【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明に従えば、カプセルを受け取るための収容器を備えている飲料抽出デバイスによって、抽出可能な製品を使用して摂取に適する所定量の飲料を用意するためにカプセルが提供され、該カプセルは、外周壁と該外周壁を第1の端部で閉じている底とを備えているカップ、および該底の反対側の外周壁の第2の端部で使用中にカップに結合される蓋を備え、該壁、底および蓋は、使用中に、抽出可能な製品を容れる内部空間を取り囲み、かつ使用中に収容器と協働するように作られたカプセルの表面の少なくとも一部分は、収容器と封止的係合を形成するための少なくとも1つの突出部を備えている。
【0007】
収容器の表面と協働するように作られた領域におけるカプセル表面上に局部的な突出部を与えることによって、収容器の表面不規則性が効率的に緩和されうることが見出された。局部的凹所、局部的突出、割れ目、裂傷、局部的摩耗などを含む(しかしこれらに限定されない)様々なタイプの表面不規則性が意図されることが理解されるであろう。したがって、少なくとも1つの突出部が、そのような不規則性が生じてしまったまたは生じそうな位置で、カプセルの表面上に備えられうる。例えば、少なくとも1つの突出部は、カップの外側表面上に備えられうる。カップが、第2の端部で外周壁の外向きに延在しているフランジ様の縁を備えており、この場合には、例えば、少なくとも1つの突出部は、フランジ様の縁の上に備えられうる。収容器は、囲い部材の形で備えられることができ、該囲い部材は、カプセルを少なくとも部分的に取り囲むように配置され、かつ使用中にカプセルの縁に対して押し付けられうる。収容器が、通常は射出プラスチックから製作されるという事実に起因して、僅かな製作上の欠陥が生じうる。このことは、使用中にカプセルのフランジ様の縁と係合するように作られた収容器の外側表面のさらなる局部的な不規則性を導きうる。そのようなさらなる局部的不規則性は、凹所、すなわち収容器の外側表面上の局部的なへこみ、または突出部、すなわち収容器の外側表面上の局部的な隆起と関連しうる。
【0008】
カプセルのフランジ様の縁に、使用中に収容器の表面と協働するように作られた少なくとも1つの突出部を備え、それにより収容器と封止的係合を形成することにより、上記した不規則性は緩和されうる。
【0009】
様々なタイプの封止的係合が意図されることが理解されるであろう。例えば、少なくとも1つの突出部が、この少なくとも1つの突出部と使用中にカプセルと協働するように作られた収容器表面との間の接合点を達成するためのカプセルの領域に備えられうる。カプセル接触とするように作られた収容器の外側表面の形状と寸法を知っている当業者は、カプセルのどの領域で、該少なくとも1つの突出部が上記接合点を形成するために設けられるべきであるかを容易に理解しうることが理解されるであろう。
【0010】
本発明に従うカプセルの実施態様においては、少なくとも1つの突出部は、フランジ様の縁に対して外周にある。しかし、このようにして形成された外周状突出部は、必ずしも円形でなくてよいことが理解されるであろう。収容器の表面と協働するように適合させられた不規則に形作られた外周状突出部は、十分に意図される。そのような不規則に形作られた外周状突出部は、回転対称性をそのまま持っていてもよい。本実施態様は図面を参照して一層詳しく議論されるであろう。
【0011】
少なくとも1つの突出部は、不規則な表面を通常有するフランジ様の縁の選定された領域に、例えば、フランジ様の縁の周辺に沿う別の領域に備えられうるけれども、回転対称性がカプセルを飲料抽出デバイスの収容器内に位置付けるために保存されるように、少なくとも1つの突出部を外周状構造体として備えることは利点があることが見出されている。
【0012】
本発明に従うカプセルの更に別の実施態様においては、少なくとも1つの突出部は、流体を保持しうる物体を備えている。
【0013】
収容器と封止的係合を形成するように作られた少なくとも1つの突出部に関して、流体を保持することができる材料を選択することは特に利点があることが見出されている。この特徴のために、生じうる可能性のある封止的係合の微小な欠陥は、突出部の材料への流体の吸収によって効果的に緩和される。
【0014】
本発明に従うカプセルの更に別の実施態様においては、複数の細長い個別の突出部が備えられ、上記突出部はブラシ様の領域を形成している。
【0015】
多体の突出部が構想されるときは、例えば、ブラシ様の構造体がカプセルのフランジ様の縁上に備えられるときは、信頼できる封止的係合が実現されうることが見出されている。このことは、隣接している細長い突出部の空間的位置に実質的に影響を与えること無しに、細長い個別の突出部が収容器によって曲げられまたは別の仕方で変形されうるという理由を有しうる。この結果として、例えば、使用中にカプセルと接触するように作られた収容器の表面が、凹所を備えているとき、そのような凹所は、1つまたは幾つかの細長い突出部、例えば、毛によって満たされまたは別の仕方で軽減されうるが、隣接している細長い突出部は実質的には影響を受けない。
【0016】
本発明に従うカプセルの更に別の実施態様においては、複数の細長い個別の突出部は様々な高さを有している。
【0017】
ブラシ様の構造の個別の細長い実体が様々な高さを有しているときは、収容器の表面の局部的な高さの違いは効果的に滑らかにされうることが見出されている。好ましくは、収容器の表面不規則性がないときに、封止的係合を形成するために基準の高さが選定される。幾つかの細長い実体は、凹所による局部的な表面不規則性を緩和するためにより高い高さを有するであろう。好ましくは、細長い個別の突出部の高さは、0.1〜2mmの範囲、好ましくは0.13〜1mmの範囲、一層好ましくは0.15〜0.5mmの範囲である。細長い個別の突出部の高さが約0.25mmであるとき、良い結果が達成されたことが見出されている。好ましくは、例えば摩耗などによる割れ目、表面のギザギザのような実質的な表面不規則性を緩和するために、そのようなブラシ様の構造体がカプセルのフランジ様の縁の上に設けられる。
【0018】
細長い実体は基底構造体上に設けられことができ、または代替的に、持ち上げられた基底上に形成された溝のセットとして形成されうることが理解されよう。また、この場合においては、細長い構造体の(頂点から測られた)高さは、0.1〜2mmの範囲、好ましくは0,13〜1mmの範囲、一層好ましくは0.15〜0.5mmの範囲である。そのような高さは、カプセルのフランジ様の縁の基準表面に対して測定されうることが理解されよう。本実施形態は図面を参照して一層詳しく議論されるであろう。
【0019】
そのような細長い構造体は、変形可能な材料から形成されうることが理解されよう。極端な状況においては、細長い構造体は実質的に十分に平らにされうる。細長い構造体は、三角形、円形または任意の別の適切な断面を有しうる。
【0020】
代替的な実施態様においては、フランジ様の縁上に配置された突出部は、0.8〜1.0mmの範囲の高さを有して実質的に平らであり、好ましくは、突出部は変形されうる柔らかい材料から形成される。当業者はどの種類の材料(好ましくはプラスチック)がそのような突出部を実装するために使われうるかを容易に理解するであろう。
【0021】
本発明に従うカプセルの更に別の実施態様においては、該少なくとも1つの突出部は凹凸のある材料を備えている。
【0022】
この技術的な手段は、わずかの表面不規則性が、織物のような凸凹にされた表面を有している少なくとも1つの突出部を備えることで緩和されうるという洞察に基づいている。凸凹にされた表面は、規則的に間隔を空けられた窪みと持ち上げられた領域との混在を備えている。好ましくは、持ち上げられた領域と窪み領域との間の高さの違いは、少なくとも0.05mm、好ましくは少なくとも0.15mmである。収容器が凹所及び/又は突出部を備えるときに、フランジ様の縁と収容器の表面との間に適切な封止的係合を提供するために、そのような実施態様は、効果的であることが見出されている。
【0023】
本発明に従うカプセルの更に別の実施態様においては、少なくとも1つの突出部は、複数の相互接続された管状構造体を備えている。
【0024】
そのような実施態様は、流体を保持できる材料とブラシのような個々に変形できる材料との特徴を有利に組み合わせることが見出されている。好ましくは、複数の相互接続された管状構造体は、多面体構造、例えばハニカム構造を備える。突起または窪みのどちらかを有している収容器の表面と相互作用をするとき、この管状構造体のアレイは、局部的な不規則性(窪みまたは突起)の幾何的形状に実質的に合致するように局部的に変形されうる。好ましくは、管状構造体の高さは、この管状構造体が封止的係合を形成するために収容器の表面と接触するときに、管状構造体のアレイが少なくとも僅かに圧縮されるように選ばれる。
【0025】
本発明に従うカプセルの更に別の実施態様においては、少なくとも1つの突出部は、該フランジ様の縁と該壁との間に延在している斜傾ブリッジを備える。
【0026】
この技術的手段は、漏洩は垂直なカプセル壁が実質的に水平かつ平坦なフランジ様の縁と接触する領域内で生じうるという洞察に基づく。使用中に収容器との封止的係合を提供するために、フランジ様の縁は、収容器とそれ以外の実質的に矩形の幾何的形状の壁/縁境界との間で充填物として働きうる斜傾の構造体を備える。
【0027】
ブリッジ構造体は、該壁に隣接する該縁の全周辺に沿って備えられうること、または代替的に、適切な数の孤立したブリッジ要素が備えられることが理解されよう。
【0028】
本発明に従うカプセルの更に別の実施態様においては、該ブリッジは、フランジ様の縁に取り付けられた基底部分から分岐されている2またはそれ以上の分枝を備えている。
【0029】
2つのそれている分岐を備えることによって、収容器の局部的な表面不規則性を収容する一層の可撓性を達成することが可能であることが見出されている。
【0030】
本発明に従うカプセルの更に別の実施態様においては、少なくとも1つの突出部は可撓性がある。好ましくは、少なくとも1つの突出部は弾性的に変形可能である。
【0031】
本発明に従うカプセルの更に別の実施態様においては、少なくとも1つの突出部は、外周状リッジを備えている。そのような外周状リッジは、収容器表面における如何なる不規則性にも適合するために、例えば局部的な変形を受けうることが見出されている。好ましくは、少なくとも1つの突出部は、複数の外周状リッジを備える。
【0032】
例えば、カプセルは、1のカップを備え、該カップは、外周壁と、該外周壁を第1の端部で閉じている底と、該底の反対側の第2の端部で外周壁の外方向に延在しているフランジ様の縁と、および使用中にフランジ様の縁に接続される蓋とを備えている。ここで、壁、底、および蓋は、使用中に、抽出可能な製品を備えている内部空間を取り囲み、そしてカップは、カップの外側へ延在している複数の実質的に同心的な外周状のリッジをさらに備えており、リッジはカップと同じ材料で作られている。
【0033】
使用中に、外周状リッジの少なくとも1つは、囲い部材の少なくとも一部分に当接することができ、それにより、リッジの少なくとも1つの例えば頂上と収容器(例えば囲い部材)の少なくとも一部分との間に、封止的係合が形成される。複数のリッジが備えられるので、封止的係合がなおも得られながら、カプセルと囲い部材との間の位置合わせのずれは許容されうる。
【0034】
一般的には、少なくとも1つの突出部は、カップと同じ材料で作られることが可能である。したがって、比較的低価格の少なくとも1つの突出部が提供されうる。
【0035】
好ましくは、少なくとも1つの突出部、例えば1つのリッジまたは複数のリッジが、フランジ様の縁上に、例えば、フランジ様の縁の、蓋とは反対に向いている側の上に配置される。したがって、少なくとも1つの突出部、例えば1つのリッジまたは複数のリッジは、囲い部材の先端部に当接しうる。このようにして、封止的係合はフランジ様の縁の位置で形成されうる。
【0036】
少なくとも1つの突出部、例えば1つのリッジまたは複数のリッジは、フランジ様の縁と一体化されることが可能である。こうして、カップの製作は、カップと少なくとも1つの突出部、例えば1つのリッジまたは複数のリッジの一体射出成形によって、少なくとも1つの突出部、例えば1つのリッジまたは複数のリッジの製作を包含しうる。したがって、カプセルのカップの簡易な製作が得られうる。
【0037】
1実施態様においては、複数のリッジの各々のリッジは、使用前には実質的に同じ高さを有している。したがって、複数のリッジの各々のリッジは、カプセルと囲い部材との間の封止的係合に貢献しうる。任意的に、複数のリッジの各々のリッジは実質的に同じ幅を有している。
【0038】
複数のリッジの内の1つのリッジの幅は、このリッジの高さよりも小さいことが可能である。好ましくは、このことは複数のリッジの内の各々のリッジに適用できる。したがって、リッジはほっそりした形状を有し、例えば、リッジの上端のリッジ基底部方向への圧縮によって、リッジの容易な変形を許容する。したがって、リッジは、封止的係合の位置での囲い部材の不規則性、例えば、囲い部材の先端部でのへこみ及び/又は突起に容易に追随することができる。
【0039】
好ましくは、複数のリッジ中の1つのリッジは、フランジ様の縁の厚さと同じかそれ以下の幅を有している。好ましくは、複数のリッジ中の1つのリッジは、フランジ様の縁の厚さと同じかそれ未満の高さを有している。好ましくは、このことは、複数のリッジの各々のリッジに適用される。したがって、リッジの圧縮に対する抵抗は、該縁の圧縮に対する抵抗よりも小さくなりうる。このようにして、該縁はリッジに比べて固くてもよく、一方、リッジは、その形状及び/又は寸法に起因する十分な圧縮性を有しえて、例え囲い部材が封止的係合の位置で不規則性を備えていても、囲い部材との封止的係合を提供する。
【0040】
複数のリッジ中の1つのリッジは、0.3mmを超え、好ましくは0.21mmを超え、一層好ましくは0.15mmを超える高さを有することが可能である。また、複数のリッジ中の1つのリッジは、3mmを超え、好ましくは0.21mmを超え、一層好ましくは0.15mmを超える最大幅を有することが可能である。好ましくは、このことは複数のリッジ中の各リッジに適用される。これらの寸法は、リッジと囲い部材との間の良好な封止的係合を提供することが今見出されている。
【0041】
1実施態様においては、複数のリッジ中の1つのリッジは、くさび形の、例えば、実質的に三角形の断面を有している。好ましくは、このことは複数のリッジ中の各リッジに適用される。このことは、リッジの圧縮は徐々に増大する力を必要とするという利点を提供する。したがって、リッジは囲い部材の不規則性の輪郭に容易に追随できる。なぜならば、これは囲い部材が局部的に増加させられた力をリッジに働かせるからである。
【0042】
好ましくは、複数のリッジの全リッジが同一の断面形状を有している。
【0043】
1実施態様においては、2つの隣接しているリッジの間の径方向距離は、リッジの最大幅未満、好ましくは最大幅の50%、より好ましくは最大幅の25%未満である。このようにして、複数のリッジは、相互に近接して間隔を空けられて、少なくとも1つのリッジが囲い部材に適切に当接するという良い機会を許容し、かつリッジが圧縮により広がるために十分な空間を許容する。また、この近接して空間配置されたリッジは、囲い部材に対するカプセル(2)の位置合せずれに対する許容範囲の増大を可能にする。なぜなら、たとえ、1つのリッジさえもが囲い部材に十分に当接していなくとも、リッジ間の狭い間隔は、カプセルと囲い部材との間に十分な封止的係合を与えるように、流体の流れに対する十分な抵抗を提供する迷路を形成しうるからである。
【0044】
好ましくは、蓋は、フランジ様の縁に結合され、かつ内部空間は抽出可能な製品で少なくとも部分的に満たされる。したがって、使用準備のなされたカプセルが提供される。カプセルは、例えばカプセルの保存可能期間を延ばすように、密閉的に閉じられうる。代替的に、蓋及び/又は底は多孔質であり、及び/又は液体が内部空間へ入り及び/又は出るのを許容するための開口部を備えている。
【0045】
1実施態様においては、カプセルは使い捨てである。使い捨てカプセルは、1回の使用後は処分されるようにデザインおよび意図される。このようにして、衛生、例えば微生物増殖に関連した問題は最小化されうる。
【0046】
好ましくは、カプセルは、1杯分の飲料を用意するためにデザインされる。
【0047】
また、本発明は、抽出可能な製品を使用し摂取に適する所定量の飲料を用意するためのシステムに関しており、該システムは、i)本発明にしたがうカプセル、およびii)カプセルと協働するための収容器、例えばカプセルを取り囲むための囲い部材を備えている飲料抽出デバイス、を備え、使用中に、カプセルと収容器(例えば囲い部材)との間の封止的係合が形成されるように、少なくとも1つの突出部(例えば少なくとも1つのリッジ)は収容器(例えば囲い部材)の少なくとも一部分に当接する。
【0048】
1実施態様においては、囲い部材の先端部の少なくとも一部分が、少なくとも1つのリッジに当接するように配置される。ここで複数のリッジは、カプセルのフランジ様の縁上に配置されうる。
【0049】
好ましくは、各リッジは、囲い部材の先端部の幅より小さい個々の幅を有する。このことは、複数のリッジは囲い部材の先端部に比べて狭いという利点を提供する。このようにして、複数のリッジは、囲い部材の先端部上の例えば小さな不規則性、例えばへこみ、掻き傷、割れ目及び/又は突起に容易に適合しうる。
【0050】
好ましくは、複数のリッジは、囲い部材の先端部の幅を超えるところの合計幅を有する。したがって、囲い部材の先端部に対するカプセルの位置合わせのずれに対するかなりの許容性が提供される。
【0051】
複数のリッジ中の1つのリッジが、囲い部材の先端部の幅未満の高さを有することが可能である。好ましくは、このことは、複数のリッジ中の各々のリッジに適用される。したがって、リッジは囲い部材の先端部の幅に比べて低い高さを有する。このことは、囲い部材の先端部とリッジとの間の良好な封止的係合が得られうるように、リッジの座屈を防ぐことができる。
【0052】
また、本発明は、本発明に従うシステムを使用して摂取に適する所定量の飲料を用意するための方法に関する。
【0053】
本発明のこれらまたはその他の局面は、図面を参照してより詳細に議論されるであろう。図面においては類似の参照符号は類似の要素を参照する。図面は説明目的のために提示され、添付された請求項の範囲を制限するために使用されてはならないということが理解されるであろう。
【0054】
本発明は、以下の図面を参照しつつ限定的でない実施例によって、さらに説明されるであろう。