(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各スレーブユニット(6)は、マスタユニット(7)によって生成された同期信号をそのまま受信し、他のスレーブユニット(6)から独立してそれ自身のクロックを同期させる、請求項1に記載のシステム(1)。
前記1つ以上のスレーブユニットのそれぞれは、前記外部ポート(6A)を介して、データを備える少なくとも1つの動作信号を取得し、前記動作信号を格納するよう構成され、前記外部ポート(6A)を介して取得された前記データに対応する取得時点を、独自のクロックに基づいて割り当てるようプログラムされる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム(1)。
前記1つ以上のスレーブユニット(6)のそれぞれは、前記少なくとも1つの外部ポート(6A)を介して取得された一定の時間間隔のデータを格納するようプログラムされ、前記データをデータパケットに収集し、前記多極ケーブル(8)を介して前記マスタユニット(7)に少なくとも前記データパケットを送信するようプログラムされる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシステム(1)。
各スレーブユニット(6)は、マスタユニット(7)によって生成された同期信号をそのまま受信し、他のスレーブユニット(6)から独立してそれ自身のクロックを同期させる、請求項11に記載の方法。
前記少なくとも1つのスレーブユニット(6)によって取得されたデータに対応する取得時点を割り当てるステップを備える、請求項11乃至15のいずれか一項に記載の方法。
前記マスタユニット(7)が、前記少なくとも1つのスレーブユニット(6)に割り当てられた固有の識別コードを定義し、前記マスタユニット(7)のメモリに前記固有の識別コードを格納するために、前記多極ケーブル(8)を介して構成信号を送信する、構成ステップを備える、請求項11乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
工作機械が動作する環境、すなわち、機械部品が機械加工される領域は、一般に、汚れ(冷却剤、切り粉など)およびノイズのレベルが高い「汚染された」場所であり、しかしながら、制御ユニット(CNC、Computer Numerical Control)は、一般に、「クリーンな」環境、すなわち比較的保護された環境内の、作業領域の外部の電気パネル内に配置される。
【0003】
数値制御ユニットは、加工中の機械部品および機械パラメータ(例えば、温度、回転工具の不均衡、音響放射)のリアルタイム測定値を検出し、および/または工作機械内に配置されたアクチュエータを制御し、例えば、ウェイトまたはキャリッジのバランスをとるよう動くようにする。そのために、制御ユニットと動作信号を交換するよう適合されたセンサおよび/またはアクチュエータなどの装置が工作機械に存在する。例えば、制御ユニットは、センサによって検出されたデータを受信し、および/またはアクチュエータに制御信号を送信する。多くの場合、これらの装置のうちの1つまたは複数を汚染された環境に配置する必要がある。
【0004】
この状況では、データ処理および伝送システムが、制御ユニットと装置との間に動作可能に介在されて使用される。
【0005】
この状況では、データ処理および伝送システムの柔軟性に対する要求が増加することに留意すべきである。
【0006】
実際、スペースの使用を最適化できるように、機械の寸法が縮小され、以前は機械が1台であったのに対して、機械加工用に2つの異なる工作機械を配置する必要がしばしばある。さらに、(例えば、同じ機械で研削および旋削作業を行うための)複合技術を有する複合加工機械に対する要求が高まっている。このすべてが、データ処理および伝送システムを様々な機能の管理に適合させる可能性がある、柔軟性の必要性を確定する。
【0007】
また、数値制御ユニットによる検査は、機械によって実行される動作の後または機械のフィードバックを用いた機械加工中に、検査が行われたかどうかにより、検査対象の工作機械によって実行される動作に対して基本的に2つのタイプ、すなわち、それぞれ、ポストプロセスまたはインプロセスであり得ることに留意すべきである。
【0008】
インプロセス検査が実行される場合、制御ユニットと装置との間の情報の交換をリアルタイムで管理する必要性を満たすことは特に重要であり重大である。
【0009】
別の必要性は、データ処理および伝送システムと装置との間で交換される動作信号を同期させることであり、この同期問題は、システムのアーキテクチャに依存して、様々な手法に従って処理することができる。
【0010】
これに関して、従来技術は、集中インテリジェンスデータ処理および伝送システムの使用を教示することに留意すべきである。これらの解決策では、データ処理および伝送システムの処理ハードウェアは、電気キャビネット内に配置され、それぞれのケーブルによって様々な機器と並列接続するための複数のポートを有する、単一の機構(apparatus)に集中する。この手法では、すべての動作信号が単一の機構(apparatus)に接続され、機構(apparatuses)内で同期が行われる。
【0011】
しかしながら、集中インテリジェンスデータ処理および伝送システムにはいくつかの欠点がある。
【0012】
第1の欠点は、特定の用途に適合させることができない所定の寸法および数のポートを有するという意味で、機構(apparatuses)が大型であり、あまり柔軟でないことによる。これは、機構(apparatuses)が一般に特定の用途に対してオーバーサイズであることを意味する。
【0013】
さらなる欠点は、機構(apparatuses)に接続されるケーブルの数が多いために生じる設置の困難さに起因する。
【0014】
さらに、装置と処理ハードウェアとの間の距離は、些細ではないノイズの原因となり、検査の精度に悪影響を及ぼす。
【0015】
データ処理および伝送システムに実質的に分散されたインテリジェンスアーキテクチャを使用する先行技術の解決策もあることに留意されたい。
【0016】
しかしながら、これらの解決策は、上記の必要性に特に有効な答えを提供せず、さらなる欠点および制限を有する。
【0017】
第1の欠点は、それらがデータの効果的且つ単純な同期を可能にしないということによる。これらのシステムの別の難点は、様々な装置によって取得されたデータの相関関係に関連する。
【0018】
このようなシステムの別の制限は、サービスの連続性と、欠陥および誤動作を防止する可能性の観点から、信頼性に関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、先行技術の上述の欠点を克服する工作機械を制御するよう適合された数値制御ユニットのためのデータ処理および伝送システムおよび方法を提供することである。
【0020】
より具体的には、本発明の目的は、特に柔軟性があり、異なる使用要件に単純に適合させることができるデータ処理および伝送システムおよび方法を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、ノイズを低減し、検査の精度を高めることができるデータ処理および伝送システムおよび方法を提供することである。本発明の別の目的は、設置を簡単にするデータ処理および伝送システムおよび方法を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、簡単で効果的なインプロセス検査を実行することができるデータ処理および伝送システムおよび方法を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、特に信頼できるデータ処理および伝送システムおよび方法を提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、特に単純で効果的なデータ同期を可能にするデータ処理および伝送システムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
これらの目的は、本発明による工作機械を制御するのに適合された、および添付の特許請求の範囲に記載された、数値制御ユニットのためのデータ処理および伝送システムおよび方法によって十分に達成される。
【0026】
データ処理および伝送システムは、工作機械に存在する少なくとも1つの装置に接続されるよう適合される。本装置は、センサ(相対トランスデューサ付き)またはアクチュエータとすることができる。より具体的には、データ処理および伝送システムは、センサおよび/またはアクチュエータなどの複数の装置に接続されるよう適合される。
【0027】
本システムは、工作機械内に存在する装置からの、または工作機械内に存在する装置への動作信号の伝送に適合した少なくとも1つの入力チャネルを備える。さらに、本システムは、数値制御ユニット用の制御信号を出力インターフェース上で利用可能にするために、動作信号を処理するよう構成された電子回路を含む。
【0028】
データ処理および伝送システムは、それぞれが多極コネクタを備えた第1および第2の端部を有する多極ケーブルを備える。
【0029】
さらに、処理および伝送システムは、メインプロセッサと、メモリと、多極コネクタの1つに結合されるよう構成された少なくとも1つのソケットと、を備えたマスタユニットを有し、さらに、マスタユニットは、制御ユニットへの出力インターフェースを備える。
【0030】
処理および伝送システムはまた、マスタユニットに接続された1つまたは複数のスレーブユニットを備える。各スレーブユニットは、少なくとも1つの外部ポートを有し、装置に接続するためのシステムの入力チャネルの1つを規定する。さらに、スレーブユニットはそれ自身のメモリと二次プロセッサとを有する。スレーブユニットはまた、少なくとも多極コネクタの第1および第2のコネクタに結合されるよう構成された第1のソケットおよび第2のソケットを備える。このようにして、スレーブユニットはマスタユニットと相互接続される。
【0031】
多極ケーブルは、例えば、デイジーチェーン構成で、複数のスレーブユニットを互いに、およびマスタユニットに接続することを可能にし、マスタユニットに接続されたデータ処理および伝送システム内に単一の多極ケーブルがあり、スレーブユニットとデータを交換するようにする。
【0032】
本発明によるデータ処理および伝送システムは、多極ケーブルによって相互接続された、マスタユニットと、1つまたは複数のスレーブユニットと、を含むネットワークを形成することを可能にする。
【0033】
スレーブユニットをそれぞれの装置の近くに配置することができ、ノイズと接続ケーブルの数とを減らすことができる。
【0034】
これは、データ処理および伝送システムの精度を高めることに寄与する。さらに、本システムは、マスタユニットのサイズを超過することなく、スレーブユニットを追加または削除するだけで、異なる構成の装置を相互接続するよう適合することができるので、特に柔軟性がある。
【0035】
システムの組み立てを単純化し、モジュール性を高めるように、各スレーブユニットに対して、第1および/または第2のソケットは、別のスレーブユニットの少なくとも1つの第1または第2のソケットに直接または多極ケーブルによって接続することができる。このようにして、少なくとも第1および第2のスレーブユニットを有するモジュラ構造を作ることが可能であり、第1および第2のスレーブユニットの一方は、第1のソケットが多極ケーブルのコネクタの1つに結合され、第2のソケットが他のスレーブユニットの第1のソケットに直接またはケーブルによって接続される。
【0036】
多極ケーブルは、通信速度および複雑度による階層レベルに従って互いに異なる複数の通信チャネル(例えば、降順に、イーサネット、CAN、およびRS485)を定義する。
【0037】
さらに、スレーブユニットは常に、多極ケーブルを介してマスタユニットによって検出することができる独自の固有アドレスを有し、多極ケーブル内を循環する信号のリピータとして機能する。
【0038】
スレーブユニットは、(プリント回路基板の1つの構成に応じて)異なる機能を有することができるが、それらは、(多極ケーブルによって提供される複数のチャネル内で)上位ランクのチャネルを介した通信を可能にするよう適合される、装置、メモリ、およびプロセッサへの接続のための外部ポートを共通に有する。
【0039】
システムはまた、少なくとも1つのスレーブユニットの第1および第2のソケットのうちの少なくとも一方に接続するよう構成された第1のソケットおよび第2のソケットを備えた、少なくとも1つの補助ユニットを備えることができる。補助ユニットは多極ケーブルで相互接続され、信号を伝搬する。
【0040】
補助ユニットは、スレーブユニットに対して、上述の機能、すなわち、上位のチャネルを介した通信を可能にするよう適合された外部ポート、メモリ、またはプロセッサのうちの1つまたは複数を有しない。補助ユニットは、スレーブユニットとは異なる。補助ユニットは、これらのプロパティのうちの1つまたは複数が含まれている可能性があるが、すべてを含まなくてもよいためである。例えば、補助ユニットは、メモリおよび/または外部ポートおよび/またはプロセッサを有していなくてもよく、下位の通信チャネル(例えば、CANおよびRS485)へのアクセスを可能にするプログラマブルロジックまたは他の処理手段を有することができ、(識別コードを持たないので)マスタユニットには完全に見えない可能性があり、その場合、接続されているスレーブユニットとだけ通信することができる。
【0041】
一実施形態では、補助ユニットの少なくとも1つの動作は、それが接続されているスレーブユニットの動作に排他的に関係する。換言すれば、この動作に関連して、補助ユニットは各スレーブユニットに必要な機能のみを実行する。
【0042】
システムのモジュール性の別の態様によれば、マスタユニットは、マスタユニットの機能の拡張を可能にする他のユニットに接続される。
【0043】
マスタユニットを別のユニット、すなわち、補足ユニット(同じパネル内に配置され、マスタユニットと並んでいる)に迅速および容易に接続するために、マスタユニットは、第1および第2のソケットを備え、システムは専用ブリッジコネクタを備える。ブリッジコネクタは、第1および第2の端部を有し、第1の端部の第1の多極コネクタと、第2の端部の第2の多極コネクタと、を備える。第1および第2のコネクタの両方を、マスタユニットの第1または第2のソケットの1つに、および補足ユニットのソケットに、(直接的に)結合することができる。
【0044】
本発明によるブリッジコネクタは、有利には、(例えば、両方のユニットが電気パネルまたは配電盤内のDINレールに機械的に接続された状態で)並んで配置された別のユニットにモジュール式に接続可能となるよう適合されたユニットを備える、工作機械を制御するよう適合された数値制御ユニット用の任意のデータ処理および伝送システムに使用することができることに留意されたい。
【0045】
より一般的には、本発明によるコネクタブリッジは、並んで位置決めされ、互いに接続されるよう構成された少なくとも1つの第1および第2のユニットを備える測定および/または制御システムに使用することができる。
【0046】
好ましくは、本発明によるブリッジコネクタでは、ブリッジコネクタの第1および第2のコネクタの両方が、システムのそれぞれのユニットの対応するソケットへの電気的接続の動作を容易にするために格納式(バネ式)電気接触部を有し、このようなソケットは、例えば、そのような格納式接触部と協働するよう適合された平面電気接触部またはパッドタイムスロットを備える。
【0047】
さらに、本発明の別の態様によれば、設置および配線の簡略性に関して、データ処理および伝送システムは、その場で、素早く簡単に多極ケーブルの端部にコネクタを組み付けるための高速配線多極コネクタを備える。高速配線多極コネクタは、多極ケーブルに含まれる配線を覆う絶縁シースを穿孔するように構成され、配線に固定された穿孔電気接触部を備える。
【0048】
さらに、高速配線多極コネクタは、マスタユニットの多極ソケットに結合することができる複数の接触ピンを有する電気接触部の第1のグループを備える、第1の本体と、第1の本体に接続されて穿孔電気接触部を備える、第2の本体とを有する。第1の本体の接触ピンは、格納式(または「バネ式」)の電気接触部である。
【0049】
本発明による高速配線多極コネクタは、有利には、多極ケーブルを使用する工作機械を制御するよう適合される数値制御ユニット用の任意のデータ処理および伝送システムに使用することができることに留意されたい。例えば、ケーブルの2つの端部のうちの1つ(電気キャビネット内に配置されたユニットに接続されるもの)へのコネクタを迅速且つ容易に組み立てるという利点は、分散インテリジェンスシステムに限定されないことに留意されたい。
【0050】
他方で、多極ケーブルの他端は、好ましくは、予め組み立てられた多極コネクタを有し、湿気および埃に関して特別な密封能力を有する。
【0051】
これにより、汚染された環境で予め組み立てられた多極コネクタを使用し、多極ケーブルの自由端部を使用して機械ケーブル搬送ダクト内を簡便に通過することができ、多極ケーブルを適切に配置した後、多極ケーブルの自由端部に高速配線多極コネクタを組み立て、クリーン環境でそれをマスタユニットに接続することが可能になる。
【0052】
より一般的に言えば、本発明による高速配線多極コネクタは、ケーブルの多極コネクタに結合されるよう構成されたソケットを伴う少なくとも1つの第1および第2のユニットを備える測定および/または検査システムにおいて有利に使用され、電気的接続を行うことができる。
【0053】
別の態様によれば、多極ケーブルは、スレーブユニットに電気的に電力を供給する機能も有する。
【0054】
これにより、設置および保守時間がさらに短縮され、設置が簡単になる。さらに、単一の多極ケーブルが存在することにより、システムによって定義されたネットワークのサイジングが簡単になる。別の態様によれば、マスタユニットはクロックを有し、各スレーブユニットは独自のクロックを有する。メインプロセッサは、スレーブユニットのすべてのクロックをマスタユニットのクロックと同期させるように、同期信号を生成し、その同期信号を、多極ケーブルを介して送信するようプログラムされる。
【0055】
好適な実施形態では、クロックの同期は、IEEE1588精密時間プロトコル(PTP)によって提供される方法に従って実施される。マスタユニットは、例えば、イーサネット通信チャネルを介して、すべてのスレーブユニットによってほぼ同時に受信される同期信号を送信する。より具体的には、マスタユニットによって送信された同期信号は、直列の最も近いものから順にスレーブユニットを介して伝搬され、他のスレーブユニットから独立してそれ自身のクロックを同期させるすべてのスレーブユニットによって受信される。すべてのスレーブユニットは、信号伝播時間のために、上流のスレーブユニットに対して最小の遅延で同期信号を受信する。同期信号は、すべてのスレーブユニットによってそのまま送信され、すなわち、すべてのスレーブユニットは、マスタユニットによって生成された同期信号をそのまま受信し、他のスレーブユニットに到達する前にスレーブユニットによって処理されない。これにより、データ処理および伝送システムは、特に簡単で効果的な方法でデータを相関させ、同期させることが可能になる。
【0056】
より具体的には、2つ以上のスレーブユニットは、(スレーブユニットが接続されているセンサの誘導トランスデューサのための)交番電気励起信号を生成するための電子回路を備える。生成されたすべての交番電気励起信号は、互いに時間的に同期している。これにより、同期していない正弦波信号が同時に存在することによって発生するビート現象によるシステム内のノイズが抑制される。このノイズは一般的に低周波数であり、特にシステムにとって有害である。
【0057】
別の態様によれば、データをスレーブユニットからマスタユニットに転送するモードと比較して、メインプロセッサは、データ伝送時間間隔を複数のタイムスロットサンドに分割して、複数のタイムスロットの対応するタイムスロットを各スレーブユニットに一意に割り当てるようプログラムされる。各スレーブユニットについて、二次プロセッサは、それぞれのタイムスロット内においてのみ、多極ケーブルを介してデータを送信するよう設定することができる。
【0058】
これにより、スレーブユニットからマスタユニットに最大レイテンシ時間でデータを送信することが可能になり、素早くクリアな時間枠内で応答が必要な、特に信頼性の高いインプロセス検査に寄与する。
【0059】
好ましくは、メインプロセッサは、各スレーブユニットに固有の識別コードを割り当てるようプログラムされ、連続データ収集サイクルを実行するようプログラムされる。データ伝送時間間隔の各タイムスロットにおいて、メインプロセッサは、対応するスレーブユニットによって送信されたデータを受信して格納し、データを送信したスレーブユニットにデータを関連付ける。各スレーブユニットは、外部ポートを介して少なくとも1つの動作信号を受信し、対応するデータを取得して格納するよう構成されることに留意されたい。
【0060】
本発明によるデータ処理および伝送システムの別の態様によれば、各スレーブユニットは、それ自身のクロックに基づいて、取得されたデータに対応する取得時点を割り当てるよう構成される。
【0061】
これは、品質基準を改善し、機械の動作の信頼性をより高く保証するように、制御下に多数の処理パラメータを維持するシステムの能力に有利である。
【0062】
本発明によるデータ処理および伝送システムにおいて、別の態様によれば、マスタユニットは、診断ブロックを備えることに留意されたい。
【0063】
診断ブロックは、電子回路を有し、少なくともマスタユニットに対して少なくとも1つの電源パラメータを検出または収集するよう構成される。あるいは、またはさらに、診断ブロックは、少なくともマスタユニットおよび/または1つもしくは複数のスレーブユニットに対して、内部温度を収集するよう構成される。
【0064】
好ましくは、診断ブロックは、マスタユニットとすべてのスレーブ(および補助)ユニットの両方の内部温度を収集するよう構成される。
【0065】
一実施形態では、診断ブロックは、個別に取得されたスレーブユニットに対する、またはシステム全体、すなわちすべてのスレーブユニットおよびマスタユニットに対する、少なくとも1つの電源パラメータを収集するよう構成される。
【0066】
例えば、マスタユニットの診断ブロックは、以下のパラメータ、すなわち、供給電圧、電流引き込み、電力引き込みのうちの1つまたは複数を検出または収集するよう構成される。
【0067】
好ましくは、診断ブロックは、マスタユニットの電源に接続され、少なくとも1つの電源パラメータの検出が、システムの電子部品内の電磁汚染を引き起こすことを抑制するために、診断ブロックは、メインプロセッサに光絶縁されたインターフェースを介して結合される。
【0068】
多極ケーブルは、好ましくは、システム、特にスレーブユニットおよび補助ユニットのための電力供給を規定する1つまたは複数の配線(少なくとも1つの電源および1つのリターン)を含むことに留意されたい。
【0069】
好ましくは、スレーブ(および補助)ユニット、好ましくはマスタユニットも電源線に並列に接続される。
【0070】
好ましくは、スレーブ(および補助)ユニット、および好ましくはマスタユニットは、(電力供給される)相対的電子部品と電源線との間に介在するガルバニック(galvanic)絶縁を規定する電源回路(例えば、DC/DCコンバータ)をそれぞれ有する。この目的は、スレーブ(および補助)ユニットおよびマスタユニットの電子部品が「クリーン」な電気室で動作することを保証することである。
【0071】
好ましくは、診断ブロックは、電源線との独自の接続を有するが、メインプロセッサとのインターフェースは、例えば光接続(カップリング)によって、ガルバニックに(galvanically)絶縁される。これにより、診断ブロックは、マスタユニットの電子部品の電力供給の変更を引き起こすことなく、システムによる電力消費を表す電圧および電流または他の量を読み取ることができる。相対的な電圧または電流の読み取りによる光結合は、1つまたは複数の補助ユニットに提供することができる。
【0072】
これにより、データ処理および伝送システムは特に信頼性が高くなり、エネルギー消費を監視し、任意の欠陥を識別し、警告または欠陥信号を生成し、これらの状況を防止することが可能になる。
【0073】
本発明のこの特徴および他の特徴は、添付図面に非限定の例として示される好適な実施形態の以下の説明からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0075】
添付図面を参照すると、参照番号1は、工作機械3を制御するよう適合される数値制御ユニット2のためのデータ処理および伝送システムを示す。
【0076】
工作機械3は、少なくとも1つの機械が配置される作業室3Aを有する。作業室3Aは、それ自身の内部空間3C、すなわち作業空間を画定する。典型的には、作業空間3Cは、汚染された(汚れた)環境となる。
【0077】
工作機械3はまた、典型的には、数値制御ユニット2が配置される電気パネルまたはスイッチボード(switchboard)3Bを備える。電気パネル3Bは、それ自身の内部空間3Dを画定する。電気パネル3Bの内部空間3Dは比較的クリーンな環境となり、実際には、工作機械3の作業空間3Cから、例えば、壁によって、分離される。
【0078】
システム1は、工作機械3に存在する装置15からの、または工作機械3に存在する装置15への動作信号の伝送に適合する少なくとも1つの入力チャネル4を備える。システム1は、数値制御ユニット2用の制御信号を出力インターフェース5上で利用可能にするために、動作信号を処理するよう構成された電子回路も備える。
【0079】
典型的には、装置15は、工作機械3の作業空間3C内に配置され、例えば、センサまたはアクチュエータとすることができる。
【0080】
本発明によるシステム1は、1つまたは複数のスレーブユニット6、すなわち、入力チャネル4を画定する少なくとも1つの外部ポート6Aを備えた少なくとも1つのスレーブユニット6を備える。
【0081】
システム1は、出力インターフェース5を有するマスタユニット7を備える。
【0082】
好ましくは、マスタユニット7は、電気パネルの空間3D内に配置されているので、数値制御ユニット2の近くの非汚染環境に配置される。
【0083】
他方、スレーブユニット6の少なくとも1つは、各装置15に近接して作業空間3C内に配置されることが好ましい(したがって、ケーブル、すなわちスレーブユニット6を各装置15に接続するケーブルの長さも最小になる)。一般に、スレーブユニット6は、作業空間3C内に配置されることが好ましく、しかしながら、1つまたは複数のスレーブユニット6は、相対的な機能に応じて、電気パネルの空間3D内に配置してもよい。
【0084】
マスタユニット7は、メモリ(すなわち、メインメモリ)7Rとメインプロセッサ7Sと、を備える。各スレーブユニット6は、メモリ(すなわち、二次メモリ)6Rと二次プロセッサ6Sとを備える。好ましくは、スレーブユニット6は、外部ポート6Aを介して少なくとも1つの動作信号を取得し、メモリ6Rに格納するよう構成される。
【0085】
システム1は、スレーブユニット6の少なくとも1つをマスタユニット7に接続するための多極ケーブル8を備える。多極ケーブル8は、作業空間3Cを電気パネルの空間3Dから隔てる隔壁の開口に挿入されることが好ましい。スレーブユニット6の間の接続は、多極ケーブル8によって、またはソケット6Bおよび6Cの直接接続によって行うことができる。
【0086】
一実施形態では、多極ケーブル8は第1および第2の端部を有し、各端部には多極コネクタ9が設けられる。マスタユニット7は、多極コネクタ9の1つに結合されるよう構成された少なくとも1つの第1のソケット7Aを備える。各スレーブユニット6には、多極コネクタの少なくとも1つの第1または第2のコネクタに結合されるよう構成された第1のソケット6Bおよび第2のソケット6Cが設けられている。多極ケーブル8は、少なくとも1つのスレーブユニット6をマスタユニット7に接続する。
【0087】
一実施形態では、システム1は、互いに直列に接続された複数のスレーブユニット6を備え、そのうちの1つは、多極ケーブル8を介してマスタユニット7に接続される。スレーブユニットは、直接または多極ケーブル8によって相互に接続される。
【0088】
一実施形態では、システム1は、少なくとも2つのスレーブユニット6を備え、すなわち、複数のスレーブユニット6を備える。
【0089】
一実施形態では、システム1は、マルチプルコネクタ16を備える。マルチプルコネクタ16は、それぞれが多極ケーブル8の多極コネクタの1つに結合され(couple)、スレーブユニット6の第1または第2のソケットに接続するよう構成された第1、第2、および第3の多極コネクタ9を有する。このようにして、例えば、マスタユニット7に接続された多極ケーブル8に、直接的または間接的に、第1の多極コネクタを第1のスレーブユニット6に接続し、第2の多極コネクタを第2のスレーブユニット6に接続し、第3の多極コネクタを接続する分岐が可能になることに留意されたい。
【0090】
マルチプルコネクタ16は、3つの多極コネクタのうちの1つに入るデータを検出し、残りの2つの多極コネクタから来るデータの流れを処理するようプログラムされた独自のプロセッサを有する。
【0091】
本発明はまた、高速配線多極コネクタ12に関する。高速配線多極コネクタ12の目的は、特定のまたは複雑な工具を必要とせずに(例えば、ねじドライバーとはさみで十分である)、多極ケーブルを接続して、すなわち、一端でコネクタを迅速且つ簡単に現場で接続できるようにすることである。
【0092】
一実施形態では、システム1は、多極ケーブル8の端部に結合することができる高速配線多極コネクタ12を備える。
【0093】
図示の例の高速配線多極コネクタ12は、多極ケーブル8に収容された配線8Aを覆う絶縁シースを穿孔するよう構成された複数の穿孔電気接触部12Pを備え、配線および穿孔電気接触部を固定して互いに電気的に接続する。一実施形態によれば、穿孔電気接触部12Pは、多極ケーブル8の被覆線8Aも収容するフレームの複数の台座12Sに収容される。フレームに結合された複数の可動要素12Dは、配線および穿孔電気接触部を固定し互いに電気的に接続するように、多極ケーブルに収容された配線と台座内で協働するように適合される。
【0094】
一実施形態では、可動要素12Dは、それぞれが、各台座を閉じ、この台座に配置された配線8Aをプレスする、第1の位置と、台座で配線8Aを挿入し、台座から配線8Aを抜き出すことを可能にする開位置との間を移動可能な要素を被覆している。
【0095】
穿孔電気接触部12Pは、細長い形状を有し、一方の端部に1つまたは複数の導電性歯(すなわち、導電性材料で作られたプレートまたは他の切断要素)を備えることができ、反対側の自由端部は、
図6Aに示すように、グリッパの形態を有することができる。配線8Aが台座12S内に配置され、被覆要素12Dが閉じられると、それぞれの穿孔電気接触部の導電歯がシースを穿孔し、配線と穿孔電気接触部とを電気的に接続する。
【0096】
これは好適な実施形態であるが、穿孔接触部は、例えば、被覆要素12D内に配置され、それと共に移動可能とすることができる。
【0097】
好適な実施形態では、高速配線多極コネクタ12は、第1の本体12Aおよび第2の本体12Bを有する。
【0098】
一実施形態では、第1の本体12Aは、少なくとも1つのプリント回路基板、または互いに強固に電気的に接続された2つ以上のプリント回路基板を備えることができる2つの対向面を伴う支持部を有する。電気接触部または接触ピン12Cの第1のグループの前面電気接触部は、支持部の一方の面に固定され、多極ソケット(例えば、マスタユニット7のソケット7Aまたはスレーブユニット6のソケット6B、6C)の対応する電気接触部(例えば、パッド、すなわち、平面電気接触部または穴)に結合することができる。
【0099】
一実施形態では、接触ピン12Cは格納式、すなわち「バネ式」であり、すなわち、それらは互いに独立して弾性的に移動可能である。
【0100】
電気接触部の第2のグループの電気接触部は、第1の本体12Aの支持部の他方の面に固定される。第2の本体12Bは、第1の本体12Aに差し込むことができる。一実施形態では、接触ピンに電気的に接続された第2のグループの電気接触部は、支持部のそれぞれの面に固定された中空結合要素12E内に収容される。
【0101】
第2の本体12Bは、第1および第2の端部を有し、第2の端部はケーブル8に接続されている。
【0102】
第2の本体12Bの第1の端部には、一実施形態では、フレームに固定された突出結合要素12F内に収容された穿孔電気接触部12Pのグリッパの形態の端部がある。より具体的には、突出結合要素12Fを中空結合要素12Eにスナップ結合して、第2の本体を第1の本体に差し込み、穿孔電気接触部と第1のグループの電気接触部とを電気的に接続することができる。
【0103】
図6は、高速配線コネクタ用の既知の種類の保護ケーシングの半分のみを示す。一実施形態では、マスタユニット7はクロックを有し、各スレーブユニット6はそれ自身のクロックを有する。マスタユニット7のメインプロセッサ7Sは、同期信号を生成し、その同期信号を多極ケーブル8を介して送信するようプログラムされ、スレーブユニット6のクロックをマスタユニット7のクロックと同期させる。好ましくは、各スレーブユニット6は、多極ケーブル8を介してマスタユニット7によって検出することができる独自の固有アドレスを有する。
【0104】
1つのスレーブユニット6(または複数のスレーブユニット6)に関しては、以下のことを考慮する必要がある。
【0105】
一実施形態では、スレーブユニット6は、第1のソケット6Bおよび第2のソケット6Cに接続され、多極ケーブル8を介したデータ伝送を管理するよう構成された第1の電子プリント回路基板6Dを備える。第1のプリント回路基板6Dは、プロセッサ(例えば、CPU)を備える。
【0106】
スレーブユニット6は、第1のプリント回路基板6Dおよび外部ポート6Aに接続され、対応する入力チャネル4を介して動作信号の通過を管理するよう適合された第2のプリント回路基板6Eを備える。
【0107】
一実施形態では、第2のプリント回路基板6Eは、さらなる相対的プロセッサを備え、あるいは、第2のプリント回路基板6Eは、第1のプリント回路基板6Dのプロセッサを使用することができる(それ自体のプロセッサを有しない)。
【0108】
好ましくは、第1のプリント回路基板6Dは、ソフトウェアおよびハードウェアの両方の観点から、すべてのスレーブユニット6について同一である。
【0109】
他方、第2の電子基板6Eは、搭載されるスレーブユニットによって実行される機能に依存する構成(ハードウェアおよび/またはソフトウェア)を有することが好ましい。
【0110】
これにより、システムの生産が簡素化され、保管要件が削減される。
【0111】
一実施形態では、スレーブユニット6は、メモリ6R、二次プロセッサ6S、第1のプリント回路基板6D、および第2のプリント回路基板6Eを含む保護シェル6Fを備える。好ましくは、保護シェル6Fは、IP65等級以上のシールを規定する。
【0112】
好適な実施形態では、保護シェル6Fは、その上に第1のソケット6Bが配置される第1の側壁6Gと、その上に第2のソケット6Cが配置される第2の側壁6Hと、を備える。保護シェル6Fはまた、少なくとも1つの外部ポート6Aがその上に配置される上壁61を備える。
【0113】
一実施形態では、スレーブユニット6の外部ポート6Aは、動作信号の送信と受信の両方に対して効力がある。スレーブユニット6は、外部ポート6Aを介して工作機械3の作業空間3Cに存在する1つまたは複数のセンサ15に接続可能である。「センサ」という用語は、例えば、位置トランスデューサ、振動センサ、または音響センサを備えた測定ヘッドを識別する。これらのセンサは、機械3の動作中に検出された工作機械3によって実行される機械加工に関するパラメータを表す信号を生成するよう適合される。スレーブユニット6は、これらの信号を取得するためにセンサ15に接続可能である。スレーブユニット6は、スレーブユニット6によって送信される制御信号を受信するよう適合されたアクチュエータにも接続可能である。
【0114】
誘導測定トランスデューサを有するセンサに接続された2つ以上のスレーブユニット6を有するシステム1において、スレーブユニット6は、交番電気励起信号を生成するための電子回路を備え、交番電気励起信号はすべて互いに時間的に同期している。2つ以上のスレーブユニット6のそれぞれは、可変誘導結合で作られた対応する測定トランスデューサを付勢するように、それぞれの外部ポート6Aを介して交番電気励起信号を出力として送信するようプログラムされる。
【0115】
一実施形態では、2つ以上のスレーブユニット6のそれぞれは、第1および第2のデジタルPWM(パルス幅変調)信号の発生器を備える。これらの2つ以上のスレーブユニット6のそれぞれは、第1および第2のデジタルPWM信号を受信し、正弦波からなる交番電気励起信号を生成するようそれらの信号を処理するよう適合される処理回路を備える。
【0116】
一実施形態では、トランスデューサを励起するための正弦波の生成は、2つのPWMデジタル信号が生成されるデジタル技術によって達成される。PWM信号は合計され、および/または減算され、またはいずれの場合にも数学的関数に従って結合され、その合計または減算または組み合わせから生じる信号は、正弦波を生成するためにフィルタリングされる。この技術は、2つのPWMデジタル信号の持続時間を簡便に変調するために、非常に低いレベルの高調波歪みを有する正弦波を得ることを可能にする。また、デジタル装置を使用することは、正弦波の生成と外部からの信号とを同期することを容易にすることに留意されたい。
【0117】
一実施形態では、2つ以上のスレーブユニット6のそれぞれについて、交番電気励起信号を生成するための電子回路は、別のスレーブユニット6によって生成された別の交番電気励起信号と同相で同期させるように、好ましくは所定の規則的な時間間隔で、交番電気励起信号を同相で補正するよう構成される。
【0118】
一実施形態では、各スレーブユニット6は、(例えば、1つまたは複数のPWM信号を使用して)正弦波を生成するために使用される基準信号(例えば、方形波)を生成するためのタイマを有する。各スレーブユニット6が(タイマに接続された)クロックを有し、すべてのクロックが同期されていることにより、スレーブユニット6は、基準信号の周波数を時間と共に変化させ、すべてのスレーブユニット6(基準信号を生成するように設計されたものすべて)のすべての基準信号を位相調整するようプログラムされる。これは、マスタユニットによって生成された基準信号またはいずれかのスレーブユニットによって生成された基準信号(他のユニットの基準として任意の方法で選択されたもの)と同期されるためである。その結果、すべてのスレーブユニットによって生成された正弦波は、互いに同期される。
【0119】
一実施形態では、各スレーブユニット6は、外部ポート6Aを介して、少なくとも1つの動作信号を取得するよう構成される。動作信号は、データを備えるデジタル信号、または量の傾向を表すアナログ信号とすることができ、したがって、情報コンテンツを有することができる。好ましくは、各スレーブユニット6は、動作信号を格納するよう構成され、相対的なクロックに基づいて、対応する取得時点に外部ポート6Aを介して取得されたデータに割り当てるようプログラムされる。
【0120】
装置15によって取得されたデータは、スレーブユニット6に格納され、通信プロトコルに従ってマスタユニット7に送信される。
【0121】
各スレーブユニットに存在する高精度クロックによって検出された対応するタイミング情報は、取得されたデータに関連付けられる。タイミング情報は、取得されたデータに関連するマスタユニット7に送信される。
【0122】
これは、(スレーブユニット6のクロックがマスタユニットのクロックと同期するという事実と組み合わせて)マスタユニット7が、異なるスレーブユニット6からのデータを収集し、それらを互いに時間的にリアルタイムで(これはインプロセス検査のために特に有用である)、または事後処理で相関させることを可能にする。
【0123】
一実施形態では、各スレーブユニット6は、外部ポート6Aを介して取得されたデータを所定の時間間隔で格納するようプログラムされる。好ましくは、各スレーブユニット6は、データパケット内にデータを格納するようプログラムされ、多極ケーブル8を介して少なくともデータパケットをマスタユニット7に送信するようプログラムされる。
【0124】
一実施形態では、複数のスレーブユニット6のスレーブユニット6を互いに接続してモジュール構造を形成することができる。
【0125】
好ましくは、スレーブユニット6の第1のソケット6Bは雄型であり、第2のソケット6Cは雌型である。例えば、第1のスレーブユニットの第1のソケット6Bは、第2のスレーブユニットの第2のソケット6Cに結合することができ、第1のスレーブユニットの第2のソケット6Cは、第2のスレーブユニットの第1のソケット6Bに結合することができる。一実施形態では、第1のスレーブユニットは、多極ケーブル8の多極コネクタ9の1つに結合された第1のソケット6Bと、第2のスレーブユニットの第1のソケット6Bに例えば直接結合された第2のソケット6Cとを有し、第2のスレーブユニットの第2のソケット6Cは、多極ケーブル8の多極コネクタ9のうちの1つに結合される。スレーブユニット6が各ソケット6B、6Cと結合することによって互いに接続されない場合、多極ケーブル8を用いて接続することができる。例えば、多極ケーブル8は、それぞれがスレーブユニット6を互いに接続するため、および/または少なくとも1つのスレーブユニット6をマスタユニット7に接続するために、多極コネクタ9を備えた第1および第2の端部をそれぞれ有する2つ以上の要素を備える。
【0126】
「スレーブユニット」という用語は、センサなどの装置とインターフェースするユニットと、少なくとも1つのスレーブユニットおよび多極ケーブル8によって接続されるマスタユニット7を備えるネットワークとを識別することに留意されたい。好ましくは、スレーブユニットは、信号のフィルタリングおよび/またはコンディショニングまたはさらに複雑な動作などの基本的な処理を実行することができる。例えば、スレーブユニット6は、スレーブユニットに接続されたセンサによって検出された信号の関数として、接続されたアクチュエータの制御信号を自律的に処理することができる。
【0127】
一実施形態では、システム1は、第1のソケット10Aおよび第2のソケット10Bを備えた少なくとも1つの補助ユニット10を備えることができる。補助ユニット10の第1のソケット10Aおよび第2のソケット10Bは、スレーブユニット6の第1のソケット6Bおよび第2のソケット6Cの少なくとも一方に接続するよう構成される。
【0128】
補助ユニット10は、処理能力および/または通信容量が低減されているので、スレーブユニット6とは異なる。
【0129】
スレーブユニット6は、複雑な処理を実行し、複雑で高速な通信チャネル(例えば、イーサネット)を介してデータを交換することを可能にするプロセッサをメモリと同様に有することに留意されたい。
【0130】
スレーブユニット6とは異なり、補助ユニット10は、プロセッサ、すなわち、データ処理システムを有しておらず、あるいは、補助ユニット10は、例えば、プログラマブルロジックからなる独自の処理手段を有することができる。
【0131】
所定の場合に、補助ユニット10は、独自のメモリを備える。
【0132】
補助ユニット10は、多極ケーブル8によって規定される任意の通信チャネルにアクセスすることができないか、または多極ケーブル8によって規定される通信チャネルを介して、好ましくは、スレーブユニットによって使用される通信チャネル(例えば、CANまたはRS485通信チャネル)よりも低いランクのデータを交換するよう構成することができる。
【0133】
一実施形態では、補助ユニット10の少なくとも1つの動作は、接続されるスレーブユニットの動作によって制御される。
【0134】
例えば、スレーブユニット6が測定フィーラを伴う測定ヘッドを備える装置に接続される場合、相対補助ユニット10は、圧縮空気回路用のソレノイドバルブおよび接続要素10Cを備え、検査サイクルのそれ自体既知のステップで測定フィーラを格納することができる。
【0135】
別の例では、装置15に接続するための外部ポートを持たないマルチプル多極コネクタ16自体が補助ユニット10を規定することに留意されたい。
【0136】
別の例では、補助ユニット10は、外部電源に接続可能な電圧増幅器からなり、入力電圧よりも高い出力電源電圧を提供することができる。この種の補助ユニット10は、メモリおよびプロセッサを有していない。
【0137】
マスタユニット7に関しては、以下の点を考慮する必要がある。
【0138】
一実施形態では、マスタユニット7は、第1のソケット7Aと第2のソケット7Bと、を備える。例えば、ソケットのそれぞれは、多極コネクタ内に存在するそれぞれの格納式電気接触部に結合することができる平面電気接触部または「パッド」を備えることができる。
【0139】
一実施形態では、マスタユニット7は、一般に、前壁7C、後壁7F、および底壁7Tを有する直方体の形状を有する。好ましくは、第1のソケット7Aと第2のソケット7Bは、マスタユニット7の前壁7Cに位置する。一実施形態では、マスタユニット7は、例えばDINレールなどの、マスタユニット7を電気パネルの支持バーまたは取り付けバーに固定するよう構成された弾性スナップオンロック要素(図示せず、それ自体は知られており、後壁7F上に配置されている)を備える。
【0140】
好ましくは、マスタユニット7の第1のソケット7Aおよび第2のソケット7Bは、マスタユニット7の第1の外側側壁7Dおよび第2の外側側壁7Eにそれぞれ接する、前壁7Cのうち向かい合う側に位置する。好ましくは、マスタユニット7の第1のソケット7Aおよび第2のソケット7Bは、同じ高さ、すなわち、マスタユニット7の底壁7Tから同じ距離に配置される。
【0141】
好適な実施形態によれば、マスタユニット7は、平坦な側壁7D、7Eと、側壁7D、7Eから突出する複数のフィン17と、を有する。フィン17の機能は、熱交換、したがって、マスタユニット7の冷却を促進することである。好ましくは、フィン17は互いに平行であり、マスタユニット7の底壁7Tに垂直である。好ましくは、マスタユニット7が支持部(例えば、DINレール)に固定される場合、フィンは垂直に配向される。
【0142】
より具体的には、フィン17は、支持部に対してマスタユニット7のロック要素に垂直に配置される。例えば、フィンは、DINレールへの接続のために後壁7F上のロック要素に対して垂直に配向される。
【0143】
また、マスタユニット7の上面にもフィンが設けられる。
【0144】
好ましくは、マスタユニット7は、マスタユニット7内の空間に配置された冷却ファン(図示せず)をさらに備える。冷却ファンの目的は、マスタユニット7内の温度を均一にすることであり、フィン17と協働してマスタユニット7に収容された電子部品を冷却する。
【0145】
好適な実施形態では、マスタユニット7は、電源ソケット7G、ネットワークソケット7H、さらなる多極信号コネクタに結合するよう適合されるフィールドバスソケット7I、1つまたは複数のアラーム警告ライト7L、遠隔または遠隔にすることができるディスプレイに接続するための周辺ポート7Mを備える。
【0146】
マスタユニットは、1つまたは複数のUSB 7Nおよび/またはUSB On−The−Go 7Pポート(USB OTGとしても知られる)および/またはHDMI 7Qポートを備えることもできる。
【0147】
好適な実施形態では、給電ソケット7G、ネットワークソケット7H、フィールドバスソケット7I、アラーム警告ライト7L、周辺ポート7M、USBポート7N、7P、およびHDMIポート7Qは、マスタユニット7の前壁7Cに配置される。
【0148】
一実施形態では、メインプロセッサ7Sは、データ伝送時間間隔を複数のタイムスロットに分割し、複数のタイムスロットの対応するタイムスロットを各スレーブユニット6に一意に割り当てるようプログラムされる。好ましくは、各スレーブユニット6について、二次プロセッサ6Sは、それぞれのタイムスロット内においてのみ、多極ケーブル8を介してデータを送信するよう設定することができる。
【0149】
これにより、スレーブユニット6とマスタユニット7との間の特に有効なデータ伝送が可能となり、クリアな時間フレーム内の応答が保証される。これは、インプロセス検査システムにおいてリアルタイムでデータを転送する必要性に対処するために特に有利である。さらに、マスタユニットが毎回(「ポーリング」技術を使用して)スレーブユニットに質問する従来技術のシステムとは異なり、この解決策は、マスタユニット7がスレーブユニット6によって格納されたデータを収集するために必要な時間を大幅に短縮することができ、なぜなら、スレーブユニット6は、マスタユニット7によって質問されるのを待たず(この質問は帯域幅を占有し、通信を遅くする)、自らのタイムスロット内で自律的に送信するからである。
【0150】
さらに例示的な実施形態において、メインプロセッサ7Sは、各スレーブユニット6に固有の識別コードを割り当てるようプログラムされ、連続データ収集サイクルを実行するようプログラムされる。メインプロセッサ7Sは、各データ伝送時間間隔において、対応するスレーブユニット6から送信されたデータを受信して格納するよう構成される。メインプロセッサ7Sはまた、データを、そのデータを送信したスレーブユニット6に関連付けるよう構成されている。
【0151】
マスタユニットが識別コードを割り当てるシステムを構成するステップに関しては、以下に説明する。
【0152】
一実施形態では、各スレーブユニット6(および、必要に応じて、処理手段を備えた補助ユニット10)は、第1および第2のスイッチを有し、第1のスイッチは第1のソケット6Bとプロセッサとの間に配置され、第2のスイッチは第2のソケット6Cとプロセッサとの間に配置される。第1および第2のスイッチは、従来の電気スイッチであってもよいが、好ましくは、適切な回路によって作られ、(例えば、ソケット6B、6Cからの)ソフトウェアを介して作動させることができる電子スイッチである。
【0153】
システム1を構成するステップの開始時に、各スレーブユニット6(および処理手段を備えた補助ユニット10)に対して、第1のスイッチが閉位置に設定され、第2のスイッチが開位置に設定される。
【0154】
マルチプルコネクタ16の場合、第1、第2、および第3のスイッチを有し、この場合、第1のスイッチは閉位置に設定され、第2および第3のスイッチは開位置に設定される。
【0155】
第1のスイッチを常にマスタユニット7の方に向けて注意深く配置することが重要であり、その結果、第2のスイッチは、マスタユニット7から離して配置される。
【0156】
チェーン構成、特に「デイジーチェーン」タイプのマスタユニット7に直列に接続されたスレーブユニット6(および補助ユニット10)を備えるシステム1のネットワークを構成するステップの後に、システムを構成するステップは、例えば以下の手順によって開始される。
【0157】
マスタユニット7は、多極ケーブル8を介して、システム1によって定義されたチェーンの第1のスレーブユニット6に向かって(第1の)信号を送信し、信号は質問を構成し、対応する第1のスイッチ(第1のスレーブユニット6の第2のスイッチが開いているので信号はそれ以上続かない)を介して(第1の)スレーブユニット6のプロセッサによって受信される。プロセッサは、その存在およびスレーブユニット6の機能に関する詳細を提供することによって、質問に応答する(質問の応答を提供するようにスレーブユニット6がプログラムされているため)。マスタユニット7は、応答を受信して記録し、スレーブユニット6の位置および機能を格納し、スレーブユニット6に固有の識別コードを割り当てる。さらに、スレーブユニット7は、第2のスイッチを開位置から閉位置に切り替えるために、(第1の)スレーブユニット6のプロセッサに制御信号を送信する。
【0158】
続いて、マスタユニット7は、第1の信号と同様に、プロセッサに対する質問を構成する、多極ケーブル8を介する(第2の)信号を送信する。信号は、対応する第1のスイッチを介して第2のスレーブユニット6のプロセッサ(第1のスレーブユニット6に対して下流にある第1のスレーブユニット)によって受信される(第2のスレーブユニット6の第2のスイッチが開いているので、信号はさらには続かない)。
【0159】
このようにして、各スレーブユニットに固有の識別コードが割り当てられるまで、他のすべてのスレーブユニット6について動作が反復的に繰り返される。
【0160】
代替実施形態によれば、スレーブユニット6は、少なくとも1つのスイッチ、特に、マスタユニット7から離れて配置された第2のスイッチを備えていれば十分である。実際には、本発明の一実施形態では、上述の第1のスイッチは閉じたままであり、永久的な電気的接続によって置き換えられてもよい。
【0161】
さらなる実施形態では、メインプロセッサ7Sは、データ伝送時間間隔を、システム1のスレーブユニット6の数よりも多い数のタイムスロットに分割し、(各スレーブユニット6に対応する一意に割り当てられたタイムスロットに加えて)少なくとも1つの追加または余分のタイムスロットを節約するようプログラムされる。好ましくは、連続データ収集サイクルの追加のタイムスロットにおいて、メインプロセッサ7Sは、多極ケーブル8を介してスレーブユニット6のパラメータを設定するようプログラムされる。例えば、メインプロセッサ7Sは、例えば、データ伝送時間間隔の持続時間などの、スレーブユニット6のための有効なパラメータを再設定するようプログラムされ、および/またはスレーブユニット6のプロセッサにおいて電子文書のダウンロードを実行するようプログラムされる。追加の時間間隔は、例えば、FTPなどのファイル転送プロトコルを使用することによって利用することもできる。
【0162】
一実施形態では、マスタユニット7は、電子回路を有する診断ブロックを備える。診断ブロックは、スレーブユニット6および/またはマスタユニット7に対して、電源電圧を表す少なくとも1つの電源パラメータを検出または収集するよう構成される。診断ブロックは、各スレーブユニット6および/またはマスタユニット7に対して、電源パラメータに加えて、またはその代わりに、内部温度を収集するよう構成される。
【0163】
各スレーブユニット6および/またはマスタユニット7には、内部温度に対する値を提供するための温度センサを備えることができる
【0164】
一実施形態では、マスタユニット7の診断ブロックは、スレーブユニット6および/またはマスタユニット7に対して、以下のパラメータ、すなわち、電源電圧、電流引き込み、電力引き込みのうちの1つまたは複数を収集するよう構成される。
【0165】
換言すれば、診断ブロックは、システム全体(すなわち、スレーブユニット6およびマスタユニット)に対して、少なくとも1つの電源パラメータを、マスタユニット7または各スレーブユニット6に対してのみ検出または収集することができる。診断ブロックはまた、単一のスレーブユニット6および/またはマスタユニット7の内部の温度を、電源パラメータの代わりにまたはそれに加えて、収集することもできる。
【0166】
好ましくは、マスタユニット7の診断ブロックは、検出された電源パラメータおよび/または内部温度の時間推移を表すデータを格納するようプログラムされる。
【0167】
一実施形態では、マスタユニット7の診断ブロックは、電源パラメータおよび/または内部温度の1つまたは複数の基準値をそのメモリに格納している。診断ブロックは、電源パラメータおよび/または内部温度の値(好ましくはリアルタイムで検出された値)を基準値と比較するようプログラムされる。診断ブロックは、実行された比較に応じてアラームを生成するようプログラムされることが好ましい。例えば、診断ブロックは、内部温度が所定の時間、基準値を超えた場合にアラームを発生させるようプログラムされる。一実施形態では、診断ブロックは、電源パラメータが所定の時間、基準値と異なる場合にアラームを発生させるようプログラムされる。一実施形態では、スレーブユニット6は、少なくとも1つの電源パラメータおよび/または内部温度に関する動作信号およびデータに関するデータをマスタユニット7に同期して送信するようプログラムされる。
【0168】
マスタユニット7は、様々な測定サイクルによって要求される最も複雑な数学的演算を実行するよう構成され、(スレーブユニット6によって)様々なセンサから受信した情報を解釈および/または結合し、数値制御ユニット2によって受信され処理され得る信号に変換する機能を有し、一般に言えば、数値制御ユニット2の(システム1内での)唯一の対話者(interlocutor)である。
【0169】
一実施形態では、システム1は、第1および第2の端部を有するコネクタブリッジ11を備える。ブリッジコネクタ11は、第1の端部に第1のコネクタ11Aを備え、第2の端部に第2のコネクタ11Bを備える。第1および第2のコネクタ11A、11Bのそれぞれは電気接触部を備え、マスタユニット7の第1または第2のソケットに結合することができる。
【0170】
一実施形態では、コネクタブリッジ11は、(メカニカルキーを規定する)非対称成形輪郭を備え、コネクタブリッジ11が結合されるよう設計されたソケット7A、7Bは、コネクタブリッジ11の成形輪郭と協働するよう適合された対応する成形輪郭を有し、これらの成形輪郭の配列ステップにおけるコネクタブリッジの正確な位置決めを容易にする。
【0171】
一実施形態では、コネクタブリッジ11は、第1または第2のコネクタ11A、11Bの電気接触部の周りに配置することができる中心開口部および縁部を伴う絶縁材料製のリム(すなわち、電気または誘電体絶縁材料製)を備える。絶縁リムの機能は、コネクタブリッジ11の位置決め中の偶発的な短絡を抑制することである。システム1において、コネクタブリッジ11は主に、第1および第2のユニット、特に、マスタユニット7と、少なくとも1つのソケットを伴う前壁を備えた補足ユニット13を規定する少なくとも1つの他のユニットとを接続する機能を有する。
【0172】
好ましくは、第1および第2のコネクタ11A、11Bは、バネ接触部、すなわち、各ソケットの平面電気接触部または「パッド」に接触するよう適合された格納式接触部を有する。これにより、機械的隙間を無くし、一緒に接続されるユニット間の位置決め誤差を補償することが可能になる。
【0173】
好ましくは、バネ接触部によって占有される領域を画定する縁部が持ち上げられ、これは、偶発的な衝撃の場合に接触部を保護するためである。さらに、好ましい実施形態によれば、第1および第2のコネクタ11A、11Bは、ブリッジコネクタの同じ側に位置する同じ方向(互いに平行な間隔で軸線に沿って)に面している。これにより、第1および第2のコネクタ11A、11Bがマスタユニット7の前面壁と、各ソケットが形成された補足ユニット13とに対向するように、コネクタブリッジ11の前部を、その隣に位置するユニットに接続することができる。このコネクタブリッジ11の前方位置により、他のユニットまたはマスタユニット7を移動させることなく(すなわち、除去してはならない)、コネクタブリッジ11を取り外して、マスタユニット7または補足ユニット13を引き出すことができる。
【0174】
ブリッジコネクタ11は、第1および第2のコネクタ11A、11Bに関連する締結要素を格納式接触部で備えている。より具体的には、締結ねじは、コネクタブリッジ11に画定された穴に結合され、コネクタ11A、11Bが結合されなければならないソケットが画定される前壁の対応する穴に挿入され、コネクタブリッジ11の正確で安定した接続を保証する。
【0175】
好ましくは、コネクタブリッジ11には、外部から見えるLEDが装備されており、これが点灯し、ブリッジコネクタが接続された場合に視覚的に示す。
【0176】
好ましくは、ブリッジコネクタ11の第1および第2のコネクタ11A、11Bは、例えば、本体11Cによって堅固に接続される。好ましくは、第1および第2のコネクタ11A、11Bは、相互距離D1離れて位置し、相互距離D1は、マスタユニット7の第1のソケット7Aまたは第2のソケット7Bをマスタユニット7の外側の側壁7D、7Eから隔てる距離D2の2倍よりも大きい。
【0177】
補足ユニット13は、例えば、スレーブユニットのそれ自身のネットワークまたはデジタルもしくはアナログタイプの入出力モジュールまたはスレーブユニットを備えた別のマスタユニットとすることができる。
【0178】
好ましくは、補足ユニット13は、第1のソケット13Aと第2のソケット13Bとを有する。例えば、ソケットのそれぞれは、コネクタブリッジ11の多極コネクタ内に存在するそれぞれの格納式電気接触部に結合することができる平面電気接触部または「パッド」を備えることができる。一実施形態では、補足ユニット13は、一般に直方体の形状を有し、第1のソケット13Aおよび第2のソケット13Bは、補足ユニット13の第1の外側側壁13Dと第2の外側側壁13Eとにそれぞれ接する前壁13Cの両側に配置される。
【0179】
好適な実施形態によれば、補足ユニット13は、平坦な側壁13D、13Eと、側壁13D、13Eから突出する複数のフィン17’と、を有する。好ましくは、フィン17は、互いに平行であり、補足ユニット13の底壁13Tに垂直に配置される。例えば、フィン17’は、補足ユニットの後壁13Fに配置された締結要素に対して垂直に向けられている。
【0180】
マスタユニット7の側壁および補足ユニット13の側壁に存在するフィン17、17’は協働して垂直方向に配置された冷却ダクト14を形成し、マスタユニット7および補足ユニット13の熱交換(すなわち、冷却)を最適化するために、いわゆる「チムニーまたはスタック効果」使用して熱気の拡散を向上させることに留意されたい。
【0181】
補足ユニットはまた、好ましくは、上面にフィンを備える。
【0182】
一実施形態では、多極ケーブル8は、対応する通信チャネルのための信号線の少なくとも第1の束、および1つまたは複数の電源線を備える。
【0183】
一実施形態では、多極ケーブル8は、好ましくは、通信の速度および複雑さの点で異なる順位の複数の通信チャネルを規定する。
【0184】
より具体的には、多極ケーブル8は、好ましくは、第1の通信チャネル(上位、例えば、イーサネット)、第2の通信チャネル(中間位、例えば、CAN)、および第3の通信チャネル(低位、例えば、RS485)を規定する。
【0185】
一実施形態では、多極ケーブル8は、第1の通信チャネル用の複数の信号線であって、例えば4本の信号線、第2の通信チャネル用の複数の信号線であって、例えば2本の信号線、第3の通信チャネル用の複数の信号線であって、例えば2本の信号線、を備える。
【0186】
第1のチャネルは、例えば、スレーブユニット6とマスタユニット7との間のデータ伝送に使用される。第2のチャネルは、例えば、処理手段を備えた補助ユニット10と1つまたは複数のスレーブユニット6のマスタユニット7との間でデータを送信するために使用される。第3のチャネルは、例えば、マスタユニット7がスレーブユニット6または補助ユニット10に送信する動作コマンドを構成するトリガ信号、すなわち、パルス信号を送信するために使用される。さらに、好ましくは、導電性多極ケーブル8は、論理型信号を伝送するための1つまたは複数の配線を備える。
【0187】
さらに、好ましくは、多極ケーブル8は、システム1のネットワーク内の電力供給を分配するための1つまたは複数の配線を備える。
【0188】
一実施形態では、多極ケーブル8は、第1の電圧値(例えば、24Vの正の直流電圧)で複数の電源線(例えば、3本)、好ましくは、さらに複数(例えば、3本)の基準電源線(例えば、24V DCのGND)を備える。本発明はまた、工作機械3を制御するよう適合される数値制御ユニット2と工作機械3に存在する1つまたは複数の装置との間でデータを処理および伝送する方法に関する。
【0189】
別の態様によれば、本方法は、
−少なくとも1つの入力チャネル4を介して装置からまたは装置に動作信号を転送するステップと、
−動作信号を処理して数値制御ユニット2が利用可能な制御信号にするステップと、
−多極ケーブル8を介して互いに接続される、電気交換機(electric switchboard)に設置されたマスタユニット7および少なくとも1つのスレーブユニット6を含むネットワークを構成するステップと、
−装置と少なくとも1つのスレーブユニット6との間で動作信号を転送するステップと、
−少なくとも1つのスレーブユニット6とマスタユニット7との間でデータを転送するステップと、
−少なくとも1つのスレーブユニット6のクロックをマスタユニット7のクロックに同期させるように、マスタユニット7によって、同期信号を生成し、多極ケーブル8を介して同期信号を送信するステップと、
を備える。
【0190】
「同期信号」という用語は、例えば、通信チャネル、例えば、イーサネットネットワークなどの内で生成および送信されるデータパケットを意味することができる。
【0191】
ネットワークが複数のスレーブユニット6を備える場合、本方法は以下のステップ、すなわち、
−スレーブユニット6に接続された対応するセンサの測定トランスデューサを付勢するように、複数のスレーブユニット6のうちの2つ以上のそれぞれによって交番電気励起信号を生成するステップと、
−交番電気励起信号の間の相対的な位相変位の補正によって、同期クロックに基づいて、交番電気励起信号を同期させるステップと、
を備える。
【0192】
好ましくは、交番電気励起信号の間の相対的な位相変位の補正は、スレーブユニット6のクロック周波数を連続的に変化させることによって得られる。
【0193】
好ましくは、交番電気励起信号は、適切なパルス幅変調を有する第1および第2のデジタルPWM(パルス幅変調)信号を処理することによって生成される正弦波である。より具体的には、本処理は、第1および第2のデジタル信号PWMの合計と、それに続くフィルタリングと、を備える。
【0194】
好ましくは、本方法は、以下のステップの1つまたは複数、すなわち、
−少なくとも1つのスレーブユニット6によって取得されたデータに対応する取得時点を割り当てるステップと、
−ある時間間隔の間、対応する動作信号に関連するデータをデータパケットに格納するステップと、
−多極ケーブル8を介して、マスタユニット7にデータパケットを送信するステップと、
を備える。
【0195】
好ましくは、ネットワークが複数のスレーブユニット6を備える場合、本方法は、以下のステップ、すなわち、
−データ伝送時間間隔を複数のタイムスロットに分割して、マスタユニット7によって複数のタイムスロットの対応するタイムスロットを各スレーブユニット6に一意に割り当てるステップと、
−各タイムスロット内において、多極ケーブル8を介して各スレーブユニット6によってデータを送信するステップと、
を備える。一実施形態では、本方法は構成ステップを備える。構成ステップ中、マスタユニット7は、少なくとも1つのスレーブユニット6に割り当てられた固有の識別コードを定義し、マスタユニット7のメモリにコードを格納するために、多極ケーブル8を介して構成信号を送信する。
【0196】
好適な実施形態によれば、直列に接続され、それぞれがマスタユニット7から離れて対面して配置された少なくとも1つのスイッチを有するスレーブユニット6を備えるネットワークにおいて、構成ステップは、各スレーブユニット6aに固有の識別コードを割り当てるステップを備え、本ステップは、以下のステップ、すなわち、
−多極ケーブル8を介してマスタユニット7によって、構成信号を、固有の識別コードがまだ無いスレーブユニット6内の直列の第1のスレーブユニット6に送信するステップと、
−スレーブユニット6によって構成信号を受信するステップであって、スイッチが開いている、ステップと、
−構成信号に応答して、スレーブユニット6からマスタユニット7に応答信号を送信するステップと、
−スレーブユニット6に固有の識別コードを設定するためにマスタユニット7によってスレーブユニット6に割り当て信号を送信するステップであって、スイッチを開から閉に変更する、ステップと、
−マスタユニット7が各ユニットに各固有の識別コードを割り当てるまで、固有の識別コードがまだ無い他のすべてのスレーブユニット6に対して、上述のステップを繰り返すステップと、
を備える。
【0197】
一実施形態において、ネットワークを構成するステップは、スレーブユニット6の第2のソケット6Cと別のスレーブユニット6の第1のソケット6Bとを接続する2つ以上のスレーブユニット6を接続するステップを備える。2つのスレーブユニット6の相互接続は、各ソケットを直接接続することによって、または多極ケーブル8を使用することによって、行うことができる。
【0198】
一実施形態では、ネットワークを構成するステップは、第1のソケット10Aおよび第2のソケット10Bを備えた1つまたは2つの補助ユニット10に少なくとも1つのスレーブユニット6を接続するステップを備える。各補助ユニット10の第1および第2のソケット10A、10Bは、多極コネクタ9の第1または第2のコネクタおよびスレーブユニット6の第1および第2のソケット6B、6Cの一方に接続されるよう構成される。好ましくは、補助ユニット10の動作は、接続されるスレーブユニット6の動作によって制御される。
【0199】
多極ケーブル8が、多極コネクタ9をそれぞれ備える第1および第2の端部を有する2つ以上の要素を備える場合、2つのスレーブユニット6の相互接続は要素の1つによって行われる。
【0200】
好ましくは、ネットワークを構成するステップは、「デイジーチェーン」タイプの構成を作るステップを備える。
【0201】
一実施形態では、ネットワークの配置は、多極ケーブル8の多極コネクタ9の1つに結合される、および/またはスレーブユニット6の第1または第2のソケット6B、6Cに接続される、多極コネクタを介して、「デイジーチェーン」タイプの構成に関して、分岐を作成するステップを備える。
【0202】
代替実施形態によれば、ネットワークを構成するステップは、第1のユニットを第2のユニットに、すなわち、マスタユニット7を、マスタユニット7の第1または第2のソケット7A、7Bに結合することができる第1のコネクタ11Aおよび第2のコネクタ11Bを有するブリッジコネクタ11を介して少なくとも1つのソケット13Aを備える補足ユニット13に、接続するステップを備える。好ましくは、コネクタブリッジ11は、2つの多極コネクタ11A、11Bが端部に配置された剛性且つU字形である。
【0203】
マスタユニット7および補足ユニット13がそれぞれ第1および第2のソケット(各ソケットが多極コネクタに結合されるよう構成されている)を有する場合、マスタユニット7の補足ユニット13への電気的接続は、ブリッジコネクタ11をマスタユニット7のソケット7A、7Bの1つと、補足ユニット13のソケット13A、13Bの1つとに接続するステップを備える。
【0204】
マスタユニット7および補足ユニット13がそれぞれ電気パネルの支持または取り付けバー(例えば、DINレール)にスライド可能に接続可能である場合、本方法は、マスタユニット7および補足ユニット13を同じ支持バーに接続するステップを備える。好ましくは、マスタユニット7および補足ユニット13は、互いに並んで配置される。続いて、ブリッジコネクタ11によりマスタユニット7と補足ユニット13とが電気的に接続される。より具体的には、多極コネクタが格納式接触部を備える好適な実施形態では、電気的接続は、格納式接触部がマスタユニット7および補足ユニット13のソケットの対応する平面電気接触部と接触するようブリッジコネクタ11の位置決めをするステップと、ブリッジコネクタ11の位置を締結要素によってマスタユニット7および補足ユニット13に対して画定および締結するステップと、を備える。
【0205】
例えば、マスタユニット7と並んだ補足ユニット13を交換するために取り外すステップは、ブリッジコネクタ11の格納式接触部を2つのユニットのソケットの平面電気接触部から外すように、締結要素を取り外し、ブリッジコネクタ11を抜くステップと、交換対象のユニット、例えば、補足ユニット13を取り外し、マスタユニット7を移動する必要無く前(front)から引くステップと、を備える。これは、いくつかのユニットが並んでおり、コネクタブリッジによって電気的に接続され、他のユニットに隣接するユニットが交換される場合に特に有利である。電気的接続および切断のためのステップは、本発明による電気的接続を管理するための方法の一部であり、一般にシステムの測定および/または検査に適用可能である。
【0206】
好ましくは、ネットワークは、工作機械3の作業空間3Cに配置された少なくとも1つのスレーブユニット6を備える。マスタユニット7および任意の補足ユニット13は、一般に、電気パネル内に配置される。
【0207】
システム1が複数のスレーブユニット6を備える場合、一実施形態では、本方法は、以下のステップ、すなわち、
−データ伝送時間間隔を複数のタイムスロットに分割し、複数のタイムスロットの対応するタイムスロットを各スレーブユニット6にマスタユニット7によって一意に割り当てるステップと、
−データをスレーブユニット6からマスタユニット7に、多極ケーブル8を介して転送するステップであって、データが、各タイムスロット内においてのみ各スレーブユニット6から転送される、ステップと、
を備える。
【0208】
本方法は、好ましくは、以下のステップ、すなわち、
−各スレーブユニット6に関連する固有の識別コードをマスタユニット7によって割り当てるステップと、
−データ伝送時間間隔の各タイムスロットで、マスタユニット7が、対応するスレーブユニット6によって送信されたデータを受信および格納し、そのデータを、データを送信したスレーブユニット6と関連付ける、連続データ収集サイクルをマスタユニット7によって実行するステップと、
を備える。
【0209】
好ましくは、データ伝送時間間隔は、システム1のスレーブユニット6の数より多い数のタイムスロットに分割され、連続データ収集サイクル中にパラメータをスレーブユニット6に設定するためにマスタユニット7によって使用することができる少なくとも1つの追加または余分なタイムスロット(ならびにスレーブユニット6に割り当てられるタイムスロット)を維持する。
【0210】
好ましくは、スレーブユニット6のデータ伝送、電力供給、各スレーブユニット6のクロックとマスタユニット7のクロックの同期は、多極ケーブル8により行われることに留意されたい。
【0211】
一実施形態では、本方法は、入力チャネル4(すなわち、ポート6A)を介して受信された少なくとも1つの動作信号に対応するデータをスレーブユニット6によって取得および格納するステップと、対応する取得時点を取得されたデータに割り当てるステップと、を備える。
【0212】
本方法はまた、マスタユニット7のみ、または各スレーブユニット6おいて、システム全体の電流引き込みを表す少なくとも1つの電源パラメータ(例えば、電圧または電流)をマスタユニット7によって検出または収集するステップを備える。
【0213】
あるいは、またはさらに、本方法はまた、マスタユニット7によって、1つまたは複数の(好ましくはすべての)スレーブユニット6および/またはマスタユニット7の内部温度を収集するステップを備える。好ましくは、マスタユニット7は、スレーブユニット6および/またはマスタユニット7について、以下のパラメータ、すなわち、供給電圧、電流引き込み、吸収電力のうちの1つまたは複数を検出または収集する。
【0214】
一実施形態では、本方法は、電源および/または内部温度の検出されたパラメータを基準値と比較するステップを備える。好ましくは、本方法はまた、そのような比較の関数としてアラーム信号を生成するステップを備える。
【0215】
好ましくは、少なくとも1つのスレーブユニット6は、マスタユニット7に、動作信号に関するデータ、ならびに電源パラメータおよび/または内部温度に関するデータを同期して転送する。
【0216】
一実施形態では、多極ケーブル8は、少なくとも1つのコネクタレス端、すなわち、コネクタの無い一端(自由端部)を有する。
【0217】
多極ケーブル8を使用して、少なくとも第1および第2のユニットを一般的な測定および/または検査システムに接続する本発明による方法は、以下のステップ、すなわち、
−多極ケーブルの位置決めをするステップと、
−コネクタ無しで多極ケーブルの端部に高速配線多極コネクタを結合するステップと、
−高速配線多極コネクタを第1および第2のユニットのうちの一方に結合するステップと、
を備える。
【0218】
測定および/または検査システムが工作機械に適用される好ましい用途によれば、多極ケーブルの位置決めをするステップは、工作機械3の機械ケーブル搬送ダクト内にコネクタ無しの端部を挿入し、挿入後、自由端部に高速配線多極コネクタ12を結合するステップを備える。
【0219】
好ましくは、多極ケーブル8の自由端部への高速配線多極コネクタ12の結合は、多極ケーブル8に含まれる被覆線8Aを覆う絶縁シースを、高速配線多極コネクタ12に存在する電気接触部12Pを穿孔することにより穿孔するステップを備える。
【0220】
次いで、高速配線多極コネクタ12がマスタユニット7に接続される。マスタユニット7は、電気パネルの空間3Dに配置される。多極ケーブル8の予め組み立てられた多極コネクタを有する端部は、作業空間3C内に配置される。
【0221】
多極ケーブル8の予め組み立てられた多極コネクタを有する端部は、スレーブユニット6に接続される。好ましくは、他のスレーブユニット6および/または補助ユニット10は、スレーブユニット6に直接または多極ケーブル8のさらなる部分によって接続される。好ましくは、他のスレーブユニット6および/または補助ユニット10が工作機械3の作業空間3Cに配置される。