(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロック部材は、前記ロックアーム部が前記ロック溝に係止した状態において、前記ロック部材の自重によって作用する回動方向が、同ロックアーム部が前記ロック溝に係止する方向になるように、前記駆動軸に保持されている請求項1又は2記載の開閉体の開閉装置。
前記ロック部材は、前記回動部から延出し、前記ロック溝と前記ロックアーム部との係止状態を解除可能な係止解除アーム部を有しており、前記ロックアーム部は、前記係止解除アーム部に対して、前記プッシュロッドの先端側に位置ずれして配置される部分を有している請求項1〜3のいずれか1つに記載の開閉体の開閉装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る開閉体の開閉装置の、一実施形態について説明する。
【0012】
この開閉体の開閉装置は、例えば、
図1に示すような、フューエルリッドの開閉構造に用いることができる。
図1に示すように、車体1の燃料給油口の周縁部には、正面側に開口部3aを有する略円筒箱状をなした固定部材3が固定されており、該固定部材3の開口部3aに、ヒンジ部4を介して開閉体5(ここではフューエルリッド)が開閉可能に取付けられている。また、固定部材3は、その開口部3aが、車体1に対して、斜め上方を向くように固定されている(
図1においては、固定部材3の開口部3aは、車体1に対して斜め下方に開口しているが、これは便宜上のものである)。更に、固定部材3の、ヒンジ部4とは周方向反対側には、凹部3bが設けられており、該凹部3bに、この実施形態の開閉体の開閉装置10(以下、単に「開閉装置10」ともいう)が配置されている。また、開閉体5の内面側には、底面側及び一側部が開口した門形枠状をなした係合部7が設けられており、その内側には係合溝8が形成されている。この係合溝8は、
図8(b)に示すように、平行に配置された一対の内側壁を有しており、該一対の内側壁の開口部8aの幅より、溝の奥方8bの幅の方が広くなった形状をなしている。
【0013】
この実施形態の開閉装置10は、上記のような開閉体をフューエルリッドとし、これの開閉に利用されるものであるが、例えば、自動車の小物入れの開閉構造や、グローブボックスやそのリッドの開閉構造、更に押し込むことで開閉する構造の家具や日用品等に利用してもよく、使用態様や設置場所等は特に限定されない。
【0014】
そして、
図2に示すように、この実施形態の開閉装置10は、固定部材3側に取付けられると共に、筒状部17を有する本体部材15と、該本体部材15に、軸方向に移動可能で且つ回転可能に保持されるプッシュロッド40(以下、単に「ロッド40」ともいう)と、該ロッド40を本体部材15のロッド保持部21の先端開口から突出する方向に付勢するバネ部材57と、本体部材15内に収容保持される駆動部材50と、該駆動部材50に連動して回動するロック部材60とから、主として構成されている。
【0015】
図2に示すように、この実施形態におけるロッド40は、略円筒状をなしており、その先端側(開閉体5に近接する方の端部)の中央からは、小径の柱部41が突設されており、同柱部41の先端部には、帯状をなした係合片43が設けられている。この係合片43が、ロッド40の回転に伴って回転して角度が変わって、前記開閉体5の係合溝8に係脱する(
図8参照)。また、ロッド40の基端寄りの外周には、装着溝44が形成されており、この装着溝44に、ロッド40とは別体のカム形成部材48が装着されるようになっている。このカム形成部材48の両端部には、
図4に示すカム溝55に嵌入する、カム突部49が設けられている。なお、ロッド40の外周に、カム突部を一体的に設けてもよい。また、
図2や
図9に示すように、ロッド40の先端とは反対側には、ロック溝45が形成されている。この実施形態では、前記装着溝44よりも、ロッド40の基端側に、ロッド40の周方向に沿って所定幅で、前記ロック溝45が形成されている。更に
図9に示すように、ロッド40の基端部外周には、基端に向かって次第に高さが低くなるテーパ面46が形成されている。
【0016】
また、前記駆動部材50は、この実施形態の場合、図示しない電力供給手段により供給される電気によって、回転動作する駆動軸51を有する、いわゆる電気モーターとなっている。更に
図6に示すように、前記駆動軸51の外周の一部に、平坦にカットされた平坦面51aが形成されている。また、
図9に示すように、駆動軸51は、駆動部材50の一端側から、ロッド40の先端とは反対側に向けて延出し、かつ、ロッド40の先端とは反対側に配置されるようになっている。なお、駆動部材としては、電気モーターに限らず、駆動軸を有しており、ロック部材60を回転駆動させることが可能であればよい。
【0017】
次に本体部材15について説明する。
図2や
図3に示すように、この実施形態における本体部材15は、ロッド40を保持する筒状部17を分割してなる、第1本体部20と第2本体部30とから構成されている。前記第1本体部20は、
図2や
図6に示すように、一方向に長く伸びる略長箱状をなしている。この第1本体部20の長手方向一端側には、本体部材15の分割面F(
図3参照)に対して直交する筒状のロッド保持部21が設けられており、その内側には、
図4や
図9に示すカム溝形成突部22が形成されている。また、第1本体部20の長手方向他端側には、前記分割面F側が開口した凹状の駆動部材保持部23が形成されると共に、コネクタ接続部24が形成されている。更にロッド保持部21の先端外周には、ゴムや弾性エラストマー等からなるシール部材27(
図2参照)が装着されるようになっており、これによりロッド保持部21の内周と、ロッド40の外周との隙間から、ロッド保持部21内に水等が侵入しないようにシールされる。
【0018】
また、
図2、
図3、及び
図9に示すように、第2本体部30は、第1本体部20と同様に一方向に長く延びる略長箱状をなし、その長手方向一端側であって、第1本体部20のロッド保持部21に整合する位置に、本体部材15の分割面Fに対して直交する筒状のロッド保持部31が設けられている。また、ロッド保持部31の内側には、
図2や
図4、
図9に示すカム溝形成突部32が形成されている。更に
図9に示すように、カム溝形成突部32における、第2本体部30の長手方向他端部の周面には、ロック部材60のロックアーム部63が出没するロックアーム出没溝34が形成されている。一方、第2本体部30の長手方向他端側であって、第1本体部20の駆動部材保持部23に整合する位置に、前記分割面F側が開口した凹状の駆動部材保持部33が形成されている。
【0019】
また、
図3に示すように、第2本体部30の、駆動部材保持部33を画成する外壁部33a(前記分割面Fとは反対側に位置する壁部)の所定箇所には、ロック部材60の回動部61の回動軸部67(
図5(a)参照)を回動支持するための、円形のアーム支持孔35が形成されている。更に
図2や
図9に示すように、第2本体部30の、駆動部材保持部33を画成する下壁部33bには、ロック部材60の係止解除アーム部65を、駆動部材保持部33から挿出させると共に、スライド可能に保持するための、解除アームスライド溝36が形成されている。
【0020】
また、ロッド保持部31の底面中央からは、円柱状をなしたバネ支持柱37が突設されている(
図9参照)。このバネ支持柱37に外装されたバネ部材57が、ロッド40の内部空間に挿入配置されることで、ロッド40が開閉体5に近接する方向、すなわち、本体部材15の筒状部17の先端開口(ロッド保持部21側の先端開口を意味する。以下の説明においても同様)からのロッド突出量が大きくなるように、ロッド40が付勢されるようになっている。
【0021】
そして、前記第1本体部20及び第2本体部30の開口側端部どうしを互いに突き合わせて、図示しないボルトやナット等を介して互いに固着することで、両本体部20,30が一体化されて本体部材15が組み付けられるようになっている。
【0022】
この際、第1本体部20のロッド保持部21及び第2本体部30のロッド保持部31によって、本体部材15の分割面Fに直交する方向に伸びる筒状部17が形成され(
図3及び
図9参照)、該筒状部17によりロッド40が軸方向に移動可能で且つ回転可能に保持される。また、第1本体部20の駆動部材保持部23及び第2本体部30の駆動部材保持部33によって、本体部材15内に保持空間が画成されることになり、
図6や
図9に示すように、この保持空間に、駆動軸51が、ロッド40の軸方向と並列に配置されるように、駆動部材50が保持されるようになっている。なお、
図6に示すように、ロッド40の軸方向から見たときに、ロッド40の軸心C1と、駆動軸51の軸心C2とは、本体部材15の長手方向Aに直交する幅方向Bに対して、位置ずれして配置されている。また、この実施形態においては、固定部材3の開口部3aが、車体1に対して斜め上方を向くように固定されている関係上、ロッド40は、その先端側が斜め上向きに配置され、先端と反対側の基端側は、斜め下向きに配置されるようになっている。
【0023】
更に、第1本体部20のカム溝形成突部22及び第2本体部30のカム溝形成突部32の間に、ロッド40外周に設けたカム突部49が摺動可能に嵌入する、カム溝55が形成される(
図4参照)。このカム溝55は、いわゆるハートカムと同じ原理のカム溝を筒状部17の内周に沿って一周するように形成したものからなっている。すなわち、
図4に示すように、このカム溝55は、ロッド40の先端寄りの所定箇所に形成され、カム突部49が嵌合してロッド40を筒状部17の先端開口から突出した状態に保持する第1嵌合溝55aと、該第1嵌合溝55aよりもロッド基端寄りで、かつ、第1嵌合溝55aに対して周方向に位置ずれした位置に形成され、カム突部49が嵌合してロッド40を筒状部17内に引き込んだ状態に保持する第2嵌合溝55bと、両嵌合溝55a,55bどうしを連結するようにロッド40の軸方向に対して傾斜して形成され、カム突部49を一方の嵌合溝から他方の嵌合溝へとガイドする、ガイド溝55cとから構成されている。なお、
図4においては、構造を分かりやすく説明するため、第1本体部20について、ロッド保持部21を省略してカム溝形成突部22を実線で記載している。
【0024】
上記ロッド40の伸縮及び回転動作について、
図4を参照して説明する。なお、
図4(a),(d)は、見る方向を90°変えて記載したもので同じ状態を示しており、
図4(b),(c)も、見る方向を90°変えて記載したもので同じ状態を示している。
【0025】
図4(a),(d)に示すように、カム突部49がカム溝55の第1嵌合溝55aに嵌合した状態では、筒状部17の先端開口からロッド40が突出されている。この状態からロッド40がバネ部材57の付勢力に抗して押圧されると、カム突部49が第1嵌合溝55aから外れ、ガイド溝55cによりガイドされて、ロッド40が回転しながら筒状部17内に引き込まれていき、カム突部49が第2嵌合溝55bに嵌合すると、ロッド40が筒状部17の先端開口から引き込まれた状態に保持される(
図4(b),(c)参照)。この状態で再びロッド40がバネ部材57の付勢力に抗して押圧されると、カム突部49が第2嵌合溝55bから外れてガイド溝55cにガイドされ、ロッド40が回転しながら筒状部17の先端開口から突出していき、同カム突部49が第1嵌合溝55aに嵌合することで、ロッド40が筒状部17の先端開口から突出した状態に保持される(
図4(a),(d)参照)。このように、ロッド40を押すことによって、カム突部49が、カム溝55の、第1嵌合溝55a、ガイド溝55c、第2嵌合溝55b、ガイド溝55c、第1嵌合溝55a、の順番で繰り返すように移動して、ロッド40を筒状部17から突出した状態又は引き込んだ状態に交互に保持される。
【0026】
また、ロッド40は、開閉体5に設けた係合溝8に対して、次のように係脱する。すなわち、
図4(a),(d)に示すように、カム突部49がカム溝55の第1嵌合溝55aに嵌合して、ロッド40が筒状部17の先端開口から突出した状態の回転位置のときに、
図8(b)に示すように、ロッド40の係合片43の長手方向が、係合溝8の一対の内側壁と平行になって、開口部8aを通過して係合溝8に対して挿脱可能となる。一方、
図4(b),(c)に示すように、カム突部49が第2嵌合溝55bに嵌合して、ロッド40が筒状部17の先端開口から引き込まれた状態の回転位置のときに、
図8(a)に示すように、ロッド40の係合片43の長手方向が、係合溝8の一対の内側壁と直角になって、溝の奥方8bに入り込み、幅狭の開口部8aに係合して抜けなくなる。すなわち、カム突部49が第1嵌合溝55aに嵌合した状態で、ロッド40の係合片43と開閉体5の係合溝8との係合が解除され、カム突部49が第2嵌合溝55bに嵌合した状態で、ロッド40の係合片43と開閉体5の係合溝8に係合するように構成されている。
【0027】
次に、ロッド40のロック溝45に係脱して、同ロッド40の軸方向移動を規制する、ロック部材60について、
図5〜9を参照して具体的に説明する。
【0028】
図5(a),(b)に示すように、このロック部材60は、駆動部材50の駆動軸51に保持され(
図9参照)、かつ、駆動軸51の回転駆動に連動して回動する回動部61と、この回動部61から延出して、ロッド40のロック溝45に係脱するロックアーム部63と、回動部61から延出して、ロック溝45とロックアーム部63との係止状態を解除可能な係止解除アーム部65(以下、単に「解除アーム部65」ともいう)とを有している。
【0029】
この実施形態における回動部61は、その厚さ方向一端面から突設した、円柱状をなした回動軸部67を有している(
図5(a)参照)。
図3に示すように、この回動軸部67が、本体部材15を構成する第2本体部30のアーム支持孔35に挿入されることで、駆動部材50の駆動軸51による保持と合わせて、ロック部材60が本体部材15に回動可能に支持されるようになっている(
図9参照)。
【0030】
また、回動部61の厚さ方向他端面であって、前記回動軸部67に対して同軸となる位置に、駆動部材50の駆動軸51の外周形状に適合する、軸挿入孔69が形成されている(
図5(b)参照)。
図6を併せて参照して説明すると、この軸挿入孔69は、その内径が駆動軸51の外径に適合すると共に、その内面の一部が平坦面状にカットされて、駆動軸51の平坦面51aに適合する形状をなした、平坦面69aが形成された形状となっている。
【0031】
そして、軸挿入孔69の平坦面69aと駆動軸51の平坦面51aとを整合した状態で、軸挿入孔69内に駆動軸51を挿入して、軸挿入孔69の内周と駆動軸51の外周とを接着剤等で固定したり、或いは、軸挿入孔69を駆動軸51が圧入される寸法で形成して、軸挿入孔69に駆動軸51が圧入したりすることで、駆動軸51に対してロック部材60の回動部61が固着される(
図6参照)。このように、回動部61の軸挿入孔69内に、駆動部材50の駆動軸51が挿入されることで、
図6に示すように、回動部61の内側に駆動軸51が配置される。また、駆動軸51の平坦面51aと、軸挿入孔69の平坦面69aとが互いに当接した状態で、軸挿入孔69内に駆動軸51が挿入されることで、軸挿入孔69内で駆動軸51の回転規制された状態で、駆動軸51と回動部61とが一体化されるため、駆動軸51の回転に連動して回動部61も回動するようになっている。なお、回動部の内側に駆動軸が配置される構造については、上記構造に限定するものではない(他の実施形態については後述の実施形態で説明する)。
【0032】
また、前記解除アーム部65は、回動部61の外周の所定箇所から、所定長さで真直ぐに(直線状に)延出した角柱状をなしている。この係止解除アーム部65は、ロック部材60が本体部材15に保持された状態で、解除アームスライド溝36(
図9参照)から挿出されて、ロック溝45とロックアーム部63との係止状態を、解除操作可能となっている。なお、係止解除アーム部としては、使用者が把持できて解除操作が可能であれば、どのような形状でもよい。
【0033】
また、ロックアーム部63は、駆動部材50の駆動軸51が回転駆動して、その回転駆動に連動して回動部61が回動することで、所定方向に回動してロッド40のロック溝45に係脱するように構成されている。
【0034】
この実施形態における前記ロックアーム部63は、
図5〜7に示すように、回動部61の外周から、前記解除アーム部65の軸方向に対して、所定角度で斜めに延出した傾斜部71を有している。この傾斜部71の延出方向の先端部71aは、解除アーム部65の軸方向に沿って延びており、この先端部71aから、前記解除アーム部65に対して離れるように、回動部61の軸方向に沿って軸方向延出部73が延出している。更に、この軸方向延出部73の延出方向の先端部73aから、係止部75が延出している。この係止部75は、
図6や
図7に示すように、ロックアーム部63を軸方向から見たときに、前記傾斜部71に対して「くの字」状をなすように所定角度で屈曲した形状をなしている。この係止部75が、ロッド40のロック溝45に対して係脱して、同ロッド40の軸方向移動を規制する部分となっている。また、ロックアーム部63の、ロッド40のロック溝45に係脱する部分である係止部75は、前記傾斜部71及び解除アーム部65に対して軸方向に位置ずれした位置、具体的には、ロッド40の先端側に位置ずれして配置されている。
【0035】
そして、この実施形態におけるロックアーム部63は、上記のような形状を採用することによって、
図6や
図7に示すように、回動部61の軸方向から見たときに(すなわち、回動軸部67の軸方向から見たときに)、前記傾斜部71と、前記係止部75とによって、「くの字」状をなすように屈曲した屈曲部77を有することとなる。また、
図6や
図7に示すように、この屈曲部77の頂部77a(屈曲部77を構成する部材が交差して、外方に出っ張る部分を意味する。この実施形態では、回動部61を軸方向から見たときの、傾斜部71と係止部75との交差部分における、外方に出っ張った部分)は、ロックアーム部63の係止部75が、ロッド40のロック溝45に係止する方向に、駆動部材50の駆動軸51によって回動部61が回動する際に、同回動部61の回動方向(
図6の矢印M方向)に向くように配置されている。なお、ロックアーム部の屈曲部において、「くの字」状に屈曲したとは、回動部を軸方向から見たときに、所定の部材と、これに対して屈曲する他の部材とのなす角度(ここでは傾斜部71と係止部75とのなす角度)が、180度未満となる形状であることを意味する。
【0036】
また、この実施形態においては、回動部61から傾斜部71が延出され、更にこの傾斜部71から、軸方向延出部73や係止部75が延出した構造とされ、回動部61よりも上方部分の重さが重くなっており、かつ、
図6に示すように、ロックアーム部63の係止部75が、ロッド40のロック溝45に係止した状態において、ロックアーム部63の係止部75が、ロッド40のロック溝45に近接する方向となるように、屈曲部77の頂部77aが配置されている。その結果、
図6に示すように、ロックアーム部63の重心Gが、回動軸部67の軸心C2よりも屈曲部77側に偏心した位置に配置されて、ロックアーム部63に矢印M方向の回動モーメントが作用するため、ロック部材60に外力が作用してない状態においても、係止部75が、ロック溝45から離れずに係止する方向となるように、ロックアーム部63が回動するようになっている。すなわち、この実施形態におけるロック部材60は、
図6に示すように、ロックアーム部63の係止部75が、ロッド40のロック溝45に係止した状態において、ロック部材60の自重によって作用する回動方向(矢印M方向)が、同ロックアーム部63の係止部75が前記ロック溝45に係止する方向になるように、駆動部材50の駆動軸51に保持されている。
【0037】
なお、ロック部材の形状は、上記形状に限定されるものではない(代表的な他の実施形態については、後述の実施形態で説明する)。また、この実施形態のロック部材60は、ロックアーム部63を構成する、傾斜部71と係止部75とを、軸方向延出部73を介して軸方向に位置ずれした構成となっているが、例えば、軸方向延出部73を介さずに、傾斜部71と係止部75とを同一軸線上に一体形成して、「くの字」状をなす構造としてもよい。更に、ロックアーム部を「くの字」状に屈曲した形状としなくとも、例えば、直線状に形成したり、コ字状や、U字状、L字状等に形成したりしてもよく、少なくとも、回動部と、ロッドのロック溝に係止するロックアーム部とを有する構造であればよい。
【0038】
次に、上記構造からなる開閉装置10の使用方法及び作用効果について説明する。
【0039】
すなわち、
図1に示すように、例えば給油時などにおいて、固定部材3の開口部から開閉体5が開いた状態では、カム突部49がカム溝55の第1嵌合溝55aに嵌合して(
図4(a),(d)参照)、筒状部17の先端開口から、ロッド40が突出した状態に保持されている。また、駆動部材50の駆動軸51は、
図7(b)や
図8(b)に示すように、ロックアーム部63の係止部75が、ロッド40のロック溝45に係止しないように、回動させた位置にある。
【0040】
そして、例えば給油が終了して、上記の状態から開閉体5を閉じていくと、開閉体5の係合部7の係合溝8内に、ロッド40の係合片43が入り込んで(
図8(b)参照)、同開閉体5によって、ロッド40がバネ部材57の付勢力に抗して押圧されていく。すると、カム突部49が、カム溝55の第1嵌合溝55aから外れてガイド溝55cにガイドされ、ロッド40が回転しながら筒状部17内に引き込まれていき、
図4(b),(c)に示すように、同カム突部49が第2嵌合溝55bに嵌合すると、ロッド40が筒状部17の先端開口から引き込まれた状態に保持される(8(a)参照)。このとき、ロッド40の係合片43が回転して、その長手方向が開閉体5の係合溝8の長手方向と直交する方向となり、係合片43が係合溝8内に係合して、開閉体5が閉じた状態に維持される。
【0041】
そして、例えば自動車のドライバーが開閉体5のロック操作をすると、それに連動して、駆動部材50が作動し、駆動軸51が所定方向に回転して、ロック部材60の回動部61が矢印M方向(
図6参照)に回動し、同回動部61を介してロックアーム部63が、ロッド40のロック溝45に近接する方向に回動し、その係止部75が、第2本体部30のロックアーム出没溝34を通過して、ロック溝45に対して斜め方向から入り込んで同ロック溝45に係止する。その結果、ロッド40の更なる押し込みが規制されるので、固定部材3の開口部に対して開閉体5を閉じた状態にロックすることができる。
【0042】
一方、例えば自動車のドライバーが開閉体5のロック解除操作をすると、再び駆動部材50が作動し、駆動軸51が上記とは逆方向に回転し、それに連動して回動部61が矢印M方向とは反対方向に回動し、ロックアーム部63の係止部75が、ロッド40のロック溝45から抜け出るので、ロッド40の押し込み不能状態が解除される。この状態で再びロッド40がバネ部材57の付勢力に抗して押圧されると、カム突部49が第2嵌合溝55bから外れてガイド溝55cにガイドされ、ロッド40が回転しながら筒状部17の先端開口から突出し、カム突部49が第1嵌合溝55aに嵌合することで、ロッド40が筒状部17の先端開口から突出した状態に保持されると共に(
図4(a),(d))、係合片43が回転して、その長手方向が開閉体5の係合溝8の溝方向に整合することで(
図8(b)参照)、開閉体5の閉じ状態のロックが解除される。また、ロッド40によって開閉体5が押されて、固定部材3の開口部3aから開閉体5を所定高さ持ち上げるので(リフター動作)、開閉体5を手動で開くことができる。なお、ロックアーム部63の係止部75が、ロッド40のロック溝45から外れた状態では、ロック部材60の重心Gの位置が、係止部75がロック溝45に係止した状態でのロック部材60の重心Gの位置よりも、回動部61の回動方向とは反対側に移動すると共に(
図7(a),(b)参照)、駆動部材50の駆動軸51の回転抵抗や、回動部61の回動軸部67と本体部材15のアーム支持孔35との摺動抵抗等によって、係止部75がロック溝45から離れた状態に保持される。
【0043】
ところで、
図9の仮想線で示すように、ロッド40が筒状部17の先端開口から突出して、開閉体5が固定部材3の開口部3aから持ち上げられた状態で、誤って駆動部材50が操作されて、駆動軸51及び回動部61を介して、ロック部材60のロックアーム部63が回動して、係止部75がロッド40の基端よりも外側に配置されると、開閉体5を押しても、ロッド40を押し込むことができない状態となる。この状態で、駆動部材50の駆動軸51が回転駆動不能となると、ロック部材60が回動不能となるため、ロッド40を押し込むことができなくなり、その結果、開閉体5を閉じた状態にロックできなくなる。これに対して、この実施形態においては、
図9に示すように、ロッド40の基端部外周には、基端に向かって次第に高さが低くなるテーパ面46が形成されているので、上記のような状態となっても、ロッド40を押し込むことで、テーパ面46を介して係止部75が押圧されるため、ロック部材60を回動させることができる。そのため、ロッド40を再度押し込むことができ、ロック溝45にロックアーム部63の係止部75を係止させて、開閉体5をロック状態にすることができる。
【0044】
そして、この開閉装置10においては、
図6や
図7に示すように、駆動部材50駆動軸51が、ロッド40の軸方向(ロッド40の軸心C1に沿った方向)と並列に配置されるように、駆動部材50が本体部材15に保持されている。そのため、駆動軸51がロッド40の軸方向に交差して配置された場合と比べて、ロッド40の軸方向から見たときに、本体部材15の、ロッド40の軸方向に直交する方向の長さ(本体部材15の長手方向Aに沿った長さ)を短くすることができると共に、ロック部材60の回動部61の内側に、駆動部材50の駆動軸51が配置されているので、回動部61の外側に駆動軸51が配置された場合に比べて、省スペース化することができる。その結果、開閉装置全体として小型化を図ることができ、開閉装置10の設置スペースを低減することができる。
【0045】
また、この実施形態においては、
図9に示すように、駆動部材50の駆動軸51は、駆動部材50の一端側から、ロッド40の先端とは反対側に向けて延出し、かつ、ロッド40の先端とは反対側に配置されており、また、ロック溝45は、ロッド40の先端とは反対側に形成されている。
【0046】
ここで、仮に、ロッド40の軸方向途中にロック溝45が形成されている場合には、ロッド40の押し込みストロークを長く確保しなければ、ロック部材60にロックさせることができないため、本体部材15の奥行方向(ロッド40の軸方向に沿った方向)の大型化を招く。また、ロッド40の先端とは反対側に、ロック溝45を形成したとしても、駆動部材50の駆動軸51が、ロッド40の先端側に向けて突出している場合には、駆動部材50を、ロッド基端側から後退した位置に配置する必要があり、駆動部材50の分だけ、本体部材15の奥行方向が大きくなる。更に、ロック溝45がロッド40の軸方向の先端側に形成されは、ロッド40が筒状部17の先端開口から突出したときに、ロック溝45が露出する場合には、ロック溝45から、水等が本体部材15内に侵入する可能性があるため、本体部材15の筒状部17を長く形成する必要がある。いずれの場合も、本体部材15の奥行方向を大きくする必要性があった。
【0047】
これに対して、この実施形態においては、上述したように、駆動部材50の駆動軸51は、駆動部材50の一端側から、ロッド40の先端とは反対側に向けて延出し、かつ、ロッド40の先端とは反対側に配置され、ロック溝45は、ロッド40の先端とは反対側に形成されているので、ロック溝45を原因とする本体部材15内への水等の侵入を阻止しつつ、ロッド40の軸方向長さを短くすることができ、かつ、そのロック溝45に、ロック部材60のロックアーム部53に確実に係止させることができ、本体部材15の奥行方向の長さを短くして、開閉装置10の更なる小型化を図ることができる。また、この実施形態のように、ロッド40の先端が斜め上向きで、先端と反対側の基端側は斜め下向きに配置された状態で、ロック部材60の回動部61と、駆動軸51との間にグリスが塗布される場合には、グリスを駆動部材50内に入り込みにくくすることができる(仮に、駆動部材50の駆動軸51の延出方向が、ロッド40の基端側から先端側に向かう場合には、グリスがたれてきて駆動部材50内に入り込みやすい)。
【0048】
更に、この実施形態においては、
図6や
図7に示すように、ロック部材60のロックアーム部63は、くの字状に屈曲した屈曲部77を有しており、ロックアーム部63がロッド40のロック溝45に係止する方向に、駆動部材50の駆動軸51によって、ロック部材60の回動部61が回動する際に、前記屈曲部77の頂部77aが、回動部61の回動方向(矢印M方向)に向くように配置されている。そのため、ロッド40の軸心C1と、駆動部材50の駆動軸51の軸心C2(回動軸部67の軸心C2)とを、本体部材15の幅方向B(本体部材15の長手方向Aに直交する方向)に近づけて配置することができ、開閉装置10の小型化をより効果的に図ることができる。また、ロッド40のロック溝45に対する、ロックアーム部63の係止状態をしっかりと維持することができる。
【0049】
また、この実施形態においては、
図6に示すように、ロック部材60は、ロックアーム部63の係止部75が、ロッド40のロック溝45に係止した状態において、ロック部材60の自重によって作用する回動方向(矢印M方向)が、同ロックアーム部63の係止部75が前記ロック溝45に係止する方向になるように、駆動軸51に保持されているので、ロックアーム部63をロッド40のロック溝45に係止した状態に、よりしっかりと維持することができる。
【0050】
更に、この実施形態においては、ロック部材60は、回動部61から延出し、ロッド40のロック溝45とロックアーム部63との係止状態を解除可能な、解除アーム部65を有している。そのため、ロック溝45にロックアーム部63の係止部75が係止した状態で、駆動部材50の駆動軸51が回転しない非常時(バッテリー切れ等の場合)において、解除アーム部65を操作することで、ロック溝45とロックアーム部63の係止部75との係止状態を解除することができ、開閉体5を開くことができる。また、ロックアーム部63は、解除アーム部65に対して、ロッド40の先端側に位置ずれして配置されているので、ロッド40の全長を短くすることができ、開閉装置10の小型化を図ることができる(解除アーム部65とロックアーム部63とが同じ軸方向位置に設けられている場合には、ロッド40をロックアーム部63の位置まで伸ばさなければならないので、ロッド40を長くする必要がある)。
【0051】
図10及び
図11には、本発明に係る開閉体の開閉装置の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0052】
この実施形態における開閉体の開閉装置10A(以下、単に「開閉装置10A」という)は、駆動部材及びロック部材の構造が前記実施形態と異なっている。
【0053】
図10及び
図11に示すように、この実施形態では、駆動部材50Aの駆動軸51Aのの外周に、外歯ギヤ53が固着されている。また、
図11に示すように、外歯ギヤ53の中央には、平坦面54aを有する軸圧入孔54が形成されており、駆動軸51の平坦面51aを整合させて、同駆動軸51が軸圧入孔54に圧入されることで、軸圧入孔54内で駆動軸51Aが回転規制された状態で、駆動軸51Aの外周に外歯ギヤ53が固着される。一方、ロック部材60Aの回動部61Aは、円環状のリング形状をなしており、その内周に前記外歯ギヤ53に歯合する内歯ギヤ62が形成されている。すなわち、回動部61Aの内側に、外周に外歯ギヤ53を有する駆動軸51Aが配置されており、ロック部材60Aが駆動部材50の駆動軸51に保持されている。
【0054】
そして、駆動軸51Aが回転駆動して、外歯ギヤ53が回転すると、外歯ギヤ53に歯合する内歯ギヤ62を介して、回動部61Aが連動して回動するので、ロック部材60Aのロックアーム部63が、ロッド40のロック溝45に係脱する。なお、外歯ギヤ53と内歯ギヤ62との間には、潤滑用のグリスが塗布されている。また、前記実施形態と同様に、ロッド40の軸方向から見たときに、ロッド40の軸心C1と、駆動軸51Aの軸心C2とは、本体部材15の長手方向Aに直交する幅方向Bに対して、位置ずれして配置されている(
図11参照)。
【0055】
そして、この実施形態においては、駆動軸51Aは、その外周に外歯ギヤ53を有しており、回動部61Aは環状をなし、その内周に前記外歯ギヤ53に歯合する内歯ギヤ62を有しているので、例えば、回動部の外周に外歯ギヤがあり、これに駆動軸の外周に設けた外歯ギヤが歯合する場合と比べて、回動部61A及び駆動軸51Aを小型化することができる。また、駆動軸51Aと回動部61Aとのギヤ比を上げて、ロッド40のロック溝45に対するロックアーム部63の係止力を向上させることができる。更に、回動部61Aの内周の内歯ギヤ62と、駆動軸51Aの外周の外歯ギヤ53との間に塗布されるグリスが、環状をなした回動部61の内周に保持されるため、グリスが回動部61Aの外側に出にくくなり、駆動部材50内に、より入り込みにくくすることができる。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。