特許第6885358号(P6885358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885358
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20210603BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20210603BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20210603BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20210603BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   H04N7/18 D
   H04N1/00 838
   G06T1/00 340A
   B41J29/38 301
   B41J29/46 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-31298(P2018-31298)
(22)【出願日】2018年2月23日
(65)【公開番号】特開2019-146134(P2019-146134A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2020年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】坂下 文弥
(72)【発明者】
【氏名】平沼 洋一
(72)【発明者】
【氏名】坂口 翔一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 尚平
【審査官】 益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−014252(JP,A)
【文献】 特開平09−284751(JP,A)
【文献】 特開2011−205570(JP,A)
【文献】 特開2005−047689(JP,A)
【文献】 特開2012−153452(JP,A)
【文献】 特開2017−219890(JP,A)
【文献】 特開平11−275557(JP,A)
【文献】 中国実用新案第202443476(CN,U)
【文献】 特開2003−046911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 1/00
B41J 29/00
G08B 23/00−31/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
表示部と、
前記電子機器を操作するユーザーの顔を撮影するための第1のカメラと、
前記第1のカメラが撮影した映像を記憶する記憶部と、
前記電子機器に対して不審操作が行われたことを検知する不審操作検知部と、
前記電子機器の装置本体に接続され、前記装置本体の周辺位置に配置されて前記装置本体を撮影する第2のカメラと、
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラにより撮影された各映像を取得し、これら各映像に写った前記ユーザーの顔を検知すると共に、顔検知の正確性を示す検知レベルを判定する顔検知レベル判定部と、
前記不審操作検知部によって前記不審操作が検知されたとき、前記顔検知レベル判定部により顔が検知され、かつ、判定された前記検知レベルが最も高い映像を、前記不審操作時に表示する前記映像として、前記表示部に表示させる制御部と、を備える電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラから取得した前記各映像の前記検知レベルがいずれも、予め定められた閾値以下である場合に、前記表示部の表示を、通常とは異なる予め定められた表示形態とする請求項に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラから取得した前記各映像の前記検知レベルがいずれも、予め定められた閾値以下である場合に、前記表示部に、前記第2のカメラにより撮影可能な位置での対処作業が必要となる予め定められたエラーが生じたことを示す表示を行わせる請求項に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記不審操作時に表示する前記映像とともに、又は前記映像に代えて、管理者が前記電子機器に向かう様子を示す予め前記記憶部に記憶されている警備映像を前記表示部に表示させる請求項1乃至請求項のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は、記録媒体に画像を形成する画像形成部を備える画像形成装置である請求項1乃至請求項のいずれかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に、電子機器に対する不審な操作を抑止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスなどで使用される電子機器、例えば画像形成装置は、複数のユーザーで共有される。従って、そのような画像形成装置に対していたずらなどの不正な操作がされると他のユーザーが当該画像形成装置を利用できなくなるため、不正な操作を抑止する必要がある。このため、監視カメラの映像を外部のPCに表示させる技術が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、各監視領域に設置された複数の監視用カメラと、上記各監視用カメラにて撮影された映像を受信する監視局とをマルチネットワークを介して接続し、監視局に画像作成処理装置および端末装置を設け、画像作成処理装置では、監視用カメラの映像から一定周期で画像を切り出し、これらの画像を合成してストリーム形式で配信し、端末装置は、上記合成画像を受信することにより、各監視領域に対応した画像に分割して地図上の該当位置に更新しながら表示するシステムが開示されている。
【0004】
下記特許文献2には、保護者用端末装置は、出発地から目的地までのルートであって、お使いに行く子供にとってより安全なルートをルート情報等提供サーバから取得し、保護者用端末装置と子供用携帯端末装置との間は、常時、通信回線を接続した状態を維持し、相互に通話を可能にし、また、子供用携帯端末装置のカメラ部からの映像を保護者用端末装置に送信して観視可能にし、また、子供用携帯端末装置から定期的にGPS部等で取得する現在位置を保護者用端末装置に送信し、これを保護者用端末装置で監視して、子供用携帯端末装置が安全なルートから外れた場合等を報知するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−244683号公報
【特許文献2】特開2014−55779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2に開示された技術を応用することで、画像形成装置を操作するユーザーの映像を監視センターなどに表示できるが、画像形成装置に対する不審な操作を抑止する効果は不十分である。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、電子機器に対する不審な操作をより効果的に抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る電子機器は、表示部と、前記電子機器を操作するユーザーの顔を撮影するための第1のカメラと、前記第1のカメラが撮影した映像を記憶する記憶部と、前記電子機器に対して不審操作が行われたことを検知する不審操作検知部と、前記不審操作検知部によって前記不審操作が検知されたとき、前記第1のカメラが撮影中の映像を前記表示部に表示させる制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子機器に対する不審な操作をより効果的に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の電子機器の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2】画像形成装置の周辺における第2のカメラの配置を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
図4】画像形成装置による警告処理の第1実施形態を示すフローチャートである。
図5】表示部による表示画面の一例を示す図である。
図6】画像形成装置による警告処理の第実施形態を示すフローチャートである。
図7】表示部に表示される擬似的なエラー表示を示す表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る電子機器としての画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の電子機器の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。図2は、画像形成装置の周辺における第2のカメラの配置を示す図である。図3は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【0012】
画像形成装置1は、例えば、ファクシミリ通信機能、コピー機能、プリンター機能、及びスキャナー機能等の複数の機能を兼ね備えた複合機である。図1に示すように、画像形成装置1は、装置本体2と、装置本体2の上方に配置された画像読取部10と、画像読取部10と装置本体2との間に設けられた連結部3とから概略構成される。
【0013】
画像読取部10は、原稿搬送部11と、原稿搬送部11により搬送されてくる原稿又は不図示のコンタクトガラスに載置された原稿を光学的に読み取るスキャナーとを有するADF(Auto Document Feeder)である。画像読取部10は、原稿を1枚ずつ読み取ることで加工対象及び画像形成対象となる画像データを取得する。
【0014】
装置本体2の内部には、画像形成部20、給紙カセット30、画像メモリー40、記憶部50、及び通信部60等が収容されている。
【0015】
画像メモリー40は、画像読取部10によって読み取られた画像データを一時的に記憶する領域である。
【0016】
画像形成部20は、画像メモリー40に記憶されている画像データを読み出し、当該データを用いて給紙カセット30から供給される用紙に画像を形成(印刷)する。印刷済みの用紙は、排出トレイ4に排出される。
【0017】
記憶部50は、HDD(Hard Disk Drive)等の大容量の記憶装置である。後述する第1のカメラ90が撮影した映像は記憶部50の一領域に記憶される。
【0018】
通信部60は、不図示のLANチップ等の通信モジュールを備える通信インターフェイスである。画像形成装置1は、ネットワークを介して第2のカメラ200と接続されている。第2のカメラ200は、画像形成装置1が設置された部屋500内などに設置され、当該部屋500内にいる人物、特に画像形成装置1を操作するユーザーを撮影する。第2のカメラ200は、部屋500内において、例えば、画像形成装置1の前方、後方、一側方、及び他側方となる各位置に設けられている。画像形成装置1は、通信部60を通じて第2のカメラ200から撮影画像を取得する。
【0019】
装置本体2の前面側には、表示部70及び操作部80が配置されている。表示部70は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイを含んで構成される。表示部70には、例えば、画像読取部10の動作を指示するための操作画面等が表示される。
【0020】
操作部80は、例えば、印刷ジョブ等の実行を指示するためのスタートキー、操作画面を構成するGUI(Graphical User Interface)に対して確定操作を行う決定キー(エンターキー)、数値入力を行うための数値入力キー等を備え、表示部70に表示される画面に対する操作をユーザーから受け付ける。
【0021】
第1のカメラ90は、画像形成装置1を操作するユーザーの顔を撮影するためのものであり、画像形成装置1を操作するユーザーを撮影する。第1のカメラ90は、例えば、不図示の光学系とCCD又はCMOSでできた撮像素子から構成される。第1のカメラ90は、画像形成装置1を操作するユーザーの顔を的確に撮影可能とするために、表示部70の近傍に並設されている。
【0022】
画像形成装置1は、更に、制御ユニット100を備えている。制御ユニット100は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。
【0023】
制御ユニット100は、上記のROM又は記憶部50に記憶された情報処理プログラム等の制御プログラムが上記のプロセッサーにより実行されることにより、制御部101、不審操作検知部102、及び顔検知レベル判定部103として機能する。なお、制御ユニット100の上記の各部は、前述の制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい。
【0024】
制御部101は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部101は、画像読取部10、画像形成部20、給紙カセット30、画像メモリー40、記憶部50、通信部60、表示部70、操作部80、及び第1のカメラ90等と接続されており、接続されている当該各機構の動作制御や、各機構との間での信号又はデータの送受信を行う。
【0025】
特に、制御部101は、不審操作検知部102によって画像形成装置1に対して不審操作が行われたことが検知されたとき、第1のカメラ90が撮影中の映像を表示部70に表示させる。すなわち、何者かが画像形成装置1に対して、予め定められた適正な操作以外の操作である不審操作を行うと、その者の姿が表示部70に表示される。これにより、その者に対して、監視されているという心理的負担を与えて不審操作を抑止する。
【0026】
また、制御部101は、不審操作検知部102によって画像形成装置1に対して不審操作が行われたことが検知されたとき、記憶部50に記憶されている映像から不審操作が行われた時期前後の予め定められた一定期間(例えば、不審操作検知部102による不審操作検知時の10秒前から当該検知時の10秒後までの期間)の映像を抽出して、通信部60から、画像形成装置1にネットワーク接続された情報処理装置600に向けて送信させる。この情報処理装置600は、例えば、画像形成装置1の予め定められた管理者が所有するクライアント端末又は携帯端末装置である。この場合、制御部101は、情報処理装置600の電子メールアドレス又はIPアドレスを記憶しており、通信部60による電子メール機能又はデータ送信機能により情報処理装置600に対して上記抽出した映像を送信する。
【0027】
これにより、第1のカメラ90が撮影した全時間分の映像を管理者へ送信する必要をなくし、重要な映像、すなわち、画像形成装置1に対して不審操作が行われたタイミング前後の映像のみを情報処理装置600に送る。このため、不審操作発生時に画像形成装置1から情報処理装置600に送信する映像のデータ量が削減される。
【0028】
また、記憶部50には、管理者が画像形成装置1に向かう様子を示す警備映像が予め記憶されている。制御部101は、不審操作検知部102による不審操作検知時に、第1のカメラ90が撮影中の映像と共に、又は当該映像に代えて、当該警備映像を表示部70に表示させてもよい。このように、上記警備映像を表示部70に表示することで、その者に対してより一層の心理的負担を与えて不審操作をし難い状況を作り出す。なお、制御部101は、上記警備映像に代えて、又は、上記警備映像と共に、「警備員が向かっています。不明な点はご相談ください」というメッセージを表示部70に表示させるようにしてもよい。
【0029】
不審操作検知部102は、画像形成装置1に対して不審操作が行われたことを検知する。例えば、不審操作検知部102は、画像形成装置1に発生するエラーを検知する機能を有し、エラーを検知していない状態で、当該エラーを解消するために必要な予め定められた操作が行われたことを検知したときに、画像形成装置1に対して不審操作が行われたと検知する。
【0030】
不審操作検知部102は、例えば、画像形成装置1に設けられている用紙搬送センサー、トナー残量センサー及び用紙残量センサーから送られてくる信号に基づいて上記エラーを検出する。
【0031】
用紙搬送センサーは、用紙の搬送状況を検知するためのセンサーであり、透過型光センサーなどからなる。この用紙搬送センサーは、用紙の搬送経路に沿って複数設けられている。不審操作検知部102は、給紙開始時から、用紙有りを検知すべき時間帯に、用紙搬送センサーから用紙無を示す信号が送られてきたときは(用紙有りを示す信号を受信しなければ)、紙詰りに関するエラーが発生したと検知する。また、複数の用紙搬送センサーが用紙の搬送経路に沿って設けられているため、いずれの用紙搬送センサーから上記用紙無を示す信号が送られてくるかを判別することで、紙詰り箇所を特定する。
【0032】
そして、不審操作検知部102は、当該紙詰まりに関するエラーを解決するための操作として、装置本体2に備えられて装置内部を露出させる側面カバー201を開放する操作を記憶している。装置本体2には、側面カバー201の開閉を検知する図略の開閉検知スイッチが設けられている。不審操作検知部102は、当該開閉検知スイッチから側面カバー201の開を示す信号が送られてきたときに、当該紙詰まりに関するエラーを解消するために必要な予め定められた操作が行われたと検知する。
【0033】
トナー残量センサーは、トナーコンテナー(図略)の内部におけるトナーの残量を検知するセンサーである。不審操作検知部102は、トナー残量センサーの出力に基づき、トナー切れのエラーが発生していることを検知する。
【0034】
そして、不審操作検知部102は、当該トナー切れのエラーを解決するための操作として、上記側面カバー201を開放する操作、及び装置本体2内からトナーコンテナーが取り外される操作を記憶している。装置本体2内のトナーコンテナー装着位置には、トナーコンテナーの脱着を検知する図略の脱着検知スイッチが設けられている。不審操作検知部102は、当該脱着スイッチからトナーコンテナーが取り外されたことを示す信号が送られてきたとき、及び、上記開閉検知スイッチから側面カバー201の開を示す信号が送られてきたときに、当該トナー切れのエラーを解消するために必要な予め定められた操作が行われたと検知する。
【0035】
また、用紙残量センサーは、給紙カセット30における用紙の有無を検知するセンサーであり、例えば、用紙載置板に形成された穴から用紙に向けて光を照射する反射型光センサーである。用紙残量センサーは、用紙が給紙カセット30に残っているときと残っていないときで出力が変化する。不審操作検知部102は、用紙残量センサーの出力に基づき、用紙切れに関するエラーが発生していることを検知する。
【0036】
そして、不審操作検知部102は、当該用紙切れに関するエラーを解決するための操作として、上記給紙カセット30を開放する操作を記憶している。装置本体2の給紙カセット装着位置には、給紙カセット30が装置本体2に収まっているか又は装置本体2から引き出されているかを検知する図略の引出検知スイッチが設けられている。不審操作検知部102は、当該引出検知スイッチから給紙カセット30が引き出されたことを示す信号が送られてきたときに、当該用紙切れに関するエラーを解消するために必要な予め定められた操作が行われたと検知する。
【0037】
顔検知レベル判定部103は、制御部101が通信部60を介して第1のカメラ90及び第2のカメラ200からそれぞれ取得した画像形成装置1を操作するユーザーの姿が撮影された映像に基づいて、これら各映像に写ったユーザーの顔を既知の技術により検知すると共に、顔検知の正確性を示す検知レベルを判定する。例えば、顔検知レベル判定部103は、(i)映像に含まれる画像部分が、人の顔を示すと判定するために必要な条件を全て満たしているときに当該画像部分が顔であると検知すると共に検知レベル高と判定し、(ii)当該条件を85%満たしているときに当該画像部分が顔であると検知すると共に検知レベル中と判定し、(iii) 当該条件を75%満たしているときに当該画像部分が顔であると検知すると共に検知レベル低と判定し、(iv) 当該条件が75%未満でしか満たされていないときは、当該画像部分が顔ではないと検知する。このため、顔検知レベル判定部103は、例えば、画像形成装置1を操作する者がマスクを付けたり、帽子を被ったりして、顔の一部が隠されると、ユーザーの顔の検知レベルを低く判定されることになる。
【0038】
例えば、制御部101は、通信部60を介して、第1のカメラ90及び第2のカメラ200が撮影した各映像を取得する。顔検知レベル判定部103は、当該各映像に基づいて、上記顔検知及び検知レベル判定を行う。制御部101は、第1のカメラ90及び第2のカメラ200から取得した各映像のうち、顔検知レベル判定部103により顔が検知され、かつ、判定された検知レベルが最も高い映像を、上記不審操作時に表示する映像として表示部70に表示させる。これより、制御部101は、複数のカメラで撮影されたユーザーの顔の中から最も顔が明確に写っている映像を表示部70に表示させることになる。
【0039】
制御部101は、顔検知レベル判定部103によって判定された検知レベルがいずれも、予め定められた閾値(ここでは、検知レベル中)以下である場合には、表示部70の表示を、通常とは異なる予め定められた表示形態としてもよい。例えば、制御部101は、表示部70の表示画面を点滅させる。これにより、表示部70のいつもとは異なる表示形態、例えば点滅に気を引かれて、ユーザーが表示部70に顔を向けることで、表示部70の近傍に配置された第1のカメラ90によりユーザーの顔を鮮明に撮影されることを可能にする。
【0040】
次に、画像形成装置1による警告処理について説明する。図4は、画像形成装置1の警告処理の第1実施形態を示すフローチャートである。
【0041】
画像形成装置1では、不審操作検知部102が上述した不審操作が行われたことを検知すると(S1でYES)、制御部101が第1のカメラ90及び第2のカメラ200から、画像形成装置1を操作するユーザーの姿が撮影された映像を取得し(S2)、顔検知レベル判定部103は、これら各映像に写ったユーザーの顔を検知し、顔検知の検知レベルを判定する(S3)。制御部101は、当該検知レベルが全て予め定められた閾値(本実施形態では検知レベル中)以下であれば(S4でYES)、表示部70の表示画面を点滅させる等により通常とは異なる表示形態とする(S5)。この後、処理はステップS2に戻る。なお、表示部70が第1のカメラ90の設置位置近傍にスピーカーを内蔵し、S5において、制御部101が、当該スピーカーから警告音を鳴らすようにしてもよい。
【0042】
一方、いずれかのカメラの映像において顔の検知レベルが上記閾値を超えていれば(S4でNO)、すなわち、本実施形態では検知レベル高であれば制御部101が、記憶部50から警備映像を取得し(S6)、検知レベルが最も高い顔の映像(検知レベルが上記閾値を超える映像が1つの場合は、図5に例を示すようにして、当該閾値を超える映像)M1とともに、当該取得した警備映像M2を、表示部70に表示させる(S7)。更に、制御部101が、記憶部50に記憶されている映像から不審操作が行われた時期前後の予め定められた一定期間の映像を抽出して、当該抽出した映像を、予め定められた情報処理装置600、例えば管理者が所有する情報処理装置600に送信する(S8)。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像形成装置に対する不審な操作をより効果的に抑止することができる。
【0044】
なお、上記実施の形態は種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、制御部101が、第1のカメラ90及び第2のカメラ200から取得した映像であって、顔検知の検知レベルが上記閾値を超える映像を、不審操作検知部102による不審操作の検知時に、表示部70に表示させるようにしているが、顔検知レベル判定部103による顔検知及び検知レベル判定を行わず、S7においては、第1のカメラ90及び第2のカメラ200から取得した全ての映像を、表示部70の表示画面を分割して表示させるようにしてもよい。
【0045】
更には、画像形成装置1は、第2のカメラ200を備えず第1のカメラ90のみを備え、制御部101は、S2において、第1のカメラ90から映像を取得し、S7において、第1のカメラ90から取得した映像のみを表示部70に表示させるようにしてもよい。
【0046】
また、S7においては、制御部101は、第1のカメラ90及び第2のカメラ200から取得した映像を、上記警備映像と共に表示部70に表示させるようにしているが、第1のカメラ90及び第2のカメラ200から取得した映像のみを表示させるようにしてもよい。この場合、S6の処理は行わない。
【0047】
また、S7においては、制御部101は、第1のカメラ90及び第2のカメラ200から取得した映像を表示部70に表示させず、上記警備映像のみを表示部70に表示させるようにしてもよい。この場合、S2乃至S5の処理は行わない。
【0048】
次に、画像形成装置1の警告処理について説明する。図6は、画像形成装置1による警告処理の第2実施形態を示すフローチャートである。なお、上記第1実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0049】
第2実施形態においては、制御部101は、顔検知レベル判定部103による顔検知の検知レベルが全て上記閾値以下である場合(S4でYES)、表示部70に、画像形成装置1にエラーが生じていることを擬似的に示す画面を表示部70に表示させる(S15)。すなわち、画像形成装置1では、当該エラーは生じていないが、エラーが生じていることを示す画面が表示部70に表示される。例えば、この表示画面には、図7に例を示すように、トナー切れのエラーが発生した旨のメッセージと、当該トナー切れのエラーを解決するための操作として、装置本体2の側面カバー201を開放する操作、及び装置本体2内からトナーコンテナーを取り外す操作を行うべき旨のメッセージとが表示される。
【0050】
これにより、当該表示画面を視認したユーザーは、装置本体2の側面カバー201を開放する操作、及び装置本体2内からトナーコンテナーを取り外す操作を行おうとするため、画像形成装置1の周囲に配置されている上記複数の第2のカメラ200により、当該ユーザーの顔が撮影される可能性を高めることができる。或いは、側面カバー201の上部近傍位置に更なる第1のカメラ901(図1参照)を設けておいてもよい。この場合、ユーザーが側面カバー201を開放する操作を行うときに、第1のカメラ901により当該ユーザーの顔をより確実に撮影することが可能になる。
【0051】
なお、上記実施形態において、図1乃至図7を用いて示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。例えば、上記実施形態では、特許請求の範囲における電子機器の一例を画像形成装置として説明しているが、電子機器は画像形成装置に限られず、医療機器、工作機器等の他の電子機器であっても構わない。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成装置
50 記憶部
70 表示部
90,901 第1のカメラ
101 制御部
102 不審操作検知部
103 顔検知レベル判定部
200 第2のカメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7