(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記各画像形成装置では、前記第1制御部は、当該画像形成装置で実行されるジョブの待ち行列に基づき、前記待ち行列のジョブが終了するまでの待ち時間を検出して、この待ち時間を、前記第1ネットワーク通信部から前記携帯端末装置に向けて送信させ、
前記携帯端末装置では、前記各画像形成装置別に、前記待ち時間を前記第2ネットワーク通信部で受信すると、前記第2制御部が、前記各画像形成装置の待ち時間をそれぞれ前記表示部に表示させる請求項1に記載の画像処理システム。
前記画像形成装置では、前記携帯端末装置から送信されてきた画像データを前記第1ネットワーク通信部で受信した後、前記第1制御部は、当該画像データに基づくジョブの実行前又は実行中に、処理すべき他のジョブの割り込みが発生すると、当該割り込み発生後における前記待ち時間を新たに検出し、前記割り込みの発生を示す情報と、当該検出した待ち時間とを、前記第1ネットワーク通信部から前記ネットワークを通じて前記携帯端末装置に向けて送信させ、
前記携帯端末装置では、前記第2ネットワーク通信部が前記割り込みの発生を示す情報及び前記検出された待ち時間とを受信したとき、前記第2制御部が、前記画像形成装置において前記割り込みが発生したことを示す画像と、前記検出された待ち時間を示す画像とを、前記表示部に表示させる請求項2に記載の画像処理システム。
前記携帯端末装置では、前記第2制御部は、当該携帯端末装置と前記各画像形成装置との離間距離に応じて、当該各画像形成装置の動作状態をそれぞれに決定し、前記第2ネットワーク通信部から前記各画像形成装置に対して、送信先となる画像形成装置に対応する前記決定した動作状態を示す情報を送信させ、
前記各画像形成装置では、前記動作状態を示す情報を前記第1ネットワーク通信部で受信すると、前記第1制御部が、印刷中の動作状態にある場合を除き、当該画像形成装置を前記動作状態に設定し、印刷中の動作状態にある場合は、前記動作状態を示す情報に拘わらず印刷中の動作状態を維持する請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の画像処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態にかかる画像処理システムについて図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の画像処理システムの一実施形態を示すブロック図である。本実施形態の画像処理システムSyは、携帯端末装置10と、当該携帯端末装置10にネットワークNにより接続された複数の画像形成装置30とを備える。この画像処理システムSyにおいて、携帯端末装置10は、例えば、スマートフォンやモバイルなどである。携帯端末装置10は、表示部11と、タッチパネル12と、ネットワーク通信部13と、近距離通信部14と、記憶部18と、制御ユニット19とを備える。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。尚、タッチパネル12は、特許請求の範囲における操作部の一例でもある。また、ネットワーク通信部13及び近距離通信部14は、特許請求の範囲における第2ネットワーク通信部及び第2近距離通信部に対応し、更に制御部21は、特許請求の範囲における第2制御部に対応する。
【0013】
表示部11は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)などから構成される。
【0014】
タッチパネル12は、所謂抵抗膜方式や静電容量方式等のタッチパネルである。タッチパネル12は、表示部11の画面に配置され、表示部11の画面上のソフトキーに対する指などの接触をその接触位置と共に検出する。タッチパネル12は、指などの接触を検出すると、その接触位置の座標を示す検出信号を制御ユニット19に出力する。従って、タッチパネル12は、表示部11の画面に対するユーザー操作が入力される操作部としての役割を果たす。
【0015】
ネットワーク通信部13は、不図示のLANチップなどの通信機能を備えた通信インターフェイスである。このネットワーク通信部13は、ネットワークNを通じて画像形成装置30に接続されて、画像形成装置30との間でデータの送受信を行う。
【0016】
また、近距離通信部14は、近距離通信方式(Near Field Communication)、例えばブルートゥースローエネルギー(BLUETOOTH LOW Energy(登録商標))に基づく無線通信を行う通信装置である。
【0017】
記憶部18は、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置であって、各種のアプリケーションプログラムや種々の情報等を記憶している。
【0018】
制御ユニット19は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。プロセッサーは、CPU(Central Processing Unit)、MPU、又はASIC等である。制御ユニット19は、上記のROM又は記憶部18に記憶された制御プログラムが上記のプロセッサーで実行されることにより、制御部21として機能する。
【0019】
制御部21は、携帯端末装置10の全体的な動作制御を司る。制御部21は、表示部11、タッチパネル12、ネットワーク通信部13、近距離通信部14、及び記憶部18などと接続されており、これらの構成要素の動作制御や、該各構成要素との間での信号またはデータの送受信を行う。
【0020】
また、制御部21は、タッチパネル12の操作に応じた処理などを実行する処理部としての役割を果たす。更に、制御部21は、ネットワーク通信部13及び近距離通信部14の通信動作を制御する機能を有する。制御部21は、表示部11の表示動作を制御する機能を有する。
【0021】
画像処理システムSyの各画像形成装置30を説明する。各画像形成装置30は同様の構成である。画像形成装置30は、表示部31と、操作部32と、ネットワーク通信部33と、近距離通信部34と、画像読取部36と、画像形成部37と、記憶部38と、制御ユニット39とを備える。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。尚、ネットワーク通信部33及び近距離通信部34は、特許請求の範囲における第1ネットワーク通信部及び第1近距離通信部に対応する。また、制御部41は、特許請求の範囲における第1制御部に対応し、更に画像形成部37は、特許請求の範囲における画像形成部に対応する。
【0022】
制御ユニット39は、プロセッサー、RAM、及びROMなどから構成される。プロセッサーは、CPU、MPU、又はASIC等である。制御ユニット39は、上記のROM又は記憶部38に記憶された制御プログラムが上記のプロセッサーで実行されることにより、制御部41として機能する。
【0023】
制御部41は、画像形成装置30を統括的に制御する。制御部41は、画像形成装置30による画像形成に必要な各種の処理などを実行する処理部としての役割を果たす。
【0024】
表示部31は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)である。表示部31は、例えば、画像形成処理に必要な操作画面、周辺に存在する画像形成装置を示す画像を表示する画面等を表示する。
【0025】
ネットワーク通信部(
図1ではNW通信部)33は、不図示のLANチップなどの通信機能を備えた通信インターフェイスであり、制御部41により制御され、ネットワークNを通じて携帯端末装置10との間で各種のデータを送受信する。
【0026】
近距離通信部34は、制御部41により制御され、近距離通信方式、例えばブルートゥースローエネルギーに基づく無線通信を行う通信装置である。
【0027】
画像読取部36は、コンタクトガラスに載置された原稿を光学的に読み取るスキャナーを有し、原稿を読み取って、この原稿の画像を示す画像データを生成する。
【0028】
画像形成部37は、感光体ドラム、感光体ドラムの表面を均一帯電させる帯電装置、感光体ドラムの表面を露光して、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光装置、感光体ドラムの表面の静電潜像をトナー像に現像する現像装置、及び感光体ドラムの表面のトナー像(画像)を記録媒体としての記録紙に転写する転写装置等を備える。画像形成部37は、携帯端末装置10等から受信した画像データによって示される画像や、画像読取部36により生成された画像データによって示される画像を記録紙に印刷する。
【0029】
ここで、本実施形態の画像処理システムSyにおいて、各画像形成装置30の近距離通信部34は、例えばアイビーコン(iBeacon:登録商標)を実行する機能を有し、自身を示す識別信号を周期的に携帯端末装置10に対して発信する。
【0030】
携帯端末装置10では、各画像形成装置30別に、画像形成装置30の近距離通信部
34から送信されてきた識別信号を近距離通信部14で受信し、近距離通信部14は当該識別信号を制御部21に送出する。
【0031】
制御部21は、識別信号を受け取ると、この識別信号の受信レベルを検出して、識別信号、及び該識別信号の受信レベルを判定し、識別信号に基づいて、該識別信号を送信した画像形成装置30を判定する。また、制御部21は、該識別信号の受信レベルに基づき、携帯端末装置10から、当該識別信号を送信してきた画像形成装置30までの離間距離を検出する。
【0032】
そして、制御部21は、携帯端末装置10から各画像形成装置30までの離間距離をそれぞれ検出すると、これらの離間距離に基づき、携帯端末装置10に対する各画像形成装置30の位置を検出する。例えば、
図2に示すように、制御部21は、各画像形成装置30別に、携帯端末装置10との離間距離が、近距離、中距離、又は遠距離のいずれであるかを判定する。例えば、制御部21は、上記検出した離間距離が、予め定められた範囲(例えば、5m)内にあれば近距離と判定し、上記検出した離間距離が、当該範囲を超えるが予め定められた更なる範囲(例えば、10m)内にあれば中距離と判定し、また、当該更なる範囲を超える長い距離を示す場合は遠距離と判定する。制御部21は、検出した各距離(近距離、中距離、又は遠距離)に基づき、各画像形成装置30の位置を検出する。なお、これに代えて、制御部21は、携帯端末装置10に対する各画像形成装置30から送信されてくるそれぞれの位置情報と、携帯端末装置10が内蔵するGPS機能が取得する携帯端末装置10の位置情報とに基づいて、携帯端末装置10に対する各画像形成装置30のそれぞれの位置を算出するようにしてもよい。
【0033】
更に、制御部21は、各画像形成装置30に対する携帯端末装置10の方向Dを求める。例えば、携帯端末装置10が各画像形成装置30の近距離通信部(アイビーコンの発信器)34に接近するときと離れるときとでは、携帯端末装置10で受信される上記識別信号の電波が変化する(近付くと電波強となり、遠ざかると電波弱となる)ことに基づき、制御部21は、各画像形成装置30から送信されたそれぞれの識別信号の電波の変化に基づき、各画像形成装置30に対する携帯端末装置10の向かう方向Dを算出する。
【0034】
また、各画像形成装置30から送信されたそれぞれの識別信号に基づき、周知の他の方法により、あるいは周知の複数の方法の組み合わせにより、各画像形成装置30に対する携帯端末装置10の方向Dを求めてもよい。
【0035】
尚、携帯端末装置10に方向センサー(図示せず)を設け、この方向センサーからの出力信号にも基づいて制御部21が携帯端末装置10の方向Dを検出することにより、各画像形成装置30に対する携帯端末装置10の方向Dの検出精度を高くしてもよい。
【0036】
制御部21は、各画像形成装置30の位置及び携帯端末装置10の方向Dを算出し、携帯端末装置10が内蔵するGPS機能から携帯端末装置10の位置情報を取得すると、これらの各画像形成装置30の位置、方向D、及び携帯端末装置10の位置Pを、制御部21が表示部11に表示させる。
【0037】
図3は、表示部11に表示される携帯端末装置10に対する各画像形成装置30の位置、及び携帯端末装置10の向かう方向を例示している。
図3に示すように表示部11の画面においては、制御部21が、各画像形成装置30の画像Q1、Q2、Q3及び携帯端末装置10の画像Vを、各画像形成装置30の位置、方向D、及び携帯端末装置10の位置Pに従って表示部11に表示させる。これにより、ユーザーは、表示される各画像形成装置30の画像Q1、Q2、Q3に対する携帯端末装置10の画像Vにより、各画像形成装置30及び携帯端末装置10の各位置を把握可能である。
【0038】
また、制御部21は、携帯端末装置10の方向Dも画像により表示させているので、ユーザーは、携帯端末装置10の表示部11の画面を見て、携帯端末装置10が向かっている画像形成装置30を知ることができる。尚、制御部21は、表示部11の画面に、各画像形成装置30の画像Q1、Q2、Q3及び携帯端末装置10の画像Vの他に、印刷キーPK及びキャンセルキーCKなどを表示させる。
【0039】
このような構成の画像処理システムSyにおいては、画像Q1、Q2、Q3により各画像形成装置30の位置が表示され、画像Vにより携帯端末装置10の位置P、更に方向Dが、携帯端末装置10の表示部11に表示される。この状態で、携帯端末装置10のユーザーは、タッチパネル12を操作して、各画像形成装置30のうちの任意のものを選択して、印刷実行指示を入力すると、当該画像形成装置30の選択が制御部21に受け付けられる。制御部21は、ネットワーク通信部13から、この選択された画像形成装置30に対して、印刷対象とする画像データ及び印刷実行要求を送信する。この画像データを受信した画像形成装置30は、画像データを用いて画像形成を行う。
【0040】
次に、各画像形成装置30に対する携帯端末装置10による画像データの送信処理を、
図4A及び
図4Bに示すフローチャート等を参照して説明する。
【0041】
携帯端末装置10では、各画像形成装置30から、各画像形成装置30の近距離通信部34から予め定められた周期(例えば、5秒)毎に送信されてくる識別信号を、近距離通信部14で受信して制御部21に送る。制御部21は、識別信号を受け取ると、識別信号の受信レベルを検出する。制御部21は、各画像形成装置30からのそれぞれの識別信号に基づき該各画像形成装置30を識別し、また該各識別信号の受信レベルに基づき携帯端末装置10からの該各画像形成装置30の離間距離を算出する。制御部21は、更に、各画像形成装置30の位置、携帯端末装置10の位置P、及び携帯端末装置10の上記方向Dを検出する。携帯端末装置10では、当該検出処理が常に行われている(S101)。
【0042】
ユーザーによるタッチパネル12の操作に基づいて、タッチパネル12が印刷開始指示を受け付けると、タッチパネル12から制御部21に当該印刷開始指示が送られる。制御部21は、当該印刷開始指示を受信すると、記憶部18に記憶されている、印刷対象としての画像データの一覧を表示部11の画面に表示させる。この状態で、ユーザーは、表示部11の画面における、所望の画像データを表示している画像部分にタッチすると、タッチパネル12が、タッチされた部分に表示されている画像データを選択する指示を受け付ける(S102)。
【0043】
制御部21は、タッチパネル12により上記選択が受け付けられたとき、各画像形成装置30の位置、携帯端末装置10の位置P、及び上記方向Dを、上記離間距離に従って配置して、
図3に例を示すように表示部11に表示させる(S103)。
【0044】
この表示時に、ユーザーが携帯端末装置10と共に歩いて移動している場合、制御部21は、表示部11の画面に表示される各画像形成装置の位置、携帯端末装置10の位置P、及び上記方向Dを適時に更新して表示させる。このため、ユーザーは、移動中も随時に、各画像形成装置の位置、携帯端末装置10の位置P、及び上記方向Dを知ることができる。
【0045】
続いて、制御部21は、待ち時間の通知要求を、ネットワーク通信部13から各画像形成装置30に向けて送信させる(S104)。
【0046】
各画像形成装置30では、待ち時間の通知要求をネットワーク通信部33で受信する。制御部41は、待ち時間の通知要求に応答して、この時点で処理中及び待機となっているジョブと、当該ジョブの処理に必要な処理時間を算出し、この算出した時間を用いて、次に受け付けるジョブの処理を開始可能な予想時刻までの待ち時間を算出する。例えば、制御部41は、1つのジョブに要する時間を、1枚の記録紙の印刷時間と印刷される記録紙の枚数の積により算出する。制御部21は、この待ち時間を示す情報と、自身の画像形成装置30を示す識別信号とを、ネットワーク通信部33から携帯端末装置10に向けて送信する。
【0047】
携帯端末装置10において、ネットワーク通信部13が、各画像形成装置30から、画像形成装置30の待ち時間を示す情報と上記識別信号とを受信する(S105)。制御部21は、各画像形成装置30別に、画像形成装置30の待ち時間を示す情報及び識別信号を受け取ると、この情報が示す待ち時間を、表示部11における各画像形成装置30を示す画像Q1、Q2、Q3付近に表示させる(S106)。例えば、制御部21は、
図3に示すように表示部11の画面において、各画像形成装置30の画像Q1、Q2、Q3の近傍にそれぞれの待ち時間T1、T2、T3を表示させる。
【0048】
これにより、携帯端末装置10のユーザーは、表示部11の画面を見て、携帯端末装置10に対する各画像形成装置30の位置、及び携帯端末装置10の方向Dを知ることができると共に、各画像形成装置30に印刷ジョブを依頼した場合における、各画像形成装置30でのジョブ処理実行までの待ち時間を知ることができる。このため、ユーザーは、各画像形成装置30のうちから、印刷ジョブを依頼した場合に最も早くジョブ処理が開始される画像形成装置30を選択することが可能になる。
【0049】
続いて、制御部21は、この時点での携帯端末装置10と各画像形成装置30との離間距離に応じて、各画像形成装置30に設定すべき動作状態を決定する(S107)。制御部21は、決定した動作状態を示す情報を、ネットワーク通信部13から各画像形成装置30に向けて送信する(S108)。
【0050】
ここで、画像形成装置30の動作状態としては、例えば画像形成装置30の動作を開始するには一定時間を要する待機状態、画像形成装置30の動作を該一定時間よりも短時間で開始することが可能な準備状態、及び画像形成装置30の動作を直ちに開始することが可能な印刷可能状態がある。これらの待機状態、準備状態、及び印刷可能状態は、主に、画像形成装置30における定着装置の加熱ローラの温度の違いに基づくものであり、この加熱ローラの温度が低い程、画像形成装置30の動作を開始するまでの時間が長くなる。
【0051】
そして、制御部21は、これらの待機状態、準備状態、及び印刷可能状態を、S101で求めた携帯端末装置10からの画像形成装置30の離間距離に予め対応付けて記憶している。
【0052】
例えば、制御部21は、画像形成装置30の離間距離が遠距離であれば、この遠距離に対応する動作状態として待機状態に決定し、当該画像形成装置30の識別信号、及び待機状態を示す情報を当該画像形成装置30に送信する。また、制御部21は、画像形成装置30の離間距離が中距離であれば、この中距離に対応する動作状態として準備状態を決定し、当該画像形成装置30の識別信号、及び準備状態を示す情報を当該画像形成装置30に送信する。同様に、制御部21は、画像形成装置30の離間距離が近距離であれば、この近距離に対応する動作状態として印刷可能状態を決定し、当該画像形成装置30の識別信号、及び印刷可能状態を示す情報を当該画像形成装置30に送信する。制御部21は、各画像形成装置30の動作状態を示す画像を、表示部11に表示させる。
【0053】
各画像形成装置30では、上記識別信号、及び上記動作状態を示す情報を、ネットワーク通信部33が受信する。制御部41は、受信した識別信号が自己の画像形成装置30のものであることを確認すると、自己の画像形成装置30の動作状態を、受信した上記情報が示す動作状態に設定する。
【0054】
従って、携帯端末装置10からの離間距離が遠距離である画像形成装置30はその動作状態が待機状態に設定され、またその離間距離が中距離の画像形成装置30はその動作状態が準備状態に設定され、更にその離間距離が近距離である画像形成装置30はその動作状態が印刷可能状態に設定される。ただし、画像形成装置30の制御部41は、画像形成装置30が既に印刷中の動作状態にある場合は、携帯端末装置10から送信されてくる上記動作状態を示す情報の如何に拘わらず、すなわち、携帯端末装置10からの画像形成装置30の離間距離に拘わらず、印刷中の動作状態を継続させる。
【0055】
この後、携帯端末装置10では、制御部21は、ユーザーから印刷を実行する印刷実行指示、又は印刷キャンセル指示のいずれを受け付けたかを判断する(S109,S110)。
【0056】
制御部21は、表示部11の画面に印刷キーPK及びキャンセルキーCKを表示させており(
図3参照)、ユーザーがキャンセルキーCKを押下し、タッチパネル12により当該キャンセルキーCKの押下が受け付けられると、タッチパネル12からの指示に基づいて、制御部21は処理を終了する(S109でYES)。
【0057】
一方、ユーザーが、上記のようなキャンセルキーCKの操作を行うことなく(S109でNO)、表示部11の表示画面において、各画像形成装置30を示す画像のうち、印刷を実行させたい画像形成装置30を示す画像を押下し、更に印刷キーPKを押下し、タッチパネル12により当該各押下が受け付けられると、タッチパネル12から、当該画像形成装置30の指定と、印刷実行指示とが制御部21に送られ、制御部21が当該指定及び印刷実行指示を受け付ける(S110でYES)。
【0058】
制御部21は、上記指定及び印刷実行指示を受け付けると(S110でYES)、S102で選択された画像データと、印刷実行要求とを、ネットワーク通信部13から、当該指定された画像形成装置30に向けて送信する(S111)。制御部21が、上記指定及び印刷実行指示を受け付けていない間は(S110でNO)、処理はS109に戻る。
【0059】
上記画像データ及び印刷実行要求をネットワーク通信部33により受信した画像形成装置30では、制御部41が、当該印刷実行要求に応じて、上記受信した画像データを用いて画像形成部37により記録紙に画像形成(印刷)を行わせる。なお、当該画像形成装置30では、動作状態が上記の待機状態、準備状態、又は印刷可能状態のいずれであるかにより、当該画像形成が開始されるまでの時間は異なる。
【0060】
また、
図4Bに示すように、当該画像形成装置30において、制御部41は、上記印刷実行要求に基づいて印刷ジョブを実行する前、又は当該印刷ジョブの実行中に、処理すべき他のジョブの割り込みが発生すると(S151でYES)、当該割り込み発生後における上記待ち時間を新たに検出し(S152)、当該割り込みの発生を示す情報と、当該検出した待ち時間とを、ネットワーク通信部33からネットワークNを通じて携帯端末装置10に向けて送信させる(S153)。
【0061】
携帯端末装置10では、ネットワーク通信部13が上記割り込みの発生を示す情報及び上記検出された待ち時間を画像形成装置30から受信したとき(S161)、制御部41が、画像形成装置30において上記割り込みが発生したことを示す画像と、上記検出された待ち時間を示す画像とを、表示部11に表示させる(S162)。
【0062】
これにより、ユーザーは、上記画像形成装置30に対して印刷実行要求をした後に、当該印刷実行要求に基づく印刷ジョブの実行前又は実行中に他のジョブの割り込みが発生した場合であっても、携帯端末装置10の表示部
11に表示される内容を視認すれば、割り込みの発生により上記印刷の実行が遅れること、及び当該割り込み発生により生じる新たな待ち時間を把握することができる。
【0063】
このように本実施形態では、各画像形成装置30の位置と、各画像形成装置30に対する携帯端末装置10の位置Pと、方向Dと、待ち時間とを携帯端末装置10の表示部11に表示しているので、携帯端末装置10のユーザーは、タッチパネル12を操作して、各画像形成装置30のうちから自分にとって最も近い場所に設置されている画像形成装置30など、画像形成に適した画像形成装置30を簡単に判断することができる。そして、ユーザーは、画像形成に適した画像形成装置30を選択し、この選択した画像形成装置30に対して画像データを送信して、当該画像データを当該画像形成装置30で印刷させることができる。
【0064】
また、制御部21は、表示部11の画面に各画像形成装置30の待ち時間を表示させているが、この待ち時間の代わりに、待ち時間が無い状態として「空状態」、待ち時間が発生している状態として「印刷状態」、待ち時間が長くなっている状態として「ビジー状態」などを表示させても構わない。
【0065】
また、
図1乃至
図4A、
図4Bを用いて説明した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【0066】
例えば、携帯端末装置10から上記指定された画像形成装置30に、印刷対象とする画像データが送信された後、携帯端末装置10及び画像形成装置30では、以下に示す処理を行うようにしてもよい。
図5は、携帯端末装置10及び画像形成装置30による処理を示すフローチャートである。
図6及び
図7は表示部11の表示画面の一例を示す
図である。
【0067】
携帯端末装置10の制御部21は、ネットワーク通信部13から、上記指定された画像形成装置30に向けて、印刷対象とする画像データ
及び印刷実行
要求を送信させた後(S121)、
図6に例を示すように、表示部11の表示画面において、当該指定された画像形成装置30を示す画像の表示位置に、当該画像データを示す画像imを表示させる(S122)。
【0068】
このような表示画面か表示部11に表示されている状態で、ユーザーが、当該表示画面において、上記印刷対象とする画像データを示す画像imの位置から、上記指定された画像形成装置30を示す画像とは異なる他の画像形成装置30を示す画像の位置までスライド操作を行い(
図7参照)、当該スライド操作がタッチパネル12により受け付けられると(S123でYES)、制御部21は、印刷の中止の指示を、ネットワーク通信部13から上記指定された画像形成装置30に向けて送信させ(S124)、これと共に、上記印刷対象とする画像データ及び当該画像データを用いた印刷の実行要求を、ネットワーク通信部13から、当該他の画像形成装置30に向けて送信させる(S125)。
【0069】
これにより、ユーザーは、上記指定された画像形成装置30に対して行った印刷実行要求を取り消す操作を行わなくても、当該画像形成装置30とは異なる他の画像形成装置30に対しての印刷実行要求操作である上記スライド操作を行えば、当該指定された画像形成装置30での印刷を行わず、当該他の画像形成装置30での印刷を行わせることができる。