(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<レジスト下層膜形成用組成物>
当該レジスト下層膜形成用組成物は、下記式(1)で表される化合物(以下、「[A]化合物」ともいう)と溶媒(以下、「[B]溶媒」ともいう)とを含有する。当該レジスト下層膜形成用組成物は、酸発生剤(以下、「[C]酸発生剤」ともいう)及び/又は架橋剤(以下、「[D]架橋剤」ともいう)、を含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有していてもよい。以下各成分について説明する。
【0018】
<[A]化合物>
[A]化合物は、下記式(1)で表される化合物(A)である。化合物(A)は1種又は2種以上を用いることができる。
【0019】
当該レジスト下層膜形成用組成物は、[A]化合物を含有することで、耐熱性及び平坦性に優れると共に、溶媒耐性及びエッチング耐性にも優れるレジスト下層膜を形成することができる。当該レジスト下層膜形成用組成物が上記構成を備えることで上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、化合物(A)は、ピレン骨格を有する比較的低分子の化合物であることから埋め込み性が良好となる。その結果、当該レジスト下層膜形成用組成物の平坦性が向上するものと考えられる。また、化合物(A)は、下記式(1)で表される化合物(A)を含有することにより、レジスト下層膜の加熱時の高温下における昇華抑制性に優れ、形成される膜の溶媒耐性及びエッチング耐性及び耐熱性が向上すると考えられる。
【0020】
[化合物(A)]
化合物(A)は、下記式(1)で表される化合物である。
【0022】
上記式(1)中、式(1)中、R
1及びR
10は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜30の1価の有機基である。R
2、R
3、R
4及びR
5は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。
【0023】
n1及びn4は、0〜5の整数である。n2及びn3は、0〜4の整数である。但し、n1、n2、n3及びn4は、n1+n2+n3+n4≧1であり、n1+n2≧1又はn3+n4≧1が好ましく、n1+n2+n3+n4≧2が好ましく、n1+n2≧1かつn3+n4≧1がより好ましい。n1が2以上の場合、複数のR
2は、同一でも異なっていてもよい。n2が2以上の場合、複数のR
3は、同一でも異なっていてもよい。n3が2以上の場合、複数のR
4は、同一でも異なっていてもよい。n4が2以上の場合、複数のR
5は、同一でも異なっていてもよい。
【0024】
R
1及びR
10で表される炭素数1〜30の1価の有機基としては、例えば
炭素数1〜30の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間又はこの炭化水素基とR
1及びR
10が結合する炭素原子との間に2価のヘテロ原子含有基を含む基(α)、上記炭化水素基及び基(α)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。
【0025】
炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜30のアルキル基、
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等の炭素数1〜30のアルケニル基、
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などの炭素数1〜30の鎖状炭化水素基、
シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基等のシクロアルキル基、
シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数1〜30のシクロアルケニル基、
ノルボルニル基、アダマンチル基等の橋かけ環炭化水素基などの炭素数1〜30の脂環式炭化水素基、
フェニル基、メチルフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基等の炭素数1〜30の1価のアリール基、
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等の炭素数1〜30のアラルキル基、
スチリル基、スチリルメチル基、ビニルベンジル基、アセナフチル基、アセナフチルメチル基、
ビフェニル基、テルフェニル基、ビナフチル基等の環集合型芳香族炭化水素基等の炭素数1〜30の芳香族炭化水素基を有する基などが挙げられる。
【0026】
2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−CO−、−CS−、−NH−、−O−、−S−、これらを組み合わせた基等が挙げられる。これらの中では−O−及び−CO−が好ましい。
【0027】
炭化水素基の炭素−炭素間又は炭化水素基とR
1及びR
10が結合する炭素原子との間に2価のヘテロ原子含有基を含む基(α)としては、例えば
オキソアルキル基、チオアルキル基、アルキルアミノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基等のヘテロ原子含有鎖状基、
オキソシクロアルキル基、チオシクロアルキル基、アザシクロアルキル基、オキサシクロアルキル基、チアシクロアルキル基、オキソシクロアルケニル基、オキサチアシクロアルキル基等のヘテロ原子含有環状基、
スチリルオキシ基、スチリルメチルオキシ基ビニルベンジルオキシ基、アセナフチルオキシ基、アセナフチルメチルオキシ基等の芳香族炭化水素基を含むヒドロカルビルオキシ基、
ピローリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、フリル基、ピラニル基、チエニル基、ベンゾチオフェニル基等のヘテロアリール基などの芳香族複素環基などが挙げられる。
これらの中では、炭化水素基の炭素−炭素間又は炭化水素基とR
1及びR
10が結合する炭素原子との間に−O−又は−CO−を含む基が好ましく、例えばアルコキシアルキル基、ポリアルコキシアルキル基、アルコキシ(ポリオキシアルキレン)アルキル基等が挙げられる。
【0028】
1価のヘテロ原子含有基としては、例えばヒドロキシ基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0029】
炭化水素基及び基(α)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基としては、例えばヒドロキシアリール基、アルコキシアリール基、アリルオキシアリール基、プロパルギルオキシアリール基、フェノキシアリール基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アルキルアリール基、ハロゲン化アラルキル基、ハロゲン化アルキルアラルキル基等があげられる。
【0030】
R
1及びR
10で表される炭素数1〜30の1価の有機基としては、R
1及びR
10の上記有機基のうちの少なくともいずれかが芳香環を有する基、鎖状炭化水素基及び炭化水素基の炭素−炭素間又は炭化水素基とR
1及びR
10が結合する炭素原子との間に−O−又は−CO−を含む基が好ましく、アリール基、環集合型芳香族炭化水素基、アルキル基及びアルコキシ(ポリオキシアルキレン)アルキル基がより好ましい。
【0031】
R
2、R
3、R
4及びR
5で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間又はこの炭化水素基とR
2〜R
5が結合する炭素原子との間に2価のヘテロ原子含有基を含む基(α)、上記炭化水素基及び基(α)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。
【0032】
炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜20のアルキル基、
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等の炭素数1〜20のアルケニル基、
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などの炭素数1〜20の鎖状炭化水素基、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜20のシクロアルキル基、
シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数1〜20のシクロアルケニル基、
ノルボルニル基、アダマンチル基等の橋かけ環炭化水素基などの炭素数1〜20の脂環式炭化水素基、
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数1〜20のアリール基、
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等の炭素数1〜20のアラルキル基、
スチリル基、スチリルメチル基、ビニルベンジル基、アセナフチル基、アセナフチルメチル基などの炭素数1〜20の芳香族炭化水素基を有する基などが挙げられる。
【0033】
2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−CO−、−CS−、−NH−、−O−、−S−、これらを組み合わせた基等が挙げられる。これらの中で、−O−が好ましく、R
2、R
3、R
4及びR
5のうちの少なくともいずれかが、−O−結合を有することが好ましい。
【0034】
炭化水素基の炭素−炭素間又は炭化水素基とR
2、R
3、R
4及びR
5が結合する炭素原子との間に2価のヘテロ原子含有基を含む基(α)としては、例えば
オキソアルキル基、チオアルキル基、アルキルアミノアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基等のヘテロ原子含有鎖状基、
オキソシクロアルキル基、チオシクロアルキル基、アザシクロアルキル基、オキサシクロアルキル基、チアシクロアルキル基、オキソシクロアルケニル基、オキサチアシクロアルキル基等のヘテロ原子含有環状基、
ピローリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、フリル基、ピラニル基、チエニル基、ベンゾチオフェニル基等のヘテロアリール基などの芳香族複素環基などが挙げられる。
【0035】
1価のヘテロ原子含有基としては、例えばヒドロキシ基、スルファニル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0036】
R
1、R
10、R
2、R
3、R
4及びR
5としては、これらのうちの少なくともいずれかが、架橋性基を含む基であることが好ましい。「架橋性基」とは、例えば付加反応、縮合反応等により分子間に共有結合を形成し得る基である。化合物(A)が架橋性基を有することで、化合物(A)同士等が結合することにより、レジスト下層膜の強度を高め、レジスト下層膜の加熱時の高温下における昇華抑制性を抑制することができる。
【0037】
上記架橋性基としては、例えば、炭素−炭素三重結合含有基、炭素−炭素二重結合含有基、ヒドロキシ鎖状炭化水素基、エポキシ基、アルコキシメチル基、ジアルキルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基、シアノアルキル基等が挙げられる。これらの中で、炭素−炭素三重結合含有基、炭素−炭素二重結合含有基、ヒドロキシ鎖状炭化水素基、アシル基、カルボニルオキシ炭化水素基が好ましい。架橋性基としては、炭素−炭素三重結合含有基、炭素−炭素二重結合含有基がより好ましい。このとき、炭素−炭素多重結合同士の付加反応により分子間結合を形成でき、その結果、基の脱離を要することなく硬化させることができるので、膜収縮を抑制しつつレジスト下層膜を形成することができ、その結果、より平坦性に優れるレジスト下層膜を形成することができる。
【0038】
上記炭素−炭素三重結合含有基としては、例えばエチニル基、エチニルオキシ基、プロパルギル基、プロパルギルオキシ基、ブチニル基、ブチニルオキシ基等が挙げられる。上記炭素−炭素二重結合含有基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、エテニル基、エテニルオキシ基、プロペニル基、プロペニルオキシ基、スチリル基、スチリルオキシ基、スチリルメチル基、スチリルメチルオキシ基、ビニルベンジル基、ビニルベンジルオキシ基、アセナフチレニル基、アセナフチレニルオキシ基、アセナフチレニルメチル基、アセナフチレニルメチルオキシ基等が挙げられる。
【0039】
上記架橋性基を含む基とは、上記架橋性基以外に、例えばアリール基等の炭化水素基が有する水素原子の一部を上記架橋性基で置換した基が挙げられる。上記架橋性基を含む基としては、エチニルオキシ基、プロペニルオキシ基、プロパルギルオキシ基、ビニルベンジルオキシ基、ビニルベンジルオキシ基、1−プロパルギルオキシ基、3−エチニルオキシフェニル基が好ましい。
【0040】
化合物(A)の製造方法は、例えば上記式(1)において、R
10が水素原子であり、R
2、R
3、R
4及びR
5が、OHである場合の下記化合物(1’)については、例えば、下記反応スキームに従い、化合物(A)を簡便かつ収率よく合成することができる。また、上記式(1)において、R
10が水素原子であり、R
2、R
3、R
4及びR
5がOR’である場合の下記式(1’’)で表される化合物については、例えば、下記反応スキームに従い、化合物(A)を簡便かつ収率よく合成することができる。下記反応スキームにおいては、化合物(A)は、下記式(a)で表される化合物(以下、「化合物(a)」ともいう)に対し、下記式(b)で表されるアルデヒド化合物(以下、「化合物(b)」ともいう)を、エタノール等の溶媒中でこの溶媒に対して2:1程度の質量比の塩酸等のブレンステッド酸触媒の存在下で反応させることで合成できる。次に、下記式(d)で表される化合物(以下、「化合物(d)」ともいう)と反応させることにより、化合物(A)を簡便かつ収率よく合成することができる。
【0042】
上記式(1’)および(1’’)中、R
1、n1、n2、n3及びn4は、上記式(1)と同義である。R’は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。Xは、ハロゲン原子である。
【0043】
上記反応スキームに従うことで、化合物(A)を簡便かつ収率よく合成することができるが、下記式(2)で表される繰り返し単位を有する化合物も副生成物として合成される。この副生成物は、合成過程で生成が抑制され、又は再沈分離法等により分離して除去されることが好ましい。
【0045】
上記式(2)中、xは、2以上の整数である。R
1は、上記式(1)と同義である。R’は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。Xは、ハロゲン原子である。
【0046】
上記化合物(b)としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0048】
上記R’としては、例えば下記式(3)、(4)、(5)、(6)、(8)及び(9)で表される基等が挙げられる。
【0050】
上記式(3)中、R
9は、水素原子又は炭素数1〜17の1価の有機基である。上記式(3)、(4)、(5)、(6)、(8)及び(9)中、*は、上記式(d)のXに結合する部位を示す。
【0051】
また、化合物(A)の製造方法は、例えば上記式(1)において、R
1及びR
10が、炭素数1〜30の1価の有機基であり、R
2、R
3、R
4及びR
5が、OHである場合の下記式(1’’’)で表される化合物については、例えば、上記反応スキームにおいて、化合物(b)に代わりに、下記式(e)で表される化合物(以下、「化合物(e)」ともいう)を用い、ブレンステッド酸触媒に代わりに、ボロントリフルオリド−エチルエーテルコンプレックス、塩化アルミニウム(III)等のルイス酸触媒の存在下で反応させことにより、化合物(A)を簡便かつ収率よく合成することができる。
【0053】
上記式(1’’’)中、R
1及びR
10は、上記式(1)と同義である。
【0054】
化合物(e)としては、例えば下記式(7)で表される化合物等が挙げられる。Yは、ハロゲン原子である。
【0056】
化合物(A)としては、例えば下記式(A−1)〜(A−14)で表される化合物(以下、「化合物(A−1)〜(A−14)」ともいう)等が挙げられる。
【0059】
上記レジスト下層膜形成用組成物についてのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により測定される全体のピーク面積(Aa)に対する化合物(A)を含むピークのピーク面積(A1)の比(A1/Aa)の下限としては、0.25であり、0.30が好ましく、0.40がより好ましく、0.50がより好ましく、0.60が特に好ましい。
【0060】
上記比(A1/Aa)の値は、以下のようにして求めることができる。
図2は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される溶出曲線のグラフである。
(1) GPC溶出曲線3において、保持時間cからeまでの全体のピーク面積(Aa)及び化合物(A)を含むピークAのピーク面積(A1)を算出する。
ピークAの裾と、ピークAに隣接するピークBの裾とが重なることにより、ピークAのピークトップとピークBのピークトップとの間で最も低い検出強度となる最下部Vの検出強度が、ベースライン4よりも高くなる場合には、最下部Vの保持時間dを境界として、ピーク面積(A1)を算出する。即ち、ピーク面積(A1)は保持時間dからeまでの面積である。
(2) 上記求めた全体のピーク面積(Aa)と化合物(A)を含むピークのピーク面積(A1)により、比(A1/Aa)を算出する。
【0061】
また、化合物(A)を含むピークの成分に対する化合物(A)の含有割合の下限としては、90質量%が好ましく、95質量%がより好ましく、99質量%がさらに好ましい。化合物(A)を含むピークの成分に対する化合物(A)の含有割合が上記範囲であることで、当該レジスト下層膜形成用組成物の耐熱性、平坦性、溶媒耐性及びエッチング耐性をより高めることができる。
【0062】
[A]化合物の分子量の下限は、400が好ましく、500がより好ましく、550がさらに好ましい。上記分子量の上限としては、1500が好ましく、1000がより好ましく、900がさらに好ましい。
【0063】
<[B]溶媒>
[B]溶媒は、[A]化合物及び必要に応じて含有する任意成分を溶解又は分散することができれば特に限定されない。
【0064】
[B]溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、含窒素系溶媒等が挙げられる。[B]溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒などが挙げられる。
【0066】
ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等が挙げられる。
【0067】
エーテル系溶媒としては、例えばエチルエーテル、iso−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコールジエチルエーテル、2−n−ブトキシエタノール、2−n−ヘキソキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−(2−エチルブトキシ)エタノール、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、1−n−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0068】
エステル系溶媒としては、例えばジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミルγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
【0069】
含窒素系溶媒としては、例えばN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0070】
これらの中でも、エーテル系溶媒及びエステル系溶媒が好ましく、成膜性に優れる観点から、グリコール構造を有するエーテル系溶媒及びエステル系溶媒がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテルがさらに好ましく、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
【0071】
[B]溶媒中のグリコール構造を有するエーテル系溶媒及びエステル系溶媒の含有率の下限としては、20質量%が好ましく、60質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
【0072】
<[C]酸発生剤>
[C]酸発生剤は、熱や光の作用により酸を発生し、[A]化合物の架橋を促進する成分である。当該レジスト下層膜形成用組成物が[C]酸発生剤を含有することで[A]化合物の架橋反応が促進され、形成される膜の硬度をより高めることができる。[C]酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
[C]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物等が挙げられる。
【0074】
上記オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0075】
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。
【0076】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0077】
ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0078】
アンモニウム塩としては、例えばトリエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリエチルアンモニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート等が挙げられる。
【0079】
N−スルホニルオキシイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0080】
これらの中で、[C]酸発生剤としては、オニウム塩化合物が好ましく、ヨードニウム塩及びアンモニウム塩がより好ましく、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート及びトリエチルアンモニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートがさらに好ましい。
【0081】
当該レジスト下層膜形成用組成物が[C]酸発生剤を含有する場合、[C]酸発生剤の含有量の下限としては、[A]化合物100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、3質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、15質量部が好ましく、12質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。[C]酸発生剤の含有量を上記範囲とすることで、[A]化合物の架橋反応をより効果的に促進させることができる。
【0082】
[[D]架橋剤]
[D]架橋剤は、熱や酸の作用により、当該レジスト下層膜形成用組成物中の[A]化合物に含まれる化合物同士の架橋結合を形成するか、又は自らが架橋構造を形成する成分である。当該レジスト下層膜形成用組成物が[D]架橋剤を含有することで、形成されるレジスト下層膜の硬度を高めることができる。[D]架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0083】
[D]架橋剤としては、例えば多官能(メタ)アクリレート化合物、エポキシ化合物、ヒドロキシメチル基置換フェノール化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物、下記式(11−P)で表されるアセナフチレンとヒドロキシメチルアセナフチレンとのランダム共重合体、下記式(11−1)〜(11−12)で表される化合物等が挙げられる。
【0084】
上記多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0085】
上記エポキシ化合物としては、例えばノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0086】
上記ヒドロキシメチル基置換フェノール化合物としては、例えば2−ヒドロキシメチル−4,6−ジメチルフェノール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、3,5−ジヒドロキシメチル−4−メトキシトルエン[2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール]等が挙げられる。
【0087】
上記アルコキシアルキル基含有フェノール化合物としては、例えばメトキシメチル基含有フェノール化合物、エトキシメチル基含有フェノール化合物等が挙げられる。
【0088】
上記アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物としては、例えば(ポリ)メチロール化メラミン、(ポリ)メチロール化グリコールウリル、(ポリ)メチロール化ベンゾグアナミン、(ポリ)メチロール化ウレア等の一分子内に複数個の活性メチロール基を有する含窒素化合物であって、そのメチロール基の水酸基の水素原子の少なくとも一つが、メチル基やブチル基等のアルキル基によって置換された化合物等が挙げられる。なお、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物は、複数の置換化合物を混合した混合物でもよく、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含むものであってもよい。
【0091】
上記式(11−6)、(11−8)、(11−11)及び(11−12)中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、Acはアセチル基を示す。
【0092】
なお、上記式(11−1)〜(11−12)で表される化合物は、それぞれ、以下の文献を参考に合成することができる。
(1)式(11−1)で表される化合物
Guo,Qun−Sheng;Lu,Yong−Na;Liu,Bing;Xiao,Jian;Li,Jin−Shan Journal of Organometallic Chemistry,2006,vol.691,#6 p.1282−1287
(2)式(11−2)で表される化合物
Badar,Y.et al. Journal of the Chemical Society,1965,p.1412−1418
(3)式(11−3)で表される化合物
Hsieh,Jen−Chieh;Cheng,Chien−Hong Chemical Communications(Cambridge,United Kingdom),2008,#26 p.2992−2994
(4)式(11−4)で表される化合物
特開平5−238990号公報
(5)式(11−5)で表される化合物
Bacon,R.G.R.;Bankhead,R. Journal of the Chemical Society,1963,p.839−845
(6)式(11−6)、(11−8)、(11−11)及び(11−12)で表される化合物
Macromolecules 2010,vol.43,p2832−2839
(7)式(11−7)、(11−9)及び(11−10)で表される化合物
Polymer Journal 2008,vol.40,No.7,p645−650、及びJournal of Polymer Science:Part A,Polymer Chemistry,Vol.46,p4949−4958
【0093】
これらの[D]架橋剤の中で、メトキシメチル基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物及びアセナフチレンとヒドロキシメチルアセナフチレンとのランダム共重合体が好ましく、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物がより好ましく、1,3,4,6−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリルがさらに好ましい。
【0094】
当該レジスト下層膜形成用組成物が[D]架橋剤を含有する場合、[D]架橋剤の含有量の下限としては、[A]化合物100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましく、3質量部が特に好ましい。上記含有量の上限としては、50質量部が好ましく、40質量部がより好ましく、30質量部がさらに好ましく、20質量部が特に好ましい。[D]架橋剤の含有量を上記範囲とすることで、[A]化合物の架橋反応をより効果的に起こさせることができる。
【0095】
<その他の任意成分>
その他の任意成分として、例えば界面活性剤等が挙げられる。
【0096】
[界面活性剤]
当該レジスト下層膜形成用組成物は、界面活性剤を含有することで塗工性を向上させることができ、その結果、形成されるレジスト下層膜の塗工面均一性が向上し、かつ塗工斑の発生を抑制することができる。界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0097】
当該レジスト下層膜形成用組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量の下限としては、[A]化合物100質量部に対して、0.01質量部が好ましく、0.05質量部がより好ましく、0.1質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、10質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましい。界面活性剤の含有量を上記範囲とすることで、当該レジスト下層膜形成用組成物の塗工性をより向上させることができる。
【0098】
[レジスト下層膜形成用組成物の調製方法]
当該レジスト下層膜形成用組成物は、[A]化合物、[B]溶媒、必要に応じて、[C]酸発生剤、[D]架橋剤及び並びにその他の任意成分を所定の割合で混合し、好ましくは得られた混合物を0.1μm程度のメンブランフィルター等でろ過することにより調製できる。当該レジスト下層膜形成用組成物の固形分濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、1質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましく、5質量%が特に好ましい。上記固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましく、15質量%が特に好ましい。上記固形分濃度は、レジスト下層膜形成用組成物0.5gを30分間250℃で焼成することで、レジスト下層膜形成用組成物0.5gに対する固形分の質量を測定し、レジスト下層膜形成用組成物の固形分濃度(質量%)を算出した。
【0099】
当該レジスト下層膜形成用組成物は、平坦性に優れ、かつ溶媒耐性、エッチング耐性及び耐熱性に優れるレジスト下層膜を形成することができるので、半導体デバイスの製造等におけるレジスト下層膜を形成するために好適に用いることができる。
【0100】
<レジスト下層膜>
本発明のレジスト下層膜は、当該レジスト下層膜形成用組成物から形成される。当該レジスト下層膜は、上述の当該レジスト下層膜形成用組成物から形成されるので、平坦性に優れ、かつ溶媒耐性、エッチング耐性及び耐熱性に優れる。
【0101】
<レジスト下層膜の形成方法>
当該レジスト下層膜の形成方法は、基板の少なくとも一方の面側に上述の当該レジスト下層膜形成用組成物を塗工する工程(以下、「塗工工程」ともいう)と、上記塗工工程により形成される塗工膜を加熱する工程(以下、「加熱工程」ともいう)とを備える。当該レジスト下層膜の形成方法によれば、上述のレジスト下層膜形成用組成物を用いるので、平坦性に優れると共に、溶媒耐性、エッチング耐性及び耐熱性に優れるレジスト下層膜を形成することができる。
【0102】
[塗工工程]
本工程では、基板の少なくとも一方の面側に当該レジスト下層膜形成用組成物を塗工する。
【0103】
基板としては、例えばシリコンウエハ、アルミニウムで被覆したウエハ等が挙げられる。また、当該レジスト下層膜形成用組成物の塗工方法は特に限定されず、例えば回転塗工、流延塗工、ロール塗工等の適宜の方法で実施することができ、これにより塗工膜を形成することができる。
【0104】
[加熱工程]
本工程では、上記塗工工程により形成される塗工膜を加熱する。これにより、レジスト下層膜が形成される。
【0105】
上記レジスト下層膜の加熱は、通常、大気下で行われる。加熱温度の下限としては、150℃が好ましく、200℃がより好ましく、250℃がさらに好ましい。加熱温度の上限としては、500℃が好ましく、450℃がより好ましく、420℃がさらに好ましい。加熱温度の範囲が上記範囲であることで、酸化架橋を良好に進行させて、レジスト膜に必要な特性を発現することができる。加熱時間の下限としては、15秒が好ましく、30秒がより好ましく、45秒がさらに好ましい。加熱時間の上限としては、1,200秒が好ましく、600秒がより好ましく、300秒がさらに好ましい。
【0106】
上記レジスト下層膜を150℃以上500℃以下の温度で加熱する前に、60℃以上250℃以下の温度で予備加熱しておいてもよい。予備加熱における加熱時間の下限としては、10秒が好ましく、30秒がより好ましい。上記加熱時間の上限としては、300秒が好ましく、180秒がより好ましい。この予備加熱を行うことにより、溶媒を予め気化させてレジスト下層膜を緻密にしておくことで、後の加熱時に起こる脱水素反応を効率良く進めることができる。
【0107】
なお、当該レジスト下層膜の形成方法においては、上記レジスト下層膜を加熱してレジスト下層膜を形成するが、当該レジスト下層膜形成用組成物が[C]酸発生剤を含有し、[C]酸発生剤が感放射線性酸発生剤である場合には、露光と加熱とを組み合わせることによりレジスト下層膜を硬化させてレジスト下層膜を形成することもできる。この露光に用いられる放射線としては、[C]酸発生剤の種類に応じ、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、γ線等の電磁波及び電子線、分子線、イオンビーム等の粒子線から適宜選択される。
【0108】
形成されるレジスト下層膜の平均厚みの下限としては、50nmが好ましく、100nmがより好ましく、180nmがさらに好ましい。上記平均厚みの上限としては、3,000nmが好ましく、2,000nmがより好ましく、500nmがさらに好ましい。
【0109】
<パターニングされた基板の製造方法>
当該パターニングされた基板の製造方法は、当該レジスト下層膜の形成方法により形成されるレジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程(以下、「レジストパターン形成工程」ともいう)と、上記レジストパターンをマスクとしたエッチングを行う工程(以下、「エッチング工程」ともいう)とを備える。
【0110】
当該パターニングされた基板の製造方法は、当該レジスト下層膜の形成方法により形成されるレジスト下層膜を用いる。当該レジスト下層膜は、平坦性に優れ、かつ溶媒耐性、エッチング耐性及び耐熱性に優れるので、当該パターニングされた基板の製造方法によれば、優れたパターン形状を有するパターニングされた基板を得ることができる。
【0111】
当該パターニングされた基板の製造方法は、レジストパターン形成工程の前に、必要に応じて、上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側に中間層(中間膜)を形成する工程を有していてもよい。以下、各工程について説明する。
【0112】
[中間層形成工程]
本工程では、上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側に中間層を形成する。この中間層は、レジストパターン形成において、レジスト下層膜及び/又はレジスト膜が有する機能をさらに補ったり、これらが有していない機能を与えたりするために上記機能が付与された層のことである。例えば反射防止膜を中間層として形成した場合、レジスト下層膜の反射防止機能をさらに補うことができる。
【0113】
この中間層は、有機化合物や無機酸化物により形成することができる。上記有機化合物としては、市販品として、例えばBrewer Science社の「DUV−42」、「DUV−44」、「ARC−28」、「ARC−29」等や、ローム アンド ハース社の「AR−3」、「AR−19」等が挙げられる。上記無機酸化物としては、市販品として、例えばJSR社の「NFC SOG01」、「NFC SOG04」、「NFC SOG080」等が挙げられる。また、上記無機酸化物として、CVD法により形成されるポリシロキサン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化タングステン等を用いることができる。
【0114】
中間層の形成方法は特に限定されないが、例えば塗工法やCVD法等を用いることができる。また、中間層の平均厚みは、中間層に求められる機能に応じて適宜選択されるが、中間層の平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。上記平均厚みの上限としては、3,000nmが好ましく、300nmがより好ましい。
【0115】
[レジストパターン形成工程]
本工程では上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する。上記中間層形成工程を行った場合は、中間層の上面側にレジストパターンを形成する。この工程を行う方法としては、例えばレジスト組成物を用いる方法等が挙げられる。
【0116】
上記レジスト組成物を用いる方法では、具体的には、得られるレジスト膜が所定の厚みとなるようにレジスト組成物を塗工した後、プレベークすることによって塗工膜中の溶媒を揮発させることにより、レジスト膜を形成する。
【0117】
上記レジスト組成物としては、例えば感放射線性酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とを含有するポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とを含有するネガ型レジスト組成物等が挙げられる。
【0118】
上記レジスト組成物の固形分濃度の下限としては、0.3質量%が好ましく、1質量%がより好ましい。上記固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。また、上記レジスト組成物は、一般に、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過して、レジスト膜の形成に供される。なお、この工程では、市販のレジスト組成物をそのまま使用することもできる。
【0119】
レジスト組成物の塗工方法としては特に限定されず、例えばスピンコート法等が挙げられる。また、プレベークの温度としては、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、上記温度の下限としては、30℃が好ましく、50℃がより好ましい。上記温度の上限としては、200℃が好ましく、150℃がより好ましい。プレベークの時間の下限としては、10秒が好ましく、30秒がより好ましい。上記時間の上限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。
【0120】
次に、選択的な放射線照射により上記形成されたレジスト膜を露光する。露光に用いられる放射線としては、レジスト組成物に使用される感放射線性酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、γ線等の電磁波及び電子線、分子線、イオンビーム等の粒子線から適切に選択される。これらの中で、遠紫外線が好ましく、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、F
2エキシマレーザー光(波長157nm)、Kr
2エキシマレーザー光(波長147nm)、ArKrエキシマレーザー光(波長134nm)及び極端紫外線(波長13.5nm等、EUV)がより好ましく、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光及びEUVがさらに好ましい。上記露光後、解像度、パターンプロファイル、現像性等を向上させるためポストベークを行うことができる。
【0121】
次に、上記露光されたレジスト膜を現像液で現像してレジストパターンを形成する。この現像は、アルカリ現像であっても有機溶媒現像であってもよい。現像液としては、アルカリ現像の場合、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液等が挙げられる。これらのアルカリ性水溶液には、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類などの水溶性有機溶媒、界面活性剤等を適量添加することもできる。また、有機溶媒現像の場合、現像液としては、例えば上述のレジスト下層膜形成用組成物の[B]溶媒として例示した種々の有機溶媒等が挙げられ、より具体的には酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸アミル等が挙げられる。上記現像液での現像後、洗浄し、乾燥することによって、所定のレジストパターンが形成される。
【0122】
レジストパターン形成工程を行う方法として、上述のレジスト組成物を用いる方法以外にも、ナノインプリント法を用いる方法、自己組織化組成物を用いる方法等も用いることができる。
【0123】
[エッチング工程]
本工程では、上記レジストパターンをマスクとしたエッチングを行う。これにより、基板にパターンが形成される。エッチングの回数としては1回でも、複数回、すなわちエッチングにより得られるパターンをマスクとして順次エッチングを行ってもよいが、より良好な形状のパターンを得る観点からは、複数回が好ましい。複数回のエッチングを行う場合、上記中間層を有さない場合はレジスト下層膜、基板の順に順次エッチングし、上記中間層を有する場合は中間層、レジスト下層膜、基板の順に順次エッチングを行う。エッチングの方法としては、ドライエッチング、ウエットエッチング等が挙げられる。これらの中で、基板のパターンの形状をより良好なものとする観点から、ドライエッチングが好ましい。このドライエッチングには、例えば酸素プラズマ等のガスプラズマ等が用いられる。上記エッチングの後、所定のパターンを有するパターニングされた基板が得られる。
【0124】
<化合物>
当該化合物は、上記式(1)で表される化合物である。当該化合物は、上述の性質を有するので、当該レジスト下層膜形成用組成物の成分として好適に用いることができる。
【実施例】
【0125】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
【0126】
[Mw及び含有比]
レジスト下層膜形成用組成物のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、東ソー社のGPCカラム(「G2000HXL」2本及び「G3000HXL」1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(検出器:示差屈折計(RI)、示差屈折計の光源波長:658nm)により測定した。
【0127】
[膜の平均厚み]
膜の平均厚みは、分光エリプソメータ(J.A.WOOLLAM社の「M2000D」)を用いて測定した。
【0128】
<[A]化合物の合成>
下記式(A−1)〜(A−14)で表される化合物を、以下に示す手順により合成した。
【0129】
【化14】
【0130】
【化15】
【0131】
[実施例1−1](化合物(A−1)の合成)
温度計、コンデンサー及びマグネチックスターラーを備えた3口フラスコに、窒素雰囲気下、1−ヒドロキシピレン20g(91.6mmol)、o−トルアルデヒド6.61g(55.0mmol)、エタノール60gを仕込み、室温にて溶解させた。5℃に冷却後、35%塩酸水溶液40gを30分かけて滴下した。滴下終了後、60℃に加温して10時間反応させた。反応終了後、本反応溶液を多量の水に加えた後、メチルイソブチルケトン(MIBK)60g、THF30gを加えて抽出を行った。水洗を3回実施した後、有機相を600gのヘキサンに投入し再沈澱した。沈澱物を60℃で一晩減圧乾燥することで上記化合物(A−1)を含む反応生成物(P1)22.6gを得た。
【0132】
[実施例1−2](化合物(A−2)の合成)
温度計、コンデンサー及び機械式攪拌機を備えた3口フラスコに、上記実施例1−1において得られた上記化合物(A−1)を含む反応生成物(P1)10g、N,N−ジメチルアセトアミド40g及び炭酸カリウム5.65g(40.8mmol)を窒素下で仕込んだ。次に80℃に加温し、臭化プロパルギル4.86g(40.8mmol)を添加した後、6時間攪拌して反応を行った。その後、反応溶液にMIBK40g及び水80gを添加して分液操作を行った後、有機相を多量のメタノール中に投入し、沈殿した化合物をろ過することで上記化合物(A−2)を含む反応生成物(P2)12.1gを得た。
【0133】
[実施例1−3](化合物(A−3)の合成)
臭化プロパルギル4.86g(40.8mmol)を4−(クロロメチル)スチレン6.23g(40.8mmol)に変更した以外は実施例(1−2)と同様にして上記化合物(A−3)を含む反応生成物(P3)13.2gを得た。
【0134】
[実施例1−4](化合物(A−4)の合成)
臭化プロパルギル4.86g(40.8mmol)を臭化アリル4.94g(40.8mmol)に変更した以外は実施例(1−2)と同様にして上記化合物(A−4)を含む反応生成物(P4)10.1gを得た。
【0135】
[実施例1−5](化合物(A−5)の合成)
o−トルアルデヒド6.61g(55.0mmol)を1−ナフトアルデヒド8.59g(55.0mmol)に変更した以外は実施例(1−1)と同様にして下記化合物(a−1)を含む反応生成物(p1)20.5gを得た。
【0136】
【化16】
【0137】
温度計、コンデンサー及び機械式攪拌機を備えた3口フラスコに、得られた上記化合物(a−1)を含む反応生成物(p1)10.9g、N,N−ジメチルアセトアミド40g及び炭酸カリウム5.65g(40.8mmol)を窒素下で仕込んだ。次に80℃に加温し、臭化プロパルギル4.86g(40.8mmol)を添加した後、6時間攪拌して反応を行った。その後、反応溶液にMIBK40g及び水80gを添加して分液操作を行った後、有機相を多量のメタノール中に投入し、沈殿した化合物をろ過することで上記化合物(A−5)を含む反応生成物(P5)12.5gを得た。
【0138】
[実施例1−6](化合物(A−6)の合成)
o−トルアルデヒド6.61g(55.0mmol)をビフェニル−4−カルボキシアルデヒド10.02g(55.0mmol)に変更した以外は[実施例1−1]と同様にして下記、化合物(a−2)を含む反応生成物(p2)24.2gを得た。
【0139】
【化17】
【0140】
温度計、コンデンサー及び機械式攪拌機を備えた3口フラスコに、得られた上記化合物(a−2)を含む反応生成物(p2)11.2g、N,N−ジメチルアセトアミド40g及び炭酸カリウム5.65g(40.8mmol)を窒素下で仕込んだ。次に80℃に加温し、臭化プロパルギル4.86g(40.8mmol)を添加した後、6時間攪拌して反応を行った。その後、反応溶液にMIBK40g及び水80gを添加して分液操作を行った後、有機相を多量のメタノール中に投入し、沈殿した化合物をろ過することで上記化合物(A−6)を含む反応生成物(P6)12.0gを得た。
【0141】
[実施例1−7](化合物(A−7)の合成)
1−ヒドロキシピレン20g(91.6mmol)、o−トルアルデヒド6.61g(55.0mmol)を1−メトキシピレン21.28g(91.6mmol)、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド7.59g(55.0mmol)に変更した以外は[実施例1−1]と同様にして下記化合物(a−3)を含む反応生成物(p3)24.2gを得た。
【0142】
【化18】
【0143】
温度計、コンデンサー及び機械式攪拌機を備えた3口フラスコに、得られた上記化合物(a−3)を含む反応生成物(p3)10.9g、N,N−ジメチルアセトアミド40g及び炭酸カリウム5.65g(40.8mmol)を窒素下で仕込んだ。次に80℃に加温し、臭化プロパルギル4.86g(40.8mmol)を添加した後、6時間攪拌して反応を行った。その後、反応溶液にMIBK40g及び水80gを添加して分液操作を行った後、有機相を多量のメタノール中に投入し、沈殿した化合物をろ過することで上記化合物(A−7)を含む反応生成物(P7)12.2gを得た。
【0144】
[実施例1−8](化合物(A−8)の合成)
温度計、コンデンサー及びマグネチックスターラーを備えた3口フラスコに、窒素雰囲気下、1−ヒドロキシピレン20g(91.6mmol)、1,2−ジクロロエタン11.95gを仕込み、80℃にて溶解させた。溶解後、α,α−ジクロロジフェニルメタン11.96g(50.4mmol)、ボロントリフルオリド−エチルエーテルコンプレックス26.0g(183mmol)を添加した後、80℃で10時間反応させた。反応終了後、本反応溶液を多量の水で3回水洗した後、有機相を600gのヘキサンに投入し再沈澱した。沈澱物を60℃で一晩減圧乾燥することにより、下記、化合物(a−4)を含む反応生成物(p4)19.6gを得た。
【0145】
【化19】
【0146】
温度計、コンデンサー及び機械式攪拌機を備えた3口フラスコに、得られた上記化合物(a−4)を含む反応生成物(p4)11.2g、N,N−ジメチルアセトアミド40g及び炭酸カリウム5.65g(40.8mmol)を窒素下で仕込んだ。次に80℃に加温し、4−(クロロメチル)スチレン6.23g(40.8mmol)を添加した後、6時間攪拌して反応を行った。その後、反応溶液にMIBK40g及び水80gを添加して分液操作を行った後、有機相を多量のメタノール中に投入し、沈殿した化合物をろ過することで上記化合物(A−8)を含む反応生成物(P8)13.6gを得た。
【0147】
[実施例1−9](化合物(A−9)の合成)
1−ナフトアルデヒドの添加量を8.59g(55.0mmol)から11.2g(71.5mmol)に変更した以外は実施例(1−5)と同様にして上記化合物(A−9)を含む反応生成物(P9)22.4gを得た。
【0148】
[実施例1−10](化合物(A−10)の合成)
温度計、コンデンサー及び機械式攪拌機を備えた3口フラスコに、上記実施例1−9で得られた化合物(A−9)を含む反応生成物(P9)10g、N,N−ジメチルアセトアミド40g及び炭酸カリウム5.65g(40.8mmol)を窒素下で仕込んだ。次に80℃に加温し、臭化プロパルギル4.86g(40.8mmol)を添加した後、6時間攪拌して反応を行った。その後、反応溶液にMIBK40g及び水80gを添加して分液操作を行った後、有機相を多量のメタノール中に投入し、沈殿した化合物をろ過することで上記化合物(A−10)を含む反応生成物(P10)12.8gを得た。
【0149】
[実施例1−11](化合物(A−11)の合成)
o−トルアルデヒド6.61g(55.0mmol)をペンタナール6.28g(55.0mmol)に変更した以外は実施例(1−1)と同様にして下記化合物(a−5)を含む反応生成物(p5)19.8gを得た。
【0150】
【化20】
【0151】
温度計、コンデンサー及び機械式攪拌機を備えた3口フラスコに、得られた上記化合物(a−5)を含む反応生成物(p5)9.57g、N,N−ジメチルアセトアミド40g及び炭酸カリウム5.65g(40.8mmol)を窒素下で仕込んだ。次に80℃に加温し、臭化プロパルギル4.86g(40.8mmol)を添加した後、6時間攪拌して反応を行った。その後、反応溶液にMIBK40g及び水80gを添加して分液操作を行った後、有機相を多量のメタノール中に投入し、沈殿した化合物をろ過することで上記化合物(A−11)を含む反応生成物(P11)10.6gを得た。
【0152】
[実施例1−12](化合物(A−12)の合成)
o−トルアルデヒド6.61g(55.0mmol)をドデカナール10.1g(55.0mmol)に変更した以外は実施例(1−1)と同様にして下記化合物(a−6)を含む反応生成物(p6)22.5gを得た。
【0153】
【化21】
【0154】
温度計、コンデンサー及び機械式攪拌機を備えた3口フラスコに、得られた上記化合物(a−6)を含む反応生成物(p6)11.4g、N,N−ジメチルアセトアミド40g及び炭酸カリウム5.65g(40.8mmol)を窒素下で仕込んだ。次に80℃に加温し、臭化プロパルギル4.86g(40.8mmol)を添加した後、6時間攪拌して反応を行った。その後、反応溶液にMIBK40g及び水80gを添加して分液操作を行った後、有機相を多量のメタノール中に投入し、沈殿した化合物をろ過することで上記化合物(A−12)を含む反応生成物(P12)12.3gを得た。
【0155】
[実施例1−13](化合物(A−13)の合成)
o−トルアルデヒド6.61g(55.0mmol)を2−プロピルオクタナール7.05g(55.0mmol)に変更した以外は実施例(1−1)と同様にして下記化合物(a−7)を含む反応生成物(p7)20.1gを得た。
【0156】
【化22】
【0157】
温度計、コンデンサー及び機械式攪拌機を備えた3口フラスコに、得られた上記化合物(a−6)を含む反応生成物(p6)11.1g、N,N−ジメチルアセトアミド40g及び炭酸カリウム5.65g(40.8mmol)を窒素下で仕込んだ。次に80℃に加温し、臭化プロパルギル4.86g(40.8mmol)を添加した後、6時間攪拌して反応を行った。その後、反応溶液にMIBK40g及び水80gを添加して分液操作を行った後、有機相を多量のメタノール中に投入し、沈殿した化合物をろ過することで上記化合物(A−13)を含む反応生成物(P13)11.3gを得た。
【0158】
[実施例1−14](化合物(A−14)の合成)
o−トルアルデヒド6.61g(55.0mmol)をm−PEG4−アルデヒド12.1g(55.0mmol)に変更した以外は実施例(1−1)と同様にして下記化合物(a−8)を含む反応生成物(p8)23.9gを得た。
【0159】
【化23】
【0160】
温度計、コンデンサー及び機械式攪拌機を備えた3口フラスコに、得られた上記化合物(a−8)を含む反応生成物(p8)12.1g、N,N−ジメチルアセトアミド40g及び炭酸カリウム5.65g(40.8mmol)を窒素下で仕込んだ。次に80℃に加温し、臭化プロパルギル4.86g(40.8mmol)を添加した後、6時間攪拌して反応を行った。その後、反応溶液にMIBK40g及び水80gを添加して分液操作を行った後、有機相を多量のメタノール中に投入し、沈殿した化合物をろ過することで上記化合物(A−14)を含む反応生成物(P14)11.3gを得た。
【0161】
<比較例となる化合物(b−1)〜(b−3)の合成>
[合成例1−1](化合物(b−1)の合成)
コンデンサー、温度計及び撹拌装置を備えた反応装置に、2,7−ジヒドロキシナフタレン100g、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル100g及びパラホルムアルデヒド50gを仕込み、蓚酸2gを添加し、脱水しながら120℃に昇温して、5時間反応させることにより、下記式(b−1)で表される構造単位を有する重合体である化合物(b−1)を得た。
【0162】
【化24】
【0163】
[合成例1−2](化合物(b−2)の合成)
温度計、コンデンサー及びマグネチックスターラーを備えた3口フラスコに、窒素雰囲気下、1−ヒドロキシピレン20g(91.6mmol)、2−ナフトアルデヒド7.16g(45.8mmol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)82gを仕込み、室温にて溶解させた。溶解させた後、メタンスルホン酸8.81g(91.6mmol)を添加し、120℃で12時間攪拌して重合した。重合終了後、重合反応液を多量のメタノール/水(80/20 vol%)混合溶液に投入し、沈殿した樹脂をろ過することにより、下記式(b−2)で表される構造単位を有する重合体である化合物(b−2)を得た。
【0164】
【化25】
【0165】
[合成例1−3](化合物(b−3)の合成)
温度計、コンデンサー及びマグネチックスターラーを備えた3口フラスコに、窒素雰囲気下において、1−ヒドロキシピレン20g(91.6mmol)、2−ナフトアルデヒド6.30g(40.3mmol)、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル82gを仕込み、室温にて溶解させた。溶解させた後、メタンスルホン酸8.81g(91.6mmol)を添加し、120℃で12時間攪拌して重合した。重合終了後、重合反応液を多量のメタノールに投入し、沈殿した樹脂をろ過することにより、下記式(b−3)で表される構造単位を有する重合体である化合物(b−3)を得た。
【0166】
【化26】
【0167】
<レジスト下層膜形成用組成物の調製>
レジスト下層膜形成用組成物の調製に用いた[B]溶媒、[C]酸発生剤及び[D]架橋剤について以下に示す。
【0168】
[[B]溶媒]
B−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0169】
[[C]酸発生剤]
C−1:ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート(下記式(C−1)で表される化合物)
C−2:トリエチルアンモニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート(下記式(C−2)で表される化合物)
【0170】
【化27】
【0171】
[[D]架橋剤]
D−1:1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(下記式(D−1)で表される化合物)
D−2:4,4’−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシ−3,5−ビス(メトキシメチル)フェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビス(2,6−ビス(メトキシメチル)フェノール(下記式(D−2)で表される化合物)
【0172】
【化28】
【0173】
[実施例2−1]
上記合成した(A−1)を含む反応生成物(P1)10質量部を[B]溶媒としての(B−1)90質量部に溶解した。得られた溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過して、レジスト下層膜形成用組成物(J−1)を調製した。
【0174】
[実施例2−1〜2−16及び比較例2−1〜2−3]
下記表1に示す種類及び含有量の各成分を使用した以外は実施例1と同様に操作して、レジスト下層膜形成用組成物(J−2)〜(J−16)及び(CJ−1)〜(CJ−3)を調製した。表1中の「−」は、該当する成分を使用しなかったことを示し、Mw及びA1/Aaについては、分析しなかったことを示す。
【0175】
【表1】
【0176】
<レジスト下層膜の形成>
上記調製したレジスト下層膜形成用組成物を、シリコンウエハ基板上に、スピンコート法により塗工した。次に、大気雰囲気下にて、下記表2に示す加熱温度(℃)及び加熱時間(sec)で加熱(焼成)し、平均厚み200nmのレジスト下層膜を形成して、基板上にレジスト下層膜が形成されたレジスト下層膜付き基板を得た。
【0177】
<評価>
上記得られたレジスト下層膜形成用組成物及び上記得られたレジスト下層膜付き基板を用い、下記項目について下記方法で評価を行った。各評価結果を下記表2に示す。表2中の「−」は、比較例3−1がエッチング耐性の評価の基準であることを示す。
【0178】
[溶媒耐性]
上記得られたレジスト下層膜付き基板をシクロヘキサノン(室温)に1分間浸漬した。浸漬前後の平均膜厚を測定した。浸漬前のレジスト下層膜の平均厚みをX
0、浸漬後のレジスト下層膜の平均厚みをXとして、(X−X
0)×100/X
0で求められる数値の絶対値を算出し、膜厚変化率(%)とした。溶媒耐性は、膜厚変化率が1%未満の場合は「A」(良好)と、1%以上5%未満の場合は「B」(やや良好)と、5%以上の場合は「C」(不良)と評価した。
【0179】
[エッチング耐性]
上記得られたレジスト下層膜付き基板におけるレジスト下層膜を、エッチング装置(東京エレクトロン社の「TACTRAS」)を用いて、CF
4/Ar=110/440sccm、PRESS.=30MT、HF RF(プラズマ生成用高周波電力)=500W、LF RF(バイアス用高周波電力)=3000W、DCS=−150V、RDC(ガスセンタ流量比)=50%、30secの条件にて処理し、処理前後のレジスト下層膜の平均厚みからエッチング速度(nm/分)を算出し、比較例3−1に対する比率を算出し、エッチング耐性の尺度とした。エッチング耐性は、上記比率が0.95以上0.98未満の場合は「A」(極めて良好)と、0.98以上1.00未満の場合は「B」(良好)と、1.0以上の場合は「C」(不良)と評価した。
【0180】
[平坦性]
上記調製したレジスト下層膜形成用組成物を、
図1に示すように、深さ100nm、幅10μmのトレンチパターンが形成されたシリコン基板1上に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を用い、スピンコート法により塗工した。スピンコートの回転速度は、上記「レジスト下層膜の形成」において、平均厚み200nmのレジスト下層膜を形成する場合と同じとした。次いで、大気雰囲気下にて、250℃で60秒間焼成(ベーク)し、非トレンチパターンの部分における平均厚みが200nmの膜2を形成し、上記シリコン基板が膜で被覆された膜付きシリコン基板を得た。
【0181】
上記膜付きシリコン基板の断面形状を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「S−4800」)にて観察し、このレジスト下層膜の上記トレンチパターンの中央部分bにおける高さと、上記トレンチパターンの端から5μmの場所の非トレンチパターン部分aにおける高さとの差(ΔFT)を平坦性の指標とした。平坦性は、このΔFTが20nm未満の場合は「A」(極めて良好)と、20nm以上30nm未満の場合は「B」(より良好)と、30nm以上40nm未満の場合は「C」(良好)と、40nm以上の場合は「D」(不良)と評価した。なお、
図1で示す高さの差は、実際よりも誇張して記載している。
【0182】
[耐熱性]
上記調製したレジスト下層膜形成用組成物を、直径8インチのシリコンウエハ上にスピンコート法により塗工し、大気雰囲気下にて、250℃で60秒間焼成(ベーク)してレジスト下層膜を形成し、レジスト下層膜付き基板を得た。次に、このレジスト下層膜付き基板のレジスト下層膜を削ることにより粉体を回収し、レジスト下層膜の粉体をTG−DTA装置(NETZSCH社の「TG−DTA2000SR」)による測定で使用する容器に入れ、加熱前の質量を測定した。次に、TG−DTA装置(NETZSCH社の「TG−DTA2000SR」)を用いて、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度にて400℃まで加熱し、400℃における粉体の質量を測定した。そして、下記式により質量減少率(%)を測定し、この質量減少率を耐熱性の尺度とした。
M
L={(m1−m2)/m1}×100
ここで、上記式中、M
Lは、質量減少率(%)であり、m1は、加熱前の質量(mg)であり、m2は、400℃における質量(mg)である。
耐熱性は、試料となる粉体の質量減少率が小さいほど、レジスト下層膜の加熱時に発生する昇華物やレジスト下層膜の分解物が少なく、良好である。すなわち、質量減少率が小さいほど、高い耐熱性であることを示す。耐熱性は、質量減少率が5%未満の場合は「A」(極めて良好)と、5%以上10%未満の場合は「B」(良好)と、10%以上の場合は「C」(不良)と評価した。
【0183】
【表2】
【0184】
表2の結果から明らかなように、実施例の半導体用レジスト下層膜形成用組成物から形成されるレジスト下層膜は、耐熱性、平坦性、溶媒耐性及びエッチング耐性の全ての評価項目において良好な結果が得られた。特に、実施例3−2、実施例3−4、実施例3−5、実施例3−6、実施例3−8及び実施例3−13〜実施例3−15においては、すべての項目について優れていた。これに対して、比較例の半導体用レジスト下層膜形成用組成物から形成されるレジスト下層膜は、エッチング耐性又は平坦性において劣っていた。