特許第6885372号(P6885372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6885372ウレタン(メタ)アクリレート、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及びフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885372
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ウレタン(メタ)アクリレート、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及びフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20210603BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20210603BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20210603BHJP
   C08G 18/79 20060101ALI20210603BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20210603BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   C08F290/06
   C08F2/50
   C08G18/67 010
   C08G18/79 010
   C08G18/76 092
   C08J5/18CEY
   C08J5/18CFF
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-111860(P2018-111860)
(22)【出願日】2018年6月12日
(65)【公開番号】特開2019-2006(P2019-2006A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2017-115556(P2017-115556)
(32)【優先日】2017年6月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柚木 浩志
(72)【発明者】
【氏名】安川 ▲祐▼平
(72)【発明者】
【氏名】平崎 正和
(72)【発明者】
【氏名】澤田 浩
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−142555(JP,A)
【文献】 特開2016−180045(JP,A)
【文献】 特開2017−065184(JP,A)
【文献】 特開2002−256053(JP,A)
【文献】 特開平05−255464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/06
C08F 299/06
C08G 18/67
C08G 18/76
C08G 18/79
C08F 2/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート多量体、ビウレット多量体、トリメチロールプロパンアダクト多量体又はグリセリンアダクト多量体であるポリイソシアネート(A)及び
カプロラクトン非変性水酸基含有(メタ)アクリレート(B)を含む化合物群の反応物である、ウレタン(メタ)アクリレート並びに重合性モノマーを含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物固形分100質量部に対する前記ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、51質量部以上である、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
光重合開始剤を含む、請求項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
帯電防止剤を含む、請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項5】
請求項に記載の硬化物を含む、フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウレタン(メタ)アクリレート、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及びフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイにおいてはプリズムシート、インデックスマッチング(IM)フィルム、反射防止フィルム等多くの光学用フィルムが用いられている。それらのフィルムにおいては高輝度化、骨見え防止性、反射防止性の調整といった観点から屈折率の高い樹脂材料が求められている。屈折率の高い樹脂材料はフルオレン骨格を有する重合性モノマーを用いたもの等が例示される。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−007004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、用途によって様々な物性が求められる。本発明が解決しようとする課題は、ベースフィルムの表面に高屈折率、高硬度性、低カール性、及び高耐光性を兼ね備えた硬化物層を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討したところ、特定の構造を有する反応物を用いることにより、前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
キシレンジイソシアネートの多量体であるポリイソシアネート(A)及び
水酸基含有(メタ)アクリレート(B)を含む化合物群の反応物である、ウレタン(メタ)アクリレート。
(項目2)
前記ポリイソシアネート(A)が、キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート多量体、ビウレット多量体、又はアダクト多量体である、上記項目に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
(項目3)
上記項目のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートを含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(項目4)
光重合開始剤を含む、上記項目に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(項目5)
重合性モノマーを含む、上記項目のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(項目6)
帯電防止剤を含む、上記項目のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(項目7)
上記項目のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
(項目8)
上記項目に記載の硬化物を含む、フィルム。
【0007】
本開示において、上述した1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【0008】
本開示により提供される活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることにより、ベースフィルムの表面に高屈折率、高硬度性、低カール性、及び高耐光性を兼ね備えた硬化物層(硬化皮膜)が形成される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの上限がA1、A2、A3等が例示され、数値αの下限がB1、B2、B3等が例示される場合、数値αの範囲は、A1以下、A2以下、A3以下、B1以上、B2以上、B3以上、A1〜B1、A1〜B2、A1〜B3、A2〜B1、A2〜B2、A2〜B3、A3〜B1、A3〜B2、A3〜B3等が例示される。
【0010】
[ウレタン(メタ)アクリレート]
本開示は、キシレンジイソシアネートの多量体であるポリイソシアネート(A)及び
水酸基含有(メタ)アクリレート(B)を含む化合物群の反応物である、ウレタン(メタ)アクリレートを提供する。
【0011】
本開示において「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。また「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及びメタクリロイルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0012】
<キシレンジイソシアネートの多量体であるポリイソシアネート(A):ポリイソシアネート(A)、(A)成分ともいう>
本開示において、「ポリイソシアネート」とは、2個以上のイソシアネート基(−N=C=O)を有する化合物である。
【0013】
ポリイソシアネート(A)は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。1つの実施形態において、ポリイソシアネート(A)は、キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート多量体、ビウレット多量体、又はアダクト多量体である。
【0014】
キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート多量体は、下記構造式(A−1)
【化1】
(式中、n1は0以上の整数である。n1は好ましくは0〜3である。)
で示される化合物等が例示される。
【0015】
キシレンジイソシアネートのビウレット多量体は、下記構造式(A−2)
【化2】
(式中、n2は0以上の整数である。n2は好ましくは0〜3である。)
で示される化合物等が例示される。
【0016】
キシレンジイソシアネートのアダクト多量体は、下記構造式(A−3)
【化3】
(式中、n3は0以上の整数である。n3は好ましくは0〜3である。)
で示されるトリメチロールプロパンとキシレンジイソシアネートのアダクト体、
下記構造式(A−4)
【化4】
(式中、n4は0以上の整数である。n4は好ましくは0〜3である。)
で示されるグリセリンとキシレンジイソシアネートのアダクト体等が例示される。なお、上記構造式はあくまでも一例であり、本開示が上記構造式に示した化合物に限定されることを意図しない。
【0017】
本開示において「キシレンジイソシアネートの多量体」とは、2量体以上のものを意味する。キシレンジイソシアネートの多量体の多量化度の上限は12、11、10、9、8、7、6、5、4等が例示され、下限は、11、10,9、8、7、6、5、4、3等が例示される。1つの実施形態において、多量化度は、3〜12が好ましく、3〜9がより好ましい。また、通常入手できる多量体は異なる多量体の混合物であり、その多量化度は平均値、すなわち平均多量化度で表される。平均多量化度の好ましい値は、上記多量化度についての好ましい値と同様である。なお本開示において、n量体の多量化度はnである。
【0018】
ポリイソシアネート(A)の重量平均分子量(Mw)の値は、特に制限されない。ポリイソシアネート(A)の重量平均分子量(Mw)の上限は、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1500、1000、600等が例示され、下限は、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1500、1000、600、500等が例示される。1つの実施形態において、ポリイソシアネート(A)の重量平均分子量(Mw)は、ウレタン(メタ)アクリレートの生産性の観点から、500〜50000が好ましく、600〜50000がより好ましい。
【0019】
ポリイソシアネート(A)の数平均分子量(Mn)の値は、特に制限されない。ポリイソシアネート(A)の数平均分子量(Mn)の上限は、60000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1000、600、500、300等が例示され、下限は、55000、50000、40000、35000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1000、500等が例示される。1つの実施形態において、ポリイソシアネート(A)の数平均分子量(Mn)は、ウレタン(メタ)アクリレートの生産性の観点から、500〜60000が好ましく、500〜40000がより好ましい。
【0020】
ポリイソシアネート(A)の分子量分布(Mw/Mn)の上限は、8.0、7.0、6.0、5.0、4.0、3.0、2.0等が例示され、下限は、7.0、6.0、5.0、4.0、3.0、2.0、1.0等が例示される。1つの実施形態において、ポリイソシアネート(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、ウレタン(メタ)アクリレートの生産性の観点から、1.0〜8.0が好ましい。
【0021】
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値として求められ得る(以下同様)。
【0022】
化合物群100質量部に対するポリイソシアネート(A)の割合は、所望の効果が得られる限りにおいて、特に制限されない。化合物群100質量部に対するポリイソシアネート(A)の割合の上限は、70、60、50、40、30、25、20、10質量部等が例示され、下限は、60、50、45、40、30、20、10、5質量部等が例示される。1つの実施形態において、化合物群100質量部に対するポリイソシアネート(A)の割合は、高硬度、低カール性、高屈折率を並立させる観点から5〜70質量部が好ましく、20〜70質量部がより好ましい。
【0023】
<水酸基含有(メタ)アクリレート(B):(B)成分ともいう>
本開示において、「水酸基含有(メタ)アクリレート」とは、水酸基、及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。
【0024】
水酸基含有(メタ)アクリレートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。水酸基含有(メタ)アクリレートは、水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレート(B−1)、水酸基含有(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B−2)、水酸基含有(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート(B−3)、水酸基含有単官能(メタ)アクリレート(B−4)等が例示される。
【0025】
(水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレート(B−1))
水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレートは、構造式(B−1)
【化5】
(式中、Rb1〜Rb3はそれぞれ独立して、水素原子、(メタ)アクリロイル基、アルキル基、アリール基、又は
【化6】
(式中、bは、1以上の整数である。)
であるが、Rb1〜Rb3の少なくとも1つが水素原子又は
【化7】
(式中、bは、1以上の整数である。)であり、かつ少なくとも1つが(メタ)アクリロイル基である。)
により示される化合物である。
【0026】
水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシ−2−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシ−2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が例示される。
【0027】
(水酸基含有(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B−2))
水酸基含有(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、構造式(B−2)
【化8】
(式中、mは0以上の整数であり、Rb4〜Rb9は、それぞれ独立に水素原子、(メタ)アクリロイル基、又は
【化9】
(式中、bは、1以上の整数である。)であり、構造式(B−2)中、Rb4〜Rb9から選択される少なくとも1つが水素原子又は
【化10】
(式中、bは、1以上の整数である。)であり、かつ少なくとも1つが(メタ)アクリロイル基である。なお、Rb7及びRb8は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
により示される化合物である。
【0028】
本開示において「(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート」は、「ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、及びポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0029】
また、「各構成単位ごとに基が異なっていてもよい」とは、例えば構造式(B−2)において、mが2であるとき、
【化11】
b7AとRb7Bとは異なる基であってよく、Rb8AとRb8Bとは異なる基であってよいことを意味する(以下同様)。
【0030】
ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0031】
ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0032】
(水酸基含有(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート(B−3))
水酸基含有(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、構造式(B−3)
【化12】
(式中、pは0以上の整数であり、Rb10〜Rb13は水素原子、(メタ)アクリロイル基、又は
【化13】
(式中、bは、1以上の整数である。)であり、Rb10〜Rb13から選択される少なくとも1つが、水素原子又は
【化14】
(式中、bは、1以上の整数である。)であり、かつ少なくとも1つが(メタ)アクリロイル基である。なお、Rb12は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
により示される化合物である。
【0033】
本開示において「(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート」は、「トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、及びポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0034】
トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0035】
ポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0036】
(水酸基含有単官能(メタ)アクリレート(B−4))
水酸基含有単官能(メタ)アクリレートは、構造式(B−4)
【化15】
(式中、Rb14は、水素原子又はメチル基であり、Rb15は、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、シクロアルキレン基、又は
【化16】
(式中、Rb15aは、水素原子又はアルキル基(例えばメチル基)である。)
であり、
b16は、水素原子又は
【化17】
(式中、bは、1以上の整数である。)である。)
により示される化合物である。
【0037】
構造式(B−4)で示される化合物は、水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が例示される。
【0038】
水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0039】
水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が例示される。
【0040】
水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0041】
水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が例示される。
【0042】
水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシシクロヘキシル等が例示される。
【0043】
水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、(メタ)アクリル酸ヒドロキシシクロヘキシルカプロラクトン付加物等が例示される。
【0044】
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0045】
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が例示される。
等が例示される。
【0046】
水酸基含有(メタ)アクリレート(B)の水酸基価は、所望の効果が得られる限りにおいて、特に制限されない。水酸基含有(メタ)アクリレート(B)の水酸基価の上限は、500、490、450、400、350、300、250、200、150、100、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20mgKOH/g等が例示され、下限は、400、350、300、250、200、150、100、80、70、65、60、55、50、45、40、35mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)の水酸基価は、高硬度、低カール性、高屈折率を並立させる観点から、35〜500mgKOH/gが好ましく、35〜490mgKOH/gがより好ましい。
【0047】
本開示において、水酸基価とは、以下の式
(水酸基価)=(水酸化カリウム分子量:56.1)×1000/(水酸基当量)
(水酸基当量)=(1分子の分子量)/(1分子中に存在する水酸基の数)
による計算値である。
【0048】
水酸基含有(メタ)アクリレート(B)の(メタ)アクリル当量は、所望の効果が得られる限りにおいて、特に制限されない。水酸基含有(メタ)アクリレート(B)の(メタ)アクリル当量の上限は、500、450、400、350、300、250、200、150、140、130、120、110g/eq等が例示され、下限は、140、130、120、110、100、99、95g/eq等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート(B)の(メタ)アクリル当量は、高硬度、低カール性、高屈折率を並立させる観点から、95〜500g/eqが好ましく、99〜150g/eqがより好ましい。
【0049】
本開示において、「(メタ)アクリル基当量」とは、(メタ)アクリル基1モル当たりの分子量であり、以下の式
((メタ)アクリル基当量)=(1分子の分子量)/(1分子中に存在する(メタ)アクリル基の数)
により求められる。
【0050】
化合物群100質量部に対する水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート(B)の割合の上限は、80、70、60、50、40、35質量部等が例示され、下限は、70、60、55、50、40、30質量部等が例示される。1つの実施形態において、化合物群100質量部に対する水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート(B)の割合は、高硬度と高屈折率の両立の観点から30〜80質量部が好ましい。
【0051】
<(A)成分でも(B)成分でもない化合物:その他の化合物ともいう>
上記ウレタン(メタ)アクリレートの製造の際には、(A)成分でも(B)成分でもない化合物が使用され得る。すなわち、上記化合物群には、(A)成分でも(B)成分でもない化合物が含まれ得る。
【0052】
1つの実施形態において、上記化合物群100質量%に対するその他の化合物の割合は、0〜50質量%、40質量%未満、25質量%未満、10質量%未満、5質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が例示される。
【0053】
1つの実施形態において、上記化合物群100モル%に対するその他の化合物の割合は、0〜50モル%、40モル%未満、25モル%未満、10モル%未満、5モル%未満、1モル%未満、0.1モル%未満、0.01モル%未満、0モル%等が例示される。
【0054】
上記ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法は、公知の方法を採用すればよく、(A)成分と(B)成分とを、無溶剤又は適切な溶媒(トルエン等)中、適切な触媒(オクチル酸スズ等)存在下で、適切な反応温度(60〜90℃等)で反応させればよい。
【0055】
<各成分の相対比>
ポリイソシアネート(A)と水酸基含有(メタ)アクリレート(B)との質量比(ポリイソシアネート(A)/水酸基含有(メタ)アクリレート(B))は、所望の効果が得られる限りにおいて、特に制限されない。ポリイソシアネート(A)と水酸基含有(メタ)アクリレート(B)との質量比(ポリイソシアネート(A)/水酸基含有(メタ)アクリレート(B))の上限は、2.5、2、1.9、1.5、1.0、0.9、0.5、0.4、0.3等が例示され、下限は、2、1.9、1.5、1.0、0.9、0.5、0.4、0.3、0.25等が例示される。1つの実施形態において、ポリイソシアネート(A)と水酸基含有(メタ)アクリレート(B)との質量比(ポリイソシアネート(A)/水酸基含有(メタ)アクリレート(B))は、高硬度、低カール性、高屈折率を並立させる観点から、0.25〜2.5が好ましい。
【0056】
その他の化合物とポリイソシアネート(A)との質量比(その他の化合物/ポリイソシアネート(A))の上限は、10、9、7.5、5、2.5、1、0.5等が例示され、下限は、9、7.5、5、2.5、1、0.5、0等が例示される。1つの実施形態において、その他の化合物とポリイソシアネート(A)との質量比(その他の化合物/ポリイソシアネート(A))は、0〜10が好ましい。
【0057】
その他の化合物と水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)との質量比(その他の化合物/水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B))の上限は、1、0.9、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05等が例示され、下限は、0.9、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、0等が例示される。1つの実施形態において、その他の化合物と水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)との質量比(その他の化合物/水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B))は、0〜1が好ましい。
【0058】
水酸基含有(メタ)アクリレート(B)の水酸基(ヒドロキシル基)とポリイソシアネート(A)のイソシアネート基との物質量比((OH)/(NCO))は、所望の効果が得られる限りにおいて、特に制限されない。水酸基含有(メタ)アクリレート(B)の水酸基(ヒドロキシル基)とポリイソシアネート(A)のイソシアネート基との物質量比((OH)/(NCO))の上限は、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0等が例示され、下限は、2.4、2.0、1.5、1.0、0.95等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリレート(B)の水酸基(ヒドロキシル基)とポリイソシアネート(A)のイソシアネート基との物質量比((OH)/(NCO))は、0.95〜3.0が好ましい。
【0059】
<ウレタン(メタ)アクリレートの物性等>
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、特に制限されない。ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)の上限は、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000等が例示され、下限は、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1750、1700、1500等が例示される。1つの実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、ウレタン(メタ)アクリレートやフィルムの生産性の観点から、1500〜80000が好ましく、1700〜80000がより好ましい。
【0060】
ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量(Mn)は、特に制限されない。ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量(Mn)の上限は、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、12000、10000、9000、8100、8000、7800、7000、6000、5600、5000、4000、3500、3100、3001、3000、2900、2000等が例示され、下限は、70000、60000、50000、40000、30000、20000、12000、10000、9000、8100、8000、7800、7000、6000、5600、5000、4000、3500、3100、3001、3000、2900、2000、1500、1200、1000等が例示される。1つの実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量(Mn)は、ウレタン(メタ)アクリレートやフィルムの生産性の観点から、1000〜80000が好ましく、1200〜80000がより好ましい。
【0061】
ウレタン(メタ)アクリレートの分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限されない。ウレタン(メタ)アクリレートの分子量分布(Mw/Mn)の上限は、8.0、7.0、6.0、5.0、4.0、3.0、2.0等が例示され、下限は、8.0、7.0、6.0、5.0、4.0、3.0、2.0、1.2、1.0等が例示される。1つの実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレートの分子量分布(Mw/Mn)は、ウレタン(メタ)アクリレートやフィルムの生産性の観点から、1.0〜8.0が好ましく、1.2〜6.0がより好ましい。
【0062】
ウレタン(メタ)アクリレートの(メタ)アクリル当量は、所望の効果が得られる限りにおいて、特に制限されない。ウレタン(メタ)アクリレートの(メタ)アクリル当量の上限は、400、350、300、290、150、140、130、120、110g/eq等が例示され、下限は、390、350、300、290、140、130、120、110、100g/eq等が例示される。1つの実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレートの(メタ)アクリル当量は、高硬度、低カール性を並立させる観点から、100〜400g/eqが好ましく、280〜400g/eqがより好ましい。
【0063】
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物:組成物ともいう]
本開示は、上記ウレタン(メタ)アクリレートを含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供する。
【0064】
ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、所望の効果が得られる限りにおいて、特に制限されない。上記組成物100質量部に対する上記ウレタン(メタ)アクリレートの含有量の上限は、100、90、80、70、60、51、50、40、36、35、31、30、29、20、15質量部等が例示され、下限は、90、80、70、60、51、50、40、36、35、31、30、29、20、15、10質量部等が例示される。1つの実施形態において、上記組成物100質量部に対し、上記ウレタン(メタ)アクリレートを高硬度、低カール性、高屈折率を並立させる観点から10〜100質量部程度含むことが好ましい。
【0065】
<光重合開始剤>
1つの実施形態において、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、各種公知のものを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、光重合開始剤は、紫外線硬化を行なう場合に使用するが、電子線硬化をする場合には、必ずしも必要ではない。
【0066】
光重合開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、4−メチルベンゾフェノン等が例示される。
【0067】
上記組成物100質量部に対する光重合開始剤の含有量の上限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1質量部等が例示され、下限は、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、上記組成物100質量部に対する光重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリロイル基の反応進行の観点から、0〜10質量部が好ましい。
【0068】
ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する光重合開始剤含有量の上限は、66.7、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1質量部等が例示され、下限は、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する光重合開始剤含有量は、(メタ)アクリロイル基の反応進行の観点から、0〜30.0質量部程度が好ましい。
【0069】
<重合性モノマー>
1つの実施形態において、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、重合性モノマーが含まれる。重合性モノマーは、各種公知のものを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0070】
重合性モノマーは、イソボルニル(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ラウリル(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート等が例示される。
【0071】
本開示において「(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は「(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート及びエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0072】
重合性モノマーの含有量は、特に制限されない。組成物100質量部に対する重合性モノマー含有量の上限は85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、36、35、30、25、20、19、15、14、10、5質量部等が例示され、下限は85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、36、35、30、25、20、19、15、14、10、5、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、組成物100質量部に対する重合性モノマー含有量は、高硬度、低カール性、高屈折率を並立させる観点から、0〜85質量部程度が好ましく、0〜70質量部程度がより好ましい。
【0073】
ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する重合性モノマー含有量の上限は、567、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50、25、10、5、1質量部等が例示され、下限は、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50、25、10、5、1、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する重合性モノマー含有量は、高硬度、低カール性、高屈折率を並立させる観点から、0〜567質量部程度が好ましく、0〜300質量部程度がより好ましい。
【0074】
<帯電防止剤>
1つの実施形態において、上記組成物には帯電防止剤が含まれる。帯電防止剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
帯電防止剤は、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、第4級アンモニウム塩等のカチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン系帯電防止剤、リチウム・ナトリウム・カリウム等のアルカリ金属塩を使用した帯電防止剤、イオン液体系帯電防止剤等が例示される。
【0076】
帯電防止剤含有量は、特に制限されない。組成物100質量部に対する帯電防止剤含有量の上限は、100、50、40、30、20、15、10、5質量部等が例示され、下限は、50、25、20、15、10、5、2.5、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、組成物100質量部に対する帯電防止剤含有量は、塗工性の観点から、0〜100質量部程度が好ましく、0〜25質量部程度がより好ましい。
【0077】
ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する帯電防止剤含有量の上限は、500、100、50質量部等が例示され、下限は、100、50、25、10、5、1、0.5、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する帯電防止剤含有量は、帯電防止剤の塗工性と帯電防止性を並立させる観点から、0〜500質量部程度が好ましく、0〜100質量部程度がより好ましい。
【0078】
<希釈溶剤>
1つの実施形態において、上記組成物には希釈溶剤が含まれる。希釈溶剤は、各種公知のものを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、希釈溶剤は、紫外線を照射しても反応(重合)しない溶剤である紫外線非反応性溶剤が好ましい。
【0079】
希釈溶剤は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、アセチルアセトン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘプタン、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が例示される。
【0080】
上記組成物100質量部に対する希釈溶剤の含有量の上限は、1900、1750、1500、1250、1000、750、500、250、100、50、25質量部等が例示され、下限は、1750、1500、1250、1000、750、500、250、100、50、25、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、希釈溶剤の含有量は組成物100質量部に対し、塗工性の観点から、0〜1900質量部等が例示される。
【0081】
上記ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する希釈溶剤の含有量の上限は、1900、1750、1500、1250、1000、750、500、250、100、50、25質量部等が例示され、下限は、1750、1500、1250、1000、750、500、250、100、50、25、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、希釈溶剤の含有量は上記ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、塗工性の観点から、0〜1900質量部等が例示される。
【0082】
<添加剤>
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、上記ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤、重合性モノマー、帯電防止剤、希釈溶剤以外の剤が添加剤として含まれ得る。
【0083】
添加剤は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、表面調整剤、防汚染剤、顔料、金属酸化物微粒子分散体、有機微粒子分散体等が例示される。
【0084】
1つの実施形態において、添加剤の含有量は、組成物100質量部に対して、0.05〜50質量部、40質量部未満、25質量部未満、10質量部未満、5質量部未満、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
【0085】
別の実施形態において、添加剤の含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.05〜333質量部、300質量部未満、200質量部未満、100質量部未満、50質量部未満、25質量部未満、10質量部未満、5質量部未満、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
【0086】
上記組成物は、上記ウレタン(メタ)アクリレート、並びに必要に応じて重合開始剤、重合性モノマー、希釈溶剤及び添加剤等を各種公知の手段で混合することにより得られる。
【0087】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、コーティング剤、フィルム用コーティング剤、プラスチックシート用コーティング剤等として使用される。フィルム用コーティング剤は、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)用コーティング剤、アクリルフィルム用コーティング剤、環状オレフィン樹脂フィルム(COPフィルム)用コーティング剤等が例示される。
【0088】
[硬化物]
本開示は、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を提供する。上記硬化物は、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、紫外線、電子線、放射線等の活性エネルギー線を照射することにより得られる。
【0089】
硬化反応に用いる活性エネルギー線は、紫外線や電子線が例示される。紫外線の光源は、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置等が例示される。なお、光量、光源配置、搬送速度等は必要に応じて調整でき、高圧水銀灯を使用する場合には、80〜160W/cm程度の光量を有するランプ1灯に対して搬送速度5〜50m/分程度で硬化させるのが好ましい。一方、電子線の場合には、10〜300kV程度の加速電圧を有する電子線加速装置にて、搬送速度5〜50m/分程度で硬化させるのが好ましい。
【0090】
[フィルム]
本開示は、上記硬化物を含む、フィルムを提供する。上記フィルムは、上記硬化物と各種ベースフィルムとを構成要素とする物品である。
【0091】
ベースフィルムは各種公知のものを使用でき、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム(ポリメチルメタクリレートフィルム等)、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、エポキシ樹脂フィルム、メラミン樹脂フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ABSフィルム、ASフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、環状オレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム等が例示される。ベースフィルムの厚みは特に限定されないが、15〜100μm程度が好ましい。
【0092】
上記フィルムは各種公知の方法で製造できる。具体的には、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を上記ベースフィルムの少なくとも片面に塗工し、必要に応じて乾燥させてから、活性エネルギー線を照射すればよい。また、得られたベースフィルムの非塗工面に本実施形態に係る樹脂組成物を塗工し、その上に他のベースフィルムを貼り合わせてから活性エネルギー線を照射することで積層フィルムを製造することもできる。これらのフィルムはいずれも光学用フィルムとして使用され得る。
【0093】
塗工方法は、バーコーター塗工、ワイヤーバー塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が例示される。
【0094】
塗工量は特に限定されないが、乾燥後の質量が0.1〜30g/mが好ましく、1〜20g/mがより好ましい。
【実施例】
【0095】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の好ましい実施形態における説明及び以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供するものではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。また、各実施例及び比較例において、特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
【0096】
(重量平均分子量)
ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC−8220」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgel superHZM−M」による測定値。
【0097】
実施例1−1
撹拌装置、冷却管を備えた反応容器に、キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(タケネートD−131N 三井化学(株)製)300部(固形分225部)、オクチル酸スズ0.6部、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(エポキシエステルM−600A、共栄社化学社製)を240部仕込んだ後、約1時間かけて、系内の温度を約80℃に昇温した。次いで、同温度において、反応系を2時間保持した後、冷却して、ウレタンアクリレート((1)−1)を得た。重量平均分子量は2900であった。この混合物100部に対し1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(BASFジャパン(株)製、商品名「イルガキュアー184」、以下HCPKという)を5部、固形分割合で配合し、メチルイソブチルケトンで希釈して、不揮発分40%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0098】
実施例1−1以外の実施例及び比較例は表1に記載するように成分を変更した以外は実施例1−1と同様にして実施した。
【0099】
(フィルムの作製)
100μm膜厚のPETフィルム(東レ(株)製ルミラー100U483)上に、各活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、硬化後の被膜の膜厚が7μmとなるように#14バーコーターにて塗布し、80℃で1分間乾燥させてフィルムを作製した。次いで、得られたフィルムを紫外線硬化装置(製品名:UBT−080−7A/BM、(株)マルチプライ製、高圧水銀灯600mJ/cm)を使用し、硬化被膜を供えたフィルムを得た。作製したフィルムに対する評価結果を表1及び表2に示す。
【0100】
硬度性(鉛筆硬度)
JIS K5600−5−4に準じ、荷重500gの鉛筆引っかき試験により、硬化物の硬度を評価した。
【0101】
低カール性
フィルムを10cm×10cmに切り出し、フィルムが筒状(フィルムの端部同士が重なった状態)とならなかった場合は「○」、筒状となった場合には「×」と分類した。
【0102】
耐光性
紫外線オートフェードメーター(商品名:紫外線オートフェードメーターU48AU スガ試験機(株)製)にて、フィルムをカーボンアークランプで100時間露光した。試験後のフィルムを色差計(商品名:ZE 6000 日本電色工業(株)製)の透過法で測定し、露光後のイエローインデックス値が2未満であれば「○」、2以上であれば「×」と分類した。
【0103】
屈折率
フィルムについて、1−ブロモナフタレンにより、アッベ屈折計のプリズムに密着させ、20℃にて屈折率(589nmのD線)の測定を行った。屈折率が1.550以上であれば「○」、1.550未満であれば「×」と分類した。
【0104】
【表1】
【表2】
【表3】
【0105】
実施例2
本実施形態に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物についてさらに鋭意検討したところ、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物(硬化被膜)は帯電防止性にも優れることが判明した。
【0106】
合成例1(帯電防止剤(4a))
撹拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、四級アンモニウム塩構造を含むメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(以下、DMCという。)を100部、ε−カプロラクトン10mol変性ヒドロキシエチルメタアクリレートを60部、tert−ブチルメタアクリレート(以下、t−BMAという。)を40部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を800部加え、90℃まで昇温した。次いで2,2’−アゾビス(メチルブチロニトリル)(AMBN)8部及びPGME 32部加え、重合反応を開始、100℃で6時間保温した後に冷却し、四級アンモニウム塩構造含有共重合体の溶液(不揮発分20%)(「(4a)成分」)を得た。
【0107】
実施例2−1
ウレタンアクリレート((1)−1)を100部に対し、帯電防止剤(4a)を5部、HCPKを5部、固形分割合で配合し、PGMEで希釈して、不揮発分40%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0108】
実施例2−2、比較例1−1
表3に記載するように成分を変更した以外は実施例2−1と同様にして実施した。
【0109】
帯電防止性
フィルムについて、実施例1の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(調製直後)を、100μm厚のポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製、商品名「コスモシャインA−4100」)の上に、#4バーコーターを用いて塗布し(膜厚の計算値:2〜3μm)、80℃で1分乾燥させた。次いで、得られたフィルムを、大気中、高圧水銀灯(200mJ/cm)の下を2度通過させることにより、硬化皮膜を備えた帯電防止処理光学フィルムを作製した。他の実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物についても同様にして帯電防止処理光学フィルムを作製した。次いで、当該フィルムの硬化物(硬化皮膜)の表面抵抗を、市販の抵抗率計(三菱化学(株)製、製品名「ハイレスタUP MCP−HT450」)を用い、JIS K 6911に準じ、印加電圧500Vで測定した。
【0110】
【表4】
【0111】
ペンタエリスリトールトリアクリレート:ビスコート#260(大阪有機化学工業(株))
2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート:NKエステル701A(新中村化学工業(株))
キシレンジイソシアネートビウレット体:タケネート114N(三井化学(株))
ペンタエリスリトールテトラアクリレート:アロニックスM―450(東亞合成(株))