特許第6885097号(P6885097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885097
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/056 20060101AFI20210531BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   G08G1/056
   G08G1/09 F
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-29880(P2017-29880)
(22)【出願日】2017年2月21日
(65)【公開番号】特開2018-136674(P2018-136674A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】金子 富
(72)【発明者】
【氏名】渡部 智宏
(72)【発明者】
【氏名】山岸 悟
(72)【発明者】
【氏名】長島 且佳
【審査官】 山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−294812(JP,A)
【文献】 特開2015−082235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G08G 1/00− 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行する車両に対して電波を使用して所定の通信サービスを行うための情報処理装置であって、
順走車両用アンテナが向いている第1の方向と、前記道路に直交する面に対して略対称である第2の方向に向けられた逆走車両用アンテナと、
前記所定の通信サービスを提供する第1の電波を前記順走車両用アンテナおよび前記逆走車両用アンテナに送信させるとともに、前記車両から送信される、前記第1の電波に対応する第2の電波を前記順走車両用アンテナまたは前記逆走車両用アンテナを介して受信する送受信部と、
前記第2の方向と略同一の方向に向けられた逆走検知用アンテナと、
前記逆走検知用アンテナによる前記第2の電波の受信に基づいて前記第2の電波の到来方向を推定し、かつ、推定した前記第2の電波の到来方向に基づいて前記車両の進行方向を特定することにより前記車両が前記道路を逆走しているか否かを判断する第1判断部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
道路を走行する車両に対して電波を使用して所定の通信サービスを行うための情報処理装置であって、
順走車両用アンテナが向いている第1の方向と、前記道路に直交する面に対して略対称である第2の方向に向けられた逆走車両用アンテナと、
前記所定の通信サービスを提供する第1の電波を前記順走車両用アンテナおよび前記逆走車両用アンテナに送信させる送信部と、
前記車両から送信される、前記第1の電波に対応する第2の電波を前記順走車両用アンテナを介して受信する受信部と、
前記第2の方向と略同一の方向に向けられた逆走検知用アンテナと、
前記逆走検知用アンテナによる前記第2の電波の受信に基づいて前記第2の電波の到来方向を推定し、かつ、推定した前記第2の電波の到来方向に基づいて前記車両の進行方向を特定することにより前記車両が前記道路を逆走しているか否かを判断する第1判断部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項3】
前記第2の電波は、第1のタイミングにおいて前記逆走検知用アンテナにより受信され、
前記車両から送信される、前記第1の電波に対応する第3の電波が、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて前記逆走検知用アンテナにより受信され、
前記第1判断部は、前記第2の電波の到来方向の推定結果と前記第3の電波の到来方向の推定結果との差分に基づいて、前記車両の進行方向を特定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1判断部は、前記車両から送信される電波が前記逆走検知用アンテナにより受信される度の当該電波の到来方向の推定結果の推移に基づいて、前記車両の進行方向を特定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
前記車両が前記道路を逆走していると前記第1判断部により判断され、かつ、前記順走車両用アンテナにより前記第2の電波が受信された場合に、前記順走車両用アンテナにより受信された前記第2の電波に対応する第1の信号に含まれる前記車両の識別情報と、前記逆走検知用アンテナにより受信された前記第2の電波に対応する第2の信号に含まれる前記車両の識別情報との比較に基づいて、前記車両が前記道路を逆走しているか否かを判断する第2判断部をさらに備え
前記第1の信号に含まれる前記車両の識別情報と、前記第2の信号に含まれる前記車両の識別情報とが一致する場合には、前記第2判断部は、前記車両が前記道路を順走していると判断し、
前記第1の信号に含まれる前記車両の識別情報と、前記第2の信号に含まれる前記車両の識別情報とが一致しない場合には、前記第2判断部は、前記車両が前記道路を逆走していると判断する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の電波は、前記所定の通信サービスに関する通信のためのダウンリンク信号に対応する電波であり、
前記第2の電波は、前記所定の通信サービスに関する通信のためのアップリンク信号に対応する電波である、請求項1〜のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路を走行する車両の位置や走行方向を判定する技術が各種提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、AoAアンテナにより車両に搭載された車載器から受信される電波に基づいて、車両の位置および方向を検出する技術が記載されている。また、下記特許文献2には、走行レーンごとに設けられたAoAアンテナが当該走行レーンを走行する車両に搭載された車載器から受信される電波に基づいて、当該車両の位置および移動方向を推定する技術が記載されている。また、下記特許文献3には、複数のアンテナとスペクトル拡散技術とを用いることにより広範囲を複数のブロックに分割し、そして、ブロック単位で車両情報を取得する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−277127号公報
【特許文献2】特開2015−82235号公報
【特許文献3】特開平6−236497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の技術では、車両に対して所定の通信サービスを提供しつつ、車両が逆走しているか否かを判断することは考慮されていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、車両に対して所定の通信サービスを提供しつつ、車両が逆走しているか否かを適切に判断することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、道路を走行する車両に対して電波を使用して所定の通信サービスを行うための情報処理装置であって、順走車両用アンテナが向いている第1の方向と、道路に直交する面に対して略対称である第2の方向に向けられた逆走車両用アンテナと、前記所定の通信サービスを提供する第1の電波を前記順走車両用アンテナおよび前記逆走車両用アンテナに送信させるとともに、前記車両から送信される、前記第1の電波に対応する第2の電波を前記順走車両用アンテナまたは前記逆走車両用アンテナを介して受信する送受信部と、前記第2の方向と略同一の方向に向けられた逆走検知用アンテナと、前記逆走検知用アンテナによる前記第2の電波の受信に基づいて前記第2の電波の到来方向を推定し、かつ、推定した前記第2の電波の到来方向に基づいて前記車両の進行方向を特定することにより前記車両が前記道路を逆走しているか否かを判断する第1判断部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、道路を走行する車両に対して電波を使用して所定の通信サービスを行うための情報処理装置であって、順走車両用アンテナが向いている第1の方向と、前記道路に直交する面に対して略対称である第2の方向に向けられた逆走車両用アンテナと、前記所定の通信サービスを提供する第1の電波を前記順走車両用アンテナおよび前記逆走車両用アンテナに送信させる送信部と、前記車両から送信される、前記第1の電波に対応する第2の電波を前記順走車両用アンテナを介して受信する受信部と、前記第2の方向と略同一の方向に向けられた逆走検知用アンテナと、前記逆走検知用アンテナによる前記第2の電波の受信に基づいて前記第2の電波の到来方向を推定し、かつ、推定した前記第2の電波の到来方向に基づいて前記車両の進行方向を特定することにより前記車両が前記道路を逆走しているか否かを判断する第1判断部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0009】
前記第2の電波は、第1のタイミングにおいて前記逆走検知用アンテナにより受信され、前記車両から送信される、前記第1の電波に対応する第3の電波が、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて前記逆走検知用アンテナにより受信され、前記第1判断部は、前記第2の電波の到来方向の推定結果と前記第3の電波の到来方向の推定結果との差分に基づいて、前記車両の進行方向を特定してもよい。
【0010】
前記第1判断部は、前記車両から送信される電波が前記逆走検知用アンテナにより受信される度の当該電波の到来方向の推定結果の推移に基づいて、前記車両の進行方向を特定してもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、前記車両が前記道路を逆走していると前記第1判断部により判断され、かつ、前記順走車両用アンテナにより前記第2の電波が受信された場合に、前記順走車両用アンテナにより受信された前記第2の電波に対応する第1の信号に含まれる前記車両の識別情報と、前記逆走検知用アンテナにより受信された前記第2の電波に対応する第2の信号に含まれる前記車両の識別情報との比較に基づいて、前記車両が前記道路を逆走しているか否かを判断する第2判断部をさらに備え、前記第1の信号に含まれる前記車両の識別情報と、前記第2の信号に含まれる前記車両の識別情報とが一致する場合には、前記第2判断部は、前記車両が前記道路を順走していると判断し、前記第1の信号に含まれる前記車両の識別情報と、前記第2の信号に含まれる前記車両の識別情報とが一致しない場合には、前記第2判断部は、前記車両が前記道路を逆走していると判断してもよい。
【0013】
前記第1の電波は、前記所定の通信サービスに関する通信のためのダウンリンク信号に対応する電波であり、前記第2の電波は、前記所定の通信サービスに関する通信のためのアップリンク信号に対応する電波であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、車両に対して所定の通信サービスを提供しつつ、車両が逆走しているか否かを適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の各実施形態に共通する情報処理システムの構成例を示した説明図である。
図2】各実施形態に共通する路側機10の設置例を示した説明図である。
図3】本発明の第1の実施形態による路側機10‐1の構成例を示した機能ブロック図である。
図4】第1の実施形態による車両4の逆走の判断方法の例を示した説明図である。
図5】第1の実施形態による処理の流れの一部を示したシーケンス図である。
図6】第1の実施形態による処理の流れの一部を示したシーケンス図である。
図7】本発明の第2の実施形態による路側機10‐2の構成例を示した機能ブロック図である。
図8】第2の実施形態による処理の流れの一部を示したシーケンス図である。
図9】第2の実施形態による処理の流れの一部を示したシーケンス図である。
図10】第2の実施形態による車両4の逆走の判断方法の例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、必要に応じて車両4aおよび車両4bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、車両4aおよび車両4bを特に区別する必要が無い場合には、単に車両4と称する。
【0018】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.情報処理システムの構成
2.第1の実施形態
3.第2の実施形態
4.変形例
【0019】
<<1.情報処理システムの構成>>
<1−1.背景>
まず、本発明の特徴を明確に示すために、本発明を創作するに至った背景について説明する。従来、高速道路や自動車専用道路の本線上やインターチェンジにおいて、ドライバーの誤認などにより逆走が発生している。また、逆走車両が、正しく走行している順走車両と例えば正面衝突するなど、順走車両が巻き込まれる事故も発生している。
【0020】
従来、逆走車両による事故を防止する方法として、正しい進行方向をドライバーに認識させるように、例えば進入禁止を示す標識や電光掲示板がインターチェンジやサービスエリアなどに設置されている。また、車両が逆走している場合に、ドライバーに逆走を通知する車載装置や道路上の情報板も設置されている。また、順走車両のドライバーへ前方に逆走車両がいることを示す情報板の設置が進められている。しかしながら、従来の方法では、逆走車両の誤検知率が高い。また、従来の方法では、検知率を低下させるためにはシステム構成が高価になってしまうという問題があった。
【0021】
そこで、上記事情を一着眼点にして、本発明の各実施形態による路側機10を創作するに至った。後述するように、各実施形態による路側機10は、順走車両に対して所定の通信サービスを提供しつつ、車両が逆走しているか否かを適切に判断することができる。ここで、所定の通信サービスは、例えば、DSRC(Dedicated Short Range Communications)(狭帯域通信)のアプリケーションサービスである。
【0022】
以下、このような各実施形態について順次詳細に説明を行う。なお、以下では、第1の実施形態による路側機10‐1、および、第2の実施形態による路側機10‐2を総称して路側機10と称する場合がある。
【0023】
<1−2.基本構成>
まず、本発明の各実施形態に共通する情報処理システムの構成について説明する。図1は、各実施形態に共通する情報処理システムの構成例を示した説明図である。図1に示すように、当該情報処理システムは、路側機10、サーバ20、および、通信網22を含む。
【0024】
{1−2−1.路側機10}
路側機10は、本発明における情報処理装置の一例である。図1に示したように、路側機10は、道路2の近辺(例えば道路2の路側帯など)に設置され得る。路側機10は、道路2を走行する車両4に搭載されたDSRC車載器に対して、電波を使用して、DSRCのアプリケーションサービスを提供するための装置である。
【0025】
例えば、図2に示したように、道路2の近辺に設置された支柱90に路側機10は設置される。また、図2に示したように、路側機10は、順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132を含む。図2に示したように、順走車両用アンテナ120は第1の方向を向いており、かつ、逆走車両用アンテナ132は、道路2に直交する面8に対して当該第1の方向と略対称である第2の方向に向けられている。また、図1および図2に示したように、順走車両用アンテナ120は、道路2上に順走車両用DSRC通信エリア30を形成する。また、逆走車両用アンテナ132は、道路2上に逆走車両用DSRC通信エリア32を形成する。ここで、路側機10は、順走車両用DSRC通信エリア30内を走行する車両4に対してDSRCサービスを提供し得る。例えば、路側機10は、DSRCサービスのリンク接続用のダウンリンク信号に対応する電波を順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132に定期的に送信させる。これにより、順走車両用DSRC通信エリア30または逆走車両用DSRC通信エリア32内に車両4が進入すると、車両4は、当該電波を受信し、そして、当該リンク接続用のアップリンク信号に対応する電波を路側機10に対して送信し得る。
【0026】
なお、順走車両用DSRC通信エリア30または逆走車両用DSRC通信エリア32において、路側機10と車両4との間でパケット送受信が複数回実施されることにより、路側機10と車両4との間でリンク接続が成立し得る。同様に、リンク接続した車両4と路側機10‐1との間でパケット送受信が複数回実施されることにより、当該車両4に対してDSRCサービスが提供され得る。
【0027】
また、詳細については後述するが、路側機10は、逆走車両用DSRC通信エリア32を走行する車両4から受信される電波に基づいて、車両4が逆走しているか否かを判断することが可能である。
【0028】
また、路側機10は、通信網22を介してサーバ20と通信することが可能である。例えば、路側機10は、逆走車両の検出結果(例えば、逆走車両の車両IDなど)をサーバ20へ送信する。
【0029】
{1−2−2.サーバ20}
サーバ20は、例えば道路会社が管理する装置である。サーバ20は、所定のエリア(例えば道路会社が管理するエリアなど)内の道路2に設置されている全ての路側機10を管理する。例えば、ある路側機10aが逆走車両の存在を検出した場合には、サーバ20は、路側機10aよりも後方に位置する別の路側機10bに対して、逆走車両の存在を示す情報を走行中の車両4に対して(DSRCサービスの一部として)提供させる。
【0030】
{1−2−3.通信網22}
通信網22は、通信網22に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、通信網22は、電話回線網、インターネット、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、通信網22は、IP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0031】
<<2.第1の実施形態>>
以上、各実施形態に共通する情報処理システムの構成について説明した。次に、本発明の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態による路側機10‐1は、順走車両と逆走車両とを区別することなく、DSRCサービスを提供する。また、後述するように、路側機10‐1は、逆走車両用DSRC通信エリア32内を走行する車両4から受信される電波の到来方向の推移に基づいて、車両4の進行方向を特定することにより、車両4が逆走しているか否かを判断することが可能である。
【0032】
<2−1.構成>
図3は、第1の実施形態による路側機10‐1の構成例を示した機能ブロック図である。図3に示したように、路側機10‐1は、順走車両向け路側機12−1、および、AoA推定装置14−1を含む。また、順走車両向け路側機12−1は、順走車両用アンテナ120、結合器122、送受信切替スイッチ124、送信部126、受信部128、制御部130、および、逆走車両用アンテナ132を含む。また、AoA推定装置14−1は、逆走検知用AoAアンテナ140、AoA受信部142、AoA推定部144、および、判断部146を含む。
【0033】
{2−1−1.順走車両用アンテナ120、逆走車両用アンテナ132}
順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132は、後述する送信部126の制御により、電波を送信(放射)する。
【0034】
{2−1−2.結合器122}
結合器122は、順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132を、送受信切替スイッチ124と結合する。
【0035】
{2−1−3.送受信切替スイッチ124}
送受信切替スイッチ124は、路側機10‐1による電波の送信と受信とを切り替えるためのスイッチである。具体的には、送受信切替スイッチ124は、順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132に対する(送信部126による)電波の送信指示の出力と、順走車両用アンテナ120または逆走車両用アンテナ132により受信された電波の受信部128への出力とを切り替える。なお、送受信切替スイッチ124の代わりに、デュプレクサが用いられてもよい。
【0036】
{2−1−4.送信部126}
送信部126は、本発明における送受信部の一例である。送信部126は、制御部130の制御に従って、電波を順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132に送信させる。例えば、送信部126は、制御部130の制御に従って、所定の信号を変調することにより、当該所定の信号に対応する電波を順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132に送信させる。ここで、所定の信号は、例えば、DSRCサービスのリンク接続用のダウンリンク信号や、DSRCサービスの通信用のダウンリンク信号などである。
【0037】
{2−1−5.受信部128}
受信部128は、本発明における送受信部の一例である。受信部128は、順走車両用アンテナ120または逆走車両用アンテナ132により受信された電波を順走車両用アンテナ120または逆走車両用アンテナ132を介して受信する。また、受信部128は、受信した電波を復調することにより、当該電波に対応する信号(例えばパケットデータ)を取得する。例えば、車両4から送信された、DSRCサービスのリンク接続用のアップリンク信号に対応する電波が順走車両用アンテナ120もしくは逆走車両用アンテナ132により受信された場合には、受信部128は、当該電波を復調することにより当該アップリンク信号を取得する。なお、当該アップリンク信号は、該当の車両4の車両IDを含む。
【0038】
{2−1−6.制御部130}
制御部130は、車両4に対するDSRCサービスのリンク接続に関する処理や、リンク接続された車両4に対するDSRCサービスの通信に関する処理を行う。例えば、制御部130は、所定の時間間隔で、DSRCサービスのリンク接続用のダウンリンク信号を送信部126に送信させる。また、リンク接続用のアップリンク信号が受信部128により受信(取得)された場合には、制御部130は、当該アップリンク信号の送信元の車両4とのリンク接続に関する処理を行う。また、制御部130は、リンク接続が完了した車両4に対してDSRCサービスの情報を送信部126に送信させる。
【0039】
また、制御部130は、車両4から受信されたアップリンク信号に含まれる情報(車両IDなど)をAoA推定部144へ送信する。
【0040】
{2−1−7.逆走検知用AoAアンテナ140}
逆走検知用AoAアンテナ140は、本発明における逆走検知用アンテナの一例である。逆走検知用AoAアンテナ140は、複数のアンテナ素子から構成され得る。逆走検知用AoAアンテナ140は、逆走車両用DSRC通信エリア32内に位置する車両4により送信される電波を受信する。
【0041】
{2−1−8.AoA受信部142}
AoA受信部142は、逆走検知用AoAアンテナ140により受信された電波を逆走検知用AoAアンテナ140を介して受信する。
【0042】
{2−1−9.AoA推定部144}
AoA推定部144は、本発明における第1判断部の一例である。AoA推定部144は、逆走検知用AoAアンテナ140により受信された電波の到来方向を推定する。また、AoA推定部144は、当該電波に関して制御部130から受信される情報(当該電波から得られた車両IDなど)と、推定した電波の到来方向とを対応付ける。
【0043】
{2−1−10.判断部146}
(2−1−10−1.逆走の判断)
判断部146は、本発明における第1判断部の一例である。判断部146は、AoA推定部144により推定された電波の到来方向に基づいて車両4の進行方向を特定し、そして、特定した進行方向に基づいて車両4が道路2を逆走しているか否かを判断する。例えば、判断部146は、車両IDごとに、当該車両IDに対応する車両4から送信された電波が第1のタイミングにおいて逆走検知用AoAアンテナ140により受信された際の当該電波の到来方向の推定結果と、当該第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて、当該車両4から送信された電波が逆走検知用AoAアンテナ140により受信された際の当該電波の到来方向の推定結果との差分に基づいて、当該車両4の進行方向を特定する。一例として、判断部146は、車両IDごとに、当該車両IDに対応する車両4から送信された電波が逆走検知用AoAアンテナ140により受信される度の、当該電波の到来方向の推定結果の推移に基づいて、当該車両4の進行方向を特定する。
【0044】
ここで、図4を参照して上記の機能についてより詳細に説明する。図4は、判断部146による車両4の逆走の判断方法の例を示した説明図である。図4では、時刻tにおいて逆走検知用AoAアンテナ140により車両4bから受信された電波の到来方向の推定結果がθ(t)であり、かつ、時刻t+1において逆走検知用AoAアンテナ140により車両4bから受信された電波の到来方向の推定結果がθ(t+1)である例を示している。つまり、車両4bが路側機10‐1へ電波を発信する時間間隔と車両速度とに応じて、時刻tと時刻t+1とでは車両4bの走行位置は変化し、そして、電波の到来方向の推定結果(角度)がθ(t)からθ(t+1)へと変化した例を示している。
【0045】
この場合、判断部146は、θ(t+1)とθ(t)との差分が、図4に示した反時計回りの角度であることが特定された場合には、車両4が逆走していると判断する。
【0046】
なお、図4では、電波の到来方向に関して水平方向の角度の推移を用いて、判断部146が車両4の逆走を判断する例を示したが、かかる例に限定されず、垂直方向の角度の推移を用いて車両4の逆走を判断してもよい。または、判断部146は、水平方向の角度の推移と垂直方向の角度の推移とを組み合わせて、車両4が逆走しているか否かを判断してもよい。
【0047】
‐変形例
なお、順走車両4aが順走車両用DSRC通信エリア30を通過後、逆走車両用DSRC通信エリア32内に入ることも考えられる。この場合、逆走車両用アンテナ132により送信される、リンク接続用のダウンリンク信号に対応する電波を順走車両4aが受信し、そして、順走車両4aは、リンク接続用のアップリンク信号に対応する電波を路側機10に対して再度送信してしまうことも考えられる。
【0048】
そこで、変形例として、判断部146は、例えば該当の路側機10が記憶している、DSRCサービスの提供が終了した車両IDのリストと、逆走車両用アンテナ132により受信される電波から取得される車両IDとを比較することにより、順走車両用DSRC通信エリア30を通過した順走車両4aに関しては、逆走の判定処理が不要であると判断してもよい。より具体的には、該当の順走車両4aから受信されたアップリンク信号に含まれる車両IDが当該車両IDのリストに含まれる場合には、判断部146は、当該順走車両4aに関しては、逆走の判定処理が不要であると判断してもよい。
【0049】
(2−1−10−2.判断結果の送信)
また、判断部146は、車両4が逆走していると判断した場合には、判断結果をサーバ20へ送信する。ここで、判断結果は、例えば該当の車両4の車両IDなどを含む。
【0050】
なお、第1の実施形態による構成は、前述した例に限定されない。例えば、送信部126および受信部128は一体的に構成されてもよい。また、AoA推定部144および判断部146は一体的に構成されてもよい。
【0051】
<2−2.処理の流れ>
以上、第1の実施形態による構成について説明した。続いて、第1の実施形態による処理の流れについて説明する。図5および図6は、第1の実施形態による処理の流れの一例を示したシーケンス図である。なお、以下では、車両4が逆走車両用DSRC通信エリア32内に位置する場合の処理の流れの例について説明する。
【0052】
図5に示したように、まず、順走車両向け路側機12−1の送信部126は、制御部130の制御に従って、所定の時間間隔で、DSRCサービス用のダウンリンク信号に対応する電波を順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132に送信させる(S101)。
【0053】
その後、車両4は、DSRCサービス用のアップリンク信号に対応する電波を送信する。そして、順走車両向け路側機12−1の逆走車両用アンテナ132、および、AoA推定装置14‐1の逆走検知用AoAアンテナ140は、当該電波を受信する(S103)。
【0054】
その後、受信部128は、逆走車両用アンテナ132により受信された電波を復調することにより、当該電波に対応する受信パケットデータ(信号)を取得する(S105)。そして、制御部130は、当該受信パケットデータをAoA推定装置14‐1へ送信する(S107)。
【0055】
また、AoA推定装置14‐1のAoA推定部144は、S103において逆走検知用AoAアンテナ140により受信された電波の到来方向を推定する(S109)。その後、判断部146は、推定した到来方向と、S107で受信された受信パケットデータとを対応付けて保持する(S111)。
【0056】
その後、図5に示したように、上記のS101〜S111と同様の処理が少なくとも一回繰り返される(S113〜S123)。
【0057】
ここで、図6を参照して、S123より後の処理の流れについて説明する。図6に示したように、AoA推定装置14‐1の判断部146は、S109で推定された電波の到来方向と、S121で推定された電波の到来方向との差分(推移)に基づいて、車両4の進行方向を特定する(S131)。
【0058】
続いて、判断部146は、特定した進行方向に基づいて車両4が道路2を逆走しているか否かを判断する(S133)。順走していると判断された場合には(S135:No)、当該処理の流れは終了する。
【0059】
一方、逆走していると判断された場合には(S135:Yes)、判断部146は、判断結果をサーバ20へ送信する(S137)。そして、当該処理の流れは終了する。
【0060】
<2−3.効果>
{2−3−1.効果1}
以上説明したように、第1の実施形態による路側機10‐1は、DSRCサービスの通信のための第1の電波を順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132に送信させ、そして、車両4から送信される、当該第1の電波に対応する第2の電波の、逆走検知用AoAアンテナ140による受信に基づいて当該第2の電波の到来方向を推定し、かつ、推定した到来方向に基づいて車両4の進行方向を特定することにより、車両4が逆走しているか否かを判断する。このため、順走車両4に対してDSRCサービスを提供しつつ、車両4が逆走しているか否かを適切に判断することができる。例えば、路側機10‐1は、順走車両向けのDSRCサービスを停止することなく、順走車両向けのDSRCサービス用の通信波を使用して、逆走車両用DSRC通信エリア32において車両4が逆走しているか否かを検知することができる。
【0061】
{2−3−2.効果2}
また、第1の実施形態によれば、順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132は、同一の送受信機能(送信部126、受信部128など)を共有する。また、順走車両向け路側機12−1とAoA推定装置14‐1とを同じ支柱90に設置可能である。例えば、順走車両向けのDSRCサービスの提供と、逆走車両の検知とを一体の装置で実現することができる。従って、低価格、かつ、一つの周波数チャネルのみで逆走検知を実現することができる。
【0062】
<<3.第2の実施形態>>
以上、第1の実施形態について説明した。次に、本発明の第2の実施形態について説明する。後述するように、第2の実施形態による路側機10‐2は、逆走車両の判定用の電波の受信回数を増やすことができるので、逆走車両の検知の精度を向上させることができる。なお、以下では、第1の実施形態と異なる内容についてのみ説明を行い、同一の内容については説明を省略する。
【0063】
<3−1.構成>
まず、第2の実施形態による路側機10‐2の構成について説明する。図7は、第2の実施形態による路側機10‐2の構成例を示した機能ブロック図である。図7に示したように、路側機10‐2は、順走車両向け路側機12−2、および、AoA推定装置14−2を含む。ここで、順走車両向け路側機12−2は、第1の実施形態による順走車両向け路側機12−1と比較して、逆走車両二次判断部134をさらに含む。また、AoA推定装置14−2は、第1の実施形態によるAoA推定装置14−1と比較して、DSRC受信部148をさらに含む。
【0064】
{3−1−1.結合器122}
第2の実施形態による結合器122は、送受信切替スイッチ124および逆走車両用アンテナ132を送信部126と結合する。
【0065】
{3−1−2.受信部128}
第2の実施形態による受信部128は、順走車両用アンテナ120のみに接続され、逆走車両用アンテナ132とは接続されない。つまり、受信部128は、順走車両用DSRC通信エリア30内を走行する車両4から送信される電波のみを受信し、逆走車両用DSRC通信エリア32内を走行する車両4から送信される電波は受信しない。これにより、逆走車両(の車載器)が、DSRCサービスのリンク接続のアクティベーション用のアップリンク信号を送信しても、当該アップリンク信号は、順走車両向け路側機12‐2に受信されない。このため、逆走車両は、当該アップリンク信号を、路側機12−2内に設定されている再送回数(上限回数)まで送信し続けることになる。ここで、当該再送回数として、順走車両用のDSRCサービスの通信における送信回数よりも大きい数が予め設定され得る。従って、例えば第1の実施形態と比較して、逆走車両の判定用の電波の受信回数(サンプル数)を増やすことができる。
【0066】
{3−1−3.送信部126}
第2の実施形態による送信部126は、DSRCサービスのリンク接続用のダウンリンク信号に対応する電波のみを逆走車両用アンテナ132に送信させる。
【0067】
{3−1−4.制御部130}
第2の実施形態による制御部130は、受信部128から伝達される信号(例えばパケットデータ)に含まれる車両IDを逆走車両二次判断部134へ出力する。つまり、制御部130は、順走車両用DSRC通信エリア30内を走行する車両4から受信された電波から得られる車両IDを逆走車両二次判断部134へ出力する。
【0068】
{3−1−5.逆走車両二次判断部134}
(3−1−5−1.逆走車両の判断)
逆走車両二次判断部134は、本発明における第2判断部の一例である。逆走車両二次判断部134は、AoA推定装置14‐2の判断部146から受信される逆走車両の判断結果と、制御部130から伝達された車両IDのリストとに基づいて、当該判断結果が示す車両4が逆走しているか否かを(二次的に)判断する。より具体的には、当該判断結果が示す車両IDが、制御部130から伝達された車両IDのリストに含まれていない場合には、当該判断結果が示す車両4が逆走していると判断する。つまり、逆走車両二次判断部134は、AoA推定装置14‐2により逆走していると判断され、かつ、順走車両向けDSRCサービスのリンク接続が未完了である車両4を、逆走車両と判断する。
【0069】
なお、第1の実施形態でも説明したように、順走車両4aが順走車両用DSRC通信エリア30を通過後、逆走車両用DSRC通信エリア32内に入ることも考えられる。この場合、第2の実施形態では、まず、AoA推定装置14‐2の判断部146が、当該順走車両4aの進行方向を特定することにより、順走していると判断することが可能である。そして、仮に、判断部146が、順走車両4aを逆走車両と誤検知した場合であっても、逆走車両二次判断部134は、制御部130から伝達された車両IDのリストと、判断部146から伝達される当該順走車両4aの車両IDとを比較することにより、判断部146による判断結果を取り消すことが可能である。
【0070】
(3−1−5−2.判断結果の送信)
また、逆走車両二次判断部134は、逆走していると判断した車両4の車両IDをサーバ20へ送信する。
【0071】
{3−1−6.DSRC受信部148}
DSRC受信部148は、逆走検知用AoAアンテナ140により受信された電波を逆走検知用AoAアンテナ140を介して受信する。また、DSRC受信部148は、受信した電波を復調することにより、当該電波に対応する信号(例えばパケットデータ)を取得する。さらに、DSRC受信部148は、取得した信号に含まれる車両IDをAoA推定部144へ伝達する。
【0072】
{3−1−7.AoA推定部144}
第2の実施形態によるAoA推定部144は、推定した電波の到来方向と、DSRC受信部148から伝達された車両IDとを対応付ける。
【0073】
{3−1−8.判断部146}
第2の実施形態による判断部146は、車両が逆走していると判断した場合に、判断結果を順走車両向け路側機12‐2(逆走車両二次判断部134)へ送信する。
【0074】
<3−2.処理の流れ>
以上、第2の実施形態による構成について説明した。続いて、第2の実施形態による処理の流れについて説明する。図8および図9は、第2の実施形態による処理の流れの一例を示したシーケンス図である。なお、以下では、車両4が逆走車両用DSRC通信エリア32内に位置する場合の処理の流れの例について説明する。
【0075】
図8に示したように、まず、順走車両向け路側機12−2の送信部126は、制御部130の制御に従って、所定の時間間隔で、DSRCサービスのリンク接続用のダウンリンク信号に対応する電波を順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132に送信させる(S201)。
【0076】
その後、車両4は、DSRCサービスのリンク接続用のアップリンク信号に対応する電波を送信する。そして、AoA推定装置14‐2の逆走検知用AoAアンテナ140は、当該電波を受信する。なお、前述したように、順走車両向け路側機12−2は、当該アップリンク信号に対応する電波を受信しない(S203)。
【0077】
その後、AoA推定装置14‐2のDSRC受信部148は、S203において逆走検知用AoAアンテナ140により受信された電波を復調することにより、当該電波に対応する受信パケットデータ(信号)を取得する(S205)。
【0078】
続いて、AoA推定部144は、S203において逆走検知用AoAアンテナ140により受信された電波の到来方向を推定する(S207)。その後、判断部146は、推定した到来方向と、S205で取得された受信パケットデータとを対応付けて保持する(S209)。
【0079】
その後、図8に示したように、上記のS201〜S209と同様の処理が少なくとも一回繰り返される(S211〜S219)。例えば、路側機12−2内に設定されている再送回数(上限回数)を上限として、S201〜S209と同様の処理が少なくとも一回繰り返される。
【0080】
ここで、図9を参照して、S219より後の処理の流れについて説明する。図9に示したように、AoA推定装置14‐2の判断部146は、S207で推定された電波の到来方向と、S217で推定された電波の到来方向との差分(推移)に基づいて、車両4の進行方向を特定する(S221)。
【0081】
続いて、判断部146は、特定した進行方向に基づいて車両4が道路2を逆走しているか否かを判断する(S223)。順走していると判断された場合には(S225:No)、当該処理の流れは終了する。
【0082】
一方、逆走していると判断された場合には(S225:Yes)、判断部146は、判断結果を順走車両向け路側機12‐2へ送信する(S227)。
【0083】
その後、順走車両向け路側機12‐2の逆走車両二次判断部134は、S227で受信された判断結果に含まれる車両IDが、順走車両向けDSRCサービスのリンク接続が完了した車両IDのいずれかと一致するか否かを判断する(S229)。S227で受信された車両IDが、順走車両向けDSRCサービスのリンク接続が完了した車両IDのいずれかと一致する場合には(S229:Yes)、逆走車両二次判断部134は、該当の車両4(つまり、S227で受信された車両IDに対応する車両4)が順走していると判断する。つまり、逆走車両二次判断部134は、AoA推定装置14‐2による判断結果を取り消す(S231)。そして、当該処理の流れは終了する
【0084】
一方、S227で受信された車両IDが、順走車両向けDSRCサービスのリンク接続が完了した車両IDのいずれとも一致しない場合には(S229:No)、逆走車両二次判断部134は、該当の車両4(つまりS227で受信された車両IDに対応する車両4)が逆走していると判断する(S233)。そして、逆走車両二次判断部134は、該当の車両IDなどを含む判断結果をサーバ20へ送信する(S235)。そして、当該処理の流れは終了する。
【0085】
<3−3.効果>
{3−3−1.効果1}
以上説明したように、第2の実施形態による路側機10‐2は、DSRCサービスに関するリンク接続のためのダウンリンク信号に対応する第1の電波を順走車両用アンテナ120および逆走車両用アンテナ132に送信させ、そして、逆走車両用DSRC通信エリア32を走行する車両4から送信される、当該リンク接続のためのアップリンク信号に対応する第2の電波を受信してもリンク接続を行わない。このため、逆走車両用DSRC通信エリア32を走行する車両4は、当該第2の電波を再送し続けるので、例えば図10に示したように、逆走車両の検知エリア34をより広く確保することができ、かつ、逆走車両の判定用の電波の受信回数(サンプル数)を増加させることができる。従って、逆走車両の判定の精度を向上させることができる。
【0086】
{3−3−2.効果2}
また、路側機10‐2は、順走車両向けDSRCサービスのリンク接続が完了した車両IDのリストと、AoA推定装置14‐2(判断部146)で逆走車両と判断された車両IDとを比較することにより、車両4が逆走しているか否かを二次的に判断する。このため、順走している車両を逆走車両であるとAoA推定装置14‐2が誤検知した場合であっても当該検知結果を取り消すことができるので、逆走車両の誤検知率を低下させることができる。
【0087】
<<4.変形例>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0088】
例えば、前述した各実施形態では、本発明における逆走検知用アンテナがAoAアンテナ(逆走検知用AoAアンテナ140)である例について説明したが、かかる例に限定されず、方位推定可能な別のアンテナであってもよい。例えば、アンテナのビームを変更する機械走査方式、ビーム切替方式、または、フェーズドアレイアンテナなどが当該逆走検知用アンテナとして用いられてもよい。
【0089】
また、前述した処理の流れにおける各ステップは、必ずしも記載された順序に沿って処理されなくてもよい。例えば、各ステップは、適宜順序が変更されて処理されてもよい。また、各ステップは、時系列的に処理される代わりに、一部並列的に又は個別的に処理されてもよい。また、記載されたステップのうちの一部が省略されたり、または、別のステップがさらに追加されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
4 車両
10‐1、10‐2 路側機
12‐1、12‐2 順走車両向け路側機
14‐1、14‐2 AoA推定装置
20 サーバ
22 通信網
120 順走車両用アンテナ
122 結合器
124 送受信切替スイッチ
126 送信部
128 受信部
130 制御部
132 逆走車両用アンテナ
134 逆走車両二次判断部
140 逆走検知用AoAアンテナ
142 AoA受信部
144 AoA推定部
146 判断部
148 DSRC受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10