(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガス導入ステップは、前記第1室の圧力をP1、前記第2室の圧力をP2、EFEMの設置環境の圧力をP3とした場合、P1>P2>P3となった状態から開始されることを特徴とする請求項10に記載のEFEMのガス置換方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、EFEMの内部の清浄度を更に向上させるため、EFEMに窒素等の不活性ガスを導入するものが提案されている。このようなEFEMでは、ミニエンバイロメント内が窒素等の不活性ガス雰囲気となるため、酸化等からウエハを効果的に保護することができる。
【0005】
しかしながら、窒素を導入するEFEMは、メンテナンス等で内部を大気環境にする必要が生じた場合、再度内部を窒素ガスで置換する必要がある。このようなEFEMでは、メンテナンスから復帰する際に、EFEMの内部を窒素に置換するための時間を要するが、半導体工場における装置の休止時間を短縮し、生産効率を向上させるために、ガス置換に要する時間を短縮することが求められている。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、内部の環境を、ガスで満たされた環境に効率的に置換できるEFEM及びEFEMのガス置換方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るEFEMは、
置換ガスを導入するガス導入部と、
前記ガス導入部から前記置換ガスが流入する流入口を備える第1室と、
前記第1室の下方に接続しており、ウエハを搬送する搬送ロボットが設けられる第2室と、
前記第1室と前記第2室との間で循環気流を発生させる気流形成部と、
前記第2室から前記第2室の気体を排出する気体排出部と、を有しており、
前記第2室は、前記循環気流における下降気流が生じる第2進行領域と、前記循環気流における上昇気流が生じる第2戻り領域と、を有しており、
前記第1室は、前記第2進行領域の上方に接続する第1進行領域と、前記第2戻り領域の上方に接続する第1戻り領域と、を有しており、
前記第1進行領域と前記第2進行領域との接続位置である進行接続位置には、前記進行接続位置における通気を制限できる進行通気制限部が設けられており、
前記第1戻り領域と前記第2戻り領域との接続位置である戻り接続位置には、前記戻り接続位置における通気を制限できる戻り通気制限部が設けられている。
【0008】
本発明に係るEFEMでは、循環型のEFEMにおいて、第1室と第2室とを接続する2つの接続部である進行接続位置と戻り接続位置のいずれにも、通気を制限できる進行通気制限部と戻り通気制限部が設けられているため、置換ガスを導入する際に、第1室と第2室との間に圧力差を発生させ、第1室の圧力を第2室の圧力より高くすることができる。このようなEFEMでは、従来のEFEMに比べて、短時間で第2室を置換ガスに置換することができる。
【0009】
また、例えば、前記気体排出部は、前記第2戻り領域の上部から、前記第2室の前記気体を排出してもよい。
【0010】
このようなEFEMでは、第2室の気体が、第2室における第2進行領域を下降して、かつ、第2戻り領域を上昇して、第2戻り領域の上部から排出されることにより、第2室を置換ガスに置換することができる。
【0011】
また、例えば、前記進行通気制限部は、第1の通気抵抗を有する第1通気抵抗部材を有してもよく、
前記戻り通気制限部は、前記戻り接続位置における通気の遮断および連絡を切り換え可能なシャッターを有してもよい。
【0012】
このようなEFEMは、第2室の気体を置換ガスに置換する際、戻り接続位置ではシャッターが通気を遮断し、進行接続位置では第1通気抵抗部材を置換ガスが通過して第1室から第2室へ流入するため、第1室の圧力が第2室の圧力より高くなる。また、第2室を置換ガスに置換したのち、戻り通気制限部のシャッターを開いて通気を連絡することにより、第1室と第2室の間で置換ガスを循環させることができる。
【0013】
また、例えば、前記進行通気制限部は、第1の通気抵抗を有する第1通気抵抗部材を有してもよく、
前記戻り通気制限部は、第2の通気抵抗を有する第2通気抵抗部材を有してもよい。
【0014】
このようなEFEMは、第2室の気体を置換ガスに置換する際、戻り接続位置では第2通気抵抗部材が通気を制限し、進行接続位置では置換ガスが第1通気抵抗部材を通過して第1室から第2室へ流入することにより、第1室の圧力が第2室の圧力より高くなる。また、第2室を置換ガスに置換したのち、気体排出部による気体の排出を停止または減少させることにより、第1室と第2室の間で置換ガスを循環させることができる。
【0015】
また、例えば、前記第1の通気抵抗と、前記第2の通気抵抗とは、いずれか一方が他方より高くてもよい。
【0016】
第1の通気抵抗と第2の通気抵抗とが異なることにより、第2室の気体を効率的に気体排出部へ導くように調整し、第2室を置換ガスに置換することができる。また、ガス置換中に、第2室の気体が第1室へ流入することを制限することができる。
【0017】
また、たとえば、前記進行通気制限部は、第1の通気抵抗を有する第1通気抵抗部材を有してもよく
前記戻り通気制限部は、前記戻り接続位置の通気抵抗を可変とする可変通気抵抗部材を有してもよい。
【0018】
このようなEFEMは、ガス置換時には、可変通気抵抗部が、戻り接続位置の通気抵抗を高くすることにより、第1室の圧力を効率的に上昇させることができる。また、第2室を置換ガスに置換したのちは、可変通気抵抗部が、戻り接続位置の通気抵抗を低くすることにより、第1室と第2室の間で置換ガスを効率的に循環させることができる。また、ガス置換時において、進行接続位置では置換ガスが第1通気抵抗部材を通過して第1室から第2室へ流入することにより、第1室の圧力が第2室の圧力より高くなる。
【0019】
また、例えば、前記気体排出部は、前記第2室の下部から、前記第2室の前記気体を排出してもよい。
【0020】
このようなEFEMでは、第2室の気体が、第2室における第2進行領域及び第2戻り領域を下降して、前記第2室の下部から排出されることにより、第2室を置換ガスに置換することができる。
【0021】
また、例えば、前記進行通気制限部は、第1の通気抵抗を有する第1通気抵抗部材を有していてもよく
前記戻り通気制限部は、第2の通気抵抗を有する第2通気抵抗部材を有していてもよく、
前記第1の通気抵抗と、前記第2の通気抵抗とは等しくてもよい。
【0022】
このようなEFEMは、第2室の気体を置換ガスに置換する際、進行接続位置及び戻り接続位置で、置換ガスが第1通気抵抗部材及び第2通気抵抗部材を通過して第1室から第2室へ流入することにより、第1室の圧力が第2室の圧力より高くなる。また、第2室を置換ガスに置換したのち、気体排出部による気体の排出を停止または減少させることにより、第1室と第2室の間で置換ガスを循環させることができる。
【0023】
また、本発明に係るEFEMのガス置換方法では、
ガス導入部から流入口を介して第1室に置換ガスを導入するステップと、
前記第1室の下方に接続しておりウエハを搬送する搬送ロボットが設けられる第2進行領域と、前記第1室の下方に接続しており前記第2進行領域に対して互いの下部を繋ぐ下部連通部を介して連通する第2戻り領域と、を有する第2室に、前記置換ガスを導入するガス導入ステップと、
気体排出部を介して前記第2室から前記第2室の気体を排出するステップと、
を有するEFEMのガス置換方法であって、
前記ガス導入ステップでは、前記第1室の圧力が、前記第2室の圧力より高くなることを特徴とする。
【0024】
このようなEFEMのガス置換方法によれば、従来のEFEMに比べて、短時間で第2室を置換ガスに置換することができる。
【0025】
また、たとえば、前記ガス導入ステップでは、前記第2室の前記気体は、前記第2室における前記第2進行領域を下降して、かつ、前記第2戻り領域を上昇して、前記第2戻り領域の上部から排出されてもよい。
また、たとえば、前記ガス導入ステップでは、前記第2室の前記気体は、前記第2室における第2進行領域及び第2戻り領域を下降して、前記第2室の下部から排出されてもよい。
【0026】
このようなガス置換方法により、第2室の気体の全体を効率的に置換ガスに置換することができる。
【0027】
また、例えば、前記ガス導入ステップは、前記第1室の圧力をP1、前記第2室の圧力をP2、EFEMの設置環境の圧力をP3とした場合、P1>P2>P3となった状態から開始されてもよい。
【0028】
このようなガス導入ステップを有するEFEMのガス置換方法では、従来のEFEMに比べて、短時間で第2室を置換ガスに置換することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るEFEM50の概略図であり、EFEM50(イーフェム、Equipment Front End Module)は、半導体工場において、ウエハ12を搬送するウエハ搬送容器であるフープ20と、ウエハ12に対して処理を行う処理室(不図示)との間で、ウエハ12を搬送するために用いられる装置である。
図1に示すように、EFEM50は、ミニエンバイロメントと呼ばれる清浄空間を内部に形成する第2室64を有しており、フープ20に収納されたウエハ12は、第2室64を通って処理室に搬送される。
【0031】
図1における矢印は、EFEM50の循環気流の形成状態を表したものである。本実施形態に係るEFEM50では、第2室64の上方(第2室64を1階部分とすれば2階部分)に設けられた第1室54を介して、第2室64に置換ガスとしての窒素ガスが導入され、第1室54及び第2室64内の空気が窒素ガスに置換される。第1室54及び第2室64に導入された窒素ガスは、
図1において矢印で示されるように、第1室54と第2室64との間を循環する循環気流を形成する。フープ20と処理室との間のウエハ12の搬送は、第1室54及び第2室64を窒素ガスで置換し、第1室54と第2室64とを循環する窒素ガスの循環気流を形成した状態で行われる。なお、EFEM50における窒素ガスの置換および循環気流の形成については、後ほど詳述する。
【0032】
EFEM50は、第1室54及び第2室64の他に、ガス導入部52、気流形成部60、気体排出部68、第1通気抵抗部材73、シャッター75、ロードポート装置80、搬送ロボット90等を有する。
【0033】
ロードポート装置80は、第2室64の壁部に設けられている。ロードポート装置80は、フープ20の内部とEFEM50の第2室64とを接続するための装置であり、フープ20を載置する載置台84や、第2室64の壁部に形成された開口を開閉するドア86等を有している。
【0034】
ロードポート装置80の載置台84には、工場内に備えられるOHT(Overhead Hoist Transfer)等を介して、内部にウエハ12を収納したフープ20が運ばれる。ロードポート装置80は、フープ20の主開口20aを、第2室64に形成された開口に接続し、フープ20の主開口20aを塞ぐ蓋24とドア86とを連結した後、蓋24とドア86とを第2室64内に移動させる。このようにして、ロードポート装置80は、フープ20の主開口20aを開放し、フープ20と第2室64とを連通させることができる。
【0035】
EFEM50のガス導入部52は、第1室54の天井部に設けられている。
図2に示すように、ガス導入部52は、置換ガスである窒素ガスを、第1室54に導入する。ガス導入部52には、導入流路51を介して、不図示の窒素ガスタンク等から、窒素ガスが供給される。なお、置換ガスは、窒素ガス以外の他の不活性ガスであってもよい。また、
図2では、
図1に示すロードポート装置80や搬送ロボット90については、図示を省略している。
【0036】
図2に示すように、第1室54は、第2室64の上部に接続しており、第1室54は、第2室64の直上に配置されている。第1室54は、ガス導入部52から窒素ガスが流入する流入口56を備えており、第1室54には、ガス導入部52から窒素ガスが導入される。
【0037】
第1室54の広さは、特に限定されないが、たとえば、
図2に示す例では、第1室54の高さ方向の長さは、下方にある第2室64より短く、第1室54の上方からの投影面積は、下方にある第2室64と同じである。第1室54の空間を第2室64の空間より狭くすることで、効率的に第1室54の圧力を上昇させることができるとともに、EFEM50のサイズが大きくなることを防止できる。
【0038】
第1室54は、第1室54の圧力を測定する第1圧力計55を備える。第1圧力計55の測定値は、図示しない制御部に伝えられる。
【0039】
図2に示すように、第2室64は、第1室54の下方に接続している。
図1に示すように、第2室64には、ウエハ12を搬送する搬送ロボット90が設けられている。搬送ロボット90は、ウエハ12を搬送する可動アームを有している。搬送ロボット90は、可動アームを用いて、第2室64と連通したフープ20の主開口20aからウエハ12を取り出し、処理室へ搬送する。また、搬送ロボット90は、可動アームを用いて、処理の完了したウエハ12を、処理室からフープ20へ搬送する。
【0040】
第2室64は、第2室64の圧力を測定する第2圧力計65と、第2室64の酸素濃度を測定する酸素濃度計66とを備える。また、第2室64の外壁には、EFEM50の設置環境の圧力P3を測定するための第3圧力計78が設けられている。第2圧力計65、酸素濃度計66及び第3圧力計78の測定値は、図示しない制御部に伝えられる。
【0041】
図1及び
図2に示すように、第2室64は、第2進行領域64aと第2戻り領域64bとを有する。第2進行領域64aと第2戻り領域64bとは、水平方向に並べて配置されており、いずれも第1室54の下方に接続している。第2進行領域64aと第2戻り領域64bとは、第2室64の天井部分から下方に延びる中間壁69によって仕切られている。中間壁69の下方には、第2進行領域64aと第2戻り領域64bの互いの下部を繋ぐ下部連通部67が形成されており、第2戻り領域64bは、第2進行領域64aに対して、下部連通部67を介して連通している。
【0042】
図1に示すように、EFEM50内に循環気流が形成される置換後の状態においては、第2進行領域64aには下降気流が生じ、第2戻り領域64bには上昇気流が生じる。また、第1室54は、第2進行領域64aの上方に接続する第1進行領域54aと、第2戻り領域64bの上方に接続する第1戻り領域54bを有している。
図1において矢印で示されるように、循環気流は、第1進行領域54a、第2進行領域64a、第2戻り領域64b、第1戻り領域54b、第1進行領域54a・・・の順番で、第1室54と第2室64とを循環する。なお、搬送ロボット90は、第2室64における第2進行領域64aに設けられ、第2室64を介してウエハ12の搬送が行われる。
【0043】
図2に示すように、気体排出部68は、第2室64における戻り領域64bの上部に接続している。気体排出部68は、第2戻り領域64bの上部から、第2室64の気体(第1室54から第2室64に流入した気体を含む)を排出することができる。気体排出部68から排出される第2室64内の気体には、置換ガスである窒素ガスと、空気との両方が含まれる。本実施形態に係る気体排出部68は、ファンのような送風手段を有しない自然排気機構であるが、気体排出部68としては、送風手段を有する強制排出機構であってもよい。
【0044】
気体排出部68は、所定の通気抵抗を有する排出部通気抵抗部材を有していてもよい。この場合、第2室64の気体は、排出部通気抵抗部材を通過して排出される。排出部通気抵抗部材の通気抵抗は、後述する第1通気抵抗部材73の通気抵抗である第1の通気抵抗より低いことが好ましい。気体排出部68の排出部通気抵抗部材としては、例えば、繊維質素材フィルタのような繊維質の部材や、焼結体フィルタ、スポンジのような多孔質の部材等が挙げられるが、通気抵抗を生じる他の部材、構造であってもよい。
【0045】
気体排出部68は、気体を排出するための排気流路71に接続している。排気流路71内の圧力は、例えば大気圧と同等程度とすることができるが、第2室64より低圧であればよく、負圧であってもよい。また、気体排出部68は、気体排出部68における通気の遮断及び連絡を切り換え可能な排出部シャッター68aを有している。
図2に示すように、ガス置換時には、排出部シャッター68aが開放され、第2室64の第2戻り領域64bと排気流路71とが連通し、気体排出部68から気体が排出される。これに対して、ガス置換後において、第1室54及び第2室64に循環気流を形成している状態では、
図1に示すように、排出部シャッター68aが閉じられ、第2室64の戻り領域64bと排気流路71との連通が遮断され、気体排出部68からは気体が排出されない。ただし、EFEM50は、第1室54及び第2室64に循環気流を形成している状態であっても、部分的なガス置換や、第2室64の圧力調整等のために、排出部シャッター68aを開放し、気体排出部68から気体を排出することができる。
【0046】
図1に示すように、気流形成部60は、第1進行領域54aと第2進行領域64aとの接続位置である進行接続位置58に設けられている。気流形成部60は、送風ファン61を有しており、第1室54と第2室64との間で循環気流を発生させる。また、気流形成部60は、
図2に示すように、ガス置換時において、第1室54及び第2室64の気体を、気体排出部68から排出させる気流を発生させる。
図2の矢印は、ガス導入部52から導入され、第1進行領域54a、進行接続位置58、第2進行領域64a、第2戻り領域64bを通り、気体排出部68から排出される第1室54及び第2室64の気体並びに置換ガスの流れを表したものである。
図2の矢印が示すように、ガス置換時において、送風ファン61は、第2室64の第2進行領域64aに窒素ガスの下降気流を形成し、第2室64の第2戻り領域64bに窒素ガスの上昇気流を形成することができる。
【0047】
気流形成部60は、送風ファン61単独であってもよく、送風ファン61と他のフィルタとが一体となったファンフィルタユニット(FFU)であってもよい。送風ファン61としては、回転方向に対して傾斜したはねおよびはねを回転するモータを有するものが挙げられるが、特に限定されない。また、送風ファン61とともにファンフィルタユニットを構成するフィルタとしては、たとえばパーティクル除去フィルタとケミカルフィルタとを組み合わせたものが挙げられるが、特に限定されない。
【0048】
なお、実施形態に係るEFEM50において、気流形成部60は、第1室54と第2室64の間の進行接続位置58に配置されているが、気流形成部60の配置はこれのみに限定されず、たとえば第1室54の天井等に配置されていてもよい。
【0049】
図1及び
図2に示すように、EFEM50は、進行接続位置58の通気を制限できる進行通気制限部としての第1通気抵抗部材73を有する。第1通気抵抗部材73と気流形成部60とは、進行接続位置58に上下に並んで設けられている。
図2に示すように、本実施形態のEFEM50では、第1通気抵抗部材73は、気流形成部60の上に配置されているが、第1通気抵抗部材73は、気流形成部60の下に配置されていてもよい。
【0050】
第1通気抵抗部材73は、窒素ガス及び空気を通過させにくくする通気抵抗(第1の通気抵抗)を有する。また、併設される気流形成部60がフィルタのような通気抵抗部材を有する場合は、第1通気抵抗部材73の通気抵抗は、気流形成部60が有する通気抵抗部材の通気抵抗より高いことが好ましい。第1通気抵抗部材73としては、例えば、繊維質素材フィルタのような繊維質の部材や、焼結体フィルタ、スポンジのような多孔質の部材等が挙げられるが、通気抵抗を生じる他の部材、構造であってもよい。
【0051】
本実施形態では、第1通気抵抗部材73は、第1進行領域54aと第2進行領域64aとを接続する接続通路と同様の面積を有するフィルタ状の部材であり、気流形成部60の吸引口を覆うように設けられている。したがって、気流形成部60の送風ファン61が回転することにより、第1室54に導入された窒素ガスは、第1通気抵抗部材73および気流形成部60を通過して、第1進行領域54aから第2進行領域64aへ流入する。
【0052】
図1及び
図2に示すように、EFEM50は、戻り接続位置59の通気を制限できる戻り通気制限部としてのシャッター75を有する。シャッター75は、戻り接続位置59の通気の遮断および連絡を切り換え可能である。
図2に示すように、ガス置換時においては、シャッター75は閉じられており、戻り接続位置59の通気はシャッター75によって遮断される。したがって、ガス置換時は、第1室54に導入された窒素ガスは、進行接続位置58のみを通過して第1室54から第2室64へ移動する。また、戻り接続位置59の通気がシャッター75により遮断されていることにより、排出すべき気体が戻り接続位置59を通過して第1室54に流入する問題も防止することができる。
【0053】
これに対して、
図1に示すように、ガス置換後において循環気流を形成する際には、シャッター75は開放されており、戻り接続位置59の通気は連絡される。これにより、進行接続位置58を介して第1室54から第2室64へ流入した窒素ガスは、戻り接続位置59を介して、第2室64から第1室54へ戻ることができ、循環気流が形成される。
【0054】
このような第1通気抵抗部材73とシャッター75とを有するEFEM50は、
図2に示すガス置換時において、第1通気抵抗部材73の通気抵抗により、第1室54と第2室64との間に所定の圧力差を形成する。また、
図2に示すように、窒素ガスは第1室54へ導入され、第1室54から第2室64へと送られたのち排出されるため、第1室54の圧力が、第2室64の圧力より高くなる。このようなEFEM50は、従来のEFEMに比べて、短時間で第2室64の気体を、空気から窒素ガスへ、置換することができる。
【0055】
図5は、
図2に示すEFEM50のガス置換方法の一例を表すフローチャートである。EFEM50のガス置換は、例えばEFEM50のメンテナンスの終了後に行われる。
図2に示すEFEM50のガス置換方法が始まる前、EFEM50の第1室54及び第2室64は、空気で満たされた状態である。
【0056】
図5に示すステップS001では、
図2に示す第1室54へガスの導入を開始し、EFEM50を第1状態とする。第1状態では、ガス導入部52から流入口56を介して、第1室54に窒素ガスが導入される。第1状態では、第2室64に窒素ガスを導入するガス導入ステップ(S002)は開始していない。EFEM50は、第1室54と第2室64との間に第1通気抵抗部材73を配置しているため、第1状態では、単位時間あたりに第1室54に導入される窒素ガスの量が、進行接続位置58を介して単位時間あたりに第1室54から第2室64へ移動する気体の量を上回り、第1室54の圧力が上昇する。戻り接続位置59のシャッター75は、閉じられている。また、気流形成部60の送風ファン61は、回転を開始する。
【0057】
第1状態では、第1室54から第2室64への気体の移動に伴い、気体排出部68を介して第2室64の気体の排出が開始される。ただし、第1状態において第2室64から排出される気体の流量は、後述する第2状態より少ない。
図2に示すように、気体排出部68の排出部シャッター68aは開放されている。ただし、第1状態では、気体排出部68からの気体の排出は開始されてなくてもよい。
【0058】
図5に示すステップS002では、
図2に示す第1室54に窒素ガスを導入するガス導入ステップを開始し、EFEM50を第2状態とする。EFEM50において第1状態を継続すると、第1室54の圧力が上昇し、第1室54と第2室64との間に所定の差圧が形成される。第1室54と第2室64との間の差圧が大きくなるのに伴い、進行接続位置58の第1通気抵抗部材73を通過し、第1室54の第1進行領域54aから第2室64の第2進行領域64aへ移動する気体の流量が増加し、EFEM50は第1状態から第2状態へ移行する。なお、ガス導入ステップは、第1圧力計55で検出される第1室54の圧力をP1、第2圧力計65で検出される第2室64の圧力をP2、第3圧力計78で検出されるEFEM50の設置環境の圧力をP3とした場合、P1>P2>P3となった状態から開始されることが好ましい。第2室64の圧力P2を、EFEM50の設置環境の圧力P3より高くすることにより、EFEM50周辺の空気が第2室64へ流入し、第2室64の酸素濃度が上昇する問題を防止できる。
【0059】
第2状態において、ガス導入部52から第1室54へガスを導入するステップは、継続して実施される。第2状態では、単位時間あたりに第1室54に導入される窒素ガスの量が、単位時間あたりに第1室54から第2室64へ移動する気体の量と等しくなり、第1室54の圧力が略一定となる。
【0060】
第2状態において、気体排出部68を介して第2室64から気体を排出するステップが実施される。第1状態において、第2室の気体が既に始まっている場合には、第2状態においても引き続き、第2室64からの気体の排出が継続される。
図2に示すように、第2状態において第2室64の気体は、第2進行領域64aを下降したのち下部連通部67を通って第2戻り領域64bに流入し、さらに第2戻り領域64bを上昇して気体排出部68から排出される。第2状態では、第1室54から第2室64へ移動する気体流量が第1状態より多く、また、第1室54から第2室64へ移動する気体は、時間の経過とともに、ほぼ窒素ガスのみとなるため、第2室64の窒素ガスへの置換が進み、第2室64の酸素濃度が低下する。
【0061】
EFEM50は、第2状態においても、第1状態と同様に、第1室54の圧力が第2室64の圧力より高い状態となる。また、第2状態では、第1室54の圧力は一定となり、第2室64の圧力も一定となることにより、第1室54と第2室64との間の差圧も一定となる。
【0062】
図5に示すステップS003では、
図2に示す酸素濃度計66を用いて、第2室64の酸素濃度を検出する。ステップS004では、ステップS003で検出した酸素濃度が所定の値y以下であるか否かを判断する。酸素濃度が所定の値yより大きい場合は、第2状態を継続し、酸素濃度が所定の値y以下である場合は、ステップS005へ進み置換を完了する。
【0063】
第2室64の窒素ガス置換が完了すると、EFEM50は、
図1に示すようにシャッター75を開き、窒素ガスが戻り接続位置59を介して、第2戻り領域64bから第1戻り領域54aに流入できるようにする。これにより、第1室54と第2室64との間で循環気流が形成され、EFEM50は、
図1に示すロードポート装置80を駆動し、第2室64を介してウエハ12を搬送することが可能となる。また、
図5に示すガス置換が終了した後は、EFEM50では、ガス導入部52による第1室54へのガスの導入を停止又は減少させ、これと併せて、気体排出部68からの気体の排出を停止又は減少させる。ただし、EFEM50は、窒素ガス置換が完了した後も、気流形成部60の送風ファン61の動作を継続する。
【0064】
以上のように、EFEM50は、第1室54と第2室64とを接続する2つの接続部である進行接続位置58と戻り接続位置59のいずれにも、通気を制限できる進行通気制限部(第1通気抵抗部材73)と戻り通気制限部(シャッター75)が設けられている。そのため、ガス置換時において、EFEM50では、第1通気抵抗部材73及びシャッター75が、第1室54と第2室64との間に圧力差を発生させ、従来のEFEMに比べて、短時間で第2室64を、空気から窒素ガスに置換することができる。また、EFEM50では、気体排出部68が、第2戻り領域64bの上部(戻り接続位置59の直下)に設けられているため、このような気体排出部68は、第2室64の気体を効率的に排出できる。また、EFEM50は、気流形成部60の上に第1通気抵抗部材73が配置されているため、第1通気抵抗部材73の着脱が行い易く、メンテナンス性が良好である。
【0065】
第1実施形態に係るEFEM50の各部材や、EFEM50の駆動方法は、課題を解決可能な限りにおいて変更することが可能であり、本発明は、他の多くの実施形態や変形例を有することは言うまでもない。たとえば、
図5に示す第1状態(ステップS001)から第2状態(ステップS002)への移行は、差圧の形成により自動的に行われても良いが、第1室54と第2室64との差圧を検出し、第1室54と第2室64との間に所定の差圧が検出されたタイミングで、EFEM50の制御を切り換えることにより行ってもよい。
【0066】
たとえば、本発明の変形例に係るガス置換方法では、EFEM50は、気流形成部60の送風ファン61の回転数を、第1状態より高回転とすることにより、ガス導入ステップを開始する。この場合、第1状態では、気流形成部60の送風ファン61は、ガス導入ステップが開始された後の第2状態より、低い回転数で回転しているか、又は停止している。
【0067】
あるいは、本発明の別の変形例に係るガス置換方法では、第1室54に窒素ガスを導入するガス導入ステップにおいて送風ファン61の回転を停止することが行われる。すなわち、この別の変形例によると、第2室64へ窒素ガスが導入される状態において送風ファンが停止していることとなる。変形例に係る窒素ガスの導入においては、ガス導入部52から流入口56を介して導入される導入圧力のみによる自然置換とすることにより、送風ファンを用いた強制導入よりも短時間でガス置換を行うことが可能である。これは、送風ファンの回転による置換の場合、第2室64内部で乱流が発生し局所的に置換が達成できない領域が発生しうることに対し、自然置換による置換の場合は乱流が発生し難くなり、均質的な置換が行われるためと考えられる。
【0068】
また、本発明の変形例に係るEFEMでは、第1進行領域54aと第2進行領域64aとの間である進行接続位置58に、戻り接続位置59に設けられるようなシャッターを、進行通気制限部として設けてもよい。このような変形例に係るEFEMでは、
図5に示す第1状態ではシャッターが閉じられており、第1室54と第2室64とは非連通状態となる。さらに、第1室54と第2室64との間に所定の圧力差を形成したのちに進行接続位置58に設けたシャッターを開くことにより、第1室54と第2室64とを連通状態とし、ガス導入ステップを開始する。
【0069】
また、
図2に示すように、EFEM50では、第1通気抵抗部材73は、気流形成部60の吸引口を覆うように設けられているが、第1通気抵抗部材73は、気流形成部60の放出口を覆うように、気流形成部60の下に配置されていてもよい。また、戻り接続位置59に設けられる戻り通気制限部は、シャッター75を有するものに限定されず、
図3に示す第2実施形態に係るEFEM150における戻り通気制限部のように、第2通気抵抗部材176を有するものであっても構わない。
【0070】
図3は、本発明の第2実施形態に係るEFEM150を表す概略図である。EFEM150は、戻り通気制限部としての第2通気抵抗部材176を有しており、戻り接続位置59にはシャッターが備えられていない点を除き、第1実施形態に係るEFEM50と同様である。したがって、
図3に示すEFEM150については、
図2に示すEFEM50との相違点のみ説明を行い、共通点については説明を省略する。
【0071】
図3に示すEFEM150は、戻り接続位置59の通気を制限できる戻り通気制限部としての第2通気抵抗部材176を有する。第2通気抵抗部材176は、戻り接続位置59の流路を塞ぐように設けられており、窒素ガス及び空気を通過させにくくする通気抵抗(第2の通気抵抗)を有する。
図3において矢印で示されるように、ガス置換時において、EFEM150では、進行接続位置58の第1通気抵抗部材73と、戻り接続位置59の第2通気抵抗部材176とが通気抵抗を生じることにより、第1室54の圧力が第2室64の圧力より高くなり、迅速なガス置換を行うことが可能である。
【0072】
第2通気抵抗部材176としては、例えば、繊維質素材フィルタのような繊維質の部材や、焼結体フィルタ、スポンジのような多孔質の部材等が挙げられるが、通気抵抗を生じる他の部材、構造であってもよい。
【0073】
また、EFEM150を用いたガス置換方法では、第2通気抵抗部材176に隣接する第2戻り領域64bの上部に気体排出部68が設けられているため、ガス置換時において第2戻り領域64bを上昇した気体は気体排出部68から排出され、第2室64の気体が第2通気抵抗部材176を通過して第1室54に戻ってくる問題を防止できる。ここで、第1通気抵抗部材73の第1の通気抵抗と、第2通気抵抗部材176の第2の通気抵抗とは、任意の値に設定することができるが、たとえば、いずれか一方が他方より高くてもよい。
【0074】
第2の通気抵抗が第1の通気抵抗より高い場合、戻り接続位置59における通気を効果的に制限し、ガス置換時における第1室54の圧力上昇が円滑に行われるとともに、第2室64の気体が第1室54に戻る問題を効果的に防止できる。第2の通気抵抗が第1の通気抵抗より低い場合、気体排出部68の排出部シャッター68aを閉じて循環気流を形成するとき、戻り接続位置59で生じる通気抵抗を少なくし、送風ファン61への負荷を軽減することができる。
【0075】
また、
図3に示すEFEM150の変形例として、戻り接続位置59に設けられる第2通気抵抗部材176を、
図1及び
図2に示すシャッター75のように、戻り接続位置59の流路に対して開閉できる可動式としてもよい。このような可動式の第2通気抵抗部材176は、戻り接続位置59の通気抵抗を可変とする可変通気抵抗部材として機能する。このような可変通気抵抗部材が戻り接続位置59に設けられるEFEMでは、例えばガス置換時には戻り接続位置59の通気抵抗が高い状態として第1室54の圧力を効果的に上昇させることができる。また、これとは反対に、循環気流形成時には、戻り接続位置59の通気抵抗が低い状態として、窒素ガスが循環する流路全体で合算した通気抵抗を低下させることができる。このほか、戻り接続位置59に設けられる戻り通気制限部材としては、第1戻り領域54bから第2戻り領域64bへの通気抵抗が、第2戻り領域64bから第1戻り領域54bへの通気抵抗より高い非対称通気抵抗部材を用いてもよい。
【0076】
図4は、本発明の第3実施形態に係るEFEM250を表す概略図である。EFEM250は、戻り通気制限部としての第2通気抵抗部材276を有しており、気体排出部268が第2室64の下部に設けられている点を除き、第2実施形態に係るEFEM150と同様である。したがって、
図4に示すEFEM250については、
図3に示すEFEM150との相違点のみ説明を行い、共通点については説明を省略する。
【0077】
図4に示すEFEM250は、戻り接続位置59の通気を制限できる戻り通気制限部としての第2通気抵抗部材276を有する。第2通気抵抗部材276は、戻り接続位置59の流路を塞ぐように設けられており、窒素ガス及び空気を通過させにくくする通気抵抗(第2の通気抵抗)を有する。
図4において矢印で示されるように、ガス置換時において、EFEM250では、進行接続位置58の第1通気抵抗部材73と、戻り接続位置59の第2通気抵抗部材176とが通気抵抗を生じることにより、第1室54の圧力が第2室64の圧力より高くなり、迅速なガス置換を行うことが可能である。
【0078】
EFEM250によるガス置換では、第1室54へ流入した窒素ガスは、第1通気抵抗部材73を通過して第1進行領域54aから第2進行領域64aへ移動するとともに、第2通気抵抗部材276を通過して第1戻り領域54bから第2戻り領域64bへ移動する。
図4において矢印で示すように、第2室64の気体は、第2進行領域64a及び第2戻り領域64bを下降し、第2戻り領域64bの下部に接続する気体排出部268から排出される。
【0079】
第2通気抵抗部材276としては、例えば、繊維質素材フィルタのような繊維質の部材や、焼結体フィルタ、スポンジのような多孔質の部材等が挙げられるが、通気抵抗を生じる他の部材、構造であってもよい。また、第1通気抵抗部材73の第1の通気抵抗と、第2通気抵抗部材276の第2の通気抵抗とは、任意の値に設定することができるが、たとえば、第1の通気抵抗と第2の通気抵抗とは等しくてもよい。第1の通気抵抗と第2の通気抵抗とが等しいことにより、EFEM250によるガス置換において、置換ガスは進行接続位置58と戻り接続位置59の両方を通って第1室54から第2室64へ移動し、第2室64の気体を効率的に置換することができる。
【0080】
以下に、実施例を挙げて本発明に係るEFEMをさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0081】
実施例1
実施例1では、
図2に示すEFEM50を用いて、第1室54及び第2室64のガス置換を実施し、ガス置換が完了するまでの所要時間を調査した。第1実施例で用いたEFEM50の条件は以下の通りである。
第1室54容積:60Litter
第2室64容積:750Litter
ガス導入部52流量:150l/min
気流形成部60:ファンフィルタユニット
第1通気抵抗部材73:抵抗フィルタ(厚み5mm×3層重ね(アイオン株式会社製 ベルイーターAシリーズ))
【0082】
実施例1では、
図5に示す方法でガス置換を行い、第2状態であるガス導入ステップ開始後の第1室54の圧力ΔP1、第2室64の圧力ΔP2を測定し、さらに第1圧力室と第2圧力室との差圧ΔPx=ΔP1−ΔP2を算出した。第1室54の圧力ΔP1は、
図2に示す第1圧力計55と第3圧力計78との差圧の測定結果であり、第2室64の圧力ΔP2は、
図2に示す第2圧力計65と第3圧力計78との差圧の測定結果である。置換に要した置換時間Tは、大気で満たされている第1室54及び第2室64に対して、第1室54への窒素ガスの導入を開始して、第2室64の酸素濃度(酸素濃度計66の測定値)が100ppmに到達するまでの時間とした。結果を表1に示す。
【0083】
実施例2
実施例2では、第1通気抵抗部材73として、実施例1で用いた抵抗フィルタと同様の抵抗フィルタを4層重ねとしたものを採用したことを除き、実施例1と同様にしてガス置換を行った。結果を表1に示す。
【0084】
参考例
参考例では、第1通気抵抗部材73を取り除いたことを除き、第1実施例と同様にしてガス置換を行った。結果を表1に示す。
【0086】
表1および表1の結果をグラフで表した
図5に示すように、実施例1及び実施例2では、第1室54と第2室64との間に所定の差圧が形成されているのに対して、参考例では、第1室54と第2室64との間にはほとんど差圧が形成されていない。実施例1及び実施例2の置換時間は、参考例に比べて、25%程度の置換時間の短縮効果が見られた。第1室54と第2室64との間に形成される差圧ΔPxは10Pa以上とすることがさらに好ましいと考えられる。