特許第6885270号(P6885270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885270
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】スラブの溶削方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 7/06 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
   B23K7/06 F
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-173894(P2017-173894)
(22)【出願日】2017年9月11日
(65)【公開番号】特開2019-48315(P2019-48315A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2020年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】吉山 智明
(72)【発明者】
【氏名】山崎 泰生
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−296962(JP,A)
【文献】 特開2011−25258(JP,A)
【文献】 特公昭47−34587(JP,B1)
【文献】 特開平5−329635(JP,A)
【文献】 特開2006−205206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 7/06
B22D 11/126
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブの表面に可燃性ガスと酸素を吹き付けて燃焼させ、前記スラブの表面に湯溜まり部を形成する予熱工程と、前記スラブの表面に溶削用酸素を吹き付けるとともに前記スラブを搬送し、前記溶削用酸素と鉄との酸化反応熱によって、搬送される前記スラブの表面を溶削する溶削工程と、を有し、
予め、前記溶削用酸素を供給するマニホールドへの酸素注入開始からの経過時間と、前記溶削用酸素の圧力の関係を求めておき、
前記関係に基づいて、前記予熱工程から前記溶削工程への移行の際に、前記溶削用酸素の噴出流が前記湯溜まり部を通過する領域における前記溶削用酸素の圧力を所定の範囲内とすることを特徴とするスラブの溶削方法。
【請求項2】
前記溶削用酸素の圧力が所定の範囲内となるように、前記マニホールド内の圧力上昇速度、前記スラブの搬送開始タイミング、前記スラブの搬送開始後の加速度、のいずれか一つ以上を調整することを特徴とする請求項1に記載のスラブの溶削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スカーファー設備を用いて、スラブの表面を溶削するスラブの溶削方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造によって製造されるスラブの表面には、介在物の巻き込みや表面疵等の表面欠陥が発生することがある。
このようなスラブの表面欠陥を除去する際には、例えば特許文献1−3に開示されたスカーファー設備が用いられる。これらのスカーファー設備は、スラブの表面を局所的に加熱して溶融し、表面欠陥を除去するものである。
上述のスカーファー設備においては、スラブ表面に対向するようにスカーファーユニットが配設されている。
【0003】
このような構成のスカーファー設備においては、まず、スラブの表面に対して可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付け、可燃性ガスを燃焼させ、この燃焼熱により、スラブ表面の一部を溶融して湯溜まり部を形成する(予熱工程)。
次に、前記スラブの表面に溶削用酸素を供給するとともにスラブを搬送し、上述の湯溜まり部を熱源として溶削用酸素と鉄とを酸化反応させ、この酸化反応熱によってスラブ表面を深さ1〜3mm程度溶融し、表面欠陥を除去する(溶削工程)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−094124号公報
【特許文献2】特開2003−010966号公報
【特許文献3】特開2009−214173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、スカーファー設備によって溶削されるスラブの幅は、例えば500mmから2000mm程度とされている。ここで、スラブの溶削を同一の条件で実施した場合であっても、幅狭スラブと幅広スラブとでは、スラブの溶削状態が異なり、局所的に未溶削の部分が生じ、溶削後のスラブの表面に大きな凹凸が形成されることがあった。なお、スラブの表面に大きな凹凸が存在すると、その後の圧延工程において表面疵が発生してしまい、製品歩留りが低下することになる。このため、スラブの溶削を安定して行うことが求められている。
【0006】
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、幅の異なるスラブを溶削した場合であっても、安定して溶削を実施することができ、溶削後のスラブ表面に大きな凹凸が生じることを抑制することが可能なスラブの溶削方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、スラブの幅が異なる場合には、溶削用酸素を供給するマニホールドの容積が異なることになり、溶削用酸素の圧力の上昇速度に違いが生じていることが判明した。そして、予熱工程から溶削工程に移行する際に、スラブの搬送を開始して、溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部を通過する際の溶削用酸素の圧力によっては、湯溜まり部を維持することができず、未溶削部が生じてしまうなど、その後の溶削が不安定になるとの知見を得た。
【0008】
本発明は、上述の知見に基づいてなされたものであって、本発明に係るスラブの溶削方法は、スラブの表面に可燃性ガスと酸素を吹き付けて燃焼させ、前記スラブの表面に湯溜まり部を形成する予熱工程と、前記スラブの表面に溶削用酸素を吹き付けるとともに前記スラブを搬送し、前記溶削用酸素と鉄との酸化反応熱によって、搬送される前記スラブの表面を溶削する溶削工程と、を有し、予め、前記溶削用酸素を供給するマニホールドへの酸素注入開始からの経過時間と、前記溶削用酸素の圧力の関係を求めておき、前記関係に基づいて、前記予熱工程から前記溶削工程への移行の際に、前記溶削用酸素の噴出流が前記湯溜まり部を通過する領域における前記溶削用酸素の圧力を所定の範囲内とすることを特徴としている。
【0009】
この構成のスラブの溶削方法によれば、予め、前記溶削用酸素を供給するマニホールドへの酸素注入開始からの経過時間と、前記溶削用酸素の圧力の関係を求め、この関係に基づいて、前記予熱工程から前記溶削工程への移行の際に、前記溶削用酸素の噴出流が前記湯溜まり部を通過する領域における前記溶削用酸素の圧力を所定の範囲内とすることから、スラブの幅によってマニホールドの容積が異なる場合であっても、前記溶削用酸素の噴出流が前記湯溜まり部を通過する領域での前記溶削用酸素の圧力を適正値とすることができ、湯溜まり部を維持することが可能となり、その後の溶削工程を安定して実施することができる。よって、未溶削部が形成されることを抑制でき、溶削後にスラブ表面に大きな凹凸が生じることを抑制できる。
なお、前記溶削用酸素の噴出流が前記湯溜まり部を通過する領域における前記溶削用酸素の圧力の適正値は、スラブの鋼種、サイズ、溶削量(溶削深さ)、スラブ温度、スカーファー設備の構成等によって異なるため、安定した溶削が可能な条件を予め求めておくことになる。
【0010】
ここで、本発明のスラブの溶削方法においては、前記溶削用酸素の圧力が所定の範囲内となるように、前記マニホールド内の圧力上昇速度、前記スラブの搬送開始タイミング、前記スラブの搬送開始後の加速度、のいずれか一つ以上を調整することが好ましい。
この構成のスラブの溶削方法によれば、前記マニホールド内の圧力上昇速度、前記スラブの搬送開始タイミング、前記スラブの搬送開始後の加速度のいずれか一つ以上を調整することで、スラブの幅によってマニホールドの容積が異なる場合であっても、前記溶削用酸素の噴出流が前記湯溜まり部を通過する領域での前記溶削用酸素の圧力を適正値とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
上述のように、本発明によれば、幅の異なるスラブを溶削した場合であっても、安定して溶削を実施することができ、スラブ表面に大きな凹凸が生じることを抑制することが可能なスラブの溶削方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態であるスラブの溶削方法において使用されるスカーファー設備の側面説明図である。(a)が予熱工程、(b)が溶削工程の状況を示す。
図2図1に示すスカーファー設備の概略説明図である。(a)が幅狭スラブの溶削時、(b)が幅広スラブの溶削時の状況を示す。
図3】予熱工程から溶削工程への移行時における溶削用酸素の圧力及びスラブの搬送速度の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態であるスラブの溶削方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
まず、本発明の実施形態であるスラブの溶削方法が適用されるスカーファー設備10について、図1及び図2を参照して説明する。
このスカーファー設備10は、スラブ1の表面を局所的に加熱して溶融することにより、スラブ1の表面欠陥を除去するものである。なお、溶削の対象となるスラブ1の幅は、例えば550mm以上2000mm以下の範囲内とされている。
【0015】
スカーファー設備10は、図1及び図2に示すように、スラブ1の表面に対向するように配置されたスカーファーユニット20を有している。このスカーファーユニット20には、図1に示すように、可燃性ガスと予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部21と、溶削用酸素を噴出する溶削用ガス噴出部22が設けられている。
また、スラブ1は、図1の矢印X方向に搬送されるように搬送テーブル(図なし)上に載置されている。
なお、溶削用ガス噴出部22から噴出される溶削用酸素の噴出流は、予熱用ガス噴出部21から噴出される可燃性ガス及び予熱用酸素の噴出流よりも、スラブ1の搬送方向Xの前方側に衝突するように配置されている。
【0016】
ここで、スカーファーユニット20は、図2に示すように、複数のブロック25によってスラブ1の幅方向に分割されている。
そして、スカーファーユニット20には、それぞれのブロック25に対して溶削用酸素を供給するマニホールド27が設けられている。このマニホールド27には、溶削用酸素が供給される供給口29が設けられている。また、このマニホールド27は、図2に示すように、溶削するスラブ1の幅に対応するブロック25に対して溶削用酸素を供給するように、マニホールド27の容積を変更するシリンダー28を備えている。
【0017】
次に、上述の構成のスカーファー設備10において、スラブ1の溶削を行う手順について説明する。
【0018】
まず、図1(a)に示すように、スカーファーユニット20の予熱用ガス噴出部21から可燃性ガス及び予熱用酸素をスラブ1の表面に向けて噴出するとともに、この可燃性ガスを燃焼させる。そして、燃焼する可燃性ガスの熱により、スラブ1の表面の一部を溶融して、湯溜まり3を形成する(予熱工程)。ここで、スラブ1の表面に形成される湯溜まり部3の搬送方向Xに沿った長さは、例えば50mm以上100mm以下の範囲内とされる。
【0019】
次に、スカーファーユニット20の溶削用ガス噴出部22から溶削用酸素をスラブ1の表面に向けて噴出するとともに、湯溜まり部3が形成されたスラブ1を搬送方向Xに向けて搬送する。
すると、溶削用ガス噴出部22から噴出される溶削用酸素の噴出流が、搬送されるスラブ1の湯溜まり部3を通過し、この湯溜まり部3を熱源として溶削用酸素と鉄とを酸化反応させ、この酸化反応熱によって、スラブ1の表面を深さ1〜3mm程度溶融させ、スラブ1の表面を溶削する(溶削工程)。すなわち、湯溜まり部3の搬送方向Xの後方側が、酸化反応熱によって溶削されることになる。
【0020】
ここで、予熱工程から溶削工程に移行する際には、溶削用ガス噴出部22から噴出される溶削用酸素の噴出流が予熱用ガス噴出部21から噴出される可燃性ガス及び予熱用酸素の噴出流よりも、スラブ1の搬送方向Xの前方側に衝突するように配置されており、さらに湯溜まり部3が形成されたスラブ1が搬送方向Xに向けて搬送されることから、溶削用ガス噴出部22から噴出される溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部3を通過する領域が存在する。
【0021】
このとき、溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部3を通過する領域における溶削用酸素の圧力Pが高すぎると、湯溜まり部3内の溶鋼を吹き飛ばしてしまい、湯溜まり部3が維持されず、その後の溶削が不安定となるおそれがある。
一方、溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部3を通過する領域における溶削用酸素の圧力Pが低すぎると、酸化反応の進行が不十分となり、酸化反応熱によって十分にスラブ1の表面を溶削することができなくなるおそれがある。
【0022】
以上のように、溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部3を通過する領域における溶削用酸素の圧力Pには、適正な範囲が存在している。なお、この圧力Pの適正範囲は、スラブ1の鋼種、スラブ1の温度、溶削量(溶削深さ)、スカーファー設備の構成等によって異なるため、予め、試作実験等によって適正範囲を求めておくことになる。溶削用酸素の圧力Pは、溶削用ガス噴出部22の出口部分の圧力をピトー管等で測定してもよいし、マニホールド27の圧力を代用してもよい。
本実施形態では、溶削用酸素が湯溜まり部3と衝突する際における溶削用酸素の圧力Pの適正範囲は、定常条件における到達圧力Pに対して、0.5×P≦P≦0.9×Pの範囲内としている。なお、本実施形態におけるPは 0.15MPa〜0.3MPa程度である。
【0023】
なお、予熱工程から溶削工程に移行する際には、スラブ1の搬送速度及び溶削用酸素の圧力が定常条件に達するまでの間に、溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部3を通過することになる。
ここで、本実施形態においては、溶削するスラブ1の幅に対応するブロック25に対して溶削用酸素を供給するように、マニホールド27の容積を変更するシリンダー28を備えていることから、図3に示すように、マニホールド27の圧力の上昇速度が異なることになる。
【0024】
このため、予め、溶削用酸素を供給するマニホールド27への酸素注入開始からの経過時間と、溶削用酸素の圧力の関係を求めておき、予熱工程から溶削工程への移行の際に、溶削用酸素が湯溜まり部3を通過する領域における溶削用酸素の圧力Pが所定の範囲内となるように調整する。具体的には、マニホールド27内の圧力上昇速度、スラブ1の搬送開始タイミング、スラブ1の搬送開始後の加速度、のいずれかを調整し、溶削用酸素が湯溜まり部3を通過する領域における溶削用酸素の圧力Pを制御することになる。
【0025】
本実施形態では、幅狭のスラブ1の場合には、図3(a)のグラフの実線で示すように、溶削用酸素の圧力が上昇することから、図3(b)のグラフの実線で示すように、スラブ1の搬送を行う。これにより、溶削用酸素が湯溜まり部3を通過する時間帯における溶削用酸素の圧力Pが所定の範囲内となる。
【0026】
そして、幅広のスラブ1の場合には、図3(a)のグラフの破線で示すように、溶削用酸素の圧力の上昇速度が幅狭のスラブ1の場合よりも遅くなる。このため、図3(b)のグラフの破線で示すように、スラブ1の搬送開始のタイミングを、幅狭のスラブ1よりも遅くする。これにより、溶削用酸素が湯溜まり部3を通過する領域における溶削用酸素の圧力Pが所定の範囲内となる。
その際には、「幅広のスラブ1において、湯溜まり部3が時刻B’で移動を開始してから、時刻C’で溶削用ガス噴出部22からの噴出ガス(圧力Pは所定の範囲)が幅広のスラブ1に衝突する位置まで移動した際の移動距離」が、「幅狭のスラブ1において、湯溜まり部3が時刻Bで移動を開始してから、時刻Cで溶削用ガス噴出部22からの噴出ガス(圧力Pは所定の範囲)が幅狭のスラブ1に衝突する位置まで移動した際の移動距離」と等しくなるという条件を満足するように、幅広のスラブ1の搬送開始のタイミングを、幅狭のスラブ1よりも遅くする。
すなわち、図3(b)における△ABCと△A’B’C’とが同一の面積を有し、かつ、A’点に相当する時間帯における溶削用酸素の圧力Pが所定の範囲内となるように、幅広のスラブ1の搬送開始のタイミングを、幅狭のスラブ1よりも遅くする。
【0027】
なお、スラブ1の搬送開始後の加速度を調整することにより、溶削用酸素の圧力Pを所定の範囲内となるように制御することもできる。
この場合、図3(c)における△ABCと△A”BC”とが同一の面積を有し、かつ、△A”点に相当する時間帯における溶削用酸素の圧力Pが所定の範囲内となるように、幅広のスラブ1の搬送開始後の加速度を、幅狭のスラブ1よりも小さくする。
【0028】
以上のような構成とされた本実施形態であるスラブの溶削方法によれば、予め、溶削用酸素を供給するマニホールド27への酸素注入開始からの経過時間と、溶削用酸素の圧力の関係を求め、予熱工程から溶削工程への移行の際に、溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部3を通過する領域における溶削用酸素の圧力Pを所定の範囲内とすることから、スラブ1の幅によってマニホールド27の容積が異なる場合であっても、溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部3を通過する領域での溶削用酸素の圧力Pを適正値とすることができ、湯溜まり部3を維持することが可能となり、その後の溶削工程を安定して実施することができる。よって、溶削後にスラブ1の表面に大きな凹凸が生じることを抑制できる。
【0029】
また、本実施形態においては、溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部3を通過する領域における溶削用酸素の圧力Pが所定の範囲内となるように、マニホールド27への酸素の注入速度、スラブ1の搬送開始タイミング、スラブ1の搬送開始時の加速度、のいずれかを調整する構成とされており、本実施形態では、スラブ1の搬送開始タイミングを調整しているので、スラブ1の幅によってマニホールド27の容積が異なる場合であっても、溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部3を通過する領域における溶削用酸素の圧力Pを適正範囲内とすることが可能となる。
【0030】
さらに、本実施形態においては、溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部3を通過する領域における溶削用酸素の圧力Pを、定常条件における到達圧力Pに対して、0.5×P以上となるように調整しているので、溶削用酸素と鉄との酸化反応を促進することができ、スラブ1の表面の溶削を安定して行うことができる。
また、溶削用酸素の噴出流が湯溜まり部3を通過する領域における溶削用酸素の圧力Pを、定常条件における到達圧力Pに対して、0.9×P以下となるように調整しているので、湯溜まり部3の溶鋼が吹き飛ばされることを抑制することができ、湯溜まり部3を維持し、溶削工程を安定して実施することが可能となる。
【0031】
以上、本発明の実施形態である本実施形態であるスラブの溶削方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 スラブ
3 湯溜まり部
10 スカーファー設備
20 スカーファーユニット
27 マニホールド
図1
図2
図3