(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
折り畳まれたエアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターが、ガス吐出口を上部側に設けた本体部と、前記ガス吐出口より下方の前記本体部の外周面に設けられたフランジ部と、を有して、
前記フランジ部を取り付けて前記インフレーターを保持する取付ベースが、ステアリングホイール本体に締結される締結部材を、前記インフレーターの周囲の下面側における複数個所に配設させて、前記締結部材により、前記ステアリングホイール本体に搭載されるステアリングホイール用のエアバッグ装置であって、
前記取付ベースが、板金製として、前記インフレーターの前記フランジ部を取り付ける取付プレート部を備え、
該取付プレート部の下方に、板金製の支持プレートが配設され、
前記取付プレート部と前記支持プレートとの間に、ホーンスイッチ体が配設され、
前記ホーンスイッチ体が、
前記インフレーターの周囲の複数個所に配設されるとともに、それぞれ、
前記取付プレート部と前記支持プレートとの間に介在されて、相互に接触することによりホーンを作動可能な上側接点と下側接点とを有したスイッチ本体部と、
上面側に前記下側接点を配設させ、かつ、前記スイッチ本体部からの抜けを防止されて、前記スイッチ本体部から、前記支持プレートを経て、下方に延び、前記ステアリングホイール本体の締結部位に締結される組付ピンと、
前記上側接点を、ホーンの操作ストローク分、前記下側接点から離隔するように付勢する付勢手段と、
を備えて、前記締結部材として、構成され、さらに
前記取付ベースの前記取付プレート部が、
前記インフレーターの前記本体部を挿入させる挿入孔と、該挿入孔の周囲に配置されて、前記インフレーターの前記フランジ部を前記取付プレート部に取り付けるためのボルトを貫通させる複数の貫通孔と、
前記フランジ部より下方に下面を配置させるように、前記取付プレート部の前記挿入孔の周縁部位より下方に突出させ、前記下面を前記各ホーンスイッチ体の上面側に当接させて前記各ホーンスイッチ体を位置規制する支持座と、
を備え、
前記支持プレートが、
前記インフレーターの前記本体部を挿入させる挿入孔を有した円環状のプレート本体部と、
前記プレート本体部から上方へ隆起し、かつ、前記ボルトを貫通する貫通孔を有し、前記ボルトに締結するナットを下面に当接させる連結プレート部を配設させた上側段部と、
前記プレート本体部から下方へ凹むような段差を設けて、前記各支持座の直下に配設されて、前記支持座との間に前記スイッチ本体部を配設させ、かつ、前記スイッチ本体部を組み付ける組付座を配設させた下側段部と、
を備えて構成され、
前記取付ベースの前記取付プレート部の下方に、前記フランジ部と前記支持プレートの連結プレート部とが配設されて、前記ボルトが、前記取付プレート部の前記貫通孔、前記フランジ部、及び、前記支持プレートの前記連結プレート部の前記貫通孔に貫通されて、ナットが、前記連結プレート部の下面に当接させるように、前記ボルトに締結されることにより、前記取付ベースに、前記インフレーターと前記支持プレートとが取り付けられるとともに、
前記取付ベースの前記連結プレート部の前記支持座と前記支持プレートの前記組付座との間に、前記組付座に組み付けた前記ホーンスイッチ体の前記スイッチ本体部が配設され、かつ、前記スイッチ本体部の一部の外周縁部が、前記フランジ部の下方側において、前記フランジ部と上下方向で重なるように配置されていることを特徴とするエアバッグ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置では、インフレーターのフランジ部から外側に外れた位置のインフレーターの周囲に、締結部材を配設させていたことから、取付ベースの外形寸法が大きくなって、その結果、エアバッグ装置自体の外形寸法の増加を招いてしまい、ステアリングホイールに搭載するエアバッグ装置をコンパクトにすることが、望まれていた。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、コンパクトに構成できるステアリングホイール用のエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターが、ガス吐出口を上部側に設けた本体部と、前記ガス吐出口より下方の前記本体部の外周面に設けられたフランジ部と、を有して、
前記フランジ部を取り付けて前記インフレーターを保持する取付ベースが、ステアリングホイール本体に締結される締結部材を、前記インフレーターの周囲の下面側における複数個所に配設させて、前記締結部材により、前記ステアリングホイール本体に搭載されるステアリングホイール用のエアバッグ装置であって、
前記各締結部材が、少なくとも一部を、前記フランジ部の下方側において、前記フランジ部と上下方向で重なるように配置させて、配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置では、ステアリングホイール本体に締結する締結部材を、インフレーターのフランジ部から外れた位置でなく、フランジ部の下方側で、フランジ部と、すくなくとも一部を重複させるように、配設させている。すなわち、取付ベースの締結部材を設けるエリアを、可及的に、インフレーターの中心側に配置させることができて、取付ベース自体の外形寸法を小さくでき、可及的に、エアバッグ装置自体の平面視での外形寸法のコンパクト化を図ることができる。
【0008】
したがって、本発明に係るエアバッグ装置では、コンパクトに構成することができる。
【0009】
そして、本発明に係るエアバッグ装置では、前記取付ベースが、前記インフレーターの前記フランジ部を取り付ける取付プレート部を備え、
該取付プレート部の下方に、支持プレートが配設され、
前記取付プレート部と前記支持プレートとの間に、ホーンスイッチ体が配設され、
前記ホーンスイッチ体が、
前記インフレーターの周囲の複数個所に配設されるとともに、それぞれ、
前記取付プレート部と前記支持プレートとの間に介在されて、相互に接触することによりホーンを作動可能な上側接点と下側接点とを有したスイッチ本体部と、
上面側に前記下側接点を配設させ、かつ、前記スイッチ本体部からの抜けを防止されて、前記スイッチ本体部から、前記支持プレートを経て、下方に延び、前記ステアリングホイール本体の締結部位に締結される組付ピンと、
前記上側接点を、ホーンの操作ストローク分、前記下側接点から上方に離隔するように付勢する付勢手段と、
を備えて構成されて、
前記各ホーンスイッチ体が、前記締結部材を構成し、かつ、それぞれの少なくとも前記スイッチ本体部の一部を、前記フランジ部の下方側において、前記フランジ部と上下方向で重なるように配置させて、配設する構成としてもよい。
【0010】
このような構成では、ホーンスイッチ体のスイッチ本体部を、取付ベースの取付プレート部の下方における支持プレートとの間に、単に、介在させるように配設するだけで、エアバッグ装置の下部側に、ホーンを作動可能なホーンスイッチ機構を配設させることができる。そのため、取付ベースの下方に配置される支持プレートのスイッチ本体部の取付部位を、他の部位からの段差を少なくして、形成できて、すなわち、支持プレートのスイッチ本体部の取付部位に、スイッチ本体部の高さ寸法分の周囲を囲うような深い絞り加工による段差を形成せずに、簡便に、スイッチ本体部を配設することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置20が搭載されるステアリングホイールWは、
図1に示すように、操舵時に把持するリング部R、リング部Rの中央に配置されるボス部B、及び、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S、を有したステアリングホイール本体1と、ボス部Bの上部に配設されるエアバッグ装置20と、を備えて構成される。
【0013】
なお、本明細書での上下・左右・前後の方向は、ステアリングホイールWを車両のステアリングシャフトSS(
図2参照)にナットN止めして接続させた状態における車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、そのステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向に対応し、左右方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、そのステアリングシャフトの軸直交方向の車両の前後方向に対応している。
【0014】
ステアリングホイール本体1は、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを相互に連結するように配設される芯金2と、リング部Rとリング部R近傍のスポーク部Sの芯金2の部位を覆うウレタン等からなる被覆層7と、を備えて構成されている。被覆層7の表面には、皮革8が巻き付けられている。さらに、リング部Rの前部と後部の内周側には、加飾ガーニッシュ13,15が配設されている。
【0015】
芯金2は、リング部Rに配置されるリング芯金部3、ボス部Bに配置されてステアリングシャフトSSと接続されるボス芯金部4、及び、左右のスポーク部Sに配置されてリング芯金部3とボス芯金部4とを連結するスポーク芯金部5、から構成される。スポーク芯金部5は、実施形態の場合、前側の左右の二本のスポーク部Sの部位にしか配設されておらず、後部側のスポーク部Sには、後述するパッド50の周囲を囲うベゼル14が配設されている。
【0016】
そして、芯金2のボス芯金部4の周縁には、エアバッグ装置20のホーンスイッチ機構60の各ホーンスイッチ体61の組付ピン71を締結させる締結部10が、配設されている(
図2,4,6参照)。締結部10は、下狭まりのテーパ状に貫通する係止孔11と、ボス芯金部4の下面側に配置されて、組付ピン71の係止突起71dを係止する係止ピン12と、を配設させて構成されている。係止ピン12は、復元可能に、ボス芯金部4の下面に沿って、撓み可能なばね材から形成されている。
【0017】
また、ステアリングホイール本体1は、ボス部Bの下面側に、ロアカバー16を配設させて構成されている(
図2参照)。
【0018】
エアバッグ装置20は、
図1〜5に示すように、膨張用ガスを流入させて膨らむエアバッグ45と、エアバッグ45に膨張用ガスを供給するインフレーター40と、折り畳まれたエアバッグ45を覆ってボス部Bの上面側に配置される合成樹脂製のパッド50と、エアバッグ45、インフレーター40、及び、パッド50を保持する板金製の取付ベース21と、板金製の支持プレート30と、板金製のリテーナ42と、を備えて構成され、そして、下部側に、締結部材としてのホーンスイッチ体61を設けてなるホーンスイッチ機構60を、配設させている。
【0019】
エアバッグ45は、球状に近似した厚みのある略円板状の膨張完了形状として、下部側に膨張用ガスを流入するために円形に開口した流入用開口46を備え、流入用開口46の周縁47には、リテーナ42の固着手段としてボルト42bを貫通させる貫通孔47a(
図3参照)が4個形成されている。
【0020】
インフレーター40は、上部に膨張用ガスを吐出させる複数のガス吐出口40bを設けた円柱状の本体部40aを備え、本体部40aの外周面には、四角環状のフランジ部40c(
図5参照)が突設されている。フランジ部40cには、リテーナ42のボルト42bを貫通させる貫通孔40dが形成されている。
【0021】
リテーナ42は、
図1に示すように、四角環状の板金製の本体42aを備え、四隅に、下方に突出するボルト42b(
図5,7参照)を突設させている。リテーナ42は、エアバッグ45内の流入用開口46の周縁47に配設され、各ボルト42bを、エアバッグ45の貫通孔47a、取付ベース21の貫通孔22b、インフレーター40のフランジ部40cの貫通孔40d、及び、支持プレート30の貫通孔33aに、順に貫通させ、各ボルト42bにナット43を締結させることにより、取付ベース21に、エアバッグ45、インフレーター40、及び、支持プレート30を取り付けている(
図3参照)。
【0022】
パッド50は、
図1〜3,5,8,9に示すように、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製として、ステアリングホイールWの中央付近のボス部Bの上面側に配設されている。パッド50は、ボス部Bの内部に折り畳まれて収納されたエアバッグ45の上方を覆う天井壁部51と、天井壁部51の下面から略円筒状に延び、折り畳まれたエアバッグ45の前後左右の側方(外周側)を覆う側壁部56と、を備えて構成されている。
【0023】
天井壁部51には、膨張するエアバッグ45に押されて左右両側に開くドア部52(L,R)が、配設されている。ドア部52(L,R)は、左右方向の外縁側にヒンジ部53(L,R)を設けて、ヒンジ部53L,53Rを除く周囲に、薄肉の破断予定部54を設けて構成されている。
【0024】
パッド50の側壁部56は、
図3,4,5,8,9に示すように、前縁側と左右の後縁側との下端に、二つずつの係止脚部57を、配設させ、また、後縁側と左右の前縁側との外周面側に、一つずつの係止突部58を配設させている。各係止脚部57は、取付ベース21の取付プレート部22に設けられた係止孔22cに挿入されて、係止孔22cの周縁の係止爪部23に、外側に押し付けられて、先端の係止頭部57aが係止孔22cの周縁に係止される(
図3参照)。各係止突部58は、取付ベース21の各係止爪部27の内側への押し付けにより、各係止突部58の係止面58aが各係止爪部27に係止される(
図4参照)。そして、側壁部56の下端面56aが、取付ベース21の取付プレート部22の上面22dに当接した状態で、各係止脚部57の係止頭部57aによる係止孔22cの周縁への係止と、各係止爪部27により各係止突部58の係止面58aの係止と、によって、パッド50が、取付ベース21に対して、上下にずれたり、あるいは、前後左右にずれたりせずに、取り付けられる。
【0025】
取付ベース21は、板金製として、
図2〜6,10,11に示すように、エアバッグ45、インフレーター40、パッド50、及び、支持プレート30を保持し、さらに、締結部材としてのホーンスイッチ体61を利用して、エアバッグ装置20をステアリングホイール本体1側に取り付ける板金製の部材として構成されている。そして、取付ベース21は、略円環状の取付プレート部22と、取付プレート部22の外周縁から上方へ突出する側壁部25と、を備えて構成されている。
【0026】
取付プレート部22には、中央に、インフレーター40の円柱状の本体部40aを挿入させるための円形に開口した挿入孔22aが配設され、挿入孔22aの周囲には、リテーナ42の各ボルト42bを貫通させる貫通孔22bが配設されている。また、取付プレート部22の挿入孔22aの周縁の後縁側と左右の前縁側には、下面24a側を各ホーンスイッチ体61の上面61a側に当接させて、各ホーンスイッチ体61を位置規制する支持座24が、配設されている。
【0027】
各支持座24は、インフレーター40のフランジ部40cの外周面40caの近傍において、挿入孔22aの周縁部位22eから円錐台形状の段差をつけて下方へ突出している。特に、各支持座24は、インフレーター40のフランジ部40cの上面40cbから、フランジ部40cの厚さ寸法t分以上、離して、下面24aが
フランジ部40cより下方に配置されるように、取付プレート部22の挿入孔22aの周縁部位22eから下方に突出している。
【0028】
さらに、各支持座24の間には、パッド50の各係止脚部57を挿入させて係止する係止孔22cが開口している。各係止孔22cにおける挿入孔22a側の周縁には、変形前の状態で、取付プレート部22から直交するように下方の延びる係止爪部23が配設されている。各係止爪部23は、係止孔22cに係止脚部57が挿入された後、係止脚部57を係止孔22cの外縁側の周縁に押し付けるように曲げ変形させて、係止脚部57の係止頭部57aを係止孔22cの外縁側周縁に、係止させることとなる(
図3参照)。
【0029】
また、取付プレート部22の外周縁の側壁部25には、後縁側と左右の前縁側とに、上方に延びる突出部26が配設されている。各突出部26には、パッド50の側壁部56に設けられた係止突部58の係止面58aに係止させる係止爪部27が配設されている。各係止爪部27は、パッド50の側壁部56が下端面56aを取付プレート部22の上面22dに当接させるように、各突出部26の内周側に配設させた後、内側に曲げ変形させて、係止突部58の係止面58aを係止することとなる。
【0030】
なお、パッド50の側壁部56は、下端面56aを取付プレート部22の上面22dに当接させると、下端面56aは、各支持座24の外側の取付プレート部22の上面22dに当接する。
【0031】
支持プレート30は、
図2〜7,12,13に示すように、中央に、インフレーター40の本体部40aを挿入させる円形に開口した挿入孔31aを有した円環状のプレート本体部31を備え、プレート本体部31には、段差を設けるように上方へ隆起する上側段部32と、下方に凹むような段差を設けた下側段部34と、が配設されている。
【0032】
上側段部32には、リテーナ42の各ボルト42bを貫通させる貫通孔33aを設けた連結プレート部33が配設され、各上側段部32の連結プレート部33は、挿入孔31aの周縁の4箇所に配設されている。連結プレート部33の下面側には、ボルト42bに締結されるナット43が当接する(
図3参照)。
【0033】
下側段部34は、リテーナ42の各ボルト42bにより、インフレーター40のフランジ部40cや取付プレート部22と一体的にプレート本体部31が固着される際、取付プレート部22の各支持座24の直下に配設される。そして、各下側段部34は、ホーンスイッチ体61を組み付ける組付座35を構成している。組付座35は、ホーンスイッチ体61の組付ピン71やその周囲を囲うスリーブ67の摺動筒部67aを挿通させる挿通孔35aを備えるとともに、挿通孔35aの両側に、一対の係止孔35bと、一対の位置決め孔35dと、を配設させている。係止孔35bの挿通孔35a側の周縁には、断面L字状に上方へ延びる係止爪35cが配設されている(
図6,12,13参照)。
【0034】
なお、プレート本体部31の外周縁には、上方へ延びる補強用リブ36が配設されている。
【0035】
取付ベース21の取付プレート部22の支持座24と支持プレート30のプレート本体部31の組付座35との間には、ホーンスイッチ体61のスイッチ本体部62が配設される(
図2,4〜7参照)。
【0036】
ホーンスイッチ体61は、エアバッグ装置20のホーンスイッチ機構60を構成するものであり、インフレーター40の周囲における各支持座24の直下に、配設されており、それぞれ、スイッチ本体部62と、ステアリングホイール本体1の締結部10に締結される組付ピン71と、付勢手段72と、を備えて構成されている(
図4,6参照)。
【0037】
スイッチ本体部62は、取付プレート部22の支持座24と支持プレート30の組付座35との間に介在されて、相互に接触することによりホーンを作動可能な上側接点としての可動側接点69と下側接点としての固定側接点70とを備えている。スイッチ本体部62は、合成樹脂製のアッパ部64とロア部65とを結合させた略円柱状のケース63内のアッパ部64側に、可動側接点69を有した可動側接点材68を組み付けている。
【0038】
可動側接点材68は、導電性を有した銅板等の板材から形成され、可動側接点69を設けた横杆部68aと、横杆部68aの両縁から下方に延びる縦杆部68bと、を備え(
図6参照)、縦杆部68bの下端に、支持プレート30の組付座35における係止爪35cに係合する係止爪部68cを設けて、構成されている。
【0039】
そして、実施形態では、締結部材としての各ホーンスイッチ体61が、それぞれ、スイッチ本体部62の一部であるケース63のアッパ部64を、インフレーター40のフランジ部40cの下方側において、フランジ部40cと上下方向で重なるように配置させて、配設されている。
【0040】
ケース63のロア部65は、所定位置の二箇所に、係止爪65aを備え、アッパ部64は、係止爪65aを係止させる係止孔64aを備えている(
図4参照)。また、ロア部65は、支持プレート30の組付座35の位置決め孔35dに挿入される位置決め突起65bを備え、その付近をアッパ部64の嵌合孔64bに嵌合させている(
図5参照)。そのため、アッパ部64とロア部65とは、係止爪65aを係止孔64aに係止させれば、アッパ部64からロア部65が外れず、かつ、嵌合孔64bに位置決め突起65b付近が当接して、両者の接近位置が規定されることから、アッパ部64とロア部65とが、伸縮せずに、略円柱状のケース63を形成することとなる。
【0041】
また、組付ピン71は、鋼棒等から形成されて、ケース63内の可動側接点69の下方に配設される鍔状の頭部71aと、頭部71aから下方に延びる軸部71bと、を備えて構成されている。軸部71bは、下端に、係止溝71cを設けた係止突起71dを配設させており、係止突起71dを、ステアリングホイール本体1の締結部10の係止孔11に挿入させて、係止溝71cに挿入される係止ピン12に、係止突起71dが係止されて、組付ピン71が、ステアリングホイール本体1の締結部10に締結されることとなる。
【0042】
そして、実施形態の場合、組付ピン71の上面側の頭部71a自体が、固定側接点70を構成している。また、組付ピン71の頭部71aは、ケース63のロア部65から下方へ抜けない外形寸法としている。
【0043】
なお、固定側接点70は、組付ピン71が、ステアリングホイール本体1の芯金2の締結部10に締結されて、ホーン作動回路の負極側に導通し、可動側接点69は、ホーン作動回路の正極側に導通する支持プレート30の係止爪35cに対して、可動側接点材68の係止爪部68cを係止させて、接触させることから、ホーン作動回路の正極側に導通することとなり、そのため、接点69,70相互が接触すれば、ホーン作動回路が閉じて通電し、ホーンを作動させることとなる。
【0044】
付勢手段72は、可動側接点69を、ホーンの操作ストロークHS分(
図4参照)、固定側接点70から離隔させるように付勢するものであり、実施形態の場合、組付ピン71の係止溝71cに嵌合されるばね座74と、軸部71bの周囲に配設されるコイルばね73と、スリーブ75と、を備えて構成されている。スリーブ75は、組付ピン71の軸部71bに摺動可能に配設される円筒状の摺動筒部75aと、摺動筒部75aの外周面に配設される鍔部75bと、備えて構成されている。鍔部75bは、ばね座74に下端を支持されたコイルばね73の上端を支持し、ケース63のロア部65に当接されている。
【0045】
なお、コイルばね73は、ケース63を介して、エアバッグ装置20自体を上方に付勢し、そして、組付ピン71の鍔状の頭部71aが、ケース63のロア部65を係止し、すなわち、ケース63からの抜けを防止されて、ケース63を介して、エアバッグ装置20の上昇位置を規制することとなる。そして、ケース63のアッパ部64に配設された可動側接点69は、コイルばね73の付勢力により、固定側接点70から離隔し、かつ、固定側接点70からの離隔距離、換言すれば、ホーンの操作ストロークHS分、固定側接点70から上方に離隔されて、ケース63のロア部65を係止する組付ピン71の頭部71aにより、位置規制されることとなる。
【0046】
また、組付ピン71の頭部71aとロア部65との間には、異音の発生を防止する円環状のゴム等からなるダンパ66が配設されている。
【0047】
そして、このホーンスイッチ体61では、エアバッグ装置20がステアリングホイール本体1に締結された状態で、エアバッグ装置20のパッド50を押下操作すると、パッド50の側壁部56の下端面56aを当接させている取付ベース21の支持座24が下降する。そして、支持座24の下面24aが当接しているケース63が、支持座24や組付座35とともに下降し、ケース63のアッパ部64の下面に配設された可動側接点69も下降する。この時、組付ピン71は、ステアリングホイール本体1の締結部10に固定されており、上端の頭部71aからなる固定側接点70は、高さ位置を変化させないことから、可動側接点69を設けたケース63は、付勢手段72のコイルばね73を圧縮させて、降下し、可動側接点69を固定側接点70に接触させて、ホーンを作動させることとなる。
【0048】
実施形態のエアバッグ装置20では、組付時、まず、各ボルト42bを貫通孔47aから突出させた状態で、エアバッグ45の内部にリテーナ42を入れて、エアバッグ45を折り畳み、折り崩れ防止用の図示しないラッピング材で包む。また、支持プレート30のプレート本体部31における各組付座35には、挿通孔35aから組付ピン71の軸部71bを突出させた状態として、係止爪部68cを係止孔35bの係止爪35cに形成させて、組立済みのホーンスイッチ体61を、予め、組み付けておく。
【0049】
そして、取付ベース21の挿入孔22aの周縁部位22eの上に、エアバッグ45の流入用開口46の周縁47を配置させて、リテーナ42の各ボルト42bを、取付ベース21の貫通孔22bに貫通させ、さらに、インフレーター40の本体部40aを、取付ベース21の挿入孔22aを経て、エアバッグ45内に挿入させつつ、取付ベース21の周縁部位22eの下方に、インフレーター40のフランジ部40cと支持プレート30の連結プレート部33とを配置させ、そして、取付ベース21の貫通孔22bから突出しているリテーナ42の各ボルト42bを、インフレーター40の貫通孔40dと支持プレート30の貫通孔33aとに貫通させ、そして、各ボルト42bにナット43を締結すれば、取付ベース21に、エアバッグ45、インフレーター40、及び、支持プレート30、を取り付けことができる。
【0050】
ついで、パッド50をエアバッグ45に被せて、側壁部56の下端面56aを取付プレート部22の上面22dに当接させるように、側壁部56を取付ベース21に接近させて、側壁部56の下端の各係止脚部57を取付ベース21の係止孔22cに挿入させ、係止爪部23を曲げて各係止脚部57に当てることによって、係止孔22cの周縁に各係止脚部57の係止頭部57aを係止させ、また、取付ベース21の側壁部25の各係止爪部27を折曲させて、各係止爪部27を、パッド50の側壁部56の各係止突部58の係止面58aに係止させれば、パッド50が取付ベース21に結合されて、エアバッグ装置20の組立が完了する。
【0051】
エアバッグ装置20の車両への搭載は、ステアリングシャフトSSへ組付済みのステアリングホイール本体1の各締結部10の係止孔11に、各ホーンスイッチ体61の組付ピン71の係止突起71dを挿入させて、係止溝71c内に係止ピン12を嵌合させれば、エアバッグ装置20をステアリングホイール本体1に取り付けることができ、ステアリングホイールWの組立が完了するとともに、ステアリングホイールWを、エアバッグ装置20とともに、車両に搭載することができる。
【0052】
なお、エアバッグ装置20のステアリングホイール本体1への取り付け時には、支持プレート30の図示しないリード線を、ホーン作動回路の正極側に結線し、また、インフレーター40に、作動信号入力用の図示しないリード線を結線することとなる。
【0053】
車両への搭載後、インフレーター40に作動信号が入力されれば、インフレーター40は、膨張用ガスをガス吐出口40bから吐出させることから、折り畳まれたエアバッグ45は、膨張用ガスを流入させて膨張し、パッド50の天井壁部51のドア部52(L,R)を左右に押し開き、ドア部52(L,R)の開いた開口から突出して、ボス部Bの上方からリング部Rの上面を覆うように、展開膨張することととなる(
図1の二点鎖線参照)。
【0054】
また、インフレーター40の非作動時における通常使用時において、ホーンスイッチ機構60を操作するように、パッド50を押下すれば、側壁部56の下端面56aを当接させている取付ベース21の支持座24が下降し、さらに、支持座24の下面24aが当接しているケース63が、支持座24や組付座35とともに下降し、ケース63のアッパ部64の下面に配設された可動側接点69も下降する。この時、組付ピン71は、ステアリングホイール本体1の締結部10に固定されており、上端の頭部71aからなる固定側接点70は、高さ位置を変化させないことから、可動側接点69を設けたケース63は、付勢手段72のコイルばね73を圧縮させて、降下し、可動側接点69を固定側接点70に接触させて、ホーンを作動させることとなる。
【0055】
そして、実施形態のエアバッグ装置20では、ステアリングホイール本体1に締結する締結部材としてのホーンスイッチ体61のケース63を、
図4に示すように、インフレーター40のフランジ部40cから外れた位置でなく、フランジ部40cの下方側で、フランジ部40cと、すくなくとも一部(ケース63の外周縁部)63aを重複させるように、配設させている。すなわち、取付ベース21の締結部材としてのホーンスイッチ体61を設けるエリアSAを、可及的に、インフレーター40の中心40ac側に配置させることができて、取付ベース21自体の外形寸法を小さくでき、可及的に、エアバッグ装置20自体の平面視での外形寸法のコンパクト化を図ることができる。
【0056】
したがって、実施形態のエアバッグ装置20では、コンパクトに構成することができる。
【0057】
そして、実施形態のエアバッグ装置20では、取付ベース21が、インフレーター40のフランジ部40cを取り付ける取付プレート部22を備え、取付プレート部22の下方に、支持プレート30が配設され、取付プレート部22と支持プレート30との間に、ホーンスイッチ体61が配設されている。そして、ホーンスイッチ体61が、インフレーター40の周囲の複数個所(実施形態では3箇所)に配設されるとともに、それぞれ、取付プレート部22と支持プレート30との間に介在されて、相互に接触することによりホーンを作動可能な上側接点69と下側接点70とを有したスイッチ本体部62と、組付ピン71と、付勢手段72と、を備えて構成されている。組付ピン71は、上面側に下側接点70を配設させ、かつ、スイッチ本体部62からの抜けを防止されて、スイッチ本体部62から、支持プレート30を経て、下方に延び、ステアリングホイール本体1の締結部10に締結される。付勢手段72は、上側接点69を、ホーンの操作ストロークHS分、下側接点70から上方に離隔するように付勢する。そして、各ホーンスイッチ体61が、締結部材を構成し、かつ、それぞれの少なくともスイッチ本体部62の一部(ケース63の外周縁部)63aを、フランジ部40cの下方側において、フランジ部40cと上下方向で重なるように配置させて、配設されている。
【0058】
そのため、実施形態では、ホーンスイッチ体61のスイッチ本体部62を、取付ベース21の取付プレート部22の下方における支持プレート30の間に、単に、介在させるように配設するだけで、エアバッグ装置20の下部側に、ホーンを作動可能なホーンスイッチ機構60を配設させることができる。そのため、実施形態では、支持プレート30の上面側の平坦な部位である組付座35に、スイッチ本体部62を取り付けることができて、支持プレート30のスイッチ本体部62の取付部位(組付座)35に、周囲を囲うような深い絞り加工をせずに、簡便に、スイッチ本体部62を配設することができる。
【0059】
そのため、実施形態では、ホーンスイッチ体61のスイッチ本体部62を、取付ベース21の取付プレート部22の下方における支持プレート30との間に、単に、介在させるように配設するだけで、エアバッグ装置20の下部側に、ホーンを作動可能なホーンスイッチ機構60を配設させることができる。その結果、取付ベース21の下方に配置される支持プレート30のスイッチ本体部62の取付部位(組付座)35を、他の部位からの段差を少なくして、形成できて(すなわち、支持プレート30のスイッチ本体部62の取付部位(組付座)35に、スイッチ本体部62の高さ寸法T分の周囲を囲うような深い絞り加工による段差を形成せずに)、簡便に、スイッチ本体部62を配設することができる。
【0060】
なお、特許文献1に記載の従来のエアバッグ装置では、実施形態と同様に、エアバッグ装置の下方にホーンスイッチ機構を配設させているが、特許文献1のホーンスイッチ機構は、相互接触させることによりホーンを作動させる接点を配設したスイッチ本体部が、取付ベースにおけるインフレーターのフランジ部を取り付けた取付プレート部から、インフレーターのフランジ部の外側に外れた外方エリアで、下方へ凹ませるように、深絞り加工により形成した収納部位に対して、収納させており、この収納部位が、フランジ部より下方で、さらに、スイッチ本体部の高さ寸法分、深絞り加工していたことから、加工時における取付ベースの金属素材に亀裂が発生しないように、製造管理に手間がかかっていた。しかし、実施形態の構成では、簡便に、エアバッグ装置20の下方にホーンスイッチ機構60を配設することができる。
【0061】
特に、実施形態の場合には、略円環状のプレート本体部31から上方へ隆起してボルト42bに締結するナット43を当接させる上側段部32と、下方へ凹んでスイッチ本体部62を取り付ける下側段部34とを設け、それぞれの上側段部32と下側段部34とのプレート本体部31からの段差量を少なくして、浅い絞り加工の下側段部34に、すなわち、側方からスイッチ本体部62が露出するような浅い絞り加工の下側段部34に、スイッチ本体部62を取り付ける組付座35を配設しており、簡便に、組付座35を形成できる。
【0062】
なお、実施形態では、エアバッグ装置20をステアリングホイール本体1に搭載するための締結部材として、組付ピン71を有したホーンスイッチ体61を、例示した。しかし、ホーンスイッチ機構をボタンタイプとして、例えば、スポーク部Sに配設するような構成であれば、締結部材としては、ホーンスイッチ機構60のホーンスイッチ体61を利用しなくともよく、例えば、支持プレート30を無くした状態の取付ベース21に、締結部位10に締結可能な組付ピン71を固着させて、この組付ピン71自体を締結部材としてもよい。この場合でも、組付ピン71の少なくとも一部(頭部71aの一部)が、インフレーター40のフランジ部40cに対して、上下方向で重なるように、配設されれば、エアバッグ装置20のコンパクト化を達成できる。
【0063】
また、フランジ部40cの下方に、締結部材の一部を上下方向で重ねる場合には、極力、フランジ部40cに接近させるように、締結部材を配置し、エアバッグ装置20の上下方向の寸法のコンパクト化、を図ることが望ましい。