(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像処理部は、前記画像生成部により前記画像が生成される毎に前記合成画像の生成を行い、前記制御部は、前記合成画像が生成される毎に前記合成画像を前記表示部にリアルタイムに表示させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
前記全期間画像合成モードのみならず、前記画像生成期間の一部の期間の前記画像を対象として、前記画像を重ね合わせて前記合成画像を生成する部分期間画像合成モードにおいても、前記制御部は、前記合成画像を前記表示部にリアルタイムに表示させる制御を行い、
前記制御部は、前記全期間画像合成モードのみならず、前記部分期間画像合成モードにおいても前記操作部に対して前記X線撮影の終了に関する入力操作が行われることに基づいて、前記X線撮影を終了させる制御を行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(X線撮影装置の構成)
図1〜
図8を参照して、本発明の一実施形態によるX線撮影装置100の構成について説明する。
【0019】
本発明の一実施形態によるX線撮影装置100は、
図1に示すように、人体などの被検体Tの外側からX線(放射線)を照射することによって、被検体T内を画像化したX線画像を撮影する装置である。
【0020】
X線撮影装置100は、X線照射部1と、X線検出部2と、制御部6と、表示部7と、操作部8と、記憶部9と、画像処理装置10と、を備えている。
【0021】
X線照射部1は、治療具30のステント31(
図2参照)が導入された被検体TにX線を照射する。X線検出部2は、被検体Tを透過したX線を検出する。X線照射部1とX線検出部2とは、それぞれ、被検体Tが載置される天板3を挟んで対向するように配置されている。X線照射部1およびX線検出部2は、移動機構4に移動可能に支持されている。天板3は、天板駆動部5により水平方向に移動可能である。移動機構4および天板駆動部5は、制御部6に接続されている。制御部6は、被検体Tの所定の領域を画像P(
図3参照)として撮影できるように、移動機構4および天板駆動部5を介してX線照射部1、X線検出部2および天板3を移動させる。
【0022】
X線照射部1は、X線源1aを含んでいる。X線源1aは、図示しない高電圧発生部に接続されており、高電圧が印加されることによりX線を発生させるX線管である。X線源1aは、X線出射方向をX線検出部2の検出面に向けて配置されている。X線照射部1は、制御部6に接続されている。制御部6は、管電圧、管電流およびX線照射の時間間隔などの予め設定された撮影条件に従ってX線照射部1を制御し、X線源1aからX線を発生させる。
【0023】
X線検出部2は、X線照射部1から照射され、被検体Tを透過したX線を検出し、検出したX線強度に応じた検出信号を出力する。X線検出部2は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)により構成されている。X線検出部2は、所定の解像度のX線検出信号を画像処理装置10に出力する。画像処理装置10は、X線検出部2からX線検出信号を取得して、画像P(
図3参照)を生成する。
【0024】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されたコンピュータである。制御部6は、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより、X線撮影装置100の各部を制御する制御部として機能する。制御部6は、X線照射部1および画像処理装置10の制御、および、移動機構4および天板駆動部5の駆動制御などを行う。
【0025】
表示部7は、たとえば、液晶ディスプレイなどのモニタであり、画像処理装置10により生成された画像Pなどを表示可能である。制御部6は、画像処理装置10により生成された画像Pを表示部7に表示させる制御を行うように構成されている。
【0026】
操作部8は、X線撮影に関するユーザの入力を受け付けることが可能に構成されている。制御部6は、ユーザによる入力操作を、操作部8を介して受け付けるように構成されている。また、操作部8は、後述する画像処理部14のモードを切り替えるためのモード切替ボタン8aを有している。なお、画像処理部14のモードについては後述する。また、モード切替ボタン8aは、特許請求の範囲の「切替入力部」の一例である。
【0027】
記憶部9は、たとえばハードディスクドライブなどの記憶装置により構成される。記憶部9は、画像データ、撮影条件および各種の設定値を記憶するように構成されている。表示部7、操作部8および記憶部9の各々は、画像処理装置10に設けられていてもよい。
【0028】
また、X線撮影装置100は、X線透視とX線撮影との2種類の方法で、画像Pを取得可能に構成されている。なお、X線透視では、X線撮影よりも少ない放射線量が被検体Tに照射されることによって、被検体Tの被ばく量を低減可能である一方、低画質の画像Pが取得される。一方、X線撮影では、ある程度高画質の画像Pが取得される。
【0029】
画像処理装置10では、画像Pの撮影中にリアルタイムで画像処理が行われる。画像処理装置10は、たとえば、CPUあるいはGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサ11と、ROMおよびRAMなどの記憶部12とを含んで構成されるコンピュータである。すなわち、画像処理装置10は、記憶部12に記憶された画像処理プログラム15をプロセッサ11に実行させることにより構成される。画像処理装置10は、制御部6と同一のハードウェア(CPU)に画像処理プログラムを実行させることにより、制御部6と一体的に構成されてもよい。
【0030】
記憶部12は、コンピュータを画像処理装置10として機能させるための画像処理プログラム15を記憶している。また、記憶部12は、後述する画像生成部13により生成された画像Pおよび合成画像Mなどを画像データ16として一時的に蓄積するように構成されている。
【0031】
画像処理装置10は、画像処理プログラム15を実行することによる機能として、画像生成部13と、画像処理部14と、を含む。画像生成部13および画像処理部14は、それぞれ専用のプロセッサにより個別に構成されていてもよい。
【0032】
画像生成部13は、治療具30のステント31(
図2参照)が導入された被検体Tを透過したX線の検出信号に基づく画像Pを生成するように構成されている。画像生成部13は、X線検出部2の検出信号に基づき、画像Pを動画像の形式で生成する。すなわち、X線照射部1から被検体Tに対してX線が所定時間間隔で断続的に照射され、被検体Tを透過したX線がX線検出部2により順次検出される。画像生成部13は、X線検出部2から順次出力される検出信号を画像化することにより、画像Pを15FPSのフレームレートで生成する。なお、フレームレートは、7.5FPS〜30FPS程度であればよい。画像Pは、たとえばグレースケールで所定の階調数(10〜12ビットなど)の画素値を有する画像である。そのため、低画素値の画素では輝度値が小さく黒く(暗く)表示され、高画素値の画素では輝度値が大きく白く(明るく)表示される。なお、画像を白黒反転させてもよい。
【0033】
画像処理部14は、画像生成部13により連続的に生成された複数の画像P(
図3参照)を重ね合わせて合成画像M(
図6〜
図8参照)を作成する画像処理を行うことが可能に構成されている。具体的には、画像処理部14は、まず、
図3に示すように、位置合わせのために、複数の画像Pから一対のマーカー35が含まれる領域pを取り出す。そして、画像処理部14は、
図4に示すように、アフィン変換などを用いて、各々の領域pにおける一対のマーカー35の位置が、現撮影時点(最新)の画像P
Nの領域p
Nにおける一対のマーカー35の位置と一致するように、2次元的な位置合わせを行う。そして、画像処理部14は、
図5に示すように、位置合わせされた領域pを用いて画像Pを位置合わせすることによって、位置合わせ後の位置補正画像Qを生成する。最後に、画像処理部14は、位置補正画像Qを重ね合わせる(時間積分を行う)ことによって、
図6〜
図8に示すように、ステント31が強調表示されたステント強調画像としての合成(積算)画像Mを生成する。
【0034】
また、画像処理部14は、合成画像Mの生成を、画像生成部13により新たに画像Pが生成される毎に行うように構成されている。これにより、生成した合成画像Mを、動画としてリアルタイムに表示部7に表示させることが可能である。
【0035】
ここで、本実施形態では、画像処理部14は、画像生成部13により生成された複数の画像Pを重ね合わせて合成画像Mを作成する際のモードとして、全合成モードまたは部分合成モードのいずれかに切替可能に構成されている。全合成モードは、画像処理部14により、画像生成期間の全期間の画像P(P
1〜P
N、
図3参照)の全てを重ね合わせて合成画像M(Mf(Ms)、
図6(
図7)参照)を生成するモードである。また、部分合成モードは、画像処理部14により、画像生成期間の一部の期間である最新(直近)の8フレームの画像P(P
N−7〜P
N、
図6参照)を重ね合わせて合成画像M(Mp、
図8参照)を生成するモードである。なお、部分合成モードにおいて、8フレームの画像が得られていない場合には、全合成モードと同様の合成画像Mが生成される。
【0036】
また、「画像生成期間」とは、画像生成部13により複数の画像が生成される期間を意味し、具体的には、撮影開始時から現撮影時点までの期間を意味する。また、「最新の8フレームの画像Pを重ね合わせる」とは、時系列的に並べた画像Pのうち、新しい画像P
Nと、新しい画像P
Nから古くなる方向に向かって順に7フレームの画像P(P
N―7〜P
N=1)との8フレームの画像Pを重ね合わせることを意味する。また、全合成モードおよび部分合成モードは、それぞれ、特許請求の範囲の「全期間画像合成モード」および「部分期間画像合成モード」の一例である。
【0037】
また、制御部6は、ユーザによりモード切替ボタン8aが操作された際に、モード切替ボタン8aへの操作内容に基づくモードの切替に関する情報を取得するように構成されている。なお、制御部6は、撮影開始前に予めモードの切替に関する情報を取得するように構成されている。そして、制御部6は、画像処理部14にモードの切替に関する情報を送信することによって、画像処理部14のモードを、全合成モードまたは部分合成モードのいずれかに切り替えさせるように構成されている。
【0038】
次に、
図2〜
図13を参照して、冠動脈(心血管)インターベンション治療における本実施形態のX線撮影装置100のモードの切替の一例について説明する。
【0039】
本実施形態のX線撮影装置100は、冠動脈インターベンション治療に用いられることが可能である。冠動脈インターベンション治療とは、心臓の冠動脈における血管40(
図3参照)の狭窄を拡張する治療である。
【0040】
冠動脈インターベンション治療では、
図2に示すように、ステント31を含む治療具30が用いられる。治療具30は、ステント31と、ステント31が取り付けられるバルーン32と、ステント31およびバルーン32が先端近傍に取り付けられたガイドワイヤ33と、ガイドワイヤ33が内部に収容されるカテーテル34とを含む。ステント31は、細い金属などで形成された網目構造を有する筒状であり、X線が透過しやすく画像Pに写りにくい。このため、ステント31が取り付けられるバルーン32には、X線透過性の低い(または不透過の)素材で構成された一対のマーカー35が、目印として設けられている。この一対のマーカー35は、ステント31を挟み込むように、ステント31の両端近傍に設けられている。また、ステント31は、バルーン32が膨張することにより、折りたたまれた状態から拡張するように構成されている。なお、ステント31は、特許請求の範囲の「デバイス」の一例である。
【0041】
冠動脈インターベンション治療の具体的な治療手順としては、まず、医師が、表示部7に表示されるX線透視による低画質のリアルタイム動画(画像)を参照しながら、カテーテル34を被検体Tの血管40内に挿入し、血管40を介してカテーテル34を心臓の冠動脈の血管40の狭窄部位へ到達させる手技を行う。
【0042】
そして、医師は、表示部7に表示されるX線撮影による合成画像Mのリアルタイム動画または合成画像Mの静止画を参照しながら、ステント31(31a)およびバルーン32の狭窄部位への位置決めを行う。そして、医師は、バルーン32を膨張させて血管40の狭窄部位を拡張させるとともに、折りたたまれたステント31aを拡張して血管40内に留置する手技を行う。これにより、ステント31aによって血管40が内側から支えられる。また、医師は、X線撮影による合成画像Mのリアルタイム動画または合成画像Mの静止画を参照しながら、ステント31aが正しく留置されたかの確認を行う。そして、医師は、ステント31aが正しく留置されていない場合には、バルーン32を再度膨張させることなどによってステント31aを調整する手技を行う。これらの手技を行う場合、ステント31aと、バルーン32の一対のマーカー35との相対位置はほとんど変化しない。
【0043】
ここで、ステント31aとマーカー35との相対位置が変化しない場合における、モード毎の画像処理部14により生成される合成画像Mについて説明する。
【0044】
(全合成モードの場合)
全合成モードに切り替えられている場合には、画像処理部14は、まず、
図3に示すように、位置合わせのために、複数の画像Pの全て(画像P
1〜P
N)から一対のマーカー35が含まれる領域p(領域p
1〜p
N)を取り出す。そして、画像処理部14は、
図4に示すように、各々の領域p
1〜p
Nの位置合わせを行う。その後、画像処理部14は、
図5に示すように、位置合わせされた領域p
1〜p
N−1を用いて画像P
1〜P
N−1を位置合わせすることによって、位置合わせ後の位置補正画像Q
1〜Q
N−1を生成する。最後に、画像処理部14は、位置補正画像Q
1〜Q
N(なお、Q
NはP
Nと等しい)を重ね合わせる(時間積分を行う)ことによって、
図6に示す合成画像Mfを生成する。
【0045】
ここで、ステント31aとマーカー35との相対位置が変化しないため、各々の領域p
1〜p
N−1における一対のマーカー35の位置が領域p
Nにおける一対のマーカー35の位置と一致するように位置合わせを行うことによって、位置補正画像Q
i(1≦i≦N−1)と位置補正画像Q
Nとにおいて、ステント31aが略同じ位置になる。この結果、位置補正画像Q(画像P)が重ね合わされた合成画像Mfでは、位置補正画像Q
1〜Q
Nにおいてステント31aのずれがほとんどないことにより、ステント31aが強調されて表示部7に表示される。そして、合成画像Mfが連続的に生成されて、表示部7にリアルタイム動画として表示される。
【0046】
なお、全合成モードでは、撮影開始から時間が経過するにつれて合成画像Mfを生成するために用いられる画像Pの枚数(フレーム数)が多くなるので、リアルタイム動画として表示部7に表示される合成画像Mfでは、徐々にステント31aが鮮明になり高画質化する。
【0047】
そして、十分高画質の合成画像Mfが得られたことにより全合成モードにおけるX線撮影が終了された際、画像処理部14は、最後に生成した合成画像Mfに対して、ステント31aを強調するための補正処理を行う。この補正処理では、たとえば、ステント31aが血管40と異なり直線的な形状を有するので、直線形状の部分のコントラストを上げるなどの処理が画像処理部14により行われる。これにより、画像処理部14により、合成画像Mfからステント31aがより強調されたより高画質の補正合成画像Msが生成される。そして、
図7に示すように、補正合成画像Msは、静止画として表示部7に表示される。この結果、医師は、ステント31aが正しく留置されたかの確認を確実に行うことが可能である。
【0048】
なお、ユーザは、十分高画質の合成画像Mfが得られたことをリアルタイムで確認してX線撮影を終了することができるので、不十分な画質の合成画像Mの状態でX線撮影が終了されるのを抑制することが可能である。また、ユーザは、十分高画質の合成画像Mfが得られたことをリアルタイムで確認して迅速にX線撮影を終了することができるので、被検体Tの被ばく量が増加するのを効果的に抑制することが可能である。
【0049】
(部分合成モードの場合)
一方で、部分合成モードに切り替えられている場合には、画像処理部14は、まず、
図3に示すように、位置合わせのために、複数の画像Pのうち、最新(直近)の8フレームの画像P(画像P
N−7〜P
N)から一対のマーカー35が含まれる領域p(領域p
N−7〜p
N)を取り出す。そして、画像処理部14は、
図4に示すように、各々の領域p
N−7〜p
Nの位置合わせを行う。そして、画像処理部14は、
図5に示すように、位置合わせされた領域p
N−7〜p
N−1を用いて画像P
N−7〜P
N−1を位置合わせすることによって、位置合わせ後の位置補正画像Q
N−7〜Q
N−1を生成する。最後に、画像処理部14は、位置補正画像Q
N−7〜Q
Nを重ね合わせることによって、
図8に示す合成画像Mpを生成する。
【0050】
ここで、ステント31aとマーカー35との相対位置が変化しないため、全合成モードと同様に、位置補正画像Q
i(N−7≦i≦N−1)と位置補正画像Q
Nとにおいて、ステント31aが略同じ位置になる。この結果、
図8に示すように、位置補正画像Q(画像P)が重ね合わされた合成画像Mpでは、位置補正画像Q
N−7〜Q
Nにおいてステント31aのずれがほとんどないことにより、ステント31aが強調されて表示部7に表示される。そして、合成画像Mpが連続的に生成されて、表示部7にリアルタイム動画として表示される。
【0051】
なお、部分合成モードでは、撮影開始から時間が経過しても合成画像Mpを生成するために用いられる画像Pの枚数(フレーム数)が8フレームで変化しない。このため、リアルタイム動画として表示される合成画像Mpでは、ステント31aの鮮明度はほとんど変化しない。
【0052】
ここで、一般的な撮影条件として、15FPSのフレームレートで3秒間撮影を行った場合には、全合成モードでは、撮影終了時に、45フレームの画像P(位置補正画像Q)が合成された合成画像Mfが生成される。つまり、全合成モードにおいて撮影終了時の合成画像Mを生成するために用いる画像のフレーム数(45フレーム)は、部分合成モードにおけるフレーム数(8フレーム)よりも多くなる。この結果、ステント31aとマーカー35との相対位置が変化しない場合においては、部分合成モードよりも全合成モードの方が、ステント31aが鮮明な高画質の合成画像Mが表示部7に表示される。したがって、ステント31aとマーカー35との相対位置が変化しない場合においては、部分合成モードよりも全合成モードに画像処理部14を切り替えるのが好ましい。
【0053】
一方、狭窄部位が広範囲であり、1個のステント31(31a)では狭窄部位の全体の拡張ができない場合などには、血管40内に留置されたステント31aとは別個の新たなステント31b(31)が取り付けられた治療具30を、心臓の冠動脈の血管40の狭窄部位へ到達させる手技を行う。そして、医師は、一対のステント31aおよび31bにより、狭窄部位の血管40を内側から確実に支えるために、X線撮影による合成画像Mのリアルタイム動画を参照しながら、既に留置された既設のステント31aと、新たなステント31bおよびバルーン32との位置決めの手技を行う。なお、ステント31aおよび31bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1デバイス」および「第2デバイス」の一例である。
【0054】
ここで、新たなステント31bと異なり、既設のステント31aはバルーン32に取り付けられていない。このため、
図9に示すように、新たなステント31bとバルーン32の一対のマーカー35との相対位置は変化しない一方、既設のステント31aとバルーン32の一対のマーカー35とは相対移動する。つまり、既設のステント31aとマーカー35との相対位置は変化する。
【0055】
ここで、ステント31aとマーカー35との相対位置が変化する場合における、モード毎の画像処理部14により生成される合成画像Mについて説明する。
【0056】
(全合成モードの場合)
全合成モードに切り替えられている場合には、上記した場合と同様に、画像処理部14は、
図9に示すように、まず、複数の画像Pの全て(画像P
1〜P
N)から一対のマーカー35が含まれる領域p(領域p
1〜p
N)を取り出す。そして、画像処理部14は、
図10に示すように、領域p
1〜p
Nの位置合わせを行う。その後、画像処理部14は、
図11に示すように、領域p
1〜p
N−1を用いて位置補正画像Q
1〜Q
N−1を生成する。最後に、画像処理部14は、位置補正画像Q
1〜Q
Nを重ね合わせることによって、
図12に示す合成画像Mfを生成する。
【0057】
ここで、既設のステント31aと、バルーン32の一対のマーカー35との相対位置が変化するため、各々の領域p
1〜p
N−1における一対のマーカー35の位置が領域p
Nにおける一対のマーカー35の位置と一致するように位置合わせを行った際に、位置補正画像Q
i(1≦i≦N−1)と位置補正画像Q
Nとにおいて、ステント31bが略同じ位置になる。これにより、
図12に示すように、位置補正画像Q(画像P)が重ね合わされた合成画像Mfでは、ステント31bが強調されて表示される。一方、既設のステント31aは、位置補正画像Q
iと位置補正画像Q
Nとにおいて、異なる位置に位置するようになる(たとえば、
図11のQ
1とQ
N)。このため、
図12に示すように、位置補正画像Q(画像P)が重ね合わされた合成画像Mfでは、位置補正画像Q
1〜Q
Nにおいてステント31aのずれが大きいことにより、ステント31aはぼやけて表示部7に表示される。
【0058】
(部分合成モードの場合)
一方で、部分合成モードに切り替えられている場合には、上記した場合と同様に、画像処理部14は、
図9に示すように、まず、複数の画像Pのうち、最新の8フレームの画像P(画像P
N−7〜P
N)から一対のマーカー35が含まれる領域p(領域p
N−7〜p
N)を取り出す。そして、画像処理部14は、
図10に示すように、領域p
N−7〜p
Nの位置合わせを行う。その後、画像処理部14は、
図11に示すように、領域p
N−7〜p
N−1を用いて位置補正画像Q
N−7〜Q
N−1を生成する。最後に、画像処理部14は、位置補正画像Q
N−7〜Q
Nを重ね合わせることによって、
図13に示す合成画像Mpを生成する。
【0059】
ここで、ステント31aとマーカー35との相対位置が変化するものの、最新(直近)の8フレーム(約0.5秒程度)では、ステント31aとマーカー35との相対位置の変化が小さい。これにより、各々の領域p
N−7〜p
N−1における一対のマーカー35の位置が領域p
Nにおける一対のマーカー35の位置と一致するように位置合わせを行った際に、位置補正画像Q
i(N−7≦i≦N−1)と位置補正画像Q
Nとにおいて、ステント31bだけでなく、既設のステント31aも略同じ位置になる。この結果、
図13に示すように、位置補正画像Q(画像P)が重ね合わされた合成画像Mpでは、ステント31aおよび31bのずれが共にほとんどないことにより、ステント31bだけでなく、既設のステント31aも強調されて表示部7に表示される。なお、部分合成モードにおいて、フレーム数が8フレームであることにより、ステント31bが十分に視認可能なフレーム数が確保されている。
【0060】
(全合成モードと部分合成モードとの比較)
これらの結果、X線撮影装置100では、ユーザ(医師等)がステント31とマーカー35との相対位置が変化しない手技を行う場合には、ユーザにより、画像処理部14のモードが全合成モードに切り替えられる。これにより、X線撮影中およびX線撮影後に、ステント31が鮮明になるように強調された高画質の合成画像Mfまたは補正合成画像Msを、表示部7に表示させることが可能である。また、X線撮影装置100では、ユーザがステント31とマーカー35との相対位置が変化する手技を行う場合には、ユーザにより、画像処理部14のモードが部分合成モードに切り替えられる。これにより、X線撮影中に、ステント31がぼやけずに十分に強調された合成画像Mpを、表示部7に表示させることが可能である。
【0061】
(制御フロー)
次に、
図14を参照して、X線撮影装置100の制御フローについて説明する。
【0062】
まず、ステップS11において、制御部6は、部分合成モードに切り替えられたか否かを判断する。制御部6が部分合成モードに切り替えられたと判断した場合には、ステップS23に進み、ステップS23〜S31において、部分合成モードに切り替えられた状態でX線撮影が行われる。
【0063】
制御部6が部分合成モードに切り替えられていないと判断した場合には、ステップS12〜S22において、全合成モードに切り替えられた状態でX線撮影が行われる。まず、ステップS12において、ユーザにより撮影開始に関する入力操作が操作部8に対して行われたことに関する情報が制御部6に送信されることによって、X線撮影が開始される。そして、ステップS13において、制御部6は、X線照射部1からX線を放射させることによって、X線検出部2に被検体Tを透過したX線を検出させて検出信号を出力させる。そして、画像生成部13が、検出信号に基づいて画像P
Nを生成する。
【0064】
その後、ステップS14において、画像処理部14は、画像P
Nよりも前に生成された画像P
1〜P
N−1および新たに生成された画像P
Nから、それぞれ、領域p
1〜p
Nを取得する。そして、ステップS15において、画像処理部14は、領域p
Nに基づいて領域p
1〜p
N−1の位置合わせを行う。その後、ステップS16において、画像処理部14は、領域p
1〜p
N−1の位置合わせ結果に基づいて画像P
1〜P
N−1の位置合わせを行うことにより、位置補正画像Q
1〜Q
N−1を生成する。そして、ステップS17において、画像処理部14は、位置補正画像Q
1〜Q
Nを重ね合わせることにより、合成画像Mfを生成する。その後、ステップS18において、画像処理部14により生成された合成画像Mfは、制御部6を介して、表示部7に表示される。
【0065】
そして、ステップS19において、制御部6は、ユーザにより撮影終了に関する入力操作が操作部8に対して行われたことに関する情報が制御部6に送信されることによって、X線撮影が終了されたか否かを判断する。制御部6がX線撮影が終了されていないと判断した場合には、ステップS20において、Nがインクリメント(N=N+1)されて、ステップS13に戻り、画像生成部13が新たな画像P
Nを生成する。
【0066】
また、制御部6がX線撮影が終了されたと判断した場合には、ステップS21において、画像処理部14は、ステント31が強調されるように最新の合成画像Mfの補正を行うことにより、補正合成画像Msを生成する。そして、ステップS22において、画像処理部14により生成された補正合成画像Msは、制御部6を介して、表示部7に表示される。その後、制御フローが終了される。
【0067】
また、ステップS11において、制御部6が部分合成モードに切り替えられていると判断した場合には、ステップS23において、ステップS12と同様にX線撮影が開始される。そして、ステップS24において、ステップS12と同様に、画像生成部13が検出信号に基づいて画像P
Nを生成する。
【0068】
その後、ステップS25において、画像処理部14は、画像P
Nよりも前に生成された画像P
1〜P
N−1のうち、最新(直近)の画像P
N−7〜P
N−1および新たに生成された画像P
Nから、それぞれ、領域p
N−7〜p
Nを取得する。そして、ステップS26において、画像処理部14は、領域p
Nに基づいて領域p
N−7〜p
N−1の位置合わせを行う。その後、ステップS27において、画像処理部14は、領域p
N−7〜p
N−1の位置合わせ結果に基づいて画像P
N−7〜P
N−1の位置合わせを行うことにより、位置補正画像Q
N−7〜Q
N−1を生成する。そして、ステップS28において、画像処理部14は、位置補正画像Q
N−7〜Q
Nを重ね合わせることにより、合成画像Mpを生成する。その後、ステップS29において、画像処理部14により生成された合成画像Mpは、制御部6を介して、表示部7に表示される。
【0069】
そして、ステップS30において、制御部6は、ステップS19と同様に、X線撮影が終了されたか否かを判断する。制御部6がX線撮影が終了されていないと判断した場合には、ステップS31において、Nがインクリメントされて、ステップS24に戻り、画像生成部13が新たな画像P
Nを生成する。また、制御部6がX線撮影が終了されたと判断した場合には、制御フローが終了される。
【0070】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0071】
本実施形態では、上記のように、画像処理部14を、画像生成期間の一部の期間の画像Pを対象として、画像Pを重ね合わせて合成画像M(Mp)を生成する部分合成モードに切替可能に構成する。これにより、部分合成モードにおいて、重ね合わせる画像Pが一部の期間内(直近)の画像Pに限定されるので、重ね合わせる画像P間におけるステント31aの位置(ステント31aとバルーン32の一対のマーカー35との相対位置)の変化を小さくすることができる。この結果、ステント31aがずれた状態で重ね合わせられるのを抑制することができるので、画像Pが重ね合わされた合成画像Mpにおいて、ステント31がぼやけるのを抑制することができる。したがって、ステント31の視認性が悪化した合成画像Mpが表示部7に表示されるのを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態では、画像処理部14を、画像生成期間の全期間の画像Pを対象として、画像Pを重ね合わせて合成画像Mfを生成する全合成モードと、画像生成期間の一部の期間の画像Pを対象として、画像Pを重ね合わせて合成画像Mpを生成する部分合成モードとに切替可能に構成する。これにより、画像生成期間の全期間に亘ってステント31の位置の変化がほとんどない状態で手技を行う場合には、全合成モードに切り替えられることによって、位置の変化がほとんどないステント31が確実に重ね合わされるので、ステント31が鮮明な高画質の合成画像Mfを表示部7に表示させることができる。一方で、画像生成期間においてステント31の位置の変化が大きい場合には、部分合成モードに切り替えられることによって、ステント31の視認性が悪化した合成画像Mpが表示部7に表示されるのを抑制することができる。これらの結果、画像処理部14を全合成モードと部分合成モードとに切替可能に構成することによって、ステント31の視認性が悪化した合成画像Mが表示部7に表示されるのを抑制しつつ、手技に適した合成画像Mを表示部7に表示させることができる。
【0073】
また、本実施形態では、画像処理部14を、部分合成モードにおいて、画像生成期間の一部の期間の所定のフレーム数(8フレーム)の画像Pを対象として、画像Pを重ね合わせるように構成する。これにより、部分合成モードにおいて、重ね合わせる画像Pが一部の期間内の所定のフレーム数(8フレーム)の画像Pに限定されるので、重ね合わせる画像P間におけるステント31aの位置の変化を確実に小さくすることができる。この結果、ステント31aがずれた状態で重ね合わせられるのをより抑制することができるので、画像Pが重ね合わされた合成画像Mpにおいて、ステント31がぼやけるのをより抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態では、X線撮影装置100が、ユーザが全合成モードまたは部分合成モードに切り替えるためのモード切替ボタン8aを備える。これにより、画像処理部14のモードを、手技に合わせたモードにユーザが切り替えることができるので、確実に、ステント31の視認性が悪化した合成画像Mが表示部7に表示されるのを抑制しつつ、手技に適した合成画像Mを表示部7に表示させることができる。
【0075】
また、本実施形態では、X線撮影装置100が、モード切替ボタン8aによる全合成モードまたは部分合成モードの切替に関する情報を、撮影開始の前に取得する制御を行う制御部6を備える。これにより、制御部6に撮影開始の前にモードに関する情報を取得させることができるので、切り替えられたモードで、撮影開始時から画像処理部14に合成画像Mを生成させることができる。この結果、たとえば、全合成モードに切り替えられている状態においては、早期にステント31が鮮明な合成画像Mを生成させることができるので、早期に放射線の照射を停止するようにX線撮影装置100を操作することができる。したがって、被検体Tの被ばく量が増加するのを効果的に抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態では、画像処理部14を、部分合成モードにおいて、ステント31aに対するステント31bの相対移動に起因して合成画像においてステント31aがぼやけるのを抑制するように、所定のフレーム数(8フレーム)の画像を重ね合わせるように構する。これにより、部分合成モードにおいて、ステント31aの視認性が悪化した合成画像Mpが表示部7に表示されるのを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態では、部分合成モードにおける所定のフレーム数(8フレーム)は、合成画像Mにおいて、ステント31bが十分に視認可能なフレーム数である。これにより、ステント31bを十分に視認可能で、かつ、ステント31aの視認性の悪化が抑制された合成画像Mpを表示部7に表示させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、全合成モードにおいて撮影終了時の合成画像Mfを生成するために用いる画像Pのフレーム数は、部分合成モードにおいて合成画像Mpを生成するために用いる画像Pのフレーム数(8フレーム)よりも多い。これにより、画像処理部14は、全合成モードの撮影終了時において、ステント31が鮮明な合成画像Mfを確実に生成することができる。
【0079】
また、本実施形態では、画像処理部14を、全合成モードでの撮影終了時の合成画像Mfに対してステント31を強調する補正を行うことにより補正合成画像Msを生成するように構成するとともに、表示部7を、全合成モードでの撮影終了時に、補正合成画像Msを表示するように構成する。これにより、ユーザは、全合成モードでの撮影終了後に表示部7に表示される補正合成画像Msによって、ステント31の状態をより正確に認識することができる。
【0080】
また、本実施形態では、画像処理部14を、全合成モードにおいて、画像生成期間の全期間の画像Pの全てを重ね合わせるように構成する。これにより、全合成モードにおいて、より早期にステント31が鮮明な合成画像Mfを生成させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、画像処理部14を、部分合成モードにおいて、最新の所定のフレーム数(8フレーム)の画像Pを対象として、画像Pを重ね合わせるように構成する。これにより、部分合成モードにおいて、ステント31がぼやけるのが抑制された最新の合成画像Mpを表示部7に表示させることができるので、ユーザは、最新の合成画像Mpを確認しながら手技を確実に行うことができる。
【0082】
また、本実施形態では、合成画像Mが、ステント31が強調表示されたステント強調画像である。これにより、ステント31の視認性が悪化した合成画像Mが表示部7に表示されるのを抑制することができる。
【0083】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0084】
たとえば、上記実施形態では、冠動脈(心血管)インターベンション治療に用いるX線撮影装置100の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、冠動脈インターベンション治療以外の用途に用いるX線撮影装置に適用されてもよい。指標(マーカー)に対するデバイスの相対位置の変化に起因して視認性が悪化した合成画像が表示部に表示されるのを抑制することが可能な本発明は、デバイスの位置の変化が生じ得る血管内IVR(インターベンショナルラジオロジー)治療に用いられるX線撮影装置としても使用することが可能である。
【0085】
また、上記実施形態では、全合成モード(全期間画像合成モード)が画像生成期間の全期間の画像P(P
1〜P
N)の全てを重ね合わせて合成画像M(Mf)を生成するモードである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、全期間画像合成モードにおいて、画像生成期間の全期間の画像のうちの一部の画像のみを用いるように構成してもよい。たとえば、全期間画像合成モードにおいて、画像生成期間の全期間の画像のうち、マーカーが検出できない画像を重ね合わせる画像から除外してもよい。また、全期間画像合成モードにおいて、時系列的に並ぶ全期間の画像から数フレーム毎に画像を抜き出して、抜き出した複数の画像以外の画像を重ね合わせる画像から除外してもよい。なお、全期間画像合成モードにおいて、時系列的に並ぶ全期間の画像から均等になるように画像を抜き出して、抜き出した画像が重ね合わせられるのがよい。さらに、全期間画像合成モードにおいて、画像生成期間の全期間の画像のうちの全ての画像を用いる全合成モードと、上記のような画像生成期間の全期間の画像のうち一部の画像のみを用いる全期間合成モードとを選択可能なようにX線撮影装置を構成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、部分合成モード(部分期間画像合成モード)が画像生成期間の一部の期間の画像P(P
N−7〜P
N)を重ね合わせて合成画像M(Mp)を生成するモードである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部分期間画像合成モードにおいても、画像生成期間の一部の期間の画像のうちの一部の画像のみを用いるように構成してもよい。たとえば、部分期間画像合成モードにおいて、画像生成期間の一部の期間の画像のうち、マーカーが検出できない画像を重ね合わせる画像から除外してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、一対のマーカー35を用いて画像Pの位置合わせを行う例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、マーカーを用いずに画像の位置合わせを行ってもよい。たとえば、画像内の特徴点(たとえば、被検体のうち、他の部分に比べて放射線を吸収しやすい部分)を複数検出し、画像間で複数の特徴点が一致するように画像の位置合わせを行ってもよい。この場合、特徴点がステントに対して相対的に移動することによって、ステントがぼやけた合成画像が生成されるのを抑制するために、部分合成モードを採用することが可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、デバイスとしてステントを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、デバイスは、ステントが取り付けられていないバルーンであってもよい。この場合であっても、たとえば、既設のステントとマーカーを有するバルーンとの間で位置決めを行う場合において、ステントの位置の変化に起因してステントがぼやけた合成画像が生成されるのを抑制するために、部分合成モードを採用することが可能である。
【0089】
また、上記実施形態では、部分合成モード(部分期間画像合成モード)において、画像生成期間の一部の期間である最新の8フレームの画像を重ね合わせて合成画像Mを生成する例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部分期間画像合成モードにおけるフレーム数は、8フレームに限られず、8フレームよりも少なくてもよいし、8フレームよりも多くてもよい。なお、フレーム数は、フレームレートに応じて変えるのが好ましい。たとえば、フレームレートが30FPSであれば、たとえば、8フレームよりも多い15フレームの画像を重ね合わせてもよく、フレームレートが7.5FPSであれば、たとえば、8フレームよりも少ない4フレームの画像を重ね合わせてもよい。なお、部分期間画像合成モードにおいて、重ね合わせる画像のフレーム数が多すぎる(フレーム数を取得するための期間が長くなる)と、合成画像において位置の変化するデバイスがぼやけて表示されやすくなり、重ね合わせる画像のフレーム数が少なすぎると、合成画像においてデバイスを十分に強調表示できなくなる。このため、部分期間画像合成モードにおいて重ね合わせる画像のフレーム数は、0.3秒〜1秒程度に対応するフレーム数で、かつ、4フレーム以上であるのが好ましいものの、本発明はこのフレーム数に限定されるものではない。
【0090】
また、上記実施形態では、部分合成モード(部分期間画像合成モード)において、画像処理部14が最新の8フレームの画像を重ね合わせて合成画像Mを生成する例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部分期間画像合成モードにおいて、画像処理部は、最新の期間以外の一部の期間における、所定のフレーム数の画像を重ね合わせて合成画像を生成してもよい。たとえば、画像処理部は、部分期間画像合成モードにおいて、画像生成期間の前半または中盤における、所定のフレーム数の画像を重ね合わせてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、制御部6が撮影開始前に予めモードの切替に関する情報を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部が撮影開始時にモードの切替に関する情報を取得するように構成されてもよい。たとえば、ユーザによる切替入力部の切替操作に基づいて、切り替えられたモードで撮影を開始するようにX線撮影装置を構成してもよい。また、X線撮影中に画像処理部のモードを切り替えることが可能なようにX線撮影装置を構成してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、ユーザによりモード切替ボタン8aが操作された際に、画像処理部14のモードを、全合成モードまたは部分合成モードのいずれかに切り替える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、モード切替ボタン以外のユーザの切替の指示に基づいて、画像処理部のモードを切り替えてもよい。たとえば、ユーザの音声に基づいて、画像処理部のモードを切り替えてもよいし、ユーザの動き(たとえば、光学センサの光を遮るようなユーザの動き)に基づいて、画像処理部のモードを切り替えてもよい。
【0093】
また、ユーザの切替の指示に基づかずに、X線撮影装置が自動で画像処理部のモードを切り替えてもよい。この際、撮影開始時に撮影された最初の画像に対して画像認識を行い、画像認識の結果に基づいて、X線撮影装置が自動で画像処理部のモードを切り替えてもよい。たとえば、撮影開始時に撮影された最初の画像において、複数のステントが認識された場合には、X線撮影装置が自動で画像処理部のモードを部分合成モードに切り替え、複数のステントが認識されない場合には、全合成モードに切り替えるように、X線撮影装置を構成してもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、X線撮影の際に、画像処理部14のモードを切替可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、X線透視の際に、画像処理部のモードを切替可能に構成してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、一対のマーカー35が含まれる領域pを取り出して画像Pの位置合わせを行った例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、領域を取り出さずに画像の位置合わせを行ってもよい。