(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、蓋部材を有し、上記通水本体には上記水回り器具と接続される器具接続穴が設けられ、上記蓋部材は上記通水本体の上記器具接続穴を覆うように配置されると共に、上記固定用雄ねじによって上記通水本体に固定される請求項1又は2に記載の埋め込みボックス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の固定構造(埋め込みボックス)では、一般に金属製であり、比較的重量の大きいベース取り付け本体(通水本体)は、ボックス(ケース)に直接接触しておらず、連結要素(弾性支持部材)を介してボックスに連結されている。さらに、騒音抑制材料製の連結要素は、一般に可撓性の高い弾性材料で形成されているため、固定構造を施工現場まで輸送する間の振動等により、ベース取り付け本体がボックス内でふらついてしまうことがある。このようなベース取り付け本体のふらつきにより、ボックスに対して連結要素を介して支持されているベース取り付け本体の位置が、適正な基準位置から外れてしまう場合がある。
【0006】
このように、ベース取り付け本体の位置がずれてしまった場合には、施工者が、ベース取り付け本体をボックスの基準位置に戻す必要があり、施工性が悪くなると言う問題がある。また、ベース取り付け本体の位置ずれが見逃されたまま施工された場合には、ベース取り付け本体と連結要素との間、又は連結要素とボックスとの間の水密性が悪化している虞があり、万一、漏水が発生した場合に、漏れた水が壁面の裏側に流れてしまう虞がある。
【0007】
従って、本発明は、弾性支持部材で通水本体を支持しながら、輸送中等の振動により、通水本体がケース内の基準位置から外れ、水密性が悪化するのを防止することができる埋め込みボックスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、埋め込み配管と水回り器具を接続するように、壁面に埋め込んで使用される埋め込みボックスであって、埋め込み配管と接続され、湯水を流入又は流出させる複数の配管接続部を備えた通水本体と、この通水本体を収容すると共に、各配管接続部と夫々整合するように、埋め込み配管を挿通させるための複数の挿通開口が形成されたケースと、各配管接続部と各挿通開口とを夫々連結し、通水本体をケース内に弾性支持する弾性支持部材と、埋め込みボックスの輸送時において、通水本体がケース内の所定の基準位置からずれるのを防止するように、通水本体をケースに固定する通水本体固定機構と、を有
し、通水本体固定機構は、通水本体を貫通するように形成された本体雌ねじ穴と、この本体雌ねじ穴に螺合させる固定用雄ねじと、通水本体を貫通して延びる固定用雄ねじを受け入れる、ケースに設けられたケース凹部と、から構成されていることを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明においては、ケースに収容された通水本体が、通水本体の配管接続部とケースの挿通開口を接続する弾性支持部材によって、ケースに対して弾性支持されている。通水本体固定機構は、埋め込みボックスの輸送時において、通水本体がケース内の所定の基準位置からずれるのを防止するように、通水本体をケースに固定する。
【0010】
このように構成された本発明によれば、ケースに対し、通水本体を弾性支持する弾性支持部材とは別に、通水本体は通水本体固定機構によってケースに固定されるので、埋め込みボックスの輸送中等の振動によって、通水本体が、ケース内の所定の基準位置からずれるのを防止することができる。これにより、通水本体の基準位置からのずれによる施工性の低下や、ケースの水密性の低下を防止することができる。
【0012】
このように構成された本発明においては、通水本体の本体雌ねじ穴に螺合され、通水本体を貫通して延びる固定用雄ねじが、ケースのケース凹部に受け入れられ、通水本体がケースに固定される。このため、汎用的な部品を利用して、安価に通水本体固定機構を構成することができる。また、固定用雄ねじにより、通水本体のケースへの着脱を繰り返し行うことができるので、一旦、通水本体の固定を解除した後でも、埋め込みボックスを輸送する際には、再び通水本体をケースに固定することができる。
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明は、埋め込み配管と水回り器具を接続するように、壁面に埋め込んで使用される埋め込みボックスであって、埋め込み配管と接続され、湯水を流入又は流出させる複数の配管接続部を備えた通水本体と、この通水本体を収容すると共に、各配管接続部と夫々整合するように、埋め込み配管を挿通させるための複数の挿通開口が形成されたケースと、各配管接続部と各挿通開口とを夫々連結し、通水本体をケース内に弾性支持する弾性支持部材と、埋め込みボックスの輸送時において、通水本体がケース内の所定の基準位置からずれるのを防止するように、通水本体をケースに固定する通水本体固定機構と、を有し、通水本体固定機構は、通水本体を貫通するように形成された本体貫通穴と、この本体貫通穴に挿通させる固定用雄ねじと、通水本体を貫通して延びる固定用雄ねじを螺合させる、ケースに設けられたケース雌ねじ穴と、から構成されている
ことを特徴としている。
【0014】
このように構成された本発明においては、通水本体の本体貫通穴を貫通して延びる固定用雄ねじが、ケースのケース雌ねじ穴に螺合されるので、固定用雄ねじによって通水本体を直接、ケースにねじ止めすることができ、より強固に通水本体をケースに固定することができる。また、固定用雄ねじにより、通水本体のケースへの着脱を繰り返し行うことができるので、一旦、通水本体の固定を解除した後でも、埋め込みボックスを輸送する際には、再び通水本体をケースに固定することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、さらに、蓋部材を有し、通水本体には水回り器具と接続される器具接続穴が設けられ、蓋部材は通水本体の器具接続穴を覆うように配置されると共に、固定用雄ねじによって通水本体に固定される。
【0016】
このように構成された本発明によれば、通水本体に設けられた器具接続穴を覆うように蓋部材が配置され、固定用雄ねじによって通水本体に固定されるので、施工中において、器具接続穴から通水本体内に砂や埃が侵入するのを防止することができる。また、蓋部材は、通水本体と共に固定用雄ねじによって固定されるので、蓋部材を固定するための特別な部品を設けることなく、蓋部材を固定することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、本体雌ねじ穴は通水本体の中央に形成され、ケース凹部はケースの中央に形成されている。
また、本発明において、好ましくは、本体貫通穴は通水本体の中央に形成され、ケース雌ねじ
穴はケースの中央に形成されている。
【0018】
このように構成された本発明によれば、通水本体は、その中央でケースに固定されるので、通水本体を一箇所で固定するだけで、通水本体の各配管接続部とケースの各挿通開口の間の中心軸線のずれを効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の埋め込みボックスによれば、弾性支持部材で通水本体を支持しながら、輸送中等の振動により、通水本体がケース内の基準位置から外れ、水密性が悪化するのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態による埋め込みボックスを使用して施工された湯水混合水栓装置の一例を説明する。
図1は、本実施形態による埋め込みボックスを使用して施工された湯水混合水栓装置全体を示す斜視図である。
図1に示すように、湯水混合水栓装置1は、本発明の実施形態の埋め込みボックス2と、この埋め込みボックス2内に収容された湯水混合ユニット4と、埋め込みボックス2内に収容された開閉バルブ6と、シャワー吐水を行うシャワーヘッド8aと、開閉バルブ6の下方に設けられたスパウト8bと、吐出される湯水の温度を調整するための温度調整用ハンドル10と、シャワーヘッド8a及びスパウト8bからの吐水、停止を切り換えるための吐出/停止ハンドル12と、を有する。
【0022】
図1に示すように、湯水混合水栓装置1は、その埋め込みボックス2が壁面Wの背面側に埋め込まれており、埋め込まれた埋め込みボックス2の内部に湯水混合ユニット4及び開閉バルブ6が収容されている。
湯水混合ユニット4は、供給された湯及び水を所定の割合で混合し、吐出される湯水の温度を調整するように構成されている。なお、本実施形態においては、湯水混合ユニット4として、形状記憶合金製のコイルバネを使用したサーモ水栓を使用している。
【0023】
開閉バルブ6は、湯水混合ユニット4において温度調整された湯水の、シャワーヘッド8aからの吐出、スパウト8bからの吐出、及び停止を切り換えるように構成されている。なお、本実施形態においては、開閉バルブ6として、円筒形の弁体(図示せず)をシリンダー(図示せず)の内部で回動させるロータリー式の切り換えバルブを使用している。
【0024】
このように構成された湯水混合水栓装置1では、まず、温度調整用ハンドル10を回動させることにより、温度調整用ハンドル10に接続されている湯水混合ユニット4のスピンドル4aを回動させ、吐出される湯水の温度を設定する。次に、吐出/停止ハンドル12を回動させることにより、吐出/停止ハンドル12に接続されている開閉バルブ6の弁体(図示せず)を開弁させ、湯水混合ユニット4において温度調整された湯水を、シャワーヘッド8a又はスパウト8bから吐出させることができる。なお、本実施形態においては、吐出/停止ハンドル12を右側に回動させることによりシャワーヘッド8aからの吐水を、左側に回動させることによりスパウト8bからの吐水を行うことができる。
【0025】
次に、
図2及び
図3を参照して、本発明の実施形態による埋め込みボックスに対する埋め込み配管の接続の一例を説明する。
図2は、本実施形態による埋め込みボックスに埋め込み配管が接続された状態を示す斜視図であり、
図3は、本実施形態による埋め込みボックスに埋め込み配管が接続された状態を示す断面図である。
【0026】
図2及び
図3に示すように、本実施形態による埋め込みボックス2は、円筒形のケース14と、このケース14の内部に収容された通水本体16と、この通水本体16をケース14に対して弾性支持する弾性支持部材であるシール部材18と、を有する。
【0027】
図2に示すように、施工時においては、埋め込みボックス2のケース14に対し、4方向から埋め込み配管20a、20b、20c及び20dが夫々挿通される。さらに、本実施形態においては、
図3に示すように、水道からの水を供給する埋め込み配管20b、及び給湯器(図示せず)からの湯を供給する埋め込み配管20dが、ケース14を貫通して通水本体16に接続されている。さらに、供給された湯及び水は、内部通水路22、24を介して湯水混合ユニット4に導かれる。湯水混合ユニット4において混合され、所定の温度に調整された湯水は、内部通水路26を介して開閉バルブ6に導かれる。開閉バルブ6は、供給された湯水を、停止、シャワーヘッド8aからの吐水、又はスパウト8bからの吐水に切り換え可能に構成されている。開閉バルブ6から流出した湯水は、内部通水路28又は30を通って通水本体16に戻され、通水本体16に接続された埋め込み配管20a及び20cを夫々通って、シャワーヘッド8a又はスパウト8bへ導かれるようになっている。
【0028】
次に、
図4及び
図5を参照して、本発明の実施形態による埋め込みボックスの構成を説明する。
図4は、本発明の実施形態による埋め込みボックスの分解斜視図である。
図5は、輸送時における埋め込みボックスの断面図である。
【0029】
上述したように、本実施形態による埋め込みボックス2は、円筒形のケース14と、このケース14の内部に収容された通水本体16と、この通水本体16をケース14に対して弾性支持する弾性支持部材であるシール部材18と、を有している。さらに、
図4に示すように、埋め込みボックス2の輸送時においては、蓋部材32が、固定用雄ねじ34によって通水本体16に装着されている。
【0030】
ケース14は、概ね円筒形に形成された樹脂製の部材であり、その外周面には、各埋め込み配管を挿入するための4つの円形の挿通開口14a、14b、14c及び14dが形成されている。ケース14の前端部は、前端開口部14eとして開放されており、壁面Wの施工完了後には、ケース14の前端開口部14eのみが壁面Wの外側に露出する。さらに、ケース14の後端側(前端開口部14eの反対側で、底面が形成されている側)には、4本の脚部15が放射方向に延びるように形成されており、ケース14は、これらの脚部15を介して内壁(施工完了後には隠蔽される内側の壁面)に固定される。なお、本実施形態においては、4つの挿通開口14a〜14dは、ケース14の外周面に、中心角90゜ずつ間隔をあけて夫々形成されると共に、4本の脚部15は、各挿通開口の中間に、中心角90゜ずつ間隔をあけて夫々形成されている。
【0031】
さらに、ケース14の底面には、各挿通開口と整合する位置に、4つの受け突起14fが形成されている。これらの受け突起14fにガイドされるように、通水本体16をケース14の底面上に配置することにより、通水本体16はケース14内の適所に位置決めされる。また、ケース14底面の中心には、固定用雄ねじ34を受けるためのケース凹部14gが形成されている。このケース凹部14gの機能については後述する。
【0032】
通水本体16は、概ね正方形板状の金属製の部材であり、その4つの頂点には、各埋め込み配管と夫々接続するための4つの配管接続部16a、16b、16c及び16dが、放射方向に向けて形成されている。これらの配管接続部16a〜16dは、ケース14の4つの挿通開口14a〜14dと夫々整合するように形成されており、各挿通開口14a〜14dを貫通して延びる各埋め込み配管20a〜20dが、配管接続部16a〜16dに夫々接続される。さらに、通水本体16の板面には、4つの器具接続穴16e、16f、16g及び16hが形成されており、通水本体16の内部には、これらの器具接続穴16e〜16hと配管接続部16a〜16dを夫々連通させる4本の本体通水路36(
図5)が形成されている。また、各配管接続部16a〜16dの内周面には、各埋め込み配管20a〜20dを接続するための接続雌ねじ38が夫々形成されている。各埋め込み配管20a〜20dの外周先端部に形成された接続雄ねじ40(
図3)を、各接続雌ねじ38にねじ込むことにより、各埋め込み配管20a〜20dを通水本体16に接続することができる。また、通水本体16の板面の中心には、固定用雄ねじ34と螺合する本体雌ねじ穴16i(
図4)が設けられている。この本体雌ねじ穴16iの機能については後述する。
【0033】
シール部材18は、
図4に示すように、弾性材料製の円筒形の部材であり、ケース14に設けられた各挿通開口14a〜14dに、ケース14の外側から夫々嵌め込むように形成されている。なお、本実施形態においては、シール部材18はゴム製である。各シール部材18の外周基端部には段部18aが形成されており、この段部18aが各挿通開口14a〜14dの縁に当接するまで各シール部材18を押し込むことにより、各シール部材18が適所に配置される。即ち、
図5に示すように、通水本体16を、各受け突起14fに当接するようにケース14の中の所定の位置に配置した後、シール部材18をケース14の外側から各挿通開口14a〜14dに嵌め込むことにより、各シール部材18の内側に各配管接続部16a〜16dが受け入れられ、通水本体16が弾性支持される。
【0034】
即ち、
図5に示すように、通水本体16は、各配管接続部16a〜16dにおいてはケース14に直接接触しておらず、通水本体16はゴム製の各シール部材18を介して各挿通開口14a〜14dに連結される。即ち、通水本体16は、ケース14に対し、各シール部材18によって弾性支持される。また、ゴム製のシール部材18を嵌め込むことにより、シール部材18の外周と各挿通開口14a〜14dの間、及びシール部材18の内周と通水本体16の各配管接続部16a〜16dの間の水密性が確保される。これにより、通水本体16と、これに接続された湯水混合ユニット4や開閉バルブ6等の水回り器具との間で漏水が発生した場合でも、ケース14の内側に漏れた水が各挿通開口14a〜14dから流出することはなく、漏水が壁面Wの裏側に流れるのを防止することができる。即ち、ケース14の内側に漏れた水は、前端開口部14eを介して壁面Wの表側(温度調整用ハンドル10等が取り付けられている側)に流出するので、使用者は、早期に漏水を認識することができる。
【0035】
蓋部材32は、
図4に示すように、埋め込みボックス2の輸送時において、通水本体16に取り付けられている概ね円盤状の部材である。また、蓋部材32の中心には、固定用雄ねじ34を通すための貫通穴32aが形成されている。この貫通穴32aを通して、固定用雄ねじ34を通水本体16の本体雌ねじ穴16iにねじ込むことにより、蓋部材32が通水本体16に固定される。なお、蓋部材32を固定する固定用雄ねじ34は、通水本体16を貫通して、その裏側へ突出している(
図5)。
【0036】
さらに、
図5に示すように、蓋部材32の裏側(通水本体16と当接する側)には、円周方向に延びる2本の通水溝32b、32cが形成されている。通水溝32bは、通水本体16の器具接続穴16e及び16f(
図4)と夫々対向するように設けられており、通水本体16に蓋部材32が取り付けられた状態では、器具接続穴16eと16fは通水溝32bを介して接続される。これにより、通水本体16の配管接続部16aと16bが通水溝32bを介して接続される。同様に、通水溝32cは、通水本体16の器具接続穴16g及び16h(
図4)と夫々対向するように設けられており、器具接続穴16gと16hは通水溝32cを介して接続され、これにより、通水本体16の配管接続部16cと16dが通水溝32cを介して接続される。なお、通水本体16の板面と蓋部材32との間には、これらの間の水密性を確保するためにシール部材42(
図5)が配置されている。
【0037】
また、上述したように、蓋部材32を通水本体16に固定している固定用雄ねじ34は、通水本体16の本体雌ねじ穴16iを貫通して、その裏側へ突出している。この通水本体16を貫通している固定用雄ねじ34の先端は、
図5に示すように、ケース14の底面に設けられたケース凹部14gに嵌め込まれる。このケース凹部14gは、
図4に示すように、ケース14の底面上に、円筒状の厚壁と、この厚壁の先端から延びる放射方向に向けられた6枚の板状の突起から構成されている。固定用雄ねじ34の先端は、このように構成されたケース凹部14gの中に固く嵌合される。これにより通水本体16がケース14に固定され、通水本体16の、ケース14内の所定の基準位置からのずれが防止される。従って、固定用雄ねじ34及びケース凹部14gは、通水本体16をケース14に固定する通水本体固定機構として機能する。
【0038】
これにより、通水本体16及び蓋部材32は、少なくとも埋め込みボックス2の輸送時において、ケース14内の基準位置に保持される。この基準位置においては、通水本体16の配管接続部16a〜16dの中心軸線と、ケース14の挿通開口14a〜14dの中心軸線が夫々正確に整合している。即ち、固定用雄ねじ34の先端をケース凹部14gに嵌合させることにより、これらの中心軸線の間の軸ずれが防止される。輸送中の振動等による通水本体16とケース14の間の軸ずれを防止することにより、通水本体16とシール部材18との間、及びケース14とシール部材18との間の水密性が損なわれるのを防止することができる。
【0039】
なお、ケース14の挿通開口14a及び14cの中心軸線は一致しており、挿通開口14b及び14dの中心軸線も一致している。ケース14底面のケース凹部14gは、これらの中心軸線の交点に設けられている。一方、通水本体16の配管接続部16a及び16cの中心軸線は一致しており、配管接続部16b及び16dの中心軸線も一致している。通水本体16の本体雌ねじ穴16iは、これらの中心軸線の交点に設けられている。このように位置決めされた本体雌ねじ穴16iとケース凹部14gの位置を、固定用雄ねじ34によって一致させることにより、通水本体16とケース14を1箇所で固定するだけで、各配管接続部16a〜16dの中心軸線を、各挿通開口14a〜14dの中心軸線に整合させることができる。
【0040】
次に、
図1を参照して、本発明の実施形態による埋め込みボックス2を使用した湯水混合水栓装置1の施工手順を説明する。
まず、本実施形態による埋め込みボックス2は、ケース14に、通水本体16、シール部材18、蓋部材32及び固定用雄ねじ34を取り付けた状態(
図5に示す状態)で施工現場に運ばれる。このため、通水本体16は、シール部材18によって弾性支持されているが、固定用雄ねじ34によって固定されているので、輸送中の振動等によりケース14内の通水本体16が基準位置からずれることはない。
【0041】
次に、湯水混合水栓装置1を施工すべき壁面Wの建築躯体(施工完了後には壁面Wによって隠蔽される壁面の下地)の所定位置に、埋め込みボックス2を固定する。即ち、ケース14の各脚部15を建築躯体にボルト等で固定する。次に、給湯、給水用の配管等を、ケース14の中に収容された通水本体16に接続する。本実施形態においては、
図2及び
図4に示すように、通水本体16の配管接続部16bに給水用の埋め込み配管20bを接続し、配管接続部16dに給湯用の埋め込み配管20dを接続する。さらに、通水本体16の配管接続部16aにはシャワーヘッド8aに接続される埋め込み配管20aを接続し、配管接続部16cにはスパウト8bに接続される埋め込み配管20cを接続する。
【0042】
壁面Wの裏側に隠蔽される各埋め込み配管の接続が完了した後、壁面Wを施工する。この際、ケース14の前端開口部14eの部分は壁面Wによって隠蔽せず、露出させておく。この状態において、埋め込み配管20b及び20dから、埋め込みボックス2へ水を供給する。上述したように、通水本体16に蓋部材32が取り付けられた状態においては、蓋部材32の通水溝32b、32cによって通水本体16の器具接続穴16eと16f、16gと16hが夫々連通されている。このため、埋め込み配管20bから供給された水は通水本体16を介して埋め込み配管20aから流出し、埋め込み配管20dから供給された水は通水本体16を介して埋め込み配管20cから流出する。このように、施工完了前に埋め込みボックス2に水を供給することにより、壁面の施工中等に埋め込み配管や通水本体16内に侵入した砂や埃等を洗い流すことができる。
【0043】
次に、蓋部材32を固定している固定用雄ねじ34を緩め、蓋部材32及び固定用雄ねじ34を通水本体16から取り外す。これにより、固定用雄ねじ34による通水本体16の固定が解除されるため、通水本体16はケース14に対し、各シール部材18によって弾性的に連結された状態となる。なお、埋め込みボックス2の輸送、及び埋め込み配管の接続が完了した状態では、通水本体16の軸ずれが発生することはなく、固定用雄ねじ34を外しても、各シール部材18による水密性を十分に維持することができる。また、この状態では、通水本体16はケース14に接触しているものの、固定用雄ねじ34等により剛接されていないため、埋め込み配管の振動が通水本体16を介してケース14には伝達されにくく、ケース14の振動による異音の発生が抑制される。
【0044】
次に、蓋部材32を取り外すことにより露出した器具接続穴16e〜16hに対し、各内部通水路22〜30、及び湯水混合ユニット4、開閉バルブ6を接続する(
図3)。さらに、ケース14の壁面Wから突出した部分を切り取り、前端開口部14eをカバーで覆い、最後に、湯水混合ユニット4及び開閉バルブ6に、温度調整用ハンドル10及び吐出/停止ハンドル12を夫々取り付け、施工を完了する。
【0045】
本発明の実施形態の埋め込みボックス2によれば、ケース14に対し、通水本体16を弾性支持するシール部材18とは別に、通水本体16は通水本体固定機構である固定用雄ねじ34及びケース凹部14gによってケース14に固定される(
図5)ので、埋め込みボックス2の輸送中等の振動によって、通水本体16が、ケース14内の所定の基準位置からずれるのを防止することができる。これにより、通水本体16の基準位置からのずれによる施工性の低下や、ケース14の水密性の低下を防止することができる。なお、本明細書において「輸送」とは、工場での組み立て完了から施工時までの間の移動を意味し、必ずしも貨物輸送に限られず、工場内での移動や、施工現場での移動も含むものである。
【0046】
また、本実施形態の埋め込みボックス2によれば、通水本体16の本体雌ねじ穴16iに螺合され、通水本体16を貫通して延びる固定用雄ねじ34が、ケース14のケース凹部16gに受け入れられ、通水本体16がケース14に固定される。このため、汎用的な部品を利用して、安価に通水本体固定機構を構成することができる。また、固定用雄ねじ34により、通水本体16のケースへの着脱を繰り返し行うことができるので、一旦、通水本体16の固定を解除した後でも、埋め込みボックス2を輸送する際には、再び通水本体16をケース14に固定することができる。
【0047】
さらに、本実施形態の埋め込みボックス2によれば、通水本体16に設けられた器具接続穴16e〜16hを覆うように蓋部材32が配置され、固定用雄ねじ34によって通水本体16に固定されるので、施工中において、器具接続穴16e〜16hから通水本体16内に砂や埃が侵入するのを防止することができる。また、蓋部材32は、通水本体16と共に固定用雄ねじ34によって固定されるので、蓋部材32を固定するための特別な部品を設けることなく、蓋部材32を固定することができる。
【0048】
また、本実施形態の埋め込みボックス2によれば、通水本体16は、その中央でケース14に固定されるので、通水本体16を一箇所で固定するだけで、通水本体16の各配管接続部16a〜16dとケース14の各挿通開口14a〜14dの間の中心軸線のずれを効果的に防止することができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、埋め込みボックス2を使用して、埋め込み配管と、湯水混合ユニット4及び開閉バルブ6を接続していたが、スパウトや、シャワーヘッド等、他の任意の水回り器具と埋め込み配管を接続する埋め込みボックスに本発明を適用することができる。また、上述した実施形態においては、埋め込みボックス2に4本の埋め込み配管が接続されていたが、2本以上の任意の数の埋め込み配管を接続する埋め込みボックスに本発明を適用することができる。
【0050】
また、上述した実施形態においては、固定用雄ねじ34によって、通水本体16に対して蓋部材32が固定されていたが、蓋部材32は省略することもできる。この場合には、固定用雄ねじ34を通水本体16の本体雌ねじ穴16iに直接螺合させ、通水本体16を貫通した固定用雄ねじ34の先端がケース14のケース凹部14gに嵌合されるように本発明を構成することができる。
【0051】
さらに、上述した実施形態においては、蓋部材32を固定する固定用雄ねじ34は、通水本体16に形成された本体雌ねじ穴16iに螺合されていた。これに対し、変形例として、本体雌ねじ穴16iを貫通穴とすると共に、ケース14のケース凹部14gにケース雌ねじ穴を形成しておくことにより、蓋部材32及び通水本体16を、固定用雄ねじ34でケース14に固定するように本発明を構成することもできる。この変形例によれば、通水本体16の本体貫通穴を貫通して延びる固定用雄ねじ34が、ケース14のケース雌ねじ穴に螺合されるので、固定用雄ねじ34によって通水本体16を直接、ケース14にねじ止めすることができ、より強固に通水本体16をケース14に固定することができる。また、この変形例においても、蓋部材32を省略することもできる。
【0052】
また、上述した実施形態においては、通水本体16は、固定用雄ねじ34によってケース14に固定されていたが、通水本体をケースに固定する通水本体固定機構として、ケース凹部に嵌合するシャフトや、割ピン等、種々の機構を適用することができる。