に透析フィルタを製造するために有用である、一個の第一リールキャリアもしくはリール支持体、および、一個の第二リールキャリアもしくはリール支持体を少なくとも備えるリール交換装置であって、
一個の第一リールキャリアもしくはリール支持体、および、一個の第二リールキャリアもしくはリール支持体は、
繊維ストランドを巻き取るのに特に適したリール、特にリールホイール、をそれぞれ有し、かつ、
リール交換の際に第一リールキャリア上に配置された第一リールから第二リールキャリア上に配置された第二リールへ前記繊維ストランドを直接移動させることができるように、前記繊維ストランドの吐出方向にそれらの二個のリールが、前後に、一列に、もしくは、縦列に、位置できるように、一個の第一ガイド手段および一個の第二ガイド手段に、少なくとも移動可能に受容されて案内される、
リール交換装置に関する。
【0010】
好ましくは、前記少なくとも二個のガイド手段の各々は、少なくとも、前記繊維ストランドの吐出方向が延在する垂直平面に近い位置に延出するように配置される。繊維束を巻き取るとは、特に、リールまたはリールホイールへの繊維ストランドの巻き付けと理解すべきである。リールとは、繊維ストランドの巻き付けもしくは巻き戻しに適した、または、そのために用意された、物体もしくは補助手段と理解すべきである。好ましくは、本発明に係るリール交換装置では、ホイール型の回転リールが使用され、これをリールホイールと呼ぶ。本発明によれば、紡糸装置とは、特に、連続的に吐出される繊維ストランドもしくは中空繊維ストランドを生成するのに有用な(紡糸)システムまたは(紡糸)機械と理解すべきである。
【0011】
本発明に係るリール交換装置では、二個のリールキャリア、すなわち、第一リールキャリアおよび第二リールキャリア、が設けられ、これらは、それぞれのガイド手段によって案内される。言い換えれば、第一リールキャリアは第一ガイド手段に受容されて案内され、第二リールキャリアは、第二ガイド手段に受容されて案内される。これらのガイド手段は、好ましくは、ガイドレールとして構成される。第一リールキャリアには、第一リールまたは第一リールホイールが配置され、第二リールキャリアには、第二リールまたは第二リールホイールが配置される。
【0012】
本発明によれば、第一および第二リールは、繊維ストランドの吐出方向に前後に配置されうる。したがって、好ましくは、第一および第二リールは、繊維ストランドの吐出方向に互いから離れるように配置され、特に繊維ストランドを移動させるとき、とりわけリールが交換されるときに、所定の位置を採用する。二個のリールまたはリールホイールが、繊維ストランドの吐出方向に互いから離れるように、すなわち、紡糸装置から異なる距離または空間を有するように配置されると、特に近接したガイド手段が使用されるときに、繊維ストランドの移動が容易になる。
【0013】
基本的に、ガイド手段またはガイドレールは、任意の設計を有してよい。例えば、ガイド手段またはガイドレールは、湾曲した経路と直線の経路との両方に沿ってリールキャリアを案内してよい。基本的に、少なくとも二個のガイド手段またはガイドレールは、互いから任意の距離を有してよいが、好ましくは、少なくとも、繊維ストランドの吐出方向が延在する垂直平面の近くの位置に延出するように配置される。この場合、二個のリールキャリアと、それらに固定もしくは保持されたリールまたはリールホイールと、は、リール交換の必要時に、ヤーンストランド出口平面と呼ぶことができる上述の平面の近くにまたは隣接して、前後に配置されうる。これにより、紡糸装置から連続的に吐出される繊維ストランドを一方のリールホイールから他方のリールホイールへ直接移動させることができる。このようにして、繊維束の連続的な巻き取りが達成される。
【0014】
さらに、好ましくは、少なくとも、一方のリールから他方のリールへの繊維ストランドの直接的な移動を可能または容易にするように、二個のガイド手段を近接もしくは隣接する位置に配置することが規定されてよい。
【0015】
したがって、本発明は、一方のリールから他方のリールへの連続的に吐出される繊維ストランドの直接的な移動を行う、技術的に容易に実現可能なリール交換装置を提供する。本発明により、二個のリールへの交互の巻き付けが可能になる。巻き付けの完了後、リールは、好ましくは、交互に交換されてよく、または、巻き取られた(中空)繊維束が取り外されてよい。本発明によれば、(中空)繊維束を取り外すこと、または、回収すること、は、このように、操作に組み込まれる。特に、本発明に係る課題解決法は、リール交換時に繊維ストランド廃棄物の吸引を必要としないため、繊維ストランドの損失がほとんど、もしくは、全く、発生しないだろう。
【0016】
このリール交換装置は、さらに、手作業および自動の両方で作動することができる。手動作業の場合は、必要なユーザまたは作業者は一人のみである。
【0017】
ガイド手段が、特に紡糸装置に隣接して配置されるリニアガイドとして形成され、特に水平方向に、紡糸装置の繊維ストランド出口側から離れるように延出し、繊維ストランドの吐出方向に少なくとも略平行に配置され、リールキャリアが、リニアガイドの範囲内で、かつ、リニアガイドに沿って直線的に、移動可能であるときに有利である。
【0018】
リニアガイドとしてのガイド手段またはガイドレールの設計は、本発明に係るリール交換装置の、単純で、低コストかつ省スペースであり、したがって好適でもある実施形態を構成する。好ましくは、リールキャリアは、このように、リニアガイドに沿って、紡糸装置から離れる方向、および、紡糸装置に近づく方向に、直線的に移動可能である。リニアガイドは、好ましくは水平に配置され、繊維ストランドが吐出される紡糸装置の側に設けられる。優先的には、リニアガイドは、繊維ストランドの吐出方向に少なくとも略平行に、かつ、その全長に亘って、繊維ストランドの吐出方向が延在する垂直平面の近くに延出するように配置される。少なくとも略平行とは、本発明において、0°から22.5°の範囲内であるリニアガイドと繊維ストランドの吐出方向の間の角度を意味する。繊維ストランドの吐出方向が延在する垂直平面は、好ましくは、二個のリニアガイドの間に延在する。言い換えれば、二個のリニアガイドは、好ましくは、いずれも上述の平面と交差せず、この平面に対してそれぞれ異なる側に配置される。リールキャリアは、リニアガイドに沿って、任意の、さらに所定の位置に配置されてよい。
【0019】
一つの有利な実施形態は、リール交換の際に、繊維ストランドを、紡糸装置に近いリールから、紡糸装置から遠いリールへと移動させることを特徴とする。
【0020】
繊維ストランドを、その吐出方向に、好ましくは紡糸装置に近い第一リニアガイドの軸方向の一端に位置する第一リールから、好ましくは紡糸装置から遠い第二リニアガイドの軸方向の一端に位置する第二リールへと移動させる場合、繊維ストランドの再配置は、繊維ストランドバッファ装置を用いずに達成されうる。この目的のためには、特に、リールが、再配置時に互いに十分な離間距離を有しているという特徴、および、その再配置が繊維ストランド吐出方向に行われるという特徴、が極めて重要である。したがって、リニアガイドは、好ましくは、所定の十分な長さを有し、その長さは、特に繊維が吐出される速度に対して調整されなければならない。
【0021】
したがって、好ましくは、繊維ストランドが、紡糸装置から離れたそれぞれのリールキャリアの位置でリール上に設置もしくは載置され、リールキャリアは、紡糸装置に近い位置に向かって繊維ストランドの巻き付け時にガイド手段に沿って移動する。
【0022】
このようにして、繊維ストランドが、紡糸装置から遠い二個のリニアガイドの軸方向の一端に設置され、繊維ストランドが、紡糸装置に隣接または近接したリニアガイドの軸方向の一端にて完全に巻き付けられたリールから回収または切断されることが達成される。このようにして、繊維ストランドバッファ装置を用いずに繊維ストランドを再配置することができる。
【0023】
リールキャリアの各々が、(特に回転方向に)動作可能かつ交換可能な方法でリールを受容する少なくとも一個のガイド部、および、少なくとも一個の保持部、を備え、(二個の)リールキャリアの保持部は、リールの各々が、特に二個のリールの互いからの距離を減少するために、リールキャリアの内部や内側に配置されるように内側に向かって突出しており、かつ、互いの方を向いているように構成されると有用である。
【0024】
特に、リールキャリアは、それぞれのガイド部を介して、リニアガイド、ガイドレール、もしくは、ガイド手段、の、範囲内で、または、それらに沿って、案内され、それらの内部に受容される。リールまたはリールホイールは、リールキャリアの保持部に、取り外し可能に、特に形状(確動)結合式(positively)または摩擦(非確動)結合式(non−positively)に、固定または受容される。クリップで留めることによって、または、係合ロック要素によって、なされる容易に取り外し可能な接続が有利であることが分かっている。二個のリールキャリアの保持部の各々は、繊維ストランドの吐出方向が延在する垂直平面内に整列され、リールまたはリールホイールの各々が、リールキャリアの内部や内側に、すなわち、前述の平面に対向または近接して、配置、取り付け、もしくは、固定、が行われるようにしている。これは、二個のリールまたはリールホイール間の距離をさらに減少するため、および繊維ストランドの吐出方向が延在する平面のより近くに二個のリールホイールを移動させるのに有用である。したがって、一方のリールから他方のリールへの繊維ストランドの再配置がさらに容易になる。
【0025】
有利な方法では、当該リール交換装置は、好ましくはモータによって生じるリールの回転動作および/またはトルクと、好ましくはモータによって生じるガイド手段に沿うリールキャリアの移動と、を制御し、リールの回転動作およびガイド手段に沿うリールキャリアの移動が互いに対して調整され、好ましくは当該リール交換装置の(部分的に)自動化された作業を可能にするようにするための制御装置を含む。
【0026】
したがって、本発明に係るリール交換装置の手動作業とは別に、その(部分的に)自動化された作業も、本発明にしたがって提供されてよい。この目的のためには、プロセッサ(CPU)を備える、または、プロセッサ(CPU)によって形成される制御装置もしくは制御器が必要とされる。当該リール交換装置の制御器は、紡糸装置内に一体化して設けられてもよく、別体として設けられてもよい。制御器を用いて、リールキャリア内に位置する回転モータが制御されてよく、所望の速度および所望のトルクが、それぞれ、リールおよびリールホイールをそれぞれ回転駆動するために回転モータに適用されてよい。繊維ストランドの張力を連続的に維持するために、例えば、規定のトルクによって速度とは無関係にリールを駆動することが有利であることが分かっている。
【0027】
さらに、制御器によって、ガイド手段やリニアガイドに沿って、特に並進的に、リールキャリアを駆動もしくは移動させるように構成される(リニア)駆動モータが制御されうる。好ましくは、リールもしくはリールホイールの回転動作と、ガイド手段に沿うリールキャリアの、したがってリールの移動、特に並進的な移動と、が、互いに対して調整され、特に同期される。これらの二つの運動を調整または同期することにより、繊維ストランドは、リール交換中に連続的に張力を維持されうる。
【0028】
リールの各々は、繊維ストランドガイド手段、締め付け手段、切断手段、および、繊維ストランドの先端ならびに繊維ストランドの末端のための保持手段、を備えると、さらに有用である。
【0029】
繊維ストランドを設置または再配置するとき、紡糸装置から連続的に吐出される繊維ストランドは、好ましくは、まずリールの繊維ストランドガイド手段と接触し、繊維ストランドガイド手段を介して、繊維ストランドの先端のための保持手段に供給される。繊維ストランドが保持手段に保持され次第、繊維ストランドの巻き付けが行われてよい。繊維ストランドが完全に巻き付けられると、繊維ストランドは、締付け手段によって摘み取られ、切断手段によって切断され、繊維ストランドの末端は、別の保持手段によって保持される。
【0030】
その後に続く一方のリールから他方のリールへの繊維ストランドの移動は、ユーザによって手作業で行われうる。本発明に係るリール交換装置の(部分的に)自動化された作業では、さらに、連続的に吐出される繊維ストランドを捉えまたは掴み、それを他方の空のリールへ供給する移動グリッパが設けられてもよい。また、一方のリールから他方のリールへの繊維ストランドの伝達または移動は、吸引パイプによる吸引によって実行または支援されることも考えられる。
【0031】
さらに、本発明は、前述のリール交換装置において紡糸装置もしくは紡糸機械から吐出される、好ましくは連続的に吐出される、(中空)繊維ストランドから繊維束を、特に中空繊維束を、巻き取るためのリール交換方法であって、
少なくとも二個のリールのうちの、リールキャリアが紡糸装置から遠い位置に好ましくは設置もしくは提供された第一リールに繊維ストランドを設置するステップと、
繊維ストランドを各リールに巻き付け、特にそれと同時に、ガイド手段に沿って、紡糸装置に近い位置に向かって各リールキャリアを同時に移動させるステップと、
を備えるリール交換方法に関する。
【0032】
有利な方法では、当該リール交換方法は、
リールキャリアが紡糸装置に近い位置にて、第一リールに巻き付けられた繊維ストランドを摘み取って切断するステップと、
少なくとも二個のリールのうちの、リールキャリアが紡糸装置から遠い位置に配置された第二リールに繊維ストランドを移動させるステップと、
をさらに備える。
【0033】
当該リール交換方法は、以下のステップ、すなわち、
紡糸装置に近い位置にあるリールキャリアを、紡糸装置から遠い位置に移動させるステップと、
容量が満たされ、完全に巻き付けられたリールを空のリールと交換する、または、巻き付けられた繊維束を直接取り外すステップと、
をさらに備えると好都合である。
【0034】
本発明に係る方法により、繊維ストランドバッファ装置が必要とされることなく、一方のリールから他方のリールへと、既に記したように、連続的に吐出される繊維ストランドを直接再配置することが可能になる。本発明に係るリール交換装置に関する上記説明または記載は、本発明に係るリール交換方法に同様に適用可能である。
【0035】
したがって、言い換えれば、本発明は、特に容易に操作することができ、かつ、連続的に供給される繊維ストランドからの(中空)繊維束の製造を改善する、単純かつ効率的なリール交換を可能にする。前記改善は、特に、連続的に生成される繊維ストランドを、一方のリールから他方のリールへ直接再配置することができ、かつ、常に張力を維持することができる、ことによって達成される。したがって、他方のリールが繊維ストランドを巻き取っている間に、一方のリールは、取り外しまたは交換がそれぞれ行われることができ、巻き付けられた繊維束を回収することができる。