特許第6884796号(P6884796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セブン キング エナージー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6884796-多層構造を有する二次電池用複合電解質 図000002
  • 特許6884796-多層構造を有する二次電池用複合電解質 図000003
  • 特許6884796-多層構造を有する二次電池用複合電解質 図000004
  • 特許6884796-多層構造を有する二次電池用複合電解質 図000005
  • 特許6884796-多層構造を有する二次電池用複合電解質 図000006
  • 特許6884796-多層構造を有する二次電池用複合電解質 図000007
  • 特許6884796-多層構造を有する二次電池用複合電解質 図000008
  • 特許6884796-多層構造を有する二次電池用複合電解質 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6884796
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】多層構造を有する二次電池用複合電解質
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/056 20100101AFI20210531BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20210531BHJP
【FI】
   H01M10/056
   H01M10/0585
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-550591(P2018-550591)
(86)(22)【出願日】2016年11月14日
(65)【公表番号】特表2019-510349(P2019-510349A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】KR2016013063
(87)【国際公開番号】WO2017171187
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2019年11月13日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0036894
(32)【優先日】2016年3月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518335975
【氏名又は名称】セブン キング エナージー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEVEN KING ENERGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】特許業務法人IPX
(74)【代理人】
【識別番号】100200872
【弁理士】
【氏名又は名称】押谷 昌宗
(74)【代理人】
【識別番号】100210103
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 光平
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェクワン
【審査官】 結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5930035(JP,B2)
【文献】 特表2008−529209(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/137224(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/065388(WO,A1)
【文献】 特開2014−216131(JP,A)
【文献】 特開2008−243736(JP,A)
【文献】 特表2014−517490(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第2001−0066272(KR,A)
【文献】 特開2014−110149(JP,A)
【文献】 特開2007−066703(JP,A)
【文献】 特開2004−247317(JP,A)
【文献】 特開2013−214494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/05−10/0587;10/36−10/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池用複合電解質であって、
正極部に向かって位置する第1電解質層、および
負極部に向かって位置する第2電解質層を含み、
前記第1電解質層および前記第2電解質層の各々は高分子基材、イオン伝導性セラミック粒子、および液体電解質を含み、
前記液体電解質は、前記複合電解質100重量部に対して1〜50重量部で含まれ、
前記第1電解質層および前記第2電解質層は互いに異なるイオン伝導性セラミック粒子を含むことを特徴とする多層構造を有する二次電池用複合電解質。
【請求項2】
前記第1電解質層と前記第2電解質層との間に位置する第3電解質層を含み、
前記第3電解質層は高分子基材、イオン伝導性セラミック粒子、および液体電解質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の多層構造を有する二次電池用複合電解質。
【請求項3】
前記第1電解質層および前記第2電解質層の各々は互いに異なる高分子基材を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の多層構造を有する二次電池用複合電解質。
【請求項4】
前記高分子基材は、ポリビニリデンフルオリド(Polyvinylidene fluoride)系、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol)系、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)系、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl methacrylate)系、ポリビニルクロリド(Polyvinyl chloride)系、ポリビニルピロリドン(Polyvinyl pyrrolidone)系、ポリイミド(Polyimide)系、ポリエチレン(Polyethylene)系、ポリウレタン(Polyurethane)系、ポリプロピレン(Polypropylene)系、ポリプロピレンオキシド(Polypropylene oxide)系、ポリエチレンイミン(Polyethylene imine)系、ポリエチレンスルフィド(Polyethylene sulfide)系、ポリビニルアセテート(Polyvinyl acetate)系、ポリエチレンサクシネート(Polyethylene succinate)系、ポリエステル(Polyester)系、ポリアミン(Polyamine)系、ポリスルフィド(Polysulfide)系、シロキサン(Siloxane)系、その派生物およびその組み合わせからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多層構造を有する二次電池用複合電解質。
【請求項5】
前記イオン伝導性セラミック粒子は、Al系、SiO系、BaTiO系、TiO系、リチウム酸化物系、リチウム硫化物系、非晶質イオン伝導性物質、ナシコン(NASICON)、ナトリウム硫化物系、ナトリウム酸化物系、その派生物およびその組み合わせからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の多層構造を有する二次電池用複合電解質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用複合電解質に関し、より詳しくは、2層以上の多層に複合電解質を構成して安定性および電気化学的特性を向上させた多層構造を有する二次電池用複合電解質に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノート型パソコン、カムコーダなどの携帯用機器だけでなく、電気自動車に至るまで充放電が可能な二次電池の適用分野が次第に拡大しており、そのために二次電池の開発が活発に行われている。また、二次電池の開発時、容量密度および比エネルギーを向上させるための電池設計に対する研究開発も進められている。
【0003】
一般に、二次電池は、正極部、負極部、およびその間に位置する電解質と高分子の分離膜とからなっている。
【0004】
特に、従来の電気化学素子用電解質としては、液体状態の電解質、特に非水系有機溶媒に塩を溶解したイオン伝導性の有機液体電解質が主に用いられてきた。しかし、液体状態の電解質が有する可燃性と低い熱的安定性は、リチウム二次電池の安定性を低下させるという問題がある。
【0005】
このような問題を解決し、リチウム二次電池の安定性を向上させるために、セラミック固体電解質、高分子電解質のような様々な電解質が開発された。
【0006】
しかしながら、セラミック固体電解質と高分子電解質は、常温でイオン伝導度が低く、電極との高い界面抵抗特性を有しているため、二次電池の電気化学的特性を低下させるという他の問題がある。
【0007】
このような問題を解決するために、セラミック粒子と高分子を混合して複合電解質を製造し、それに少量の液体電解質を含ませて固相の複合電解質を製造する試みがある。
【0008】
このように製造された複合電解質は、熱的安定性も増加させるものの界面抵抗を減少させ、リチウムイオン活性化されたセラミックを含んでおり、リチウムイオンの移動を向上させることによって電気化学的特性を増加させる。
【0009】
しかし、複合電解質に用いられるセラミックと高分子は、種類に応じて二次電池の正極部と負極部において異なる特性を有することによって安定性と電気化学的特性の向上に限界がある。
【0010】
本発明と関連した先行文献としては大韓民国公開特許第10−2013−0111833号(2013年10月11日)があり、前記先行文献には正極および負極を含むリチウムイオン二次電池用の多層構造の電解質が開示されている。
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、正極部に向かって位置する電解質層と負極部に向かって位置する電解質層を互いに異なる材質で形成し、多層構造に積層することにより、正極部と負極部の特性を同時に満たすことができる二次電池用複合電解質を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質は、二次電池用複合電解質であって、正極部に向かって位置する第1電解質層、および負極部に向かって位置する第2電解質層を含み、前記第1電解質層および前記第2電解質層の各々は高分子基材およびセラミック粒子を含み、前記第1電解質層および前記第2電解質層は互いに異なる材質からなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質は前記第1電解質層と前記第2電解質層との間に位置する第3電解質層を含み、前記第3電解質層は高分子基材およびセラミック粒子を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る前記二次電池用複合電解質は液体電解質をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
なお、本発明に係る前記第1電解質層は前記第2電解質層より相対的に前記正極部における電気的安定性に優れ、前記第2電解質層は前記第1電解質層より相対的に前記負極部における電気的安定性に優れることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る前記第1電解質層および前記第2電解質層の各々は互いに異なる高分子基材を含むことを特徴とする。
【0018】
なお、本発明に係る前記高分子基材は、ポリビニリデンフルオリド(Polyvinylidene fluoride)系、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol)系、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)系、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl methacrylate)系、ポリビニルクロリド(Polyvinyl chloride)系、ポリビニルピロリドン(Polyvinyl pyrrolidone)系、ポリイミド(Polyimide)系、ポリエチレン(Polyethylene)系、ポリウレタン(Polyurethane)系、ポリプロピレン(Polypropylene)系、ポリプロピレンオキシド(Polypropylene oxide)系、ポリエチレンイミン(Polyethylene imine)系、ポリエチレンスルフィド(Polyethylene sulfide)系、ポリビニルアセテート(Polyvinyl acetate)系、ポリエチレンサクシネート(Polyethylene succinate)系、ポリエステル(Polyester)系、ポリアミン(Polyamine)系、ポリスルフィド(Polysulfide)系、シロキサン(Siloxane)系、その派生物およびその組み合わせからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る前記第1電解質層および前記第2電解質層の各々は互いに異なるセラミック粒子を含むことを特徴とする。
【0020】
なお、本発明に係る前記セラミック粒子は、Al系、SiO系、BaTiO系、TiO系、リチウム酸化物系、リチウム硫化物系、非晶質イオン伝導性物質、ナシコン(NASICON)、ナトリウム硫化物系、ナトリウム酸化物系、その派生物およびその組み合わせからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする。
【0021】
【発明の効果】
【0022】
従来、二次電池の安定性を向上させるために、固相電解質は高分子またはセラミックのみから製造され、セラミックと高分子の複合電解質は1層にのみ製造されたが、高分子電解質は常温でイオン伝導度が低く、セラミック固体電解質は電極との界面抵抗が大きく、セラミックと高分子の複合電解質は二次電池の正極と負極の特性を同時に満たすことができない。
【0023】
これとは異なり、本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質は、イオン伝導度が高く、電極との界面抵抗を減少させるだけでなく、正極部と負極部の特性を同時に満たすことができるという効果を有する。
【0024】
また、熱的安定性に優れ、二次電池に適用する場合、容量に優れ、充放電サイクルが進むにつれて容量の大きな減少がなく維持されるという長所がある。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る2層構造を有する二次電池用複合電解質の断面構造を模式的に示す図である。
【0027】
図2】本発明に係る3層構造を有する二次電池用複合電解質の断面構造を模式的に示す図である。
【0028】
図3】本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質表面のSEM分析写真である。
【0029】
図4】本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質断面のSEM分析写真である。
【0030】
図5図5aおよび図5bは本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質の変形特性を示す図である。
【0031】
図6図6aおよび図6bは本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質の熱的安定性を試験するための写真である。
【0032】
図7図7aおよび図7bは従来の商用化された二次電池用分離膜の熱的安定性を試験するための写真である。
【0033】
【0034】
図8図8aは、本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質の充放電曲線である。図8bは、従来の二次電池用複合電解質の充放電曲線である。
【0035】
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0037】
【0038】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付された図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明らかになるものである。
【0039】
しかし、本発明は、以下にて開示される実施形態によって限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に実現でき、本実施形態は単に本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0040】
また、本発明を説明するにおいて、関連した公知技術などが本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合には、それに関する詳しい説明は省略する。
【0041】
【0042】
図1は、本発明に係る2層構造を有する二次電池用複合電解質の断面構造を模式的に示す図である。
【0043】
図1を参照すれば、本発明に係る2層構造を有する二次電池用複合電解質100は、正極部および負極部を含む二次電池に用いられ、正極部に向かって位置する第1電解質層110および負極部に向かって位置する第2電解質層120を含むことを特徴とする。
【0044】
この時、前記第1電解質層110および前記第2電解質層120の各々は高分子基材10および前記高分子基材10に分布したセラミック粒子20を含み、前記第1電解質層110および前記第2電解質層120は互いに異なる材質からなることを特徴とする。
【0045】
一般に、二次電池用複合電解質に用いられるセラミック粒子20と高分子基材10は、種類に応じて二次電池の正極部と負極部において異なる特性を有するため、電気化学的特性が低下するという問題がある。
【0046】
単層構造の複合電解質を用いる場合には、正極部と負極部に一つの電解質層が接触し、このような一つの電解質層は正極部と負極部において各々異なる特性を示すため、二次電池の安定性および電気化学的特性を向上させるのに限界がある。
【0047】
これとは異なり、本発明においては、正極部と負極部に接触する電解質に互いに異なる材質を有するように各々異なるセラミック粒子20と高分子基材10を複合化して2層またはそれ以上の多層構造を有する複合電解質を製造することによって、二次電池の安定性および電気化学的特性を向上させようとする。
【0048】
図2は、本発明に係る3層構造を有する二次電池用複合電解質の断面構造を模式的に示す図である。
【0049】
図2を参照すれば、本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質100は、正極部および負極部を含む二次電池に用いられ、正極部に向かって位置する第1電解質層110および負極部に向かって位置する第2電解質層120を含み、前記第1電解質層110と前記第2電解質層120との間に位置する第3電解質層130をさらに含むことを特徴とする。
【0050】
前記電解質層の各々は高分子基材10および前記高分子基材10に分布したセラミック粒子20を含み、前記正極部に向かって位置する第1電解質層110と前記負極部に向かって位置する第2電解質層120は互いに異なる材質からなることを特徴とする。
【0051】
この時、前記第1電解質層110は前記第2電解質層120より相対的に前記正極部における電気的安定性に優れ、前記第2電解質層120は前記第1電解質層110より相対的に前記負極部における電気的安定性に優れることが好ましい。
【0052】
また、前記第3電解質層130を通じて様々なセラミック特性を複合化することによって、二次電池の電気化学的特性をさらに向上させることができる。
【0053】
上記の構造の他に、使用しようとする二次電池の特性や所望の複合電解質の特性を実現するために、前記第1電解質層110と前記第2電解質層120との間に複数の電解質層を追加することができ、それにより、多層構造を有する二次電池用複合電解質を実現することができる。多層構造は、前述した2層構造および3層構造を全て含むことができることは勿論である。
【0054】
このような多層構造を製造するためには、プリンティング法、ドクターブレイド法、相分離法、エレクトロスピニング法、抽出法、圧搾法などの通常的に知られた製造方法を利用することができる。
【0055】
本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質は、少量の液体電解質をさらに含むことができる。
【0056】
前記液体電解質は、エチレンカーボネート(Ethylene Carbonate)、プロピレンカーボネート(Propylene Carbonate)、1,2−ブチレンカーボネート(Butylene Carbonate)、2,3−ブチレンカーボネート(Butylene Carbonate)、2,3−ペンチレンカーボネート(Pentylene Carbonate)などのような環状カーボネート系有機溶媒と、ジメチルカーボネート(Dimethyl Carbonate)、ジエチルカーボネート(Diethyl Carbonate)、エチルメチルカーボネート(Ethylmethyl Carbonate)、1,2−ジメトキシエタン(Dimethoxyethane)、ジプロピルカーボネート(Dipropyl Carbonate)、メチルプロピルカーボネート(Methylpropyl Carbonate)およびエチルプロピルカーボネート(Ethylpropyl Carbonate)などのような線状カーボネート系有機溶媒にLiBF、LiClO、LiPF、LiSbF、LiAsF、Li(CSON、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、Li(CFSOC、LiBPh、LiAlO、LiAlCl、LiSCNおよびLiC(CFSOからなる群より選択された一つ以上のリチウム塩を溶解させたものであってもよいが、これらに制限されず、当技術分野で通常的に用いられる全ての液体電解質を含むことができる。
【0057】
前記液体電解質は、全体複合電解質100重量部に対して1〜50重量部で含まれることが好ましく、含浸過程によって複合電解質に投入できる。
【0058】
液体電解質を含浸させる方法には、各々の電解質層を別途に製作した後に含浸させるか、または多層構造を有する複合電解質の全体を含浸させることもできる。
【0059】
このように含浸された液体電解質は、電極と電解質の界面抵抗を減少させるだけでなく、複合電解質内のセラミック粒子20と高分子基材10間の界面抵抗も減少させることができる。
【0060】
第1電解質層110および第2電解質層120の各々は同じ高分子基材10を含むことを制限するものではないが、互いに異なる高分子基材10を含むことが好ましい。
【0061】
ここで、前記高分子基材10は、ポリビニリデンフルオリド(Polyvinylidene fluoride、PVdF)系、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol、PEO)系、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile、PAN)系、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl methacrylate、PMMA)系、ポリビニルクロリド(Polyvinyl chloride)系、ポリビニルピロリドン(Polyvinyl pyrrolidone、PVP)系、ポリイミド(Polyimide、PI)系、ポリエチレン(Polyethylene、PE)系、ポリウレタン(Polyurethane、PU)系、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)系、ポリプロピレンオキシド(Polypropylene oxide、PPO)系、ポリエチレンイミン(Polyethylene imine、PEI)系、ポリエチレンスルフィド(Polyethylene sulfide、PES)系、ポリビニルアセテート(Polyvinyl acetate、PVAc)系、ポリエチレンサクシネート(Polyethylene succinate、PESc)系、ポリエステル(Polyester)系、ポリアミン(Polyamine)系、ポリスルフィド(Polysulfide)系、シロキサン(Siloxane)系、その派生物およびその組み合わせからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする。
【0062】
また、第1電解質層110および第2電解質層120の各々は互いに異なるセラミック粒子20を含むことが好ましい。
【0063】
ここで、前記セラミック粒子20は、Al系、SiO系、BaTiO系、TiO系、リチウム酸化物系、リチウム硫化物系、非晶質イオン伝導性物質、ナシコン(NASICON)、ナトリウム硫化物系、ナトリウム酸化物系、その派生物およびその組み合わせからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする。
【0064】
この時、前記リチウム酸化物系はLi1.3Al0.3Ti1.7(PO(LTAP)やLiLaZr12(LLZO)などを含むことができ、前記リチウム硫化物系はLi10GeP12、LiS−Pなどを含むことができ、前記非晶質イオン伝導性物質はリン系ガラス(phosphorus−based glass)、酸化物系ガラス(oxide−based glass)、酸化物/硫化物系ガラス(oxide/sulfide based glass)などを含むことができる。
【0065】
ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol、PEO)系高分子は、負極部側では安定するが、正極部側では不安定な側面があり、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO(LTAP)セラミック固体電解質は、Tiの高い還元電位のために黒鉛、Si、Liなどのような低い電圧の負極を用いることができないという問題があるが、リチウムイオン活性度に優れて複合電解質の電気化学的特性を増加させることができる。
【0066】
例えば、本発明に係る第1電解質層110は、電気的安定性の高いポリビニリデンフルオリド(Polyvinylidene fluoride、PVdF)を高分子基材10として用い、LTAPをセラミック粒子20として用いて複合化し、第2電解質層120は、電気的安定性の高いポリビニリデンフルオリド(Polyvinylidene fluoride、PVdF)や負極部側で安定性の高いポリエチレングリコール(Polyethylene glycol、PEO)系を高分子基材10として用い、低電圧に安定したLLZOやAlをセラミック粒子20として用いて複合化することができるが、これに限定されるものではない。
【0067】
本発明に係る第3電解質層130は、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol、PEO)系を高分子基材10として用い、LiS−Pなどのリチウム硫化物系をセラミック粒子20として用いて複合化することができるが、これに限定されるものではない。
【0068】
図3は本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質表面のSEM分析写真であり、図4は本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質断面のSEM分析写真である。
【0069】
図3および図4を参照すれば、本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質は、セラミック粒子と高分子基材がよく混合されて表面が非常に均一に形成されたことが分かり、電解質層間の結合が堅固に形成されたことが分かる。
【0070】
図5aおよび図5bは本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質の変形特性を示す図であり、図示したように可変性に非常に優れることが分かる。
【0071】
図6aは従来の商用化された二次電池用分離膜の熱的安定性を試験するための写真であり、図6bは本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質の熱的安定性を試験するための写真である。
【0072】
図6aおよび図6bを参照すれば、本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質は、可燃性がなく、120度においても収縮しない優れた熱的安定性を示す反面、商用化分離膜は、火によく燃え、120度において激しく収縮することが分かる。
【0073】
図7aは本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質の充放電曲線であり、図7bは従来の二次電池用複合電解質の充放電曲線である。
【0074】
ここで、図7aに示された本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質は、正極部に向かって位置する第1電解質層としてLTAPとPVdFを重量比80:20で混合して製造し、負極部に向かって位置する第2電解質層としてLLZOとPVdFを重量比80:20で混合して製造し、フィルム製造方法としてプリンティング、相分離およびドクターブレード方法を利用した。このように製造された複合電解質に全体複合電解質100重量部に対して10重量部に該当する液体電解質を含浸させた。
【0075】
複合電解質を用いた二次電池の電気化学的特性を分析するために、正極としてはLiCoOを用い、負極としては電位の最も低いLi金属を用いて、常温、0.1Cの電流密度で充放電させた。
【0076】
図7bに示された従来の二次電池用複合電解質は、PEO/LTAP/PEOの3層構造の単一混合物により複合電解質を構成したものである。
【0077】
図示したように、LiCoO正極が最大170mAh/gの容量を示し、本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質は、160mAh/gの容量を有し、充放電サイクルが繰り返されるにもかかわらず、容量変化が大きくないのに対し、従来の二次電池用複合電解質は、充放電サイクルが繰り返されることによって容量が継続的に減少することが分かるところ、本発明に係る多層構造を有する二次電池用複合電解質の電気化学的特性が優れることが分かる。
【0078】
今まで本発明に係る二次電池用複合電解質に関する具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない限度内では種々の実施変形が可能であるのは明らかなことである。
【0079】
したがって、本発明の範囲は説明された実施形態に限定して定められてはならず、後述する特許登録請求の範囲だけでなく、該特許登録請求の範囲と均等なものによって定められなければならない。
【0080】
すなわち、前述した実施形態は全ての面で例示的なものであって、限定的なものではなく、本発明の範囲は詳細な説明よりは後述する特許登録請求の範囲によって示され、その特許登録請求の範囲の意味および範囲そしてその等価概念から導き出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものとして解釈しなければならない。
【0081】
配列表 Free Text
【0082】
無し
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8