特許第6884764号(P6884764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6884764
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】熱源の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/20 20200101AFI20210531BHJP
   A24F 40/70 20200101ALI20210531BHJP
【FI】
   A24F40/20
   A24F40/70
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-512241(P2018-512241)
(86)(22)【出願日】2016年9月12日
(65)【公表番号】特表2018-532387(P2018-532387A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】EP2016071461
(87)【国際公開番号】WO2017042389
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】15184798.5
(32)【優先日】2015年9月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】スアレス リュシアン
(72)【発明者】
【氏名】フルナン ピエール−エマニュエル マリー
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−136296(JP,A)
【文献】 特表2015−512266(JP,A)
【文献】 特表2015−519912(JP,A)
【文献】 特表2010−535530(JP,A)
【文献】 特開2001−072001(JP,A)
【文献】 実公昭51−043247(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B1/00−A24F47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成物品のための熱源の製造方法であって、
第一の開口部を持つくぼみを画定するモールドを提供する工程と、
前記くぼみの上方にチャンバーを提供する工程であって、前記チャンバーが前記第一の開口部へと流体連結された第二の開口部を持つ、工程と、
粒子状の構成要素を前記チャンバー内に置く工程と、
前記チャンバー内の前記粒子状の構成要素を、前記くぼみの中へと強制的に流すように、最高で第一の圧力まで圧縮する工程と、
前記熱源を形成するために、前記くぼみ内の前記粒子状の構成要素を最高で、前記第一の圧力より高い第二の圧力まで圧縮する工程と、
前記粒子状の構成要素を第一の圧力で圧縮する前記工程と前記粒子を第二の圧力で圧縮する前記工程との間で、前記チャンバー内の前記粒子状の構成要素に対して所定の時間中に大気圧以外に圧力を印加しない工程と、
前記くぼみの内側に存在する粒子状の構成要素の重量を感知する工程と、
前記くぼみの内側の前記粒子状の構成要素の前記重量がくぼみの設定閾値に達するまで、前記第一の圧力まで圧縮する工程中に前記チャンバー内側で圧力をゆっくりと増加させる工程と、を含む方法。
【請求項2】
エアロゾル形成物品のための熱源の製造方法であって、
第一の開口部を持つくぼみを画定するモールドを提供する工程と、
前記くぼみの上方にチャンバーを提供する工程であって、前記チャンバーが前記第一の開口部へと流体連結された第二の開口部を持つ、工程と、
粒子状の構成要素を前記チャンバー内に置く工程と、
前記チャンバー内の前記粒子状の構成要素を、前記くぼみの中へと強制的に流すように、最高で第一の圧力まで圧縮する工程と、
前記熱源を形成するために、前記くぼみ内の前記粒子状の構成要素を最高で、前記第一の圧力より高い第二の圧力まで圧縮する工程と、
前記くぼみの内側に存在する粒子状の構成要素の重量を感知する工程と、
前記くぼみの内側の前記粒子状の構成要素の前記重量がくぼみの設定閾値に達するまで、前記第一の圧力まで圧縮する工程中に前記チャンバー内側で圧力をゆっくりと増加させる工程と、を含み、
前記第一の圧力が約0.005メガパスカル〜約0.5メガパスカルである、方法。
【請求項3】
エアロゾル形成物品のための熱源の製造方法であって、
第一の開口部を持つくぼみを画定するモールドを提供する工程と、
前記くぼみの上方にチャンバーを提供する工程であって、前記チャンバーが前記第一の開口部へと流体連結された第二の開口部を持つ、工程と、
粒子状の構成要素を前記チャンバー内に置く工程と、
前記チャンバー内の前記粒子状の構成要素を、前記くぼみの中へと強制的に流すように、最高で第一の圧力まで圧縮する工程と、
前記熱源を形成するために、前記くぼみ内の前記粒子状の構成要素を最高で、前記第一の圧力より高い第二の圧力まで圧縮する工程と、
前記くぼみの内側に存在する粒子状の構成要素の重量を感知する工程と、
前記くぼみの内側の前記粒子状の構成要素の前記重量がくぼみの設定閾値に達するまで、前記第一の圧力まで圧縮する工程中に前記チャンバー内側で圧力をゆっくりと増加させる工程と、を含み、
前記熱源が2mm〜20mmの長さを持つ、方法。
【請求項4】
前記粒子状の構成要素を第一の圧力で圧縮する前記工程と、前記粒子を第二の圧力で圧縮する前記工程との間で、
前記チャンバー内の前記粒子状の構成要素に対して所定の時間中、大気圧以外に圧力を印加しない工程を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子状の構成要素を前記くぼみに向かって押すために、前記チャンバー内に流体の流れを提供する工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子状の構成要素を前記くぼみに向かって圧縮するために、第一の機械的加圧装置を提供する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記くぼみ内の前記粒子状の構成要素の重量が設定閾値より大きい場合に、前記チャンバーの内側の前記圧縮を中断する工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子状の構成要素が可燃性の炭素質材料を含む、請求項1〜のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項9】
前記第一の圧力まで圧縮する工程中に前記チャンバー内側で印加される圧力を調整する工程を含む、請求項1〜のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項10】
前記第一の圧力と等しい前記圧力が、約0.01秒〜約2秒で印加される、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第二の圧力が約1メガパスカル〜約50メガパスカルである、請求項1〜10のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項12】
前記第二の圧力と等しい前記圧力が、約0.01秒〜約2秒で印加される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱源の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くのエアロゾル形成物品が、当該技術分野において提唱されてきた。このような「加熱式」エアロゾル形成物品の1つの目的は、従来の紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプの周知の有害な煙成分を減少させることである。加熱式エアロゾル形成物品の1つの周知のタイプでは、可燃性熱源から可燃性炭素質熱源の下流に位置するエアロゾル形成基体への熱の伝達によってエアロゾルが生成される。喫煙中、揮発性化合物は可燃性熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、エアロゾル形成物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは、凝縮してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する。
【0003】
例えば、WO−A2−2009/022232号では、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と、可燃性熱源の後方部分およびエアロゾル形成基体の隣接する前方部分の周りにあり、それと直に接触する熱伝導性要素とを備えた喫煙物品を開示している。
【0004】
こうしたエアロゾル形成物品で使用するための可燃性熱源は、固体熱源を形成するために粒子状材料を加圧することによって熱源が形成される多段プロセスで製造されることが周知である。粒子状材料を炭素系および非炭素系とすることが周知であり、また熱源の構造的特性を改善するために結合剤も含んでもよい。その後、後に続くプロセスで熱伝導性要素が熱源に取り付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、可燃性熱源を製造する効率を増加する製造の方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エアロゾル形成物品のための熱源の製造方法に関する。方法は、第一の開口部を持つくぼみを画定するモールドを提供する工程と、前記くぼみの上方にチャンバーを提供する工程であって、チャンバーが第一の開口部と流体連結された第二の開口部を持つ、工程と、粒子状の構成要素をチャンバー内に置く工程と、粒子状の構成要素が強制的に前記くぼみの中へと流れるように第一の圧力までチャンバー内の粒子状の構成要素を圧縮する工程と、熱源を形成するためにくぼみ内の粒子状の構成要素を最高で、前記第一の圧力よりも高い第二の圧力まで圧縮する工程と、を含む。
【0007】
こうした方法を提供することは、有利なことに無駄になる粒子状の構成要素および熱源数を最小化する。さらに、不良率が減るため、他の方法より熱源を速く作り上げることができる。
【0008】
前記熱源は、可燃性熱源であることが好ましい。
【0009】
前記粒子状の構成要素は、炭素質の材料を含むことが好ましい。
【0010】
本明細書で使用される場合、「炭素質の」という用語は、炭素を含む熱源および粒子状の構成要素を説明するために使用される。
【0011】
粒子状の構成要素が炭素質である実施形態では、第一の粒子状の構成要素は、第一の粒子状の構成要素の乾燥質量で少なくとも約35パーセントの炭素含有量を持つことが好ましく、少なくとも約45パーセントの炭素含有量を持つことがより好ましく、少なくとも約55パーセントの炭素含有量を持つことが最も好ましい。ある一定の好ましい実施形態では、第一の粒子状の構成要素は、第一の粒子状の構成要素の乾燥質量で少なくとも約65パーセントの炭素含有量を持つことが好ましい。
【0012】
本発明による方法で可燃性炭素質熱源を作製するために使用するための粒子状の構成要素は、可燃性炭素質熱源の特性を改善するために1つ以上の添加剤を含んでもよい。適切な添加剤としては、可燃性炭素質熱源の圧密を促進する添加剤(例えば、焼結助剤)、可燃性炭素質熱源の点火を促進する添加剤(例えば、過塩素酸塩、塩素酸塩、硝酸塩、過酸化物、過マンガン酸塩、ジルコニウムおよびこれらの組み合わせなどの酸化剤)、可燃性炭素質熱源の燃焼を促進する添加剤(例えば、クエン酸カリウムなどのカリウムおよびカリウム塩)および可燃性炭素質熱源の燃焼によって生成される1つ以上の気体の分解を促進する添加剤(例えば、CuO、Fe23およびAl23などの触媒)が挙げられるが、これに限定されない。
【0013】
本発明による方法がエアロゾル形成物品のための可燃性炭素質熱源を作製するために使用される場合、粒子状の構成要素のうちの少なくとも1つは炭素を含む。粒子状の構成要素のうちの少なくとも1つは点火補助剤を含むことが好ましい。一定の実施形態では、粒子状の構成要素のうちの少なくとも1つは、炭素および点火補助剤を含んでもよい。
【0014】
第一の粒子状の構成要素が点火補助剤を含む実施形態では、第一の粒子状の構成要素は、乾燥質量で約60パーセント以下の点火補助剤含有量を持つことが好ましく、約50パーセント以下の点火補助剤含有量を持つことがより好ましく、約40パーセント以下の点火補助剤含有量を持つことが最も好ましい。ある一定の好ましい実施形態では、第一の粒子状の構成要素は、乾燥質量で約30パーセント以下の点火補助剤含有量を持つことが好ましい。
【0015】
本明細書で使用される場合、「点火補助剤」という用語は、エネルギーおよび酸素の一方または両方の材料による放出速度が周囲酸素の有限拡散でない、可燃性熱源の点火中にエネルギーおよび酸素の一方または両方を放出する材料を意味するために使用される。言い換えれば、可燃性熱源の点火中の材料によるエネルギーおよび酸素の一方または両方の放出速度は、周囲酸素が材料に到達できる速度に非依存的である。また、本明細書で使用される場合、「点火補助剤」という用語は、可燃性熱源の点火中、エネルギーを放出する元素金属を意味するためにも使用され、元素金属の点火温度は約500℃より低く、元素金属の燃焼の熱は少なくとも約5kJ/gである。
【0016】
本明細書で使用される場合、「点火補助剤」という用語は、カルボン酸のアルカリ金属塩(クエン酸アルカリ金属塩、酢酸アルカリ金属塩およびコハク酸アルカリ金属塩など)、ハロゲン化アルカリ金属塩(アルカリ金属塩化物塩など)、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属リン酸塩のアルカリ金属塩を含まないが、これらは炭素燃焼を調整すると考えられる。このようなアルカリ金属燃焼塩は、可燃性熱源の総重量に対して大量に存在する時にさえ、初期のたばこを吸う間に許容されるエアロゾルを製造するのに十分なエネルギーを可燃性熱源の点火の間に放出しない。
【0017】
適切な酸化剤の例としては、硝酸塩、例えば硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸ナトリウム、硝酸バリウム、硝酸リチウム、硝酸アルミニウムおよび硝酸鉄など;亜硝酸塩;その他の有機および無機ニトロ化合物;塩素酸塩、例えば塩素酸ナトリウムおよび塩素酸カリウムなど;過塩素酸塩、例えば過塩素酸ナトリウムなど;亜塩素酸塩;臭素酸塩、例えば臭素酸ナトリウムおよび臭素酸カリウムなど;過臭素酸塩;亜臭素酸;ホウ酸塩、例えばホウ酸ナトリウムおよびホウ酸カリウムなど;鉄酸塩、例えば鉄酸バリウムなど;亜鉄酸塩;マンガン酸塩、例えばマンガン酸カリウムなど;過マンガン酸塩、例えば、過マンガン酸カリウムなど;有機過酸化物、例えば過酸化ベンゾイルおよび過酸化アセトンなど;無機過酸化物、例えば過酸化水素、過酸化ストロンチウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化亜鉛および過酸化リチウムなど;超酸化物、例えば超酸化カリウムおよび超酸化ナトリウムなど;ヨウ素酸塩;過ヨウ素酸塩;亜ヨウ素酸塩;硫酸塩;亜硫酸塩;その他のスルホキシド;リン酸塩;ホスフィン酸塩;亜リン酸塩;および亜ホスフィン酸塩が挙げられるが、これに限定されない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「粒子状の構成要素」という用語は、粉末および顆粒を含むが限定されない任意の流動性のある粒子状材料または粒子状材料の組み合わせを記述するために使用される。本発明による方法で使用される粒子状の構成要素は、異なるタイプの2つ以上の粒子状材料を含んでもよい。本発明による方法で使用される粒子状の構成要素は、異なる組成の2つ以上の粒子状材料を含んでもよい。
【0019】
粒子状の構成要素は熱源を実現するために使用される。こうした熱源を実現するために、第一の開口部により粒子状の構成要素がその中へと挿入される特異的なくぼみを備える形成プレスまたはモールドを使用して粒子状の構成要素が圧縮され、次にそこで、所望の熱源を作り出すために、第二の圧力値まで圧力を印加することによって、適切な体積、形状、および密度へと変形される。
【0020】
くぼみに到達する前に、粒子状の構成要素はまず、形成プレスまたはモールドのくぼみの上方または近傍に位置しかつこれと流体連通するチャンバー、例えば、タンクの中に入れられる。チャンバーとくぼみの間の流体連結は、例えば、第二の開口部をチャンバー内に形成し、かつこれをくぼみの第一の開口部と接続することで実現されてもよい。
【0021】
こうして、ある量の粒子状の構成要素がチャンバーから開放されてくぼみの中へと挿入される必要があり、ここで最高で第二の圧力までのくぼみへの圧力が印加される。しかし、重力のみに起因して、例えば、滑りによって、チャンバーからくぼみへの粒子状の構成要素の移動が行われる場合、いくつかの問題が生じる場合がある。
【0022】
粒子状の構成要素を熱源へと圧縮するために粒子状の構成要素に印加される第二の圧力は所定値を持ち、この値にやや高い精度で到達することが好ましい。これは、例えば、印加された第二の圧力が高すぎるために熱源の密度が高すぎる場合、熱源の燃焼間に発生した気体が粒子から吐き出されることが困難になる場合があり、これが熱源をばらばらに破壊する内部応力を生成する可能性があり、エアロゾル発生物品から落ちる可能性があるという事実のためである。
【0023】
適正な量の粒子状の構成要素がくぼみの中へと落ちるようにするために重力では十分でない時に問題が発生し、結果として部分的に充填される。したがって、部分的に充填されたくぼみに特定の第二の圧力が印加される時、結果として得られる熱源は除外されるべきであり、粒子状の構成要素および製造時間の無駄が生じる。
【0024】
この問題の原因は、粒子の粒度分布および湿気によって部分的に決定される粒子状の構成要素の機械的流動性がくぼみの直径に対して低すぎるためである可能性がある。しかし、これらの量、すなわちくぼみの直径および粒子状の構成要素の機械的流動性は、両方とも簡単に変えることができない。
【0025】
くぼみの直径は市場で受け入れられているエアロゾル発生物品の直径により決定され、かつ製造プロセスで暗示される多数の他の機械によって使用されるので、粒子状の構成要素のために機械的に必要とされる可能性があるものに適合するようにこれらの直径を調節するのは不可能である。
【0026】
さらに、その熱放出の最適化のために細心の注意を払って決定されかつ固定されてきた粒子状の構成要素の密度を、その組成を修正せずに変えることはできない。
【0027】
本発明によると、上述の問題を解決するために、粒子がまだチャンバー内にあってくぼみの中にまだ入っていない時に、粒子状の構成要素に追加的な圧力が印加される。第一の圧力値に到達するこの圧力は、粒子がチャンバーからくぼみへと落ちるように「強制する」。このようにして、正しい量の粒子状の構成要素がくぼみ内に存在する可能性が高まる。
【0028】
正しい量の粒子状の構成要素がくぼみ中へと落ちた時に、チャンバーをわきへ移動させて、くぼみ内にある粒子状の構成要素だけが残され、チャンバーの中に注がれたその他の粒子は次回の使用のために取っておくことが好ましい。最高で第二の圧力までのくぼみへの加圧の前または後に、この工程を実施することができる。
【0029】
最高でも第一の圧力まで印加されるため、粒子状の構成要素の機械的流動性は、もはやくぼみの正しい充填に対する障害とはならない。最高で第一の圧力までのチャンバー圧力を粒子状の構成要素の機械的流動性に適合させることによって、任意の粒子状の構成要素を用いて、また様々な外部条件(例えば、粒子状の構成要素の流動性を変化させる場合があるより高いまたはより低い水分の存在下)で、所望のくぼみ充填を得ることができるようになる。第一の圧力の値は実質的に自由に変化する可能性があるが、逆に第二の圧力の値は、上記に説明した通り、実質的に固定されている。しかし、この自由な変化においても、最高で第一の圧力までのチャンバーの内側への圧力印加は第二の加圧が圧縮するようには粒子状の構成要素を単一の密度の高い物体へと圧縮しないことが好ましいため、第一の圧力は第二の圧力以上にはならないが、それでも粒子状の構成要素を形成する粒子は、独立してまたは小さいクラスターとなって動くことができ、くぼみの第一の開口部を妨害しない。
【0030】
さらに、チャンバー内への第一の圧力までの圧力印加は、粒子状の構成要素のくぼみの中への迅速な流れを可能にし、製造プロセスの速度を増す。
【0031】
最高で第一の圧力までのチャンバー内への圧力印加の後、粒子状の構成要素を圧縮するために、最高で第二の圧力までのくぼみ内への圧力が、くぼみ内の粒子状の構成要素に印加されて同構成要素を圧縮する。最高で第一の圧力までの加圧の存在によって第二の圧力値は変化せず、したがって、例えば、燃焼間の適切な気体放出のために、熱源の正しい密度を達成するようにこれを最適化することができる。
【0032】
その後、結果として得られる圧縮された粒子は随意にくぼみから排出され、熱源になるように処理される。
【0033】
本発明の方法は、粒子状の構成要素を最高で第一の圧力までチャンバー圧力で圧縮する局面と、最高で第二の圧力までくぼみへの圧力で粒子状の構成要素を圧縮する局面との間で、前記粒子状の構成要素に所定の時間中に大気圧以外には圧力がその間に印加されない工程を含むことが好ましい。本発明の方法による粒子状の構成要素は、連続的に増加する圧力を受けないことが好ましい。粒子は、それぞれ所与の時間に最高で第一の圧力までおよび最高で第二の圧力までの異なる圧力が印加される、2つの別個の工程に供されることが好ましい。最高で第一の圧力までの印加と最高で第二の圧力までの印加との間では、所与の時間に大気圧以外には圧力が印加されないことが好ましい。例えば、圧力印加は以下のようにすることができる。最高で第一の圧力までのチャンバー内の圧力は、粒子状の構成要素をくぼみの中へと押す。その後チャンバーはくぼみから移動され、そしてこの切替えの間に圧力印加の中断(標準的な大気圧以外には粒子に圧力が印加されない)があることが好ましい。その後、最高で第二の圧力までのくぼみへの圧力が印加され、この圧力によって粒子状の構成要素が熱源へと圧縮される。
【0034】
2つの圧力工程は、両者の間に時間間隔を置かずに、一方の後にもう一方を続けることが可能である。くぼみ内の前記粒子状の構成要素を最高で第二の圧力まで圧縮する工程は、チャンバー内の粒子状の構成要素を最高で第一の圧力まで圧縮する工程が終了した時にのみ行われることが好ましい。
【0035】
最高で第一の圧力までのチャンバー圧力を複数の異なるやり方で印加することができ、すべてが本発明によって包含される。方法は、前記粒子状の構成要素を前記くぼみに向かって押すために、流体の流れをチャンバー内に提供することを含むことが好ましい。粒子状の構成要素に作用する流体の流れは、最高で第一の圧力までの圧力を提供する。この圧力を随意に調節して流体の流量を変えることができる。流体の流れは気流を含むことがより好ましい。空気は安価でかつ制御が簡単な流体であり、したがって本方法で使用することが好ましい。
【0036】
この流体の流れが適用される時、方法はチャンバーをモールドに対して流体密封にする工程を含むことが好ましい。このようにして、流体の流れは、大気圧より高く、かつ最高で第一の圧力までチャンバー内の圧力を高めることができる。チャンバーがくぼみから移された時、流体密封は排除され、チャンバー内の圧力およびくぼみ内の圧力は大気圧に戻りうる。
【0037】
有利なことに、チャンバーを流体貯蔵部へと接続する配管が提供される。粒子をくぼみに向かって押す流体の流れを得るために、チャンバーは、流体が収容される流体貯蔵部、例えば、空気貯蔵部に接続されることが好ましい。ファンまたはブロワー(例えば、流れ貯蔵部の中に位置する)は、粒子状の構成要素に向かう必要な速さおよび流量を流体に付与することが好ましい。
【0038】
最高で第一の圧力までのチャンバー圧力は、前記粒子状の構成要素をくぼみに向かって圧縮するために第一の機械的加圧装置によって付与されてもよい。機械的加圧装置および気流が共存して、両方が粒子状の構成要素へと圧力を付与することもでき、その和は最高で第一の圧力までの合計圧力を作り出し、その適正な量をくぼみへと流すようにする。機械的加圧装置としては、移動可能な壁、例えば、チャンバーの壁を挙げることができ、これは粒子状の構成要素を第二の開口部に向かって動かす。前記機械的加圧装置は、下向きの移動を持つピストンを含んでもよい。チャンバー内で粒子状の構成要素に対して最高で第一の圧力までの圧力を印加するために機械的加圧装置が使用される場合、例えば、随意にチャンバーへと行使される圧力を増加、減少、または停止するためにさらに使用されるフィードバック信号を生成するために、印加されるチャンバー圧力のセンサーがチャンバー内に存在することも好ましい。
【0039】
方法は、くぼみの内側に存在する粒子状の構成要素の重量を感知する工程を含むことが好ましい。方法は、くぼみ内の粒子状の構成要素の前記重量がくぼみの設定閾値より大きい場合に、前記チャンバー内側の圧縮を中断する工程も含むことがより好ましい。くぼみの内側の粒子の量は、所望のサイズおよび密度の熱源を得るために良好に制御されることが好ましい。最高で第一の圧力までのチャンバー圧力によってくぼみの内側で正しい量の粒子状の構成要素が押されることをチェックするために、粒子の量をチェックするためのセンサーがくぼみ内に含まれる。センサーは、くぼみ内に落ち込んだ粒子状の構成要素の重量を判定し、くぼみ設定閾値と呼ばれるある一定の閾値に到達した場合にチャンバー内の第一の圧力を中断するように信号を送ることが好ましい。くぼみの内側の粒子状の構成要素の重量を視覚的に表示することができ、またオペレーターは手動でチャンバー加圧を中断してもよい。
【0040】
本発明の方法は、圧縮工程中にチャンバーの内側で印加される圧力を調整する工程を含むことが好ましい。このようにして、例えば、くぼみ内に存在する粒子状の構成要素の量を参照して、チャンバー内の圧力を常に最高で第一の圧力まで変化させることができる。チャンバー内の圧力変化に所定のパターンを持たせることができる。チャンバー内の圧力の変化は、前記くぼみの内側で粒子状材料の重量が設定閾値に到達するまで、圧縮工程中に前記チャンバーの内側で圧力をゆっくりと増加させることを含むことがより好ましい。
【0041】
本発明の方法は、圧縮工程中にくぼみの内側で印加される圧力を調整する工程を含むことが好ましい。チャンバー内またはくぼみ内の圧力は、異なる後続の下位工程、例えば、Nに等しい数の下位工程で印加されるようなやり方で調節されてもよい。シーケンスの各々の下位工程で、圧力は最大値に到達し、各々の下位工程の最大圧力値は後続の下位工程の最大圧力値以下であることが好ましい。これは、N下位工程ではくぼみ内の圧力は最高で第二の圧力まで上げられ、また各々のj−下位工程(j=1,...,N)では最大の到達した圧力はPj(Pj≦Pj+1、また式中PN=第二の圧力)に等しいことを意味する。
【0042】
本発明の方法では、最高で第二の圧力までのくぼみ内の圧力が複数のN個の下位工程で印加されることが好ましい。最高で第二の圧力までの圧力がN≦5個の下位工程で印加されることが、なおより好ましい。下位工程は、N=3に等しいことが好ましい。圧力を異なる下位工程で印加する事例のように、くぼみ内に印加される圧力を調整することで、熱源の内側により均質な密度を持つことが可能になる。
【0043】
第一の圧力は、粒子状の構成要素をくぼみの内側に押すように、かつ同時にこれを過度に圧縮しないように最適化され、詰まりを回避することが好ましい。前記第一の圧力は、約0.005メガパスカル(5×103N/m2)〜約0.5メガパスカル(5×105N/m2)であることが好ましい。第二の圧力は、適切な密度および寸法を持つ熱源を得るように最適化されることが好ましい。前記第二の圧力は、約1メガパスカル(106N/m2)〜約50メガパスカル(5×107N/m2)であることが好ましい。第一の圧力に等しい圧力、または第二の圧力に等しい圧力は、約0.01秒〜約2秒で印加されることが好ましい。第一の圧力は約0.02メガパスカル〜約0.1メガパスカルであることが好ましい。第一の圧力に等しい圧力は、約0.1秒〜約0.5秒に等しい時間で印加されることがより好ましく、約0.15秒間印加されることがなおより好ましい。第二の圧力は約5メガパスカル〜約20メガパスカルであることが好ましい。第二の圧力に等しい圧力は、約0.1秒〜約1秒に等しい時間で印加されることがより好ましく、約0.2秒〜約0.4秒に等しい時間で印加されることがなおより好ましい。
【0044】
最高で第二の圧力までのくぼみ内の圧力は、一つの下位工程がその他の下位工程に後続するように、N下位工程で印加されることがより好ましい。N≦5の下位工程であることが好ましい。各々の下位工程は、約0.2秒〜約0.3秒持続することが好ましい。各々の下位工程では、最大圧力は、Pjとして定義される。下位工程の数がN=3である場合、各々のj−下位工程(式中j=1,2,3)の最大圧力は、P1(約1メガパスカル〜約3メガパスカルの範囲の値を持つ)、P2(約4メガパスカル〜約8メガパスカルの範囲の値を持つ)、およびP3(約10メガパスカル〜約12メガパスカルの範囲の値を持つ)に等しいことが好ましい。P1に等しい圧力は、くぼみ内に約0.2〜約0.3秒で印加され、次にP2に等しい圧力は、くぼみ内に約0.2〜約0.3秒で印加され、次にP3=第二の圧力に等しい圧力は、くぼみ内に約0.2〜約0.3秒で印加されることが好ましい。
【0045】
第一の圧力と第二の圧力との比は、約0.0001〜約0.5が好ましく、約0.0017〜約0.1がより好ましい。
【0046】
有利なことに、本発明の方法は、チャンバーと流体連結されたホッパーを提供する工程と、ホッパー内に粒子状の構成要素を置く工程と、重力によって粒子状の構成要素をホッパーからチャンバーへと移動する工程と、をさらに含む。粒子状の構成要素の消費量および無駄を最小化するために、粒子状の構成要素はホッパー内に導入され、次にそこから、例えば、パイプを介して、重力により、チャンバーを制御された量でスライドするように放出される。有利なことに、あらゆる種類の粒子状の構成要素が重力のみによりホッパーからチャンバーへと簡単に落ちる傾向を確実に持つように、必要に応じて、パイプの直径を調節することができる。このようにして、チャンバー内には、比較的少量の粒子状の構成要素のみが存在し、そしてこうした少量の粒子状の構成要素のみがチャンバーの加圧によって移動される必要がある。
【0047】
適切な量の粒子状の構成要素がチャンバー中に存在する場合、方法は、チャンバー内の粒子状の構成要素の量がチャンバーの設定閾値に到達する時にチャンバーをモールドに対して密封する工程を含むことが好ましい。チャンバーをモールドに対して密封することは、チャンバーに印加される圧力の適切な制御が達成されることを保証する。
【0048】
方法は、チャンバー内の粒子状の構成要素を最高で第一の圧力まで圧縮する工程が終了した時、くぼみの上方からチャンバーを遠ざかるように移動する工程を含むことが好ましい。このようにして、チャンバーを新しい粒子状の構成要素で再充填する工程、およびくぼみ内で最高で第二の圧力までの圧力で圧縮する工程を、製造時間を低減しつつ行うことができる。さらに、最高で第一の圧力までのチャンバー圧力の印加と、最高で第二の圧力までのくぼみへの圧力の印加との間は、大気圧のみが粒子状の構成要素に作用する。
【0049】
単一のくぼみについて述べてきたが、当然のことながら、モールドは複数のくぼみを含んでもよい。チャンバーは、各々のくぼみと流体連通するように複数の開口部を含んでもよい。モールドの各々のくぼみの中では、最高で第二の圧力までの圧力が印加され、熱源を得るためにこの中に存在する粒子状の構成要素が圧縮される。複数のくぼみは、単一の列、または複数の列、もしくは食い違った列で供給されてもよい。
【0050】
ピストンなどの第二の機械的手段によって、最高で第二の圧力までの圧力をくぼみの内側に印加することができる。複数のくぼみの場合には、各々のくぼみに対して、1つのピストンが(好ましくは垂直に)くぼみの中へと降り、決定された密度および形状が得られるように、くぼみ中で粒子状の構成要素に圧力を印加する。
【0051】
方法は、形成された可燃性熱源をくぼみから排出することをさらに含むことが好ましい。形成された熱源は、ピストンをモールドから出るように動かすことによって排出されることが好ましい。
【0052】
くぼみの壁を画定するモールドの部分は下向きに移動してもよく、またくぼみの底部を画定するモールドの部分はくぼみの壁を画定する部分に対して動かないままであってもよい。モールドのくぼみからの熱源の排出は、チャンバーの外面が作業区域から熱源を取り出すように、摺動可能にモールドにわたり進むチャンバーに対応することが好ましい。
【0053】
方法は、連続的に回転する多数個取り金型、いわゆるタレットプレスを利用することを含んでもよい。くぼみは、中心軸を中心に回転してもよい。粒子状の構成要素はチャンバーからくぼみ内に提供され、チャンバーは粒子状の構成要素を受けるくぼみに対して動かない。このように、チャンバーは円弧によって画定される線に沿って往復移動する。ピストンはくぼみの上方に垂直方向に提供され、第二の圧力を印加する工程の間、ピストンは圧力が印加されるくぼみに対して動かない。このように、ピストンは垂直方向、および円弧によって画定される線に沿って、その両方で往復移動する。その後、形成された可燃性熱源はモールドから排出される。
【0054】
以下にさらに記述する通り、可燃性熱源はブラインドであってもよく、または非ブラインドであってもよい。本明細書で使用される場合、「ブラインド」という用語は、熱源を備えるエアロゾル形成物品を通して引き出されたユーザーによる吸入のための空気が、その中で可燃性熱源に沿ったいかなる気流チャネルも通過しない可燃性熱源を記述するために使用される。
【0055】
本明細書で使用される場合、「非ブラインド」という用語は、熱源を備える喫煙物品を通して引き出されたユーザーによる吸入のための空気が、その中で可燃性熱源に沿った1つ以上の気流チャネルを通過する熱源を記述するために使用される。
【0056】
熱源は複数の層を備えてもよい。層は、別々の特性を持つ別々の層が形成されるように、異なる粒子状材料から形成されることが好ましい。第一の粒子状材料をモールドのくぼみに置くこと、および第二の粒子状材料をモールドのくぼみに置くことによって、複数の層が形成されてもよい。第一の粒子状材料は第一の層に対応し、かつ第二の粒子状材料は第二の層に対応する。第一の粒子状材料は最高で第一の圧力までの圧力により、くぼみの中に押し込まれる。第二の粒子状材料も、最高で第一の圧力までのチャンバー内に印加される圧力によってくぼみの中へと押し込まれる。2つの動作を連続して実施することができる。
【0057】
本発明による方法によって作成された可燃性熱源は、約0.8g/cm3〜約1.1g/cm3の見掛け密度を持つことが好ましく、約0.9g/cm3の見掛け密度を持つことがより好ましい。
【0058】
本発明による方法によって作成された可燃性熱源は、約2mm〜約20mmの長さを持つことが好ましく、約3mm〜約15mmの長さを持つことがより好ましく、約9mm〜約11mmの長さを持つことが最も好ましい。
【0059】
本発明による方法によって作成された可燃性熱源は、約5mm〜約10mmの直径を持つことが好ましく、約7mm〜約8mmの直径を持つことがより好ましく、約7.8mmの直径であることが最も好ましい。
【0060】
本発明による方法によって作成された可燃性熱源は、実質的に均一な直径であることが好ましい。しかし、本発明による方法は、可燃性熱源の第一の端の直径がその反対側の第二の端の直径よりも大きいように先細りしている可燃性熱源を作製するために使用されてもよい。
【0061】
本発明による方法によって作成された可燃性熱源は、実質的に円筒形であることが好ましい。例えば本発明による方法は、実質的に円形断面または実質的に楕円形の断面の円筒形の可燃性熱源を作製するために使用されてもよい。
【0062】
本明細書で使用される場合、「長さ」という用語は、喫煙物品の長軸方向での寸法を記述するために使用される。
【0063】
本明細書で説明した通り、可燃性熱源はエアロゾル形成物品で使用されてもよい。エアロゾル形成物品は、可燃性熱源、エアロゾル形成基体、膨張室などの移動セクション、フィルターセクション、およびマウスピースを備えてもよい。可燃性熱源は、エアロゾル形成物品の第一の端にエアロゾル形成基体と隣接して提供されることが好ましい。可燃性熱源のバリアは、熱源とエアロゾル形成基体との間で提供される。マウスピースはエアロゾル形成物品の第二の端に提供される。
【0064】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。エアロゾル形成物品は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品である。エアロゾル形成物品は、不燃性のエアロゾル形成物品であってもよく、または可燃性のエアロゾル形成物品であってもよい。不燃性のエアロゾル発生物品は、例えば、エアロゾル形成基体を加熱することにより、または化学反応により、またはエアロゾル形成基体の機械的な刺激により、エアロゾル形成基体の燃焼を用いずに揮発性化合物を放出する。燃焼性エアロゾル形成物品は、例えば、従来の紙巻たばこでの場合のように、エアロゾル形成基体の直接的な燃焼によりエアロゾルを放出する。
【0065】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有し、また揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱または燃焼することによって放出されてもよい。
【0066】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1a】本発明による熱源を製造するための方法の工程の概略図を示す。
図1b】本発明による熱源を製造するための方法の工程の概略図を示す。
図1c】本発明による熱源を製造するための方法の工程の概略図を示す。
図1d】本発明による熱源を製造するための方法の工程の概略図を示す。
図2a】本発明の方法により実現された熱源の上面図および側方図を示す。
図2b】本発明の方法により実現された熱源の上面図および側方図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1a、図1b、図1c、および図1dは、本発明による熱源の製造のための工程の略図を示し、また全体的に1で表示される。本発明の方法の終わりに実現された熱源1は、図2aおよび図2bに拡大図で図示される。
【0069】
熱源1を製造するために利用される機械10は以下のように配置される。モールド100は、熱源1を形成するためのくぼみ101の側壁を画定するように提供される。くぼみの上部壁は開放されており、第一の開口部102を画定する。くぼみのサイズを変化するためにモールドの側壁および底部壁は、相互に対して移動可能であってもよい。くぼみ101は円筒形であってもよい。
【0070】
ホッパー103は、ホッパー出口105を介して粒子状物質104を保持および放出するように構成されて提供される。さらに、機械10はパイプ107によってホッパー103に流体連結されたチャンバー106を含む。チャンバー106は、くぼみ102の長軸方向軸と直角をなす線に沿って往復移動することができるように、モールド100に対して摺動可能に取り付けられる。さらに、チャンバー106はモールド100の上に位置付けられ、かつ第二の開口部108を含む。第二の開口部の寸法は、第一の開口部102の寸法と等しいかまたはそれより大きいことが好ましい。
【0071】
ピストン109はくぼみ102の上方に垂直方向に提供され、かつピストンの長軸方向軸とくぼみ101の長軸方向軸とが整列するように配置される。ピストン109は、約0.5平方センチメートルの圧縮面積、すなわち粒子への圧力印加の間に中へと入り粒子に接触する面積を持つことが好ましい。随意に、くぼみの底部壁を含む第二のピストン(図示せず)も、摺動可能であり、かつ第二のピストンの長軸方向軸とくぼみ101の長軸方向軸とが整列するように配置される。ピストン109と第二のピストンとは、くぼみ内でそれらの間に存在する材料を圧縮するために協働してもよい。
【0072】
さらに、流体貯蔵部110は、パイプ111によってチャンバー106に流体連結される。パイプ111はパイプ107から枝分かれすることが好ましい。流体貯蔵部110は、流体をチャンバー106に向かって吹き付けるためのファンまたはブロワー112を含むことが好ましい。
【0073】
チャンバー106は、形成モールド100に対して空気密封することができる(パイプ107/111を除く)。例えば、チャンバーは、その底部の周りすべてに圧縮可能な密封(図では見えない)を持つことができ、またチャンバーをモールド100の上に機械的に押し付けて空気密封にする(パイプを除く)ことができる。
【0074】
くぼみの中に導入された粒子状材料を計量するために、くぼみ101の内側に重量センサー113を提供することができる。重量センサー113は、ファンまたはブロワー112に命令し、粒子状材料重量の関数としてチャンバー106内の気流を増加、低減、または中断する傾向がある制御ユニット114へと粒子状材料の重量に関する信号を送ってもよい。制御ユニット114、ファンまたはブロワー112と、センサー113との間の接続は図1a〜図1bでは破線で示される。
【0075】
図1aは、第一の開口部102と第二の開口部108とが一方の上にもう一方が重なって位置するように、モールド100の上方に位置付けられるチャンバー106を示す。この位置で、ホッパー103は粒子状材料104で充填され、その中に粒子状材料が保存される。ホッパー103は、矢印20の方向に沿ってパイプ107を介して粒子状材料104をチャンバー106に提供する。単一の熱源1を形成するために十分な粒子状材料がチャンバー106の中へと提供される。粒子状材料の流れは重力によって行われる。
【0076】
その後チャンバー106は、モールド100に対して気密になる。
【0077】
図1bは、粒子状材料104がホッパー103からチャンバー106に到達した後、パイプ117によって矢印30の方向に沿って空気の流れをチャンバー106の中へ導入するためのファンまたはブロワー112の作動を示す。制御ユニット114によって送られた命令によって、ファンまたはブロワーを作動することができる。このようにして、チャンバーとモールドの間の気密接続に起因してチャンバー106内の圧力が高まり、そしてチャンバー106内に存在する粒子状材料104は空気吹付けによって押されてくぼみ101の中へと移動する。チャンバー内の圧力の高まりは、例えば、適切なセンサー(図示せず)によって、第一の圧力を超えないように制御される。印加される空気圧力は、粒子状の構成要素がチャンバーに入るように、約0.15秒間で約0.02メガパスカル〜約0.1メガパスカルであることが好ましい。重量センサー113は、くぼみ内に導入された粒子状材料104の重量に応じて気流によって行使される圧力を変化させうる信号を制御ユニット114に送ってもよい。所望の重量が達成された時に制御ユニット114によって気流が停止され、こうしてチャンバー106内には大気圧に加えてそれ以上の圧力が存在しない。制御ユニットは、チャンバーへの加圧を中断するために、例えば、ファン112にスイッチをオフにする信号を送ってもよい。
【0078】
図1cは、図1aおよび図1bで示したくぼみ充填位置から後退しているチャンバー106を示す。チャンバー106がモールドのくぼみ開口部102から遠ざかるように摺動すると、ピストン109がくぼみ101に向かって矢印40で示される方向に進む。したがって、粒子をくぼみ101の壁に向かって押すピストン109によって、くぼみ101内に存在する粒子状材料104が圧縮される。ピストン109は、所定の第二の圧力に到達するまで粒子状材料104を圧縮する。第二の圧力は粒子状材料を一緒に詰めるのに十分高く、その後粒子状材料は単一のユニットを形成するように実質的に一緒に「接着される」。
【0079】
3つの異なる下位工程で第二の圧力に到達することが好ましい。第一の下位工程では、ピストン109はくぼみの底部に向かって下に動き、粒子の圧縮を開始し、約0.2秒〜0.3秒で約0.05キロニュートン〜約0.15キロニュートンの力を印加する。その後、ピストン109は、第二の下位工程で、約0.2秒〜約0.3秒で約0.2キロニュートン〜約0.4キロニュートンの強さを用いた粒子のさらなる圧縮へと進む。第三の下位工程では、ピストンは、約0.2秒〜約0.3秒で、第二の圧力値を画定する約0.5キロニュートン〜約0.6キロニュートンの強さを用いてくぼみ内の粒子をなおさらに圧縮する。図1dは、くぼみ101から後退したピストン109を示す。ピストン109が後退すると、くぼみの壁を画定するモールド部分は、くぼみの底部を形成するモールドの部分に対して下がることが好ましい。このようにして、熱源1はモールドのくぼみから排出される。くぼみの側壁を画定するモールド部分が下がると、チャンバー106はモールドの上面に沿って摺動して進み、さらなる熱源を製造するプロセスを開始する。チャンバーが進む際、チャンバー106の前縁は形成された熱源を作業区域から片付けるために利用される。このようにして、連続的なプロセスが提供される。
【0080】
図2aおよび図2bは形成された熱源1を示す。圧縮された粒子状材料は、熱源を形成する。熱源は直径がおよそ約7.8mmであり、長さはおよそ約9mmである。図2bに示す通り、可燃性熱源1は断面が実質的に円形である。
【0081】
熱源はエアロゾル形成装置で使用される。物品は、上記に説明した通り形成される熱源、熱源のバリアと隣接して提供されるエアロゾル形成基体、ディフューザー、移動セクション、蒸気を凝縮するように適合されたフィルター、およびマウスピースフィルターを備える。ユーザーがエアロゾル形成物品を吸うと、エアロゾル形成基体の上流の通気穴を通して空気が引き出され、これがエアロゾルを混入させる。
【0082】
上記の実施形態および実施例は、図示するが、本発明を限定しない。本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく本発明の他の実施形態がなされてもよく、また当然のことながら本明細書で説明した具体的な実施形態は限定的ではない。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b