(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885295
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】コネクタ端子およびコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/28 20060101AFI20210531BHJP
H01R 13/10 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
H01R4/28
H01R13/10 B
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-205197(P2017-205197)
(22)【出願日】2017年10月24日
(65)【公開番号】特開2019-79674(P2019-79674A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 竣哉
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 治
(72)【発明者】
【氏名】田端 正明
(72)【発明者】
【氏名】大森 康雄
(72)【発明者】
【氏名】原 照雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 亘
【審査官】
高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第10152519(DE,A1)
【文献】
米国特許第04413872(US,A)
【文献】
特開平10−189160(JP,A)
【文献】
実公昭50−041002(JP,Y1)
【文献】
特開2011−096452(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/151393(WO,A1)
【文献】
特開昭61−004174(JP,A)
【文献】
特開2001−126800(JP,A)
【文献】
特開2006−324048(JP,A)
【文献】
実開平07−018426(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/28
H01R 4/10
H01R 4/50
H01R 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングに取付けられるコネクタ端子であって、
電線の芯線と電気的に接続する電線接続部を含む端子本体部と、
前記電線接続部に装着され、前記電線接続部を覆うカバー部と、を備え、
前記電線接続部は、前記カバー部を係止する係止部を有し、
前記カバー部は、
前記係止部と係合して前記カバー部を前記電線接続部に係止させる係合部と、
前記係合部が前記係止部に係合した状態において、前記電線の前記芯線を前記電線接続部との間に挟み込み押圧する押圧部と、を含み、
前記電線接続部は、
底部と、
前記底部の両縁部から直立して対向する一対の壁部と、を有し、
前記押圧部は、前記芯線を当該押圧部と前記電線接続部の前記底部との間に挟み込み押圧し、
前記一対の壁部のそれぞれには、前記カバー部を前記電線接続部に装着する際に前記押圧部を受け入れる切欠き部が形成されている、コネクタ端子。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ端子において、
前記押圧部は、前記カバー部を前記電線接続部に装着する際に前記芯線を湾曲させて凸部を形成し、前記凸部を前記電線接続部に押圧する押圧凸状部を有する、コネクタ端子。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタ端子において、
前記カバー部は、前記押圧凸状部が前記芯線を湾曲させる際における前記押圧凸状部の変形を規制する変形規制部を有する、コネクタ端子。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載のコネクタ端子において、
前記電線接続部の前記底部は、前記カバー部の前記押圧部と対向する位置に、前記押圧部側に隆起する隆起部を有する、コネクタ端子。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のコネクタ端子において、
前記一対の壁部は、それぞれ、前記カバー部が前記電線接続部に装着される際に前記芯線を保持する保持部を有する、コネクタ端子。
【請求項6】
請求項5に記載のコネクタ端子において、
前記保持部は、前記一対の壁部間において相対的にずれた位置に形成されている、コネクタ端子。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のコネクタ端子において、
前記保持部は、角部を有する板状の形状を有し、
前記保持部は、前記角部によって前記芯線を保持する、コネクタ端子。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のコネクタ端子において、
前記電線接続部は、前記芯線との電気的接続をチェックするためのチェック部を有し、
前記カバー部は、前記チェック部を露出させるための窓部を有する、コネクタ端子。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のコネクタ端子において、
前記端子本体部は、前記電線接続部と一体形成され相手側コネクタ端子に接続される端子接続部を含み、
前記電線接続部は、前記カバー部が当該電線接続部に装着された状態において、前記端子接続部と前記カバー部との間に、前記芯線の有無を検知するための開口部を有する、コネクタ端子。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のコネクタ端子において、
前記電線は、前記芯線を覆う被覆部を含む被覆電線であり、
前記電線接続部および前記カバー部の少なくとも一方は、前記被覆部を挟持する挟持部を有する、コネクタ端子。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のコネクタ端子と、
前記コネクタ端子が挿入されるコネクタハウジングと、を備えたコネクタ。
【請求項12】
請求項11に記載のコネクタにおいて、
前記コネクタハウジングに装着され、前記電線が挿入される電線挿入口を有するリアホルダを備え、
前記リアホルダは、前記電線挿入口に向けてテーパ状に広がる電線挿入孔を有する、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、コネクタ端子および当該コネクタ端子を備えたコネクタに関し、詳しくは、電線の芯線をコネクタ端子に電気的に接続させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記接続技術としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1には、コネクタ端子(端子)がワイヤーバレル部とインシュレーションバレル部を備え、ワイヤーバレル部を被覆電線の芯線に圧着し、インシュレーションバレル部を被覆電線の被覆に圧着する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−62103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1においては、電線をコネクタ端子に接続する接続作業において、それぞれのバレル部を、圧着治具を用いて圧着する工程が必要であった。そのため、電線をコネクタ端子に接続する接続作業をより簡易化できるコネクタ端子が所望されていた。
【0005】
そこで、本明細書に開示される技術は、電線をコネクタ端子に接続する接続作業をより簡易化できるコネクタ端子、および当該コネクタ端子を備えたコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されるコネクタ端子は、コネクタハウジングに取付けられるコネクタ端子であって、電線の芯線と電気的に接続する電線接続部を含む端子本体部と、前記電線接続部に装着され、前記電線接続部を覆うカバー部と、を備え、前記電線接続部は、前記カバー部を係止する係止部を有し、前記カバー部は、前記係止部と係合して前記カバー部を前記電線接続部に係止させる係合部と、前記係合部が前記係止部に係合した状態において、前記電線の前記芯線を前記電線接続部との間に挟み込み押圧する押圧部と、を含む。
本構成によれば、カバー部の押圧部は、係合部が係止部に係合した状態において、電線の芯線を電線接続部との間に挟み込み押圧する。その際、電線の芯線は押圧部によって電線接続部に押圧され、それによって、電線の芯線を電線接続部に電気的に接続させることができる。そのため、単にカバー部を電線接続部に取付けることによって、電線の芯線をコネクタ端子に電気的に接続させることができる。それによって、電線をコネクタ端子に接続する接続作業をより簡易化できる。
【0007】
上記コネクタ端子において、前記押圧部は、前記カバー部を前記電線接続部に装着する際に前記芯線を湾曲させて凸部を形成し、前記凸部を前記電線接続部に押圧する押圧凸状部を有するようにしてもよい。
本構成によれば、押圧凸状部によって湾曲された芯線の凸部が電線接続部に押圧されて接続される。その際、押圧力を芯線の凸部に集中させることができ、それによって、芯線と電線接続部との接続をより強固にできる。
【0008】
また、上記コネクタ端子において、前記電線接続部は、底部と、前記底部の両縁部から直立して対向する一対の壁部と、を有し、前記押圧部は、前記芯線を当該押圧部と前記電線接続部の前記底部との間に挟み込み押圧するようにしてもよい。
本構成によれば、芯線は、押圧部と電線接続部の底部との間に挟み込まれ、押圧される。そのため、芯線を押圧して電線接続部に接続する作業が、カバー部を電線接続部に上方から装着する作業によって、容易に行える。
【0009】
また、上記コネクタ端子において、前記電線接続部の前記底部は、前記カバー部の前記押圧部と対向する位置に、前記押圧部側に隆起する隆起部を有するようにしてもよい。
本構成によれば、芯線はカバー部の押圧部と電線接続部の隆起部と間に挟み込み押圧される。そのため、芯線と電線接続部との接続をより確実かつ強固にできる。
【0010】
また、上記コネクタ端子において、前記一対の壁部は、それぞれ、前記カバー部が前記電線接続部に装着される際に前記芯線を保持する保持部を有するようにしてもよい。
本構成によれば、カバー部が電線接続部に装着され芯線が電線接続部に押圧される際に、保持部によって芯線が保持される。そのため、押圧作業が安定化される。
【0011】
また、上記コネクタ端子において、前記保持部は、前記一対の壁部間において相対的にずれた位置に形成されているようにしてもよい。
本構成によれば、芯線が異なる位置において保持部によって保持される。そのため、保持部によって芯線をより安定して保持することができる。
【0012】
また、上記コネクタ端子において、前記保持部は、角部を有する板状の形状を有し、前記保持部は、前記角部によって前記芯線を保持するようにしてもよい。
本構成によれば、芯線は保持部の角部によって
保持されるため、芯線をより強固に保持することができる。
【0013】
また、上記コネクタ端子において、前記カバー部は、前記押圧凸状部が前記芯線を湾曲させる際における前記押圧凸状部の変形を規制する変形規制部を有するようにしてもよい。
本構成によれば、押圧凸状部が芯線を湾曲させる際における押圧凸状部の変形を変形規制部によって抑制することができる。それによって、押圧凸状部による芯線の押圧動作を確実に行うことができる。
【0014】
また、上記コネクタ端子において、前記電線接続部は、前記芯線との電気的接続をチェックするためのチェック部を有し、前記カバー部は、前記チェック部を露出させるための窓部を有するようにしてもよい。
本構成によれば、電線接続部と芯線との電気的接続のチェックを、カバー部の窓部を介して容易に行うことができる。
【0015】
また、上記コネクタ端子において、前記端子本体部は、前記電線接続部と一体形成され相手側コネクタ端子に接続される端子接続部を含み、前記電線接続部は、前記カバー部が当該電線接続部に装着された状態において、前記端子接続部と前記カバー部との間に、前記芯線の有無を検知するための開口部を有するようにしてもよい。
本構成によれば、カバー部が電線接続部に装着された状態において、開口部を介して、芯線が、すなわち電線が電線接続部の所定の位置まで挿入されているかどうかのチェックを行える。
【0016】
また、上記コネクタ端子において、前記電線は、前記芯線を覆う被覆部を含む被覆電線であり、前記電線接続部および前記カバー部の少なくとも一方は、前記被覆部を挟持する挟持部を有するようにしてもよい。
本構成によれば、電線を、被覆部を含めてカバー部が装着された電線接続部に配置することができる。
【0017】
また、本明細書に開示されるコネクタは、上記いずれかに記載のコネクタ端子と、前記コネクタ端子が挿入されるコネクタハウジングと、を備える。
本構成によれば、電線を接続する接続作業をより簡易化できるコネクタ端子を備える。それは、コネクタの製造作業が簡易化につながる。
【0018】
上記コネクタにおいて、前記コネクタハウジングに装着され、前記電線が挿入される電線挿入口を有するリアホルダを備え、前記リアホルダは、前記電線挿入口に向けてテーパ状に広がる電線挿入孔を有するようにしてもよい。
本構成によれば、電線挿入孔は電線挿入口に向けてテーパ状に広がる形状を有する。そのため、電線を、リアホルダを介してコネクタ端子に挿入する作業が容易となる。
【発明の効果】
【0019】
本明細書に開示されるコネクタ端子によれば、電線をコネクタ端子に接続する接続作業をより簡易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】
図3における矢線Aで示す方向から見た端子本体部の断面図
【
図5】
図4における矢線Bで示す方向から見た端子本体部の電線接続部の断面図
【
図10】
図9における矢線Cで示す方向から見たコネクタ端子を含むコネクタハウジングの断面図
【
図11】コネクタハウジングにリアホルダが取り付けられた状態を示す斜視図
【
図12】コネクタハウジングにリアホルダが取り付けられた状態を示す平面図
【
図13】
図12における矢線Dで示す方向から見たコネクタ端子および電線を含む断面図
【
図14】
図13においてカバー部が押圧された状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態>
実施形態を
図1から
図14を参照しつつ説明する。実施形態に係るコネクタ端子5は、コネクタ100のコネクタハウジング50に取付けられる(
図8参照)。なお、以下において、
図1の矢印Xの方向をコネクタ端子5の軸方向、矢印Yの方向をコネクタ端子5の幅方向、矢印Zの方向をコネクタ端子5の上下方向とする。
【0022】
1.コネクタ端子の構成
実施形態に係るコネクタ端子5は、例えば、雌コネクタ端子であり、
図1に示されるように、端子本体部10とカバー部30とを備える。なお、コネクタ端子5は雌コネクタ端子に限られず、雄コネクタ端子であってもよい。
【0023】
1−1.端子本体部
端子本体部10は、大きくは、
図2に示されるように、電線接続部20と端子接続部28とを含み、例えば、打ち抜き加工、折り曲げ加工、およびプレス加工等によって、一枚の金属板材から形成される。
【0024】
電線接続部20は、
図2に示されるように、底部21と、底部21の両縁部から上方に直立して対向する一対の壁部(22A、22B)とを有し、電線70の芯線71に電気的に接続される(
図13参照)。電線70は、芯線71と被覆部72を含む被覆電線である。各壁部(22A、22B)には、カバー部30との関係から切欠き部22Kが形成されている。
【0025】
底部21は、後述するカバー部30の押圧部34と対向する位置に、押圧部側に隆起する隆起部21Aを有する。芯線71は、カバー部30の押圧部34と隆起部21Aと間に挟み込み押圧される。そのため、隆起部21Aによって芯線71と電線接続部20との接続をより確実かつ強固にできる。なお、隆起部21Aは設けられていなくてもよい。
【0026】
各壁部(22A、22B)は、それぞれ、カバー部30を係止する一対の係止部(24、25)を二か所に有する。各係止部(24、25)は、
図2に示されるように、例えばプレス加工によって、壁の外側に突き出す円弧状の凸部として形成されている。なお、各係止部(24、25)の形状および構成は、
図2に示されたものに限られない。
【0027】
また、各壁部(22A、22B)は、それぞれ、カバー部30が電線接続部20に装着される際に芯線71を保持する保持部26を二か所に有する。各保持部26は、
図2に示されるように、例えば打ち抜き加工によって壁部(22A、22B)の一部が壁の内側に突き出す板状部として形成されている。すなわち、保持部26は、角部26Aを有する板状の形状を有し、角部26Aによって芯線を保持する(
図4および
図14参照)。このように、本実施形態では、芯線71の保持は板状保持部26の角部(エッジ部)26Aによってされるため、角部26Aが芯線71に食い込み、芯線71をより強固に保持することができる。
【0028】
また、保持部26は、
図3に示されるように、一対の壁部(22A、22B)間において相対的にずれた位置に形成されている。すなわち、一対の壁部(22A、22B)間において、芯線71が異なる位置において保持部26によって保持される。そのため、保持部26によって芯線71をより安定して保持することができる。
【0029】
また、電線接続部20は、芯線71との電気的接続をチェックするためのチェック部23を有する。チェック部23は、
図2に示されるように、壁部22Aから壁部22Bに向けて突出するように形成されている。チェック部23によって、電線接続部20と芯線71との電気的接続(電気的導通)のチェックを、後述するカバー部30の窓部31Aを介して容易に行うことができる。
【0030】
また、電線接続部20は、カバー部30が電線接続部20に装着された状態において、端子接続部28とカバー部30との間に、芯線71の有無を検知するための開口部29を有する。カバー部30が電線接続部20に装着された状態において、開口部29を介して、芯線71が、すなわち電線70が電線接続部20の所定の位置まで挿入されているかどうかのチェックを行える。なお、このチェックは、後述するように、コネクタ端子5がコネクタハウジング50に挿入された後においても可能である(
図9参照)。
【0031】
端子接続部28は、電線接続部20と一体形成され、相手側コネクタ端子である雄コネクタ端子(図示せず)に接続される。端子接続部28は、挿入孔28Aおよび係止突起28Bを含む。挿入孔28Aには、雄コネクタ端子の端子接続部が挿入される。係止突起28Bは、コネクタハウジング50の留め開口部51に係合して端子本体部10(コネクタ端子5)をコネクタハウジング50に係止する。
【0032】
1−2.カバー部
カバー部30は、
図6に示されるように、天井部31と、天井部31の両縁部から下方に直立して対向する一対の側壁部(32A、32B)とを含む形状を有し、電線接続部20を上方からカバーする。
【0033】
また、カバー部30は、
図6および
図7に示されるように、係合部33と押圧部34とを含み、端子本体部10と同様に、例えば、打ち抜き加工、折り曲げ加工、およびプレス加工等によって、一枚の金属板材から形成される。
【0034】
係合部33は、
図6に示されるように、各側壁部(32A、32B)の軸方向(
図1の矢印X方向)の両端部の上下二か所に形成されている。すなわち、各側壁部(32A、32B)に4か所、合計8か所の係合部33がカバー部30に形成されている。上側の係合部33は、電線接続部20の上側の係止部25に係合し、下側の係合部33は、電線接続部20の下側の係止部24に係合する。本実施形態においては、各係合部33は、打ち抜き形成された窓部によって構成されている。なお、係合部33の構成は窓部に限られない。
【0035】
押圧部34は、係合部33が係止部(24、25)に係合した状態において、電線70の芯線71を電線接続部20、詳しくは、電線接続部20の底部21に形成された隆起部21Aとの間に挟み込み押圧する。
【0036】
押圧部34は、天井部31からの連続する金属部材を折り曲げて形成された押圧凸状部34Aを有する(
図13等参照)。押圧凸状部34Aは、カバー部30を電線接続部20に装着する際に芯線71を湾曲させて凸部71Aを形成し、凸部71Aを電線接続部20、詳しくは、電線接続部20の隆起部21Aに押圧する(
図14参照)。すなわち、本実施形態では、押圧凸状部34Aによって湾曲された芯線71の凸部71Aが、電線接続部20に押圧されて接続される。その際、押圧力を芯線の凸部71Aに集中させることができ、それによって、芯線71と電線接続部20との接続をより強固にできる。なお、押圧凸状部34Aの形状は
図14等に示されたものに限られず、また、押圧凸状部34Aは押圧部34に設けられなくてもよい。すなわち、押圧部34の形状は任意である。
【0037】
また、カバー部30は、詳しくは、カバー部30の各側壁部(32A、32B)は、
押圧凸状部34Aが芯線71を湾曲させる際における押圧凸状部34Aの変形を規制する変形規制部35を有する。変形規制部35は、
図6に示されるように、各側壁部(32A、32B)を打ち抜き折り曲げ加工することによって形成され、板状の形状を有する(
図7参照)。この変形規制部35によって、押圧凸状部34Aが芯線71を湾曲させる際における押圧凸状部34Aの変形を抑制することができる。それによって、押圧凸状部34Aによる芯線71の押圧動作を確実に行うことができる。なお、変形規制部35の形状は板状に限られず、また、変形規制部35は設けられなくてもよい。
【0038】
また、カバー部30には、詳細には、カバー部30の天井部31には、
図6に示されるように、電線接続部20のチェック部23を露出させるための窓部31Aが形成されている。
【0039】
2.コネクタ端子の組付け方法
次に、
図8から
図14を参照して、コネクタ端子5のコネクタ100への組付け方法について概略的に説明する。ここで、コネクタ100は、
図11に示されるように、コネクタ端子5、コネクタ端子5が挿入されるコネクタハウジング50、およびリアホルダ60を含む。なお、コネクタ100は、その他、リテーナおよびアウターハウジング等を含むが、図示および説明は省略する。
【0040】
まず、
図8および
図9に示されるように、端子本体部10にカバー部30が載置されただけの係合されていないコネクタ端子5を、コネクタハウジング50のコネクタ端子挿入部52に挿入する。その際、コネクタ端子5の係止突起28Bを、コネクタハウジング50の留め開口部51に係合してコネクタ端子5をコネクタハウジング50に係止する。この状態でのコネクタハウジング50とコネクタ端子5との関係を示す断面図が、
図10に示されている。
【0041】
なお、コネクタハウジング50は、
図8および
図9に示されるように、上下段の、複数の相手側コネクタ端子挿入口53を有し、各相手側コネクタ端子挿入口53に対応したコネクタ端子挿入部52を有する。しかしながら、
図8および
図9には、説明の便宜上、一個のコネクタ端子5がコネクタ端子挿入部52に挿入された例が示されている。以下においても同様である。
【0042】
次に、
図11および
図12に示されるように、コネクタ端子5が挿入されたコネクタハウジング50にリアホルダ60を装着する。以上で、コネクタ端子5のコネクタ100への組付けが終了する。
【0043】
さらに、
図13に示されるように、リアホルダ60の電線挿入口61および電線挿入孔62を介して、電線70がコネクタ端子5の端子本体部10の所定位置まで挿入される。その際、
図13に示されるように、リアホルダ60の電線挿入孔62が電線挿入口61に向けてテーパ状に広がる形状に形成されているため、電線70を、リアホルダ60を介してコネクタ端子5に挿入する作業が容易となる。
【0044】
次いで、カバー部30を上部から押圧して、カバー部30の係合部33を端子本体部10の係止部(24、25)と係合させると、
図14に示されるように、押圧凸状部34Aが芯線71を変形(湾曲)させて、芯線71を電線接続部20の隆起部21Aに押圧させる。それによって、芯線71がコネクタ端子5の電線接続部20に電気的に接続される。
【0045】
3.実施形態の効果
本実施形態におけるコネクタ端子5のカバー部30の押圧部34(詳しくは押圧凸状部34A)は、カバー部30の係合部33が端子本体部10の係止部(24、25)に係合した状態において、電線の芯線71を電線接続部20との間に挟み込み押圧する。その際、電線の芯線71は押圧部34によって電線接続部20に押圧され、それによって、電線の芯線71を電線接続部20に電気的に接続させることができる。そのため、単にカバー部30を電線接続部20に取付けることによって、電線の芯線71をコネクタ端子5に電気的に接続させることができる。それによって、電線70をコネクタ端子5に接続する接続作業をより簡易化できる。
【0046】
その際、芯線71は、押圧部34と電線接続部20の底部21との間に挟み込まれ、押圧される。そのため、芯線71を押圧して電線接続部20に接続する作業が、カバー部30を電線接続部20に上方から装着する作業によって、容易に行える。
【0047】
また、電線接続部20の一対の壁部(22A、22B)は、それぞれ、カバー部30が電線接続部20に装着される際に芯線71を保持する保持部26を有する。そのため、カバー部30が電線接続部20に装着され芯線71が電線接続部20に押圧される際に、保持部26によって芯線71が保持される。それによって、押圧作業が安定化される。
【0048】
また、コネクタ100は、電線70を接続する接続作業をより簡易化できる上記コネクタ端子5を備える。それによって、コネクタ100の製造作業が簡易化にされる。
【0049】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0050】
(1)上記実施形態においては、
図14等に示されるように、コネクタ端子5には電線70の芯線71のみが配置される例を示したが、これに限られない。
図15に示されるように、電線接続部20およびカバー部30の少なくとも一方は、電線70の被覆部72を挟持する挟持部36を有するように構成してもよい。この場合、電線70を、被覆部72を含めて、カバー部30が装着された電線接続部20に配置することができる。なお、
図15には、カバー部が挟持部36を有する例が示される。
【符号の説明】
【0051】
5…コネクタ端子
10…端子本体部
20…電線接続部
21…底部
21A…隆起部
22A、22B…壁部
23…チェック部
24…係止部
25…係止部
26…保持部
26A…保持部の角部
28…端子接続部
29…開口部
30…カバー部
31A…窓部
33…係合部
34…押圧部
34A…押圧凸状部
35…変形規制部
36…挟持部
50…コネクタハウジング
60…リアホルダ
70…電線
71…芯線
71A…芯線の凸部
72…被覆部
100…コネクタ