(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6884867
(24)【登録日】2021年5月14日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】送信器光学サブアセンブリ、光学コンポーネント、光学モジュールおよび受動光学ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20210531BHJP
H04B 10/272 20130101ALI20210531BHJP
H04B 10/071 20130101ALI20210531BHJP
【FI】
H01S5/022
H04B10/272
H04B10/071
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-535282(P2019-535282)
(86)(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公表番号】特表2020-503687(P2020-503687A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】CN2016112736
(87)【国際公開番号】WO2018119791
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】汪 ▲靈▼杰
(72)【発明者】
【氏名】周 恩宇
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 素林
(72)【発明者】
【氏名】▲廖▼ 振▲興▼
【審査官】
大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−055212(JP,A)
【文献】
特開2003−198031(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2602946(EP,A2)
【文献】
国際公開第2016/070353(WO,A1)
【文献】
特開2010−252334(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/068811(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/014283(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0038933(US,A1)
【文献】
特開2008−262109(JP,A)
【文献】
特開平09−325215(JP,A)
【文献】
特開平02−083523(JP,A)
【文献】
特開2004−062006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 − 5/50
H04B 10/00 − 10/90
H04J 14/00 − 14/80
G02B 6/26 − 6/27
6/30 − 6/38
6/42 − 6/43
27/00 − 27/28
G02F 1/00 − 1/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に配置された直接変調レーザーとを含む送信器光学サブアセンブリであって、
単段式アイソレーター、偏光方向回転子、及び光学分波フィルターが、前記基板上に光伝搬方向に並べて配置され、
前記偏光方向回転子が、線形偏光した光をP偏光した光に調整することが可能であり、
前記光学分波フィルターが、光学スプリッターサブアセンブリ及びフィルターサブアセンブリを含み、
前記光学スプリッターサブアセンブリ内の光学スプリッターフィルムが、P偏光を有する光を通過させるように構成された光学スプリッターフィルムである、送信器光学サブアセンブリ。
【請求項2】
前記偏光方向回転子が半波長板である、請求項1に記載の送信器光学サブアセンブリ。
【請求項3】
前記偏光方向回転子がファラデー回転平板である、請求項1に記載の送信器光学サブアセンブリ。
【請求項4】
前記偏光方向回転子及び前記光学分波フィルターが、一体型構造に集積される、請求項1に記載の送信器光学サブアセンブリ。
【請求項5】
コリメーションレンズが、前記直接変調レーザーと前記単段式アイソレーターとの間にさらに配置された、請求項1から4のいずれか一項に記載の送信器光学サブアセンブリ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の送信器光学サブアセンブリを含む、光学コンポーネント。
【請求項7】
請求項6に記載の光学コンポーネントを含む、光学モジュール。
【請求項8】
受動光学ネットワークシステムであって、
前記システムが、光学ラインターミナル及び光学ネットワークユニットを含み、
前記光学ラインターミナルが、受動光学分配ネットワークを用いることによって前記光学ネットワークユニットに接続され、
前記光学ラインターミナルが、請求項6に記載の光学コンポーネントを含み、または前記光学ネットワークユニットが、請求項6に記載の光学コンポーネントを含む、受動光学ネットワークシステム。
【請求項9】
請求項6に記載の光学コンポーネントを含む、光学ラインターミナル。
【請求項10】
請求項6に記載の光学コンポーネントを含む、光学ネットワークユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は通信分野に関し、特に、送信器光学サブアセンブリ、光学構成要素、光学モジュールおよび受動光学ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
10G受動光学ネットワーク(Passive Optical Network,PON)システムの商業化がなされつつあり、10G−PONにおける光学コンポーネントのコストが、産業化に影響を与える重要な因子になっている。レーザーは、光学ライン端子(Optical line terminal,OLT)光学コンポーネントにおける双方向光学サブアセンブリ(Bidirectional Optical Subassembly,BOSA)の重要な構成部分であり、レーザーのコストは、コストの大部分を占める。技術的に複雑かつ高価な10G電子吸収変調レーザー(Electro−absorption Modulated Laser,EML)と比較して、10G直接変調レーザー(Direct Modulated Laser,DML)は、コスト、電力消費、出力光学パワーの点で絶対的な利点を有する。しかし、EMLと比較すると、DMLはより大きなチャープ及びより低い消光比を有し、結果として、送信が10Gを超えるレートで実行される場合、分散に比較的高い費用が掛かり、システムの受信機の感度に損失が生じる。
【0003】
近年の実験結果は、DMLの電力量は、バイアス電流が高く、その他のパラメータ設定が適切である場合には要求を満たすことができるが、DMLの消光比は依然として、10ギガビットが可能な受動光学ネットワーク(10 Gigabit−Capable Passive Optical Network,XG−PON)の標準的な要求である8.2dBを下回る。消光比を増大させると、感度を改善することができ、標準により良好に適合することができる。電力費において、DMLは光学信号の消光比を増大させるためにエタロン(フィルター)とともに協働することができ、ネガティブチャープ補正及び線幅の狭小化を達成することができる。
【0004】
光学コンポーネントの大きさを低減し、光学構成要素のコストを低減するために、TOパッケージング(同軸トランジスタアウトラインパッケージング)が、DMLの送信器光学サブアセンブリについて使用される。
図1は、DMLのTOパッケージされた送信器光学サブアセンブリを示している。送信器光学サブアセンブリは、直接変調レーザー、コリメーションレンズ、単段式アイソレーター、及び光学分波フィルターを含む。光学分波フィルターは、光学スプリッターサブアセンブリ及びフィルターサブアセンブリを含む。光学スプリッターサブアセンブリ及びフィルターサブアセンブリは、光学コンポーネントの大きさを低減するために、一体化構造に集積される。送信器光学サブアセンブリが動作している場合、DMLは単一偏光でP偏光した光を出力し、P偏光した光が単段式アイソレーターを通過した後は、出力光は45°回転する。換言すれば、単一偏光した光ではなく、混合偏光した光であるP偏光した光及びS偏光した光が出力される。混合偏光した光が光学分波フィルターに入った後、P偏光を有する光学スプリッターが使用されると、P偏光した光は光学分波フィルターを通過し、S偏光した光は全て反射され、結果として、全損失は3dB増大し、換言すれば、プロセス全体の損失は極めて大きくなる。または、偏光解消光学スプリッターが使用される場合、偏光は補償される必要があるため、光学スプリッターは位相差を有し、光学スプリッターフィルムは非常に厚く、光学分波フィルター内で反射した光が大きな位相差及び厚い光学スプリッターフィルムを有する光学スプリッターを通過した後、光学分波フィルターによって出力される波長は、大きなオフセットを有し、出力光は2つのピークを有し、これは波長をロックするためのデバイスには好ましくない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、送信器光学サブアセンブリの偏光損失を低減し、出力光学パワーを増大し、光学コンポーネントが波長ロック機能をより良好に実現することを可能にするために、送信器光学サブアセンブリ、光学コンポーネント、光学モジュール、および受動光学ネットワークシステムを提供する。
【0006】
本出願は、送信器光学サブアセンブリを提供し、送信器光学サブアセンブリは、基板と、基板上に配置された直接変調レーザーとを含む送信器光学サブアセンブリであって、単段式アイソレーター、偏光方向回転子、及び光学分波フィルターが、基板上に光伝搬方向に並べて配置され、
【0007】
偏光方向回転子が、線形偏光した光をP偏光した光に調整することが可能であり、光学分波フィルターが、光学スプリッターサブアセンブリ及びフィルターサブアセンブリを含み、光学スプリッターサブアセンブリ内の光学スプリッターフィルムが、P偏光を有する光学スプリッターフィルムである。
【0008】
前述の実施形態において、偏光方向回転子は、入射した線形偏光した光をP偏光した光に調整し、光学分波フィルター内の光学スプリッターフィルムは、P偏光を有する光学スプリッターフィルムであり、そのため、単一の偏光を有するP偏光した光の全てが、いかなる偏光損失も2つのピークも生じることなく光学分波フィルターを通過することができる。このようにして、送信器光学サブアセンブリの出力光学パワーが増大する。
【0009】
具体的な実施形態において、偏光方向回転子が半波長板である。
【0010】
別の具体的な実施例において、偏光方向回転子がファラデー回転平板である。
【0011】
送信器光学サブアセンブリの大きさを低減するために、送信器光学サブアセンブリが同軸トランジスタアウトラインパッケージングを実現し、コストを低減することができるように、偏光方向回転子及び光学分波フィルターが、一体型構造に集積される。
【0012】
追加的に、コリメーションレンズが、直接変調レーザーと単段式アイソレーターとの間にさらに配置される。
【0013】
本出願はさらに、前述のいずれか1つに従う送信器光学サブアセンブリを含む光学コンポーネントを提供する。送信器光学サブアセンブリ内の偏光方向回転子が入射した線形偏光した光をP偏光した光に調整し、単一の偏光を有するP偏光した光の全てが、光学分波フィルター内の光学スプリッターを通過することができる。このようにして、出力光の偏光損失または2つのピークが防止され、光学コンポーネントはより良好な波長ロック機能を実現することができる。
【0014】
本出願はさらに、前述の光学コンポーネントを含む光学モジュールを提供する。光学モジュールは、光電変換及びネットワーク信号の伝達を実行するように応答可能である。
【0015】
本出願はさらに、受動光学ネットワークシステムを提供し、システムが、光学ラインターミナル及び光学ネットワークユニットを含み、光学ラインターミナルが、受動光学分配ネットワークを用いることによって光学ネットワークユニットに接続され、光学ラインターミナルが前述の光学コンポーネントを含み、または光学ネットワークユニットが前述の光学コンポーネントを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来技術の送信器光学サブアセンブリの簡単な構造図である。
【
図2】本出願の実施形態に従う送信器光学サブアセンブリの簡単な構造図である。
【
図3】本出願の実施形態に従う受動光学ネットワークシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、添付する図面を参照して本出願を説明する。
【0018】
図2は、送信器光学サブアセンブリを示す。送信器光学サブアセンブリは、基板60と、基板60上に配置された直接変調レーザー10と、を含み、単段式アイソレーター20と、偏光方向回転子50と、光学分波フィルター30とは、基板60上に、光学伝搬方向に並べて配置される。
【0019】
偏光方向回転子50は、線形偏光した光をP偏光した光に調整するように構成される。さらに、光学分波フィルター30は、光学スプリッターサブアセンブリ及びフィルターサブアセンブリを含み、光学スプリッターサブアセンブリ内の光学スプリッターフィルムは、P偏光を有する光学スプリッターフィルムである。
【0020】
前述の実施形態において、偏光方向回転子50は、入射した線形偏光した光を単一の偏光を有するP偏光した光に調整し、光学分波フィルター30内の光学スプリッターフィルムは、P偏光を有する光学スプリッターフィルムである。そのため、単一の偏光を有するP偏光した光の全ては、いかなる偏光損失も2つのピークも生じることなく、光学分波フィルター30内の光学スプリッターを通過することができる。このようにして、送信器光学サブアセンブリの出力光学パワーが増大される。
【0021】
送信器光学サブアセンブリの構造及び動作原理は、以下に詳細に説明される。
【0022】
図2に示されるように、送信器光学サブアセンブリは基板60を含み、直接偏光レーザー10は、基板60上に配置され、直接変調レーザー10は、単一偏光を有するP偏光した光を放出することができ、単段式アイソレーター20と、偏光方向回転子50と、光学分波フィルター30と、は基板60上に光伝搬方向に並べて配置される。コリメーションレンズ40がさらに、直接変調レーザー10と単段式アイソレーター20との間に配置され、直接変調レーザー10から放出された、発散したP偏光した光は、コリメーションレンズ10を通過し、平行なP偏光した光になる。コリメーションレンズ40を通過した後、P偏光した光は単段式アイソレーター20に入る。単一の偏光を有するP偏光した光は、単段式アイソレーター20によって45°回転し、45°線形的に偏光した光になり、換言すれば、P偏光した光及びS偏光した光になり、これらは単一の偏光した光ではなく混合偏光した光である。45°線形的に偏光した光が単段式アイソレーター20から放出され、偏光方向回転子50に入った後、偏光方向回転子50は、入射した線形的に偏光した光をP偏光した光に調整する。特定の設定のとき、偏光方向回転子50は半波長板であるかまたはファラデー回転平板でありうる。単一の偏光を有するP偏光した光は、偏光方向回転子50から放出され、光学分波フィルター30に入る。光学分波フィルター30は光学スプリッターサブアセンブリ及びフィルターサブアセンブリを含み、光学スプリッターサブアセンブリ内の光学スプリッターフィルムは、P偏光を有する光学スプリッターフィルムである。したがって、単一の偏光を有するP偏光した光の全ては、光学スプリッターを通過することができる。このようにして、送信器光学サブアセンブリの出力光学パワーが増大し、偏光損失及び2つのピークが光学分波フィルター30で生じるという従来の課題が解決される。さらに、光学分波フィルター30内の光学スプリッターは、P偏光を有する光学スプリッターフィルムを使用する。光学スプリッターフィルムのフィルムシステムは単純な設計を有し、低コストであり、そのためコストが低減される。光学スプリッターサブアセンブリ及びフィルターサブアセンブリは、一体化構造内に集積され、そのため送信器光学サブアセンブリの大きさを低減する。同様に、偏光方向回転子50及び光学分波フィルター30も、一体化構造内に集積されうる。このようにして、TO(同軸トランジスタアウトライン)の出力パワーが、狭いTO空間内で最大に達しうる。
【0023】
本出願はさらに、前述の送信器光学サブアセンブリを含む光学コンポーネントを提供する。送信器光学サブアセンブリは、電気信号を光学信号に変換するように構成される。P偏光を有する偏光方向回転子及び、P偏光を有する光学スプリッターフィルムを有する光学分波フィルター30は、送信器光学サブアセンブリ上に配置され、それによって、出力光学パワーを増大し、光学コンポーネントが波長ロッキング機能をより良好に実現することができるようにする。さらに、偏光方向回転子50及び光学分波フィルターは、一体化構造内に集積され、それによって、同軸トランジスタアウトラインパッケージングを実現するために送信器光学サブアセンブリの大きさを低減し、コストを低減する。光学コンポーネントはさらに、光学信号を受信し、光学信号を電気信号に変換するように構成された受信器光学サブアセンブリを含む。送信器光学サブアセンブリ及び受信器光学サブアセンブリは、ネットワーク全体の通常の通信のための基礎となる。
【0024】
本出願はさらに、光学モジュールを提供する。光学モジュールは、前述の光学コンポーネントを含み、さらに、モジュラー回路基板を含む。光学モジュールは、光電変換及びネットワーク信号への送信を実行する働きをする。
【0025】
本出願はさらに、受動光学ネットワークシステムを提供する。
図3に示されるように、受動光学ネットワークシステムは、少なくとも1つの光学ラインターミナル(Opitical Line Terminal,OLT)71と、複数の光学ネットワークユニット(Optical Network Unit,ONU)72と、1つの受動光学分配ネットワーク(Optical Distribution Network,ODN)73と、を含む。光学ラインターミナル71は、受動光学分配ネットワーク73を使用することによって、1点から複数点への方式で、複数の光学ネットワークユニット72に接続される。TDMメカニズム、WDMメカニズムまたはハイブリッドTDM/WDMメカニズムが、光学ラインターミナル71と光学ネットワークユニット72との間の通信に使用されうる。光学ラインターミナル71から光学ネットワークユニット72への方向は、ダウンストリーム方向として定義され、光学ネットワークユニット72から光学ラインターミナル71への方向はアップストリーム方向として定義される。
【0026】
受動光学ネットワークシステムは、光学ラインターミナル71と光学ネットワークユニット72との間のデータを、いかなる能動デバイスの必要もなく分配するための通信ネットワークでありうる。具体的な実施形態において、光学ラインターミナル71と光学ネットワークユニット72との間のデータは、受動光学分布ネットワーク73内の受動光学コンポーネント(例えば光学スプリッター)によって分配されうる。受動光学ネットワークシステムは、ITU−T G.983規格で定義された非対称送信モード受動光学ネットワーク(Asynchronous Transfer Mode Passive Optical Network,ATM PON)システムもしくはブロードバンド受動光学ネットワーク(Broadband Passive Optical Network,BPON)システム、ITU−T G.984シリーズ規格で定義されたギガビット可能受動光学ネットワーク(Gigabit−capable Passive Optical Network,GPON)システム、イーサネット受動光学ネットワーク(Ethernet Passive Optical Network,EPON)システム、波長分割多重化受動光学ネットワーク(Wavelength Division Multiplexing Passive Optical Network,WDM PON)システム、またはIEEE802.3ah規格で定義された次世代アクセス受動光学ネットワークシステム(Next Generation Access Passive Optical Network system,NGA PON system、例えばITU−T G.987シリーズ規格で定義されたXGPONシステム、IEEE802.3av規格で定義された10G−EPONシステム、もしくはハイブリッドTDM/WDM PONシステム)でありうる。前述の規格で定義された様々な受動光学ネットワークシステムの全ての内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0027】
光学ラインターミナル71は通常、中心地(例えば中央事業所(Central Office,CO))に配置され、複数の光学ネットワークユニット72の全てを管理することができる。光学ラインターミナル71は、光学ネットワークユニット72と上層ネットワーク(図示されない)との間の媒介として働き、上層ネットワークから受け取ったデータをダウンストリームデータとして光学ネットワーク72に送り、光学ネットワークユニット72から受け取ったアップストリームデータを上層ネットワークに送りうる。光学ラインターミナル71の具体的な構造的構成は、受動光学ネットワークシステムの具体的な種類とともに変更しうる。ある実施形態において、光学ラインターミナル71は、第1の光学コンポーネント81及びデータ処理モジュール(図示されない)を含む。第1の光学コンポーネント81は、データ処理モジュールによって処理されたダウンストリームデータを、ダウンストリーム光学信号に変換し、受動光学分配ネットワーク73を用いることによって、ダウンストリーム光学信号を光学ネットワークユニット72に送り、受動光学分配ネットワーク73を用いることによって光学ネットワークユニット72によって送られたアップストリーム光学信号を受信し、アップストリーム光学信号を電気信号に変換し、処理のために、電気信号をデータ処理モジュールに提供しうる。
【0028】
光学ネットワークユニット72は、分配されて消費者側(例えば、加入者宅内)の場所に配置されうる。光学ネットワークユニット72は、光学ラインターミナル71と消費者との間の通信をするように構成されたネットワークデバイスでありうる。具体的に、光学ネットワークユニット72は、光学ラインターミナル71と消費者との間の媒体として働きうる。例えば、光学ネットワークユニット72は、光学ラインターミナル71から受け取ったダウンストリームデータを消費者に送り、消費者からアップストリームデータとして受け取ったデータを光学ラインターミナル71に送りうる。光学ネットワークユニット72の具体的な構造的構成は、受動光学ネットワークシステムの具体的な種類によって変化しうる。ある実施形態において、光学ネットワークユニット72は、第2の光学コンポーネント82を含む。第2の光学コンポーネント82は、受動光学分配ネットワーク73を用いることによって、光学ラインターミナル71によって送られたダウンストリームデータを受け取り、受動光学分配ネットワーク73を用いることによって、アップストリームデータ信号を光学ラインターミナル71に送るように構成される。本出願において、光学ネットワークユニット72の構造は、光学ネットワークターミナル(Optical Network Terminal,ONT)の構造と類似していることは理解すべきである。そのため、本出願において提供された解決手段において、光学ネットワークユニット及び光学ネットワークターミナルは相互に交換可能である。
【0029】
受動光学分配ネットワーク73はデータ分配システムでありえ、光ファイバー、光学結合器、光学マルチプレクサ/デマルチプレクサ、光学スプリッター及び/またはその他のデバイスを含みうる。ある実施形態において、光ファイバー、光学結合器、光学マルチプレクサ/デマルチプレクサ、光学スプリッター及び/またはその他のデバイスはそれぞれ、受動光学コンポーネントでありうる。具体的に、光ファイバー、光学結合器、光学マルチプレクサ/デマルチプレクサ、光学スプリッター及び/またはその他のデバイスはそれぞれ、電源のサポートを必要とせずに、光学ラインターミナル71と光学ネットワークユニット72との間のデータ信号を分配するためのデバイスでありうる。さらに、別の実施形態において、受動光学分配ネットワーク73はさらに、1つまたは複数の処理デバイス、例えば光学増幅器またはリレーデバイスを含みうる。
図1に示されたブランチ構造において、受動光学分配ネットワーク73は、具体的には光学ラインターミナル71から複数の光学ネットワークユニット72へ延在してもよく、またはその他任意の点から複数点への構造として構成されうる。
【0030】
第1の光学構成要素81または第2の光学構成要素82は、光学信号送信及び受信機能、光電変換機能、及び光学時間領域反射率(Optical Time Domain Reflectometer,OTDR)試験機能を有する着脱可能な光学受信器及び送信器サブアセンブリでありうる。例えば、光学ラインターミナル71内の第1の光学コンポーネント81は、送信器光学サブアセンブリ、受信器光学サブアセンブリ、及びOTDR試験サブアセンブリを含む。送信器光学サブアセンブリは、受動光学分配ネットワーク
73を用いることによってダウンストリームデータ信号を光学ネットワークユニット
72に送達し、ファイバー光学ネットワークおよびPONデバイスが検出される必要がある場合には、OTDR試験サブアセンブリによって提供されるOTDRを用いることによって制御信号を試験し、OTDRによって試験された制御信号をダウンストリームデータ信号に変調し、ダウンストリームデータ信号を受動光学分配ネットワーク73に出力するように構成される。受信器光学サブアセンブリは、受動光学分配ネットワーク73によって光学ネットワークユニット72から送信されたアップストリームデータ信号を受信し、アップストリームデータ信号を光電変換を介して電気信号に変換し、処理のために、電気信号を光学ラインターミナル内71内の制御モジュールまたはデータ処理モジュール(図示されない)に送るように構成される。
【0031】
前述の説明から、受動光学ネットワークシステムは、光学ラインターミナル及び光学ネットワークユニットを含み、光学ラインターミナルは、受動光学分配ネットワークを用いることによって光学ネットワークユニットに接続され、光学ラインターミナルは光学コンポーネントを含み、または光学ネットワークユニットは光学コンポーネントを含む。光学コンポーネントは、ネットワーク全体の通常の通信の基礎であり、送信器光学サブアセンブリは光学コンポーネントの重要な構成部分である。
【0032】
明らかに、当業者は、本出願の思想及び範囲から逸脱することなく、本出願に様々な改良および変更を行うことができる。本出願は、本出願の以下の特許請求の範囲及びその等価な技術によって定義される保護範囲内に含まれる本出願のこれらの改良および変更をカバーすることが意図される。
【符号の説明】
【0033】
10 直接変調レーザー
20 単段式アイソレーター、
30 光学分波フィルター
40 コリメーションレンズ
50 偏光方向回転子
60 基板
71 光学ラインターミナル
72 光学ネットワークユニット
73 受動光学分配ネットワーク
81 第1の光学コンポーネント
82 第2の光学コンポーネント