【文献】
細胞培養カタログ2012−2013,gibco(登録商標)by life technologies,2012年,pp.77−78
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒトの歯髄由来幹細胞を培養してヒトの歯髄由来幹細胞培養上清を得るにあたり、前記ヒトの歯髄由来幹細胞の継代数を5〜15とすることを特徴とする請求項1に記載の再生治療用組成物の製造方法。
製造される再生治療用組成物の増殖能が、10%FBS細胞による増殖能を1とした場合に0.6以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の再生治療用組成物の製造方法。
前記濃度調整が、前記ヒトの歯髄由来幹細胞培養上清の原液に対して、濃度が1/4(0.25)〜10倍となるように行われることを特徴とする請求項5に記載の再生治療用組成物の製造方法。
前記濃度調整の操作が、濃縮、希釈、遠心処理、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、脱塩及び保存からなる群より選択される少なくとも1つの操作であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の再生治療用組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一態様について説明する。本発明は、歯髄由来幹細胞自体を含まない歯髄由来幹細胞培養上清を含んでなる再生治療用組成物であり、かかる歯髄由来幹細胞培養上清に含まれる、細胞を再生するための有効な成分(サイトカイン)のうち、血管内皮細胞増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor:VEGF)の濃度を特定範囲とした再生治療用組成物及び再生治療用組成物の製造方法である。
【0021】
ここで、本発明の対象とされる「再生治療用組成物」における「再生治療」とは、再生対象となる組織へ直接的及び間接的に作用する細胞並びに生理活性物質により再生を促進する治療方法である。再生治療を実施するにあたっては、体内に現存する細胞に対して何らかの影響を及ぼすことができる物質である必要がある。また、再生治療を実現するにあたっては、かかる物質によって細胞が増殖することが不可欠であるため、再生治療用組成物は、細胞の増殖能が良好な、細胞の増殖を促進するような効果のある組成物である必要がある。
【0022】
再生治療用組成物は、いわゆる「損傷部治療用組成物」を包含する治療組成物として使用される。損傷部治療用組成物における「損傷部治療」とは、一般に、標的組織の損傷部を修復ないしは回復することを指し、例えば、再生治療用組成物を、標的組織を有する患者に、標的組織の損傷部を修復するために有効な量で投与することにより、損傷部の細胞を再生、増殖させ、損傷部を治療することができる。また、標的組織の再生対象部位を再生するために有効な量で投与することにより、損傷部だけでなく、再生対象部の細胞の再生、増殖を促進するような、再生治療に用いることができる。
【0023】
ここでいう「損傷部」とは、組織に物理的または生理的に欠陥が生じて、本来の機能を発揮できなくなった組織上の部位を意味し、外傷のみならず、組織の物理的または生理的欠陥に起因した傷害部、障害部または疾患部も包含する概念として用いられる。
【0024】
また、「修復」とは、損傷部の細胞を再生、増殖させることにより、標的組織における損傷によって失われた機能の一部または全部が、損傷時における損傷部の機能と比較して維持または回復していることを意味し、組織の機能が回復することのみならず、機能的な組織として再生することも広く包含する。なお、機能が維持または回復していることの評価については、損傷した組織において異なるが、外観、対象となる機能の程度を評価するために通常用いられるアッセイ等に基づいて実施するようにすればよい。
【0025】
幹細胞の供給源としては、近年、歯髄が注目されており、本発明では、歯髄に由来する体性幹細胞(歯髄幹細胞)を使用することができる。歯髄由来幹細胞は、例えば、ヒトから脱落あるいは抜去された乳歯、永久歯に由来する体性幹細胞を用いることができる。自己増殖能と多分化能を併せ持つ新規な幹細胞集団として、乳歯の歯髄由来幹細胞(Stem Cells from Exfoliated Deciduous Teeth:SHED)や、永久歯の歯髄由来幹細胞(Dental Pulp Stem Cells:DPSCs)が同定されている。
【0026】
本発明によれば、歯髄由来幹細胞を培養して得られた歯髄由来幹細胞培養上清を再生治療用組成物の有効成分として用いる。かかる歯髄由来幹細胞培養上清は、サイトカインの混合物が含まれているため、例えば、損傷部に適用されると、損傷部における細胞を再生、増殖させ、その結果、損傷部を有する組織を修復することができる。また、損傷部だけでなく、細胞の増殖を促進するような、再生治療に用いることができる。
【0027】
歯髄由来幹細胞培養上清中のサイトカインの混合物は、標的組織の内在性幹細胞に対する誘導シグナルとして作用することにより、かかる内在性幹細胞が分化し、増殖し得ると推論し得る。その結果、標的組織の損傷部での細胞の増殖及び、細胞外マトリクスの生成などが行われ得る。これらのことから、損傷部を有する組織は、標的組織の内在性幹細胞のこのような再生能に基づいて修復することができると考えられる。
【0028】
再生治療用組成物は、サイトカインの混合物が含まれる歯髄由来幹細胞培養上清からなることによって、体内のサイトカイン分泌を促進するものである。歯髄由来幹細胞等の間葉系由来の体性幹細胞は、例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インシュリン様成長因子(IGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子−ベータ(TGF−β)−1及び−3、TGF−α、KGF、HBEGF、SPARC等の種々のサイトカインを産生し得ると考えられており、本発明では、歯髄由来幹細胞培養上清が、少なくとも所定濃度の血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を含むようにしている。
【0029】
歯髄由来幹細胞培養上清には、その他、インシュリン様成長因子(IGF)や、肝細胞増殖因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)及び形質転換成長因子−ベータ(TGF−β)等のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。また、サイトカイン以外にも、サイトカイン遺伝子の発現誘導に至るために重要と考えられている、カルシウムイオン(Ca
2+)(以下、単に「カルシウムイオン」とする場合がある。)が含まれることが好ましい。歯髄由来幹細胞培養上清は、前記のインシュリン様成長因子(IGF)等のサイトカインやカルシウムイオン(Ca
2+)を含むことが特に好ましく、歯髄由来幹細胞等の間葉系由来の体性幹細胞は、これらインシュリン様成長因子(IGF)等のサイトカインやカルシウムイオンを産生し得ると考えられている。
【0030】
前記のサイトカインの濃度が特定範囲であれば、サイトカインの分泌が好適に促進され、細胞の再生効果や損傷部の治療効果を向上させやすくなると考えられ、本発明にあっては、前記のサイトカインのうち、使用される歯髄由来幹細胞培養上清における血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の濃度に着目し、再生治療用組成物としている。なお、サイトカイン濃度は、市販品である各サイトカインのELISAキット等を使用することによって簡便に測定することができる。また、カルシウムイオンの濃度に関しても、例えば、市販品であるメタロアッセイ カルシウム 測定(OCPC)(メタロジェニクス(株)製)等を使用することにより簡便に測定することができる。
【0031】
本発明で使用される歯髄由来幹細胞培養上清は、歯髄から得られる幹細胞(歯髄由来幹細胞)を培養して得られた培養上清を意味し、「歯髄由来幹細胞培養上清」は、歯髄由来幹細胞を培養して得られ、かつ細胞成分(歯髄由来幹細胞自体)を含まない培養液と定義される。かかる歯髄由来幹細胞培養上清は、例えば、培養後に細胞成分(歯髄由来幹細胞自体)を分離除去することによって、本発明の再生治療用組成物として使用可能な歯髄由来幹細胞培養上清を得ることができる。分離除去するための処理としては、特に制限はないが、具体的には、例えば、遠心処理、透析及び膜分離等の各種処理等を適宜施すことで、細胞成分(歯髄由来幹細胞自体)を含まない培養上清を得ることができる。
【0032】
本発明において、「未処理」の歯髄由来幹細胞培養上清とは、例えば、遠心処理、透析及び膜分離等の各種処理がされず、歯髄由来幹細胞自体が分離除去されていない(歯髄由来幹細胞を含有する)歯髄由来幹細胞培養上清を指し、「処理済(処理された)」の歯髄由来幹細胞培養上清とは、前記した処理がされ、歯髄由来幹細胞自体を含有しない歯髄由来幹細胞培養上清を指す。
【0033】
また、「未調整の幹細胞培養上清」と表す場合は、歯髄由来幹細胞を培養して得られ、前記の処理がされて歯髄由来幹細胞自体が分離除去された歯髄由来幹細胞培養上清(処理済みの歯髄由来幹細胞培養上清)そのもの、あるいはかかる培養上清を変質したり体積変化させたりしないで保存したものをいい、歯髄由来幹細胞培養上清の原液と称する場合がある。ここで、「調整」とは、未調整の歯髄由来幹細胞培養上清(歯髄由来幹細胞培養上清の原液)に対して、濃縮、希釈、遠心処理、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、脱塩、及び保存等のうち少なくとも1つの操作を行って濃度を増減させることをいう。
【0034】
なお、後記する歯髄由来幹細胞培養上清の製造においては、これを含む再生治療用組成物を適用する患者自身の幹細胞を用いてもよいが、必ずしもかかる幹細胞を用いなければならないという制限はない。加えて、ヒトの幹細胞を用いてよいことはもちろんであるが、ヒトの幹細胞だけでなく、ヒト以外の哺乳類(ウシ、ウマ、ブタ、サル及び羊等。)から得られた歯髄由来幹細胞の培養上清(非ヒト由来の歯髄由来幹細胞培養上清)についても、ヒト及びヒト以外の前記哺乳類に対しての臨床応用がすすめられている。このことは結果的に動物関連産業の発展に大きく貢献することができる。
【0035】
以下、再生治療用組成物を構成し、必要により濃度調整の対象となる、歯髄由来幹細胞培養上清の製造方法の一例を説明する。ここで、歯髄由来幹細胞培養上清を得るには、歯髄由来幹細胞を培養等する必要があるため、まず、歯髄由来幹細胞を得る方法の一例を説明する。
【0036】
(A)歯髄由来幹細胞の製造:
前記したように、「歯髄由来幹細胞」とは、脱落または抜去した歯牙の中に存在する歯髄組織内に含まれる細胞のことを指す。採取した歯髄組織から歯髄由来幹細胞を得るには、歯髄細胞を培養等すればよく、例えば、以下の手順によって行うことができる。
【0037】
(1)歯髄の採取:
脱落または抜去したヒトの乳歯や永久歯から採取した歯髄組織から、歯髄由来幹細胞を付着性細胞として選別することができる。
【0038】
例えば、脱落または抜去した歯牙の歯冠部を分割し、歯科用リーマーにて歯髄組織を回収する。具体的には、自然に脱落した乳歯(または抜歯した乳歯、或いは永久歯等。)等の歯牙を、例えば、クロロヘキシジン液やポビドンヨード液(イソジン(登録商標)液)等で消毒した後、歯冠部を分割し歯科用リーマー等によって歯髄組織を回収するようにすればよい。
【0039】
(2)酵素処理:
(1)で分離・回収して採取した歯髄組織をコラゲナーゼ等で処理を行い、処理を行った組織及び細胞を回収する。例えば、採取した歯髄組織を基本培地(例えば、10%ウシ血清・抗生物質含有ダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco’s M odified Eagle’s Medium、以下、「DMEM」とする場合もある。)等。)に懸濁し、例えば、2mg/mlのコラゲナーゼ及びディスパーゼで37℃、1時間処理するようにする。そして、例えば、5分間の遠心操作(例えば、600〜5000×g)により、酵素処理後の歯髄組織、歯髄細胞を回収する。
【0040】
(3)細胞培養:
前記した処理を行い、回収した組織及び細胞を4ccの5体積%〜15体積%のウシ血清を含有した、例えば、50〜150ユニット/mlの抗生物質を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)あるいは間葉系幹細胞用培地に懸濁し、付着性細胞培養用ディッシュ、6ウェルへ播種する。
【0041】
次に、5体積%の二酸化炭素(以下、CO
2とする場合がある。)雰囲気下、約37℃に調整したインキュベーターで培養する。サブコンフルエント(培養容器の表面の約70面積%を細胞が占める状態を示す。)またはコンフルエントに達したときに細胞を0.05体積%トリプシン・EDTAにて、例えば、5分間、37℃で処理する。ディッシュから剥離した歯髄由来幹細胞を直径10cmの付着性細胞培養用ディッシュに播種し、拡大培養を行うようにする。
【0042】
継代培養は、繰り返し行ってもよく、細胞培養は、例えば、継代培養を1〜15回行い、必要な細胞数(例えば、約1×10
7個/ml)まで増殖させることが好ましい。以上の培養の後、細胞を回収して保存することにしてもよい。なお、このように保存し、将来の骨・軟骨・神経などの疾患(特に難治性疾患等。)の治療に適用すれば、安全でかつ低侵襲な自己細胞による再生医療が提供できることになるため好ましい。
【0043】
(4)細胞の回収:
そして、例えば、トリプシン処理等で培養容器から細胞を剥離した後、所定の条件(例えば、600〜5000×gが好ましく、より好ましくは750〜5000×g)で遠心処理を施して細胞(付着性細胞)を採取して、歯髄由来幹細胞を回収することができる。
【0044】
(B)歯髄由来幹細胞培養上清の製造:
次に、歯髄由来幹細胞培養上清の製造の一例を説明する。まず、前記した方法で得られた歯髄由来幹細胞を、基本培地、例えば、血清として10体積%のFBS等の動物血清を加えた培地(前記したDMEM等。)を用いて、例えば、5体積%CO
2雰囲気下、37℃の条件下に、例えば、24〜48時間培養するようにする。その後、血清を含まないDMEMへ置換し、さらに、例えば、一定の時間(例えば、24〜72時間等。)培養を行って、未処理の歯髄由来幹細胞培養上清を得る。
【0045】
(C)歯髄由来幹細胞培養上清の処理(歯髄由来幹細胞の除去):
得られた未処理の歯髄由来幹細胞培養上清から歯髄由来幹細胞(歯髄由来幹細胞自体)を取り除くため、前記の一定の時間経過後、例えば、600〜5000×gで3〜7分間遠心処理を行うことにより、歯髄由来幹細胞(歯髄由来幹細胞自体)を含まない(歯髄由来幹細胞を取り除いた)、処理済みの歯髄由来幹細胞培養上清を得ることができる。他の処理としては、歯髄由来幹細胞を通過させない分離膜を通過させる等の処理により、歯髄由来幹細胞を含まない(歯髄由来幹細胞を取り除いた)、処理済みの歯髄由来幹細胞培養上清を得ることができる。
【0046】
なお、歯髄由来幹細胞培養上清に用いる歯髄由来幹細胞の継代数の制限は特にないが、標的組織の改善や予防能力、及び標的となる組織の種類の幅広さという観点から、5〜15とすることが好ましい。
【0047】
(D)歯髄由来幹細胞培養上清における血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等の濃度の選択:
前記の方法で得られた、歯髄由来幹細胞を含まない(処理済みの)歯髄由来幹細胞培養上清は、種々の成長因子を含むが、回収後の成長因子の量(濃度)は均一でない。本発明にあっては、分泌するサイトカインのうち、少なくとも血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を指標にし、濃度を測定し基準化のデータとし、再生治療に必要な血管の再生及び細胞増殖に関わる指標として用いるようにしている。
【0048】
本発明にあっては、歯髄由来幹細胞を含まない歯髄由来幹細胞培養上清が含有するサイトカインである、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の濃度は150〜5000pg/mlとする。VEGFの濃度をかかる範囲とすることにより、再生治療に有益と考えられるサイトカインが細胞へ有効に作用し、細胞増殖能が良好となり、再生治療に役立つものとなる。前記したように、再生治療を実現するにあたっては、適用により細胞が増殖することが不可欠であるため、細胞の増殖能が良好であれば、細胞の増殖を促進するような効果のある組成物となる。一方、VEGFの濃度が150pg/mlより低いと、細胞増殖能が期待できない場合があり、5000pg/mlより高いと、濃度を高くすることに対して期待したほどの細胞増殖能とならない場合があるとともに、そのような高濃度のVEGFの製造も困難となる場合がある。VEGFの濃度は200〜4000pg/mlとすることが好ましく、200〜3600pg/mlとすることが特に好ましい。
【0049】
また、必要により、歯髄由来幹細胞培養上清が含有するサイトカインである、インシュリン様成長因子(IGF)の濃度について、一定範囲のものを選択することが好ましい。かかるIGFの濃度は80〜1000pg/mlとすることが好ましく、IGFの濃度をかかる範囲とすることにより、増殖能がさらに良好となる。IGFの濃度は100〜700pg/mlとすることがさらに好ましく、120〜600pg/mlとすることが特に好ましい。
【0050】
また、サイトカイン遺伝子の発現誘導に至るために重要と考えられる、カルシウムイオン(Ca
2+)の濃度についても、一定範囲のものを選択することが好ましい。カルシウムイオンの濃度は6.5〜8.0mg/dlとすることが好ましく、カルシウムイオンの濃度をかかる範囲とすることにより、サイトカイン遺伝子の発現を誘導し、その結果増殖能がさらに良好となる。カルシウムイオンの濃度は6.5〜7.5mg/dlとすることがさらに好ましく、6.5〜7.0mg/dlとすることが特に好ましい。
【0051】
サイトカインである血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の濃度、ないしは血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インシュリン様成長因子(IGF)及びカルシウムイオンの濃度の少なくとも1つを前記の範囲とするためには、歯髄由来幹細胞培養上清を得るに際し、前記(C)で得られた処理済みの歯髄由来幹細胞培養上清(歯髄由来幹細胞培養上清の原液)をそのまま用いるようにしてもよい。
【0052】
また、かかる血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等の濃度を所望の濃度とするため、歯髄由来幹細胞培養上清を濃縮、希釈することにより濃度調整するようにしてもよい。濃度調整する操作としては、特に制限はなく、従来公知の方法、例えば、濃縮、希釈、遠心処理、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、脱塩及び保存等からなる群より選択される少なくとも1つの操作を行うことにより、最適化した濃度に調整するようにすることが好ましい。これらの操作は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いるようにしてもよく、また、必要により繰り返して行うようにすればよい。
【0053】
濃縮、希釈等の操作による濃度調整は、歯髄由来幹細胞培養上清の原液に対して、濃度が概ね1/4(0.25)〜10倍となることを目安に行うようにすればよいが、かかる範囲には制限されず、原液における血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等の濃度や所望の濃度等に応じて適宜決定すればよい。なお、歯髄由来幹細胞培養上清の原液におけるVEGF、インシュリン様成長因子(IGF)及びカルシウムイオンの濃度については、原料となる歯髄由来幹細胞の状態に左右され、また、前記した濃縮や希釈等の操作を繰り返しても、ある一定の濃度で横ばいとなったりする等、濃縮や希釈の操作等に応じた濃度とならない場合もあり、前記した濃縮や希釈等の種々の操作を臨機応変に適用することが好ましい。
【0054】
前記の調整方法は、従来公知の手段を適用することができる。なお、濃縮及び希釈の方法の具体例としては、例えば、濃縮は下記のスピンカラム法(スピンカラム濃縮法)や、エタノール沈殿濃縮法等が挙げられ、これらの濃縮方法は、必要により繰り返して行うようにすればよい。希釈の方法としては製造に用いた培養液原液(例えば、再生治療用組成物製造に用いたDMEM原液等。)を用いて、目的とする濃度まで、必要により繰り返して希釈を行えばよい。
【0055】
スピンカラム法(スピンカラム濃縮法)とは、歯髄由来幹細胞培養上清をAmicon Ultra Centrifugal Fi lter Units−10K(ミリポア社製)等を用いて濃縮する方法であり、最大で75倍の濃縮が可能である。具体的な手順の一例は下記のとおりである。なお、下記の手順において示す容量、時間等の条件は、あくまでも一例であり、歯髄由来幹細胞培養上清の濃度や状態等に応じて適宜変更することができる(以下、「エタノール沈殿濃縮法」についても同じ。)。
【0056】
(i)まず、歯髄由来幹細胞培養上清(最大15ml)をAmicon Ultra Centrifugal Filter Units−10Kへ投入し、4000×gで約60分間遠心し、200μlまで濃縮するようにする。
(ii)前記したAmicon Ultra Centrifugal Filter Units−10Kへ培養上清と同量の滅菌したリン酸緩衝生理食塩水(Phosp hate Buffered Saline、以下、「PBS」という)を投入し、再度4000×gで約60分間遠心し、ベース溶液をPBSへ置換する。
(iii)得られた溶液200μlをマイクロテストチューブへ回収し、濃縮した歯髄由来幹細胞培養上清とする。
【0057】
歯髄由来幹細胞培養上清を、エタノール沈殿法を用いて濃縮する(最大10倍濃縮)方法(エタノール沈殿濃縮法)の具体的な手順の一例は次のとおりである。
【0058】
(i)培養上清5mlに対し100体積%エタノール45mlを加え、混和し、−20℃で60分間放置する。
(ii)4℃、15000×gで15分間遠心する。
(iii)上澄みを除去し、90%エタノール10mlを加え、よく攪拌する。
(iv)4℃、15000×gで5分間遠心する。
(v)上澄みを除去し、得られたペレットを滅菌水500μlに溶解し、マイクロテストチューブへ回収し、濃縮した歯髄由来幹細胞培養上清とする。
【0059】
なお、本発明で用いられる歯髄由来幹細胞培養上清は、凍結乾燥物としてもよく、良好な保存安定性が得られる。歯髄由来幹細胞培養上清の凍結乾燥方法としては、凍結乾燥を実施するために通常行われている方法を適用することができ、例えば、以下(i)〜(iv)の方法を挙げることができる。なお、下記の方法や挙げている条件(温度や凍結期間等。)はあくまでも一例である。
【0060】
(i)前記の方法で得られた歯髄由来幹細胞培養上清またはそれを濃縮したものを−200℃〜−20℃で2時間から半日凍結する。
(ii)凍結後、サンプルチューブの蓋を開放し、凍結乾燥機へセットする。
(iii)1〜2日間凍結乾燥を行う。
(iv)凍結乾燥して得られたものを歯髄由来幹細胞培養上清の凍結乾燥物とする(−200℃〜−20℃で保存可能である。)。
【0061】
以上説明した本発明によれば、従来の医療では治療困難な疾病に対する汎用的な代替技術として、歯髄由来幹細胞を利用した再生治療用組成物を用いた再生医療を実施するにあたり、歯髄由来幹細胞培養上清が含むサイトカインのうち、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を特定範囲とすることにより、再生治療に有益と考えられるサイトカインが細胞へ有効に作用し、細胞増殖能が良好となり、再生治療に優れた再生治療用組成物を効率よく提供することができる。
【0062】
本発明で得られた再生治療用組成物は、各種の再生治療、例えば、癌、認知症、肝硬変、アルツハイマー病、パーキンソン病、関節リュウマチ、脳梗塞、心筋梗塞、アトピー性皮膚炎、花粉症、しわの増加、白髪、脱毛、老眼、近眼、ドライアイ、ドライマウス、歯周病、筋力低下、骨粗鬆症、糖尿病、更年期障害、不妊及び勃起不全等の各種症状に対する改善または予防に用いることができる。かかる再生治療用組成物は、例えば、注射剤、経口剤、点鼻剤、経肺投与剤、点眼剤または塗布剤等の剤型、形態等として用いることができる。
【0063】
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
【0064】
例えば、前記の実施形態では、歯髄由来幹細胞及び歯髄由来幹細胞培養上清を得るための手法の一例を説明したが、歯髄由来幹細胞等を得るための手段は前記した内容には限定されず、所望の歯髄由来幹細胞等を得るための他の手段を使用することができる。同様に、処理済みの歯髄由来幹細胞培養上清の濃度を調整する方法についても、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の濃度を150〜5000pg/mlとするための他の手段を用いるようにしてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
なお、本発明の参考形態の一例を以下に補記する。
本発明に係る再生治療用組成物は、歯髄由来幹細胞自体を含まない歯髄由来幹細胞培養上清を含んでなる再生治療用組成物であって、
前記歯髄由来幹細胞培養上清が含有するサイトカインである、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の濃度が150〜5000pg/mlであることを特徴とする。
本発明に係る再生治療用組成物は、前記した本発明において、前記歯髄由来幹細胞培養上清が含有するサイトカインである、インシュリン様成長因子(IGF)の濃度が80〜1000pg/mlであることを特徴とする。
本発明に係る再生治療用組成物は、前記した本発明において、前記歯髄由来幹細胞培養上清が含有するカルシウムイオン(Ca2+)の濃度が6.5〜8.0mg/dlであることを特徴とする。
本発明に係る再生治療用組成物は、前記した本発明において、癌、認知症、肝硬変、アルツハイマー病、パーキンソン病、関節リュウマチ、脳梗塞、心筋梗塞、アトピー性皮膚炎、花粉症、しわの増加、白髪、脱毛、老眼、近眼、ドライアイ、ドライマウス、歯周病、筋力低下、骨粗鬆症、糖尿病、更年期障害、不妊及び勃起不全から選ばれる少なくとも1つの症状の改善または予防に用いられることを特徴とする。
本発明に係る再生治療用組成物の製造方法は、歯髄由来幹細胞を培養して歯髄由来幹細胞培養上清を得て、
当該歯髄由来幹細胞培養上清を歯髄由来幹細胞自体を含まないように処理して、
前記歯髄由来幹細胞培養上清が含有するサイトカインである、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の濃度が150〜5000pg/mlとなるようにすることを特徴とする。
本発明に係る再生治療用組成物の製造方法は、前記した本発明において、前記歯髄由来幹細胞培養上清が含有するサイトカインである、インシュリン様成長因子(IGF)の濃度が80〜1000pg/mlとなるようにすることを特徴とする。
本発明に係る再生治療用組成物の製造方法は、前記した本発明において、前記歯髄由来幹細胞培養上清が含有するカルシウムイオン(Ca2+)の濃度が6.5〜8.0mg/dlとなるようにすることを特徴とする。
本発明に係る再生治療用組成物の製造方法は、前記した本発明において、前記血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インシュリン様成長因子(IGF)、カルシウムイオン(Ca2+)の濃度のうち少なくとも1つを前記の濃度とするために、前記処理の後に濃度調整の操作を行うことを特徴とする。
本発明に係る再生治療用組成物の製造方法は、前記した本発明において、前記濃度調整の操作が、濃縮、希釈、遠心処理、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、脱塩及び保存からなる群より選択される少なくとも1つの操作であることを特徴とする。
【実施例】
【0065】
以下、実施例等に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0066】
(1)歯髄由来幹細胞培養上清の製造:
歯髄由来幹細胞培養上清は前記した(A)〜(C)の方法により調製を行った。具体的には下記のとおりである。
【0067】
(1−1)歯髄由来幹細胞の製造:
下記(i)〜(iv)の方法を用いて、歯髄由来幹細胞を製造した。
【0068】
(i)歯髄の採取:
脱落または抜去したヒトの乳歯から採取した歯髄細胞から、歯髄由来幹細胞を付着性細胞として選別した。採取した乳歯の歯牙をクロロヘキシジンやポビドンヨード液(イソジン(登録商標)液)で消毒した後、歯冠部を分割し歯科用リーマーにて歯髄組織を回収するようにした。
【0069】
(ii)酵素処理:
(i)で分離・回収して採取した歯髄組織を基本培地(10%ウシ血清・抗生物質含有ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)等。)に懸濁し、2mg/mlのコラゲナーゼ及びディスパーゼで37℃、1時間処理するようにした。そして、5分間の777×gの遠心操作により、酵素処理後の歯髄組織、歯髄細胞を回収した。
【0070】
(iii)細胞培養:
前記した処理を行い、回収した組織及び細胞を4ccの5体積%〜15体積%のウシ血清を含有した10000ユニット/mlのペニシリン、10000μg/mlのストレプトマイシン、及び25μg/mlのアンホテリシンBを含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に懸濁し、付着性細胞培養用ディッシュ、6ウェルへ播種した。
【0071】
5体積%のCO
2雰囲気下、37℃に調整したインキュベーターで培養した。サブコンフルエント(培養容器の表面の約70面積%を細胞が占める状態)またはコンフルエントに達したときに細胞を0.05体積%トリプシン・EDTAにて5分間、37℃で処理する。そして、ディッシュから剥離した歯髄由来幹細胞を直径10cmの付着性細胞培養用ディッシュに播種し拡大培養を行った。なお。細胞培養は、継代培養を3回行い、必要な細胞数(約1×10
7個/ml)まで増殖させた。
【0072】
(iv)細胞の回収:
トリプシン処理等で培養容器から(iii)で培養した細胞を剥離した後、777×gで遠心処理を施すことによって、細胞(付着性細胞)を採取して、歯髄由来幹細胞を回収した。
【0073】
(1−2)歯髄由来幹細胞培養上清の製造:
(1−1)で得られた歯髄由来幹細胞を、基本培地、血清として10体積%のFBS等の動物血清を加えた培地(前記したDMEM等。)を用いて、5体積%CO
2雰囲気下、37℃の条件下に、48時間培養するようにした。なお、歯髄由来幹細胞培養上清に用いる歯髄由来幹細胞の継代培養は、8回までとした。
【0074】
前記の培養の後、血清を含まないDMEMへ置換して、さらに48時間培養を行うようにした(処理前の歯髄由来幹細胞培養上清とした。)。
【0075】
48時間経過後、歯髄由来幹細胞(歯髄由来幹細胞自体)を通過させない分離膜を通過させる処理を行い、歯髄由来幹細胞を取り除いて、歯髄由来幹細胞(歯髄由来幹細胞自体)を含まない、処理済みの歯髄由来幹細胞培養上清を得た。
【0076】
(2)血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等の濃度の調整:
得られた歯髄由来幹細胞培養上清について、サイトカインである血管内皮細胞増殖因子(VEGF)及びインシュリン様成長因子(IGF)の濃度を測定したところ、VEGFの濃度は987.8pg/ml、IGFの濃度は514.2pg/mlであった。また、カルシウムイオンの濃度は6.6mg/dlであった。
【0077】
なお、これらの濃度の測定のうち、サイトカインである血管内皮細胞増殖因子(VEGF)及びインシュリン様成長因子(IGF)の濃度の測定は、市販品である各サイトカインのELISAキットにより行った。また、カルシウムイオンの濃度は、市販品であるメタロアッセイ カルシウム 測定(OCPC)(メタロジェニクス(株)製)を使用して行った。
【0078】
これをサンプル4(実施例4)とし、歯髄由来幹細胞培養上清におけるVEGF、IGF及びカルシウムイオンの濃度が、サンプル4を含め表1に示す6つの濃度となるように、濃度を調整するようにした。なお、サンプル4の濃度より濃度が低いサンプル5、サンプル6については下記の操作によりサンプル4の歯髄由来幹細胞培養上清を希釈して再生治療用組成物(順に、実施例5、比較例1)とした。
【0079】
また、サンプル4の濃度より濃度が高いサンプル1ないしサンプル3についても下記の操作によりサンプル4を濃縮して、再生治療用組成物(順に、実施例1ないし実施例3)とした。なお、希釈や濃縮の操作は、必要により繰り返して行うようにした。
【0080】
(希釈方法)
目的とする濃度まで、再生治療用組成物製造に用いたDMEM原液を用いて希釈を行った。
【0081】
(濃縮方法)
下記のスピンカラム法にて、目的とする濃度まで濃縮を行った。
【0082】
(i)歯髄由来幹細胞培養上清(最大15ml)をAmicon Ultra Centrifugal Filter Units−10Kへ投入し、4000×gで約60分間遠心し、200μlまで濃縮するようにした。
(ii)前記したAmicon Ultra Centrifugal Filter Units−10Kへ培養上清と同量の滅菌したPBSを投入し、再度4000×gで約60分間遠心し、ベース溶液をPBSへ置換した。
(iii)得られた溶液200μlをマイクロテストチューブへ回収し、濃縮した歯髄由来幹細胞培養上清とした。
(iv)目的とした濃度より低かった場合、前記(i)〜(iii)の操作を繰り返した。
【0083】
(3)ヒト骨髄由来幹細胞の調製:
ヒト骨髄由来幹細胞(Bone Marrow Mesenchymal stem cells、骨髄間葉系幹細胞:BM)は、ロンザジャパン株式会社から購入し、同社の取扱説明書に従って培養した。
【0084】
次に、培養して得られたヒト骨髄由来幹細胞について、前記取扱説明書と同様の方法に従い、継代培養を3回繰り返し行い、細胞数が5.0×10
4個/mlとなるように6ウェル(6well)のディッシュプレートへ播種を行った。
【0085】
[試験例1]
ヒト骨髄由来幹細胞の増殖能の確認:
(3)で得られたヒト骨髄由来幹細胞に対して、(2)で得られたサンプル1ないしサンプル6の再生治療用組成物を培養液として用いて、ヒト骨髄由来幹細胞の増殖を確認した。また、ヒト骨髄由来幹細胞に対して培養能があることで知られる10%FBS含有DMEMについても同様にしてヒト骨髄由来幹細胞の増殖を確認した。なお、サンプル1ないしサンプル6の評価は、n=3で行った。
【0086】
そして、一般に動物実験等で細胞移植に用いられる培養条件である10%FBS培養液の細胞による増殖能を基準として、サンプル1ないしサンプル6の再生治療用組成物の増殖能を評価した。評価は、10%FBS細胞による増殖率を1とした場合における、サンプル1ないしサンプル6の再生治療用組成物の増殖率(相対値であり、n=3の平均値。)を確認して、結果の数値がt検定により5%有意差のない値となった0.6以上(10%FBS細胞による増殖能の6割以上を達成できる。)である場合を、再生治療用組成物として十分な増殖能がある(表1では「○」と記載した。)と評価した。一方、結果の数値が0.6未満である場合を、再生治療用組成物としては増殖能が不十分(表1では「×」と記載した。)と評価した。評価結果を表1に示す。
【0087】
(評価結果)
【表1】
【0088】
表1に示すように、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の濃度が150〜5000pg/mlであるサンプル1ないしサンプル5(実施例1ないし実施例5)の再生治療用組成物は、指標とした10%FBS細胞の増殖率に対して0.6以上の増殖率を示した(評価結果:○)。このように、サンプル1ないしサンプル5(実施例1ないし実施例5)は、再生治療用組成物として増殖能が良好となり、再生治療に有益と考えられるサイトカインが、細胞の増殖への影響があることが推測される機能を有することが確認された。
【0089】
また、サンプル1ないしサンプル5(実施例1ないし実施例5)のインシュリン様成長因子(IGF)の濃度は80〜1000pg/ml、カルシウムイオンの濃度は6.5〜8.0mg/dlの範囲内であった。
【0090】
一方、VEGFの濃度が150pg/mlを下回るサンプル6(比較例1)の再生治療用組成物は、10%FBS細胞の増殖率に対して0.5であり(評価結果:×)、有意に増殖活性が低下することが確認された。なお、サンプル6(比較例1)は、IGFの濃度も80pg/ml、カルシウムイオンの濃度も6.5mg/dlをそれぞれ下回っているものである。
【0091】
以上の結果から、歯髄由来幹細胞培養上清について、少なくともVEGFを所定の濃度とすることによって、増殖能が良好となるように最適化された再生治療用組成物となることが確認できた。