(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る作業機の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図9は、本発明に係る作業機1の側面図を示している。
図10は、作業機1の正面図を示している。
図11は、作業機1の平面図を示している。
図9〜
図11では、作業機の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
【0010】
作業機1は、機体(車体)2と、キャビン3と、作業装置4と、走行装置5とを備えている。
機体2上にはキャビン3が搭載されている。キャビン3内の後部には運転席6が設けられている。本発明の実施形態において、作業機1の運転席6に着座した運転者の前側(
図9の左側)を前方、運転者の後側(
図9の右側)を後方、運転者の左側(
図9の手前側)を左方、運転者の右側(
図9の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。
図10に示すように、機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
【0011】
図1に示すように、機体2は、右側の側枠部8と、左側の側枠部9と、前枠部10と、底枠部11と、上枠部12とを有する。
右側の側枠部8は、機体2の右部を構成する。左側の側枠部9は、機体2の左部を構成する。前枠部10は、機体2の前部を構成し、右側の側枠部8と左側の側枠部9の前部同士を連結している。底枠部11は、機体2の底部を構成し、右側の側枠部8と左側の側枠部9の下部同士を連結している。上枠部12は、機体2の後部寄りの上部を構成し、右側の側枠部8と左側の側枠部9の後部寄りの上部同士を連結している。
【0012】
側枠部8,9は、メインフレーム13と、トラックフレーム14と、モータ取付部15と、支持フレーム16とを有している。トラックフレーム14は、メインフレーム13の外側面の下部に取付部材17を介して取り付けられている。モータ取付部15は、メインフレーム13の外側面の後部寄りの上部に設けられている。支持フレーム16は、メインフレーム13の後部に取り付けられている。
【0013】
支持フレーム16は、内壁(第1壁)18と、外壁(第2壁)19と、前壁(第4壁)20と、後壁(第3壁)21とを有している。内壁18と外壁19は、機体幅方向で間隔をおいて対向して設けられている。外壁19は、内壁18の機体外方に位置している。前壁20は、メインフレーム13の機体幅方向の中途部に設けられることで、当該メインフレーム13の機体内方だけでなく、機体外方にも突出している。前壁20の機体外方に突出する部分が、走行装置5の後部を覆うフェンダを構成している。前壁20は、内壁18の前部と外壁19の前部とを連結している。後壁21は、内壁18の後部と外壁19の後部とを連結している。
【0014】
上枠部12は、第1板材12Aと、第2板材12Bとを有している。第1板材12Aは、右側の内壁18の上部と左側の内壁18の上部とを連結する。第1板材12Aは、開口部12Cを形成する環状の縁部を有しており、キャビン3の後方に設けられている。開口部12Cを形成する環状の縁部は、略長方形状である。
第2板材12Bは、第1板材12Aの左側の後端及び右側の後端から後方に延びる板材である。左側の第2板材12Bは、左側の内壁18に沿って後方に延びていて、機体外方が左側の内壁18に連結している。右側の第2板材12Bは、右側の内壁18に沿って後方に延びていて、機体外方が右側の内壁18に連結している。左側の第2板材12B及び右側の第2板材12Bは、後方に向かうにつれて下がるように下向きに傾斜している。
【0015】
図2及び
図10に示すように、上枠部12の開口部12Cの上方を覆うように上部カバー201が装着されている。
図3に示すように、右側と左側の支持フレーム16の内壁18は、エンジンルーム202の右側壁と左側壁とを形成している。
図2に示すように、内壁18の上方には、上部カバー201及び後述する上後部カバー203が設けられている。
【0016】
図8〜
図10に示すように、機体2には作業装置4が装着されている。作業装置4は、ブーム58と作業具59とを有している。本実施形態では、作業具59としてバケットが設けられている。
ブーム58は、機体2の側方であって、キャビン3の側方に上下揺動自在に設けられている。また、ブーム58は、キャビン3の右側及び左側にそれぞれ設けられている。説明の便宜上、左側に設けられたブーム58を左側のブーム58Lといい、右側に設けられたブーム58を右側のブーム58Rという。また、内壁18はブーム58の側方であって、機体内方側に設けられている。また、外壁19は、ブーム62の側方であって内壁18とは反対側(機体外方側)に設けられている。作業具59としてのバケットは、ブーム58に装着されている。詳しく言うと、バケット59は、ブーム58の先端部(前端部)上下揺動自在に設けられている。
【0017】
右側のブーム58Rと左側のブーム58Lは、前部同士及び後部同士がそれぞれ連結部材64により連結されている。ブーム58R,58Lの後部(基部)は、機体2の後部寄りの上部に対して上下に揺動自在に支持されている。ブーム58R,58Lが上下に揺動すると、ブーム58R,58Lの前端部は機体2の前方で昇降する。
詳しくは、ブーム58R,58Lの後部は、リフトリンク60及び制御リンク61を介して、機体2の後部寄りの上部に連結されている。リフトリンク60は、縦向きに配置されている。リフトリンク60の上部は、第1枢支軸66を介して後部の連結部材64より後方でブーム58R,58Lの後部と連結されている。リフトリンク60の下部は、支持フレーム16内(内壁18と外壁19の間)に挿入されて第2枢支軸67を介して枢支されている。これにより、リフトリンク60は、前後に移動するように揺動可能となっている。制御リンク61は、前後向きに配置されている。制御リンク61の前部は、支持フレーム16の内壁18と外壁19との間に設けられたリンク取付部41に、第5枢支軸71を介して枢支されている。制御リンク61の後部は、第6枢支軸72を介してブーム58R,58Lの基端部近傍と連結されている。これにより、制御リンク61は、
図8に示す略水平姿勢から後部が上昇する立ち上がり姿勢に揺動可能となっている。
【0018】
ブーム58R,58Lの基部と機体2の後下部との間には、ブームシリンダ62が設けられている。ブームシリンダ62は複動式油圧シリンダからなる。ブームシリンダ62を伸縮させることにより、ブーム58R,58Lが上下に揺動する。
ブームシリンダ62のシリンダチューブは、内壁18と外壁19との間に設けられている。したがって、内壁18はブームシリンダ62の側方であって、機体内方側に設けられている。また、外壁19は、ブームシリンダ62の側方であって内壁18とは反対側(機体外方側)に設けられている。
【0019】
ブームシリンダ62のシリンダチューブの下部は、第4枢支軸70を介して支持フレーム16に連結されている。ブームシリンダ62のシリンダロッドの先端は、第3枢支軸69を介してブーム58R,58Lに連結されている。
第2枢支軸67は、機体2の後端上部付近に位置している。第3枢支軸69は、後部の連結部材64を挟んで第1枢支軸66と反対側に位置している。第4枢支軸70は、機体2の後端下部付近であって第2枢支軸67より僅かに前方に位置している。側面から見たとき、ブームシリンダ62は制御リンク61と交差している。
【0020】
図8に示す作業具59が接地したブーム58R,58Lの最下位状態において、第1枢支軸66が第2枢支軸67よりも上方で且つ僅かに後方となっており、リフトリンク60は傾斜姿勢である。また、第6枢支軸72が第5枢支軸71よりも僅かに高くなっており、制御リンク61は後上がりの傾斜姿勢である。さらに、第3枢支軸69が第1枢支軸66より低く且つ第6枢支軸72より高くなっており、ブーム58R,58Lは、前下向きの傾斜姿勢である。ブームシリンダ62は、制御リンク61の前後方向の略中央と交差している。
【0021】
ブーム58R,58L、リフトリンク60及び制御リンク61は、第2枢支軸67、第1枢支軸66、第5枢支軸71及び第6枢支軸72を節とする4節リンク構造となっている。ブームシリンダ62を伸長することにより、ブーム58R,58Lは、第1枢支軸66を支点として上方に回動する。制御リンク61は、ブーム58R,58Lの上方への回動に伴って、
図8に示す前傾姿勢から後部が立ち上がる。
【0022】
ブーム58R,58Lの先端部には、装着ブラケット204が横軸回りに回動自在に枢支されている。装着ブラケット204には、作業具59が装着されている。
装着ブラケット204とブーム58の前部寄りの中途部との間には、バケットシリンダ63が介装されている。作業具シリンダ63は複動式油圧シリンダからなる。作業具シリンダ63の伸縮によって、作業具59の1つであるバケットが揺動動作(スクイ・ダンプ動作)する。
【0023】
作業具59は、バケットの他に、油圧圧砕機,油圧ブレーカ,アングルブルーム,アースオーガー,パレットフォーク,スイーパー,モア,スノウブロア等である。作業具59は、装着ブラケット204に対して着脱自在とされている。作業具59を取り外して、装着ブラケット204に別の作業具59を取り付けると様々な作業が可能となる。
走行装置5は、機体2の右側と左側に設けられている。
【0024】
走行装置5は、クローラ式走行装置であり、駆動輪53と、従動輪54F,54Rと、転輪57と、クローラベルト56とを有する。従動輪は、前側の従動輪54Fと後側の従動輪54Rとから構成されている。駆動輪53は、前側の従動輪54Fと後側の従動輪54Rとの間の上部且つ後部寄りに配置されている。転輪57は、前側の従動輪54Fと後側の従動輪54Rとの間に複数設けられている。クローラベルト56は、無端帯状であって、従動輪54F,54R、駆動輪53及び転輪57に渡って巻き掛けられている。
【0025】
従動輪54F,54R及び転輪57は、トラックフレーム14に横軸回りに回転自在に取り付けられている。駆動輪53は、トラックフレーム14に取り付けられた油圧駆動式の走行モータ55の回転ドラムに装着されている。走行モータ55は、モータ取付部15に取り付けられている。走行モータ55の駆動によって、駆動輪53を横軸回りに回転することができる。これにより、クローラベルト56が周方向に循環され、作業機1が前進又は後進する。なお、走行装置5は、
図12に示すように、車輪型の走行装置5であってもよい。
【0026】
図3に示すように、機体2の底枠部11上には、燃料タンク83及び作動油タンク84が搭載されている。燃料タンク83は、エンジン73の燃料を貯留するタンクであり、機体2の前部左側に配置されている。作動油タンク84は、油圧アクチュエータを作動させる作動油を貯留するタンクであり、機体2の前部右側に配置されている。作動油タンク84の後方には、制御弁205が配置されている。
【0027】
機体2の後部には、エンジン73を収容するエンジンルーム202が設けられている。
図2に示すように、エンジンルーム202の上方は、上部カバー201及び上後部カバー203により覆われている。上部カバー201は、エンジン73の上方に設けられている。エンジンルーム202の後方は、ボンネットカバー77により覆われている。
上部カバー201は、第1板材12Aの上面に取り付けられて、第1板材12Aの開口部12C(開口部12Cを形成する環状の縁部)を覆っている。上部カバー201は、周縁部201Aと立ち上がり部201Bと上面部201Cとを有している。周縁部201Aは、略四角形の枠状に形成されており、第1板材12Aの開口部12Cの周囲にボルトにより固定されている。立ち上がり部201Bは、周縁部201Aの内周から上方に向けて立ち上がり、上端部で上面部201Cと繋がっている。
図2に示すように、上面部201Cは、第1板材12Aの開口部12Cの上方に、当該開口部12Cと間隔をあけて配置されている。
図10に示すように、上面部201Cは、外気導入部206となる開口部を形成する環状の縁部を有している。この開口部を形成する環状の縁部は、略長方形である。外気導入部206は、多数の小孔(図示略)を有している。
図10に示すように、上部カバー201の外気導入部206の左方には、浄化装置93の排気管93Aが突出している。排気管93Aは、上方且つ左斜め後方に向けて延びている。
【0028】
図2、
図6、
図7に示すように、上後部カバー203は、機体2の内壁18の上部であって、第1板材12Aの後方に設けられている。詳しくは、左側の第2板材12Bと右側の第2板材12Bとを跨がって上後部カバー203が設けられている。即ち、左側の第2板材12Bと右側の第2板材12Bとの間を塞ぐように、上後部カバー203が配置されている。上後部カバー203は、後方に向かうにつれて下がるように下向きに傾斜している。これにより、キャビン2内の運転席6に着座した運転者の後方の視界を確保しやすくなっている。尚、
図6では、ブーム58R,58L、リフトリンク60及び制御リンク61を省略している。
【0029】
図7に示すように、上後部カバー203の下面前部の右側と左側には、側面視にて略J字状の支持体203Bが設けられている。支持体203Bの前端部は、第1板材12Aの下面に取り付けられた一対の枢支軸220に枢支されている。これにより、上後部カバー203は、枢支軸220を支点として後部を上方に回動させることができる。上後部カバー203の後部を上方に回動させることによって、エンジンルーム202の後部寄りの上部を開放することができる。また、上後部カバー203は、開口部203Aを形成する縁部を有している。この縁部は環状であって平面視で長方形状である。
【0030】
ボンネットカバー77は、開口部77Aを形成する環状の縁部を有している。開口部77Aは、エンジンルーム202内の空気を外部に排出するための通気孔である。ボンネットカバー77の右端部は、ヒンジ(図示略)を介して、支持フレーム16の右側の後壁21に枢支されている。ボンネットカバー77を、ヒンジを支点として後方に回動させることにより、エンジンルーム202の後部を開放することができる。
【0031】
図2〜5に示すように、エンジンルーム202には、エンジン73、オイルクーラ208、ラジエータ74、コンデンサ207、コンプレッサ209、インタークーラ210、エアクリーナ211、粒子除去装置82、浄化装置93、バッテリ75等が収容されている。
エンジン73は、本実施形態では、コモンレール式のディーゼルエンジンを使用している。エンジン73は、機体2の底枠部11上に防振ゴム(図示略)を介して縦向きに載置されている。エンジン73の前部にはフライホイール213が装着されている。
【0032】
図2に示すように、フライホイール213の前方には、複数の油圧ポンプ78,79,80,81が前後に並べて設けられている。本実施形態では、油圧ポンプ78は走行ポンプ、油圧ポンプ79はメインポンプ、油圧ポンプ80はサブポンプ、油圧ポンプ81はパイロットポンプである。これらの油圧ポンプ78,79,80,81は、作動油タンク84内の作動油を、制御弁205を介して所定の油圧機器に供給する。
【0033】
走行ポンプ78は、
図8に示す走行モータ55を駆動する油圧ポンプである。走行ポンプ78は、走行モータ55と共に静油圧式無段変速機の一部を構成する可変容量油圧ポンプである。
メインポンプ79と、サブポンプ80と、パイロットポンプ81は、定容量型のギヤポンプである。メインポンプ79は、作業装置4に装備された油圧アクチュエータを駆動する油圧ポンプである。サブポンプ80は、油圧アクチュエータに供給する作動油を増量するために使用される油圧ポンプである。パイロットポンプ81は、主として、制御信号圧力の供給用に使用される。
【0034】
エンジン73の後部には冷却ファン76が設けられている。冷却ファン76の周囲には、略円筒状のシュラウド212が設けられている。冷却ファン76は、エンジン73の駆動により回転する。冷却ファン76の回転によって、作業機1の外部の空気(外気)が、上部カバー201の外気導入部206及び上後部カバー203の開口部203Aからエンジンルーム202内に取り入れられる。エンジンルーム202内に取り入れられた外気は、ボンネットカバー77に形成された開口部77Aから排出される。
【0035】
図2、
図3及び
図5に示すように、エンジン73及びシュラウド212の後方であってボンネットカバー77の前方には、ラジエータ74及びオイルクーラ208が設けられている。ラジエータ74とオイルクーラ208は、機体幅方向に並んでケーシング214内に収容されている。本実施形態では、ラジエータ74が左側に配置され、オイルクーラ208が右側に配置されている。ラジエータ74は、エンジン73に供給される冷却水を冷却する。オイルクーラ208は作動油を冷却する。
【0036】
図3に示すように、オイルクーラ208の右方には、ラジエータ74用のリザーブタンク215が設けられている。リザーブタンク215の下方にはバッテリ75が設けられている。
コンデンサ207は、エンジン73の上方の後部寄りの位置であって、ラジエータ74及びオイルクーラ208の前方に設けられている。コンデンサ207は、横置きに(略水平向きに)配置されている。コンデンサ207(コンデンサ本体207B)は、キャビン3内に配置されたエアコン(図示略)の冷媒を凝縮する。
【0037】
図5、
図7に示すように、コンデンサ207は、枠状のフレーム207Aと、枠状のフレーム207Aに装着されたコンデンサ本体207Bとを有している。フレーム207Aは、矩形状であって、上後部カバー203の開口部203Aを形成する縁部の外方、或いは、内方に配置されている。本実施形態では、フレーム207Aは、平面視で開口部203Aを形成する縁部の内方に配置されている。
【0038】
フレーム207Aの上端は、開口部203Aを形成する縁部の近傍に連結され、当該上後部カバー203と一体化されている。コンデンサ本体207Bは、例えば、フレーム207Aの上方或いは下方から当該フレーム207Aに挿入され、取付具207Cによってフレーム207Aの下部に装着されている。コンデンサ207は、冷却ファン76の駆動によって上後部カバー203の開口部203Aから取り入れられる外気により冷却される。
【0039】
コンデンサ207の下方には、コンプレッサ209が設けられている。コンプレッサ209は、前記エアコンの冷媒を圧縮する。圧縮された冷媒は、コンデンサ207により凝縮される。
図2及び
図3に示すように、エンジン73の右方且つ上方には、エアクリーナ211が設けられている。
図5に示すように、エアクリーナ211は、吸気管211Aと排気管211Bとを有している。吸気管211Aは、エンジンルーム202内において左斜め下方向に向けて開口している。
図8に示すように、排気管211Bは、過給機219を介してインタークーラ210の取入管210Aと接続されている。
【0040】
外気導入部206からエンジンルーム202内に取り入れられた空気(外気)は、
図8に示すように、吸気管211Aを通ってエアクリーナ211内に取り入れられて除塵された後、排気管211Bを通って過給機219に供給されて圧縮され、インタークーラ210へと送られる。
インタークーラ210は、エンジン73及び浄化装置93の上方であって、粒子除去装置82の後方且つ上方に設けられている。また、インタークーラ210は、オイルクーラ208及びラジエータ74の前方且つ上方であって、コンデンサ207の前方に位置している。
【0041】
図2、
図5〜
図7に示すように、インタークーラ210は、上部カバー201の上面部201Cの直下に配置されている。インタークーラ210は、上部カバー201の上面部201Cと四方の立ち上がり部201Bより囲まれる空間201D内に配置されている。インタークーラ210は、空間201D内に横置きに(略水平向きに)配置されている。これにより、空間201Dの高さを低くすることができ、インタークーラ210の設置による作業機1の高さの増加を抑制することができる。
【0042】
また、空間201Dは、支持フレーム16の内壁18の上縁よりも上方に形成されている。そのため、空間201Dに配置されたインタークーラ210は、概ね内壁18の上縁よりも上方に位置する。即ち、インタークーラ210が高い位置に設けられる。これにより、エンジン73とインタークーラ21との間に、浄化装置93を設置するためのスペースを確保することができる。
【0043】
上部カバー201の上面部201C及びインタークーラ210の上面は、後方に向かうにつれて下がるように下向きに傾斜している。これにより、キャビン2内の運転席6に着座した運転者の後方の視界を確保しやすくなっている。
図5に示すように、インタークーラ210には、取入管210A及び取出管210Bが接続されている。取入管210A及び取出管210Bは、インタークーラ210の後部から下方に向けて延びている。取入管210Aは、過給機を介してエアクリーナ211の排気管211Bと接続されている。
図7に示すように、取出管210Bは、エンジン73の吸気口と接続されている。取入管210A及び取出管210Bは、剛性が高い管から構成されており、インタークーラ210をエンジン73上方の空間201D内に支持している。
【0044】
図8に示すように、エアクリーナ211の排気管211Bから排出されて、過給機及び取入管210Aを通過してインタークーラ210に導入された空気は、インタークーラ210により冷却された後、取出管210Bを通ってエンジン73に供給される。
粒子除去装置82は、エンジン73からの排気(排出ガス)中の有害物質を含む微粒子を捕捉する。本実施形態では、粒子除去装置82は、DPF(Diesel Particulate Filter)から構成されている。
【0045】
図4及び
図5に示すように、粒子除去装置82は、浄化装置93の前方且つ下方に設けられている。また、粒子除去装置82は、エンジン73の前方の上部寄り位置に設けられており、エンジン73の排気マニホールドと接続されている。
図8に示すように、エンジン73からの排気は、粒子除去装置82を通って微粒子が除去された後、排気口82Bから排出されて接続管96を通って、吸気口93Cから浄化装置93に導入される。
【0046】
浄化装置93は、エンジン73からの排気に含まれる窒素酸化物(NO
X)を浄化する。浄化装置93は、本実施形態では、SCR(Selective Catalytic Reduction)用の触媒(以下、SCR触媒という)を収納した触媒ケースからなる。浄化装置(触媒ケース)93は、後述する尿素水タンク94及びSCRポンプ95と共に尿素SCRシステムを構成している。浄化装置93は、エンジン73の前部寄りの上方位置であって、粒子除去装置82の上方且つ後方に設けられている。浄化装置93は、接続管96を介して粒子除去装置82と接続されている。
【0047】
浄化装置93と粒子除去装置82とを接続する接続管96は、粒子除去装置82の上部に設けられた排気口82Bと、浄化装置93の前部に設けられた吸気口93Cとを接続している。接続管96は、粒子除去装置82の上方であって浄化装置93の前方に設けられている。
図3に示すように、尿素水タンク94は、尿素水を貯蔵するタンクであって、エンジン73の側方(左側方)且つ後方に設けられている。尿素水タンク94は、SCRポンプ95及びホース(図示略)を介して浄化装置93と接続されている。尿素水タンク94内の尿素水は、SCRポンプ95により浄化装置93に送られて接続管96内に噴射される。接続管96内に噴射された尿素水は、粒子除去装置82を通ったエンジン73の排気によって高温下で加水分解する。これによってアンモニアガスが生成され、このアンモニアガスによってエンジン73の排気中の窒素酸化物が窒素ガスと水蒸気とに還元される。この還元反応は、浄化装置(触媒ケース)93内でSCR触媒によって促進される。これにより浄化されたエンジン73からの排気は、
図8に示すように、浄化装置93の排気管93Aを通って外部に排出される。
【0048】
図4に示すように、浄化装置93は、支持フレームによりエンジン73の上方に支持されている。
図4では、図の簡明化のためにエンジン73は外形線のみを示している。
支持フレームは、第1支持フレーム216と第2支持フレーム217とを有している。
第1支持フレーム216は、上支持部216Aと前支持部216Bとを有している。上支持部216Aは、エンジン73の上方であってインタークーラ210の下方に設けられている。前支持部216Bは、エンジン73の前方であって当該エンジン73の近傍に設けられている。前支持部216Bは、上支持部216Aの前端部から下方に向けて延びている。上支持部216Aと前支持部216Bは、鋼材等の剛性材により一体に形成されている。
【0049】
上支持部216Aの上面には浄化装置93が載置されている。浄化装置93の下部は支持脚93Bにより支持されている。支持脚93Bは、ボルトにより上支持部216Aの上面に固定されている。
前支持部216Bは、上部216Cと下部216Dとを有している。上部216Cは、粒子除去装置82の後方に位置している。下部216Dは、粒子除去装置82の下方に位置している。上部216Cは、上支持部216Aの前端部から下方に向けて延び、下方に向かうにつれて前方に湾曲している。下部216Dは、上支持部216Aの下端部から下方に延びている。これにより、上部216Cは、下部216Dよりも後方(エンジン73に近い方)に位置している。粒子除去装置82は、上部216Cの前方であって当該上部216Cの近傍に配置されることにより、エンジン73の前方であって当該エンジン73の近傍に配置される。
【0050】
第2支持フレーム217は、第1支持フレーム216の下方であって、フライホイール213の後方に配置されている。第2支持フレーム217は、円筒部217Aと、鍔部217Bと、第1上板部217Cと、第2上板部217Dとを一体的に有している。
円筒部217Aは、第1支持フレーム216の前支持部216Bの下方に配置されている。鍔部217Bは、円筒部217Bの前端部に円環状に形成されている。鍔部217Bは、フライホイール213の周囲を保持するハウジング218(
図4では仮想線で示す)に対してボルトBにより固定される。第1上板部217Cは、円筒部217Aの上部から上方且つ前方に延びている。第1上板部217Cの上面には、粒子除去装置82を下方から支持する支持脚82Aが、ボルト(図示略)により固定されている。第2上板部217Dは、円筒部217Aの上部から右方と左方にそれぞれ延びている。右方の第2上板部217Dの右側面と、左方の第2上板部217Dの左側面には、それぞれ第1支持フレーム216の下部216Dがボルト(図示略)により固定されている。
【0051】
上記したように、第1支持フレーム216及び第2支持フレーム217によって、浄化装置93をエンジン73の上方であって近傍に配置することができる。また、粒子除去装置82をエンジン73の前方であって近傍に配置することができる。これにより、エンジン73、粒子除去装置82及び浄化装置93の占有スペースを小さくすることが可能となる。
【0052】
以上説明した構成を有する作業機では、インタークーラ210が、エンジン73の上方であって上部カバー201の下方に設けられている。また、上部カバー201には、外気導入部206が設けられている。そのため、冷却ファン76の駆動により、エンジン73の上方を覆う上部カバー201の外気導入部206から、エンジン73を収容するエンジンルーム202内に外気を取り入れて、この外気によってインタークーラ210を効率良く冷却することができる。また、インタークーラ210を冷却するための冷却ファンを別途設ける必要がない。
【0053】
また、外気導入部206がエンジン73の上方にある上部カバー201に設けられているため、エンジン73を収容するエンジンルーム202内に外気を取り入れる際に、作業時や走行時に舞い上がった土埃等がエンジンルーム202内に吸引されてしまうことを防止できる。
また、インタークーラ210が、エンジン73の上方に設けられていることから、インタークーラ210の配置による前後のスペースが省略できるため、作業機1の全長(前後長さ)を短くすることができる。
【0054】
また、インタークーラ210が、エンジン73の上方であって、ラジエータ74の前方且つ上方に設けられている。そのため、外気導入部206からエンジンルーム202内に導入されてインタークーラ210を冷却した後の外気を、ラジエータ74の冷却にも使用することができる。
また、インタークーラ210がコンデンサ207の前方に設けられているため、上後部カバー203の開口部203Aから取り入れられてコンデンサ207を冷却する空気の流れが、インタークーラ210により阻害されることがない。
【0055】
以上本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。