特許第6884828号(P6884828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6884828運用スタイル決定システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6884828
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】運用スタイル決定システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20210531BHJP
【FI】
   G06Q40/06
【請求項の数】5
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2019-142526(P2019-142526)
(22)【出願日】2019年8月1日
(65)【公開番号】特開2021-26408(P2021-26408A)
(43)【公開日】2021年2月22日
【審査請求日】2019年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】510161314
【氏名又は名称】株式会社大和総研
(74)【代理人】
【識別番号】100114638
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 寛也
(72)【発明者】
【氏名】落合 健弥
(72)【発明者】
【氏名】久松 和樹
(72)【発明者】
【氏名】鑑 高史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 康弘
(72)【発明者】
【氏名】林 達也
(72)【発明者】
【氏名】樋口 真美
【審査官】 塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−223555(JP,A)
【文献】 特開2005−141694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関が顧客から預かった資産を運用する投資一任サービスを提供する際の運用スタイルを決定する処理を実行するコンピュータにより構成された運用スタイル決定システムであって、
投資期間に関する選択肢提示型の少なくとも1つの質問およびリスク許容度に関する選択肢提示型の少なくとも1つの質問に対する顧客の回答データの入力を受け付ける処理を実行する顧客回答受付手段と、
投資期間に関する質問に対して各選択肢が選択された場合に付与する点数を記憶する投資期間配点記憶手段と、
リスク許容度に関する質問に対して各選択肢が選択された場合に付与する点数を記憶するリスク許容度配点記憶手段と、
前記顧客回答受付手段により受け付けた前記回答データに含まれる投資期間に関する質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢に対応する点数を前記投資期間配点記憶手段から取得し、取得した点数を合計して投資期間点数合計値を算出する処理を実行する投資期間点数算出手段と、
前記顧客回答受付手段により受け付けた前記回答データに含まれるリスク許容度に関する質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢に対応する点数を前記リスク許容度配点記憶手段から取得し、取得した点数を合計してリスク許容度点数合計値を算出する処理を実行するリスク許容度点数算出手段と、
運用スタイルの内容に応じた投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せと当該運用スタイルについての運用スタイル識別情報とを関連付けて記憶する運用スタイル決定テーブル記憶手段と、
この運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶された投資期間点数およびリスク許容度点数がそれぞれ前記投資期間点数合計値以下若しくは未満および前記リスク許容度点数合計値以下若しくは未満という基礎抽出条件を満たす組合せのうち、
投資期間点数が最大値となる組合せの中からリスク許容度点数が最大値となる組合せを抽出するか、
リスク許容度点数が最大値となる組合せの中から投資期間点数が最大値となる組合せを抽出するか、
または、投資期間点数若しくはこれに係数を乗じた点数とリスク許容度点数若しくはこれに係数を乗じた点数との和が最大値となる組合せを抽出し、
抽出した組合せに関連付けられた運用スタイル識別情報を取得することにより、選択する運用スタイルを決定する処理を実行する運用スタイル決定手段と
を備えたことを特徴とする運用スタイル決定システム。
【請求項2】
前記顧客回答受付手段は、
投資期間に関する質問およびリスク許容度に関する質問に加え、投資制限に関する選択肢提示型の少なくとも1つの質問に対する顧客の回答データの入力を受け付ける処理も実行する構成とされ、
投資制限に関する質問に対して選択された選択肢の組合せとこの組合せで定まる投資制限グループについての投資制限グループ識別情報とを関連付けて記憶する投資制限グループ特定テーブル記憶手段と、
前記顧客回答受付手段により受け付けた前記回答データに含まれる投資制限に関する質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢の組合せに関連付けられた投資制限グループ識別情報を前記投資制限グループ特定テーブル記憶手段から取得することにより、採用する投資制限グループを特定する処理を実行する投資制限グループ特定手段とを備え、
前記運用スタイル決定テーブル記憶手段は、
投資制限グループ識別情報と、運用スタイルの内容に応じた投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せと、当該運用スタイルについての運用スタイル識別情報とを関連付けて記憶する構成とされ、
前記運用スタイル決定手段は、
前記運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶された投資制限グループ識別情報が前記投資制限グループ特定手段により特定した投資制限グループについての投資制限グループ識別情報と一致するとともに、前記運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶された投資期間点数およびリスク許容度点数がそれぞれ前記投資期間点数合計値以下若しくは未満および前記リスク許容度点数合計値以下若しくは未満という基礎抽出条件を満たす組合せのうち、
投資期間点数が最大値となる組合せの中からリスク許容度点数が最大値となる組合せを抽出するか、
リスク許容度点数が最大値となる組合せの中から投資期間点数が最大値となる組合せを抽出するか、
または、投資期間点数若しくはこれに係数を乗じた点数とリスク許容度点数若しくはこれに係数を乗じた点数との和が最大値となる組合せを抽出し、
抽出した組合せに関連付けられた運用スタイル識別情報を取得することにより、選択する運用スタイルを決定する処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の運用スタイル決定システム。
【請求項3】
前記投資期間配点記憶手段に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合、および/または、前記リスク許容度配点記憶手段に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合に、配点の設定状態が適切であるか否かをチェックする処理を実行する配点設定支援手段を備え、
この配点設定支援手段は、
前記投資期間配点記憶手段に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値を全ての質問について合計して最小投資期間点数合計値を算出するとともに、
前記リスク許容度配点記憶手段に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値を全ての質問について合計して最小リスク許容度点数合計値を算出し、
前記運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶された投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せの中に、前記最小投資期間点数合計値以下若しくは未満の投資期間点数で、かつ、前記最小リスク許容度点数合計値以下若しくは未満のリスク許容度点数の組合せが含まれるか否かを、これらの組合せに関連付けられた投資制限グループ識別情報で識別される投資制限グループ毎に全ての投資制限グループについて判定し、その判定結果を出力する処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項2に記載の運用スタイル決定システム。
【請求項4】
前記投資期間配点記憶手段に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合、および/または、前記リスク許容度配点記憶手段に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合に、配点の設定状態が適切であるか否かをチェックする処理を実行する配点設定支援手段を備え、
この配点設定支援手段は、
前記投資期間配点記憶手段に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値および最大値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値および最大値を全ての質問についてそれぞれ合計して最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値を算出するとともに、
前記リスク許容度配点記憶手段に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値および最大値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値および最大値を全ての質問についてそれぞれ合計して最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値を算出し、
前記運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶された投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せのうち、前記最大投資期間点数合計値以下若しくは未満の投資期間点数で、かつ、前記最大リスク許容度点数合計値以下若しくは未満のリスク許容度点数の組合せの数M1が、前記最小投資期間点数合計値以下若しくは未満の投資期間点数で、かつ、前記最小リスク許容度点数合計値以下若しくは未満のリスク許容度点数の組合せの数M2よりも多いか否か、若しくは、M1とM2との差分が予め定められた閾値以上または閾値を超えるか否かを、これらの組合せに関連付けられた投資制限グループ識別情報で識別される投資制限グループ毎に全ての投資制限グループについて判定し、その判定結果を出力するか、または、M1,M2の差分の値、若しくは、M1,M2のそれぞれの値を、投資制限グループ毎に全ての投資制限グループについて出力する処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の運用スタイル決定システム。
【請求項5】
請求項1〜のいずれかに記載の運用スタイル決定システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関が顧客から預かった資産を運用する投資一任サービスを提供する際の運用スタイルを決定する処理を実行するコンピュータにより構成された運用スタイル決定システムおよびプログラムに係り、例えば、ファンドラップサービスを提供する際の運用スタイルを決定する場合等に利用できる。
【背景技術】
【0002】
一般に、投資一任サービスとは、投資家が証券会社等の金融機関と投資一任契約を締結し、運用スタイルを選択したうえで、すなわち、運用方針を指示したうえで、投資家の保有する資産の運用・管理を証券会社等の金融機関に委ねる金融サービスである。このうち、投資信託(以下、「投信」と略記することがある。)への投資を取り扱う投資一任サービスとして、ファンドラップサービスがあり、近年、多くの金融機関により様々なファンドラップサービスが提供されている。また、より一般的なラップ口座による投資一任サービスでは、投資信託だけではなく、株式や債券等の他の金融商品、さらには不動産等の商品に投資するものもある。
【0003】
ところで、従来のファンドラップサービスにおいては、複数(例えば5つ)のヒアリング内容に基づき、顧客のリスク許容度を判定し、運用スタイルの決定を行っていた。この際、ヒアリング内容に基づく運用スタイルの決定処理は、プログラム内に記述された固有の論理に従って実行されるようになっていた。従って、運用スタイルの決定論理を変更するためには、プログラムの修正が必要であった。
【0004】
具体的には、例えば、安定運用コース、やや安定運用コース、バランス運用コース、やや積極運用コース、積極運用コースという5つの運用コースを用意しておき、先ず、質問番号1で、「期待する運用成果」を質問する。この質問番号1の質問は、顧客に提案する運用コースを直接選択するための5つの選択肢(A:800万円〜1,600万円、B:775万円〜1,800万円、C:750万円〜2,000万円、D:725万円〜2,200万円、E:700万円〜2,400万円)を提示する選択肢提示型の質問であり、最も重要な項目である。
【0005】
この際、顧客の回答が選択肢Aの場合には、「安定運用コース」と判定し、選択肢Bの場合には、「やや安定運用コース」と判定し、選択肢Cの場合には、「バランス運用コース」と判定し、選択肢Dの場合には、「やや積極運用コース」と判定し、選択肢Eの場合には、「積極運用コース」と判定する。
【0006】
続いて、質問番号2で、「下落時のお考え」を質問する。この質問番号2の質問は、リスク許容度の水準(運用コース)を1つ下げる補正を行う項目である。この質問に対して用意されている「D:運用の終了を検討する」という選択肢が選択された場合には、リスク許容度の水準を1つ下げる補正を行う。すなわち、前述した質問番号1の質問に対する回答で、「積極運用コース」と判定されていれば、1つ下の「やや積極運用コース」に補正し、「やや積極運用コース」と判定されていれば、1つ下の「バランス運用コース」に補正し、「バランス運用コース」と判定されていれば、1つ下の「やや安定運用コース」に補正し、「やや安定運用コース」と判定されていれば、1つ下の「安定運用コース」に補正する。なお、質問番号1の質問に対する回答で「安定運用コース」と判定されている場合(質問番号1で、選択肢Aが選択されている場合)には、それよりも下の水準の運用コースはないため、補正は行わない(何もしない)。また、質問番号2の質問に対する回答が、選択肢A,B,Cの場合には、補正を行わない(何もしない)。
【0007】
それから、質問番号3で、「資金の将来用途」を質問する。この質問番号3の質問は、提案する運用コース(リスク許容度)の上限を定める項目であり、7つの選択肢(A:将来の生活資金、B:教育資金・結婚式、C:ご親族に遺す資金、D:レジャー資金、E:老後の余裕資金、F:その他、G:未定)を提示する選択肢提示型の質問である。
【0008】
この際、顧客の回答が選択肢A,B,Cの場合には、リスク許容度が「バランス運用コース」以下になるように補正を行う。一方、選択肢D,E,F,Gの場合には、補正を行わない(何もしない)。
【0009】
さらに、質問番号4で、「資金の金融資産全体に占める割合」を質問する。この質問番号4の質問は、提案する運用コース(リスク許容度)の上限を定める項目であり、5つの選択肢(A:5割未満、B:5割以上7割未満、C:7割以上9割未満、D:9割以上、E:分からない)を提示する選択肢提示型の質問である。
【0010】
この際、顧客の回答が選択肢Bの場合には、リスク許容度が「やや積極運用コース」以下になるように補正し、選択肢Cの場合には、リスク許容度が「バランス運用コース」以下になるように補正し、選択肢Dの場合には、リスク許容度が「やや安定運用コース」以下になるよう補正する。一方、選択肢A,Eの場合には、補正を行わない(何もしない)。
【0011】
最後に、質問番号5で、「運用期間」を質問する。この質問番号5の質問は、提案する運用コース(リスク許容度)の上限を定める項目であり、5つの選択肢(A:1年以上3年未満、B:3年以上5年未満、C:5年以上10年未満、D:10年以上、E:未定)を提示する選択肢提示型の質問である。
【0012】
この際、顧客の回答が選択肢Aの場合には、リスク許容度が「バランス運用コース」以下になるように補正する。一方、選択肢B,C,D,Eの場合には、補正を行わない(何もしない)。
【0013】
以上の質問番号1〜5の各質問への回答例およびそれによる運用コースの決定例を挙げると、質問番号1で、選択肢E(700万円〜2,400万円)が選択され、「積極運用コース」と判定されたとする。その後、質問番号2で、選択肢D(運用の終了を検討する)が選択されると、「積極運用コース」からその1つ下の「やや積極運用コース」に補正される。続いて、質問番号3で、選択肢A(将来の生活資金)が選択されると、「バランス運用コース」に補正される。それから、質問番号4で、選択肢B(5割以上7割未満)が選択されると、リスク許容度が「やや積極運用コース」以下になるように補正されるが、既にそうなっているので、補正は行われず、「バランス運用コース」のままとなる。最後に、質問番号5で、選択肢C(5年以上10年未満)が選択されると、その場合には、補正を行わないので、「バランス運用コース」のままとなる。
【0014】
また、本発明では、選択肢提示型の質問に対する顧客の回答を点数化し、当該顧客に提案する運用スタイルを決定するが、質問に対する回答結果が点数化されているという点で、本発明に関連する技術としては、ヒアリングポイントテーブルと、投資比率テーブルとを備え、投資比率テーブルに基づいて金融商品別の投資配分からモデルポートフォリオを算出する証券情報処理システムが知られている(特許文献1参照)。
【0015】
この特許文献1に記載された証券情報処理システムは、顧客への投資ヒアリングの項目の選択肢毎に、リスク許容度のポイント値および分類した金融商品の投資比率に対するポイント値を定義するヒアリングポイントテーブルと、顧客へのヒアリングの回答結果に基づいて、ヒアリングポイントテーブルに定義されたリスク許容度および分類した金融商品の投資比率毎のポイント値を加算し、加算されたポイント値から分類された金融商品ごとの投資比率を設定する投資比率テーブルとを備え、モデルポートフォリオ算出手段が、投資比率テーブルに基づいて金融商品別の投資配分からモデルポートフォリオを算出するようになっている(特許文献1の[0012]参照)。
【0016】
より詳細には、モデルポートフォリオを算出するために顧客に対してヒアリング(質問)を行い、その回答結果から、「リスク許容度」、「短期/長期比率」、「株式/債券比率」、「国内/海外比率(債券)」、および「国内/海外比率(株式)」の5項目を分析してそれぞれを点数化する(特許文献1の[0025]参照)。この際、これらの5項目(リスク許容度および4種類の投資比率)を点数化するためのヒアリング項目の一例として、年齢、金融資産、投資経験、リスク、債券リスク、投資、投資判断、株式投資、外国投資、内外の景気、および為替見通しが挙げられ、また、必要に応じてヒアリング項目を変更してもよい旨も記載されている(特許文献1の[0026]参照)。そして、これらのヒアリング項目の各々について、回答内容(選択肢)に対応して定められた点数(5項目のそれぞれの点数)がヒアリングポイントテーブルに定義されているので(特許文献1の[0026]、図3図5参照)、5項目(リスク許容度および4種類の投資比率)のそれぞれについて、顧客の回答結果(選択した選択肢)に従って各ヒアリング項目における点数を取得し、それらの合計点数を算出し(特許文献1の図6参照)、さらに、5項目のそれぞれについての合計点数を用いて、投資比率テーブルから、モデルポートフォリオを算出する(特許文献1の図7図8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2004−240720号公報(段落[0012]、[0025]、[0026]、図3図8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ファンドラップというサービスは、社会情勢の変動・需要の変化に応じて運用スタイルを変更することで、顧客のニーズに沿う投資運用を目指している。このため、本来であれば社会情勢に応じて、運用スタイル決定論理を柔軟に変更する必要がある。しかし、前述したように、従来のファンドラップサービスにおいて運用スタイルの決定論理を変更するには、プログラムの修正が必須となっているので、柔軟な対応ができないことから、結果として、顧客にとって最適なポートフォリオ形成を常に実現できているとは言えない状況になることもあった。
【0019】
また、前述した特許文献1に記載された証券情報処理システムでは、ヒアリングポイントテーブル(特許文献1の図3図5参照)の配点を変えれば、合計点数が変わるので、投資比率テーブルにおける区分け(ヒアリングポイント値で仕切られた区分け)への帰属が変わり、異なる内容のモデルポートフォリオを作成することが可能である。また、投資比率テーブル(特許文献1の図7参照)における各区分けを仕切るヒアリングポイント値を変えたり(例えば「0以上10未満」を「0以上7未満」に変える等)、各区分けの投資比率の値を変えること(例えば「65%/35%」を「60%/40%」に変える等)によっても、異なる内容のモデルポートフォリオを作成することが可能である。従って、ヒアリングポイントテーブルや投資比率テーブルのデータ内容を変えれば、プログラムを修正しなくても、モデルポートフォリオ(運用スタイル)の決定論理を変えることができるともといえる。
【0020】
しかし、この特許文献1に記載された証券情報処理システムは、ファンドラップサービスのように、多くの顧客による多様なニーズがあることを前提とし、多くの運用スタイルを予め用意しておき、それらの運用スタイルの中から、各顧客のそれぞれのニーズに沿った運用スタイルを選択し、提案するというサービスを提供するのに適した構成であるとはいえない。すなわち、投資比率テーブルのデータ内容(比率の値)がそのままモデルポートフォリオ(各金融商品の構成比率)となるので、多くの運用スタイルを予め用意しておくのに適した構成ではない。端的に言えば、ある1人の顧客のニーズが与えられたときに、そのニーズに沿ったモデルポートフォリオ(運用スタイル)を作成するのに適した構成ではあるが、予め用意された多くの運用スタイルの中から、顧客にとって適切な運用スタイルを選択決定するのに適した構成ではない。
【0021】
ここで、投資比率テーブル(特許文献1の図7参照)において、ヒアリングポイント値により仕切られて形成された各区分け(各カラム)を、モデルポートフォリオ(運用スタイル)と見れば、多くのモデルポートフォリオが予め用意されていると考えることもできる。しかし、このように考えた場合でも、投資比率テーブルの構造をそのままにしてデータ内容(比率の値)を変えれば、異なる内容のモデルポートフォリオを用意することはできるものの、用意するモデルポートフォリオの数を増やす(新しいモデルポートフォリオを追加する)には、ヒアリングポイント値による仕切りを多くして区分けの数(カラムの数)を増やさなければならないので、投資比率テーブルの構造自体を変更しなければならない。従って、例えば、多くの(例えば数百)の運用スタイルがある状況下で、さらに幾つか(例えば数十)の運用スタイルを新たに作成することにより、選択候補となる運用スタイルを増やすという作業に適した構成ではない。
【0022】
また、質問により顧客のニーズを捉え、リスク水準を定めるということは、そのリスク水準以下のリスク水準の運用スタイルが、顧客の許容範囲であるということになるので、顧客への質問に対する回答内容で定まったリスク水準は、上限を決めているといえる。一方、あるリスク水準の運用スタイルを作成するということは、そのリスク水準以上のリスク水準を許容する顧客に適用可能な運用スタイルを作成するということになるので(高いリスク水準を許容している顧客に対し、低いリスク水準の運用スタイルを適用しても、適切であるとはいえないものの、大きな不都合は生じないという考え方による。)、運用スタイルに対応するリスク水準は、下限を決めているといえる。後述するように、本発明では、このようなリスク水準の性質を利用した構成が特徴となっており、点数がFROM〜TOを持つといった説明が行われている。しかし、特許文献1に記載された証券情報処理システムは、このようなリスク水準の性質を利用した構成(リスク水準に上限・下限の概念を持たせ、それを利用して運用スタイルを決定する構成)を備えていない。すなわち、特許文献1に記載された証券情報処理システムでは、投資比率テーブル(特許文献1の図7参照)における各区分けに幅(ヒアリングポイント値が、例えば0以上10未満のような幅)は存在するものの、その幅を同レベルのリスク水準と考えると、顧客への質問に対する回答結果で定まるリスク水準と、採用されるモデルポートフォリオとが、1対1の対応関係になっているに等しいので、リスク水準に上限・下限の概念を持たせるような構成を備えていない。このことが、新たな運用スタイルの追加を容易に行うことができない一因でもある。
【0023】
そして、以上に述べた課題のうち、運用スタイルの決定論理の変更にあたり、プログラムの修正が必須であることに起因する課題は、ファンドラップサービスに限らず、より広く、運用スタイルの決定が必要となる投資一任サービスについて同様に言えることである。また、多くの顧客による多様なニーズと、予め用意された多くの運用スタイルとのマッチングに適した構成の実現は、特にファンドラップサービスで有用であるが、他の投資一任サービスでも、同様なマッチングを行う場合もあるので、実現されれば便利である。さらに、選択候補として用意する運用スタイルの追加が容易な構成も、ファンドラップサービスに限らず、他の投資一任サービスでも、実現されれば便利である。
【0024】
本発明の目的は、社会情勢の変動や需要の変化に応じて運用スタイルを柔軟に変更または追加することができる運用スタイル決定システムおよびプログラムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
<発明の基本構成>
【0026】
本発明は、金融機関が顧客から預かった資産を運用する投資一任サービスを提供する際の運用スタイルを決定する処理を実行するコンピュータにより構成された運用スタイル決定システムであって、
投資期間に関する選択肢提示型の少なくとも1つの質問およびリスク許容度に関する選択肢提示型の少なくとも1つの質問に対する顧客の回答データの入力を受け付ける処理を実行する顧客回答受付手段と、
投資期間に関する質問に対して各選択肢が選択された場合に付与する点数を記憶する投資期間配点記憶手段と、
リスク許容度に関する質問に対して各選択肢が選択された場合に付与する点数を記憶するリスク許容度配点記憶手段と、
顧客回答受付手段により受け付けた回答データに含まれる投資期間に関する質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢に対応する点数を投資期間配点記憶手段から取得し、取得した点数を合計して投資期間点数合計値を算出する処理を実行する投資期間点数算出手段と、
顧客回答受付手段により受け付けた回答データに含まれるリスク許容度に関する質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢に対応する点数をリスク許容度配点記憶手段から取得し、取得した点数を合計してリスク許容度点数合計値を算出する処理を実行するリスク許容度点数算出手段と、
運用スタイルの内容に応じた投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せと当該運用スタイルについての運用スタイル識別情報とを関連付けて記憶する運用スタイル決定テーブル記憶手段と、
この運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶された投資期間点数およびリスク許容度点数がそれぞれ投資期間点数合計値以下若しくは未満およびリスク許容度点数合計値以下若しくは未満という基礎抽出条件を満たす組合せのうち、
投資期間点数が最大値となる組合せの中からリスク許容度点数が最大値となる組合せを抽出するか、
リスク許容度点数が最大値となる組合せの中から投資期間点数が最大値となる組合せを抽出するか、
または、投資期間点数若しくはこれに係数を乗じた点数とリスク許容度点数若しくはこれに係数を乗じた点数との和が最大値となる組合せを抽出し、
抽出した組合せに関連付けられた運用スタイル識別情報を取得することにより、選択する運用スタイルを決定する処理を実行する運用スタイル決定手段と
を備えたことを特徴とするものである。
【0027】
ここで、投資期間に関する質問は「少なくとも1つ」用意されていればよいので、「投資期間点数算出手段」における「取得した点数を合計して投資期間点数合計値を算出する」については、投資期間に関する複数の質問がある場合に、合計すればよい趣旨であり、投資期間に関する質問が1つしかない場合には、合計する必要はない。同様に、リスク許容度に関する質問も「少なくとも1つ」用意されていればよいので、「リスク許容度点数算出手段」における「取得した点数を合計してリスク許容度点数合計値を算出する」については、リスク許容度に関する複数の質問がある場合に、合計すればよい趣旨であり、リスク許容度に関する質問が1つしかない場合には、合計する必要はない。
【0028】
また、「運用スタイル決定手段」における「投資期間点数が最大値となる組合せの中からリスク許容度点数が最大値となる組合せを抽出する」というのは、基礎抽出条件を満たす組合せの中から、(1)先ず、投資期間点数が最大値となる組合せを抽出し、次に、その中からリスク許容度点数が最大値となる組合せを抽出するという順序で抽出処理を実行するという意味であり、「リスク許容度点数が最大値となる組合せの中から投資期間点数が最大値となる組合せを抽出する」というのは、上記の順序(1)とは逆の順序(2)で抽出処理を実行するという意味である。
【0029】
さらに、「運用スタイル決定手段」における「投資期間点数若しくはこれに係数を乗じた点数とリスク許容度点数若しくはこれに係数を乗じた点数との和が最大値となる組合せを抽出」とは、投資期間点数とリスク許容度点数との和が最大値となる組合せを抽出してもよく、双方に重み付けをするために、投資期間点数、リスク許容度点数のいずれか一方、または双方に、係数を乗じてから、和をとってもよい趣旨である。
【0030】
このような本発明の運用スタイル決定システムにおいては、投資期間配点記憶手段に記憶されている投資期間に関する質問に対する各選択肢への配点、および、リスク許容度配点記憶手段に記憶されているリスク許容度に関する質問に対する各選択肢への配点に従って、顧客の回答データから、投資期間点数合計値およびリスク許容度点数合計値を算出し、これらの合計値を用いて、運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶されている運用スタイル決定テーブルの情報から、運用スタイルを決定する。このため、投資期間配点記憶手段やリスク許容度配点記憶手段に記憶されている配点を変更し、あるいは運用スタイル決定テーブルの内容を変更することにより、運用スタイル決定論理を変更することができるので、プログラムの修正によらない運用スタイル決定論理の変更を実現することが可能となる。
【0031】
また、顧客への質問に対する回答データから得られた投資期間点数合計値およびリスク許容度点数合計値というのは、顧客が許容できるリスク水準(リスクの程度)を示す情報であるため、リスク水準の上限を決める情報に相当する。一方、運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶されている「運用スタイルの内容に応じた投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せ」というのは、当該運用スタイルの内容(どのような金融商品が、どのような配分比率で保有されるのか)に応じたリスク水準を示す情報であり、リスク水準の高い運用スタイルを許容できる顧客は、それよりもリスク水準の低い運用スタイルを採用しても不都合は生じないという考え方をとると、当該運用スタイルは、その内容に応じたリスク水準以上またはそれを超えるリスク水準を許容する顧客向けの運用スタイルであるといえる。従って、運用スタイル決定テーブルにおいて、運用スタイル識別情報に対応している投資期間点数およびリスク許容度点数というのは、リスク水準の下限を決める情報に相当する。
【0032】
本発明の運用スタイル決定手段は、このようなリスク水準の性質を利用し、運用スタイルを決定する。すなわち、リスク水準に上限・下限の概念を持たせ、それを利用して運用スタイルを決定する。本発明では、リスク水準を、投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せで捉えるので、これらの点数に上限・下限の概念を持たせ、それを利用して運用スタイルを決定することになる。
【0033】
この際、運用スタイル決定手段は、基礎抽出条件を満たす組合せ(投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せ)を抽出するが、この抽出処理では、上限を示す投資期間点数合計値およびリスク許容度点数合計値を用いて、運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶されている下限を示す投資期間点数およびリスク許容度点数との大小比較判定を行う。従って、基礎抽出条件を満たす組合せに対応する運用スタイルは、それが顧客にとって最適な選択であるか否かは別として、リスク水準の観点からは、選択しても不都合のない運用スタイルということになる。
【0034】
そして、基礎抽出条件を満たす組合せ(投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せ)に対応する運用スタイルの中から、すなわち、選択しても不都合のない運用スタイルの中から、より顧客のニーズに沿う運用スタイルを抽出するために、投資期間点数やリスク許容度点数が最大値となる組合せを抽出する。
【0035】
このように点数(投資期間点数やリスク許容度点数)に上限・下限の概念(FROM〜TO)を持たせ、下限に相当する点数を、運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶させておく構成を備えているので、運用スタイルの追加を容易に行うことが可能となる。すなわち、新たに運用スタイルを作成した場合に、当該運用スタイルの内容に応じたリスク水準を示す投資期間点数やリスク許容度点数の組合せ、および、当該運用スタイルについての運用スタイル識別情報を、運用スタイル決定テーブル記憶手段に追加して記憶させておけば、当該運用スタイルを、基礎抽出条件を満たすか否かの判定対象とすることが可能となる。従って、前述した特許文献1に記載された証券情報処理システムのようにテーブル構造を変えなくても、運用スタイルの追加を行うことが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0036】
<投資制限に関する質問を行い、投資制限グループを特定する構成>
【0037】
また、前述した運用スタイル決定システムにおいて、
顧客回答受付手段は、
投資期間に関する質問およびリスク許容度に関する質問に加え、投資制限に関する選択肢提示型の少なくとも1つの質問に対する顧客の回答データの入力を受け付ける処理も実行する構成とされ、
投資制限に関する質問に対して選択された選択肢の組合せとこの組合せで定まる投資制限グループについての投資制限グループ識別情報とを関連付けて記憶する投資制限グループ特定テーブル記憶手段と、
顧客回答受付手段により受け付けた回答データに含まれる投資制限に関する質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢の組合せに関連付けられた投資制限グループ識別情報を投資制限グループ特定テーブル記憶手段から取得することにより、採用する投資制限グループを特定する処理を実行する投資制限グループ特定手段とを備え、
運用スタイル決定テーブル記憶手段は、
投資制限グループ識別情報と、運用スタイルの内容に応じた投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せと、当該運用スタイルについての運用スタイル識別情報とを関連付けて記憶する構成とされ、
運用スタイル決定手段は、
運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶された投資制限グループ識別情報が投資制限グループ特定手段により特定した投資制限グループについての投資制限グループ識別情報と一致するとともに、運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶された投資期間点数およびリスク許容度点数がそれぞれ投資期間点数合計値以下若しくは未満およびリスク許容度点数合計値以下若しくは未満という基礎抽出条件を満たす組合せのうち、
投資期間点数が最大値となる組合せの中からリスク許容度点数が最大値となる組合せを抽出するか、
リスク許容度点数が最大値となる組合せの中から投資期間点数が最大値となる組合せを抽出するか、
または、投資期間点数若しくはこれに係数を乗じた点数とリスク許容度点数若しくはこれに係数を乗じた点数との和が最大値となる組合せを抽出し、
抽出した組合せに関連付けられた運用スタイル識別情報を取得することにより、選択する運用スタイルを決定する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0038】
ここで、投資制限に関する質問は「少なくとも1つ」用意されていればよいので、投資制限グループ特定テーブル記憶手段や投資制限グループ特定手段における「選択肢の組合せ」については、投資制限に関する複数の質問がある場合に、各質問で選択された選択肢を組み合わせればよい趣旨であり、投資制限に関する質問が1つしかない場合には、組み合わせる必要はない。
【0039】
このように投資制限に関する質問を行い、投資制限グループを特定する構成とした場合には、投資比率(保有比率が高くなるとリスクが高まる傾向にある投資対象への投資比率)や特定の投資対象の組み入れの可否を質問することにより、その回答結果に従って、投資制限に関する考え方の相違という形で顧客のニーズを分類してグループ化し、さらにそれらの投資制限グループのそれぞれにおいて、投資期間点数やリスク許容度点数を用いて、顧客が許容するリスク水準を把握し、その顧客にとって最適な運用スタイルを選択し、提案することが可能となる。このため、顧客のニーズを、より体系的に捉えて細分化することができるので、運用スタイルの決定が、より顧客のニーズに沿った形で行われることになる。
【0040】
また、投資制限グループを設けることにより、選択候補として用意しておく運用スタイルの作成が容易になるか、あるいは作成した運用スタイルの分類、管理が容易になる。投資比率(保有比率が高くなるとリスクが高まる傾向にある投資対象への投資比率)や特定の投資対象の組み入れの可否といった投資制限に関する質問項目は、運用スタイルの構成比率に直結するからである。システム管理者が運用スタイルを作成する際に、いずれの投資制限グループに属する運用スタイルを作成するのかを事前に意識することになるか、あるいは、作成された運用スタイルが、いずれの投資制限グループに属するのかが事後的に定まることになる。そして、各投資制限グループに属しつつ、すなわち各投資制限グループの投資制限の内容(投資比率、特定の投資対象の組み入れの可否)を満たしつつ、リスク水準の異なる幾つかの運用スタイルを用意することができるようになる。
【0041】
なお、「リスク許容度」という用語は、特許文献1でも使用されているが、広義には、本発明における投資制限、投資期間、リスク許容度の全てを含む概念で使用される。ここでは、投資制限(投資比率、特定の投資対象の組み入れの可否)を独立させ、さらに、その投資制限の内容により分類された投資制限グループの中で、投資期間を、リスク許容度から分離し、投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せという概念を設け、この組合せを、リスク水準(リスクの高低の程度)を示す指標としている。
【0042】
<配点設定支援手段を設け、最小投資期間点数合計値および最小リスク許容度点数合計値を算出し、これらの最小の点数合計値に基づく基礎抽出条件を満たす組合せの存否チェック(最小側の必要組合せの存否チェック)により配点の設定状態をチェックする構成>
【0043】
さらに、前述した投資制限に関する質問を行い、投資制限グループを特定する構成とした場合において、
投資期間配点記憶手段に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合、および/または、リスク許容度配点記憶手段に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合に、配点の設定状態が適切であるか否かをチェックする処理を実行する配点設定支援手段を備え、
この配点設定支援手段は、
投資期間配点記憶手段に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値を全ての質問について合計して最小投資期間点数合計値を算出するとともに、
リスク許容度配点記憶手段に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値を全ての質問について合計して最小リスク許容度点数合計値を算出し、
運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶された投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せの中に、最小投資期間点数合計値以下若しくは未満の投資期間点数で、かつ、最小リスク許容度点数合計値以下若しくは未満のリスク許容度点数の組合せが含まれるか否かを、これらの組合せに関連付けられた投資制限グループ識別情報で識別される投資制限グループ毎に全ての投資制限グループについて判定し、その判定結果を出力する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0044】
このように配点設定支援手段を設け、最小投資期間点数合計値および最小リスク許容度点数合計値を算出し、これらの最小の点数合計値に基づく基礎抽出条件を満たす組合せの存否チェック(最小側の必要組合せの存否チェック)により配点の設定状態をチェックする構成とした場合には、運用スタイルの決定時に、運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶された投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せの中に、基礎抽出条件を満たす組合せが存在せず、顧客に提案する運用スタイルを決定することができないという事態を、未然に回避することが可能となる。
【0045】
この最小投資期間点数合計値および最小リスク許容度点数合計値による配点の設定状態のチェック処理は、運用スタイル決定時の処理(本システムの準備段階ではなく、利用段階の処理)で、システムエラーを発生さないための必須の条件をチェックする処理である。運用スタイル決定手段は、投資期間点数算出手段により算出した投資期間点数合計値が、最小投資期間点数合計値となった場合には、その最小投資期間点数合計値以下若しくは未満の投資期間点数を抽出する処理を行い、リスク許容度点数算出手段により算出したリスク許容度点数合計値が、最小リスク許容度点数合計値となった場合には、その最小リスク許容度点数合計値以下若しくは未満のリスク許容度点数を抽出する処理を行うことにより、採用する運用スタイルを決定するからである。
【0046】
なお、最小投資期間点数合計値以下若しくは未満の投資期間点数が存在すれば、当然に、最大投資期間点数合計値以下若しくは未満の投資期間点数が存在することになり、また、最小リスク許容度点数合計値以下若しくは未満のリスク許容度点数が存在すれば、当然に、最大リスク許容度点数合計値以下若しくは未満のリスク許容度点数が存在することになるので、最小側に問題がなければ、最大側は、基礎抽出条件を満たす組合せの不存在エラーを起こすことはないので、チェック(最大側の必要組合せの存否チェック)の必要はない。
【0047】
また、最大投資期間点数合計値を超えるか若しくはそれ以上の投資期間点数を含むか、あるいは、最大リスク許容度点数合計値を超えるか若しくはそれ以上のリスク許容度点数を含む組合せが存在したとしても、その組合せが基礎抽出条件を満たす組合せとして抽出されることはなく、不要な組合せ(運用スタイル決定時におけるシステム処理に関与しない組合せ)が存在することになるが、その組合せが存在することによってシステムエラー(処理上の不都合)が発生することはないので、抽出されることのない組合せの存否のチェック(不要組合せの存否チェック)は、行ってもよく、行わなくてもよい。
【0048】
<配点設定支援手段を設け、最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値、並びに、最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値を算出し、最大の点数合計値になったときと最小の点数合計値になったときとのバランスチェック(最大・最小バランスチェック)により配点の設定状態をチェックする構成>
【0049】
そして、前述した投資制限に関する質問を行い、投資制限グループを特定する構成とした場合において、
投資期間配点記憶手段に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合、および/または、リスク許容度配点記憶手段に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合に、配点の設定状態が適切であるか否かをチェックする処理を実行する配点設定支援手段を備え、
この配点設定支援手段は、
投資期間配点記憶手段に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値および最大値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値および最大値を全ての質問についてそれぞれ合計して最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値を算出するとともに、
リスク許容度配点記憶手段に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値および最大値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値および最大値を全ての質問についてそれぞれ合計して最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値を算出し、
運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶された投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せのうち、最大投資期間点数合計値以下若しくは未満の投資期間点数で、かつ、最大リスク許容度点数合計値以下若しくは未満のリスク許容度点数の組合せの数M1が、最小投資期間点数合計値以下若しくは未満の投資期間点数で、かつ、最小リスク許容度点数合計値以下若しくは未満のリスク許容度点数の組合せの数M2よりも多いか否か、若しくは、M1とM2との差分が予め定められた閾値以上または閾値を超えるか否かを、これらの組合せに関連付けられた投資制限グループ識別情報で識別される投資制限グループ毎に全ての投資制限グループについて判定し、その判定結果を出力するか、または、M1,M2の差分の値、若しくは、M1,M2のそれぞれの値を、投資制限グループ毎に全ての投資制限グループについて出力する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0050】
このように配点設定支援手段を設け、最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値、並びに、最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値を算出し、最大の点数合計値になったときと最小の点数合計値になったときとのバランスチェック(最大・最小バランスチェック)により配点の設定状態をチェックする構成とした場合には、投資期間配点記憶手段やリスク許容度配点記憶手段に記憶されている配点が、バランスよく行われているか否かを確認することが可能となる。
【0051】
すなわち、算出した投資期間点数合計値が、最大投資期間点数合計値となり、かつ、算出したリスク許容度点数合計値が、最大リスク許容度点数合計値となった場合と、算出した投資期間点数合計値が、最小投資期間点数合計値となり、かつ、算出したリスク許容度点数合計値が、最小リスク許容度点数合計値となった場合とで、基礎抽出条件を満たす組合せの数M1,M2が一致していても、運用スタイルの決定は可能であるため、システムエラー(システム処理上の不都合)は発生しない。しかし、点数合計値が最大になった顧客と、最小になった顧客とで、採用される運用スタイル(顧客に提案する運用スタイル)が同じになるようでは、顧客に対して投資期間に関する質問や、リスク許容度に関する質問を行っている意味がないので、そのような状況になっていないか否かを確認することが可能となる。
【0052】
<運用スタイル決定テーブル記憶手段に、原則として、対応する投資制限グループ識別情報を含み、かつ、対応するリスク水準を含む運用スタイル識別情報を記憶させる構成>
【0053】
また、前述した投資制限に関する質問を行い、投資制限グループを特定する構成とした場合において、
運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶される投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せとこの組合せで定まるリスク水準とを関連付けて記憶するリスク水準設定テーブル記憶手段を備え、
運用スタイル決定テーブル記憶手段は、
投資制限グループ識別情報と、投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せと、運用スタイル識別情報とを関連付けて記憶し、当該運用スタイル識別情報には、原則として、当該投資制限グループ識別情報を含み、かつ、当該組合せと関連付けられてリスク水準設定テーブル記憶手段に記憶されているリスク水準を含む運用スタイル識別情報が割り当てられた構成とされていることが望ましい。
【0054】
このように運用スタイル決定テーブル記憶手段に、原則として、対応する投資制限グループ識別情報を含み、かつ、対応するリスク水準を含む運用スタイル識別情報を記憶させる構成とした場合には、運用スタイル決定テーブル記憶手段の初期設定または設定の変更を容易に行うことが可能となる。
【0055】
<配点設定支援手段を設け、最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値、並びに、最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値を算出し、これらの最小および最大の点数合計値がリスク水準の設定範囲内に収まるか否かのチェック(リスク水準設定範囲内チェック)により配点の設定状態をチェックする構成>
【0056】
さらに、前述した運用スタイル決定テーブル記憶手段に、原則として、対応する投資制限グループ識別情報を含み、かつ、対応するリスク水準を含む運用スタイル識別情報を記憶させる構成とした場合において、
投資期間配点記憶手段に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合、および/または、リスク許容度配点記憶手段に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合に、配点の設定状態が適切であるか否かをチェックする処理を実行する配点設定支援手段を備え、
この配点設定支援手段は、
投資期間配点記憶手段に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値および最大値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値および最大値を全ての質問についてそれぞれ合計して最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値を算出するとともに、
リスク許容度配点記憶手段に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値および最大値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値および最大値を全ての質問についてそれぞれ合計して最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値を算出し、
算出した最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値がリスク水準設定テーブル記憶手段にリスク水準と関連付けて記憶された投資期間点数の範囲内に収まるか否か、並びに、算出した最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値が、リスク水準設定テーブル記憶手段にリスク水準と関連付けて記憶されたリスク許容度点数の範囲内に収まるか否かを判定し、その判定結果を出力する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0057】
このように配点設定支援手段を設け、最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値、並びに、最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値を算出し、これらの最小および最大の点数合計値がリスク水準の設定範囲内に収まるか否かのチェック(リスク水準設定範囲内チェック)により配点の設定状態をチェックする構成とした場合には、算出した投資期間点数合計値やリスク許容度点数合計値が、対応するリスク水準が設定されていないような範囲の点数になり、対応する運用スタイルが存在しない状況となることを未然に回避することが可能となる。
【0058】
すなわち、算出した投資期間点数合計値が、リスク水準設定テーブル記憶手段にリスク水準と関連付けて記憶された投資期間点数の範囲内(リスク水準の設定範囲内)に収まっていない、あるいは、算出したリスク許容度点数合計値が、リスク水準設定テーブル記憶手段にリスク水準と関連付けて記憶されたリスク許容度点数の範囲内(リスク水準の設定範囲内)に収まっていないと、対応するリスク水準が定まらず(存在せず)、そのリスク水準に対応する運用スタイルが定まらないことになり、従って、対応する運用スタイルについての運用スタイル識別情報を、運用スタイル決定テーブル記憶手段に用意しておくことができないことになる。但し、運用スタイル決定テーブル記憶手段には、投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せに対応するリスク水準以外のリスク水準の運用スタイル(例えば、対応するリスク水準よりも低いリスク水準の運用スタイル)についての運用スタイル識別情報(調整後の運用スタイル識別情報)を記憶させておいてもよいので、リスク水準設定テーブル記憶手段におけるリスク水準の設定範囲内に収まっていないことをもって、運用スタイル決定テーブル記憶手段の設定を行うことができない(有用な運用スタイル決定テーブルを作成できない)ということではない。
【0059】
<運用スタイル作成支援手段を備えた構成>
【0060】
また、前述した投資制限に関する質問を行い、投資制限グループを特定する構成とした場合において、
運用スタイルを構成する金融商品の種別毎の構成比率と、当該運用スタイルについての運用スタイル識別情報とを関連付けて記憶する運用スタイルマスタ記憶手段と、
作成する運用スタイルについての金融商品の種別毎の構成比率の設定を支援する処理を実行する運用スタイル作成支援手段とを備え、
運用スタイル作成支援手段は、
作成中または作成した運用スタイルについて前記運用スタイルマスタ記憶手段に記憶されている運用スタイル識別情報に含まれる投資制限グループ識別情報を用いて、投資制限グループ特定テーブル記憶手段から、投資制限に関する質問に対する選択肢の組合せを取得し、当該運用スタイルについての運用スタイル識別情報に関連付けられて運用スタイルマスタ記憶手段に記憶されている金融商品の種別毎の構成比率を用いて、当該運用スタイルの内容が、取得した選択肢の組合せで定まる投資制限の内容を満たすか否かを判定し、その判定結果を出力する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0061】
このように運用スタイル作成支援手段を備えた構成とした場合には、作成中または作成した運用スタイルの内容(保有比率が高くなるとリスクが高まる傾向にある投資対象への投資比率や、特定の投資対象の組み入れの有無)が、その運用スタイルが属すべき投資制限グループの投資制限の内容を満たしているか否かを容易に確認することが可能となる。つまり、作成中または作成した運用スタイルの内容が、その運用スタイルについての運用スタイル識別情報に含まれる投資制限グループ識別情報の投資制限グループの内容に合致しているか否かを容易に確認することが可能となる。このため、運用スタイルの内容と、その運用スタイルについての運用スタイル識別情報とが符合していない状態となることを、未然に回避することができる。
【0062】
<運用スタイル決定テーブル設定支援手段を備えた構成>
【0063】
また、前述した運用スタイル決定テーブル記憶手段に、原則として、対応する投資制限グループ識別情報を含み、かつ、対応するリスク水準を含む運用スタイル識別情報を記憶させる構成とした場合において、
リスク水準設定テーブル記憶手段における投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せとリスク水準との対応関係についての初期設定または設定の変更が行われた場合に、運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶されているか若しくは記憶させる投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せに対応するリスク水準を、リスク水準設定テーブル記憶手段から取得し、運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶されているか若しくは記憶させる投資制限グループ識別情報または調整後の投資制限グループ識別情報を含み、かつ、取得したリスク水準または調整後のリスク水準を含む運用スタイル識別情報を作成し、調整をしていない当該投資制限グループ識別情報と、当該組合せと、作成した運用スタイル識別情報とを関連付けて運用スタイル決定テーブル記憶手段に記憶させる処理を実行する運用スタイル決定テーブル設定支援手段を備えた構成とすることが望ましい。
【0064】
このように運用スタイル決定テーブル設定支援手段を備えた構成とした場合には、リスク水準設定テーブル記憶手段における投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せとリスク水準との対応関係についての初期設定または設定の変更を行ったときに、運用スタイル決定テーブル記憶手段の設定情報を容易にそれに対応させることが可能となる。
【0065】
<プログラムの発明>
【0066】
また、本発明のプログラムは、以上に述べた運用スタイル決定システムとして、コンピュータを機能させるためのものである。
【0067】
なお、上記のプログラムまたはその一部は、例えば、光磁気ディスク(MO)、コンパクトディスク(CD)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュディスク等の記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能であるとともに、例えば、LAN、MAN、WAN、インターネット、イントラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に載せて搬送することも可能である。さらに、上記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【発明の効果】
【0068】
以上に述べたように本発明によれば、投資期間やリスク許容度に関する選択肢提示型の質問に対する回答内容を点数化し、点数の合計値を用いて運用スタイル決定テーブルの情報から運用スタイルを決定するので、各選択肢の配点やテーブル内容を変更することにより、プログラムの修正によらない運用スタイル決定論理の変更を実現することができるうえ、点数に上限・下限の概念を持たせ、これを利用して運用スタイル決定テーブルで運用スタイルを決定する構成とされているので、運用スタイルの変更または追加を容易に行うことができることから、社会情勢の変動や需要の変化に応じて運用スタイルを柔軟に変更または追加することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本発明の一実施形態の運用スタイル決定システムおよびその周辺システムの全体構成図。
図2】前記実施形態の投資制限グループ特定テーブル記憶手段の構成図。
図3】前記実施形態の投資期間配点記憶手段の構成図。
図4】前記実施形態のリスク許容度配点記憶手段の構成図。
図5】前記実施形態の運用スタイル決定テーブル記憶手段の構成図。
図6】前記実施形態の運用スタイルマスタ記憶手段の構成図。
図7】前記実施形態のリスク水準設定テーブル記憶手段の構成図。
図8】前記実施形態の運用スタイルの決定処理の流れ(その1)を示すフローチャートの図。
図9】前記実施形態の運用スタイルの決定処理の流れ(その2)を示すフローチャートの図。
図10】前記実施形態の運用スタイル決定テーブルの設定処理の流れを示すフローチャートの図。
図11】前記実施形態の運用スタイル決定テーブルの設定方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の運用スタイル決定システム10およびその周辺システムの全体構成が示されている。図2には、投資制限グループ特定テーブル記憶手段42の構成が示され、図3には、投資期間配点記憶手段43の構成が示され、図4には、リスク許容度配点記憶手段44の構成が示され、図5には、運用スタイル決定テーブル記憶手段45の構成が示され、図6には、運用スタイルマスタ記憶手段46の構成が示され、図7には、リスク水準設定テーブル記憶手段47の構成が示されている。また、図8および図9には、運用スタイルの決定処理の流れがフローチャートで示されている。さらに、図10には、運用スタイル決定テーブルの設定処理の流れがフローチャートで示され、図11は、運用スタイル決定テーブルの設定方法の説明図である。
【0071】
<運用スタイル決定システム10およびその周辺システムの全体構成>
【0072】
図1において、顧客に対して投資一任サービス(本実施形態では、一例として、ファンドラップサービスとする。)を提供する証券会社等の金融機関が運営・管理する運用スタイル決定システム10が設けられ、この運用スタイル決定システム10には、ネットワーク1を介して、金融機関内のファンドラップサービスの担当部署に設置されて金融機関のシステム管理者が操作する1つまたは複数の本部端末50と、金融機関内で顧客対応を行う各支店に設置されて金融機関の営業員やオペレータが操作する1つまたは複数(通常は多数)の支店端末60と、金融機関からサービスの提供を受ける顧客が操作する1つまたは複数(通常は多数)の顧客端末70と、ファンドラップサービスのための各種処理を行うファンドラップシステム80とが接続されている。
【0073】
ここで、ネットワーク1は、本実施形態では、インターネットのような広範な外部ネットワーク、およびLANやイントラネット等の金融機関の内部ネットワークの集合体として記載され、有線であるか、無線であるか、有線・無線の混在型であるかは問わない。例えば、顧客端末70から運用スタイル決定システム10やファンドラップシステム80へのアクセスは、外部ネットワークを介して行われる。また、本部端末50や支店端末60から運用スタイル決定システム10やファンドラップシステム80へのアクセス、あるいは運用スタイル決定システム10とファンドラップシステム80との間の通信は、内部ネットワークを介して行われるが、外部ネットワークを介して行ってもよい。
【0074】
運用スタイル決定システム10は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、顧客に対してファンドラップサービスを提供する際に顧客に提案する運用スタイルの決定に関する各種処理やその準備段階のシステム設定支援処理を実行する処理手段20と、この処理手段20で使用する各種データを記憶する記憶手段40とを備えている。
【0075】
このうち、処理手段20は、顧客回答受付手段21と、投資制限グループ特定手段22と、投資期間点数算出手段23と、リスク許容度点数算出手段24と、運用スタイル決定手段25と、システム設定支援手段30とを備えている。また、システム設定支援手段30は、配点設定支援手段31と、運用スタイル作成支援手段32と、リスク水準設定支援手段33と、運用スタイル決定テーブル設定支援手段34とを含んで構成されている。
【0076】
これらの処理手段20に含まれる各手段21〜25,30(31〜34)は、運用スタイル決定システム10を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラム、並びに、主メモリやキャッシュメモリ等の作業用メモリ等により実現される。なお、これらの各手段21〜25,30(31〜34)の詳細は、後述する。
【0077】
また、記憶手段40は、回答データ記憶手段41と、投資制限グループ特定テーブル記憶手段42と、投資期間配点記憶手段43と、リスク許容度配点記憶手段44と、運用スタイル決定テーブル記憶手段45と、運用スタイルマスタ記憶手段46と、リスク水準設定テーブル記憶手段47とを含んで構成されている。
【0078】
これらの記憶手段40に含まれる各記憶手段41〜47のうち、回答データ記憶手段41は、主メモリ上に形成すればよいが、不揮発性メモリとして各顧客の回答データを顧客識別情報(口座番号)と関連付けて保存してもよい。また、各記憶手段42〜47は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、例えば、DVD、CD、MO、磁気テープ等の他の記録媒体を採用してもよい。そして、各記憶手段41〜47のデータ保存形式は、フラットファイル(例えばCSVファイル)等のファイル形式でもよく、データベースでもよい。なお、これらの各記憶手段41〜47の詳細は、後述する。
【0079】
本部端末50、支店端末60、および顧客端末70は、コンピュータにより構成され、例えばマウスやキーボード等の入力手段と、例えば液晶ディスプレイ等の表示手段とを備えている。これらの本部端末50、支店端末60、および顧客端末70は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯情報端末(PDA)等の携帯機器でもよい。
【0080】
ファンドラップシステム80は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、顧客から預かった資産のポートフォリオを、顧客が選択した運用スタイルに沿う状態で維持するために、金融商品(本実施形態では、ファンドラップサービスを提供するので、投資信託となる。)の売買処理を実行するものである。この売買処理は、リバランス処理と呼ばれ、本実施形態のファンドラップシステム80は、実際の顧客のポートフォリオについて、顧客が選択した運用スタイル(運用スタイル決定システム10で決定した運用スタイル)との乖離率を定期的に算出し、乖離分の売買を自動的に行うようになっている。従って、ファンドラップシステム80には、顧客が選択した運用スタイルについての運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)が、顧客識別情報(口座番号)と関連付けて記憶されている。
【0081】
また、ファンドラップシステム80には、運用スタイルについての運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)と、当該運用スタイルを構成する投資信託の銘柄コード(銘柄識別情報)とを関連付ける情報(例えば、運用スタイルコード、運用スタイルを構成する資産クラスについての資産クラスコード、資産クラスを構成する投資信託の銘柄コードという関連付けの情報)が記憶されている。従って、ファンドラップシステム80に、運用スタイル決定システム10で決定した運用スタイルについての運用スタイルコードが設定されると、その運用スタイルで、どのような銘柄(投資信託の銘柄)が購入されるのかがわかるので、いくら投資するかの判断材料が得られることから、顧客との投資一任契約において、契約金額の決定という手続に進むことができる。
【0082】
<運用スタイル決定システム10の詳細構成>
【0083】
<顧客回答受付手段21の構成>
【0084】
顧客回答受付手段21は、金融機関の営業員やオペレータによる支店端末60からの要求、あるいは顧客による顧客端末70からの要求に応じ、投資制限に関する選択肢提示型の少なくとも1つ(本実施形態では、例えば6問程度とする。)の質問、投資期間に関する選択肢提示型の少なくとも1つ(本実施形態では、例えば2問程度とする。)の質問、およびリスク許容度に関する選択肢提示型の少なくとも1つ(本実施形態では、例えば5問程度とする。)の質問の表示用データ(例えば、ウェブ画面データ)を、ネットワーク1を介して送信するとともに、支店端末60や顧客端末70からネットワーク1を介して送信されてくる質問に対する回答データ(各質問における選択肢の選択情報)を受信し、受信した回答データを、回答データ記憶手段41に記憶させる処理を実行するものである。なお、回答データは、運用スタイルを決定する間、主メモリに記憶しておけばよいが、後で参照する等の理由で保存する場合には、顧客識別情報(口座番号)と関連付けて不揮発性メモリ(データベース等)に記憶してもよい。
【0085】
支店端末60では、金融機関の営業員やオペレータが、画面表示された選択肢提示型の質問の内容(質問および各選択肢の内容)を参照し、顧客に対して対面で、または電話等の通信手段で質問(提案やアドバイスを含めた質問)をし、顧客が選択した選択肢の選択情報を、顧客の回答データとして入力し、ネットワーク1を介して運用スタイル決定システム10の顧客回答受付手段21へ送信する。顧客端末70では、顧客自身が、画面表示された選択肢提示型の質問の内容を参照し、自分の回答データを入力し、ネットワーク1を介して運用スタイル決定システム10の顧客回答受付手段21へ送信する。
【0086】
<投資制限グループ特定手段22の構成>
【0087】
投資制限グループ特定手段22は、顧客回答受付手段21により受け付けて回答データ記憶手段41に記憶されている回答データに含まれる投資制限に関する質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢の組合せに関連付けられた投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)を、投資制限グループ特定テーブル記憶手段42(図2参照)から取得することにより、採用する投資制限グループを特定する処理を実行するものである。
【0088】
この投資制限に関する質問は、顧客がどこまでリスクの高い金融商品を投資対象として許容するかといった、投資性向に関する質問であり、本実施形態では、一例として、6つの質問を設け、「株式」、「国内資産(海外資産)」、「為替ヘッジ」、「REIT(リート:Real Estate Investment Trust、不動産投資信託)」、「コモディティ」、「ヘッジファンド」に分類した。そして、これらの6つの質問に対する回答結果(選択した選択肢)の組合せによって、投資制限を管理するための投資制限グループを形成した。
【0089】
具体的には、例えば、投資制限に関する質問の内容および回答の選択肢として、次のような質問番号1〜6の各質問および各選択肢が用意されているとする(図8参照)。質問番号1=株式への投資比率を制限するか(A:3割以下、B:5割以下、C:制限なし)、質問番号2=海外資産への投資比率を制限するか(A:5割以下、B:制限なし)、質問番号3=外貨建て資産へ投資する場合、為替ヘッジをするか(A:する、B:しない、C:どちらでもよい)、質問番号4=投資対象からREITを除くか(A:除く、B、どちらでもよい)、質問番号5=投資対象からコモディティを除くか(A:除く、B:どちらでもよい)、質問番号6=投資対象からヘッジファンドを除くか(A:除く、B:どちらもでよい)。そして、これらの質問に対し、質問番号1から6の順で、顧客の回答内容(選択された選択肢の組合せ)が、選択肢C,B,B,A,B,Aであったとすると、投資制限グループ特定テーブル記憶手段42(図2参照)において、CBBABAに対応するのは、投資制限グループコード=002であるから、「002」の投資制限グループが特定される。この例では、3×2×3×2×2×2=144個の投資制限グループが用意されているが、投資制限グループコードは、必ずしも数字を詰めて付す必要はないので、「150」等の投資制限グループコードがあってもよい。
【0090】
<投資期間点数算出手段23の構成>
【0091】
投資期間点数算出手段23は、顧客回答受付手段21により受け付けて回答データ記憶手段41に記憶されている回答データに含まれる投資期間に関する各質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢に対応する点数を投資期間配点記憶手段43(図3参照)から取得し、取得した点数を投資期間に関する全質問について合計して投資期間点数合計値を算出する処理を実行するものである。
【0092】
例えば、投資期間に関する質問の内容および回答の選択肢として、次のような質問番号1,2の各質問および各選択肢が用意されているとする(図8参照)。質問番号1=運用期間はどれくらいを想定しているか(A:1年以上3年未満、B:3年以上5年未満、C:5年以上10年未満、D:10年以上)、質問番号2=投資資金の一部を運用期間中に引き出す予定はあるか(A:1年以内にある、B:3年以内にある、C:5年以内にある、D:10年以内にある、E:10年以内にはない)。そして、これらの質問に対し、質問番号1で、顧客が選択肢Bを選択したとすると、投資期間配点記憶手段43(図3参照)から、選択肢Bに対応する24点が取得され、質問番号2で、顧客が選択肢Aを選択したとすると、選択肢Aに対応する0点が取得されるので、投資期間点数合計値=24+0=24点が算出される。
【0093】
本発明では、顧客のリスクに対する考え方を把握するにあたり、“投資期間”、“リスク許容度”という2つの要素に分けて質問を行い、それぞれの回答結果を点数化している。投資期間については、投資期間が長い場合(長期投資の場合)に、点数を高くし、投資期間が短い程、点数を低くしている。これは、ファンドラップサービスという長期投資を目的としたサービスであることによるものである。
【0094】
<リスク許容度点数算出手段24の構成>
【0095】
リスク許容度点数算出手段24は、顧客回答受付手段21により受け付けて回答データ記憶手段41に記憶されている回答データに含まれるリスク許容度に関する各質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢に対応する点数をリスク許容度配点記憶手段44(図4参照)から取得し、取得した点数をリスク許容度に関する全質問について合計してリスク許容度点数合計値を算出する処理を実行するものである。
【0096】
例えば、リスク許容度に関する質問の内容および回答の選択肢として、次のような質問番号1〜5の各質問および各選択肢が用意されているとする(図8参照)。質問番号1=投資を予定している資金の原資は何か(A:預貯金、B:株式等の売却・償還、C:退職金、D:相続・贈与、E:ローン・借入金、F:不動産売却、G:その他)、質問番号2=投資予定の金融資産に占める割合はどの程度か(A:1割未満、B:1割以上3割未満、C:3割以上5割未満、D:5割以上7割未満、E:7割以上)、質問番号3=1,000万円を1年間投資した際の運用結果でどれに魅力を感じるか(A:960万円〜1,080万円、B:920万円〜1,140万円、C:870万円〜1,210万円、D:820万円〜1,290万円)、質問番号4=投資におけるリスクとリターンについてどれに当てはまるか(A:リスクは可能な限り抑えたいが、預貯金金利をやや上回るリターンは確保したい、B:ある程度のリターンを得るためには、多少のリスクなら許容できる、C:リスクとリターンのバランスを重視した運用を行いたい、D:大きなリターンを得たいが、リスクが課題にならないようにしたい、E:高いリスクを取ってでも、リターンの最大化を目指したい)、質問番号5=運用資産が大きく値下がりした場合、どう判断するか(A:しばらく様子を見る、B:担当営業員に相談する、C:投資方針の見直しを検討する、D:増額を検討する、E:減額もしくは運用の終了を検討する)。そして、これらの質問に対し、質問番号1で、顧客が選択肢Fを選択したとすると、リスク許容度配点記憶手段44(図4参照)から、選択肢Fに対応する20点が取得され、質問番号2で、顧客が選択肢Cを選択したとすると、選択肢Cに対応する15点が取得され、質問番号3で、顧客が選択肢Aを選択したとすると、選択肢Aに対応する32点が取得され、質問番号4で、顧客が選択肢Dを選択したとすると、選択肢Dに対応する44点が取得され、質問番号5で、顧客が選択肢Bを選択したとすると、選択肢Bに対応する10点が取得されるので、リスク許容度点数合計値=20+15+32+44+10=121点が算出される。
【0097】
上述したように、本発明では、顧客のリスクに対する考え方を把握するにあたり、“投資期間”、“リスク許容度”という2つの要素に分けて質問を行い、それぞれの回答結果を点数化しているが、リスク許容度については、顧客がどこまで許容できるかを点数化し、リスクを多く取れる程、高い点数としている。
【0098】
<運用スタイル決定手段25の構成>
【0099】
運用スタイル決定手段25は、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶された多数のレコードの中から、(α)投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)が投資制限グループ特定手段22により特定した投資制限グループについての投資制限グループコードと一致するとともに、(β)投資期間点数(下限)が投資期間点数算出手段23により算出した投資期間点数合計値以下で、かつ、(γ)リスク許容度点数(下限)がリスク許容度点数算出手段24により算出したリスク許容度点数合計値以下という基礎抽出条件を満たすレコードを抽出し、さらに、基礎抽出条件を満たすレコードの中から最大レコードを抽出し、抽出した最大レコードに含まれる運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)を取得することにより、選択採用する運用スタイル(顧客に提案する運用スタイル)を決定する処理を実行するものである。
【0100】
ここで、前段の基礎抽出条件を満たすレコードの抽出処理の後に実行する後段の最大レコードの抽出処理は、次の(1),(2),(3)のいずれの処理でもよい。
【0101】
(1)の抽出処理では、先ず、基礎抽出条件を満たすレコードのうちの投資期間点数(下限)が最大値となるレコードを抽出し、次に、その中からリスク許容度点数(下限)が最大値となるレコードを抽出する。
【0102】
(2)の抽出処理では、先ず、基礎抽出条件を満たすレコードのうちのリスク許容度点数(下限)が最大値となるレコードを抽出し、次に、その中から投資期間点数(下限)が最大値となるレコードを抽出する。
【0103】
(3)の抽出処理では、基礎抽出条件を満たすレコードのうち、投資期間点数(下限)またはこれに係数を乗じた点数と、リスク許容度点数(下限)またはこれに係数を乗じた点数との和が最大値となるレコードを抽出する。係数は、重み付けのために乗じるので、投資期間点数(下限)とリスク許容度点数(下限)との重みの比を、λ:κとする場合は、「投資期間点数(下限)×λ+リスク許容度点数(下限)×κ」が最大値となるレコードを抽出する。相対的な重み付けができればよいので、係数は、λ、κのいずれか一方でもよい。また、重み付けをしない場合には、λ=κ=1に相当するので、「投資期間点数(下限)+リスク許容度点数(下限)」が最大値となるレコードを抽出する。λやκの値は、ゼロや負の値では意味をなさないので、正の値である必要があるが、1よりも小さい値でもよく、1よりも大きい値でもよい。
【0104】
なお、基礎抽出条件を満たすレコード(投資期間点数(下限)およびリスク許容度点数(下限)の組合せ)の中に、投資期間点数(下限)およびリスク許容度点数(下限)の双方が最大値となるレコード(組合せ)が含まれているとは限らず、含まれている場合と、含まれていない場合とがあってもよく、従って、(1)の抽出処理の結果と、(2)の抽出処理の結果とは、一致する場合(双方が最大値となるレコード(組合せ)が存在することから、抽出の順序によらず、最終的にそのレコード(組合せ)が抽出される場合)と、一致しない場合(双方が最大値となるレコード(組合せ)が存在しないことから、抽出の順序を変えると、最終的に抽出されるレコード(組合せ)が異なる場合)とがあってもよい。
【0105】
例えば、投資制限グループ特定手段22により特定した投資制限グループが、投資制限グループコード=002の投資制限グループであり、投資期間点数算出手段23により算出した投資期間点数合計値=24点であり、リスク許容度点数算出手段24により算出したリスク許容度点数合計値=121点であるものとする。運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶されたレコード(投資期間点数(下限)およびリスク許容度点数(下限)の組合せ)のうち、前述した(α),(β),(γ)の全ての条件を満たすレコード(組合せ)、すなわち基礎抽出条件を満たすレコード(組合せ)は、図5の例では、(投資制限グループコード=002、投資期間点数(下限)=20、リスク許容度点数(下限)=80)のレコードと、(投資制限グループコード=002、投資期間点数(下限)=20、リスク許容度点数(下限)=115)のレコードと、(投資制限グループコード=002、投資期間点数(下限)=24、リスク許容度点数(下限)=80)のレコードと、(投資制限グループコード=002、投資期間点数(下限)=24、リスク許容度点数(下限)=114)のレコードとの4つがある。
【0106】
基礎抽出条件を満たすこれらの4つのレコードのうち、最大レコードは、(1)の抽出処理では、先ず、投資期間点数(下限)が最大値(24点)であるレコードを抽出するので、(投資制限グループコード=002、投資期間点数(下限)=24、リスク許容度点数(下限)=114)のレコードとなる。
【0107】
また、(2)の抽出処理では、先ず、リスク許容度点数が最大値(115点)となるレコードを抽出するので、(投資制限グループコード=002、投資期間点数(下限)=20、リスク許容度点数(下限)=115)のレコードとなる。
【0108】
さらに、(3)の抽出処理(ここでは、重み付けは行わないものとし、λ=κ=1とする。)では、20点+80点=100点のレコード、20点+115点=135点のレコード、24点+80点=104点のレコード、24点+114点=138点のレコードがあるので、最大レコードは、(投資制限グループコード=002、投資期間点数(下限)=24、リスク許容度点数(下限)=114)のレコードとなる。
【0109】
従って、図5の例では、基礎抽出条件を満たす4つのレコードにおいて、投資期間点数(下限)の最大値は、24点であり、リスク許容度点数(下限)の最大値は、115点であるが、4つのレコードの中に、これらの24点および115点の双方を含むレコードは存在しないので、(1)の抽出処理の結果と、(2)の抽出処理の結果とは、異なっている。但し、図5の例では、基礎抽出条件を満たす4つのレコードのいずれについても、運用スタイルコード=10021が含まれているので、結局、同じ運用スタイルに決定される。なお、仮に、基礎抽出条件を満たすレコードの中に、(投資制限グループコード=002、投資期間点数(下限)=24、リスク許容度点数(下限)=115)のレコードが存在していれば、(1)の抽出処理でも、(2)の抽出処理でも、そのレコードが最大レコードとして抽出されることになる。
【0110】
<システム設定支援手段30の構成>
【0111】
処理手段20のうち、以上に述べた各手段21〜25は、システムの利用段階の処理、すなわち選択採用する運用スタイル(顧客に提案する運用スタイル)を決定するための各種処理を実行するものであるが、システム設定支援手段30は、システムの準備段階の処理、すなわち事前に用意しておく運用スタイルの作成や各テーブルの事前設定のための各種処理を実行するものである。従って、各手段21〜25は、支店端末60を操作する営業員やオペレータ、あるいは顧客端末70を操作する顧客が関与する処理を実行するものであるが、システム設定支援手段30は、本部端末50を操作するシステム管理者が関与する処理を実行するものである。
【0112】
<システム設定支援手段30/配点設定支援手段31の構成>
【0113】
配点設定支援手段31は、投資期間配点記憶手段43(図3参照)に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合、および/または、リスク許容度配点記憶手段44(図4参照)に記憶された配点の初期設定若しくは設定の変更が行われた場合に、配点の設定状態が適切であるか否かのチェック(最小側の必要組合せの存否チェック、最大・最小バランスチェック、リスク水準設定範囲内チェック、または、これらに加えて不要組合せの存否チェック)を行い、その結果を出力する処理を実行するものである。また、配点設定支援手段31は、配点の初期設定や設定の変更の際の入力作業の支援処理も実行する。配点の初期設定や設定の変更の作業は、本実施形態では、本部端末50で行われるので、チェック結果の出力は、主として本部端末50への画面表示で行われるが、印字出力や音声出力を伴っていてもよく、印字出力や音声出力だけであってもよい。
【0114】
ここで、投資期間配点記憶手段43(図3参照)やリスク許容度配点記憶手段44(図4参照)における配点(各質問に対して各選択肢が選択された場合の点数の配分)の設定作業(初期設定や設定の変更の作業)は、運用スタイルの作成作業とは独立して行われる。すなわち、配点の内容は、運用スタイルの内容とは独立している。配点は、投資期間点数合計値やリスク許容度点数合計値の算出に用いられるので、顧客が許容できるリスク水準の上限を決めるために用意されるものである。一方、運用スタイルは、その内容(各投資対象への投資比率や、特定の投資対象の組み入れの有無)から、帰属する投資制限グループが定まり、さらに同一の投資制限グループ内でも細部の内容(投資比率の数値等)が異なることから、細部の内容に応じたリスク水準を持つことになり、このことは、本実施形態では運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)の中に投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)およびリスク水準が含まれることからも判るが、この際のリスク水準は、当該運用スタイルが、そのリスク水準以上を許容できる顧客に提案することができる運用スタイルであることを示すので、リスク水準の下限を定めていることになる。つまり、運用スタイルには、リスク水準の下限が対応していることになる。このように、配点と、運用スタイルとは、これらの内容がともにリスク水準に深く関与することになるが、リスク水準への関与の仕方(方向)が異なるので(上限と下限との相違)、システムの準備段階において、これらは、独立した作業で用意される。従って、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶された運用スタイル決定テーブルは、予め用意されている複数の運用スタイルの中から、顧客に提案する運用スタイルを選定するために用意されるものであるため、図10に示された運用スタイル決定テーブルの設定処理の流れには、運用スタイルの作成作業(ステップS13)は含まれるが、配点の設定作業は含まれていない。
【0115】
具体的には、配点設定支援手段31は、「最小側の必要組合せの存否チェック」として、次の処理を実行する。すなわち、配点設定支援手段31は、投資期間配点記憶手段43(図3参照)に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値を全ての質問について合計して最小投資期間点数合計値を算出するとともに、リスク許容度配点記憶手段44(図4参照)に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値を全ての質問について合計して最小リスク許容度点数合計値を算出し、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶された投資期間点数(下限)およびリスク許容度点数(下限)の組合せ(レコード)の中に、最小投資期間点数合計値以下の投資期間点数で、かつ、最小リスク許容度点数合計値以下のリスク許容度点数の組合せ(レコード)が含まれるか否かを、これらの組合せに関連付けられた投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)で識別される投資制限グループ毎に全ての投資制限グループについて判定し、その判定結果を出力する処理を実行する。
【0116】
例えば、図3の例では、最小投資期間点数合計値=20+0=20点と算出され、図4の例では、最小リスク許容度点数合計値=16+10+32+32+0=90点と算出される。そして、図5の例において、投資制限グループコード=002のレコードの中で、最小投資期間点数合計値=20点以下の投資期間点数(下限)で、かつ、最小リスク許容度点数合計値=90点以下のリスク許容度点数(下限)の組合せとなっているレコードは、(投資制限グループコード=002、投資期間点数(下限)=20、リスク許容度点数(下限)=80)のレコードだけであるが、1つ存在しており、また、投資制限グループコード=003のレコードの中でも、最小投資期間点数合計値=20点以下の投資期間点数(下限)で、かつ、最小リスク許容度点数合計値=90点以下のリスク許容度点数(下限)の組合せとなっているレコードは、(投資制限グループコード=003、投資期間点数(下限)=20、リスク許容度点数(下限)=80)のレコードだけであるが、1つ存在しているので、「002」や「003」以外の各投資制限グループについても同様に少なくとも1つ存在していれば、最小側の必要組合せの存否チェックの結果は、問題なしとなる。
【0117】
なお、「最大側の必要組合せの存否チェック」を行う必要はない。最小投資期間点数合計値以下の投資期間点数が存在すれば、当然に、最大投資期間点数合計値以下の投資期間点数が存在し、また、最小リスク許容度点数合計値以下のリスク許容度点数が存在すれば、当然に、最大リスク許容度点数合計値以下のリスク許容度点数が存在することになるからである。
【0118】
また、配点設定支援手段31は、「不要組合せの存否チェック」として、次の処理を実行してもよい。すなわち、配点設定支援手段31は、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶された投資期間点数(下限)およびリスク許容度点数(下限)の組合せ(レコード)の中に、最大投資期間点数合計値を超える投資期間点数を含むか、あるいは、最大リスク許容度点数合計値を超えるリスク許容度点数を含む組合せ(レコード)が存在するか否かを、これらの組合せに関連付けられた投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)で識別される投資制限グループ毎に全ての投資制限グループについて判定し、その判定結果を出力する処理を実行してもよい。但し、このチェック処理は、必須の処理ではない。このような組合せ(レコード)が存在したとしても、その組合せ(レコード)が基礎抽出条件を満たす組合せ(レコード)として抽出されることはなく、不要な組合せ(運用スタイル決定時におけるシステム処理に関与しない組合せ)が存在することになるが、その組合せ(レコード)が存在することによってシステムエラー(処理上の不都合)が発生することはないからである。
【0119】
仮に、「不要組合せの存否チェック」の処理を実行したとすると、図3の例では、最大投資期間点数合計値=38+8=46点と算出され、図4の例では、最大リスク許容度点数合計値=31+20+53+53+18=175点と算出される。そして、図5の例において、投資制限グループコード=002,003のレコードの中で、最大投資期間点数合計値=46点を超える投資期間点数(下限)のレコードは存在せず、かつ、最大リスク許容度点数合計値=175点を超えるリスク許容度点数(下限)のレコードも存在しないので、「002」や「003」の投資制限グループについては、不要組合せの存否チェックの結果は、問題なしとなる。但し、上述したように、不要な組合せ(レコード)が存在したとしても、システムエラーが生じるわけではない。
【0120】
さらに、配点設定支援手段31は、「最大・最小バランスチェック」として、次の処理を実行する。すなわち、配点設定支援手段31は、投資期間配点記憶手段43(図3参照)に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値および最大値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値および最大値を全ての質問についてそれぞれ合計して最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値を算出するとともに、リスク許容度配点記憶手段44(図4参照)に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値および最大値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値および最大値を全ての質問についてそれぞれ合計して最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値を算出し、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶された投資期間点数(下限)およびリスク許容度点数(下限)の組合せ(レコード)のうち、最大投資期間点数合計値以下の投資期間点数で、かつ、最大リスク許容度点数合計値以下のリスク許容度点数の組合せの数M1が、最小投資期間点数合計値以下の投資期間点数で、かつ、最小リスク許容度点数合計値以下のリスク許容度点数の組合せの数M2よりも多いか否か、若しくは、M1とM2との差分が予め定められた閾値以上または閾値を超えるか否かを、これらの組合せに関連付けられた投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)で識別される投資制限グループ毎に全ての投資制限グループについて判定し、その判定結果を出力するか、または、M1,M2の差分の値、若しくは、M1,M2のそれぞれの値を、投資制限グループ毎に全ての投資制限グループについて出力する処理を実行する。
【0121】
例えば、図3の例では、最小投資期間点数合計値=20+0=20点、最大投資期間点数合計値=38+8=46点と算出され、図4の例では、最小リスク許容度点数合計値=16+10+32+32+0=90点、最大リスク許容度点数合計値=31+20+53+53+18=175点と算出される。そして、図5の例において、投資制限グループコード=002のレコードの中で、最大投資期間点数合計値=46点以下の投資期間点数(下限)で、かつ、最大リスク許容度点数合計値=175点以下のリスク許容度点数(下限)の組合せとなっているレコードは、全てのレコードであるので、M1=28個である。一方、投資制限グループコード=002のレコードの中で、最小投資期間点数合計値=20点以下の投資期間点数(下限)で、かつ、最小リスク許容度点数合計値=90点以下のリスク許容度点数(下限)の組合せとなっているレコードは、(投資制限グループコード=002、投資期間点数(下限)=20、リスク許容度点数(下限)=80)のレコードだけであるので、M2=1個である。従って、M1は、M2よりも大きく、M1,M2の差分の値は、M1−M2=28−1=27個となるので、「002」の投資制限グループについては、最大・最小バランスチェックの結果は、問題なしとなる。なお、最大値および最小値しかチェックしていないので、中間値について、最大側への配点の偏りや、最小側への配点の偏りがあるかもしれないが、このチェックでは、その点については不問としている。
【0122】
また、配点設定支援手段31は、「リスク水準設定範囲内チェック」として、次の処理を実行する。すなわち、配点設定支援手段31は、投資期間配点記憶手段43(図3参照)に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値および最大値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値および最大値を全ての質問についてそれぞれ合計して最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値を算出するとともに、リスク許容度配点記憶手段44(図4参照)に記憶された各質問に対する各選択肢の点数のうちの最小値および最大値を質問毎に抽出し、抽出した各質問の最小値および最大値を全ての質問についてそれぞれ合計して最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値を算出し、算出した最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値がリスク水準設定テーブル記憶手段47(図7参照)にリスク水準と関連付けて記憶された投資期間点数の範囲内に収まるか否か、並びに、算出した最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値が、リスク水準設定テーブル記憶手段47(図7参照)にリスク水準と関連付けて記憶されたリスク許容度点数の範囲内に収まるか否かを判定し、その判定結果を出力する処理を実行する。
【0123】
例えば、図3の例では、最小投資期間点数合計値=20+0=20点、最大投資期間点数合計値=38+8=46点と算出され、図4の例では、最小リスク許容度点数合計値=16+10+32+32+0=90点、最大リスク許容度点数合計値=31+20+53+53+18=175点と算出される。そして、図7の例において、投資期間点数は、20点〜51点の範囲で用意されているので、最小投資期間点数合計値=20点、および、最大投資期間点数合計値=46点は、この範囲内に収まっている。また、リスク許容度点数は、80点〜181点の範囲で用意されているので、最小リスク許容度点数合計値=90点、および、最大リスク許容度点数合計値=175点は、この範囲内に収まっている。
【0124】
<システム設定支援手段30/運用スタイル作成支援手段32の構成>
【0125】
運用スタイル作成支援手段32は、作成する運用スタイルについての金融商品(本実施形態では、ファンドラップサービスを提供するので、投資信託とする。)の種別毎の構成比率の設定を支援する処理を実行するものである。作成中または作成した運用スタイルは、運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)に記憶される。
【0126】
具体的には、運用スタイル作成支援手段32は、作成中または作成した運用スタイルについて運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)に記憶されている運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)に含まれる投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)を用いて、投資制限グループ特定テーブル記憶手段42(図2参照)から、投資制限に関する質問に対する選択肢の組合せを取得し、当該運用スタイルについての運用スタイルコードに関連付けられて運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)に記憶されている金融商品の種別毎の構成比率を用いて、当該運用スタイルの内容が、取得した選択肢の組合せで定まる投資制限の内容を満たすか否かを判定し、その判定結果を出力する処理を実行する。
【0127】
例えば、図6に示す運用スタイルマスタ記憶手段46には、運用スタイルコード=11201の運用スタイルについての構成比率のデータが記憶されている。「11201」のうちの2〜4桁目は、投資制限グループコードであるので、この運用スタイルは、投資制限グループコード=120の投資制限グループに帰属する。そこで、投資制限グループコード=120を用いて、投資制限グループ特定テーブル記憶手段42(図2参照)から、選択肢の組合せ=AABAAAを取得する。投資制限に関する質問番号1(株式への投資比率を制限するか)に対する選択肢Aは「3割以下」であるから、図6の例における「11201」の運用スタイルにおいて、株式=29%(日本株式16.1%+外国株式12.9%+外国株(ヘッジ)なし)となっているので、投資制限を満たしている。また、投資制限に関する質問番号2(海外資産への投資比率を制限するか)に対する選択肢Aは「5割以下」であるから(換言すれば、国内資産5割以上)、図6の例における「11201」の運用スタイルにおいて、国内=55%(日本株式16.1%+日本債券39.1%+日本REITなし)となっているので、投資制限を満たしている。さらに、投資制限に関する質問番号3(外貨建て資産へ投資する場合、為替ヘッジをするか)に対する選択肢Bは「しない」であるから、図6の例における「11201」の運用スタイルにおいて、為替ヘッジなしになっているので、投資制限を満たしている。また、投資制限に関する質問番号4(投資対象からREITを除くか)に対する選択肢Aは「除く」であり、質問番号5(投資対象からコモディティを除くか)に対する選択肢Aも「除く」であり、質問番号6(投資対象からヘッジファンドを除くか)に対する選択肢Aも「除く」であるから、図6の例における「11201」の運用スタイルにおいて、REITなし、コモディティなし、ヘッジファンドなしになっているので、投資制限を満たしている。
【0128】
同様に、図6に示す運用スタイルマスタ記憶手段46には、運用スタイルコード=10021,10022,10023,10024,10025,10026の運用スタイルについての構成比率のデータが記憶されている。これらの運用スタイルは、運用スタイルコードの2〜4桁目が「002」であるので、投資制限グループコード=002の投資制限グループに帰属する。そこで、投資制限グループコード=002を用いて、投資制限グループ特定テーブル記憶手段42(図2参照)から、選択肢の組合せ=CBBABAを取得する。投資制限に関する質問番号1(株式への投資比率を制限するか)に対する選択肢Cは「制限なし」であり、質問番号2(海外資産への投資比率を制限するか)に対する選択肢Bも「制限なし」であるから、投資制限を満たしている。また、投資制限に関する質問番号3(外貨建て資産へ投資する場合、為替ヘッジをするか)に対する選択肢Bは「しない」であるから、図6の例における「10021」〜「10026」の運用スタイルにおいて、為替ヘッジなしになっているので、投資制限を満たしている。さらに、投資制限に関する質問番号4(投資対象からREITを除くか)に対する選択肢Aは「除く」であり、図6の例における「10021」〜「10026」の運用スタイルにおいて、REIT=0%(日本REITなし、外国REITなし)となっているので、投資制限を満たしている。また、投資制限に関する質問番号5(投資対象からコモディティを除くか)に対する選択肢Bは「どちらでもよい」であるから、投資制限を満たしている。さらに、投資制限に関する質問番号6(投資対象からヘッジファンドを除くか)に対する選択肢Aは「除く」であり、図6の例における「10021」〜「10026」の運用スタイルにおいて、ヘッジファンドなしになっているので、投資制限を満たしている。
【0129】
また、図6に示す運用スタイルマスタ記憶手段46には、運用スタイルコード=10031,10032,10033,10034,10035,10036の運用スタイルについての構成比率のデータが記憶されている。これらの運用スタイルは、運用スタイルコードの2〜4桁目が「003」であるので、投資制限グループコード=003の投資制限グループに帰属する。そこで、投資制限グループコード=003を用いて、投資制限グループ特定テーブル記憶手段42(図2参照)から、選択肢の組合せ=CBBABBを取得する。上述した投資制限グループコード=002の場合は、選択肢の組合せ=CBBABAであるから、「002」と「003」の相違は、投資制限に関する質問番号6(投資対象からヘッジファンドを除くか)に対し、選択肢A「除く」を選択したか、選択肢B「どちらでもよい」を選択したかだけである。図6の例における「10031」〜「10036」の運用スタイルにおいて、ヘッジファンドへの配分があるが、投資制限グループコード=003の場合は、選択肢B「どちらでもよい」であるから、投資制限を満たしている。
【0130】
<システム設定支援手段30/リスク水準設定支援手段33の構成>
【0131】
リスク水準設定支援手段33は、リスク水準設定テーブル記憶手段47(図7参照)における投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せとリスク水準との対応関係についての初期設定または設定の変更の際の入力作業を支援する処理を実行するものである。
【0132】
<システム設定支援手段30/運用スタイル決定テーブル設定支援手段34の構成>
【0133】
運用スタイル決定テーブル設定支援手段34は、リスク水準設定テーブル記憶手段47(図7参照)における投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せとリスク水準との対応関係についての初期設定または設定の変更が行われた場合に、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶されているか若しくは記憶させるために主メモリ上に配置されている投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せに対応するリスク水準を、リスク水準設定テーブル記憶手段47(図7参照)から取得し、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶されているか若しくは記憶させるために主メモリ上に配置されている投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)または調整後の投資制限グループコードを含み、かつ、取得したリスク水準または調整後のリスク水準を含む運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)を作成し、調整をしていない当該投資制限グループコードと、当該組合せ(投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せ)と、作成した運用スタイルコードとを関連付けて運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶させる処理を実行するものである。リスク水準の調整や、投資制限グループコードの調整についての詳細は、図10および図11を用いて後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0134】
<記憶手段40の構成>
【0135】
回答データ記憶手段41は、投資制限、投資期間、およびリスク許容度に関する各質問に対する回答データ(各質問における選択肢の選択情報)を記憶するものである。主メモリ上の記憶でよいが、不揮発性メモリに保存する場合には、回答データと顧客識別情報(口座番号)とを対応させて記憶させる。
【0136】
投資制限グループ特定テーブル記憶手段42は、図2に示すように、投資制限に関する各質問(例えば、図8のステップS1で示す質問番号1〜6の質問)に対して選択された選択肢の組合せ(例えば「CBBABA」等)と、この組合せで定まる投資制限グループについての投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)(例えば「002」等)とを関連付けて記憶するものである。
【0137】
投資期間配点記憶手段43は、図3に示すように、投資期間に関する各質問(例えば、図8のステップS2で示す質問番号1,2の質問)に対して各選択肢が選択された場合に付与する点数を記憶するものである。※印の部分は、選択肢が用意されていないことを示し、NULLとしてもよい。
【0138】
リスク許容度配点記憶手段44は、図4に示すように、リスク許容度に関する各質問(例えば、図8のステップS3で示す質問番号1〜5の質問)に対して各選択肢が選択された場合に付与する点数を記憶するものである。※印の部分は、選択肢が用意されていないことを示し、NULLとしてもよい。
【0139】
運用スタイル決定テーブル記憶手段45は、図5に示すように、投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)と、運用スタイルの内容に応じた投資期間点数(下限)およびリスク許容度点数(下限)の組合せと、当該運用スタイルについての運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)とを関連付けて記憶するものである。また、投資制限調整の有無の情報や、リスク水準調整の有無の情報等のような運用スタイル決定処理に直接に使用しない情報を関連付けて記憶してもよい。
【0140】
運用スタイルマスタ記憶手段46は、図6に示すように、運用スタイルを構成する金融商品(本実施形態では、ファンドラップサービスを提供するので、投資信託とする。)の種別毎の構成比率と、当該運用スタイルについての運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)とを関連付けて記憶するものである。
【0141】
より具体的には、運用スタイルマスタ記憶手段46は、図6に示すように、例えば、運用スタイルコード(例えば「10021」、「10032」等)、運用スタイル名称(例えば「安定(10021):為替ヘッジなしC」、「やや安定(10032):為替ヘッジなしCH」等であり、Cはコモディティ、Hはヘッジファンドを示す。)、日本株式、日本債券、外国株式、外国債券、日本REIT、外国REIT、コモディティ、ヘッジファンド、外国株(ヘッジ)、外国債券(ヘッジ)、外国REIT(ヘッジ)、株式(=日本株式+外国株式+外国株(ヘッジ))、国内(=日本株式+日本債券+日本REIT)、RCH(=REIT(日本REIT+外国REIT)+コモディティ+ヘッジファンド)、外株(=外国株式+外国株(ヘッジ))、外債(=外国債券+外国債券(ヘッジ))、REIT(=日本REIT+外国REIT)、株・REIT・コモディティ(=株式(日本株式+外国株式+外国株(ヘッジ))+REIT(日本REIT+外国REIT)+コモディティ)、国内債・H外債・HF(=日本債券+外国債券(ヘッジ)+ヘッジファンド)等を対応付けて記憶する。
【0142】
リスク水準設定テーブル記憶手段47は、図7に示すように、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶される投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せと、この組合せで定まるリスク水準とを関連付けて記憶するものである。本実施形態では、0〜6の7段階のリスク水準を用意している。0は「より安定」、1は「安定」、2は「やや安定」、3は「バランス」、4は「やや積極」、5は「積極」、6は「より積極」に対応する。但し、運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)において、各投資制限グループ(144グループ)についての各リスク水準(7段階)に対応する全ての運用スタイルが実際に用意されている必要はない。
【0143】
<運用スタイルの決定処理の流れ:図8図9
【0144】
このような本実施形態においては、以下のようにして運用スタイル決定システム10により運用スタイルの決定処理が実行される。
【0145】
図8において、先ず、顧客回答受付手段21により、金融機関の営業員やオペレータによる支店端末60からの要求、あるいは顧客による顧客端末70からの要求に応じ、投資制限に関する選択肢提示型の少なくとも1つ(本実施形態では、例えば6問程度とする。)の質問の表示用データ(例えば、ウェブ画面データ)を、ネットワーク1を介して送信する。すると、支店端末60や顧客端末70の画面上には、投資制限に関する質問の内容(質問および各選択肢の内容)が表示されるので、支店端末60では、金融機関の営業員やオペレータが、画面表示された内容を参照し、顧客に対して対面で、または電話等の通信手段で質問(提案やアドバイスを含めた質問)をし、顧客が選択した選択肢の選択情報を、顧客の回答データとして入力し、顧客端末70では、顧客自身が、画面表示された内容を参照し、自分の回答データを入力し、ネットワーク1を介して運用スタイル決定システム10の顧客回答受付手段21へ送信する。顧客回答受付手段21は、回答データを受信し、回答データ記憶手段41に記憶させる(ステップS1)。投資制限に関する質問および各選択肢の内容については、投資制限グループ特定手段22の構成の説明で、具体例を挙げて既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0146】
それから、投資制限グループ特定手段22により、顧客回答受付手段21により受け付けて回答データ記憶手段41に記憶されている回答データに含まれる投資制限に関する質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢の組合せ(例えば「CBBABA」等)に関連付けられた投資制限グループコード(例えば「002」等)を、投資制限グループ特定テーブル記憶手段42(図2参照)から取得することにより、採用する投資制限グループを特定する(ステップS1)。なお、投資制限グループ特定手段22による処理は、顧客回答受付手段21により投資制限、投資期間、およびリスク許容度に関する各質問に対する全ての回答データを受信してから実行してもよい。
【0147】
次に、顧客回答受付手段21により、前述したステップS1の投資制限に関する質問の場合と同様にして、投資期間に関する選択肢提示型の少なくとも1つ(本実施形態では、例えば2問程度とする。)の質問の内容を、支店端末60や顧客端末70の画面上に表示し、回答データの入力を受け付け、回答データ記憶手段41に記憶させる(ステップS2)。投資期間に関する質問および各選択肢の内容については、投資期間点数算出手段23の構成の説明で、具体例を挙げて既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0148】
それから、投資期間点数算出手段23により、顧客回答受付手段21により受け付けて回答データ記憶手段41に記憶されている回答データに含まれる投資期間に関する各質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢に対応する点数を投資期間配点記憶手段43(図3参照)から取得し、取得した点数を投資期間に関する全質問について合計して投資期間点数合計値を算出する(ステップS2)。なお、投資期間点数算出手段23による処理は、顧客回答受付手段21により投資制限、投資期間、およびリスク許容度に関する各質問に対する全ての回答データを受信してから実行してもよい。
【0149】
続いて、顧客回答受付手段21により、前述したステップS1,S2の投資制限や投資期間に関する質問の場合と同様にして、リスク許容度に関する選択肢提示型の少なくとも1つ(本実施形態では、例えば5問程度とする。)の質問の内容を、支店端末60や顧客端末70の画面上に表示し、回答データの入力を受け付け、回答データ記憶手段41に記憶させる(ステップS3)。リスク許容度に関する質問および各選択肢の内容については、リスク許容度点数算出手段24の構成の説明で、具体例を挙げて既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0150】
それから、リスク許容度点数算出手段24により、顧客回答受付手段21により受け付けて回答データ記憶手段41に記憶されている回答データに含まれるリスク許容度に関する各質問に対する選択肢の選択情報を用いて、顧客により選択された選択肢に対応する点数をリスク許容度配点記憶手段44(図4参照)から取得し、取得した点数をリスク許容度に関する全質問について合計してリスク許容度点数合計値を算出する(ステップS3)。
【0151】
その後、図9において、運用スタイル決定手段25により、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶された多数のレコードの中から、(α)投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)が投資制限グループ特定手段22により特定した投資制限グループについての投資制限グループコードと一致するとともに、(β)投資期間点数(下限)が投資期間点数算出手段23により算出した投資期間点数合計値以下で、かつ、(γ)リスク許容度点数(下限)がリスク許容度点数算出手段24により算出したリスク許容度点数合計値以下という基礎抽出条件を満たすレコードを抽出し、さらに、基礎抽出条件を満たすレコードの中から最大レコードを抽出し、抽出した最大レコードに含まれる運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)を取得することにより、選択採用する運用スタイル(顧客に提案する運用スタイル)を決定する(ステップS4)。
【0152】
ここで、前段の基礎抽出条件を満たすレコードを抽出した後に、後段の最大レコードを抽出する際には、(1)先ず、基礎抽出条件を満たすレコードのうちの投資期間点数(下限)が最大値となるレコードを抽出し、次に、その中からリスク許容度点数(下限)が最大値となるレコードを抽出してもよく、(2)先ず、基礎抽出条件を満たすレコードのうちのリスク許容度点数(下限)が最大値となるレコードを抽出し、次に、その中から投資期間点数(下限)が最大値となるレコードを抽出してもよく、(3)基礎抽出条件を満たすレコードのうち、投資期間点数(下限)またはこれに係数を乗じた点数と、リスク許容度点数(下限)またはこれに係数を乗じた点数との和(投資期間点数(下限)×λ+リスク許容度点数(下限)×κであり、λ=κ=1でもよい。)が最大値となるレコードを抽出してもよい。
【0153】
前段の基礎抽出条件を満たすレコードの抽出処理、および後段の最大レコードの抽出処理については、運用スタイル決定手段25の構成の説明で、具体例を挙げて既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0154】
そして、運用スタイルの決定後に、決定した運用スタイルについての運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)を、ファンドラップシステム80へ設定し、顧客と金融機関との間の契約手続を、契約金額の決定に進める。なお、ファンドラップシステム80への運用スタイルコードの設定は、金融機関の営業員やオペレータが支店端末60を操作して行ってもよく、顧客が顧客端末70を操作して行ってもよく、運用スタイル決定システム10からファンドラップシステム80へのネットワーク1を介した送信による自動設定としてもよい。
【0155】
<運用スタイル決定テーブルの設定処理の流れ:図10図11
【0156】
また、運用スタイル決定テーブルの設定処理は、以下のようにして運用スタイル決定システム10により実行される。
【0157】
図10において、先ず、投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)を定義し、投資制限グループコードと、投資制限に関する各質問に対する各選択肢の組合せとの対応関係を、投資制限グループ特定テーブル記憶手段42(図2参照)に記憶させる(ステップS11)。本実施形態では、例えば、投資制限に関する質問番号1〜6の各質問に対する各選択肢(A,B,C等)の組合せから、144個の投資制限グループを用意するが、投資制限グループ識別情報は、必ずしも数字を詰めて付す必要はなく、また、数字である必要はなく、文字でもよく(名称のように意味がわかる文字でもよく、意味がわからない文字でもよい。)、記号でもよく、数字・文字・記号の混在状態でもよく、144個の投資制限グループを識別することができるものであればよい。なお、各選択肢をA,B,C,…ではなく、例えば、1,2,3,…、あるいはα,β,γ,…とすれば、選択肢の組合せは、AAAAAA等ではなく、111111やαααααα等と表現されるが、これも任意である。
【0158】
次に、投資期間点数(下限)およびリスク許容度(下限)の組合せと、リスク水準との対応関係を設定し、リスク水準設定テーブル記憶手段47(図7参照)に記憶させる(ステップS12)。本実施形態では、例えば、0(より安定)、1(安定)、2(やや安定)、3(バランス)、4(やや積極)、5(積極)、6(より積極)の7段階のリスク水準を用意しているが、リスク水準の段階数は、任意である。投資期間点数(下限)の値が大きい程、また、リスク許容度(下限)の値が大きい程、リスク水準は高くなる(値が大きくなる)ので、図7では、左下の部分から右上の部分に向かって、リスク水準の数値が増えている。このリスク水準の設定作業は、リスク水準設定支援手段33により支援される。
【0159】
また、リスク水準を何段階か用意しておき、そのうちの幾つかを最初からは使わずに将来の段階増や、段階の細分化に備えることも可能であり、例えば、最初に上記の7段階を用意しておき、実際にはリスク水準=0(より安定)や6(より積極)の運用スタイルを作成しない、すなわち運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)に用意しておかないこと等も可能である。その場合には、運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)に実際に用意されている運用スタイル(作成済の運用スタイル)についての運用スタイルコードだけを、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶させ、システムエラーが発生しないテーブル設定を行っておけばよい。そして、後からリスク水準=0(より安定)や6(より積極)の運用スタイルを追加作成して運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)に記憶させ、それらの追加作成した運用スタイルについての運用スタイルコードを、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶させればよい。最初にリスク水準=1(安定)、3(バランス)、5(積極)の運用スタイルを用意し、後からそれらの間の2(やや安定)や4(やや積極)の運用スタイルを追加作成する場合等も同様である。
【0160】
さらに、投資期間点数(下限)およびリスク許容度(下限)の組合せと、リスク水準との対応関係の設定を変更することもできる。この対応関係の設定変更を行うと、図7中の太線の位置が変更されることになる。この対応関係の設定変更の作業も、リスク水準設定支援手段33により支援される。例えば、図7に示すように、0〜6の7段階のリスク水準が設定されているときに、図7中の右上の部分に、リスク水準=7を追加して8段階のリスク水準を設定してもよく、あるいは、リスク水準=0よりも低いリスク水準を追加してもよく、この場合、リスク水準を示すのに、マイナス符号を使用するのが不都合であれば、A,B,C,…やα,β,γ,…等の文字や記号を用いて、マイナス符号の代用とすればよく、同様に、例えば、リスク水準=3,4の間に、新たなリスク水準を設定したい場合には、リスク水準を示すのに、3.5の如く小数点を使用するのが不都合であれば、A,B,C,…やα,β,γ,…等の文字や記号を用いて、小数点を有する数値の代用とすればよい。そして、このような投資期間点数(下限)およびリスク許容度(下限)の組合せとリスク水準との対応関係の設定の変更を行った場合には、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)における投資期間点数(下限)およびリスク許容度(下限)の組合せと、リスク水準を含む運用スタイルコードとの対応関係の設定も変更する必要があるが、この設定変更処理は、運用スタイル決定テーブル設定支援手段34により支援される。
【0161】
続いて、各投資制限グループに属する各リスク水準の運用スタイルを作成し、すなわち運用スタイルを構成する各投資対象およびそれらの配分比率を決め、その内容を運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)に記憶させる(ステップS13)。本実施形態では、作成する運用スタイルについての運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)には、2〜4桁目に投資制限グループコード(投資制限グループ識別情報)が含まれ、5桁目にリスク水準が含まれる。この際、運用スタイル作成支援手段32により、作成中または作成した運用スタイルが、その運用スタイルが属する投資制限グループの投資制限の内容を満たすか否かの判定が行われる。この判定処理については、運用スタイル作成支援手段32の構成の説明で、既に詳述しているため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0162】
その後、図11に示すように、投資制限グループコード、投資期間点数(下限)、リスク許容度点数(下限)、リスク水準を関連付けたテーブルを作成する(ステップS14)。図11は、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶させる運用スタイル決定テーブルの作成過程で主メモリ上に形成される作業用テーブルであるが、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)自体であると考えてもよい。
【0163】
先ず、図11の作業用テーブルの最も左側のカラムに、投資制限グループ特定テーブル記憶手段42(図2参照)に記憶されている投資制限グループコードを配置するが、この際、本実施形態では、例えば144個の投資制限グループが用意され、これらの全ての投資制限グループについて、顧客により選択される可能性があるので、全ての投資制限グループについての投資制限グループコードを配置する(ステップS14)。
【0164】
次に、それぞれの投資制限グループについて、投資制限グループの図11中の右側のカラムに、投資期間点数(下限)およびリスク許容度点数(下限)の組合せを関連付けて配置する(ステップS14)。ここで、配置される投資期間点数(下限)およびリスク許容度点数(下限)の組合せは、本実施形態では、図7のリスク水準設定テーブルに示された太線の直上の位置の組合せである。従って、リスク水準の0が始まる位置、リスク水準が0から1へ変わった位置、1から2へ変わった位置、2から3へ変わった位置、3から4へ変わった位置、4から5へ変わった位置、5から6へ変わった位置の組合せである。これは、投資期間点数およびリスク許容度点数が下限を示す値だからである。具体的には、図7において、投資期間点数(下限)=20の列については、リスク許容度点数(下限)=80,115,127,136,145,154,165であり、投資期間点数(下限)=24の列については、リスク許容度点数(下限)=80,114,126,135,144,153,164であり、投資期間点数(下限)=32の列については、リスク許容度点数(下限)=80,113,125,134,143,152,163であり、投資期間点数(下限)=40の列については、リスク許容度点数(下限)=80,112,124,133,142,151,162であり、最終的に、図5の運用スタイル決定テーブルには、これらの組合せが記憶されている。但し、中間的な位置の組合せを配置してもよい。
【0165】
続いて、投資期間点数(下限)およびリスク許容度点数(下限)の組合せの図11中の右側のカラムに、図7のリスク水準設定テーブル記憶手段47から取得した当該組合せに対応するリスク水準を配置する(ステップS14)。このリスク水準の取得および配置の処理は、運用スタイル決定テーブル設定支援手段34により実行される。
【0166】
それから、運用スタイル決定テーブル設定支援手段34により、「1+投資制限グループコード(3桁)+リスク水準(1桁)」からなる仮の運用スタイルコードを自動作成し、リスク水準の図11中の右側のカラムに、作成した仮の運用スタイルコードを配置する(ステップS15)。なお、1桁目の「1」は、例えば、バージョン番号、サービス種別を示す番号、ユーザ番号(システムのユーザである金融機関の番号)等のようなシステム管理上の番号である。
【0167】
続いて、作成した仮の運用スタイルコードについて、そこに含まれる投資制限グループコードの部分を調整する必要がある場合には、投資制限調整の処理を実行する(ステップS16)。例えば、投資制限グループコード=032(選択肢の組合せ=CBAABA)から投資制限グループコード=030(選択肢の組合せ=CBAAAA)への変更調整を行う。この場合、投資制限に関する質問番号5(投資対象からコモディティを除くか)に対する選択肢Bは「どちらでもよい」であり、選択肢Aは「除く」であるから、「どちらでもよい」から「除く」に変更調整している。また、投資制限グループコード=033(選択肢の組合せ=CBAABB)から投資制限グループコード=031(選択肢の組合せ=CBAAAB)への変更調整を行う。この場合も、投資制限に関する質問番号5(投資対象からコモディティを除くか)に対する選択肢B「どちらでもよい」から選択肢A「除く」に変更調整している。投資制限グループコード=152(選択肢の組合せ=AAAABA)から投資制限グループコード=150(選択肢の組合せ=AAAAAA)への変更調整も同様であり、153→151、156→154、157→155等の変更調整も同様である。このように投資制限調整の処理は、例えば、投資制限の内容が定まらない状態(どちらでもよい状態)から定まる状態への変更調整である。
【0168】
この投資制限調整の処理は、032→030、033→031等のような変更前後の投資制限グループコードを含む投資制限調整データ(図11の投資制限調整のカラムを参照)を、図示されない投資制限調整データ記憶手段に事前に登録して記憶させておくことにより、運用スタイル決定テーブル設定支援手段34により自動的に実行される。そして、投資制限調整後の仮の運用スタイルコードは、投資制限調整のカラムの図11中の右側のカラムに配置される。
【0169】
さらに、運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)に記憶されていない仮の運用スタイルコードについて、リスク水準調整の処理を行うことにより、最終的な運用スタイルコードを作成して図11の作業用テーブル上の最も右側のカラム(リスク水準調整後のカラム)に配置し、作業用テーブル上に配置されたデータのうちの運用スタイル決定処理に必要なデータを、運用スタイル決定テーブル記憶手段(図5参照)に記憶させる(ステップS17)。
【0170】
すなわち、運用スタイル決定テーブル設定支援手段34により、投資制限調整後の仮の運用スタイルコードについて、運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)に記憶されているか否かを判断し、その判断結果を、図11のマスタ上の有無のカラムに配置する(ステップS17)。
【0171】
そして、該当する運用スタイルコードが運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)に存在しないと判断された仮の運用スタイルコードについては、運用スタイル決定テーブル設定支援手段34により、その仮の運用スタイルコードに含まれるリスク水準の部分を自動変更調整する処理を実行する(ステップS17)。
【0172】
このリスク水準調整の処理は、変更前のリスク水準よりも低いリスク水準の運用スタイルコードが存在する場合(運用スタイルが作成されて運用スタイルマスタ記憶手段46(図6参照)に記憶されている場合)には、変更前のリスク水準よりも低いリスク水準(存在するもの)のうちの最も高いリスク水準に変更調整する。例えば、リスク水準=6の運用スタイルコードが存在しない場合には、リスク水準=5の運用スタイルコードに変更調整し、リスク水準=5も存在しない場合には、リスク水準=4に変更調整し、リスク水準=4も存在しない場合には、リスク水準=3に変更調整し、リスク水準=3も存在しない場合には、リスク水準=2に変更調整し、リスク水準=2も存在しない場合には、リスク水準=1に変更調整し、リスク水準=1も存在しない場合には、リスク水準=0に変更調整する。従って、具体的には、図11の例では、運用スタイルコード=10306が存在せず、10305が存在する場合には、10306→10305(リスク水準は6→5)の調整変更を実行する。また、例えば、運用スタイルコード=10125,10126が存在せず、10124が存在する場合には、10125→10124(リスク水準は5→4),10126→10124(リスク水準は6→4)の調整変更を実行する。同様に、例えば、運用スタイルコード=10104,10105,10106が存在せず、10103が存在する場合には、10104→10103(リスク水準は4→3)、10105→10103(リスク水準は5→3)、10106→10103(リスク水準は6→3)の調整変更を実行する。
【0173】
一方、変更前のリスク水準よりも低いリスク水準の運用スタイルコードが存在しない場合には、変更前のリスク水準よりも高いリスク水準(存在するもの)のうちの最も低いリスク水準に変更調整する。具体的には、図11の例では、運用スタイルコード=10020が存在せず、10021が存在する場合には、10020→10021(リスク水準は0→1)の調整変更を実行する。
【0174】
<本実施形態の効果>
【0175】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、運用スタイル決定システム10では、投資期間配点記憶手段43(図3参照)に記憶されている投資期間に関する質問に対する各選択肢への配点、および、リスク許容度配点記憶手段44(図4参照)に記憶されているリスク許容度に関する質問に対する各選択肢への配点に従って、顧客の回答データから、投資期間点数合計値およびリスク許容度点数合計値を算出し、これらの合計値を用いて、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶されている運用スタイル決定テーブルの情報から、選択する運用スタイル(顧客に提案する運用スタイル)を決定することができる。
【0176】
このため、投資期間配点記憶手段43(図3参照)やリスク許容度配点記憶手段44(図4参照)に記憶されている配点を変更し、あるいは運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶されている運用スタイル決定テーブルのデータ内容や、リスク水準設定テーブル記憶手段47(図7参照)に記憶されているリスク水準設定テーブルのデータ内容を変更することにより、運用スタイル決定論理を変更することができるので、プログラムの修正によらない運用スタイル決定論理の変更を実現することができる。
【0177】
従って、社会情勢に応じて、運用スタイル決定論理を柔軟に変更することができ、顧客にとって最適なポートフォリオの形成を実現することができる。また、プログラムの修正が必要ないので、本システムのユーザである金融機関のシステム管理者が、自ら配点の変更や、テーブルのデータ内容の変更を行うことにより、運用スタイル決定論理の変更を容易に実現することができるため、システム開発業者(ユーザである金融機関に対し、システムを納品した業者)におけるシステム対応の負荷を軽減することもできる。
【0178】
また、既に詳述した通り、顧客への質問に対する回答データから得られた投資期間点数合計値およびリスク許容度点数合計値というのは、リスク水準の上限を決める情報に相当し、一方、運用スタイルと対応させて運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶されている投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せというのは、リスク水準の下限を決める情報に相当する。
【0179】
そして、運用スタイル決定システム10では、このようにリスク水準に対応する投資期間点数やリスク許容度点数に上限・下限の概念を持たせ、顧客のニーズを示す点数の上限と、運用スタイルの内容を示す点数の下限とを突合させるためのテーブルを用意して運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶させたので、運用スタイル決定手段25により、その運用スタイル決定テーブル上で、顧客のニーズと、用意されている複数の運用スタイルの内容とのマッチングを行うことができ、顧客へ提案する運用スタイルを決定することができる。
【0180】
また、点数(投資期間点数やリスク許容度点数)に上限・下限の概念(FROM〜TO)を持たせ、下限に相当する点数を、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶させておくので、運用スタイルの追加を容易に行うことができる。すなわち、新たに運用スタイルを作成した場合に、当該運用スタイルの内容に応じたリスク水準を示す投資期間点数やリスク許容度点数の組合せ、および、当該運用スタイルについての運用スタイルコードを含むレコードを、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に追加して記憶させておけば、当該運用スタイルを、基礎抽出条件を満たすか否かの判定対象に加えることができる。具体的には、例えば、リスク水準=6の運用スタイルを新たに追加作成した場合には、リスク水準=6に対応する投資期間点数(下限)およびリスク許容度点数(下限)の組合せ、並びに、リスク水準=6の運用スタイルについての運用スタイルコードを含むレコードを追加すればよい。また、リスク水準=6の運用スタイルコードが存在しないので、リスク水準調整が行われ、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に、別のリスク水準(例えば、リスク水準=5,4,3等)の運用スタイルコードが設定されている場合には、その別のリスク水準の運用スタイルコードを、新たに追加作成したリスク水準=6の運用スタイルコードに変更すればよい。
【0181】
このため、前述した特許文献1に記載された証券情報処理システムのようにテーブル構造を変えなくても、運用スタイルの追加を行うことができる。従って、特許文献1との相違という点では、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶された上限・下限の概念(FROM〜TO)を利用するテーブル構造と、上限・下限の概念(FROM〜TO)を利用した運用スタイル決定手段25の処理内容が特徴的であるといえる。
【0182】
また、運用スタイル決定システム10では、投資期間やリスク許容度に関する質問とは独立させて、投資制限に関する質問を行い、投資制限グループを特定する構成とされているので、投資比率や特定の投資対象の組み入れの可否を質問することにより、その回答結果に従って、投資制限に関する考え方の相違という形で顧客のニーズを分類してグループ化し、さらにそれらの投資制限グループのそれぞれにおいて、投資期間点数やリスク許容度点数を用いて、顧客が許容するリスク水準を把握し、点数の上限・下限の概念(FROM〜TO)を利用して運用スタイル決定テーブル上でのマッチングを行うことにより、その顧客にとって最適な運用スタイルを選択し、提案することができる。このため、顧客のニーズを、より体系的に捉えて細分化することができるので、運用スタイルの決定を、より顧客のニーズに沿った形で行うことができる。
【0183】
さらに、投資制限グループを設けることにより、選択候補として用意しておく運用スタイルの作成を容易に行うことができるか、あるいは作成した運用スタイルの分類、管理を容易に行うことができる。投資比率や特定の投資対象の組み入れの可否といった投資制限に関する質問項目は、運用スタイルの構成比率に直結するからである。従って、システム管理者が運用スタイルを作成する際に、いずれの投資制限グループに属する運用スタイルを作成するのかを事前に明確に意識することができるか、あるいは、作成された運用スタイルが、いずれの投資制限グループに属するのかを事後的に容易に定めることができる。そして、各投資制限グループに属しつつ、すなわち各投資制限グループの投資制限の内容(投資比率、特定の投資対象の組み入れの可否)を満たしつつ、リスク水準の異なる幾つかの運用スタイルを容易に作成することができる。例えば、「002」という投資制限グループに属する運用スタイルに課される投資制限の内容を満たしつつ、リスク水準=0〜6の7段階の運用スタイルを容易に作成することができる。
【0184】
また、運用スタイル決定システム10は、配点設定支援手段31を備えているので、最小投資期間点数合計値および最小リスク許容度点数合計値を算出し、これらの最小の点数合計値に基づく基礎抽出条件を満たす組合せの存否チェック(最小側の必要組合せの存否チェック)により、投資期間配点記憶手段43(図3参照)やリスク許容度配点記憶手段44(図4参照)における配点の設定状態が適切であるか否かをチェックすることができる。このため、運用スタイルの決定時に、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶された投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せの中に、基礎抽出条件を満たす組合せが存在せず、顧客に提案する運用スタイルを決定することができないという事態を、未然に回避することができる。
【0185】
さらに、運用スタイル決定システム10は、配点設定支援手段31を備えているので、最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値、並びに、最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値を算出し、最大の点数合計値になったときと最小の点数合計値になったときとのバランスチェック(最大・最小バランスチェック)により、投資期間配点記憶手段43(図3参照)やリスク許容度配点記憶手段44(図4参照)における配点の設定状態が適切であるか否かをチェックすることができる。このため、投資期間配点記憶手段43(図3参照)やリスク許容度配点記憶手段44(図4参照)に記憶されている配点が、バランスよく行われているか否かを確認することができる。
【0186】
そして、運用スタイル決定システム10は、配点設定支援手段31を備えているので、最小投資期間点数合計値および最大投資期間点数合計値、並びに、最小リスク許容度点数合計値および最大リスク許容度点数合計値を算出し、これらの最小および最大の点数合計値がリスク水準設定テーブル記憶手段47(図7参照)におけるリスク水準の設定範囲内(リスク水準が定められている投資期間点数およびリスク許容度点数の範囲内)に収まるか否かのチェック(リスク水準設定範囲内チェック)により、投資期間配点記憶手段43(図3参照)やリスク許容度配点記憶手段44(図4参照)における配点の設定状態が適切であるか否かをチェックすることができる。このため、算出した投資期間点数合計値やリスク許容度点数合計値が、対応するリスク水準が設定されていないような範囲の点数になり、対応する運用スタイルが存在しない状況となることを未然に回避することができる。
【0187】
また、運用スタイル決定システム10では、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)に記憶させる運用スタイルコードは、原則として、テーブル内で対応している投資制限グループコードを含み、かつ、テーブル内で対応している投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せで定まるリスク水準を含む運用スタイルコードとなっているので、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)の初期設定または設定の変更を容易に行うことができる。
【0188】
さらに、運用スタイル決定システム10は、運用スタイル作成支援手段32を備えているので、作成中または作成した運用スタイルの内容(投資比率や、特定の投資対象の組み入れの有無)が、その運用スタイルが属すべき投資制限グループの投資制限の内容を満たしているか否かを容易に確認することができる。つまり、作成中または作成した運用スタイルの内容が、その運用スタイルについての運用スタイルコードに含まれる投資制限グループコードの投資制限グループの内容に合致しているか否かを容易に確認することができる。このため、運用スタイルの内容と、その運用スタイルについての運用スタイルコードとが符合していない状態となることを、未然に回避することができる。
【0189】
また、運用スタイル決定システム10は、運用スタイル決定テーブル設定支援手段34を備えているので、リスク水準設定テーブル記憶手段47(図7参照)における投資期間点数およびリスク許容度点数の組合せとリスク水準との対応関係についての初期設定または設定の変更を行ったときに、運用スタイル決定テーブル記憶手段45(図5参照)の設定情報を容易にそれに対応させることができる。
【0190】
<変形の形態>
【0191】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0192】
例えば、前記実施形態では、運用スタイル決定システム10は、サーバ・クライアント型のシステムにおけるサーバ側を構成し、クライアント側である本部端末50、支店端末60、および顧客端末70は、汎用のウェブブラウザ等を搭載する構成とされていたが、本発明の運用スタイル決定システムは、スタンドアローンの構成としてもよい。また、サーバ・クライアント型のシステムとする場合でも、サーバ側だけではなく、クライアント側にも専用のアプリケーション(本発明を構成するプログラム)を搭載してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0193】
以上のように、本発明の運用スタイル決定システムおよびプログラムは、例えば、ファンドラップサービスを提供する際の運用スタイルを決定する場合等に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0194】
10 運用スタイル決定システム
21 顧客回答受付手段
22 投資制限グループ特定手段
23 投資期間点数算出手段
24 リスク許容度点数算出手段
25 運用スタイル決定手段
31 配点設定支援手段
32 運用スタイル作成支援手段
34 運用スタイル決定テーブル設定支援手段
42 投資制限グループ特定テーブル記憶手段
43 投資期間配点記憶手段
44 リスク許容度配点記憶手段
45 運用スタイル決定テーブル記憶手段
46 運用スタイルマスタ記憶手段
47 リスク水準設定テーブル記憶手段
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11