(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1照明制御部は、前記第2照明制御信号に基づいて、前記第1照明ユニットが前記第2照明ユニットと同期して点滅するように前記第1照明ユニットを制御する、請求項1に記載の照明制御システム。
前記第1照明制御部は、前記第2照明制御信号に基づいて、前記第1照明ユニットの照明色が前記第2照明ユニットの照明色と対応するように前記第1照明ユニットを制御する、請求項1に記載の照明制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、一方の自動運転車が特定の状況下(例えば、交差点での状況下等)において他方の自動運転車と通信していることを歩行者等の外部に向けて提示可能な車両用照明装置や照明制御システムについては検討されていない。
【0007】
本開示は、一方の自動運転車が他方の自動運転車と通信していることを示す情報を歩行者等の外部に向けて提示可能な車両用照明装置を提供することを目的とする。また、本開示は、当該車両用照明装置を備える車両及び当該車両を含む照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の車両用照明装置は、自動運転モードで走行可能な車両に設けられた車両用照明装置であって、
前記車両の外部に向けて光を照射するように構成された第1照明ユニットと、
自動運転モードで走行可能であると共に、第2照明ユニットを備えた他車両から送信された照明制御信号に基づいて、前記第1照明ユニットの照明状態が前記第2照明ユニットの照明状態と対応するように前記第1照明ユニットを制御するように構成された第1照明制御部と、を備える。
【0009】
上記構成によれば、自動運転モードで走行可能な自車両が自動運転モードで走行可能な他車両と通信していることを示す情報を歩行者等の外部に向けて提示可能な車両用照明装置を提供することができる。換言すれば、車両用照明装置によって、自動運転モードで走行可能な車両間の車車間通信の状態を可視化することができる。例えば、歩行者等は、自車両が他車両と通信していることを示す情報を見ることで自車両と他車両の安全性を確認することができるため、安心して横断歩道等を渡ることができる。また、別の車両の運転者は、自車両が他車両と通信していることを示す情報を見ることで自車両と他車両の安全性を確認することができるため、安心して交差点を通過することができ、又は安心して自車両と他車両を追い越すことができる。
【0010】
また、前記第1照明制御部は、前記第1照明ユニットが前記第2照明ユニットと同期して点滅するように前記第1照明ユニットを制御するように構成されてもよい。
【0011】
上記構成によれば、歩行者等は、第1照明ユニットが第2照明ユニットと同期して点滅している様子を見ることで、自車両が他車両と通信していることを把握することができる。
【0012】
また、前記第1照明制御部は、前記第1照明ユニットの照明色が前記第2照明ユニットの照明色と対応するように前記第1照明ユニットを制御するように構成されてもよい。
【0013】
上記構成によれば、歩行者等は、第1照明ユニットの照明色が第2照明ユニットの照明色と対応している様子を見ることで、自車両が他車両と通信していることを把握することができる。
【0014】
また、上記車両用照明装置と、前記照明制御信号を受信するように構成された第1無線通信部と、前記車両の走行を制御するように構成された車両制御部と、を備えた自動運転モードで走行可能な車両が提供されてもよい。
【0015】
上記構成によれば、自動運転モードで走行可能な自車両が自動運転モードで走行可能な他車両と通信していることを示す情報を歩行者等の外部に向けて提示可能な車両を提供することができる。
【0016】
本開示の一実施形態に係る照明制御システムは、
外部に向けて光を照射するように構成された第2照明ユニットと、
前記第2照明ユニットを制御するように構成された第2照明制御部と、
照明制御信号を生成するように構成された制御信号生成部と、
前記照明制御信号を送信するように構成された第2無線通信部と、
を備え、自動運転モードで走行可能な第2車両と、
前記照明制御信号を受信するように構成された第1無線通信部と、
外部に向けて光を照射するように構成された第1照明ユニットと、
前記照明制御信号に基づいて、前記第1照明ユニットの照明状態が前記第2照明ユニットの照明状態と対応するように前記第1照明ユニットを制御するように構成された第1照明制御部と、を備え、自動運転モードで走行可能な第1車両と、を備えた照明制御システム。
【0017】
上記構成によれば、自動運転モードで走行可能な第1車両が自動運転モードで走行可能な第2車両と通信していることを示す情報を歩行者等の外部に向けて提示可能な照明制御システムを提供することができる。
【0018】
また、前記第1車両が前記第2車両から所定の範囲内に存在するときに、前記第1無線通信部は、前記第2無線通信部から前記照明制御信号を受信可能であってもよい。
【0019】
上記構成によれば、第2車両から所定の範囲内に存在する第1車両は、第2車両と通信していることを示す情報を歩行者等の外部に向けて提示することができる。このため、第1車両又は第2車両の付近にいる歩行者等は、当該情報を見ることで第1車両と第2車両の安全性を確認することができる。
【0020】
また、前記第1車両と前記第2車両が交差点の付近に存在するとき、前記第1無線通信部は、前記第2無線通信部から前記照明制御信号を受信可能であってもよい。
【0021】
上記構成によれば、交差点の付近に存在する第1車両は、第2車両と通信していることを示す情報を歩行者等の外部に向けて提示することができる。このため、交差点の付近にいる歩行者等は、当該情報を見ることで、第1車両と第2車両の安全性を確認することができ、安心して横断歩道等を渡ることができる。
【0022】
また、前記第2車両は、前記第1車両よりも時間的に早く前記交差点の付近に現れる車両であってもよい。
【0023】
上記構成によれば、時間的に最も早く交差点の付近に現れる車両がマスター車両(第2車両)になると共に、当該マスター車両よりも時間的に遅く交差点の付近に現れる車両がスレーブ車両(第1車両)となる。
【0024】
また、前記第1車両と前記第2車両は、隊列走行モードで走行中の一群の車両に属しており、前記第2車両は、前記一群の車両のうちの先頭車両であると共に、前記第1車両は、前記一群の車両のうちの後続車両であってもよい。
【0025】
上記構成によれば、隊列走行モードで走行中の一群の車両のうち先頭車両がマスター車両(第2車両)になると共に、先頭車両以外の後続車両がスレーブ車両(第1車両)となる。また、隊列走行モードで走行中の一群の車両に属する先頭車両と後続車両が通信していることを示す情報を外部に向けて提示可能な照明制御システムを提供することができる。例えば、一群の車両の後方を手動運転モードで走行中の後方車両の運転者は、一群の車両が隊列走行モードで走行中であることを視認できるため、安心して一群の車両を追い越すことができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、一方の自動運転車が他方の自動運転車と通信していることを示す情報を歩行者等の外部に向けて提示可能な車両用照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示の実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0029】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、
図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0030】
本実施形態に係る車両用照明装置4(以下、単に「照明装置4」という。)について以下に説明する。
図1(a)は、車両1の平面図を示し、
図1(b)は、車両1の左側面図を示す。車両1は、自動運転モードで走行可能な車両であって、照明装置4を備える。照明装置4は、照明ユニット42と、照明制御部43とを備える(
図2参照)。照明ユニット42は、車両1の車体ルーフ100A上に配置されており、車両1の外部に向けて光を照射するように構成されている。特に、照明ユニット42は、水平方向における照明ユニット42の全周囲(360度)に光を照射する。ここで、水平方向とは、前後方向と左右方向を含む方向である。
【0031】
尚、本実施形態では、単一の照明ユニット42が車体ルーフ100A上に配置されているが、照明ユニット42の数、配置、形状等は特に限定されない。例えば、4つの照明ユニット42のうち、2つの照明ユニット42のそれぞれが左側ヘッドランプ20Lと右側ヘッドランプ20R内に配置されると共に、残りの2つの照明ユニット42のそれぞれが左側リアコンビネーションランプ30Lと右側リアコンビネーションランプ30R内に配置されてもよい。さらに、照明ユニット42が車両1の側面100Bを囲むように配置されてもよい。
【0032】
次に、
図2を参照して車両1の車両システム2について説明する。
図2は、車両システム2のブロック図を示している。
図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、照明装置4と、センサ5と、カメラ6と、レーダ7と、HMI(Human Machine Interface)8と、GPS(Global Positioning System)9と、無線通信部10(第1無線通信部)と、地図情報記憶部11とを備える。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。
【0033】
車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。車両制御部3は、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、プロセッサとメモリを含むマイクロコントローラと、その他電子回路(例えば、トランジスタ等)を含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)である。メモリは、各種車両制御プログラム(例えば、自動運転用の人工知能(AI)プログラム等)が記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種車両制御データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)を含む。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。
【0034】
照明装置4は、照明ユニット42と、照明制御部43とを備える。照明ユニット42は、1以上のLED(Light Emitting Diode)やレーザ等の発光素子を含み、車両1の外部に向けて光を照射するように構成されている。照明制御部43は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、図示しない電源に電気的に接続されており、CPUやMPU等のプロセッサとROM及びRAM等のメモリとを含むマイクロコントローラと、その他電子回路(例えば、LEDドライバ等の駆動回路)とを含む。本実施形態では、車両制御部3と照明制御部43は、別個の構成として設けられているが、一体的に構成されてもよい。つまり、照明制御部43と車両制御部3は、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。照明制御部43は、照明ユニットを備える他車両から送信された照明制御信号に基づいて、照明ユニット42の照明状態が他車両の照明ユニットの照明状態と対応するように照明ユニット42を制御するように構成されている。例えば、照明制御部43は、照明ユニット42が他車両の照明ユニットと同期して点滅するように照明ユニット42を制御してもよい。また、照明制御部43は、照明ユニット42の照明色が他車両の照明ユニットの照明色と対応するように照明ユニット42を制御してもよい。
【0035】
センサ5は、加速度センサ、速度センサ及びジャイロセンサ等を備える。センサ5は、車両1の走行状態を検出して、走行状態情報を車両制御部3に出力するように構成されている。センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサ及び車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ等をさらに備えてもよい。
【0036】
カメラ6は、例えば、CCD(Charge−Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。レーダ7は、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ又はレーザーレーダ等である。カメラ6及び/又はレーダ7は、車両1の周辺環境(他車、歩行者、道路形状、交通標識、障害物等)を検出し、周辺環境情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0037】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイである。
【0038】
GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車に関する情報(例えば、走行情報等)を他車から受信すると共に、車両1に関する情報(例えば、走行情報等)を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、交通インフラ設備から照明制御信号を受信するように構成されている。さらに、無線通信部10は、交通インフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報を交通インフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。車両1は、他車両や交通インフラ設備と直接通信してもよいし、アクセスポイントを介して通信してもよい。地図情報記憶部11は、地図情報が記憶されたハードディスクドライブ等の外部記憶装置であって、地図情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0039】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0040】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0041】
次に、車両1の運転モードについて説明する。運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0042】
また、車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車が走行可能である走行可能区間や自動運転車の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサや顔向きセンサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替える。
【0043】
<照明制御システム100>
次に、
図3を参照して、照明制御システム100について説明する。
図3は、本実施形態に係る照明制御システム100の構成図を示す。
図3に示すように、照明制御システム100は、自動運転モードで走行可能な車両1A(第2車両)と車両1B(第1車両)を備える。本実施形態では、車両1Aがマスター車両となり、車両1Bがスレーブ車両となる。ここで、マスター車両とは、照明制御信号を送信する車両であり、スレーブ車両とは、照明制御信号を受信する車両である。車両1A,1Bの車両システム2A,2Bは、
図2に示す車両1の車両システム2と同一の構成を有する。また、説明の便宜上、
図3に示す車両1A,1Bでは、構成要素の一部のみが示されている(例えば、カメラ、センサ、レーダ等の構成要素の図示は、説明の便宜上、省略されている点に留意されたい)。
【0044】
無線通信部10A(第2無線通信部)と無線通信部10B(第1無線通信部)は、
図2に示す無線通信部10と同一の構成を有する。車両制御部3A,3Bは、
図2に示す車両制御部3と同一の構成を有する。車両制御部3Aは、照明制御信号を生成するように構成された制御信号生成部30Aを有していると共に、車両制御部3Bは、照明制御信号を生成するように構成された制御信号生成部30Bを有している。本実施形態では、車両1Bはスレーブ車両であるため、制御信号生成部30Bは、照明制御信号を生成しない。一方、車両1Bがマスター車両であるときは、制御信号生成部30Bは、照明制御信号を生成する。車両用照明装置4A,4B(以下、単に照明装置4A,4Bという。)は、
図2に示す照明装置4と同一の構成を有する。また、照明制御部43A(第2照明制御部)と照明制御部43B(第1照明制御部)は、
図2に示す照明制御部43と同一の構成を有する。照明ユニット42A(第2照明ユニット)と照明ユニット42B(第1照明ユニット)は、
図2に示す照明ユニット42と同一の構成を有する。尚、
図3に示す照明制御システム100では、2つの車両1A,1Bが示されているが、車両の台数は特に限定されない。
【0045】
<交差点における照明制御システム100の動作>
次に、交差点における照明制御システム100の動作について
図3〜
図5を用いて説明する。
図4は、交差点において車両1Aの照明ユニット42Aの照明状態と車両1Bの照明ユニット42Bの照明状態が対応する状況を説明するための図である。
図4に示すように、車両1A,1Bは、交差点の付近に存在しており、車両1Aがマスター車両になっていると共に、車両1Bがスレーブ車両となっている。マスター車両とスレーブ車両の決定方法の一例については後述する。車両1A,1Bが交差点の付近に存在するとき、無線通信部10Bは、無線通信部10Aから照明制御信号及び車両1Aの走行情報等を受信可能である。さらに、車両1Bが車両1Aから所定の範囲に存在するときに、無線通信部10Bは、無線通信部10Aから照明制御信号及び車両1Aの走行情報等を受信可能である。
【0046】
次に、照明制御システム100の動作の一例について
図5を参照して説明する。
図5は、照明制御システム100の動作の一例を説明するためのシーケンス図である。本例では、車両1Aが車両1Bよりも時間的に早く交差点付近に現れて、車両1Aがマスター車両となることを前提としている。
図5に示すように、最初に、車両1Aは、車両1Bを検出する(ステップS1)。車両1Aは、周辺環境情報や地図情報に基づいて、自身が交差点の付近にいることを検出した後に、カメラやセンサを用いて車両1Bを検出してもよい。また、車両1Aは、交差点付近に配置された交通インフラ設備から車両1Bの存在を示す情報を受信することで、車両1Bを検出してもよい。さらに、車両1Aは、所定の周期でビーコンを外部に向けてブロードキャストした後、当該ブロードキャストしたビーコンに対する応答信号を車両1Bから受信することで、車両1Bを検出してもよい。尚、車両1Bは、車両1Aから所定の範囲内に存在するとき、車両1Aからブロードキャストされたビーコンを受信することができる。
【0047】
次に、ステップS2において、車両1Aは、車両1Bとの無線通信接続を確立する。車両1Aと車両1Bは、互いにアドホックモードで直接通信してもよい。例えば、パッシブスキャン方式又はアクティブスキャン方式により車両1Aと車両1Bの間の無線通信接続が確立される。アクティブスキャン方式の場合、無線通信部10Aは、車両制御部3Aの指令に従って、無線通信接続に関する情報を含むビーコンを所定の周期で車両1Bに送信する。無線通信部10Bは、車両1Aから送信されたビーコンを受信する。その後、車両1Aと車両1Bとの間の認証・アソシエーションを通じて、車両1Aは、車両1Bとの無線通信接続を確立する。また、車両1Aと車両1Bは、アクセスポイント機能を備えた交通インフラ設備を介して互いに通信してもよい。
【0048】
次に、ステップS3において、車両1Aは、例えば、車両1Aの走行情報(例えば、交差点において左折/右折/直進することを示す走行情報)を車両1Bに送信する。特に、車両制御部3Aの指令に従って、無線通信部10Aは、車両1Aの走行情報を車両1Bに送信する。その後、車両1Bの無線通信部10Bは、車両1Aの走行情報を車両1Aから受信する(ステップS4)。同様に、車両1Bは、車両1Bの走行情報を車両1Aに送信すると共に、車両1Aは、車両1Bの走行情報を車両1Bから受信してもよい。自動運転モードで走行中の車両1Bでは、車両制御部3Bは、車両システム2Bにより取得された周辺環境情報等と車両1Aの走行情報に基づいて、車両1Bの走行を自動制御する。同様に、自動運転モードで走行中の車両1Aでは、車両制御部3Aは、車両システム2Aにより取得された周辺環境情報等と車両1Bの走行情報に基づいて、車両1Aの走行を自動制御する。このように、車両1A(1B)が車両1B(1A)の走行情報を取得することで、車両1A(1B)のより正確な自動運転制御を実行することが可能となる。
【0049】
次に、制御信号生成部30Aは、照明ユニット42Aの照明状態を示す照明制御信号を生成する(ステップS5)。その後、車両制御部3Aの指令に従って、無線通信部10Aは、生成された照明制御信号を車両1Bに送信する(ステップS6)。
【0050】
車両1Bでは、無線通信部10Bが車両1Aから照明制御信号を受信する(ステップS7)。その後、照明制御部43Bは、当該受信した照明制御信号に基づいて、照明ユニット42Bの照明状態が照明ユニット42Aの照明状態と対応するように照明ユニット42Bを制御する(ステップS8)。例えば、照明ユニット42Aが所定の周期で点滅するように照明制御部43Aにより制御されている場合、照明制御部43Bは、照明ユニット42Aの点滅制御情報を示す照明制御信号に基づいて、照明ユニット42Bが照明ユニット42Aと同期して点滅するように照明ユニット42Bを制御してもよい。また、照明ユニット42Aの照明色が所定の照明色となるように照明制御部43Aにより制御されている場合、照明制御部43Bは、照明ユニット42Aの照明色を示す照明制御信号に基づいて、照明ユニット42Bの照明色が照明ユニット42Aの照明色と対応するように照明ユニット42Bを制御してもよい。また、車両1Aが車両1Bとの無線通信接続を確立した時点で、照明制御部43Aは、照明ユニット42Aを点滅させてもよいし、照明ユニット42Aの照明色を第1の照明色から第2の照明色に変更してもよい。このようにして、一連の照明制御処理が実行される。
【0051】
尚、本実施形態では、車両1Aをマスター車両とする一方、車両1Bをスレーブ車両としているが、車両1Bをマスター車両とする一方、車両1Aをスレーブ車両とする場合も上記と同様な車両間の照明制御が実行される。この場合、車両制御部3Bの制御信号生成部30Bが照明制御信号を生成する。
【0052】
尚、ステップS3では、一例として、車両1Aは、車両1Aの走行情報を車両1Bに送信しているが、これに代わり、車両1Aは、当該走行情報以外の所定の情報を車両1Bに送信してもよい。また、ステップS3において、制御信号生成部30Aは、車両1Bの走行を制御するための走行制御信号を生成すると共に、無線通信部10Aは、当該生成された走行制御信号を車両1Bに送信してもよい。この場合、車両制御部3Bは、車両1Aから送信された走行制御信号に基づいて交差点での自動走行制御を実行する。
【0053】
尚、車両1Aは、交差点付近に存在する歩行者P1が所持する電子機器(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等)との無線通信接続を確立してもよい。この場合、車両1A(無線通信部10A)は、歩行者が所持する電子機器(以下、単に電子機器という。)と無線通信接続を確立した後に、照明ユニット42Aの照明状態を示す照明制御信号を当該電子機器に送信してもよい。電子機器の制御部は、受信した照明制御信号に応じて、電子機器の表示部(又は、発光部)の照明状態が照明ユニット42Aの照明状態と対応するように、当該表示部(又は、発光部)を制御してもよい。このように、照明ユニット42A,42Bの照明状態と、電子機器の表示部(又は、発光部)の照明状態をそれぞれ対応させてもよい。
【0054】
また、マスター車両とスレーブ車両の決定方法としては、交差点付近に先に到達した車両をマスター車両として、その後に交差点付近に到達した車両をスレーブ車両としてもよい。
【0055】
マスター車両とスレーブ車両の決定方法の具体的な一例について以下に説明する。
最初に、交差点付近に到達した車両1Aは、交差点付近に到達したことを示すビーコンを外部に向けて出力する。その後、車両1Aは、当該ビーコンに対するACKビーコンを他車両から受信した場合、車両1A(車両制御部3A)は、車両1Aよりも先に交差点付近に到達した他車両が存在すると判断し、他車両からの通信接続要求を待つ(このように、車両制御部3Aは、車両1Aがスレーブ車両であると判断する)。一方、車両1Aは、当該ビーコンに対するACKビーコンを受信しなかった場合、車両1A(車両制御部3A)は、交差点付近に車両が存在しないと判断して、他車両の交差点付近の出現を待つ(このように、車両制御部3Aは、車両1Aがマスター車両であると判断する)。他車両(車両1B)が交差点付近に出現したとき、車両1Aは、
図5に示す一連の処理を実行する。
【0056】
また、車両1A(マスター車両)は、交差点を通過した後に、車両1Aの次に交差点に到達した車両1Bにマスター車両になるように指示し、その後、車両1Bへの照明制御信号の送信を中止してもよい。
【0057】
また、マスター車両とスレーブ車両の決定方法の具体的な他の一例としては、交差点付近に配置された交通インフラ設備を用いてもよい。例えば、車両1Aが交差点付近に到達したときに、交通インフラ設備が車両1Aの存在を検出する。交通インフラ設備は、車両1A以外に交差点付近に車両が存在しないと判断した場合、車両1Aがマスター車両である旨を示す信号を車両1Aに送信する。一方、交通インフラ設備は、車両1A以外に交差点付近に車両が存在すると判断した場合、車両1Aがスレーブ車両である旨を示す信号を車両1Aに送信する。
【0058】
また、車両1A(マスター車両)は、交差点を通過した後に、交通インフラ設備に車両1Aが交差点を通過した旨を通知し、その後、車両1Bへの照明制御信号の送信を中止してもよい。一方、車両1B(スレーブ車両)は、交差点を通過した後に、交通インフラ設備に車両1Bが交差点を通過した旨を通知してもよい。
【0059】
本実施形態によれば、車両1Bが車両1Aと通信していることを示す情報を歩行者P1等の外部に向けて提示可能な照明装置4Bを提供することができる。換言すれば、照明装置4Bによって、自動運転モードで走行可能な車両間の車車間通信の状態を可視化することができる。例えば、歩行者P1は、車両1Bが車両1Aと通信していることを示す情報を見ることで車両1A,1Bの安全性を確認することができるため、安心して横断歩道等を渡ることができる。また、他車両(手動運転車)の運転者は、車両1Aと車両1Bが通信していることを示す情報を見ること車両1A,1Bの安全性を確認することができるため、安心して交差点を通過することができる。
【0060】
また、照明制御部43Bは、照明ユニット42Bが照明ユニット42Aと同期して点滅するように照明ユニット42Bを制御しているので、歩行者P1は、照明ユニット42Bが照明ユニット42Aと同期して点滅している様子を見ることで、車両1Bが車両1Aと通信していることを把握することができる。
【0061】
また、照明制御部43Bは、照明ユニット42Bの照明色が照明ユニット42Aの照明色と対応するように照明ユニット42Bを制御しているので、歩行者P1は、照明ユニット42Bの照明色が照明ユニット42Aの照明色と対応している様子を見ることで、車両1Bが車両1Aと通信していることを把握することができる。
【0062】
また、車両1Bが車両1Aから所定の範囲内に存在するときに、無線通信部10Bは、無線通信部10Aから照明制御信号を受信可能である。このように、車両1Aから所定の範囲内に存在する車両1Bは、車両1Aと通信していることを示す情報を歩行者P1に向けて提示することができる。
【0063】
また、車両1Aと車両1Aが交差点の付近に存在するとき、無線通信部10Bは、無線通信部10Aから照明制御信号を受信可能であってもよい。このように、交差点付近に存在する車両1Bは、車両1Aと通信していることを示す情報を歩行者P1等の外部に向けて提示することができる。例えば、交差点の付近にいる歩行者P1は、当該情報を見ることで、車両1A,1Bの安全性を確認することができ、安心して横断歩道を渡ることができる。
【0064】
また、照明ユニット42A,42Bの照明状態と、交差点付近にいる歩行者P1が所持する電子機器の表示部(又は、発光部)の照明状態をそれぞれ対応させる場合、歩行者P1は、車両1A,1Bと、電子機器とが互いに通信していることが視認できるので、車両1A,1Bの安全性を明確に把握することができる。
【0065】
<隊列走行モードで走行中の一群の車両Gによって実現される照明制御システム100>
次に、隊列走行モードで走行中の一群の車両Gにおける照明制御システム100について
図3,6,7を参照して説明する。
図6は、隊列走行モードで走行中の一群の車両Gにおいて車両1Aの照明ユニット42Aの照明状態と車両1Bの照明ユニット42Bの照明状態が対応する状況を説明するための図である。
図7は、隊列走行モードで走行中の一群の車両Gによって実現される照明制御システム100の動作の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0066】
ここで、隊列走行モードでは、後続車両は、先頭車両から送信された隊列走行制御信号に基づいて、自動走行制御を実行する。尚、後続車両は、先頭車両から送信された隊列走行制御信号のみに基づいて、自動走行制御を実行してもよいし、当該送信された隊列走行制御信号と自身のカメラやレーダによって取得された周辺環境情報等に基づいて、自動走行制御を実行してもよい。一群の車両Gでは、先頭車両がマスター車両になると共に、先頭車両以外の後続車両がスレーブ車両となる。
図6に示すように、車両1Aが一群の車両Gの先頭車両であるとともに、車両1Bが一群の車両Gの後続車両となっている。車両1Aは、自動運転モードで走行してもよいし、手動運転モードで走行してもよい。尚、一群の車両Gに属する車両の台数は、3台以上であってもよい。
【0067】
図3に示すように、先頭車両である車両1Aでは、車両制御部3Aは、隊列走行制御信号を生成する。その後、無線通信部10Aは、車両制御部3Aの指令に従って、当該生成された隊列走行制御信号を車両1Bに送信する。後続車両である車両1Bでは、無線通信部10Bが隊列走行制御信号を受信した後、車両制御部3Bは、隊列走行制御信号に基づいて、車両1Bの走行を自動制御する。ここで、車両1Aと車両1Bは、アドホックモードで直接通信してもよい。
【0068】
次に、本例に係る照明制御システム100の動作について
図7を参照して説明する。
最初に、車両1B(無線通信部10B)は、車両1Aを先頭車両とした隊列走行を実現するために、隊列依頼信号を車両1A(無線通信部10A)に送信する(ステップS10)。無線通信部10Aが隊列依頼信号を受信した後(ステップS11)、車両制御部3Aは、車両1Aを先頭車両とした隊列走行が可能であるかどうかを判断する。車両制御部3Aが隊列走行が可能であると判断した場合、無線通信部10Aは、隊列可能信号を車両1Bに送信する(ステップS12)。無線通信部10Bが隊列可能信号を車両1Aから受信した後に(ステップS13)、車両制御部3Bは、車両1Bに搭載されたディスプレイに車両1Bの運転モードが隊列走行モードとなることを示す予告情報を表示してもよい。
【0069】
次に、車両制御部3Aが隊列走行制御信号を生成した後、無線通信部10Aは当該生成された隊列走行制御信号を車両1Bに送信する(ステップS14)。無線通信部10Bが隊列走行制御信号を受信した後に(ステップS15)、車両制御部3Bは、当該受信した隊列走行制御信号に基づいて、自動走行制御を実行する。このように、車両1Bの運転モードが隊列走行モードとなる。
【0070】
次に、照明制御部43Aが照明ユニット42Aの照明状態を示す照明制御信号を生成した後に(ステップS16)、無線通信部10Aが当該照明制御信号を車両1Bに送信する(ステップS17)。無線通信部10Bが照明制御信号を受信した後(ステップS18)、照明制御部43Bは、照明制御信号に基づいて、照明ユニット42Bの照明状態が照明ユニット42Aの照明状態に対応するように照明ユニット42Bを制御する(ステップS19)。例えば、照明制御部43Bは、照明ユニット42Bが照明ユニット42Aと同期して点滅するように照明ユニット42Bを制御してもよいし、照明ユニット42Bの照明色が照明ユニット42Aの照明色と対応するように照明ユニット42Bを制御してもよい。このようにして、一連の照明制御処理が実行される。
【0071】
尚、一群の車両Gに属する車両の台数が3台以上であって、先頭車両が隊列を離脱する場合は、先頭車両の直後を走行中の後続車両が、新たな先頭車両(マスター車両)となり、隊列走行制御信号と照明制御信号を後続車両に送信してもよい。また、先頭車両が隊列を離脱した時点で、当該先頭車両は、後続車両への隊列走行制御信号と照明制御信号の送信を中止してもよい。一方、後続車両が隊列を離脱する場合は、後続車両が隊列を離脱する旨を先頭車両に通知した後に、先頭車両は、隊列走行制御信号および照明制御信号の当該後続車両への送信を中止する。
【0072】
本実施形態によれば、隊列走行モードで走行中の一群の車両Gに属する先頭車両と後続車両が通信していることを示す情報を後方車両(手動運転モード)や歩行者P1等の外部に向けて提示可能な照明制御システム100を提供することができる。例えば、一群の車両Gの後方を手動運転モードで走行中の後方車両の運転者は、当該一群の車両Gが隊列走行モードで走行中であることを視認できるため、安心して一群の車両Gを追い越すことができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0074】
本実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードの区分は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0075】
本出願は、2015年12月22日に出願された日本国特許出願(特願2015−249882号)に開示された内容を適宜援用する。