(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アバランシェフォトダイオードを有し光信号パケットの送受信を行う第1及び第2の光信号伝送装置と前記光信号パケットの光強度を変化させる光強度可変器とに接続され、前記光信号パケットの送受信を制御する制御装置であって、
送信パケット数を設定し、前記第1及び第2の光信号伝送装置に送信させるパケット送信制御部と、
前記光強度可変器の前記光強度を調整する光強度調整部と、
前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードに印加する印加電圧を可変に設定し、設定した印加電圧の印加を前記第1の光信号伝送装置に指示する電圧印加指示部と、
前記第1及び第2の光信号伝送装置が送受信した前記光信号パケットの数に基づいてエラー無く導通したパケット数を示す送受信パケット数情報を取得するパケット数情報取得部と、
前記送受信パケット数情報に基づいて、前記第1の光信号伝送装置と前記第2の光信号伝送装置との間の前記光信号パケットの送受信のエラーレートを算出する算出部と、
設定された前記印加電圧毎に前記光強度を変化させつつ前記送受信パケット数情報に基づいて前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードの受光レベルを算出することにより、所定のエラーレートを満たす最小の受光レベルである最小受光レベルを算出し、前記設定された前記印加電圧毎に算出された前記最小受光レベルに基づいて、前記最小受光レベルの値が最小となる前記印加電圧を最良印加電圧として推定する推定部と、
を有することを特徴とする制御装置。
前記推定部は、前記印加電圧の電圧値を前記最良印加電圧の理論値よりも小なる第1の範囲で変化させた場合の前記最小受光レベルの変化と、前記印加電圧の電圧値を前記最良印加電圧の理論値よりも大なる第2の範囲で変化させた場合の前記最小受光レベルの変化と、に基づいて、前記最良印加電圧を推定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
前記推定部は、前記第1の範囲において前記印加電圧と前記最小受光レベルとの組み合わせを複数取得して第1近似曲線を算出し、前記第2の範囲において前記印加電圧と前記最小受光レベルとの組み合わせを複数取得して第2近似曲線を算出し、前記第1近似曲線及び前記第2近似曲線の交点に基づいて、前記最良印加電圧の推定値を算出することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
光信号パケットの送受信を行う第1及び第2の光信号伝送装置と、前記光信号パケットの光強度を変化させる光強度可変器と、前記光信号パケットの送受信を制御する制御装置と、を有する光信号伝送システムであって、
前記第1の光信号伝送装置は、
アバランシェフォトダイオードと、
前記アバランシェフォトダイオードに印加電圧を印加する電圧印加部と、
前記印加電圧を調整する電圧調整部と、
前記第2の光信号伝送装置との間で送受信した前記光信号パケットのパケット数を計測する計測部と、
を有し、
前記制御装置は、
送信パケット数を設定し、前記第1及び第2の光信号伝送装置に送信させるパケット送信制御部と、
前記光強度可変器の前記光強度を調整する光強度調整部と、
前記印加電圧の電圧値を可変に設定し、設定した電圧値を有する前記印加電圧の印加を前記第1の光信号伝送装置に指示する電圧印加指示部と、
前記第1の光信号伝送装置の前記計測部が計測した前記光信号パケットのパケット数に基づいてエラー無く導通したパケット数を示す送受信パケット数情報を取得するパケット数情報取得部と、
前記送受信パケット数情報に基づいて、前記第1の光信号伝送装置と前記第2の光信号伝送装置との間の前記光信号パケットの送受信のエラーレートを算出する算出部と、
設定された前記印加電圧毎に前記光強度を変化させつつ前記送受信パケット数情報に基づいて前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードの受光レベルを算出することにより、所定のエラーレートを満たす最小の受光レベルである最小受光レベルを算出し、前記設定された前記印加電圧毎に算出された前記最小受光レベルに基づいて、前記最小受光レベルの値が最小となる前記印加電圧を最良印加電圧として推定する推定部と、
を有することを特徴とする光信号伝送システム。
アバランシェフォトダイオードを有し光信号パケットの送受信を行う第1及び第2の光信号伝送装置と、前記光信号パケットの光強度を変化させる光強度可変器と、前記光信号パケットの送受信を制御する制御装置と、を有する光信号伝送システムにおいて、前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードに印加する電圧を調整する印加電圧調整方法であって、
前記光強度可変器の前記光強度を調整するステップと、
前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードに印加する印加電圧を可変に設定するステップと、
前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードに、設定した前記印加電圧を印加させるステップと、
前記第1及び第2の光信号伝送装置が送信する前記光信号パケットの送信パケット数を設定するステップと、
前記第1及び第2の光信号伝送装置に、設定した送信パケット数の前記光信号パケットを送信させるステップと、
前記第1及び第2の光信号伝送装置が送受信した前記光信号パケットの数を計測するステップと、
計測された前記光信号パケットの数に基づいて、エラー無く導通したパケット数を示す送受信パケット数情報を取得し、前記送受信パケット数情報に基づいて前記第1の光信号伝送装置と前記第2の光信号伝送装置との間の前記光信号パケットの送受信のエラーレートを算出するステップと、
設定された前記印加電圧毎に前記光強度を変化させつつ前記送受信パケット数情報に基づいて前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードの受光レベルを算出することにより、所定のエラーレートを満たす最小の受光レベルである最小受光レベルを算出し、前記設定された前記印加電圧毎に算出された前記最小受光レベルに基づいて、前記最小受光レベルの値が最小となる前記印加電圧を最良印加電圧として推定するステップと、
前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードに印加する印加電圧を前記最良印加電圧に調整するステップと、
を有することを特徴とする印加電圧調整方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような光信号伝送装置では、受信信号レベルを検出する検出部が必要となる。しかし、電圧又は電流を直接測定する機能を有する検出部を設けた場合、光信号伝送装置自体の装置規模が増大してしまうという問題があった。特に、小型の光信号伝送装置では搭載可能部品の制限により、かかる検出部を具備することができない場合がある。
【0006】
このため、APDの増倍率特性(印加電圧特性)を他の試験用装置で検査した後に、当該APDを伝送装置に搭載する方法がある。しかし、かかる方法では、基板のインピーダンスマッチングや放熱のばらつきによって特性の誤差が生じる可能性があるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で確実にAPDの印加電圧の調整を行うことが可能な伝送制御装置及び光信号伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る伝送制御装置は、アバランシェフォトダイオードを有し光信号パケットの送受信を行う第1及び第2の光信号伝送装置と前記光信号パケットの光強度を変化させる光強度可変器とに接続され、前記光信号パケットの送受信を制御する制御装置であって、送信パケット数を設定し、前記第1及び第2の光信号伝送装置に送信させるパケット送信制御部と、前記光強度可変器の前記光強度を調整する光強度調整部と、前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードに印加する印加電圧を
可変に設定し、設定した印加電圧の印加を前記第1の光信号伝送装置に指示する電圧印加指示部と、前記第1及び第2の光信号伝送装置が送受信した前記光信号パケットの数
に基づいてエラー無く導通したパケット数を示す送受信パケット数情報を
取得するパケット数情報
取得部と、前記送受信パケット数情報に基づいて、前記第1の光信号伝送装置と前記第2の光信号伝送装置との間の前記光信号パケットの送受信のエラーレートを算出する算出部と、
設定された前記印加電圧毎に前記光強度を変化させつつ前記送受信パケット数情報に基づいて前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードの
受光レベルを算出することにより、所定のエラーレートを満たす最小の受光レベルである最小受光レベルを算出し、前記設定された前記印加電圧毎に算出された前記最小受光レベルに基づいて、前記最小受光レベルの値が最小となる前記印加電圧を最良印加電圧として推定する推定部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光信号伝送システムは、光信号パケットの送受信を行う第1及び第2の光信号伝送装置と、前記光信号パケットの光強度を変化させる光強度可変器と、前記光信号パケットの送受信を制御する制御装置と、を有する光信号伝送システムであって、前記第1の光信号伝送装置は、アバランシェフォトダイオードと、前記アバランシェフォトダイオードに印加電圧を印加する電圧印加部と、前記印加電圧を調整する電圧調整部と、前記第2の光信号伝送装置との間で送受信した前記光信号パケットのパケット数を計測する計測部と、を有し、前記制御装置は、送信パケット数を設定し、前記第1及び第2の光信号伝送装置に送信させるパケット送信制御部と、前記光強度可変器の前記光強度を調整する光強度調整部と、前記印加電圧の電圧値を
可変に設定し、設定した電圧値を有する前記印加電圧の印加を前記第1の光信号伝送装置に指示する電圧印加指示部と、前記第1の光信号伝送装置の前記計測部が計測した前記光信号パケットのパケット数
に基づいてエラー無く導通したパケット数を示す送受信パケット数情報を
取得するパケット数情報
取得部と、前記送受信パケット数情報に基づいて、前記第1の光信号伝送装置と前記第2の光信号伝送装置との間の前記光信号パケットの送受信のエラーレートを算出する算出部と、
設定された前記印加電圧毎に前記光強度を変化させつつ前記送受信パケット数情報に基づいて前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードの
受光レベルを算出することにより、所定のエラーレートを満たす最小の受光レベルである最小受光レベルを算出し、前記設定された前記印加電圧毎に算出された前記最小受光レベルに基づいて、前記最小受光レベルの値が最小となる前記印加電圧を最良印加電圧として推定する推定部と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る印加電圧調整方法は、アバランシェフォトダイオードを有し光信号パケットの送受信を行う第1及び第2の光信号伝送装置と、前記光信号パケットの光強度を変化させる光強度可変器と、前記光信号パケットの送受信を制御する制御装置と、を有する光信号伝送システムにおいて、前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードに印加する電圧を調整する印加電圧調整方法であって、前記光強度可変器の前記光強度を調整するステップと、前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードに印加する印加電圧を
可変に設定するステップと、前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードに、設定した前記印加電圧を印加させるステップと、前記第1及び第2の光信号伝送装置が送信する前記光信号パケットの送信パケット数を設定するステップと、前記第1及び第2の光信号伝送装置に、設定した送信パケット数の前記光信号パケットを送信させるステップと、前記第1及び第2の光信号伝送装置が送受信した前記光信号パケットの数を計測するステップと、計測された前記光信号パケットの数に基づいて、
エラー無く導通したパケット数を示す送受信パケット数情報を取得し、前記送受信パケット数情報に基づいて前記第1の光信号伝送装置と前記第2の光信号伝送装置との間の前記光信号パケットの送受信のエラーレートを算出するステップと、
設定された前記印加電圧毎に前記光強度を変化させつつ前記送受信パケット数情報に基づいて前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードの
受光レベルを算出することにより、所定のエラーレートを満たす最小の受光レベルである最小受光レベルを算出し、前記設定された前記印加電圧毎に算出された前記最小受光レベルに基づいて、前記最小受光レベルの値が最小となる前記印加電圧を最良印加電圧として推定するステップと、前記第1の光信号伝送装置の前記アバランシェフォトダイオードに印加する印加電圧を前記最良印加電圧に調整するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成で確実にAPDの印加電圧の調整を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る光信号伝送システム10の構成を示すブロック図である。光信号伝送システム10は、ユーザ側光信号伝送装置11、局側光信号伝送装置12、可変ATT(Attenuator)13及び伝送制御装置14を有する。
【0015】
ユーザ側光信号伝送装置11は、局側光信号伝送装置12との間で光信号パケットの送受信を行う光信号伝送装置である。ユーザ側光信号伝送装置11は、受光素子としてAPD(Avalanche Photodiode)を有し、伝送制御装置14の制御に応じてAPDに印加する印加電圧V
APDを変化させつつ、光信号パケットの送受信を行う。
【0016】
図2は、ユーザ側光信号伝送装置11の光信号送受信部20の構成を示すブロック図である。光信号送受信部20は、制御素子21、APD22、電流−電圧変換回路23、高電圧発生回路24及び高電圧制御回路25を有する。
【0017】
制御素子21は、光信号送受信部20の各部を制御し、光信号送受信部20において生成される電気信号の処理を行う。制御素子21は、伝送制御装置14により設定された送信パケット数の光信号パケットを局側光信号伝送装置12に向けて送信する機能を有する。また、制御素子21は、送受信される光信号パケットのパケット数を計測する機能を有し、計測したパケット数の情報を伝送制御装置14に供給する。
【0018】
APD22は、光信号送受信部20が受信した光信号を受光する受光素子であり、印加電圧V
APDに応じた増倍率で増倍した電流を出力する。
【0019】
電流−電圧変換回路23は、APD22の出力電流を電圧に変換して、出力電圧を生成する。
【0020】
高電圧発生回路24は、高電圧制御回路25の制御に応じて高電圧を発生させ、発生させた電圧を印加電圧V
APDとしてAPD22に印加する。
【0021】
高電圧制御回路25は、伝送制御装置14により設定された印加電圧V
APDを発生させるべく、高電圧発生回路24の制御を行う。
【0022】
再び
図1を参照すると、局側光信号伝送装置12は、ユーザ側光信号伝送装置11との間で光信号パケットの送受信を行う光信号伝送装置である。局側光信号伝送装置12は、ユーザ側光信号伝送装置11と同様の構成を有し、受光素子としてAPDを用いて光信号パケットの送受信を行う。
【0023】
局側光信号伝送装置12は、伝送制御装置14により設定された送信パケット数の光信号パケットをユーザ側光信号伝送装置11に向けて送信する。また、局側光信号伝送装置12は、送受信される光信号パケットのパケット数を計測する機能を有し、計測したパケット数の情報を伝送制御装置14に供給する。
【0024】
可変ATT13は、ユーザ側光信号伝送装置11と局側光信号伝送装置12との間で伝送される光信号パケットの光強度を減衰させる可変減衰器である。可変ATT13は、伝送制御装置14の制御に応じて減衰率を変化させ、光強度を変化させる。
【0025】
伝送制御装置14は、ユーザ側光信号伝送装置11、局側光信号伝送装置12及び可変ATT13を制御する制御装置である。伝送制御装置14は、制御信号CSを供給することにより、これらの装置の制御を行う。
【0026】
図3は、伝送制御装置14の構成を示すブロック図である。伝送制御装置14は、送受信部31、記憶部32、光強度調整部33、電圧印加指示部34、パケット送信制御部35、パケット数情報取得部36、エラーレート算出部37及び最良印加電圧推定部38を有する。
【0027】
送受信部31は、ユーザ側光信号伝送装置11、局側光信号伝送装置12及び可変ATT13を制御するための制御信号CSを送信する。また、送受信部31は、ユーザ側光伝送装置11及び局側光伝送装置12との間でその他の情報の送受信を行う。
【0028】
記憶部32は、例えばRAM等のメモリから構成され、パケット数情報取得部36が取得したパケット数の情報やエラーレート算出部37が算出したエラーレートの情報を一時的に記憶する。
【0029】
光強度調整部33は、送受信部31を介して可変ATT13に制御信号CSを送信し、可変ATT13の減衰率を変化させることにより、ユーザ側光信号伝送装置11と局側光信号伝送装置12との間で伝送される光信号パケットの光強度を調整する。
【0030】
電圧印加指示部34は、ユーザ側光信号伝送装置11がAPD22に印加する印加電圧V
APDを設定し、設定した印加電圧V
APDを印加するようユーザ側光信号伝送装置11に指示する制御信号CSを、送受信部31を介してユーザ側光信号伝送装置11に送信する。
【0031】
パケット送信制御部35は、ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12が送信する光信号パケットの送信パケット数を設定し、設定したパケット数のパケットを送信するようユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12に指示する制御信号CSを、送受信部31を介してユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12に送信する。
【0032】
パケット数情報取得部36は、ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12が実際に送受信したパケット数の情報を、送受信部31を介して受信することにより、エラー無く導通したパケット数の情報を取得する。
【0033】
エラーレート算出部37は、パケット数情報取得部36によって取得されたパケット数の情報に基づいて、光信号パケットの伝送におけるエラーレートを算出する。
【0034】
最良印加電圧推定部38は、光強度及び印加電圧V
APDの変化に応じたエラーレートの変化に基づいて、APD22の受光感度が最も良好となる印加電圧(以下、最良印加電圧Vmoptと称する)を推定する。
【0035】
なお、光強度調整部33、電圧印加指示部34、パケット送信制御部35、パケット数情報取得部36、エラーレート算出部37及び最良印加電圧推定部38の各機能は、例えばCPU等の制御部がプログラムに従って処理を行うことにより実現される。
【0036】
次に、最良印加電圧Vmoptの推定処理の処理動作について、
図4及び
図5のフローチャートを参照して説明する。最良印加電圧Vmoptの推定処理は、最良印加電圧Vmoptの理論値(以下、理論値Vtvと称する)未満の範囲で行う第1処理と、最良印加電圧Vmoptの理論値Vtv以上の範囲で行う第2処理と、から構成される。
【0037】
図4は、第1処理の動作ルーチンを示すフローチャートである。
【0038】
伝送制御装置14の電圧印加指示部34は、ユーザ側光信号伝送装置11がAPD22に印加する印加電圧V
APDを設定し、設定した印加電圧を印加するようユーザ側光信号伝送装置11に指示する。この際、電圧印加指示部34は、理論値Vtv未満であり且つAPD22のブレークダウン電圧(降伏電圧)Vbrよりも十分小さな値となるように印加電圧V
APDを設定する(ステップS101)。
【0039】
ユーザ側光信号伝送装置11の高電圧制御回路25は、伝送制御装置14からの印加電圧の指示に応じて、設定された電圧値の印加電圧V
APDを発生するように高電圧発生回路24を制御する。高電圧発生回路24は、印加電圧V
APDをAPD22に印加する。
【0040】
パケット送信制御部35は、ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12が送信する光信号パケットの送信パケット数を設定し、設定した送信パケット数のパケットを送信するよう指示する制御信号CSを、ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12に送信する。ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12は、これに応じて、設定された送信パケット数の光信号パケットを送信する。(ステップS102)。
【0041】
ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12は光信号パケットの送受信を行い、実際に送受信した光信号パケットのパケット数を計測する(ステップS103)。伝送制御装置14のパケット数情報取得部36は、ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12で計測されたパケット数の情報を、送受信部31を介して取得する。
【0042】
伝送制御装置14のエラーレート算出部37は、パケット数情報取得部36が取得したパケット数の情報に基づいて、エラー無く導通した光信号パケットのパケット数、エラーしたパケット数およびエラーレート(エラーしたパケット数/送信パケット数)を算出する。エラーレート算出部37は、エラーなく導通したパケット数と可変ATT13に設定されている光強度との組み合わせを記憶部32に記録する(ステップS104)。
【0043】
最良印加電圧推定部38は、エラーしたパケット数が所定の閾値に到達したか否かを判定する(ステップS105)。閾値に到達していないと判定すると(ステップS105:No)、光強度調整部33は、可変ATT13のATT値を増加させて光強度の調整を行う(ステップS106)。ユーザ側光信号伝送装置11、局側光信号伝送装置12及び伝送制御装置14は、可変ATT13のATT値を増加させた状態で、再びステップS102〜S105の処理を行う。
【0044】
一方、エラーしたパケット数が閾値に到達したと判定すると(ステップS105:Yes)、最良印加電圧推定部38は、ステップS104で得られたパケット数及び光強度の組み合わせから受光感度を計算する(ステップS107)。その際、最良印加電圧推定部38は、一定のエラーレート(例えば10
-12)を満たす最小の受光レベルを最小受光レベルMRLとして算出する。
【0045】
最良印加電圧推定部38は、印加電圧V
APDと受光感度(最小受光レベルMRL)との組み合わせが所定数(例えば、3)に到達したか否かを判定する(ステップS108)。組み合わせが所定数に到達していないと判定された場合(ステップS108:No)、印加電圧V
APDを所定の電圧値分増加させ(ステップS109)、所定数に到達するまでステップS102〜ステップS108の処理を繰り返す。一方、組み合わせが所定数に到達した場合は(ステップS108:Yes)、第1処理を終了して、第2処理に移行する。
【0046】
図5は、第2処理の動作ルーチンを示すフローチャートである。
【0047】
伝送制御装置14の電圧印加指示部34は、理論値Vtv以上で且つAPD22のブレークダウン電圧Vbrに近い値となるように、ユーザ側光信号伝送装置11がAPD22に印加する印加電圧V
APDを設定し、設定した印加電圧を印加するようユーザ側光信号伝送装置11に指示する。(ステップS201)。ユーザ側光信号伝送装置11の高電圧発生回路24は、設定された印加電圧V
APDをAPD22に印加する。
【0048】
パケット送信制御部35は、ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12が送信する光信号パケットの送信パケット数を設定し、設定した送信パケット数のパケットを送信するよう指示する制御信号CSを、ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12に送信する。ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12は、これに応じて、設定された送信パケット数の光信号パケットを送信する。(ステップS202)。
【0049】
ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12は光信号パケットの送受信を行い、実際に送受信した光信号パケットのパケット数を計測する(ステップS203)。伝送制御装置14のパケット数情報取得部36は、ユーザ側光信号伝送装置11及び局側光信号伝送装置12で計測されたパケット数の情報を、送受信部31を介して取得する。
【0050】
伝送制御装置14のエラーレート算出部37は、パケット数情報取得部36が取得したパケット数の情報に基づいて、エラー無く導通した光信号パケットのパケット数、エラーしたパケット数およびエラーレートを算出する。エラーレート算出部37は、エラーなく導通したパケット数と可変ATT13に設定されている光強度との組み合わせを記憶部32に記録する(ステップS204)。
【0051】
最良印加電圧推定部38は、エラーしたパケット数が所定の閾値に到達したか否かを判定する(ステップS205)。閾値に到達していないと判定すると(ステップS205:No)、光強度調整部33は、可変ATT13のATT値を増加させて光強度の調整を行う(ステップS206)。ユーザ側光信号伝送装置11、局側光信号伝送装置12及び伝送制御装置14は、可変ATT13のATT値を増加させた状態で、再びステップS202〜S205の処理を行う。
【0052】
一方、エラーしたパケット数が閾値に到達したと判定すると(ステップS205:Yes)、最良印加電圧推定部38は、ステップS204で得られたパケット数及び光強度の組み合わせから受光感度を計算する(ステップS207)。その際、最良印加電圧推定部38は、一定のエラーレート(例えば10
-12)を満たす最小の受光レベルを最小受光レベルMRLとして算出する。
【0053】
最良印加電圧推定部38は、印加電圧V
APDと受光感度(最小受光レベルMRL)との組み合わせが所定数(例えば、3)に到達したか否かを判定する(ステップS208)。組み合わせが所定数に到達していないと判定された場合(ステップS208:No)、印加電圧V
APDを所定の電圧値分減少させ(ステップS209)、所定数に到達するまでステップS202〜ステップS208の処理を繰り返す。
【0054】
一方、組み合わせが所定数に到達した場合は(ステップS208:Yes)、最良印加電圧推定部38は、第1処理及び第2処理で得られた複数の印加電圧V
APDと最小受光レベルMRLとの組み合わせに基づいて、最良印加電圧Vmoptを推定する(ステップS210)。
【0055】
図6は、複数の印加電圧V
APDと最小受光レベルMRLとの組み合わせに基づいて最良印加電圧Vmoptを推定する処理を模式的に示すグラフである。縦軸は最小受光レベルMRL、横軸は印加電圧V
APDを示している。また、RAは印加電圧V
APDが理論値Vtv未満の範囲である第1範囲を示し、RBは印加電圧V
APDが理論値Vtv以上の範囲である第2範囲を示している。
【0056】
第1処理において印加電圧V
APDをV1、V2、V3と変化させて夫々における最良印加電圧Vmoptを算出すると、図に示すような第1範囲RAにおいて3点のプロットが得られる。同様に、第2処理において印加電圧V
APDをV4、V5、V6と変化させて夫々における最小印加電圧Vmoptを算出すると、図に示すように第2範囲RBにおいて3点のプロットが得られる。最良印加電圧推定部38は、第1範囲RAの3点を結ぶ近似曲線と第2範囲RBの3点を結ぶ近似曲線との交点にあたる印加電圧を求め、この印加電圧を最良印加電圧Vmoptと推定する。
【0057】
最良印加電圧推定部38は、推定した最良印加電圧Vmoptの情報を、送受信部31を介してユーザ側光伝送装置11に送信する。ユーザ側光伝送装置11の光信号送受信部20の高電圧制御回路25は、高電圧発生回路24を制御して、推定された最良印加電圧VmoptをAPD22に印加させる。
【0058】
以上のように、本実施例の光信号伝送システム10では、光信号パケットの光強度とユーザ側光信号伝送装置11のAPD22に印加する印加電圧V
APDとを変化させつつ、ユーザ側光信号伝送装置11と局側光信号伝送装置12との間で送受信された光信号パケットのパケット数に基づいてエラーレートを算出し、光強度及び印加電圧の変化に応じたエラーレートの変化に基づいて、APD22の受光感度が最高となる印加電圧を推定する。
【0059】
本実施例の伝送制御装置及び光信号伝送システムによれば、送受信されたパケット数の情報に基づいてAPDの受光感度が最高となる印加電圧を推定するため、APDの出力電流又は電流電圧変換後の電圧を直接測定する必要がない。従って、電流レベル又は電圧レベルを検出する検出部を有しない光信号伝送装置に対しても、印加電圧の調整を行うことが可能となる。また、光信号伝送装置のコストダウンを実現することができる。
【0060】
また、最良印加電圧の理論値未満の範囲で印加電圧を変化させる第1処理と、理論値以上の範囲で印加電圧を変化させる第2処理とに分けて最良印加電圧の推定を行うことにより、少ない測定回数で処理を行うことができ、短時間で印加電圧の調整を行うことが可能となる。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例では、ユーザ側光信号伝送装置のAPDの受光感度が最高となる印加電圧を推定する例について説明した。しかし、局側光信号伝送装置に対しても同様の処理を行うことにより、局側光信号伝送装置APDの受光感度が最高となる印加電圧を推定することが可能である。
【0062】
また、上記実施例では、APDの受光感度が最高となる最良印加電圧の推定を行う場合を例として説明したが、推定する電圧値は必ずしも受光感度が最も高くなる場合に限られない。すなわち、APDの受光感度が良好となる印加電圧の推定を行うものであれば良い。
【0063】
また、上記実施例では、最良印加電圧の理論値未満の範囲と理論値以上の範囲で3点ずつ(すなわち、3つの電圧値ずつ)最小受光レベルを算出して、最良印加電圧を推定する例について説明した。しかし、プロット数はこれに限られず、例えば最良印加電圧の理論値未満の範囲と理論値以上の範囲で5点ずつ(5つの電圧値ずつ)最小受光レベルを算出し、近似曲線の交点を求めることにより最良印加電圧を推定しても良い。また、プロット数をさらに多くとり、理論値に近い電圧値を最良印加電圧とみなすことにより、近似曲線を用いずに最良印加電圧を推定しても良い。
【0064】
また、上記実施例では、ユーザ側光信号伝送装置の制御素子が送受信するパケットを計測する機能を有する例について説明したが、パケット数の計測を他の装置が行う構成としても良い。要するに、実際に送受信されたパケット数の情報を伝送制御装置が取得して最良印加電圧を推定することが可能に構成されていれば良い。