(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブレーキ部材(1300)により制動される前記走行変速軸(1110)は、前記走行変速軸(1110)が前記動力を前記走行装置(12)へ伝達しない状態が前記変速レバー(1200)により選択されている場合に、前記走行装置(12)と接続されていることを特徴とする請求項1に記載の移植機。
一端(1500a)が前記ブレーキレバー(1400)へ取付けられており、他端(1500b)が前記ブレーキ部材(1300)へ取付けられている連結部材(1500)を備え、
前記ブレーキ部材(1300)の形状は、板形状であり、
前記走行変速軸(1110)の前記角軸部(1120)の軸方向は、前記ブレーキ部材(1300)の板厚方向であり、
前記トランスミッション機構(1100)へ回動可能に取付けられている前記ブレーキ部材(1300)の回動軸(1320)の軸方向は、前記ブレーキ部材(1300)の前記板厚方向であり、
前記ブレーキ部材(1300)の前記板厚方向から見るとき、前記ブレーキ部材(1300)の前記回動軸(1320)と、前記走行変速軸(1110)の前記角軸部(1120)と、の間の距離(D1)は、前記ブレーキ部材(1300)の前記回動軸(1320)と、前記連結部材(1500)の前記他端(1500b)と、の間の距離(D2)より小さいことを特徴とする請求項3に記載の移植機。
前記走行変速軸(1110)の前記角軸部(1120)を前記ブレーキ部材(1300)の前記角溝部(1310)へ嵌合させる付勢部材(1600)を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の移植機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、野菜苗移植機などのような移植機において利便性を向上することが望ましいと考えている。
【0005】
なお、従来の野菜苗移植機においては、車輪ストッパーブロックなどがないと、車体はときには坂道などにおいて滑降して停止することができないので、利便性が必ずしも十分ではない。
【0006】
また、従来の野菜苗移植機においては、野菜苗の植付けの失敗が発生することがあり、手作業による野菜苗の植付けのやり直しがときには必要であるので、利便性が必ずしも十分ではない。
【0007】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、利便性を向上することができる移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、移植物を植付ける移植物植付け装置(50)と、
車体(10)を走行させる走行装置(12)と、
動力を前記走行装置(12)へ伝達する走行変速軸(1110)を有するトランスミッション機構(1100)と、
前記走行変速軸(1110)が前記動力を前記走行装置(12)へ伝達するまたは伝達しない複数の状態の内から一つの状態を選択する変速レバー(1200)と、
前記走行変速軸(1110)が前記動力を前記走行装置(12)へ伝達しない状態が前記変速レバー(1200)により選択されている場合に、前記走行変速軸(1110)を制動するブレーキ部材(1300)と、
を備え、
前記ブレーキ部材(1300)は、前記トランスミッション機構(1100)へ回動可能に取付けられており、
前記走行変速軸(1110)は、角軸部(1120)を有し、
前記ブレーキ部材(1300)は、前記走行変速軸(1110)の前記角軸部(1120)が嵌合可能である角溝部(1310)を有することを特徴とする移植機である。
第2の本発明は、前記ブレーキ部材(1300)により制動される前記走行変速軸(1110)は、前記走行変速軸(1110)が前記動力を前記走行装置(12)へ伝達しない状態が前記変速レバー(1200)により選択されている場合に、前記走行装置(12)と接続されていることを特徴とする第1の本発明の移植機である。
第3の本発明は、前記ブレーキ部材(1300)の姿勢を変化させるブレーキレバー(1400)を備え、
前記ブレーキ部材(1300)は、前記ブレーキレバー(1400)により変化させられる前記姿勢に応じて前記走行変速軸(1110)に接触可能であることを特徴とする第1または第2の本発明の移植機である。
第4の本発明は、一端(1500a)が前記ブレーキレバー(1400)へ取付けられており、他端(1500b)が前記ブレーキ部材(1300)へ取付けられている連結部材(1500)を備え、
前記ブレーキ部材(1300)の形状は、板形状であり、
前記走行変速軸(1110)の前記角軸部(1120)の軸方向は、前記ブレーキ部材(1300)の板厚方向であり、
前記トランスミッション機構(1100)へ回動可能に取付けられている前記ブレーキ部材(1300)の回動軸(1320)の軸方向は、前記ブレーキ部材(1300)の前記板厚方向であり、
前記ブレーキ部材(1300)の前記板厚方向から見るとき、前記ブレーキ部材(1300)の前記回動軸(1320)と、前記走行変速軸(1110)の前記角軸部(1120)と、の間の距離(D1)は、前記ブレーキ部材(1300)の前記回動軸(1320)と、前記連結部材(1500)の前記他端(1500b)と、の間の距離(D2)より小さいことを特徴とする第3の本発明の移植機である。
第5の本発明は、前記走行変速軸(1110)の前記角軸部(1120)を前記ブレーキ部材(1300)の前記角溝部(1310)へ嵌合させる付勢部材(1600)を備えることを特徴とする第1から第4のいずれかの本発明の移植機である。
本発明に関連する第1の
発明は、移植物を植付ける移植物植付け装置(50)と、
車体(10)を走行させる走行装置(12)と、
動力を前記走行装置(12)へ伝達する走行変速軸(1110)を有するトランスミッション機構(1100)と、
前記走行変速軸(1110)が前記動力を前記走行装置(12)へ伝達するまたは伝達しない複数の状態の内から一つの状態を選択する変速レバー(1200)と、
前記走行変速軸(1110)が前記動力を前記走行装置(12)へ伝達しない状態が前記変速レバー(1200)により選択されている場合に、前記走行変速軸(1110)を制動するブレーキ部材(1300)と、
を備えたことを特徴とする移植機である。
【0009】
本発明に関連する第2の
発明は、前記ブレーキ部材(1300)により制動される前記走行変速軸(1110)は、前記走行変速軸(1110)が前記動力を前記走行装置(12)へ伝達しない状態が前記変速レバー(1200)により選択されている場合に、前記走行装置(12)と接続されていることを特徴とする
本発明に関連する第1の
発明の移植機である。
【0010】
本発明に関連する第3の
発明は、前記ブレーキ部材(1300)の姿勢を変化させるブレーキレバー(1400)を備え、
前記ブレーキ部材(1300)は、前記ブレーキレバー(1400)により変化させられる前記姿勢に応じて前記走行変速軸(1110)に接触可能であることを特徴とする
本発明に関連する第1または第2の
発明の移植機である。
【0011】
本発明に関連する第4の
発明は、前記ブレーキ部材(1300)は、前記トランスミッション機構(1100)へ回動可能に取付けられており、
前記走行変速軸(1110)は、角軸部(1120)を有し、
前記ブレーキ部材(1300)は、前記走行変速軸(1110)の前記角軸部(1120)が嵌合可能である角溝部(1310)を有することを特徴とする
本発明に関連する第3の
発明の移植機である。
【0012】
本発明に関連する第5の
発明は、一端(1500a)が前記ブレーキレバー(1400)へ取付けられており、他端(1500b)が前記ブレーキ部材(1300)へ取付けられている連結部材(1500)を備え、
前記ブレーキ部材(1300)の形状は、板形状であり、
前記走行変速軸(1110)の前記角軸部(1120)の長手方向は、前記ブレーキ部材(1300)の板厚方向であり、
前記トランスミッション機構(1100)へ回動可能に取付けられている前記ブレーキ部材(1300)の回動軸(1320)の長手方向は、前記ブレーキ部材(1300)の前記板厚方向であり、
前記ブレーキ部材(1300)の前記板厚方向から見るとき、前記ブレーキ部材(1300)の前記回動軸(1320)と、前記走行変速軸(1110)の前記角軸部(1120)と、の間の距離(D1)は、前記ブレーキ部材(1300)の前記回動軸(1320)と、前記連結部材(1500)の前記他端(1500b)と、の間の距離(D2)より小さいことを特徴とする
本発明に関連する第4の
発明の移植機である。
【0013】
本発明に関連する第6の
発明は、前記走行変速軸(1110)の前記角軸部(1120)を前記ブレーキ部材(1300)の前記角溝部(1310)へ嵌合させる付勢部材(1600)を備えることを特徴とする
本発明に関連する第4または第5の
発明の移植機である。
【0014】
本発明に関連する第7の
発明は、移植物を植付ける移植物植付け装置(50)と、
車体(10)を走行させる走行装置(12)と、
植付けられた前記移植物を前から支える移植物前倒れ抑制部材(2000)と、
を備え、
前記移植物植付け装置(50)は、昇降させられるとともに、供給された前記移植物を受入れて植付ける移植物植付け具(51)を有し、
前記移植物前倒れ抑制部材(2000)の姿勢は、昇降させられる前記移植物植付け具(51)と干渉しないように変化させられることを特徴とする移植機である。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、走行変速軸(1110)が動力を走行装置(12)へ伝達しない状態が変速レバー(1200)により選択されている場合に、走行変速軸(1110)を制動するブレーキ部材(1300)を備えるので、車輪ストッパーブロックなどがなくても、車体(10)は坂道などにおいて滑降せず停止することができ、利便性を向上することが可能である。
本発明に関連する第1の
発明により、走行変速軸(1110)が動力を走行装置(12)へ伝達しない状態が変速レバー(1200)により選択されている場合に、走行変速軸(1110)を制動するブレーキ部材(1300)を備えるので、車輪ストッパーブロックなどがなくても、車体(10)は坂道などにおいて滑降せず停止することができ、利便性を向上することが可能である。
【0016】
本発明に関連する第2の
発明により、
本発明に関連する第1の
発明の効果に加えて、ブレーキ部材(1300)により制動される走行変速軸(1110)は、走行変速軸(1110)が動力を走行装置(12)へ伝達しない状態が変速レバー(1200)により選択されている場合に、走行装置(12)と接続されているので、利便性をより確実に向上することが可能である。
【0017】
本発明に関連する第3の
発明により、
本発明に関連する第1または第2の
発明の効果に加えて、ブレーキ部材(1300)は、ブレーキレバー(1400)により変化させられる姿勢に応じて走行変速軸(1110)に接触可能であるので、利便性をさらに向上することが可能である。
【0018】
本発明に関連する第4の
発明により、
本発明に関連する第3の
発明の効果に加えて、ブレーキ部材(1300)は、走行変速軸(1110)の角軸部(1120)が嵌合可能である角溝部(1310)を有するので、簡素な構成で利便性を向上することが可能である。
【0019】
本発明に関連する第5の
発明により、
本発明に関連する第4の
発明の効果に加えて、ブレーキ部材(1300)の板厚方向から見るとき、ブレーキ部材(1300)の回動軸(1320)と、走行変速軸(1110)の角軸部(1120)と、の間の距離(D1)は、ブレーキ部材(1300)の回動軸(1320)と、連結部材(1500)の他端(1500b)と、の間の距離(D2)より小さいので、ユーザー操作力を低減することが可能である。
【0020】
本発明に関連する第6の
発明により、
本発明に関連する第4または第5の
発明の効果に加えて、走行変速軸(1110)の角軸部(1120)をブレーキ部材(1300)の角溝部(1310)へ嵌合させる付勢部材(1600)を備えるので、安全性を向上することが可能である。
【0021】
本発明に関連する第7の
発明により、植付けられた移植物を前から支える移植物前倒れ抑制部材(2000)を備えるので、移植物の植付けの失敗が発生しにくく、手作業による移植物の植付けのやり直しはほとんど不要であり、利便性を向上することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
はじめに、
図1および2を参照しながら、本実施の形態の野菜苗移植機の構成および動作について具体的に説明する。
【0025】
ここに、
図1は本発明における実施の形態の野菜苗移植機の左側面図であり、
図2は本発明における実施の形態の野菜苗移植機の上面図である。
【0026】
以下同様であるが、理解がより容易になるように、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし省略的に示されていることもある。たとえば、
図1においては、野菜苗払い部材2000は示されていない。
【0027】
本実施の形態の野菜苗移植機は本発明における移植機の一例であり、本実施の形態の野菜苗は本発明における移植物の一例である。
【0028】
最初に説明されるのは、本実施の形態の野菜苗移植機の基本的な構成および動作である。したがって、たとえば、ブレーキアーム1300に関連する構成および動作などについては、後に詳細に説明する。
【0029】
駆動後輪12は本発明における走行装置の一例であり、野菜苗植付け装置50は本発明における移植物植付け装置の一例である。
【0030】
本実施の形態の野菜苗移植機は、エンジン20、操作ユニット30、野菜苗供給テーブル40、野菜苗植付け装置50、および鎮圧機構60などを備える。
【0031】
車体10の前部には、エンジン20などが、左右一対の従動前輪11とともに配置されている。
【0032】
操作ユニット30は、車体10のメインフレーム14へ取付けられている、ユーザーが車体10の後方を歩きながら車体操向操作を実行するための操縦ハンドル13の中央部に配置されており、メインクラッチレバーなどを有する。
【0033】
野菜苗供給テーブル40は、ループ状に連結されて周回移動させられる、ユーザーにより投入された野菜苗を収容する複数の野菜苗収容カップ41などを有する。
【0034】
車体10の後部には、植付けホッパー移動静軌跡に沿って上下移動させられる、野菜苗供給テーブル40により落下供給された野菜苗を植付ける野菜苗植付け装置50、および植付けられた野菜苗の周辺の土壌に鎮圧荷重を負荷する鎮圧機構60などが、左右一対の駆動後輪12とともに配置されている。
【0035】
野菜苗植付け装置50は、野菜苗を植付ける手段である。
【0036】
駆動後輪12は、車体10を走行させる手段である。
【0037】
なお、駆動後輪12などのような車輪ではない、クローラーが車体10を走行させる手段である変形例の実施の形態も、考えられる。
【0038】
(A)つぎに、
図3および4を主として参照しながら、ブレーキアーム1300に関連する構成および動作などについて詳細に説明する。
【0039】
ここに、
図3は本発明における実施の形態の野菜苗移植機のトランスミッション機構1100近傍の部分右側面図であり、
図4は本発明における実施の形態の野菜苗移植機のトランスミッション機構1100近傍の部分展開図である。
【0040】
図3および4においては、駆動後輪12が制動されるように、角軸部1120は角溝部1310の中へ嵌込んでいる状態が示されている。
【0041】
図4においては、エンジン出力軸101、油圧ポンプ伝動軸103、中継軸104および植付け伝動軸105を含む部分は上面視を利用して示されているが、走行伝動軸107を含む部分は展開されて下面視を利用して示されている。
【0042】
野菜苗植付けホッパー51は本発明における移植物植付け具の一例であり、ブレーキアーム1300は本発明におけるブレーキ部材の一例であり、連結ケーブル部材1500は本発明における連結部材の一例であり、圧縮スプリング1600は本発明における付勢部材の一例である。
【0043】
トランスミッション機構1100は、動力を駆動後輪12へ伝達する走行変速軸1110を有する手段である。
【0044】
変速レバー1200は、走行変速軸1110が動力を駆動後輪12へ伝達するまたは伝達しない複数の状態の内から一つの状態を選択する手段である。
【0045】
動力はトランスミッション機構1100のトランスミッションケースから駆動後輪12および野菜苗植付け装置50へ伝達されるが、回転する走行変速軸1110を介した駆動後輪12への動力の伝達状態は、走行調節レバーとして機能する変速レバー1200により、第一速である野菜苗植付け走行に利用される前進低速、第二速である路上走行に利用される前進高速、停止、および後進に対応する四つの状態の内の何れかへ切替えられる。
【0046】
このように、駆動後輪12への動力の伝達をトランスミッション機構1100において停止させるための停止操作位置が、変速レバー1200のレバー操作位置の一つとして設けられている。
【0047】
ブレーキアーム1300は、走行変速軸1110が動力を駆動後輪12へ伝達しない状態が変速レバー1200により選択されている場合に、走行変速軸1110を制動する手段である。
【0048】
すなわち、ブレーキアーム1300は、車体10の減速操作を実行するための走行ブレーキアームとして機能する手段ではなく、車体10の停止状態を維持するための駐車ブレーキアームとして機能する手段である。
【0049】
ブレーキアーム1300により制動される走行変速軸1110は、走行変速軸1110が動力を駆動後輪12へ伝達しない状態が変速レバー1200により選択されている場合に、駆動後輪12と接続されている。
【0050】
たとえば、トランスミッション機構1100の上流側にあるクラッチ軸は、走行変速軸1110が動力を駆動後輪12へ伝達しない状態が変速レバー1200により選択されている場合に、駆動後輪12と接続されていない。したがって、このようなクラッチ軸に設けられたブレーキアームでは、走行変速軸1110が動力を駆動後輪12へ伝達しない状態が変速レバー1200により選択されている場合に、駆動後輪12を制動することができないので、路上に設置されて車輪を制動する楔形状または棒形状の車輪ストッパーブロックなどがなければ、車体10は坂道などにおいて滑降してしまい停止することができないことがある。上述されたような走行変速軸1110に設けられたブレーキアーム1300は、走行変速軸1110が動力を駆動後輪12へ伝達しない状態が変速レバー1200により選択されている場合にも、駆動後輪12を制動することができるので、車輪ストッパーブロックなどがなくても、車体10は坂道などにおいて滑降せず停止することができる。
【0051】
車体10の停止状態を維持するための駐車ブレーキアームのような手段が走行チェーンケース22へ取付けられていると、左右の駆動後輪12の接地面中心の間の距離であるトレッドの調節の邪魔になりやすい。トランスミッション機構1100へ取付けられたブレーキアーム1300は他の部材の動作を妨げにくく、大掛かりな取付け部品は不要であるので、部品点数がトランスミッション機構1100への取付けにともなって増大してしまう恐れはない。具体的には、
図4に示されているように、ブレーキアーム1300は、トランスミッションケースの左右一側端部と、後述される植付け伝動スプロケット106に無端状に巻回される植付け伝動チェーンと、の間の、幅方向が車体左右方向である間隙に配置されている。
【0052】
トランスミッション機構1100は、エクステンションケース21を利用して、駆動後輪12への動力の伝達系の下流側にある走行チェーンケース22と接続されているので、ブレーキアーム1300は走行チェーンケース22による最終減速の前の小さいトルクに抗するための制動力しか要求されない。ブレーキアーム1300による制動は、エンジン20からの動力が伝達されない、坂道などでの停止に利用され、非常に小さい制動力で十分である。
【0053】
ブレーキレバー1400は、ブレーキアーム1300の姿勢を変化させる手段である。ブレーキアーム1300は、ブレーキレバー1400により変化させられる姿勢に応じて走行変速軸1110に接触可能である。
【0054】
ブレーキアーム1300の姿勢は、ブレーキ作用位置を与えるロック姿勢と、ブレーキ非作用位置を与えるアンロック姿勢と、の間でブレーキレバー1400のユーザー操作により変化させられる。したがって、駆動後輪12の制動が野菜苗植付け走行および路上走行の場合に意図せず実行されてしまう恐れはなく、走行がブレーキアーム1300の制動機能に起因して不安定にならない。そして、駆動後輪12の制動が意図せず解除されてしまう恐れもなく、車体10が坂道などにおいて滑降しにくい。
【0055】
ブレーキアーム1300は、トランスミッション機構1100へ回動可能に取付けられている。走行変速軸1110は、角軸部1120を有する。ブレーキアーム1300は、走行変速軸1110の角軸部1120が嵌合可能である角溝部1310を有する。
【0056】
本発明における実施の形態の野菜苗移植機のブレーキアーム1300近傍の部分拡大右側面図である
図5に示されているように、ブレーキアーム1300に形成された切欠き孔の一部は断面視においてV字形状の角張った角溝部1310であり、反対側の一部は断面視においてU字形状の丸い丸溝部1311である。したがって、トランスミッション機構1100のトランスミッションケースから突出している走行変速軸1110の右端に形成された角軸部1120が角溝部1310の中へ嵌込むと、角軸部1120の外周部は角溝部1310の壁部と確実に噛合い、駆動後輪12は小さい制動力でも確実に制動されるが、過大な負荷が駆動後輪12などに生じると、角軸部1120は角溝部1310の外へ抜出すので、駆動後輪12への動力の伝達系およびブレーキアーム1300は過大な負荷により破損しにくい。
【0057】
上述されたように、ブレーキアーム1300は、車体10の減速操作を実行するための走行ブレーキアームとして機能する手段ではなく、車体10の停止状態を維持するための駐車ブレーキアームとして機能する手段である。したがって、ブレーキアーム1300は、車体10の減速操作にともなう多段階の制動機能を要求されず、車体10の停止状態の維持にともなうロックまたはアンロックの二段階の制動機能しか要求されない。角軸部1120と角溝部1310との組合せによる構成は、簡素であるが、このような二段階の制動機能を十分に提供する。
【0058】
なお、走行変速軸1110の角軸部1120がブレーキアーム1300の角溝部1310へ嵌合するのではなく、ブレーキアーム1300の一部が走行変速軸1110の一部へ押付けられる変形例の実施の形態も、考えられる。
【0059】
連結ケーブル部材1500は、一端1500aがブレーキレバー1400へ取付けられており、他端1500bがブレーキアーム1300へ取付けられている手段である。ブレーキアーム1300の形状は、板形状である。走行変速軸1110の角軸部1120の長手方向は、ブレーキアーム1300の板厚方向である。トランスミッション機構1100へ回動可能に取付けられているブレーキアーム1300の回動軸1320の長手方向は、ブレーキアーム1300の板厚方向である。ブレーキアーム1300の板厚方向から見るとき、ブレーキアーム1300の回動軸1320と、走行変速軸1110の角軸部1120と、の間の距離D1は、ブレーキアーム1300の回動軸1320と、連結ケーブル部材1500の他端1500bと、の間の距離D2より小さい。
【0060】
回動軸1320は車体前後方向に関して角軸部1120の後方に設けられており、距離D1が距離D2より小さいアーム比が採用されているので、車体10の停止状態を維持するために必要なブレーキアーム1300の回動量が大きくならず、ブレーキレバー1400のユーザー操作力も大きくならない。
【0061】
圧縮スプリング1600は、走行変速軸1110の角軸部1120をブレーキアーム1300の角溝部1310へ嵌合させる手段である。
【0062】
本発明における実施の形態の野菜苗移植機のブレーキレバー1400近傍の部分拡大左側面図である
図6に示されているように、ブレーキアーム1300は操縦ハンドル13の下側へ取付けられており、ユーザー操作力が矢印Xの向きに上方からブレーキレバー1400へ印加されると、連結ケーブル部材1500は圧縮スプリング1600の付勢力に抗して引張られる。そして、角軸部1120が角溝部1310の中へ嵌込んでいないように、ブレーキアーム1300がそのまま固定されると、駆動後輪12は制動されない。このような構成においては、ユーザーの手が操縦ハンドル13で覆われたブレーキレバー1400へ上方から意図せず接触することはほとんど全くないが、ユーザーの手がブレーキレバー1400へ下方から意図せず接触しても、連結ケーブル部材1500が引張られてしまう恐れはなく、いわゆる戻しスプリングとしても機能する圧縮スプリング1600の付勢力が手伝うので、駆動後輪12が制動されるように、角軸部1120は角溝部1310の中へ嵌込もうとする。
【0063】
伸長しようとする圧縮スプリング1600の付勢力が手伝うので、角軸部1120は小さなブレーキレバー1400のユーザー操作力で角溝部1310の中へ嵌込み、駆動後輪12は制動されるが、過大な負荷が駆動後輪12などに生じると、圧縮スプリング1600はさらに収縮して角軸部1120は角溝部1310の外へ抜出すので、駆動後輪12への動力の伝達系およびブレーキアーム1300は過大な負荷により破損しにくい。したがって、駆動後輪12が制動されないブレーキアーム1300の姿勢と比べて、駆動後輪12が制動されるブレーキアーム1300の姿勢は優先させられるので、安全性は向上され、前端が回動可能なブレーキアーム1300へ当接し後端がしっかりしたエクステンションケース21などへ当接するように連結ケーブル部材1500の他端1500bに装着された圧縮スプリング1600は収縮可能であるので、装置耐久性も向上される。
【0064】
エンジン20からの動力は、トランスミッション機構1100の上流側にあるクラッチ軸およびプーリなどを介してエンジン出力軸101へ伝達される。そして、エンジン出力軸101へ伝達された動力は、油圧ポンプ102の油圧ポンプ伝動軸103および中継軸104を介して植付け伝動軸105へ伝達される。植付け伝動軸105へ伝達された動力の一部は植付け伝動軸105の一端へ取付けられた植付け伝動スプロケット106を介して野菜苗植付け装置50の植付け伝動ケースへ伝達され、植付け伝動軸105へ伝達された動力の残りは走行変速軸1110を介して走行伝動軸107へ伝達される。走行変速軸1110には植付け伝動軸105からの動力を変速レバー1200による切替えに応じて伝達するための選択される複数個のギヤが取付けられているが、植付け伝動軸105からの動力が後輪12への動力の伝達状態が停止である場合に走行変速軸1110へ伝達されないことは言うまでもない。そして、左右の走行伝動軸107には、左右のサイドクラッチワイヤ110を介して操作ユニット30の把持グリップと接続された左右のサイドクラッチアーム109の回動を利用して、車体10の進行方向の変化時または旋回時にそれぞれオンオフされる、左右のサイドクラッチ108がそれぞれ取付けられている。
【0065】
したがって、後輪12への動力の伝達状態が停止である場合などに、ブレーキアーム1300は、駆動後輪12と接続されている、走行伝動軸107の上流側にある走行変速軸1110を制動するので、駆動後輪12は制動され、傾斜または振動などに起因する車体10の滑降は抑制される。そして、ブレーキアーム1300の姿勢は、ブレーキレバー1400を利用して変化させられる。
【0066】
(B)つぎに、
図7〜9を主として参照しながら、野菜苗払い部材2000に関連する構成および動作などについて詳細に説明する。
【0067】
ここに、
図7は本発明における実施の形態の鎮圧機構60および野菜苗植付けホッパー昇降機構70近傍の部分左側面図であり、
図8は本発明における実施の形態の鎮圧機構60および野菜苗植付けホッパー昇降機構70近傍の部分上面図であり、
図9は本発明における実施の形態の鎮圧機構60および野菜苗植付けホッパー昇降機構70近傍の部分斜視図である。
【0068】
図7〜9においては、左の野菜苗植付けホッパー51は下降させられ、ケーブル2100は前方へ引張られ、ゴム板2200は前方へ回動させられている状態が示されている。
【0069】
図7においては、ネギ苗Pが植付け静軌跡Lに沿って植付けられた後に次の静軌跡Lnに沿って植付けられるべき次のネギ苗Pnが示されている。
図8および9においても、ネギ苗Pが植付けられた後に植付けられるべき次のネギ苗Pnは示されている。
【0070】
野菜苗払い部材2000は、本発明における移植物前倒れ抑制部材の一例である。
【0071】
野菜苗払い部材2000は、植付けられた野菜苗を前から支える手段である。野菜苗植付け装置50は、昇降させられるとともに、供給された野菜苗を受入れて植付ける野菜苗植付けホッパー51を有する。野菜苗払い部材2000の姿勢は、昇降させられる野菜苗植付けホッパー51と干渉しないように変化させられる。
【0072】
野菜苗払い部材2000が鎮圧輪支持フレームロッド64へ取付けられているので、車体前後方向に関して揺動しながら昇降させられる野菜苗植付け装置50により植付けられた野菜苗は、たとえば、長いネギ苗Pが野菜苗として圃場Fに植付けられる場合にも、車体10の進行向きへ倒れにくく、野菜苗が植付けられた後に上方へ退避させられる野菜苗植付け装置50が植付けられた野菜苗を抓んで引抜いてしまう恐れはない。したがって、野菜苗の植付けの失敗が発生しにくく、手作業による野菜苗の植付けのやり直しはほとんど不要である。
【0073】
野菜苗払い部材2000のゴム板2200は、ゴム板ヒンジ2300を利用して、鎮圧輪支持フレームロッド64へ回動可能に取付けられている。そして、ケーブル2100の前端は野菜苗植付けホッパー昇降カム72を利用して揺動させられる野菜苗植付けホッパー昇降アーム71へ取付けられており、ケーブル2100の後端はゴム板ヒンジ2300を利用してゴム板2200へ取付けられている。
【0074】
したがって、野菜苗払い部材2000の動作は、つぎに詳細に説明されるように、左右の野菜苗植付けホッパー51を昇降させる野菜苗植付けホッパー昇降機構70の動作と連動する。
【0075】
左の野菜苗植付けホッパー51を昇降させる野菜苗植付けホッパー昇降アーム71が前方へ回動され、左の野菜苗植付けホッパー51が野菜苗を植付けるために最下点へ向かって下降させられると、ケーブル2100は前方へやや伸びながら引張られ、ゴム板2200はケーブル2100により前方へ回動させられる。したがって、前方へ回動させられるゴム板2200は、野菜苗植付けホッパー51と干渉しない。
【0076】
野菜苗が植付けられた後、野菜苗植付けホッパー昇降アーム71が後方へ回動され、左の野菜苗植付けホッパー51が最上点へ向かって上昇させられると、ケーブル2100は後方へやや緩みながら押戻され、ゴム板2200は、必要に応じて挿入されるトルクスプリングなどによるゴム板ヒンジ2300の復元力が手伝って、ケーブル2100により後方へ回動させられる。したがって、後方へ回動させられるゴム板2200は、植付けられた野菜苗が前へ倒れる場合にも、前へ倒れる野菜苗を前から優しく支えるのみならず、ホッパースクレーパーとしても機能し、上昇させられる野菜苗植付けホッパー51の前側などに付着した泥土を優しく除去する。
【0077】
なお、野菜苗払い部材2000が二つのホッパー構成体により構成された左の野菜苗植付けホッパー51に対応して設けられているのではなく、野菜苗払い部材2000が二つのホッパー構成体により構成された右の野菜苗植付けホッパー51に対応して設けられている、または二つの野菜苗払い部材2000が左右の野菜苗植付けホッパー51に対応して設けられている変形例の実施の形態も、考えられる。
【0078】
鎮圧輪ウェイト62および鎮圧輪スプリング63を取付けるための三つの鎮圧輪支持フレームロッド64は、独立的に設けられている。左の鎮圧輪61は左の鎮圧輪支持フレームロッド64へ取付けられており、右の鎮圧輪61は右の鎮圧輪支持フレームロッド64へ取付けられている。中央部に配置された二つの鎮圧輪61は、中央部に配置された鎮圧輪支持フレームロッド64へ一体的に動くように取付けられている。したがって、長手方向に関する断面視においてかまぼこ形状の畝においても、鎮圧荷重が植付けられた野菜苗の周辺の土壌に負荷される。
【0079】
左右の鎮圧輪支持フレームロッド64へそれぞれ取付けられた左右の鎮圧輪61の間の車体左右方向に関する間隔は、鎮圧輪支持フレーム六角軸65に沿うスライドで調節される。中央部に配置された鎮圧輪支持フレームロッド64へ一体的に動くように取付けられた二つの鎮圧輪61の背面視における鉛直線からの傾斜角度は、鎮圧輪車軸の回動で調節される。したがって、鎮圧輪間隔および鎮圧輪傾斜角度は、植付け条間隔に応じて簡素な構成で調節可能である。
【0080】
(C)つぎに、
図10を主として参照しながら、野菜苗カップ収容機構3000に関連する構成および動作などについて詳細に説明する。
【0081】
ここに、
図10(a)〜(d)は、本発明における実施の形態の野菜苗カップ収容機構3000近傍の模式的な部分左側面図(その一から四)である。
【0082】
野菜苗カップ収容機構3000は、ユーザーにより投入されたタマネギ苗Qなどのような野菜苗を半自動的に野菜苗収容カップ41に収容する機構である。
【0083】
蓋プレート回動軸部材3120は、野菜苗収容カップ41の上端に形成されている。内蓋プレート3111および外蓋プレート3112は、一体的に回動するように蓋プレート回動軸部材3120へ取付けられている。サイズが小さい内蓋プレート3111は、下方へ回動すると、野菜苗収容カップ41の中へ入込む。サイズが大きい外蓋プレート3112は、下方へ回動しても、シャフト部材3210の上端へ当接し、野菜苗収容カップ41の中へ入込まない。
【0084】
底プレート回動軸部材3320は、野菜苗収容カップ41の下端に形成されている。底プレート3310は、回動するように底プレート回動軸部材3320へ取付けられている。サイズが大きい底プレート3310は、上方へ回動しても、シャフト部材3210の下端へ当接し、野菜苗収容カップ41の中へ入込まない。
【0085】
内蓋プレート3111および外蓋プレート3112、ならびに底プレート3310の開閉状態を制御するためのシャフト部材3210は、上下方向に関してスライド可能に野菜苗収容カップ41へ取付けられている。
【0086】
圧縮シャフトスプリング3202は、シャフト部材3210に装着されている。圧縮シャフトスプリング3202の上端は野菜苗収容カップ41へ固定されており、圧縮シャフトスプリング3202の下端はシャフト部材3210の下端へ固定されている。
【0087】
外蓋プレート3112がシャフト部材3210の上端へ当接して野菜苗収容カップ41の入口は外蓋プレート3112で覆われている状態が維持されるように、互いに吸着する蓋プレートマグネット3101およびシャフトマグネット3201はそれぞれ外蓋プレート3112およびシャフト部材3210に設けられている。
【0088】
図10(a)に示されているように、矢印Y1の向きに上方から投入されたタマネギ苗Qなどのような野菜苗は、野菜苗収容カップ41の入口は外蓋プレート3112で覆われていない状態が実現されるように上方へ回動させられている内蓋プレート3111を押下げ、野菜苗収容カップ41の中へ入込む。
【0089】
図10(b)に示されているように、外蓋プレート3112は、蓋プレート自重による錘機能が手伝って、矢印Y2の向きに内蓋プレート3111と一体的に回動させられ、シャフト部材3210の上端へ当接する。すると、蓋プレートマグネット3101およびシャフトマグネット3201は互いに吸着するので、野菜苗収容カップ41の入口は外蓋プレート3112でほぼ覆われている状態が実現される。
【0090】
図10(c)に示されているように、タマネギ苗Qなどのような野菜苗は、上方へ回動させられている底プレート3310を押下げ、矢印Y3の向きに野菜苗収容カップ41の外へ飛出す。すると、圧縮シャフトスプリング3202は矢印Y4の向きに伸長しながらシャフト部材3210を押下げ、外蓋プレート3112は矢印Y5の向きに回動させられるので、野菜苗収容カップ41の入口は外蓋プレート3112で完全に覆われている状態が実現される。
【0091】
図10(d)に示されているように、底プレート3310は、必要に応じて挿入されるトルクスプリングなどによる底プレート回動軸部材3320の復元力が手伝って、矢印Y6の向きに上方へ回動させられ、シャフト部材3210を戻り反動で押上げる。すると、シャフト部材3210は矢印Y7の向きに内蓋プレート3111を突上げで押上げるので、内蓋プレート3111は、必要に応じて軸の一部に形成される突起などによる蓋プレート回動軸部材3120のストッパー係止力が手伝って、外蓋プレート3112と一体的に回動させられた後に係止され、野菜苗収容カップ41の入口は外蓋プレート3112で覆われていない状態が再現される。
【0092】
野菜苗を半自動的に野菜苗収容カップ41に収容する機構においては、野菜苗収容カップ41の個数が大きく、野菜苗が収容されている野菜苗収容カップ41と、ユーザーが野菜苗を投入しなければならない、野菜苗が収容されていない野菜苗収容カップ41と、は見分けがつきにくい。しかしながら、上述されたように、野菜苗が投入された野菜苗収容カップ41の入口は外蓋プレート3112で覆われている状態が実現されるので、野菜苗が収容されている野菜苗収容カップ41と、野菜苗が収容されていない野菜苗収容カップ41と、は容易に見分けがつき、二つの野菜苗が同じ野菜苗収容カップ41に投入されてしまう恐れはない。