(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フード部および前記本体部には、前記嵌合状態において対向配置されるとともに前記雄コネクタと前記雌コネクタとの嵌合方向に沿って延びて凹凸係合することにより前記嵌合方向を案内する案内部が設けられており、
一対の前記案内部が、前記小フード部の下端の下方側に隣接して前記本体部に対して対向する位置に設けられている請求項1に記載のコネクタ。
前記一対の案内部は、一方側が前記フード部に設けられ内側に向けて突出する雄側案内リブおよび前記本体部に設けられた雌側案内溝であり、他方側が前記本体部に設けられ外側に向けて突出する雌側案内リブおよび前記フード部に設けられた雄側案内溝である請求項2に記載のコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一実施形態を
図1ないし
図26によって説明する。
【0019】
本実施形態のコネクタ1は、互いに嵌合可能な雌コネクタ10と雄コネクタ50とを備え、雌コネクタ10に装着されたレバー40を回動操作することで雌雄両コネクタ10,50が嵌合可能とされたものである。尚、以下の説明においては、雌雄両コネクタ10,50の嵌合方向を基準としてそれぞれ嵌合面側を前方とし、反対方向を後方とする。また、雌雄両コネクタ10,50の設置方向を基準として、
図2の上側を上方とし、下側を下方とする。さらに、雌コネクタ10を正面から見た場合の右側(
図2の右側)を右とし、左側を左とする。
【0020】
図1ないし
図8に示す雌コネクタ10は、合成樹脂製の雌コネクタハウジング11と、複数の雌端子(図示せず)と、レバー40とを備えている。雌コネクタハウジング11は、例えば
図1に示すように、ブロック状をなす本体部12を有しており、複数の雌端子は本体部12を前後方向に貫通して設けられた複数のキャビティ13内に後方側から収容されている。なお
図1の雌コネクタハウジング11は、説明上わかり易いように横倒しの状態とされているが、雌コネクタ10が車両に設置される際には、
図1の左側が上方に配される。
【0021】
本体部12は
図2の正面図に示すように縦長の直方体状に形成されており、本実施形態では高さ(上下)方向の寸法が幅(左右)方向の寸法の約3倍とされている。
【0022】
本体部12は、嵌合方向Xに沿って分割された二つの部材を組み付けることにより形成されている。一方は上方側に配される第1分割体14であり、他方は下方側に配される第2分割体15である。第1分割体14と第2分割体15とは高さ方向の比が約2:1とされており、幅(左右)方向と深さ(前後)方向の寸法は同等とされている。
【0023】
第1分割体14のうち第2分割体15との対向面14Aの左方寄りの領域には、左側の端縁部から所定距離L1離れた位置に、前端から嵌合方向X(前後方向)に延びる突当リブ16が突出して設けられている。また、同じく対向面14Aの前方寄りの領域には、嵌合方向Xと直交する方向Y(左右方向)に延びる一対の第1突条部17および第2突条部18が突出して設けられている。前方側に配される第1突条部17は、基端側から3条の片が側方に向けて略放射状に張り出しており、後方側に配される第2突条部18は、基端側から2条の片が側方に向けて放射状に張り出している。
【0024】
これらの一対の突条部17,18は、突当リブ16から連続して右側方(
図1の上方)に向けて延びており、対向面14Aの右側の端縁部から所定距離L1離れた位置まで形成されている。またこれらの一対の突条部17,18の対向面14Aからの突出寸法は、突当リブ16の対向面14Aからの突出寸法と同等とされており、突出方向における先端面が面一とされている。
【0025】
一方、第2分割体15は、第1分割体14と対向する側縁部のうち左側の側縁部が、前端から嵌合方向X(前後方向)に沿って断面L字形状に切り欠かれた第1切欠部21とされており、その切り欠き面に沿うように第1分割体14の突当リブ16の下面および右側面が当接されるようになっている(
図2参照)。また、右側の側縁部も、前端から断面L字形状に切り欠かれた第2切欠部22とされている。
【0026】
さらに、第2分割体15の第1分割体14との対向面15Aのうち、第1切欠部21および第2切欠部22の間の中央領域には、上述した一対の突条部17,18を嵌め入れる一対の受け溝23,24が左右方向(Y方向)に延びて設けられている(
図4参照)。受け溝23,24は、突条部17,18を嵌め入れるべく、開口から溝の底部側に向けて広がる断面略C字形状をなしている。
【0027】
また、
図4に示すように、一対の突条部17,18および受け溝23,24の後方側(
図4の右側)には、第1分割体14の対向面14A側が突出し、第2分割体15の対向面15A側が窪む段差状の段差部25が設けられている。第1分割体14および第2分割体15は、これら一対の突条部17,18および受け溝23,24と段差部25とが左右方向(Y方向)に相対的にスライドしつつ互いに噛み合わされることにより、一体的に組み付けられるようになっている。
【0028】
なお、組み付け状態の本体部12においては、
図2に示すように、第1分割体14の対向面14Aと、突当リブ16の左側面と、第1切欠部21とで囲まれた領域が、本体部12の左側面から前後方向に延びる溝状に窪む雌側第1案内溝261とされ、同じく第1分割体14の対向面14Aと、第2切欠部22(一対の突条部17,18の右端面を含む)とで囲まれた領域が、本体部12の右側面から前後方向に延びる溝状に窪む雌側第2案内溝262とされている。雌側第1案内溝261および雌側第2案内溝262は、いずれも溝深さがL1とされているとともに、本体部12に対して互いに対向する位置に形成されている。
【0029】
また本体部12には、雌側第1案内溝261および雌側第2案内溝262の他にも、前端から嵌合方向X(前後方向)に延びる5つの雌側案内溝26が設けられている。以下、第1分割体14の右側面の高さ方向における中央付近に設けられたものを雌側第3案内溝263、上面に設けられたものを雌側第4案内溝264、左側面の上方寄りに設けられたものを雌側第5案内溝265、第2分割体15の底面に設けられたものを雌側第6案内溝266、右側面の高さ方向における中央付近に設けられたものを雌側第7案内溝267とする。このうち雌側第4案内溝264と雌側第6案内溝266とは、本体部12に対して互いに対向する位置に形成されている。
【0030】
さらに本体部12には、第1分割体14の右側面のうち、雌側第5案内溝265に対向する位置に、外側に向けて突出するとともに前端から嵌合方向X(前後方向)に延びる雌側第1案内リブ271が設けられている。また、第2分割体15の左右の側面の下端においても、雌側第1案内リブ271と同様の形態とされるとともに互いに対向する雌側第2案内リブ272および雌側第3案内リブ273が突出して設けられている。雌側第2案内リブ272および雌側第3案内リブ273は本体部12の下端に設けられている。
【0031】
本体部12には、前後方向に貫通する複数のキャビティ13が形成されている。より詳細には、第1分割体14には複数の第1キャビティ131が横2列に設けられるとともに、第1キャビティ131より大きい第2キャビティ132が第1キャビティ131と並んで一列設けられている。また第2分割体15には、第2キャビティ132が横3列に並んで設けられている。
【0032】
これらの複数のキャビティ13は、いずれもキャビティ13内の右壁にランスが設けられる向きで形成されている。図示しない雌端子をキャビティ13内に挿入する際には、雌コネクタハウジング11の左側面を下方に配した状態(
図1の状態)に倒し、後方側から電線に接続された雌端子を挿入するとともに、リテーナ28を右側(
図1の上方)から装着して雌端子を抜け止めする。
【0033】
その後、雌端子が保持された雌コネクタ10を車両の所定の位置に設置する際には、雌コネクタ10を90度回転させて後述する小フード部30が上方に配される縦置きの状態で設置する。このようにすることにより、雌端子をより円滑にキャビティ13内に設置することができる。
【0034】
雌コネクタハウジング11には、本体部12の上方および側方の一部を覆うように配される正面視門型(U字形状)の小フード部30が設けられている。小フード部30は、
図4に示すように、本体部12の後端(
図4の右側)付近から外側に向けて立ち上がるとともに、前方に延びる断面略L字形状をなしている。その後方側の外面には、小フード部30の上面と本体部12の背面とを連結するように斜めに架け渡し、かつ、小フード部30の背面と本体部12の上面とを連結する形態の、複数の案内部31が設けられている(
図21参照)。
【0035】
小フード部30の前端は、本体部12の前後方向(X方向)における中央部よりやや後方側とされており、前後方向において本体部12のうち後方領域だけを覆っている。また、小フード部30は、本体部12の右側面および左側面のうち上方領域だけを覆っている。なお、小フード部30の内周面と本体部12の外周面との間は、後述するフード部52の先端を緊密に嵌め入れることができる寸法の嵌合空間Sとされている。
【0036】
なお、上述した雌側第1案内リブ271および雌側第5案内溝265は、小フード部30の下端の下方側に隣接するとともに、本体部12に対して互いに対向する位置に設けられている。
【0037】
雌コネクタハウジング11には、待機位置と嵌合位置との間で回動可能なレバー40が装着されている。レバー40は、例えば
図5の背面図に示すように略門形をなし、操作部41と、操作部41の両端部に連結されるとともに対向状態で配された一対の板状の右アーム部42Rおよび左アーム部42Lとから構成されている。
【0038】
一対のアーム部42R,42Lには回動孔43が設けられており、これらの回動孔43に雌コネクタハウジング11の本体部12の両側面から突出する回動軸29が嵌め入れられることで、レバー40が雌コネクタハウジング11に対して回動可能に支持されている。そして、レバー40の回動操作に伴い、レバー40の内側に設けられたカム溝44と後述する雄コネクタハウジング51のカムピン56とのカム作用により、雌雄のコネクタ10、50が嵌合されるようになっている。
【0039】
レバー40の右アーム部42Rには、ロック片46が設けられている(
図1参照)。ロック片46は、レバー40が嵌合位置に配された際に、その先端に設けられた係止爪46Aが後述する雄コネクタハウジング51のロック孔62に係止することにより、雄雌コネクタ10,50の嵌合状態をロックするようになっている。
【0040】
また右アーム部42Rの内側には、後述する雄側第1案内溝541を逃がすための逃がし部49が設けられている(
図23参照)。
【0041】
またレバー40の左アーム部42Lは、
図24の嵌合位置に配された状態おいて、操作部41に隣接した基端側(
図24の上方)の領域が前方(
図24の右側)に向けて略半円形状に張り出す張出部47とされている。張出部47は基端側から連続した滑らかな側縁部を有して張り出している。また、張出部47より先端側(
図24の下方側)の領域も前方に向けて張出部47よりやや緩やかに張り出すとともに、その縁部に沿って外面側が段差状に窪んでおり、嵌合位置に配された状態において後述する規制部60により雌コネクタハウジング11からの離脱が規制される抜止部48とされている。
【0042】
なお張出部47は、
図14に示す嵌合開始位置から
図15に示す嵌合途中、そして、
図24に示す嵌合状態にわたって、小フード部30と摺接するように設定されている。
【0043】
一方、
図9ないし
図11に示す雄コネクタ50は、合成樹脂製の雄コネクタハウジング51を有し、この雄コネクタハウジング51には、前方に開口するフード部52が設けられている。フード部52は縦長の略直方体状の筐型に形成されており、雌コネクタハウジング11を内側に嵌合可能な大きさに設定されている。
【0044】
フード部52には、上述した雌コネクタハウジング11の雌側第1〜第7案内溝261〜267に嵌め入れるための雄側第1〜第7案内リブ531〜537が内側に向けて突出して設けられている。雄側第1〜第7案内リブ531〜537は、雌側第1〜第7案内溝261〜267に対応する位置に形成されている。このように雄側に複数のリブを設ける構成とすることにより、雄コネクタハウジング51内へ作業者の指が誤って入ることを抑制することができる。
【0045】
また、フード部52には、上述した雌コネクタハウジング11の雌側第1〜第3案内リブ271〜273を嵌め入れるための雄側第1〜第3案内溝541〜543が、外側に向けて張り出す形態で設けられている。
【0046】
フード部52の内部には、タブ状をなす複数の雄端子63(第1端子631、第2端子632)が前方に突出して設けられている。雄端子63は、雌コネクタハウジング11のキャビティ13(第1キャビティ131,第2キャビティ132)内に収容された雌端子と対応する位置に配置されている。雄端子63は、フード部52の奥壁55に圧入もしくはインサート成形によって固定されている。
【0047】
さらにフード部52の外面のうち高さ方向における中央付近には、外側に向けて突出してレバー40のカム溝44に係合する円柱状の一対のカムピン56が互いに対向する位置に設けられている。カムピン56は、レバー40のカム溝44と係合してカム作用を発揮する。
【0048】
フード部52の右隣(
図9の左側)には、前方に開口するレバー収容部57がフード部52と並んで設けられている。レバー収容部57は、
図9に示すように、フード部52より小さいサイズとされており、雌コネクタハウジング11に装着されたレバー40の一部(右アーム部42R)を内部に収容可能としている。
【0049】
詳細には、レバー収容部57は、
図11に示すように、前端(
図11の下側)がフード部52の前端と同位置とされるとともに後端はフード部52の後端より前方に配され、前後方向(X方向)においてはフード部52の約1/3の深さ寸法とされている。また、
図9に示すように、上端はフード部52と同高さとされる一方、下端はフード部52の底壁よりやや上方に配されており、フード部52に設けられた雄側第3案内溝543をその下方に逃がせるようになっている。なお、上述した一対のカムピン56のうち、フード部52の右側壁(
図9の左側)に設けられたカムピン56は、レバー収容部57内に配されている。また、上述した
雄側第1案内溝541も、レバー収容部57内に張り出して配されている。
【0050】
雄コネクタハウジング51(フード部52およびレバー収容部57)には、
図11および
図22に示すように、上壁から左側壁(
図11および
図22の右側)にかけて、壁の厚さ方向における外面側の一部が前端から後方に向けて切り欠かれて段差状に窪んだ小フード装着部58が設けられている。小フード装着部58は、上述した雌コネクタハウジング11の小フード部30を外嵌させるための領域である。雌コネクタ10および雄コネクタ50の嵌合状態においては、
図18に示すように、雄コネクタハウジング51の小フード装着部58が、雌コネクタハウジング11の本体部12と小フード部30との間の嵌合空間S内に緊密に嵌合されるようになっている。
【0051】
なお、小フード装着部58の段差の寸法は、小フード部30の壁部の厚さ寸法より小さい寸法に設定されており、
図18および
図23に示す嵌合状態においては、小フード部30の外面がフード部52の外面より僅かに突出するようになっている。
【0052】
さらに、雄コネクタハウジング51のうち小フード装着部58の右隣(
図11および
図22の左側)には、小フード部30の右側壁を下方に逃がすための切欠部59が設けられている。
【0053】
また、レバー収容部57(雄コネクタハウジング51)の右側壁には、レバー40が嵌合位置に配された状態において、レバー40のロック片46の係止爪46Aを係止するための矩形のロック孔62が貫通形成されている(
図12および
図17参照)。
【0054】
さらに、フード部52(雄コネクタハウジング51)の左側面の中央部付近には、当該左側面から段差状をなして扁平に突出する規制部60が設けられている(
図21参照)。規制部60は、レバー40の過剰な回動を規制するものであり、
図24に示すように、両コネクタ10,50の嵌合状態においては、左アーム部42Lの張出部47に当接してレバー40の過剰な回動を規制するようになっている。
【0055】
またこの規制部60は、
図21に示すように、後方側(
図21の左側)かつ下方側の段差状の部分が一部切り欠かれることにより収容部61が形成されており、この収容部61内に上述したレバー40の左アーム部42Lの抜止部48が収容されることにより、左アーム部42Lひいてはレバー40が嵌合状態のコネクタ1から離脱することが規制されるようになっている(
図20および
図24参照)。
【0056】
本実施形態のコネクタ1は以上の構成であって、続いてその作用・効果を説明する。
【0057】
まず、レバー40を待機位置にセットした雌コネクタ10の前端を、雄コネクタ50のフード部52内に相対的に進入させる。すると、レバー40のカム溝44内に、雄コネクタ50のカムピン56が進入する。
【0058】
次に、レバー40を待機位置から嵌合位置へと回動させる。すると、カムピン56がカム溝44の奥方へ相対的に移動し、このカム作用により、雌雄の両コネクタ10、50の嵌合が進行する。
【0059】
この時、雌コネクタ10の本体部12に設けられた雌側第1〜第3案内リブ271〜273が雄コネクタ50のフード部52に設けられた雄側第1〜第3案内溝541〜543内に進入(凹凸係合)するとともに、フード部52に設けられた雄側第1〜第7案内リブ531〜537が本体部12に設けられた雌側第1〜第7案内溝261〜267内に進入(凹凸係合)することにより、雌コネクタ10と雄コネクタ50との嵌合姿勢が正規姿勢に案内される。
【0060】
またレバー40の右アーム部42Rは、雄コネクタハウジング51のレバー収容部57内に進入する。一方レバー40の左アーム部42Lは、小フード部30と摺接しつつ雄コネクタハウジング51のフード部52の左側面に沿って回動し、左側面の外面に所定の隙間(小フード部30を内側に逃がすことが可能な隙間)を介して対向配置される(
図23参照)。
【0061】
さらに雌雄の両コネクタ10,50の嵌合が進み、雄コネクタ50のフード部52の先端が雌コネクタ10の小フード部30の先端まで到達すると、フード部52は小フード部30と本体部12との間の嵌合空間S内に進入する(
図18参照)。
【0062】
レバー40が嵌合位置まで回動され、雌雄コネクタ10、50が正規の嵌合状態となると、レバー40の右アーム部42Rに設けられたロック片46の先端の係止爪46Aが雄コネクタハウジング51のロック孔62内に係止し、雌雄コネクタ10、50の嵌合状態がロックされる(
図17参照)。
【0063】
なお、この嵌合過程において、雌コネクタハウジング11のキャビティ13から後方側に引き出された電線Wは、
図14、
図15、および
図24に示すように、小フード部30の案内部31の傾斜状とされた外面と、左アーム部42Lの張出部47の滑らかな側縁部とによって、外側に速やかに案内されるようになっている。また、上述したように、小フード部30と左アーム部42Lとは回動時に摺接するように設定されており、両者の間に隙間がないので、電線Wが小フード部30と左アーム部42Lとの間に誤って噛み込まれることが回避される。
【0064】
嵌合状態において、レバー40の左アーム部42Lは、張出部47が規制部60に当接しており、これにより、レバー40の過剰な回動が規制されている。また、左アーム部42Lの抜止部48の一部が規制部60の収容部61内に収容されることにより、左アーム部42Lひいてはレバー40が嵌合状態のコネクタ1から離脱することが規制されている(
図24参照)。
【0065】
さらにこの嵌合状態においては、雄コネクタ50のフード部52の先端は、雌コネクタ10の本体部12と小フード部30との間の嵌合空間S内に緊密な状態で嵌合している。すなわちこの状態において小フード部30は、雄コネクタハウジング51(フード部52)の先端に設けられた小フード装着部58の上面と、フード部52の一対の側面の上方部分とを外側から覆っている(
図23参照)。
【0066】
このような本実施形態のコネクタ1によれば、雌コネクタ10に、雄コネクタ50との嵌合状態においてフード部52の外側に配され、フード部52の先端の上方部分を上方および側方から覆う小フード部30が設けられている。
【0067】
よって、コネクタ1の上方から傘の雨水が落ちたり、飲み物等が溢された場合でも、雄コネクタ50のフード部52と雌コネクタ10の本体部12との境界部を上方から覆う小フード部30により、水分は小フード部30をつたって下方に流れ落ち、フード部52および本体部12の間の隙間から水分がコネクタ1内に浸入することが抑制される。しかも、小フード部30はフード部52の先端部を上方から覆うだけであって、コネクタ1の下方部分には設けられていないから、構造が簡易であるとともに、一般的な防水型のコネクタと比較して小型である。
【0068】
また、フード部52および本体部12には、嵌合状態において対向配置されるとともに、雌コネクタ10と雄コネクタ50との嵌合方向に沿って延びて凹凸係合することにより嵌合方向を案内する、複数の案内リブ271〜273、531〜537および案内溝261〜267、541〜543からなる案内部が設けられており、このうちの一対の案内部が、小フード部30の下端の下方側に隣接して本体部12に対して対向する位置に設けられている。
【0069】
上記一対の案内部は、一方側がフード部52に設けられ内側に向けて突出する雄側第5案内リブ535および本体部12に設けられた雌側第5案内溝265であり、他方側が本体部12に設けられ外側に向けて突出する雌側第1案内リブ271およびフード部52に設けられた雄側第1案内溝541である。
【0070】
このように、本体部12から外側に向けて突出する案内リブ27(雌側第1案内リブ271)を設けると、その案内リブ27を受けるための案内溝54(雄側第1案内溝541)をフード部52の外面側に突出させるように設けることとなるため、本実施形態のようにフード部52の一部を覆う小フード部30を設ける場合には、小フード部30が邪魔となり、フード部52において案内溝54を所望の位置に設けることができない場合がある。
【0071】
このような問題に対し、本実施形態では、雌コネクタ10に小フード部30が設けられている場合であっても、雌コネクタ10および雄コネクタ50の嵌合方向を案内する一対の案内部をできる限りコネクタ1の上端部寄り(小フード部30の下端の下方側に隣接した位置)において、しかも、本体部12に対して対向する位置に設けることで、案内機能を効果的に得ることができる。
【0072】
また、このようにフード部52から内側に突出する雄側案内リブ53と、逆に、本体部12から外側に突出する雌側案内リブ27とを組み合わせて、本体部12に対して対向する位置に設けているから、さらに案内機能を効果的に得ることができる。
【0073】
また、本体部12は、雌コネクタ10と雄コネクタ50との嵌合方向に沿って分割された第1分割体14および第2分割体15を組み付けてなり、第1分割体14および第2分割体15の互いに対向して配される対向面14Aおよび15Aの側縁部のうち、雌コネクタ10と雄コネクタ50の嵌合方向(X方向)に沿って配される側縁部に、嵌合方向に沿って切り欠かれた第1切欠部21および第2切欠部22が形成されており、これらの第1切欠部21および第2切欠部22は、フード部52において嵌合方向に沿って内側に向けて突出して設けられた雄側第1案内リブ531および雄側第2案内リブ532を受ける雌側第1案内溝261および雌側第2案内溝262とされている。
【0074】
このような構成によれば、従来は一の分割体と他の分割体とを組み付けるための組み付け機構が配されていた領域の一部を、コネクタ嵌合時の案内部を設ける領域として利用することができる。
【0075】
このような本実施形態のコネクタ1によれば、小型で、内部に簡単に水が入り難いコネクタ1とすることができる。
【0076】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0077】
(1)上記実施形態では、小フード部30を略門型とし、フード部の先端を上方および側方から覆う構成としたが、上方だけを覆う構成としてもよい。
【0078】
(2) 上記実施形態では、フード部52が小フード部30と本体部12とで囲まれた嵌合空間S内に緊密に嵌合する構成としたが、小フード部30を本体部12からより離れた位置に設け、フード部52の先端を離れた位置から覆う構成としてもよい。
【0079】
(3)案内リブや案内溝の位置や数は上記実施形態に限るものでなく、適宜変更することができる。
【0080】
(4)また、案内部(案内リブおよび案内溝)の凹凸の向きも、上記実施形態に限るものではない。
【0081】
(5)上記実施形態では、小フード部30に設ける案内部31を、小フード部30の上面と本体部12の背面とを連結するように斜めに架け渡し、かつ、小フード部30の背面と本体部12の上面とを連結する形態としたが、単に、小フード部30の上面と本体部12の背面とを連結する斜めの板状の形態としてもよい。
【0082】
(6)上記実施形態では、レバー40の左アーム部42Lと小フード部30とが摺接する形態としたが、必ずしも摺接しなくてもよい。要は、左アーム部42Lと小フード部30との間に隙間に電線Wが噛み込まない寸法に設定されていればよい。