(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばSDメモリカードやSSD(Solid State Drive)等で用いられるNAND型メモリは、データ書き込みの際の電圧が記憶素子に繰り返し印加されることにより、新たなデータの書き込みが不能になる場合がある。画像処理装置に用いられるNAND型メモリが書き込み不能になると画像処理装置の機能を実行できなくなる場合があるため、NAND型メモリが書き込み不能になるまでの期間は長い方が望ましい。
本発明の目的は、NAND型メモリを画像処理装置に用いる場合に、NAND型メモリに繰り返し画像データが書き込まれて予め定められた条件が満たされたか否かにかかわらず、書き込み対象の画像データをそのままNAND型メモリに記憶させる構成と比較して、NAND型メモリが書き込み不能になるまでの期間を延ばすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、画像データを取得する取得手段と、NAND型メモリを有する記憶手段と、
記録材に画像を形成する画像形成手段と、前記取得手段が取得した画像データを前記記憶手段に書き込んで記憶させるとともに、画像データの書き込みが繰り返し行われ
前記画像形成手段による画像形成の際に用いられた資源の消費量が予め定められた量に達した場合には、当該取得手段が取得した画像データに対してデータ量を小さくする処理を施して当該記憶手段に書き込む書込手段とを備える画像処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記資源の消費量とは、トナーの消費量であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記資源の消費量とは、インクの消費量であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項
4に記載の発明は、前記書込手段は、画像データに基づく画像の画質を落とすことにより当該画像データのデータ量を小さくすることを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置である。
請求項
5に記載の発明は、前記書込手段は、前記画像の画素数を減らすことにより当該画像の画質を落とすことを特徴とする請求項
4に記載の画像処理装置である。
請求項
6に記載の発明は、前記書込手段は、前記画像に含まれる画素の階調数を減らすことにより当該画像の画質を落とすことを特徴とする請求項
4に記載の画像処理装置である。
請求項
7に記載の発明は、前記書込手段は、前記画像を構成する色の数を減らすことにより当該画像の画質を落とすことを特徴とする請求項
4に記載の画像処理装置である。
請求項
8に記載の発明は、画像データを取得する取得手段と、
記録材に画像を形成する画像形成手段と、NAND型メモリに、前記取得手段が取得した画像データを書き込んで記憶させるとともに、画像データの書き込みが繰り返し行われ
前記画像形成手段による画像形成の際に用いられた資源の消費量が予め定められた量に達した場合には、当該取得手段が取得した画像データに対してデータ量を小さくする処理を施して当該NAND型メモリに書き込む書込手段とを備える画像処理装置である。
請求項
9に記載の発明は、コンピュータに、画像データを取得する機能と、
記録材に画像を形成する機能と、NAND型メモリに、取得した画像データを書き込んで記憶させるとともに、画像データの書き込みが繰り返し行われ
前記画像を形成する機能による画像形成の際に用いられた資源の消費量が予め定められた量に達した場合には、取得した画像データに対してデータ量を小さくする処理を施して当該NAND型メモリに書き込む機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、NAND型メモリを画像処理装置に用いる場合に、NAND型メモリに繰り返し画像データが書き込まれて予め定められた条件が満たされたか否かにかかわらず、書き込み対象の画像データをそのままNAND型メモリに記憶させる構成と比較して、NAND型メモリが書き込み不能になるまでの期間を延ばすことができる。
請求項2記載の発明によれば、画像形成手段による画像形成の際に用いられたトナーの消費量を基に画像データのデータ量を小さくする処理を開始することができる。
請求項3記載の発明によれば、画像形成手段による画像形成の際に用いられたインクの消費量を基に画像データのデータ量を小さくする処理を開始することができる。
請求項
4記載の発明によれば、より確実に、画像データのデータ量を小さくして記憶手段に書き込むことができる。
請求項
5記載の発明によれば、より確実に、画像データのデータ量を小さくして記憶手段に書き込むことができる。
請求項
6記載の発明によれば、より確実に、画像データのデータ量を小さくして記憶手段に書き込むことができる。
請求項
7記載の発明によれば、より確実に、画像データのデータ量を小さくして記憶手段に書き込むことができる。
請求項
8記載の発明によれば、NAND型メモリを画像処理装置に用いる場合に、NAND型メモリに繰り返し画像データが書き込まれて予め定められた条件が満たされたか否かにかかわらず、書き込み対象の画像データをそのままNAND型メモリに記憶させる構成と比較して、NAND型メモリが書き込み不能になるまでの期間を延ばすことができる。
請求項
9記載の発明によれば、NAND型メモリを画像処理装置に用いる場合に、NAND型メモリに繰り返し画像データが書き込まれて予め定められた条件が満たされたか否かにかかわらず、書き込み対象の画像データをそのままNAND型メモリに記憶させる構成と比較して、NAND型メモリが書き込み不能になるまでの期間を延ばす機能を、コンピュータにより実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
<画像処理装置のハードウェア構成>
まず、本実施の形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成例を示す図である。本実施の形態に係る画像処理装置100は、例えば、画像読み取り機能(スキャン機能)、印刷機能(プリント機能)、複写機能(コピー機能)及びファクシミリ機能等の各種の画像処理機能を備えた、いわゆる複合機である。
【0010】
図示するように、本実施の形態に係る画像処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、メモリ102と、操作パネル103と、画像読取部104と、画像形成部105と、FAX通信部106と、通信I/F(通信インタフェース)107と、タイマー108とを備える。また、画像処理装置100は、人感センサ109と、SDメモリカード110aと、SSD110bと、SDメモリ制御部111aと、SSD制御部111bとを備える。これらの各部はバス112に接続されており、このバス112を介してデータの授受を行う。
【0011】
CPU101は、画像処理装置100の各部を制御するための演算処理を行う演算処理装置である。このCPU101は、例えば、SDメモリカード110aやSSD110b等に記憶されたシステムプログラムをメモリ102にロードして実行することにより、画像処理装置100における各機能を実現する。メモリ102は、CPU101の作業用メモリ等として用いられるメモリ(記憶部)である。
【0012】
操作パネル103は、各種の情報を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付ける。この操作パネル103は、液晶ディスプレイ等で構成された表示パネル、表示パネルの上に配置され、ユーザによりタッチされた位置を検出するタッチパネル、ユーザにより押下される物理キー等から構成される。そして、操作パネル103は、例えば、画像処理装置100の操作画面等の各種画面を表示パネルに表示したり、タッチパネル及び物理キーによりユーザからの操作を受け付けたりする。
【0013】
画像読取部104は、原稿台上にセットされた用紙等の記録材に形成されている画像を読み取って、読み取った画像に基づく画像情報(画像データ)を生成する。ここで、画像読取部104は、例えばスキャナーであり、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式のものを用いるとよい。
【0014】
画像形成手段の一例としての画像形成部105は、用紙等の記録材に画像を形成する印刷機構である。ここで、画像形成部105は、例えばプリンターであり、感光体に付着させたトナーを記録材に転写して像を形成する電子写真方式や、インクを記録材上に吐出して像を形成するインクジェット方式のものを用いるとよい。
【0015】
FAX通信部106は、例えばFAXモデムであり、不図示の公衆電話回線に接続され、画像処理装置100が公衆電話回線を介して他の装置とFAX通信を行うためのインタフェースである。
【0016】
通信I/F107は、不図示のネットワークを介して他の装置との間で各種データの送受信を行う通信インタフェースである。
【0017】
タイマー108は、CPU101等の動作に伴って計時を行う。
人感センサ109は、人間の接近を検出するセンサである。この人感センサ109は、例えば赤外線や超音波などを発することにより、人間の接近を検出する。
【0018】
SDメモリカード110aは、データを格納するNAND型のフラッシュメモリのメモリカードである。このSDメモリカード110aは、画像処理装置100から着脱可能に構成される。そして、SDメモリカード110aには、例えば、各部を制御するためのシステムプログラムや、画像処理装置100を使用することで課金される金額等を示す課金情報、画像処理装置100の設定情報などが記憶される。
【0019】
SSD110bは、データを格納するNAND型のフラッシュメモリである。このSSD110bには、画像処理装置100の各種処理に用いられる画像データが記憶される。各種処理に用いられる画像データとしては、例えば、画像読取部160のスキャン処理により生成された画像データや、画像形成部105によるプリントのために蓄積されたスプールデータ、ファクシミリ機能により他の装置から受信した画像データ等が例示される。
【0020】
SDメモリ制御部111aは、SDメモリカード110aに対してデータの書き込み及び読み出しを行うコントローラである。
SSD制御部111bは、SSD110bに対してデータの書き込み及び読み出しを行うコントローラである。
【0021】
また、
図2は、本実施の形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成の他の例を示す図である。
図2に示す画像処理装置100は、SSD110b、SSD制御部111bを有していない点で、
図1に示す画像処理装置100と異なる。
図2に示す例では、SDメモリカード110aには、例えば上述したシステムプログラムや課金情報、設定情報などに加えて、画像処理装置100の各種処理に用いられる画像データ(例えば、スキャン処理により生成された画像データやプリントのためのスプールデータなど)が記憶される。なお、
図1で示した画像処理装置100が有する機能部と同様の機能を有する機能部については、
図1で用いた符号と同じ符号を付している。
【0022】
ここで、SDメモリカード110aやSSD110b等のNAND型メモリでは、データ書き換えのためにデータを消去する際(即ち、データ書き込みの際)、記憶素子(メモリセル)に高電圧が印加される。このように高電圧が印加されることにより、記憶素子にストレスがかかり、データ保持の特性が劣化することになる。そのため、NAND型メモリではデータの消去回数に制限があり、消去回数が制限の回数を超えた場合、新たなデータの書き込みが不能となる。このように、一般にNAND型メモリには寿命があり、寿命に達した場合には新しいデータの書き込みができなくなる。
【0023】
さらに説明すると、SDメモリカード110aやSSD110b等のNAND型メモリが寿命に達した場合には、例えば、スキャン処理により生成された画像データやプリントのためのスプールデータ等を新たに記憶することができなくなる。この場合、画像処理装置100にてコピーやプリントができなくなる。また、NAND型メモリにシステムプログラムが記憶されている場合には、NAND型メモリが寿命に到達すると、システムプログラムの処理に伴う書き込み等ができなくなる。その結果、画像処理装置100の起動や省エネからの復帰が不可となり、画像処理装置100が使用不能に陥ってしまう。そのため以下にて、NAND型メモリが書き込み不能になるまでの期間、言い換えると、NAND型メモリの寿命を延ばす手順について説明する。
【0024】
なお、本実施の形態において、書き込み不能になるまでの期間を延ばす対象となるNAND型メモリは、画像データが書き込まれるNAND型メモリである。例えば、
図1に示す画像処理装置100ではSSD110bが対象となる。また、
図2に示す画像処理装置100ではSDメモリカード110aが対象となる。
【0025】
以下では、書き込み不能になるまでの期間を延ばす対象となるNAND型メモリとして、
図1のSSD110b及び
図2のSDメモリカード110aを区別する必要がない場合には、単に「NAND型メモリ110」と称する場合がある。また、NAND型メモリ110へのデータの書き込み及び読み出しを制御する制御部を「NAND型メモリ制御部111」と称する場合がある。付言すると、
図1に示す構成において、NAND型メモリ制御部111はSSD制御部111bを示す。また、
図2に示す構成において、NAND型メモリ制御部111は、SDメモリ制御部111aを示す。なお、本実施の形態では、記憶手段の一例として、NAND型メモリ110が用いられる。
【0026】
<画像処理装置の機能構成>
次に、本実施の形態に係る画像処理装置100の機能構成について説明する。
図3は、本実施の形態に係る画像処理装置100の機能構成例を示したブロック図である。
【0027】
本実施の形態に係る画像処理装置100は、NAND型メモリ110に記憶する画像データを取得する画像データ取得部121と、NAND型メモリ110の残りの寿命を判定する寿命判定部122と、画像データのデータ量を小さくする処理を施す画像データ処理部123とを備える。また、画像処理装置100は、NAND型メモリ制御部111に対してNAND型メモリ110へのデータの書き込み及び読み出しを指示する書き込み制御部124と、操作パネル103における表示を制御する表示制御部125とを備える。
【0028】
画像データ取得部121は、NAND型メモリ110に記憶する画像データを取得する。ここで取得される画像データは、例えば、スキャン処理により生成された画像データや、プリントのために蓄積されるスプールデータ、ファクシミリ機能により他の装置から受信した画像データである。
【0029】
寿命判定部122は、NAND型メモリ110への画像データの書き込みが繰り返し行われ、NAND型メモリ110の寿命に関する条件として予め定められた条件(以下、寿命条件と称する場合がある)が満たされたか否かを判定する。言い換えると、寿命判定部122は、NAND型メモリ110への画像データの書き込みが繰り返し行われ、NAND型メモリ110の残りの寿命が予め定められた割合未満に達したと推測されるか否かを判定する。寿命判定部122による判定処理の詳細については、後述する。
【0030】
画像データ処理部123は、寿命判定部122により寿命条件が満たされたと判定された場合に、画像データ取得部121が取得した画像データに対してデータ量(データサイズ)を小さくする処理(以下、縮小処理と称する)を施す。また、画像データ処理部123は、寿命判定部122により寿命条件が満たされたと判定されていない場合には、縮小処理を行わない。画像データ処理部123による縮小処理の詳細については、後述する。
【0031】
書き込み制御部124は、NAND型メモリ制御部111に対して、NAND型メモリ110へのデータの書き込み及び読み出しを指示する。ここで、書き込み制御部124は、寿命判定部122により寿命条件が満たされたと判定された場合には、NAND型メモリ制御部111に対して、画像データ処理部123の縮小処理が施された画像データをNAND型メモリ110へ書き込むように指示する。一方、書き込み制御部124は、寿命判定部122により寿命条件が満たされたと判定されていない場合には、NAND型メモリ制御部111に対して、画像データ取得部121が取得した画像データを、言い換えると、画像データ処理部123の縮小処理が施されていない画像データを、NAND型メモリ110へ書き込むように指示する。
【0032】
付言すると、NAND型メモリ110でのデータの消去回数は、NAND型メモリ110へ書き込まれるデータ量に比例して増加する。よって、NAND型メモリ110へ書き込まれるデータ量が少なくなると、NAND型メモリ110でのデータの消去回数も減少する。そのため、画像データ処理部123の縮小処理が施された画像データをNAND型メモリ110へ書き込むことにより、縮小処理を施さずに画像データをNAND型メモリ110へ書き込む場合と比較して、NAND型メモリ110でのデータの消去回数が減少する。その結果、NAND型メモリ110が書き込み不能になるまでの期間が延びることになる。
【0033】
表示制御部125は、操作パネル103における表示を制御するための制御信号を生成し、操作パネル103の表示を制御する。より具体的には、表示制御部125は、例えば、寿命判定部122により寿命条件が満たされたと判定された場合、NAND型メモリ110の残りの寿命が少ないことを表示し、NAND型メモリ110の交換を促すメッセージやメンテナンス依頼をするように要求するメッセージを表示する。また、表示制御部125は、例えば、寿命判定部122により寿命条件が満たされたと判定された場合、画像データに対して縮小処理を施すことを表示して、ユーザの許可を得ることとしてもよい。
【0034】
そして、
図3に示す画像処理装置100を構成する各機能部は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、画像処理装置100を
図1又は
図2に示したハードウェア構成にて実現した場合、例えば、NAND型メモリ110に格納されているシステムプログラムが、メモリ102に読み込まれてCPU101に実行されることにより、画像データ取得部121、寿命判定部122、画像データ処理部123、書き込み制御部124、表示制御部125等の各機能部が実現される。
【0035】
なお、本実施の形態では、取得手段の一例として、画像データ取得部121が用いられる。また、書込手段の一例として、画像データ処理部123、書き込み制御部124が用いられる。
【0036】
<寿命判定部122による判定処理>
次に、寿命判定部122による判定処理について、具体例を挙げて説明する。寿命判定部122は、寿命条件が満たされたか否かを判定する。この判定処理は、画像処理装置100の使用状態を示す情報を基に行われる。よって、寿命条件が満たされた場合とは、画像処理装置100の使用状態が予め定められた状態に達した場合であるといえる。
【0037】
ここで、画像処理装置100の使用状態を示す情報としては、例えば、S.M.A.R.T(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)により得られる情報(以下、SMART情報と称する)を例示することができる。S.M.A.R.Tとは、障害の早期発見や故障の予測などを目的として、SSD110bに搭載されている機能である。SMART情報を用いる場合、寿命判定部122は、SMART情報を基に、寿命条件が満たされたか否かを判定する。
【0038】
図4は、SMART情報の一例を示す図である。このSMART情報は、S.M.A.R.Tの機能によりSSD110bから得られた情報である。「ID」は、項目のIDを示す。「項目名」は、項目の名称を示す。「現在値」は、現在の値を示す。「最悪値」は、過去最悪の値を示す。「しきい値」は、SSD110bの製造元が指定した限界値を示す。例えば、現在値がしきい値を下回る場合、SSD110bの故障の可能性があると判断される。「生の値」は、正規化前の値を示す。この値は16進数で表記される。
【0039】
例えば、項番7は、「使用時間」を示す。この時間は、SSD110bの電源ONの積算時間である。「生の値」は「1B8」であり、440時間を表す。ここで、「現在値」は「100」を示しており、この値が「0」になると寿命に達したものとされる。そこで、例えば、「現在値」の値の「10」を、寿命判定の閾値として定める。この場合、「現在値」が閾値「10」に達すると、寿命判定部122は、SSD110bの電源ONの積算時間が、上限として定められた時間の90%になり、SSD110bの残りの寿命が予め定められた割合未満(ここでは10%未満)に達したと推測して、寿命条件が満たされたと判定する。
【0040】
また、例えば、項番8は、「電源投入回数」を示す。この回数は、SSD110bの電源ON/OFFが制御された回数である。項番9は、「総書き込み量(ホスト)」を示す。この値は、SSD110bに書き込まれたデータの総量である。項番10は、「総読み込み量(ホスト)」を示す。この値は、SSD110bから読み出されたデータの総量である。これらの「電源投入回数」、「総書き込み量(ホスト)」、「総読み込み量(ホスト)」についても、上述した「使用時間」と同様に、寿命判定の閾値を定めてもよい。そして、これらの値(
図4に示す「現在値」)が閾値に達した場合、寿命判定部122は、SSD110bの残りの寿命が予め定められた割合未満(例えば10%未満)に達したと推測して、寿命条件が満たされたと判定してもよい。
【0041】
また、SDメモリカード110aには、SSD110bのS.M.A.R.Tに代わるものとして、SDメモリカード110aの製造元が提供するベンダユニークコマンドが存在する。このベンダユニークコマンドを用いることにより、SSD110bのSMART情報と同様に、SDメモリカード110aに関する各種情報が得られる。そこで、寿命判定部122は、SSD110bについては、ベンダユニークコマンドにより得られた情報を基に、寿命条件が満たされたか否かを判定する。
【0042】
また、寿命判定部122は、上述したSMART情報やベンダユニークコマンドにより得られる情報を、SMART情報やベンダユニークコマンドによらずにNAND型メモリ110から得ることにより、寿命条件の判定を行ってもよい。
【0043】
例えば、寿命判定部122が、NAND型メモリ110に書き込まれたデータの総量を基に、寿命条件の判定を行う場合について説明する。ここで、画像処理装置100の開発などの際には、SMART情報などを参考にして、NAND型メモリ110にどれくらいの量のデータを書き込めば寿命に達し、書き込み不能になるかという情報が得られる。このような情報を基に、ユーザは、寿命条件が満たされたものとするデータ量の閾値(例えば、書き込み可能な最大データ量の90%の値)を予め設定しておく。そして、寿命判定部122は、NAND型メモリ110を監視し、NAND型メモリ110に書き込まれたデータの総量が閾値に達した場合、NAND型メモリ110の残りの寿命が予め定められた割合未満(例えば10%未満)に達したと推測して、寿命条件が満たされたと判定する。
【0044】
また、寿命判定部122は、NAND型メモリ110に書き込まれたデータの総量と同様に、例えば、NAND型メモリ110の電源ONの積算時間や電源投入回数、データの書き込み回数などの情報をNAND型メモリ110から取得して、寿命条件の判定を行ってもよい。
【0045】
ただし、画像処理装置100では、SMART情報など、NAND型メモリ110から直接得られる情報を基に寿命条件を判定するのが難しい場合も考えられる。例えば、画像処理装置100の処理に高速性が要求される場合、画像処理装置100の性能上、SMART情報まで管理するのが難しいことが考えられる。このような場合には、画像処理装置100の使用状態を示す情報として、NAND型メモリ110から直接得られる情報ではなく、他の情報を用いればよい。
【0046】
他の情報としては、例えば、画像形成部105による画像形成の際に用いられた資源の消費量についての情報を例示することができる。この場合、寿命判定部122は、例えば、画像形成部105による画像形成の際に用いられた資源の消費量が予め定められた量に達した場合、寿命条件が満たされたと判定する。資源の消費量としては、例えば、画像形成部105によるトナーの消費量、画像形成部105によるプリント枚数(用紙の消費枚数)が例示される。
【0047】
ここで、画像処理装置100によるトナーの消費量を用いる場合について説明する。例えば、ユーザは、画像処理装置100の開発などの際に、SMART情報などを参考にして、画像形成部105にて様々な原稿を印刷する場合に、スプールデータとしてNAND型メモリ110に書き込まれる画像データのデータ量と、その画像データを印刷するのに画像形成部105が消費するトナーの量との相関関係を記録しておく。また、SMART情報により、NAND型メモリ110にどれくらいの量のデータを書き込めば寿命に達し、書き込み不能になるかという情報も得られる。これらの情報により、NAND型メモリ110が寿命に達するまでに、画像形成部105にてどれくらいの量のトナーを消費するかが推測される。
【0048】
そこで、NAND型メモリ110が寿命に達するまでに画像形成部105にて消費されると推測されるトナーの消費量を基に、トナー消費量の閾値が設定される。この閾値は、例えば、NAND型メモリ110が寿命に達するまでに消費されると推測されるトナーの最大消費量の90%の値である。そして、寿命判定部122は、画像形成部105で消費されるトナーの量を監視し、トナーの消費量が閾値に達した場合、NAND型メモリ110の残りの寿命が予め定められた割合未満(例えば10%未満)に達したと推測して、寿命条件が満たされたと判定する。
なお、画像形成部105が電子写真方式ではなく、インクジェット方式の場合には、トナーの消費量の代わりにインクの消費量を用いればよい。
【0049】
次に、画像処理装置100によるプリント枚数を用いる場合について説明する。例えば、ユーザは、画像処理装置100の開発などの際に、SMART情報などを参考にして、画像形成部105にて様々な原稿を印刷する場合に、スプールデータとしてNAND型メモリ110に書き込まれる画像データのデータ量と、その画像データにより印刷される用紙のプリント枚数との相関関係を記録しておく。また、SMART情報により、NAND型メモリ110にどれくらいの量のデータを書き込めば寿命に達し、書き込み不能になるかという情報も得られる。これらの情報により、NAND型メモリ110が寿命に達するまでに、画像形成部105にてどれくらいの枚数の原稿がプリントされるかが推測される。
【0050】
そこで、NAND型メモリ110が寿命に達するまでに画像形成部105にて印刷されると推測されるプリント枚数を基に、プリント枚数の閾値が設定される。この閾値は、例えば、NAND型メモリ110が寿命に達するまでに印刷されると推測される最大プリント枚数の90%の値である。そして、寿命判定部122は、画像形成部105によるプリント枚数を監視し、プリント枚数が閾値に達した場合、NAND型メモリ110の残りの寿命が予め定められた割合未満(例えば10%未満)に達したと推測して、寿命条件が満たされたと判定する。
【0051】
なお、印刷する原稿の内容によって、NAND型メモリ110に記憶される画像データのデータ量は異なる。そのため、原稿1枚当たりの画像データのデータ量を考慮して、プリント枚数の閾値を設定してもよい。例えば、原稿1枚当たりの平均的な画像データのデータ量を基準として閾値を定めてもよいし、原稿1枚当たりの最大の画像データのデータ量を基準として閾値を定めてもよい。さらに説明すると、印刷する原稿のデータ量が大きい程、NAND型メモリ110でのデータの消去回数が増え、データ保持の特性が劣化する。そのため、例えば、原稿1枚当たりの最大の画像データのデータ量を基準として閾値を設定する場合には、原稿1枚当たりの平均的な画像データのデータ量を基準として閾値を設定する場合よりも、設定される閾値は小さくなる。
【0052】
なお、寿命判定部122は、画像処理装置100の使用状態を示す複数の情報を用いて寿命条件が満たされたか否かを判定してもよい。例えば、寿命判定部122は、NAND型メモリ110に書き込まれたデータの総量とともに、画像処理装置100によるトナーの消費量を基に、寿命条件が満たされたか否かを判定してもよい。
【0053】
<画像データ処理部123による縮小処理>
次に、画像データ処理部123による縮小処理について、具体例を挙げて説明する。画像データ処理部123は、例えば、画像データに基づく画像の画質を落とすことにより、画像データのデータ量を小さくする。
【0054】
画像データに基づく画像の画質を落とす手段としては、例えば、画像の画素数を減らすことが挙げられる。例えば、画像データ処理部123の取得した画像データの解像度が600dpi(dots per inch)の場合に、解像度を400dpiに減らすことで、画像データの画素数が減り、画像データのデータ量が小さくなる。
【0055】
また、画像データに基づく画像の画質を落とす手段としては、例えば、画像に含まれる画素の階調数を減らすことが挙げられる。例えば、画像データ処理部123の取得した画像データの階調数が256階調の場合に、階調数を64階調に減らすことで、画像データのデータ量が小さくなる。
【0056】
さらに、画像データに基づく画像の画質を落とす手段としては、例えば、画像を構成する色の数を減らすことが挙げられる。例えば、画像データ処理部123の取得した画像データにおいて、1つの画素が赤・緑・青の3つの色で表現される場合、例えば、1つの色を1byteで表現すると、1画素は3byteで表現されることになる。そこで、画像データをカラーから白黒にすると、1つの画素は1byteで表現されるため、画像データのデータ量は小さくなる。
【0057】
画像データ処理部123は、このような手段を用いることにより、取得した画像データに対して縮小処理を施して、画像データのデータ量を小さくする。
【0058】
<画像データをNAND型メモリへ書き込む場合の処理手順の説明>
次に、画像処理装置100が画像データをNAND型メモリ110へ書き込む場合の処理手順について説明する。
図5は、画像処理装置100が画像データをNAND型メモリ110へ書き込む場合の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【0059】
まず、画像データ取得部121は、NAND型メモリ110に記憶する画像データを取得する(ステップ101)。次に、寿命判定部122は、寿命条件が満たされたか否かを判定する(ステップ102)。ステップ102で否定の判断(No)がされた場合、書き込み制御部124は、NAND型メモリ制御部111に対して、ステップ101で画像データ取得部121が取得した画像データを、NAND型メモリ110へ書き込むように指示する(ステップ103)。NAND型メモリ制御部111は、指示に基づき、NAND型メモリ110へ画像データを書き込む。そして、本処理フローは終了する。
【0060】
一方、ステップ102で肯定の判断(Yes)がされた場合、画像データ処理部123は、ステップ101で画像データ取得部121が取得した画像データに対して縮小処理を施す(ステップ104)。次に、書き込み制御部124は、NAND型メモリ制御部111に対して、縮小処理が施された画像データをNAND型メモリ110へ書き込むように指示する(ステップ105)。NAND型メモリ制御部111は、指示に基づき、NAND型メモリ110へ、縮小処理が施された画像データを書き込む。そして、本処理フローは終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態に係る画像処理装置100の寿命判定部122は、画像処理装置100の使用状態を示す情報を基に、寿命条件が満たされたか否かを判定する。寿命条件が満たされたと判定された場合、画像データ処理部123は、画像データ取得部121が取得した画像データに対してデータ量を小さくする縮小処理を施す。そして、縮小処理が施された画像データがNAND型メモリ110へ書き込まれる。そのため、本実施の形態に係る画像処理装置100の処理により、例えば、NAND型メモリに繰り返し画像データが書き込まれて寿命条件が満たされたか否かにかかわらず、書き込み対象の画像データをそのままNAND型メモリ110に記憶させる構成と比較して、NAND型メモリ110が書き込み不能になるまでの期間(残りの寿命)が延びることになる。
【0062】
また、上述した例では、
図1に示す構成において、SSD110bに画像データを書き込むこととしたが、SDメモリカード110aに画像データを書き込むこととしてもよい。この場合には、寿命条件が満たされた場合に、縮小処理を施した画像データがSDメモリカード110aに書き込まれる。
【0063】
さらに、上述した例では、画像処理装置100の寿命判定部122が寿命条件の判定を行うこととしたが、例えば、リモート診断システム等を用いて、画像処理装置100ではない他の装置(不図示)から遠隔で判定してもよい。この場合、例えば、リモート診断システムにおいて寿命条件が満たされたと判定された場合に、自動的にメンテナンス依頼を発行してもよい。
【0064】
また、本発明の実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0065】
なお、上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例どうしを組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【0066】
例えば、上記実施例では、画像処理装置100を例示したが、NAND型メモリ110を記憶媒体として使用する任意の装置に対して、本開示の内容を同様に適用することができる。