(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記停止判定部によって、前記車両が走行を停止していると判定された場合に、前記第2プログラムを実行することによって、前記第1プログラムを更新する更新処理を実行する更新処理部を備える
請求項1に記載の処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本発明の一態様に係る処理装置は、第1プログラムを実行することによって、電気機器の動作を制御する制御処理を実行する制御処理部を備える車両用の処理装置であって、前記第1プログラムを更新するか否かを判定する更新判定部と、前記更新判定部が前記第1プログラムを更新すると判定した場合に前記車両が走行を停止しているか否かを判定する停止判定部とを備え、前記制御処理部は、前記停止判定部によって、前記車両が走行を停止していると判定された場合、第2プログラムを実行することによって前記制御処理を実行し、前記第2プログラムのデータ量は、前記第1プログラムのデータ量よりも小さい。
【0013】
(2)本発明の一態様に係る処理装置では、前記停止判定部によって、前記車両が走行を停止していると判定された場合に、前記第2プログラムを実行することによって、前記第1プログラムを更新する更新処理を実行する更新処理部を備える。
【0014】
(3)本発明の一態様に係る処理装置では、前記制御処理部は、前記第1プログラムを実行することによって、N(N:2以上の整数)種類の情報に基づく前記制御処理を実行し、前記第2プログラムを実行することによって、前記N種類の情報中のM(M:N未満の自然数)種類の情報に基づく前記制御処理を実行する。
【0015】
(4)本発明の一態様に係る処理装置は、前記更新判定部が前記第1プログラムを更新すると判定した場合に、前記車両に搭載されたバッテリの蓄電量が所定量以上であるか否かを判定する蓄電量判定部を備え、前記制御処理部は、前記停止判定部によって、前記車両が走行を停止していると判定され、かつ、前記蓄電量判定部によって、前記蓄電量が前記所定量以上であると判定された場合に、前記第2プログラムを実行することによって前記制御処理を実行する。
【0016】
(5)本発明の一態様に係る処理装置は、前記更新判定部が前記第1プログラムを更新すると判定した場合に、前記車両の進行方向と水平面とがなす傾き角度が所定値
未満であるか否かを判定する角度判定部を備え、前記制御処理部は、前記停止判定部によって、前記車両が走行を停止していると判定され、かつ、前記角度判定部によって、前記傾き角度が前記所定値
未満であると判定された場合に、前記第2プログラムを実行することによって前記制御処理を実行する。
【0017】
(6)本発明の一態様に係る処理装置は、前記第1プログラムの更新が完了したか否かを判定する完了判定部と、前記完了判定部によって前記更新が完了したと判定された場合に前記車両が走行を停止しているか否かを判定する第2の停止判定部とを備え、前記制御処理部は、前記第2の停止判定部によって、前記車両が走行を停止していると判定された場合、更新後の前記第1プログラムを実行することによって前記制御処理を実行する。
【0018】
(7)本発明の一態様に係る処理方法は、第1プログラムを実行することによって、電気機器の動作を制御する制御処理を実行するステップと、前記第1プログラムを更新するか否かを判定するステップと、前記第1プログラムを更新すると判定した場合に車両が走行を停止しているか否かを判定するステップと、前記車両が走行を停止していると判定した場合に、データ量が前記第1プログラムのデータ量よりも小さい第2プログラムを実行することによって、前記制御処理を実行するステップとを含む。
【0019】
上記の一態様に係る処理装置及び処理方法にあっては、第1プログラムを更新する場合において、車両が走行を停止しているときに、制御処理の実行に用いるプログラムを、第1プログラムから第2プログラムに切替える。車両が走行を停止している場合、電気機器の動作が安定している可能性が高い。このため、制御処理の実行に用いるプログラムが適切なタイミングで第2プログラムに切替わる。
【0020】
上記の一態様に係る処理装置にあっては、第2プログラムを実行することによって、制御処理及び更新処理が実行される。
【0021】
上記の一態様に係る処理装置にあっては、第2プログラムに係る制御処理で用いられる情報の種類の数は、第1プログラムに係る制御処理で用いられる情報の種類の数よりも少ない。これにより、データ量が第2プログラムのデータ量よりも小さい第1プログラムが実現される。
【0022】
上記の一態様に係る処理装置にあっては、第1プログラムを更新する場合において、車両が走行を停止しており、かつ、バッテリの蓄電量が所定量以上であるときに、処理の実行に用いるプログラムを、第1プログラムから第2プログラムに切替える。車両が走行を停止しており、かつ、バッテリの蓄電量が所定量以上である場合、電気機器の動作が安定している可能性がより高い。このため、処理の実行に用いるプログラムがより適切なタイミングで第2プログラムに切替わる。
【0023】
上記の一態様に係る処理装置にあっては、第1プログラムを更新する場合において、車両が走行を停止しており、かつ、水平面に対する車両の傾き角度が所定値
未満であるときに、処理の実行に用いるプログラムを、第1プログラムから第2プログラムに切替える。車両が走行を停止しており、かつ、水平面に対する車両の傾き角度が所定値
未満である場合、電気機器の動作が安定している可能性がより高い。このため、処理の実行に用いるプログラムがより適切なタイミングで第2プログラムに切替わる。
【0024】
上記の一態様に係る処理装置にあっては、第1プログラムの更新が完了した場合において、車両が走行を停止しているときに、処理の実行に用いるプログラムを、第2プログラムから更新後の第1プログラムに切替える。車両が走行を停止している場合、電気機器の動作は安定している可能性が高い。このため、処理の実行に用いるプログラムが適切なタイミングで更新後の第1プログラムに切替わる。
【0025】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る通信システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
図1は、本実施形態における車両100の概略的な構成を示すブロック図である。車両100には、ECU(Electronic Control Unit)10、電気機器11、バッテリ12、イグニッションスイッチ13、車速センサ14、傾きセンサ15及び指示受付部16が搭載されている。
【0027】
ECU10は、作動を指示する作動信号と、動作の停止を指示する停止信号とを電気機器11に出力する。電気機器11は、モータ又はランプ等である。電気機器11は、作動信号が入力された場合に作動し、停止信号が入力された場合に動作を停止する。バッテリ12は、図示しない発電機によって充電され、ECU10、電気機器11、車速センサ14及び傾きセンサ15等に電力を供給する。
【0028】
イグニッションスイッチ13は、車両100に搭載されているエンジンを始動する場合にオンに切替わるスイッチです。イグニッションスイッチ13がオンである場合、エンジンは作動している。イグニッションスイッチ13がオフである場合、エンジンは動作を停止している。
【0029】
車速センサ14は車両100の速度を検出する。車速センサ14は、車両100の速度を示す車速情報を周期的にECU10に出力する。
傾きセンサ15は、車両100の進行方向と水平面とがなす傾き角度を検出する。
図2は、傾き角度の説明図である。車両100が地面G上を走行していると仮定する。
図2に示すように、傾き角度Dは、車両100の右側又は左側から見て、車両100の進行方向と水平面とがなす角度である。傾きセンサ15は、例えば、車両100の加速度の方向と、重力の加速度の方向とがなす角度とに基づいて、傾き角度Dを検出する。傾きセンサ15は、傾き角度Dを示す傾き角度情報を周期的にECU10に出力する。
【0030】
指示受付部16は、車両100の乗員から、電気機器11の作動を指示する作動指示と、電気機器11の動作の停止を指示する停止指示とを受け付ける。指示受付部16は、電気機器11の作動指示又は停止指示を受け付ける都度、受け付けた指示を示す指示情報をECU10に出力する。
【0031】
図3は、ECU10の要部構成を示すブロック図である。ECU10は、通信部20、出力部21、入力部22、記憶部23及び制御部24を備える。これらは、内部バス25に接続されている。通信部20は、内部バス25に加えて、通信バスL1に接続されている。出力部21は、内部バス25に加えて、電気機器11に接続されている。通信バスL1には、ECU10の他に、車両100に搭載されている図示しない装置が接続されている。
【0032】
通信部20は、ECU10とは異なる他の装置から、通信バスL1を介してデータを受信する。
出力部21は、制御部24の指示に従って、作動信号及び停止信号を電気機器11に出力する。前述したように、電気機器11は、作動信号が入力された場合に作動し、停止信号が入力された場合、動作を停止する。
【0033】
車速センサ14は、検出した車両100の速度を示す車速情報を周期的に入力部22に出力する。傾きセンサ15は、検出した傾き角度を示す傾き角度情報を周期的に入力部22に出力する。指示受付部16は、作動指示又は停止指示を受け付ける都度、受け付けた指示を示す指示情報を入力部22に出力する。
【0034】
入力部22には、更に、イグニッションスイッチ13がオンであるか否かを示すイグニッション情報が周期的に入力される。入力部22には、更に、バッテリ12が蓄えている蓄電量を示す蓄電量情報が周期的に入力される。入力部22に入力された車速情報、蓄電量情報、イグニッション情報、傾き角度情報及び指示情報は、制御部24によって入力部22から取得される。
入力部22は、車速情報、蓄電量情報、イグニッション情報、傾き角度情報及び指示情報とは異なる情報も入力される。この情報も制御部24によって入力部22から取得される。
【0035】
記憶部23は不揮発性メモリである。記憶部23には、制御プログラムP1及び簡易プログラムP2が記憶されている。制御部24は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部24が有する一又は複数のCPUは、制御プログラムP1を実行することによって、通常制御処理及び簡易プログラム実行処理を実行する。通常制御処理は、電気機器11の動作を制御する処理である。簡易プログラム実行処理は、電気機器11の動作の制御に用いるプログラムを簡易プログラムに切替える処理である。制御プログラムP1は、通常制御処理及び簡易プログラムを実行するためのコンピュータプログラムである。
【0036】
制御部24が有する一又は複数のCPUは、簡易プログラムP2を実行することによって、簡易制御処理、制御プログラム更新処理及び制御プログラム実行処理を実行する。簡易制御処理は、電気機器11の動作を制御する処理である。制御プログラム更新処理は、制御プログラムP1を更新する処理である。制御プログラム実行処理は、電気機器11の動作の制御に用いるプログラムを制御プログラムに切替える処理である。
【0037】
制御プログラムP1は更新される。制御プログラムP1を更新するための更新データは、通信バスL1を介して、通信部20に送信される。具体的には、更新データを構成する複数の部分データが通信部20に送信される。通信部20は、部分データを受信した場合、受信した部分データを記憶部23に記憶する。
【0038】
例えば、通信バスL1には、車両100の外側に設置されているサーバと無線で通信する無線装置が接続されている。無線装置は、サーバから更新データを受信し、受信した更新データを構成する複数の部分データを、通信バスL1を介して個別に送信する。通信部20は、無線装置が通信バスL1を介して送信した部分データを受信し、受信した部分データを記憶部23に記憶する。
【0039】
簡易プログラムP2は、更新されることはなく、制御部24によって誤った処理が実行される可能性が低いプログラムである。簡易プログラムP2のデータ量は、抑制されており、制御プログラムP1のデータ量よりも小さい。
ECU10及び制御部24夫々は、処理装置及び制御処理部として機能する。制御プログラムP1及び簡易プログラムP2夫々は、第1プログラム及び第2プログラムに相当する。
【0040】
図4は、通常制御処理及び簡易制御処理の説明図である。制御部24は、前述したように、制御プログラムP1を実行することによって、通常制御処理を実行する。通常制御処理は、制御プログラムP1の更新が実行されている更新期間を除く他の期間の大部分で実行される。
図4に示すように、通常制御処理では、制御部24は、入力部22に入力されたN(N:2以上の整数)種類の情報に基づいて、処理内容、即ち、作動信号及び停止信号の中で出力部21が出力する信号を決定する。従って、通常制御処理は、N種類の情報に基づいて、電気機器11の動作を制御する制御処理である。
【0041】
図4の例では、Nは4であり、N種類の情報は、指示情報、イグニッション情報、車速情報及び蓄電量情報である。この場合、制御部24は、指示受付部16が受け付けた指示、イグニッションスイッチ13がオンであるか否か、車速センサ14が検出した車両100の速度が基準速度以上であるか否か、及び、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であるか否かに基づいて、出力部21が出力する信号を決定する。制御部24は、出力部21に指示して、決定した信号を出力させる。電気機器11は、出力部21が出力した信号に応じた動作を行う。
【0042】
また、制御部24は、前述したように、簡易プログラムP2を実行することによって、簡易制御処理を実行する。簡易制御処理は、制御プログラムP1の更新が実行されている更新期間に実行される。
図4に示すように、簡易制御処理では、制御部24は、入力部22に入力されたM(M:N未満の自然数)種類の情報に基づいて、処理内容を決定する。従って、簡易制御処理は、M種類の情報に基づいて、電気機器11の動作を制御する制御処理である。M種類の情報は、N種類の情報に含まれる。
【0043】
図4の例では、Mは1であり、M種類の情報は指示情報である。この場合、制御部24は、指示受付部16が受け付けた指示のみに基づいて、出力部21が出力する信号を決定する。制御部24は、出力部21に指示して、決定した信号を出力させる。電気機器11は、出力部21が出力した信号に応じた動作を行う。
【0044】
以上のように、簡易プログラムP2に係る簡易制御処理で用いられる情報の種類の数は、制御プログラムP1に係る通常制御処理で用いられる情報の種類の数よりも少ない。これにより、制御プログラムP1のデータ量よりもデータ量が小さい簡易プログラムP2が実現されている。
【0045】
指示情報は、外部から受け付けた内容に関する受付情報である。イグニッションスイッチ情報及び車速情報夫々は、車両100の走行に関する走行情報である。蓄電量情報は、車両100に搭載された蓄電器に関する蓄電器情報である。蓄電器は、バッテリ12であってもよいし、バッテリ12とは異なっていてもよい。N種類の情報に、車両100に搭載されたドアミラー又はワイパー等の電気機器に関する機器情報が含まれてもよい。N種類の情報には、受付情報、走行情報、蓄電器情報及び機器情報中の少なくとも1つが含まれていればよい。例えば、N種類の情報は、2種類の受付情報であってもよい。
【0046】
図5は、簡易プログラム実行処理の手順を示すフローチャートである。制御部24は、イグニッションスイッチ13がオンである状態で、制御プログラムP1を実行することによって、簡易プログラム実行処理を周期的に実行する。制御部24は、時分割方式で、通常制御処理及び簡易プログラム実行処理を並行して実行する。
【0047】
まず、制御部24は、制御プログラムP1を更新するか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1では、一例として、制御部24は、記憶部23に更新データが記憶されている場合に制御プログラムP1を更新すると判定し、記憶部23に更新データが記憶されていない場合に制御プログラムP1を更新しないと判定する。
【0048】
また、もう1つの例として、制御部24は、記憶部23に、更新データを構成する複数の部分データの少なくとも1つが記憶されている場合に制御プログラムP1を更新すると判定し、記憶部23に部分データが記憶されていない場合に制御プログラムP1を更新しないと判定する。制御部24は更新判定部としても機能する。
【0049】
制御部24は、制御プログラムP1を更新しないと判定した場合(S1:NO)、簡易プログラム実行処理を終了する。その後、次の周期が到来した場合、制御部24は簡易プログラム実行処理を再び実行する。
【0050】
制御部24は、制御プログラムP1を更新すると判定した場合(S1:YES)、入力部22から車速情報を取得し(ステップS2)、取得した車速情報が示す車両100の速度に基づいて、車両100が走行を停止しているか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3では、制御部24は、車両100の速度がゼロである場合、車両100が走行を停止していると判定し、車両100の速度がゼロを超えている場合、車両100が走行を停止していないと判定する。制御部24は停止判定部としても機能する。
【0051】
制御部24は、車両100が走行を停止していないと判定した場合(S3:NO)、ステップS2を実行し、車両100が走行を停止するまで待機する。
制御部24は、車両100が走行を停止していると判定した場合(S3:YES)、入力部22から蓄電量情報を取得し(ステップS4)、取得した蓄電量情報が示すバッテリ12の蓄電量が基準量以上であるか否かを判定する(ステップS5)。基準量は、一定量であり、予め設定されている。制御部24は蓄電量判定部としても機能する。なお、ステップS5で用いる基準量は、通常制御処理で用いる基準量と異なってもよい。
【0052】
制御部24は、蓄電量が基準量未満であると判定した場合(S5:NO)、ステップS2を実行し、車両100が走行を停止しており、かつ、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であるという条件が満たされるまで待機する。バッテリ12は、前述したように、発電機によって充電される。
制御部24は、蓄電量が基準量以上であると判定した場合(S5:YES)、入力部22から傾き角度情報を取得し(ステップS6)、車両100の進行方向と水平面とがなす傾き角度が基準値未満であるか否かを判定する(ステップS7)。基準値は、一定値であり、予め設定されている。制御部24は角度判定部としても機能する。
【0053】
制御部24は、傾き角度が基準値以上であると判定した場合(S7:NO)、ステップS2を実行し、車両100が走行を停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、車両100の傾き角度が基準値未満であるという条件が満たされるまで待機する。
【0054】
制御部24は、傾き角度が基準値未満であると判定した場合(S7:YES)、簡易プログラムP2を実行する(ステップS8)。制御部24は、簡易プログラムP2を実行することによって、前述したように、簡易制御処理、制御プログラム更新処理及び制御プログラム実行処理を実行する。
制御部24は、ステップS8を実行した後、簡易プログラム実行処理を終了する。その後、制御プログラム実行処理で制御プログラムP1が実行されるまで、制御プログラムP1が実行されることはない。
【0055】
以上のように、制御プログラムP1を更新する場合において、車両100が走行を停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、車両100の傾き角度が基準値
未満であるとき、電気機器11の動作を制御する制御処理に用いるプログラムを簡易プログラムP2に切替える。
【0056】
制御プログラムP1から簡易プログラムP2への移行が行われた後、制御部24は、前述した簡易制御処理を実行しつつ、制御プログラム更新処理を実行する。制御プログラム更新処理では、記憶部23に記憶されている更新データ又は部分データに基づいて、制御プログラムP1を更新する。制御部24は、制御プログラムP1を更新した後、更新で用いた更新データ又は部分データを記憶部23から削除する。制御部24は更新処理部としても機能する。
【0057】
図6は、制御プログラム実行処理の手順を示すフローチャートである。制御部24は、イグニッションスイッチ13がオンである状態で、簡易プログラムP2を実行することによって、制御プログラム実行処理を実行する。制御プログラム実行処理では、制御部24は、まず、制御プログラムP1の更新が完了したか否かを判定する(ステップS11)。制御部24は完了判定部としても機能する。
【0058】
制御部24は、制御プログラムP1の更新が完了していないと判定した場合(S11:NO)、制御プログラム実行処理を終了する。その後、次の周期が到来した場合、制御部24は制御プログラム実行処理を再び実行する。
【0059】
制御部24は、制御プログラムP1の更新が完了したと判定した場合(S11:YES)、入力部22から車速情報を取得し(ステップS12)、取得した車速情報が示す車両100の速度に基づいて、簡易プログラム実行処理のステップS3と同様に、車両100が走行を停止しているか否かを判定する(ステップS13)。制御部24は第2の停止判定部としても機能する。
【0060】
制御部24は、車両100が走行を停止していないと判定した場合(S13:NO)、ステップS12を実行し、車両100が走行を停止するまで待機する。
制御部24は、車両100が走行を停止していると判定した場合(S13:YES)、入力部22から蓄電量情報を取得し(ステップS14)、取得した蓄電量情報が示すバッテリ12の蓄電量が基準量以上であるか否かを判定する(ステップS15)。なお、ステップS15で用いられる基準量は、通常制御処理で用いられる基準量、及び、簡易プログラム実行処理のステップS5で用いられる基準量の両方又は一方と異なっていてもよい。この場合、ステップS15で用いられる基準量も、一定量であり、予め設定されている。
【0061】
制御部24は、蓄電量が基準量未満であると判定した場合(S15:NO)、ステップS12を実行し、車両100が走行を停止しており、かつ、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であるという条件が満たされるまで待機する。バッテリ12は、前述したように、発電機によって充電される。
制御部24は、蓄電量が基準量以上であると判定した場合(S15:YES)、入力部22から傾き角度情報を取得し(ステップS16)、車両100の進行方向と水平面とがなす傾き角度が基準値未満であるか否かを判定する(ステップS17)。なお、ステップS17で用いられる基準値は、簡易プログラム実行処理のステップS7で用いられる基準値と異なっていてもよい。この場合、ステップS17で用いられる基準値も、一定量であり、予め設定されている。
【0062】
制御部24は、傾き角度が基準値以上であると判定した場合(S17:NO)、ステップS12を実行し、車両100が走行を停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、車両100の傾き角度が基準値未満であるという条件が満たされるまで待機する。
【0063】
制御部24は、傾き角度が基準値未満であると判定した場合(S17:YES)、更新後の制御プログラムP1を実行する(ステップS18)。制御部24は、更新後の制御プログラムP1を実行することによって、前述したように、通常制御処理及び簡易プログラム実行処理を実行する。
制御部24は、ステップS18を実行した後、制御プログラム実行処理を終了する。その後、簡易プログラム実行処理
で簡易プログラムP2が実行されることはない。
【0064】
以上のように、制御プログラムP1の更新が完了した場合において、車両100が走行を停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、車両100の傾き角度が基準値
未満であるとき、電気機器11の動作を制御する制御処理に用いるプログラムを更新後の制御プログラムP1に切替える。
【0065】
図7は、ECU10の動作の説明図である。
図7では、制御プログラムP1を実行することによって制御部24が実行する処理と、簡易プログラムP2を実行することによって制御部24が実行する処理とが時系列的に示されている。時間軸の上側には、制御プログラムP1を実行することによって、制御部24が実行する処理が示されている。時間軸の下側には、簡易プログラムP2を実行することによって、制御部24が実行する処理が示されている。
【0066】
制御部24が、制御プログラムP1を実行することによって、通常制御処理を実行している間に、通信部20は、更新データ又は部分データを受信し、受信した更新データ又は部分データを記憶部23に記憶する。その後に実行される簡易プログラム実行処理では、更新データ又は部分データが記憶部23に記憶されているので、制御部24は、制御プログラムP1を更新すると判定する。その後、簡易プログラム実行処理では、制御部24は、車両100の走行が停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、傾き角度が基準値
未満であるという条件が満たされるまで待機する。
【0067】
制御部24は、車両100の走行が停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、傾き角度が基準値
未満であるという条件が満たされ場合、簡易プログラムP2を実行し、制御プログラムP1の実行を停止する。その後、制御部24は、簡易プログラムP2を実行することによって、簡易制御処理を実行する。
【0068】
その後、制御部24は、簡易制御処理を実行しつつ、制御プログラム更新処理を実行する。制御部24は、制御プログラムP1の更新が完了した後、制御プログラムP1の更新に用いた更新データ又は部分データを削除し、制御プログラム実行処理を実行する。制御プログラム実行処理では、制御部24は、制御プログラムP1の更新が完了したと判定し、車両100の走行が停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、傾き角度が基準値
未満であるという条件が満たされるまで待機する。
【0069】
制御部24は、車両100の走行が停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、傾き角度が基準値
未満であるという条件が満たされ場合、更新後の制御プログラムP1を実行し、簡易プログラムP2の実行を停止する。その後、制御部24は、制御プログラムP1を実行することによって、通常制御処理を再び実行する。
【0070】
以上のように構成されたECU10では、制御プログラムP1を更新する場合において、車両100が走行を停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、傾き角度が基準値
未満であるという条件が満たされときに、制御処理の実行に用いるプログラムを、制御プログラムP1から簡易プログラムP2に切替える。この条件が満たされている場合、電気機器11の動作が安定している可能性が高い。このため、制御処理の実行に用いるプログラムが適切なタイミングで簡易プログラムP2に切替わる。
【0071】
また、制御プログラムP1の更新が完了した場合において、車両100が走行を停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、傾き角度が基準値
未満であるという条件が満たされときに、制御処理の実行に用いるプログラムを、簡易プログラムP2から更新後の制御プログラムP1に切替える。この条件が満たされている場合、電気機器11の動作が安定している可能性が高い。このため、制御処理の実行に用いるプログラムが適切なタイミングで更新後の制御プログラムP1に切替わる。
【0072】
なお、簡易プログラム実行処理において、制御部24は、車両100が走行を停止していると判定し、かつ、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であると判定した場合に簡易プログラムP2を実行してもよい。車両100が走行を停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、傾き角度が基準値
未満であるという条件が満たされている場合、電気機器の動作は最も安定している。しかしながら、車両100が走行を停止しており、かつ、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であるという条件が満たされていれば、電気機器の動作の安定について問題がない構成では、傾き角度が基準値
未満であるか否かの判定を省略してもよい。
【0073】
また、簡易プログラム実行処理において、制御部24は、車両100が走行を停止していると判定し、かつ、傾き角度が基準値未満であると判定した場合に簡易プログラムP2を実行してもよい。車両100が走行を停止しており、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であり、かつ、傾き角度が基準値
未満であるという条件が満たされている場合、電気機器の動作は最も安定している。しかしながら、車両100が走行を停止しており、かつ、傾き角度が基準値未満あるという条件が満たされていれば、電気機器の動作の安定について問題がない構成では、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であるか否かの判定を省略してもよい。
【0074】
更に、車両100が走行を停止しているという条件が満たされていれば、電気機器の動作の安定について問題がない構成では、簡易プログラム実行処理において、制御部24は、車両100が走行を停止していると判定した場合に簡易プログラムP2を実行してもよい。
【0075】
また、簡易プログラムP2を実行する条件と同様に、制御プログラムP1を実行する条件を緩和してもよい。従って、車両100が走行を停止しており、かつ、バッテリ12の蓄電量が基準量以上であるという条件が満たされた場合に制御プログラムP1を実行してもよい。また、車両100が走行を停止しており、かつ、傾き角度が基準値未満あるという条件が満たされた場合に制御プログラムP1を実行してもよい。更に、車両100が走行を停止している場合に制御プログラムP1を実行してもよい。
【0076】
更に、制御部24は、イグニッションスイッチ13がオフであるか否かに無関係に、簡易プログラム実行処理及び制御プログラム実行処理の一方又は両方を実行してもよい。
また、通常制御処理で用いられる情報の数、即ち、Nは2以上であればよい。簡易制御処理で用いられる情報の数、即ち、Mは、1に限定されず、N未満の自然数であればよい。
【0077】
更に、通常制御処理及び簡易制御処理夫々は、電気機器11の作動及び動作の停止に関する制御を行う処理に限定されず、電気機器11の動作に関する制御を行う処理であればよい。例えば、電気機器11がモータである場合、通常制御処理及び簡易制御処理は、モータの回転数を制御する処理であってもよい。例えば、電気機器11がランプである場合、通常制御処理及び簡易制御処理は、ランプの照度を調整する処理であってもよい。
【0078】
開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。