(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリエステルポリオール(A)、ポリイソシアネート成分(B)、および白色顔料(C)を含有する白色接着剤組成物であって、下記(1)〜(4)の条件の全てを満たす白色接着剤組成物。
(1)前記ポリエステルポリオール(A)の、酸価が0.8〜15(mg/KОH)、ガラス転移温度が−10℃〜10℃、数平均分子量が4000〜50000である。
(2)前記ポリエステルポリオール(A)の構成単量体である酸成分(a1)とアルコール成分(a2)との合計100質量%中、芳香族系単量体の含有率が35質量%よりも多い。
(3)前記ポリエステルポリオール(A)、前記ポリイソシアネート成分(B)、および前記白色顔料(C)の合計を100質量%とした場合、ポリイソシアネート成分(B)を10〜60質量%含む。
(4)前記ポリエステルポリオール(A)、前記ポリイソシアネート成分(B)、および前記白色顔料(C)の合計を100質量%とした場合、白色顔料(C)の含有率が10〜34質量%である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の接着剤組成物は、前述の通り、ポリエステルポリオール(A)、ポリイソシアネート成分(B)、および白色顔料(C)を含有する。
【0014】
<ポリエステルポリオール(A)>
本発明で用いられるポリオールは、分散性の観点から、酸価が0.8〜15(mg/KОH)であることが重要であり、好ましくは1〜5である。また、接着力の観点から、ガラス転移温度が−10℃〜10℃であることが重要であり、好ましくは−5℃〜10℃である。また、接着剤組成物の粘度の観点から数平均分子量は4,000〜50,000であることが重要であり、好ましくは4,000〜20,000である。また、ポリエステルポリオール(A)の構成単量体である酸成分(a1)とアルコール成分(a2)との合計100質量%中、芳香族系単量体の含有率が35質量%よりも多いことが重要である。
更にポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ひまし油又はそれらの混合物(以下、これらをポリオール(1)とする。)等を共重合及び、配合することができる。
【0015】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3′−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類若しくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルポリオール、それらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオール、或いはポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、上記エステル化反応に際し、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミノ基を有する脂肪族ジアミンを原料としてあわせて使用することによって得られるポリエステルアミドポリオールも使用することができる。
【0016】
また、耐熱性の観点から、ポリエステルポリウレタンポリオールを使用することもできる。ポリエステルポリウレタンポリオールとしては、1分子中にウレタン結合を有するポリオールであり、例えば、数平均分子量200〜20,000のポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等とポリイソシアネートとをNCO/OHが1未満の状態で反応させて得られるものであることが好ましく、は0.9以下で反応させて得られるものであることがより好ましい。
【0017】
本発明では、上記ポリオールとして、その分子中(分子内部や分子末端)にカルボキシル基を有するもの(以下、ポリオール(2)という。)を用いることができる。本発明で用いられるポリオール(2)は、望ましくは上記のポリオール(1)と多塩基酸若しくはその無水物とを反応させることにより得られる。この際用いられるポリオール(1)としては、分子末端に2個以上の水酸基を含有し、数平均分子量が、分散安定性と高速塗工外観の観点から4,000〜50,000であることが重要であり、好ましくは4,000〜20,000である。前記数平均分子量が4,000以上だと分散安定性が十分であり、100,000以下では、塗工時に良好な外観を得ることができる。
【0018】
<イソシアネート化合物(B)>
本発明で用いられるイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;
1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−2,6−トリレンジイソシアネート又は2,6−トリレンジイソシアネート若しくはその混合物、4,4′−トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
1,3−1,4−キシリレンジイソシアネート又は1,4−キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香族ジイソシアネート;
トリフェニルメタン−4,4′,4″−
トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン等の有機トリイソシアネート;4,4′−ジフェニルジメチルメタン−2,2′−5,5′−テトライソシアネート等の有機テトライソシアネート等のポリイソシアネート単量体;
上記ポリイソシアネート単量体から誘導されたダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート;
炭酸ガスと上記ポリイソシアネート単量体とから得られる2,4,6−オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネート;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3′−ジメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の分子量200未満の低分子ポリオールと上記ポリイソシアネート単量体との付加体;
分子量200〜20,000のポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ひまし油、ポリウレタンポリオール等と上記ポリイソシアネート単量体との付加体;
ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとをNCO/OHが1未満で反応させて得られるポリウレタンポリオールと上記ポリイソシアネート単量体の付加体;等が挙げられる。
これらポリイソシアネート化合物は、接着剤の用途により単独或いは二種以上の混合物として適宜用いることが出来る。例えば、硬化速度、及び耐熱性の観点からは、芳香族系のポリイソシアネートが好ましい。
イソシアネート化合物(B)は、硬化速度の観点から、ポリオール(A)100重量部に対して、1〜60重量部含有することが好ましく、より好ましくは5〜30重量部である。
【0019】
<白色顔料(C)>
本発明の接着剤には、隠蔽性付与のために、白色顔料(C)を含有することが重要である。白色顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、沈殿性硫酸バリウム、タルク、クレー等が用いられるが、白色度および隠ぺい性の点で、酸化チタンが好ましい。
酸化チタンの中でもルチル型を含むことが好ましい。ルチル型を含む酸化チタンとしては、例えば、TipaqreCR−50、R−630、R−550、R−820、R−930、CR−80、R−830、CR−97、CR−90、CR−93、CR−95、CR−58、CR−67、R−580、R−670(石原産業(株)製)、TitanixJR−407、JR−600A、JR−600E、JRNC、JR−602、JR−603、JR−701、JR−603、JR−805、JR−808、JR−300(テイカ(株)製)、TitonR−650、R−5N、R−61N、R−52N、R−62N、SR−1、R−GL、TCR−37、TCR−10、TCR−17、TCR−61、TCR−57、TCR−11(堺化学(株)製)、KronosKR−380、KR−380N、KR−310(チタン工業(株)製)、FR−22、FR−41、FR−35、FR−44、FR−46(古河機械金属(株)製)、TR−700、TR−840(富士チタン(株)製)、Ti−PureR−900、R−920、R−902、R−960、R−901(Dupontグループ製)、TioxideR−HD2、R−HD6、R−TC4、R−HD3、R−TC90、R−CR2、R−CR3、R−CR6、R−TC60、R−TCY、R−CR60、R−TC90(Tioxideグループ製)、を挙げることができる。
【0020】
本発明の白色接着剤は、ポリエステルポリオール(A)と白色顔料(C)とを混合して、アイガーミル、ペイントシェーカー、ペイントコンディショナー、スキャンデックス、サンドミル、ボールミル、コロイドミルなどの公知の分散機や、ジスパー、ホモミキサーなどの攪拌機などを用いて分散した後、イソシアネート化合物(B)を混合することによる得ることができる。また、各種添加剤をポリエステルポリオール(A)と白色顔料(C)との分散液に添加したり、イソシアネート化合物(B)を混合した後に添加したりすることもできる。
【0021】
<シランカップリング剤>
本発明の接着剤には、耐熱水性を高めるため、さらに、シランカップリング剤を含有させることができる。シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤の添加量は、ポリエステルポリオール(A)100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜3.0質量部であることがより好ましい。
【0022】
<リンの酸素酸>
また、本発明の接着剤には、耐酸性を高めるため、さらに、リンの酸素酸またはその誘導体を含有させることができる。リンの酸素酸またはその誘導体の内、リンの酸素酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類が挙げられる。また、リンの酸素酸の誘導体としては、上記のリンの酸素酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたもの等が挙げられる。これらのアルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール、フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノール等の芳香族アルコール等が挙げられる。リンの酸素酸またはその誘導体は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リンの酸素酸またはその誘導体の添加量は、接着剤の固形分を基準として0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜5重量%であることがより好ましく、0.1〜1重量%であることが特に好ましい。
【0023】
<リン酸エポキシ>
さらに、本発明の接着剤は、金属に対する密着性能向上のために、リン酸エポキシを含有させることができる。リン酸エポキシとしては、DSM Resinsレジン社製URAD-DD79が挙げられる。
リン酸エポキシの添加量は、接着剤の固形分を基準として、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.1〜1重量%であることが特に好ましい。
【0024】
<その他の添加剤>
本発明の接着剤には、さらに、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、防黴剤、増粘剤、可塑剤、顔料、充填剤等の添加剤を必要に応じて含有させることができる。また、硬化反応を調節するため公知の触媒、添加剤等を含有させることができる。
本発明の接着剤は、ポリエステルポリオール(A)、ポリイソシアネート成分(B)、および白色顔料(C)を配合し、その粘度が常温〜150℃、好ましくは常温〜100℃で100〜10,000mPa・s、好ましくは100〜5,000mPa・sの場合は無溶剤型としても用いることができる。接着剤の粘度が上記範囲より高い場合は、有機溶剤で希釈してもよい。有機溶剤としては、例えば酢酸エチル等のエステル系、メチルエチルケトン等のケトン系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系等のイソシアネートに対して不活性なものであれば必要に応じいかなるものを使用してもよい。
【0025】
本発明の接着剤は、溶剤型または無溶剤型のラミネーターによってフィルム表面に塗布し、溶剤型の場合は溶剤を揮散させた後、無溶剤型ではそのまま接着面を貼り合せ、常温または加温下に硬化させることにより使用することができる。通常、無溶剤型では塗布量が乾燥固形物量1.0〜2.0g/m
2、溶剤型では乾燥固形物量2.0〜5.0g/m
2の範囲で使用すると好都合である。
【0026】
<積層体>
次に、本発明の積層体について説明する。本発明の積層体は、少なくとも2つのシート状基材が本発明の接着剤から形成される接着剤層を介して積層されているものである。
シート状基材は、積層体に通常用いられているプラスチックフィルム、紙、金属箔等であり、2つのシート状基材は、同種のものでも異種のものでも良い。プラスチックフィルムとしては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のフィルムを用いることができるが、熱可塑性樹脂のフィルムが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、200℃以下の温度で軟化し得るものが好ましく、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、繊維素系プラスチック等が挙げられる。
【0027】
積層体の厚さは、通常10μm以上である。本発明の接着剤を用いて、積層体を作るには、通常用いられている方法、例えば、ドライラミネーターによって接着剤を一方のシート状基材の片面に塗布し、溶剤を揮散させた後、他方のシート状基材と貼り合わせ、常温もしくは加温下に硬化させれば良い。シート状基材表面に施される接着剤量は1〜10g/m
2程度である。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。実施例及び比較例中の部、%は、特に指定がない場合は重量部、重量%を意味する。
また、本発明において「数平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを利用し、標準ポリスチレンの検量線を使用して算出した。酸価、水酸基価は、1gのポリマーポリオール当りのKOHのmgで表わす。酸価はKOHによる中和滴定で、水酸基価はピリジンと無水酢酸を用いるアセチル化により測定した。
また、「芳香族系単量体含有率」とはウレタン化や酸変性を除くエステル化における脱水反応を行う際に使用する芳香環を有する単量体の質量を下記の計算式で表したものである。
芳香族系単量体含有率=芳香族系単量体の質量 ÷(全カルボン酸成分の質量+全水酸基成分の質量)×100
【0029】
(合成例1)ポリエステルポリオール(a−1)溶液の合成
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、酸成分としてテレフタル酸148部、イソフタル酸222部、アジピン酸226部を、アルコール成分として1,6−ヘキサンジオール51部、エチレングリコール84部、2−メチル−1,3−プロパンジオール219部、トリメチロールプロパン7部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら260℃まで昇温した。酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHgで反応を継続し、余剰のアルコールを除去した後、無水トリメリット酸4.8gを加え、180℃で1時間保持し、酸価が1.89mgKOH/g、数平均分子量11000、Tg−5℃、芳香族系単量体含有量38.7%のポリエステルポリオール(a−1)を得、酢酸エチルで希釈し、固形分率50%の溶液を得た。
【0030】
(合成例2、5、6〜7、10〜11)
表1に示す組成に従って、合成例1と同様にして各ポリエステルポリオールの溶液を得た。
【0031】
(合成例3)ポリエステルポリウレタンポリオール(a−3)溶液の合成
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、酸成分としてイソフタル酸371部、アジピン酸226部を、アルコール成分として1,6−ヘキサンジオール51部、エチレングリコール84部、2−メチル−1,3−プロパンジオール219部、トリメチロールプロパン7部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら260℃まで昇温した。酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHgで反応を継続し、余剰のアルコールを除去した後、150℃の雰囲気中で、イソホロンジイソシアネート14g添加し、攪拌を継続した。IR分析にて未反応のNCO由来の吸収が消失するまで攪拌を続けた後、無水トリメリット酸2.4gを添加し、180℃で1時間保持し、酸価が1.0mgKOH/g、数平均分子量42000、Tg0℃、芳香族系単量体含有量38.9%のポリエステルポリオール(a−3)を得、酢酸エチルで希釈し、固形分率50%の溶液を得た。
【0032】
(合成例4、8〜9)
表1に示す組成に従って、合成例3と同様にして各ポリエステルポリウレタンポリオールの溶液を得た。
【0033】
【表1】
【0034】
表1中の記号は以下の通り。
TMA:無水トリメリット酸
1,6−HD:1,6−ヘキサンジオール
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
MPO:2−メチル−1,3−プロパンジオール
DEG:ジエチレングリコール
TMP:トリメチロールプロパン
IPDI:イソホロンジイソシアネート
【0035】
(白色顔料の配合)
(実施例用の配合例1)白色ポリオール(A−1)の配合
固形分率50%のポリエステルポリオール(a−1)の溶液146部(ポリエステルポリオール(a−1)を73部含む)、酸化チタン(JR−407、テイカ(株)製)27部、酢酸エチル溶剤27部を攪拌混合しサンドミルで練肉し、固形分率50%の白色ポリオール組成物(A−1)を得て、後述する方法に従い、沈降安定性を評価した。結果を評価し、結果を表2に示す。
【0036】
(実施例用の配合例2〜10)、(比較例用の配合例11〜16)
表2に従って、配合例1と同様の層さで白色ポリオール組成物(A−2)〜(A−16)を得て、後述する方法に従い、沈降安定性を評価した。結果を評価し、結果を表2に示す。
【0037】
(沈降安定性試験)
白色ポリオール組成物(A−1)〜(A−16)を蓋付きガラス瓶に入れ、温度40℃の条件下で1ヶ月間保存した。保存後の外観を以下の基準にて評価した。
○:溶液と顔料の分離が見られず、底面への沈降がない。
△:溶液と顔料の分離が見られず、底面への沈降が存在する。
×:溶液と顔料の分離が見られる。
【0038】
【表2】
【0039】
表2に示すように、本発明で特定する特定のポリエステルポリオールを用いた白色顔料含有ポリエステルポリオール組成物は、40℃一ヶ月後の沈降安定性に優れていることがわかる。これに対し、酸価が低いポリエステルポリオール(a−6)を用いた場合や低分子量のポリエステルポリオール(a−9)を用いた場合は、白色顔料の分散状態を安定に保つことができなかったので、接着剤を作製せず、積層体も形成しなかった。
【0040】
(実施例1)
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、実施例用の配合例1で得た固形分率50%の白色ポリオール(A−1)の組成物200部、ポリイソシアネート成分(B)として、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体(TDI−TMPアダクト)の酢酸エチル希釈液(不揮発分75重量%)を14部、酢酸エチル62.3部を配合し、固形分40%接着剤を得て、後述する方法に従い、接着力、塗工外観、耐熱性、白色度を評価した。結果を評価し、結果を表3に示す。
【0041】
(実施例2〜6、比較例1〜8)
表3記載の材料を使用した以外は、実施例1と同様な操作により、接着剤を得、同様に評価し、結果を表3に示す。
【0042】
(4層積層体の作成)
接着剤を常温にてラミネーターにより、まず厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの印刷面に塗工速度200m/分、固形分塗布量を3.0g/m
2として塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面を、厚さ50μmの未延伸ポリエチレン(PE)フィルムのコロナ放電処理面と貼り合せ、40℃で2日間保温し、4層積層体を作成した。
【0043】
(接着強度−初期)
上記のようにして作成した4層積層体から15mm×300mmの大きさの試験片を作り、引張り試験機を用い、温度20℃、相対湿度65%の条件下で、T型剥離により、剥離速度30cm/分で、PETフィルム/PEフィルム間の接着強度(N/15mm)を測定した。この試験を5回行い、その平均値を求め以下の基準にて評価した。
◎:接着力8N以上
○:接着力8N未満、5N以上
△:接着力5N未満、3N以上
×:接着力3N未満
【0044】
(接着強度−耐熱性試験後)
(株)日坂製作所製「RCS−40RTGN」高温高圧調理殺菌試験機により、10r.p.m.、135℃、30分、3MPaの加圧下で各積層体について熱水殺菌を行った後、前記接着強度試験と同様の方法で接着強度の測定を行った。この試験を5回行い、その平均値を求め、同様の基準にて評価した。
【0045】
(積層体の外観状態)
PET側から積層体を目視観察し、以下の基準にて評価した。
◎:積層体に、ゆず肌状の模様や小さな斑点状の模様は観察されない。
○:積層体に、小さな斑点状の模様は観測されないが、ゆず肌状の模様が多少観察される。使用上問題ないレベル。
△:蒸着部に、小さな斑点状の模様は観測されないが、ゆず肌状の模様が多数観察される。使用上問題ないレベル。
×:積層体に、ゆず肌状の模様だけでなく小さな斑点状の模様が多数観察される。
【0046】
(白濃度の確認)
PE側から積層体の隠蔽性を、色差計(日本法人X-Rite製X-Rite eXact)を用いて測定したL
*を用いて、白色度で評価した。すなわち、この値が高い程、白色度が高く、隠蔽性に優れることとなる。それぞれの測定は、5点の平均値とし、以下の基準にて評価した。
○:L
*が70以上。
△:L
*が70未満60以上。
×:L
*が60未満。
【0047】
【表3】
【0048】
表3中、記号は以下の通り。
HDI−ビューレット:ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体
IPDI−TMP:イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体
XDI−TMP:キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体
IPDI−TMP/XDI−TMP:IPDI−TMPとXDI−TMPとの6:4(質量比)の混合物。
【0049】
表3に示すように、実施例1〜6の本発明の接着剤を用いてなる積層体は、各種性能に優れていることがわかる。
これに対し、比較例1は、高酸価のポリエステルポリオール(a−7)を用いたため、比較例2は高分子量のポリエステルポリオール(a−8)を用いたため、接着剤の粘度が増大してしまい、積層体の塗工外観が劣る。比較例3は、芳香族環量の少ないポリエステルポリオール(a−10)を用いたため、積層体の初期および耐熱性試験後の接着力が劣る。比較例4は、ガラス転移温度の高いポリエステルポリオール(a−11)を用いたため、積層体の初期の接着力が劣る。接着力が劣る。
比較例5は酸化チタンの配合量が少ないため、白濃度が劣る。比較例6は酸化チタンの配合量が多すぎるため、積層体の初期の接着力が劣る。比較例7はポリイソシアネート成分の配合量が少なすぎるため、積層体の初期および耐熱性試験後の接着力が劣る。比較例8はポリイソシアネートの配合量が多すぎるため、積層体の初期の接着力が劣る。