【実施例】
【0013】
以下、本発明の一実施例に係る車両用内燃機関について、図面を用いて説明する。
図1から
図15は、本発明の一実施例に係る車両用内燃機関を示す図である。
図1から
図15において、上下前後左右方向は、車両の進行する方向を前、後退する方向を後とした場合に、車両の幅方向が左右方向、車両の高さ方向が上下方向である。
【0014】
まず、構成を説明する。
図1において、車両1は、左サイドメンバ2L、右サイドメンバ2Rおよびクロスメンバ3を備えている。
【0015】
左サイドメンバ2Lおよび右サイドメンバ2Rは、車両1の幅方向(以下、車幅方向という)に離隔して前後方向に延びている。クロスメンバ3は、左サイドメンバ2Lおよび右サイドメンバ2Rから車幅方向の内方に延びており、左サイドメンバ2Lと右サイドメンバ2Rとを連結している。
【0016】
車両1の前部には左サイドメンバ2Lおよび右サイドメンバ2Rおよびクロスメンバ3によって囲まれるエンジンルーム4が設けられており、エンジンルーム4にはパワートレイン5が配置されている。
【0017】
パワートレイン5は、内燃機関としてのエンジン6と変速機7とから構成されており、エンジン6と変速機7とは、左サイドメンバ2Lおよび右サイドメンバ2Rに対して車幅方向の内側において車幅方向に並んで配置されている。エンジン6は、熱エネルギーを機械的エネルギーに変換し、変速機7は、エンジン6の回転速度を変速して出力する。
【0018】
左サイドメンバ2Lには左マウント装置8が設けられており、左マウント装置8は、パワートレイン5を左サイドメンバ2Lに弾性的に支持している。右サイドメンバ2Rには右マウント装置9が設けられており、右マウント装置9は、パワートレイン5を右サイドメンバ2Rに弾性的に支持している。
【0019】
クロスメンバ3にはリヤマウント装置10が設けられており、リヤマウント装置10は、パワートレイン5をクロスメンバ3に弾性的に支持している。本実施例の右マウント装置9は、本発明のマウント装置を構成する。
【0020】
図2において、エンジン6は、シリンダブロック11、シリンダヘッド12(
図3参照)、シリンダヘッドカバー13およびオイルパン14を備えている。本実施例のシリンダブロック11、シリンダヘッド12は、本発明のエンジン本体を構成する。
【0021】
シリンダブロック11およびシリンダヘッド12の車幅方向の右側面にはチェーンケース21が取付けられており(
図3参照)、チェーンケース21は、シリンダブロック11およびシリンダヘッド12の右側面に設けられた図示しないタイミングチェーンを覆っている。本実施例のチェーンケース21は、本発明のケース部材を構成する。
【0022】
シリンダブロック11には図示しない複数の気筒が設けられている。気筒には図示しないピストンが収納されており、ピストンは、気筒に対して上下方向に往復運動する。ピストンは、図示しないコネクティングロッドを介してクランクシャフト15に連結されており、ピストンの往復運動は、コネクティングロッドを介してクランクシャフト15の回転運動に変換される。
【0023】
シリンダヘッド12にはそれぞれ図示しない複数の吸気ポート、吸気ポートを開閉する複数の吸気バルブ、複数の排気ポートおよび排気ポートを開閉する複数の排気
バルブ等が設けられている。吸気ポートは、気筒に空気を導入し、排気ポートは、気筒内で燃焼された排気ガスを気筒から排出する。
【0024】
図3において、シリンダヘッド12とシリンダヘッドカバー13との間には動弁室16が形成されており、動弁室16には排気カムシャフト17および図示しない吸気カムシャフトが収容されている。
【0025】
排気カムシャフト17には排気カム17Aが設けられており、排気カム17Aは、排気カムシャフト17の回転に伴って排気バルブを駆動することにより、排気ポートを開閉する。なお、吸気カムシャフトの詳細については説明を省略する。
【0026】
排気カムシャフト17の右端部には可変動弁機構の油圧アクチュエータ18が設けられている。油圧アクチュエータ18は、オイルが導入される図示しない進角室と遅角室とを備えている。油圧アクチュエータ18は、進角室にオイルが導入されると、排気カムシャフト17の回転位相を進角側に制御し、遅角室にオイルが導入されると、排気カムシャフト17の回転位相を遅角側に制御する。
【0027】
チェーンケース21によって覆われるタイミングチェーンは、クランクシャフト15と排気カムシャフト17と吸気カムシャフトとを連結しており、タイミングチェーンは、クランクシャフト15の動力を排気カムシャフト17および吸気カムシャフトに伝達する。
オイルパン14にはクランクシャフト15やピストン等を潤滑するためのオイルが貯留されている。
【0028】
図2において、エンジン6の右側にはウォータポンププーリ22、クランクプーリ23、ジェネレータプーリ24およびアイドラプーリ25が回転自在に設けられている。
ウォータポンププーリ22は、シリンダブロック11に装着された図示しないウォータポンプの入力軸22Aに固定されており、ウォータポンププーリ22は、入力軸22Aと共に回転し、ウォータポンプに動力を伝達する。クランクプーリ23は、クランクシャフト15の右端部に固定されており、クランクシャフト15と一体で右回りに回転する。
【0029】
ジェネレータプーリ24は、シリンダブロック11に装着されたジェネレータ26の入力軸26Aに固定されており、入力軸26Aと共に回転してジェネレータ26に動力を伝達する。ジェネレータ26は、入力軸26Aに設けられた図示しないロータが回転することで、電磁誘導作用により発電し、図示しないバッテリを充電する。アイドラプーリ25は、シリンダブロック11に回転自在に支持されている。本実施例のウォータポンプおよびジェネレータ26は、本発明の補機を構成する。
【0030】
ウォータポンププーリ22、クランクプーリ23、ジェネレータプーリ24およびアイドラプーリ25には無端状の駆動ベルト27が巻き掛けられている。駆動ベルト27は、クランクシャフト15の動力をクランクプーリ23からウォータポンププーリ22およびジェネレータプーリ24に伝達することにより、ウォータポンプおよびジェネレータ26を回転駆動する。
【0031】
アイドラプーリ25は、駆動ベルト27のクランクプーリ23からジェネレータプーリ24へ走行する部分に張力を付与するようにクランクプーリ23とジェネレータプーリ24との間に設けられている。
【0032】
チェーンケース21にはベルトテンショナ31が配置されており、ベルトテンショナ31は、後述する膨出部51よりも下方に配置されている。ベルトテンショナ31は、車幅方向から見て、クランクプーリ23の上方であって、ウォータポンププーリ22に対して前方に配置されている。
【0033】
ベルトテンショナ31は、アーム32と、テンショナプーリ33と、オートテンショナ34とを備えている。アーム32は、一端部がシリンダブロック11に揺動自在に支持されている。テンショナプーリ33は、アーム32の他端部に回転自在に支持されており、駆動ベルト27に接触している。
【0034】
オートテンショナ34は、軸方向に伸縮自在な筒状のダンパ34Aを有する。ダンパ34Aの上端部(一端部)にはテンショナ連結部34aが設けられており、ダンパ34Aの下端部(他端部)は、アーム32に連結されている。
【0035】
ダンパ34Aの内周部には図示しないスプリングが設けられており、ダンパ34Aは、スプリングに付勢されて伸びることにより、軸方向に押圧力を生じさせる。これにより、オートテンショナ34は、アーム32を介してテンショナプーリ33を駆動ベルト27に押し付けることで、駆動ベルト27に張力を付与でき、駆動ベルト27の張力の低下による緩みが抑制される。
【0036】
この結果、駆動ベルト27と各プーリ22、23、24との間に滑りが発生することが抑制される。なお、オートテンショナ34は、スプリング式に限定されるものではなく、油圧
式、空気式等のオートテンショナから構成されてもよく、テンションを付与するためのスプリングと減衰用の油圧とが併用されるものから構成されてもよい。
【0037】
図2、
図10において、チェーンケース21には上下方向に延びる平坦部21Aが形成されている。
図4において、平坦部21Aにはテンショナ連結用ボス部52が形成されており、テンショナ連結部34aは、ボルト37Aによってテンショナ連結用ボス部52に連結されている。本実施例のベルトテンショナ31は、本発明の張力付与部材を構成し、オートテンショナ34は、本発明のテンショナ部材を構成する。
【0038】
図3、
図4において、右マウント装置9は、防振マウント部材41とマウントブラケット45とを備えている。防振マウント部材41は、右サイドメンバ2R側に設けられている。防振マウント部材41は、外筒42と、マウントゴム43と、軸部材44とを有し、外筒42および軸部材44は、夫々の中心軸が上下方向に延びている。
【0039】
外筒42には外筒42から車幅方向外方に延びる取付け片42Aと車両前後方向に延びる取付け片42Bとが設けられている。取付け片42Aは、ボルト37Bによって車体パネル36に固定されており、取付け片42Bは、ボルト37Cによって右サイドメンバ2Rに固定されている(
図5から
図8参照)。本実施例の右サイドメンバ2Rおよび車体パネル36は、本発明の車体を構成する。
【0040】
マウントゴム43は、外筒42に収容されており、マウントゴム43の外周部は、加硫接着等によって外筒42に固定されている。軸部材44は、マウントゴム43の内周部に加硫接着等によって固定されている。
【0041】
軸部材44にはボルト37Dによってマウントブラケット45が連結されており、マウントブラケット45は、防振マウント部材41とチェーンケース21とを連結している。本実施例の軸部材44は、本発明のマウント側連結部を構成する。
【0042】
チェーンケース21は、車幅方向において防振マウント部材41に対向してエンジン6に設けられている。
図9、
図10において、チェーンケース21の平坦部21Aの上側には膨出部51が設けられている。
【0043】
膨出部51は、車幅方向でチェーンケース21の外側面から防振マウント部材41に向かって膨らみ、かつ、防振マウント部材41に対して前後方向に離隔して設けられている(
図8参照)。
【0044】
膨出部51の上部には前後方向に延びるケース側連結部51Aが設けられており、膨出部51にはケース側連結部51Aから下方に延びる3つのねじ溝51aが形成されている(
図8、
図10参照)。
【0045】
本実施例のマウントブラケット45は、軸部材44と膨出部51のケース側連結部51Aとを連結しており、
図1に示すように、防振マウント部材41は、パワートレイン5を右サイドメンバ2Rおよび車体パネル36に弾性的に支持している。
【0046】
図3から
図5において、マウントブラケット45は、第1のマウントブラケット46と第2のマウントブラケット47とに分割されている。
【0047】
図12、
図13において、第1のマウントブラケット46は、上壁部61と縦壁部62とを備えている。上壁部61は、前後方向に延びている。上壁部61は、上壁部61の延びる方向の中央部を境にして基端側(車両1の前後方向後方側)にブラケット側連結部61Aが形成され、先端側(車両1の前後方向前方側)にブラケット側連結部61Aから軸部材44の車幅方向側方まで延びる中間連結部61Bが形成されている(
図7参照)。
【0048】
ブラケット側連結部61Aには2つの貫通穴61aが形成されており、ブラケット側連結部61Aは、ボルト37Fによって膨出部51のケース側連結部51Aに連結されている(
図5、
図7参照)。
図7において、膨出部51の一部を仮想線で示している。
【0049】
図7において、本実施例の中間連結部61Bは、上壁部61の上部で、かつ、膨出部51のケース側連結部51Aと前後方向に隣接する位置に設けられている。中間連結部61Bには3つの貫通穴61bが形成されており、中間連結部61Bには第2のマウントブラケット47の一端部がボルト37Gおよびスタッドボルト37Hによって連結されている(
図5、
図6参照)。
【0050】
第2のマウントブラケット47の他端部は、ボルト37Dによって軸部材44の上端に連結されている(
図3参照)。ここで、中間連結部61Bが上壁部61の上部に位置するとは、上壁部61と別体の中間連結部61Bが上壁部61との上部に取付けられていること、中間連結部61Bが上壁部61の上面から構成されていることを含む。中間連結部61Bは、第2のマウントブラケット47の一端部が載置される部位を構成する。
【0051】
図12において、縦壁部62は、前後方向に延びるブラケット側連結部61Aと中間連結部61Bとに対応する領域において、上壁部61の車両の幅方向外端部61cから下方に延びている。
図13にブラケット側連結部61Aと中間連結部61Bとの前後方向の領域(範囲)を示す。
【0052】
すなわち、縦壁部62は、車幅方向でケース側連結部51Aと対向して前後方向に延びるブラケット側連結部61Aと、ブラケット側連結部61Aに連続して前後方向に延びる中間連結部61Bとに対応する上壁部61の前後方向の領域において、上壁部61の車両の幅方向外端部61cから下方に延びている。
【0053】
図9、
図10において、チェーンケース21の平坦部21Aには前側ボス部53A、後側ボス部53Bおよび上側ボス部53Cが形成されている。縦壁部62の延びる方向の下端部および前端部は、ボルト37I(
図11参照)によって前側ボス部53A、後側ボス部53Bおよび上側ボス部53Cに連結されている。
【0054】
図12、
図13において、縦壁部62には前側ボス部62A、後側ボス部62Bおよび上側ボス部62Cが形成されており、前側ボス部62A、後側ボス部62Bおよび上側ボス部62Cは、縦壁部62からチェーンケース21に向かって突出している(
図14参照)。
【0055】
図9、
図10において、チェーンケース21の後側ボス部53Bは、膨出部51の下方に形成されている。前側ボス部53Aは、膨出部51より下方において後側ボス部53Bの前側で、かつ後側ボス部53Bと前後方向に並んで形成されている。
【0056】
前側ボス部53Aは、ケース側連結部51Aに対して前後方向に離れて設けられており、後側ボス部53Bは、ケース側連結部51Aの真下に形成されている。
【0057】
図11において、上側ボス部53Cは、中間連結部61Bに対してケース側連結部51Aと反対側であって、中間連結部61Bに対して前後方向に隣接して形成されている。
図9において、上側ボス部53Cは、膨出部51と前後方向に対向しており、前側ボス部53Aに対して前側の斜め上方に形成されている。
【0058】
前側ボス部53Aは、ボルト37Iによって縦壁部62の前側ボス部62Aに連結され、後側ボス部53Bは、ボルト37Iによって縦壁部62の後側ボス部62Bに連結される。上側ボス部53Cは、ボルト37Iによって縦壁部62の上側ボス部62Cに連結される。
【0059】
これにより、第1のマウントブラケット46は、前側ボス部62A、後側ボス部62B、上側ボス部62Cおよびブラケット側連結部61Aによってチェーンケース21に強固に連結される。
【0060】
図9において、チェーンケース21を車幅方向の外方から見た場合に、チェーンケース21は、シリンダブロック11とシリンダヘッド12との接合部19(
図3参照)よりも上側の幅が接合部19よりも下側の幅より広く形成されている。
【0061】
平坦部21Aにおいて、前側ボス部53A、後側ボス部53Bは、接合部19よりも上方に形成されている。これにより、第1のマウントブラケット46は、接合部19の上側に配置されている。
【0062】
図12、
図13において、縦壁部62の外周部には外周リブ62Dが形成されており、外周リブ62Dは、縦壁部62からチェーンケース21に向かって突出し(
図7、
図14参照)、上壁部61の前端と後端とを連結している。
【0063】
図12、
図13において、前側ボス部62A、後側ボス部62Bおよび上側ボス部62Cは、外周リブ62D上に形成されており、前側ボス部62A、後側ボス部62Bおよび上側ボス部62Cは、外周リブ62Dによって上壁部61に連結されている。
【0064】
縦壁部62には仕切壁62Eが形成されており、仕切壁62Eは、外周リブ62Dの内方において上下方向に延び、上壁部61と縦壁部62の下端部(下側の外周リブ62D)とを連結している。
【0065】
仕切壁62Eは、上壁部61の延びる方向(前後方向)の中央部から下方に延びており、上壁部61は、仕切壁62Eを境にして基端側にブラケット側連結部61Aが形成され、先端側に中間連結部61Bが形成されている。
【0066】
第1のマウントブラケット46は、仕切壁62Eに対して一方側(前側)設けられたリブ形成領域71と、仕切壁62Eに対して他方側(後側)に設けられたリブ非形成領域72とを有する。
【0067】
リブ形成領域71は、仕切壁62Eを境にして中間連結部61Bから下方に延びる縦壁部62に対応する領域であり、リブ非形成領域72は、仕切壁62Eを境にしてブラケット側連結部61Aから下方に延びる縦壁部62に対応する領域である。
【0068】
リブ形成領域71において、縦壁部62には縦壁部62からチェーンケース21に向かって突出する縦リブ62F、62Gと横リブ62H、62I、62Jが形成されている。リブ非形成領域72において、縦壁部62は、平坦であり、縦壁部62にはリブが形成されていない。
【0069】
縦リブ62F、62Gは、上下方向に延びており、縦リブ62F、62Gの上端は、中間連結部61Bに連結されている。縦リブ62Fは、中間連結部61Bの下部から前側ボス部62Aまで延びており、縦リブ62Fは、前側ボス部62Aと中間連結部61Bとを連結している。
【0070】
横リブ62H、62I、62Jは、前後方向に延びている。横リブ62I、62Jは、仕切壁62Eと縦リブ62Gとを連結しており、横リブ62Hは、上側ボス部62Cと縦リブ62Fとを連結している。本実施例の縦リブ62F、62Gおよび横リブ62H、62I、62Jは、本発明のリブを構成する。
【0071】
図9において、前側ボス部53Aと後側ボス部53Bとを横切って前後方向に延びる第1の仮想平面91と、ケース側連結部51Aに沿って前後方向に延びる第2の仮想平面92と、前側ボス部53Aを通って上下方向に延びる第3の仮想平面93と、後側ボス部53Bを通って上下方向に延びる第4の仮想平面94とによって囲まれる空間を第1のマウントブラケット46が配置されるブラケット配置空間96とした場合に、オートテンショナ34のテンショナ連結部34aは、ブラケット配置空間96に配置されている。
【0072】
第1の仮想平面91は、前側ボス部53Aの上端と後側ボス部53Bの上端とを結んだ仮想平面91aと、前側ボス部53Aの下端と後側ボス部53Bの下端とを結んだ仮想平面91bとの間を通っていればよい。
第3の仮想平面93は、前側ボス部53Aの前端と後端との間を通っていればよく、第4の仮想平面94は、後側ボス部53Bの前端と後端との間を通っていればよい。
【0073】
本実施例のテンショナ連結部34aは、ブラケット配置空間96の範囲内に配置されていればよいが、本実施例においては、テンショナ連結部34aは、ブラケット配置空間96のうち、前側ボス部53Aと後側ボス部53Bとの間のボス間空間97に配置されている。換言すれば、テンショナ連結部34aは、仮想平面91aと仮想平面91bとの間のボス間空間97に配置されている。
【0074】
すなわち、本実施例のテンショナ連結部34aは、前側ボス部53A、後側ボス部53B、膨出部51によって囲まれるブラケット配置空間96のうち、前側ボス部53Aと後側ボス部53Bとの間のボス間空間97に配置されている。
【0075】
テンショナ連結部34aは、第1の仮想平面91の延びる方向の中心部91cを上下方向に横切る第5の仮想平面95に対して前側ボス部53A側に偏って配置されている。なお、第1の仮想平面91の延びる方向の中心部91cは、前側ボス部53Aと後側ボス部53Bとの間の前後方向の中心部である。
図10において、テンショナ連結用ボス部52は、前側ボス部53Aと前後方向に隣接して配置されており、テンショナ連結用ボス部52は、前側ボス部53Aに連結されている。
【0076】
これにより、本実施例の後側ボス部53Bおよびケース側連結部51Aは、第5の仮想平面95に対して後側に配置され、前側ボス部53Aおよびテンショナ連結部34aは、第5の仮想平面95に対して前側に配置されることになる。
【0077】
図9、
図10において、チェーンケース21の平坦部21Aの上側であり、かつ膨出部51の下側にはシリンダ部63が配置されており、シリンダ部63には油圧制御弁64が挿入されている。
図3において、シリンダ部63は、車幅方向において縦壁部62に対向するようにチェーンケース21と縦壁部62との間に形成されている。
【0078】
図9、
図10において、シリンダ部63は、上下方向において膨出部51とテンショナ連結用ボス部52、前側ボス部53Aおよび後側ボス部53Bとの間を横切るように形成されている。
【0079】
具体的には、本実施例のシリンダ部63および油圧制御弁64は、縦壁部62に対向し、かつ、上下方向でケース側連結部51Aに隣接した位置において、上壁部61、縦壁部62、前側ボス部53Aおよび後側ボス部53Bに囲まれるブラケット配置空間96に配置されている。
【0080】
油圧制御弁64は、シリンダ部63に挿入される図示しないプランジャと、シリンダ部63から外方に突出し、プランジャを駆動する電磁ソレノイド等の制御部64Aとを備えている。
【0081】
シリンダ部63には図示しないオイルポンプからオイルが導入される。シリンダ部63は、チェーンケース21に形成された図示しないオイル通路を通して油圧アクチュエータ18の進角室と遅角室とにそれぞれ連通している。
【0082】
プランジャは、制御部64Aによって駆動されることにより、オイルポンプからシリンダ部63に供給されるオイルを進角室および遅角室のいずれか一方に供給するようにオイルの流れる方向を切換える。本実施例の油圧アクチュエータ18は、本発明の油圧機器を構成する。
【0083】
後側ボス部53Bは、シリンダ部63の軸方向一端部に設けられており、シリンダ部63は、シリンダ部63の軸方向他端部が、シリンダ部63の下方に配置された第1の仮想平面91から離れるように、水平面98に対して傾斜している。本実施例の第1の仮想平面91は、本発明の仮想平面を構成する。
【0084】
なお、本実施例のエンジン6は、図示しない気筒軸が上下方向に対して前方に傾くようにしてエンジンルーム4に配置されている。右マウント装置9を介して右サイドメンバ2Rに連結されるケース側連結部51Aは、右マウント装置9が傾かないように水平面に形成されている。
【0085】
したがって、ケース側連結部51Aを通る第2の仮想平面92は、水平面に形成されている。
図9において、第2の仮想平面92と異なる水平面98を形成したのは、シリンダ部63が水平面98に対して傾斜していることをより明確にするためである。
【0086】
本実施例の前側ボス部53Aおよび後側ボス部53Bは、本発明のケース側ボス部を構成し、前側ボス部53Aは、本発明の第1のケース側ボス部を構成する。上側ボス部53Cは、本発明の第2のケース側ボス部を構成し、後側ボス部53Bは、本発明の第3のケース側ボス部を構成する。
【0087】
前側ボス部62Aは、本発明の第1のボス部を構成し、上側ボス部62Cは、本発明の第2のボス部を構成する。前側ボス部62A、後側ボス部62Bおよび上側ボス部62Cは、本発明のブラケット側ボス部を構成する。
【0088】
図11において、リブ形成領域71は、車幅方向において油圧制御弁64の制御部64Aに対向しており、リブ非形成領域72は、車幅方向においてシリンダ部63に対向している。
【0089】
図9、
図10において、チェーンケース21の上部には複数の補強リブ65、66、67が形成されており、補強リブ65、66、67は、膨出部51の下部からシリンダ部63を横切って下方に延びている。
【0090】
補強リブ65、66は、膨出部51の下部からブラケット配置空間96を通ってその下端部65a、66aがテンショナ連結用ボス部52の下方まで延びている。補強リブ65、66は、シリンダ部63の外周面に連結されており、平坦部21Aおよびシリンダ部63から車幅方向外方の縦壁部62に向かって突出している。
【0091】
補強リブ67は、平坦部21Aおよびシリンダ部63から車幅方向外方の縦壁部62に向かって突出しており、膨出部51とシリンダ部63とテンショナ連結用ボス部52とは、補強リブ67によって連結されている。
【0092】
本実施例の補強リブ65、66は、本発明の第1の補強リブを構成し、補強リブ67は、本発明の第2の補強リブを構成する。
【0093】
本実施例のエンジン6によれば、チェーンケース21に、膨出部51よりも下方に位置する前側ボス部53Aと、膨出部51よりも下方に位置し、前側ボス部53Aに対して後方に位置する後側ボス部53Bとが形成されている。
【0094】
マウントブラケット46は、中間連結部61Bを有し、膨出部51のケース側連結部51Aに連結される第1のマウントブラケット46と、中間連結部61Bと軸部材44とを連結する第2のマウントブラケット47とに分割されている。
【0095】
第1のマウントブラケット46は、基端側がケース側連結部51Aに連結される上壁部61と、上壁部61から下方に延び、延びる方向の下端部が前側ボス部53Aおよび後側ボス部53Bに連結される縦壁部62とを備えている。
【0096】
前側ボス部53Aと後側ボス部53Bとを結んだ第1の仮想平面91と、ケース側連結部51Aを通って前後方向に延びる第2の仮想平面92と、前側ボス部53Aを通って上下方向に延びる第3の仮想平面93と、後側ボス部53Bを通って上下方向に延びる第4の仮想平面94とによって囲まれる空間を第1のマウントブラケット46が配置されるブラケット配置空間96とした場合に、オートテンショナ34のテンショナ連結部34aがブラケット配置空間96に配置されている。
【0097】
これにより、テンショナ連結部34aが連結されるチェーンケース21の部位が、凹凸部に比べて剛性の低い平坦部21Aであっても、平坦部21Aの剛性を膨出部51、前側ボス部53Aおよび後側ボス部53Bによって高くできる。
【0098】
これに加えて、第1のブラケット46を膨出部51のケース側連結部51A、前側ボス部53Aおよび後側ボス部53Bに連結することにより、平坦部21Aの剛性をさらに高くできる。
【0099】
このため、オートテンショナ34のテンショナ連結部34aから平坦部21Aに加わる応力(駆動ベルト27からの反力)が加わった場合に、平坦部21Aが撓むことを防止できる。この結果、シリンダブロック11およびシリンダヘッド12とチェーンケース21との連結力が低下することを防止でき、エンジン6の機密性を確保できる。
【0100】
なお、本実施例のテンショナ連結部34aは、チェーンケース21の平坦部21Aに連結されているが、平坦部21Aではなく、凹部、凸部または凹凸部であってもよい。このような場合であっても、凹部、凸部または凹凸部が撓むことを防止できる。
【0101】
また、本実施例のエンジン6によれば、テンショナ連結部34aは、ブラケット配置空間96のうち、前側ボス部53Aと後側ボス部53Bとの間のボス間空間97に配置されているので、前側ボス部53Aと後側ボス部53Bとの間の剛性の高い平坦部21Aの部位にテンショナ連結部34aを連結できる。
【0102】
このため、オートテンショナ34のテンショナ連結部34aから平坦部21Aに応力が加わった場合に、平坦部21Aが撓むことをより効果的に防止でき、シリンダブロック11およびシリンダヘッド12とチェーンケース21との連結力が低下することをより効果的に防止できる。
【0103】
また、本実施例のエンジン6によれば、テンショナ連結部34aは、前側ボス部53Aと後側ボス部53Bとの間において第1の仮想平面91の延びる方向の中心部91cを上下方向に横切る第5の仮想平面95に対して前側ボス部53A側に偏って配置されている。
【0104】
これにより、第5の仮想平面95に対して後側において右マウント装置9から膨出部51を介して平坦部21Aに加わるマウント荷重、すなわち、エンジン6の振動時に右マウント装置9から膨出部51に加わる反力と、第5の仮想平面95に対して前側においてオートテンショナ34のテンショナ連結部34aから平坦部21Aに加わる応力とを第5の仮想平面95を境にして前後に分散して平坦部21Aに伝達できる。
【0105】
このため、平坦部21Aが撓むことをより効果的に防止でき、シリンダブロック11およびシリンダヘッド12とチェーンケース21との連結力が低下することをより効果的に防止できる。
【0106】
なお、本実施例のテンショナ連結部34aは、第1の仮想平面91の延びる方向の中心部91cを上下方向に横切る第5の仮想平面95に対して前側ボス部53A側に偏って配置されているが、これに限定されるものではない。
【0107】
例えば、ケース側連結部51Aが第5の仮想平面95に対して前側に配置される場合には、テンショナ連結部34aは、第5の仮想平面95に対して後側ボス部53B側に偏って配置されてもよい。
【0108】
また、本実施例のエンジン6によれば、チェーンケース21に、テンショナ連結部34aに連結されるテンショナ連結用ボス部52が形成されており、テンショナ連結用ボス部52が、前側ボス部53Aに連結されている。
【0109】
これにより、テンショナ連結用ボス部52および前側ボス部53Aによってテンショナ連結部34aが連結される平坦部21Aの剛性を高くできる。これにより、右マウント装置9から膨出部51を介して平坦部21Aに加わるマウント荷重と、オートテンショナ34のテンショナ連結部34aから平坦部21Aに加わる応力とを第5の仮想平面95を境にして前後により効果的に分散して平坦部21Aに伝達できる。
【0110】
このため、平坦部21Aが撓むことをより効果的に防止でき、シリンダブロック11およびシリンダヘッド12とチェーンケース21との連結力が低下することをより効果的に防止できる。
【0111】
なお、本実施例のテンショナ連結用ボス部52は、前側ボス部53Aに連結されているが、これに限定されるものではない。ケース側連結部51Aが第5の仮想平面95に対して前側に配置され、テンショナ連結部34aが第5の仮想平面95に対して後側ボス部53B側に偏って配置されている場合には、テンショナ連結用ボス部52は、後側ボス部53Bに連結されてもよい。
【0112】
また、本実施例のエンジン6によれば、チェーンケース21に、エンジン6に設けられ油圧アクチュエータ18にオイルを供給する油圧制御弁64が挿入されるシリンダ部63が形成されており、シリンダ部63は、上下方向において縦壁部62に対向し、膨出部51とテンショナ連結用ボス部52との間を横切る。
【0113】
これにより、テンショナ連結部34aが連結される平坦部21Aの平坦面の面積をシリンダ部63の配置スペース分だけ少なくして平坦部21Aの剛性を高くできる。このため、オートテンショナ34のテンショナ連結部34aから平坦部21Aに応力が加わった場合に、平坦部21Aが撓むことをより効果的に防止でき、シリンダブロック11およびシリンダヘッド12とチェーンケース21との連結力が低下することをより効果的に防止できる。
【0114】
また、本実施例のエンジン6によれば、チェーンケース21に、膨出部51の下部からシリンダ部63を横切って下方に延びる補強リブ65、66が形成されており、補強リブ65、66は、ブラケット配置空間96を通ってその下端部65a、66aがテンショナ連結用ボス部52の下方まで延びている。
【0115】
これにより、補強リブ65、66によって平坦部21Aの剛性をより一層高くできる上に、右マウント装置9から膨出部51を介して平坦部21Aに加わるマウント荷重を補強リブ65、66によってチェーンケース21の下方に逃がすことができる。
また、オートテンショナ34のテンショナ連結部34aから平坦部21Aに加わる応力を補強リブ65、66から剛性の高い膨出部51に伝達できる。
【0116】
このため、右マウント装置9から膨出部51を介して平坦部21Aに加わるマウント荷重と、オートテンショナ34のテンショナ連結部34aから平坦部21Aに加わる応力とを第5の仮想平面95を境にして前後により効果的に分散し、かつ、分散した荷重が平坦部21Aに強く伝達されることを抑制できる。このため、平坦部21Aが撓むことをより効果的に防止できる。
【0117】
また、本実施例のエンジン6によれば、チェーンケース21に、膨出部51の下部からシリンダ部63を横切って下方に延びる補強リブ67が形成されており、補強リブ67によって膨出部51とシリンダ部63とテンショナ連結用ボス部52とが連結されている。
【0118】
これにより、補強リブ67によって平坦部21Aの剛性をより一層高くできる上に、テンショナ連結部34aから平坦部21Aに加わる応力を、補強リブ67を通して剛性の高い膨出部51に伝達できる。
【0119】
このため、右マウント装置9から膨出部51を介して平坦部21Aに加わるマウント荷重と、オートテンショナ34のテンショナ連結部34aから平坦部21Aに加わる応力とを第5の仮想平面95を境にして前後により効果的に分散し、かつ、分散した荷重が平坦部21Aに強く伝達されることをより効果的に抑制できる。このため、平坦部21Aが撓むことをより効果的に防止できる。
【0120】
また、本実施例のエンジン6によれば、シリンダ部63と後側ボス部53Bとが連結されているので、シリンダ部63と後側ボス部53Bとによって平坦部21Aの剛性をより一層高くできる。
【0121】
このため、右マウント装置9から膨出部51を介して平坦部21Aに加わるマウント荷重と、オートテンショナ34のテンショナ連結部34aから平坦部21Aに加わる応力とが平坦部21Aに強く伝達されることをより効果的に抑制できる。このため、平坦部21Aが撓むことをより効果的に防止できる。
【0122】
なお、ケース側連結部51Aが第5の仮想平面95に対して前側に配置され油圧制御弁64の制御部64Aが後側ボス部53B側に配置されている場合には、前側ボス部53Aとシリンダ部63とを連結してもよい。
【0123】
さらに、本実施例の右マウント装置9は、ブラケット配置空間96のうち、前側ボス部53Aと後側ボス部53Bとの間のボス間空間97に配置されているが、ブラケット配置空間96の範囲であれば、どこに配置されていてもよい。
【0124】
例えば、
図15において仮想線で示すように、第1マウントブラケット46に対向するチェーンケース21にテンショナ連結用ボス部101を形成し、テンショナ連結部34aを第1マウントブラケット46の内方においてテンショナ連結用ボス部101に連結してもよい。
【0125】
また、本実施の形態では、ベルトテンショナ31が、アーム32とオートテンショナ34とを有し、オートテンショナ34が軸方向に伸縮自在な筒状のダンパ34Aを有し、ダンパ34Aの下端部がアーム32を介してテンショナプーリ33に連結されているが、これに限定されるものではない。例えば、ダンパ34Aの下端部にテンショナプーリ33が回転自在に連結される構成であってもよい。
【0126】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。