特許第6885384号(P6885384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885384
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】身体温冷装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20210603BHJP
   A61F 7/03 20060101ALI20210603BHJP
   A61F 7/08 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   A61F7/00 300
   A61F7/08 333
   A61F7/00 310J
   A61F7/08 361A
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-193793(P2018-193793)
(22)【出願日】2018年10月12日
(65)【公開番号】特開2020-58738(P2020-58738A)
(43)【公開日】2020年4月16日
【審査請求日】2019年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜口 奈津子
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0143110(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0038336(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0345652(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第19637280(DE,A1)
【文献】 特開2010−082427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/00−7/12
A61B 5/00−5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の頸動脈の温度を調節する温調部材と、
前記利用者の身体の首と異なる部位に支持される支持部材と、
前記頸動脈に対して所定の位置に前記温調部材が保持されるように、前記支持部材に前記温調部材を固定する固定部材とを備え、
前記支持部材は、鎖骨載置部材を有し、前記温調部材が前記所定の位置に配置されるときに、前記鎖骨載置部材が前記利用者の鎖骨に載置されるように、変形する
身体温冷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、身体温冷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の頸動脈を流れる血液の温度(以下、頸動脈の温度と称する)を冷却または加熱することにより、利用者の体温を調節する体温調節システムが知られている(特許文献1、2参照)。図1は、公知の体温調節システムを示す斜視図である。図1に示すように、特許文献1に記載される体温調節システムの本体装置130は、内側の面131aで利用者の頸部に接触する体温調整動作部としての頸部冷暖部131を備えている。頸部冷暖部131は、利用者の頸部に取り付けられるために略U字型に形成されており内側に面131aを有するU字部131bと、U字部131bの外側の面に複数個取り付けられた四角形のブロックであるペルティエ素子131cとを備えている。また、本体装置130は、一部が頸部冷暖部131のペルティエ素子131cのうちU字部131b側とは反対側の面に密接して取り付けられて内部に水を循環させるチューブ132と、頸部冷暖部131のペルティエ素子131cに接続された電力供給用のケーブル133と、チューブ132およびケーブル133が接続された筐体134と、筐体134に接続された電力供給用のケーブル135と、ケーブル135が接続された筐体136とを備えている。頸部冷暖部131は、利用者の体温のうち深部体温を調節するための動作として、利用者に対して加温および冷却を実行するようになっている。ペルティエ素子131cは、U字部131bに接する面と、チューブ132に接する面とのうち一方が発熱して、他方が吸熱するように、頸部冷暖部131に配置されている。ペルティエ素子131cのうちU字部131bに接する面が発熱するとき、U字部131bは、ペルティエ素子131cで発生した熱を利用者の頸部の全周に伝達することによって、利用者に対して加温を実行するようになっている。また、ペルティエ素子131cのうちU字部131bに接する面が吸熱するとき、U字部131bは、利用者の頸部の全周の熱をペルティエ素子131cに伝達することによって、利用者に対して冷却を実行するようになっている。筐体134および筐体136は、利用者が身に付けているベルトに取り付けられるようになっている。筐体134の内部には、チューブ132の内部の水を冷却するための図示していないラジエータが収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−100489号公報
【特許文献2】特開2011−83498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような体温調節システムは、利用者の頸動脈の温度を適切に調節するために、頸部冷暖部が頸部の所定の位置に保持される必要がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、頸部冷暖部を頸部の所定の位置に保持できるようにして、利用者の頸動脈の温度を適切に調節する身体温冷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の態様では、身体温冷装置は、利用者の頸動脈の温度を調節する温調部材と、前記利用者の身体の首と異なる部位に支持される支持部材と、前記頸動脈に対して所定の位置に前記温調部材が保持されるように、前記支持部材に前記温調部材を固定する固定部材とを備えている。前記支持部材は、鎖骨載置部材を有し、前記温調部材が前記所定の位置に配置されるときに、前記鎖骨載置部材が前記利用者の鎖骨に載置されるように、変形する。
【発明の効果】
【0007】
開示の身体温冷装置は、利用者の頸動脈の温度を適切に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、図1は、公知の体温調節システムを示す斜視図である。
図2図2は、実施例1の身体温冷装置を示す斜視図である。
図3図3は、実施例1の身体温冷装置の温調部を示す斜視図である。
図4図4は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部を示す斜視図である。
図5図5は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部を示す平面図である。
図6図6は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部を示す右側面図である。
図7図7は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部を示す左側面図である。
図8図8は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部を示す正面図である。
図9図9は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部の筐体の内部を示す斜視図である。
図10図10は、実施例1の身体温冷装置を示すブロック図である。
図11図11は、実施例1の身体温冷装置の温調部が利用者に取り付けられた状態を示す側面図である。
図12図12は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部が衣服に取り付けられた状態を示す側面図である。
図13図13は、比較例の身体温冷装置の温調部が利用者に取り付けられた状態を示す側面図である。
図14図14は、実施例2の身体温冷装置の右側固定部材を示す斜視図である。
図15図15は、実施例3の身体温冷装置の温調部を示す側面図である。
図16図16は、実施例4の身体温冷装置の温調部を示す側面図である。
図17図17は、実施例5の身体温冷装置の温調部を示す側面図である。
図18図18は、実施例6の身体温冷装置の温調部を示す斜視図である。
図19図19は、実施例6の身体温冷装置の温調部を示す他の斜視図である。
図20図20は、実施例6の身体温冷装置の温調部が利用者に取り付けられた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる身体温冷装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
図2は、実施例1の身体温冷装置10を示す斜視図である。身体温冷装置10は、温調部11と熱交換部12とホース部14とを備えている。ホース部14は、曲げることができるホースから形成され、一端が温調部11に接合され、他端が熱交換部12に接合されている。ホース部14は、第1パイプ15と第2パイプ16と電力線17とをホースの内部に収容している。第1パイプ15は、温調部11から熱交換部12に冷却水を流す流路を形成している。第2パイプ16は、熱交換部12から温調部11に冷却水を流す流路を形成している。電力線17は、熱交換部12から温調部11に電力を供給する電路を形成している。
【0011】
図3は、実施例1の身体温冷装置10の温調部11を示す斜視図である。温調部11は、帯状部材20を備えている。帯状部材20は、屈曲した帯状に形成されている。帯状部材20は、右側固定部材22−1と左側固定部材22−2と連結部23とを備えている。右側固定部材22−1は、帯状部材20の一端を形成している。左側固定部材22−2は、帯状部材20の他端を形成している。右側固定部材22−1と左側固定部材22−2とは、右側固定部材22−1に形成される右側内側面21−1と左側固定部材22−2に形成される左側内側面21−2とが互いに概ね対向するように、配置されている。
【0012】
連結部23は、曲げることができる材料から形成され、右側固定部材22−1と左側固定部材22−2とを繋いでいる。連結部23は、板バネ(図示されていない)を備えている。板バネは、連結部23の内部に配置されている。板バネは、右側固定部材22−1と左側固定部材22−2とが離されたときに、弾性変形し、右側固定部材22−1と左側固定部材22−2とが接近するように、右側固定部材22−1と左側固定部材22−2とに弾性力を与える。
【0013】
温調部11は、右耳掛け部材24−1と左耳掛け部材24−2とをさらに備えている。右耳掛け部材24−1は、右耳に引っ掛かるように、屈曲した棒状に形成されている。右耳掛け部材24−1は、右側固定部材22−1に固定されている。左耳掛け部材24−2は、左耳に引っ掛かるように、屈曲した棒状に形成されている。左耳掛け部材24−2は、左側固定部材22−2に固定されている。
【0014】
温調部11は、複数の温調部材25−1〜25−3を備えている。複数の温調部材25−1〜25−3のうちの右側温調部材25−1は、右側接触面26−1が形成されている。右側温調部材25−1は、右側接触面26−1が右側内側面21−1から露出するように、右側固定部材22−1の内部に配置され、右側固定部材22−1に固定されている。複数の温調部材25−1〜25−3のうちの左側温調部材25−2は、左側接触面26−2が形成されている。左側温調部材25−2は、左側接触面26−2が左側内側面21−2から露出するように、左側固定部材22−2の内部に配置され、左側固定部材22−2に固定されている。複数の温調部材25−1〜25−3のうちの後側温調部材25−3は、後側接触面26−3が形成されている。後側温調部材25−3は、連結部23の後側内側面21−3から後側接触面26−3が露出するように、連結部23の内部に配置され、連結部23に固定されている。
【0015】
このとき、右耳掛け部材24−1と右側温調部材25−1とが右側固定部材22−1に固定されることにより、右側温調部材25−1と右耳掛け部材24−1とが固定されている。左耳掛け部材24−2と左側温調部材25−2とが左側固定部材22−2に固定されることにより、左側温調部材25−2と左耳掛け部材24−2とが固定されている。
【0016】
温調部11は、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2と後側温調部材25−3とに対応する3つのペルティエ素子27−1〜27−3を備えている。3つのペルティエ素子27−1〜27−3の各々は、板状に形成され、ホース部14の電力線17を介して電流が供給されることにより、一方の面が吸熱し、他方の面が発熱する。3つのペルティエ素子27−1〜27−3の各々は、その供給される電流の極性が逆転すると、その一方の面が発熱し、他方の面が吸熱する。3つのペルティエ素子27−1〜27−3のうちの右側温調部材25−1に対応する右側ペルティエ素子27−1は、右側温調部材25−1の内部に配置されている。3つのペルティエ素子27−1〜27−3のうちの左側温調部材25−2に対応する左側ペルティエ素子27−2は、左側温調部材25−2の内部に配置されている。3つのペルティエ素子27−1〜27−3のうちの後側温調部材25−3に対応する後側ペルティエ素子27−3は、後側温調部材25−3の内部に配置されている。
【0017】
温調部11の帯状部材20は、ホース部14の第2パイプ16を介して温調部11に供給される冷却水と、右側温調部材25−1のうちの右側接触面26−1の反対側の右側放熱面とを熱的に接触させている。帯状部材20は、さらに、第2パイプ16を介して温調部11に供給される冷却水と左側温調部材25−2のうちの左側接触面26−2の反対側の左側放熱面とを熱的に接触させている。帯状部材20は、さらに、第2パイプ16を介して温調部11に供給される冷却水と後側温調部材25−3のうちの後側接触面26−3の反対側の後側放熱面とを熱的に接触させている。帯状部材20は、右側放熱面と左側放熱面と後側放熱面とに接触した後の冷却水を、ホース部14の第1パイプ15を介して熱交換部12に送出する。
【0018】
図4は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12を示す斜視図である。熱交換部12は、筐体31とクリップ32とを備えている。筐体31は、底面が長方形である四角柱状に形成されている。図5は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12を示す平面図である。筐体31は、背面部33と前面部34と右側面部35と左側面部36と上面部37とを備えている。背面部33は、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの一方の底辺に沿うように配置されている。前面部34は、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの他方の底辺に沿うように配置されている。右側面部35は、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの1つの側面となっている。左側面部36は、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの右側面部35の反対側の側面となっている。上面部37は、概ね長方形状に形成され、右側面部35、左側面部36、背面部33および前面部34を四角柱の側面とした場合の一方の底面となるように配置されている。
【0019】
クリップ32は、背面部33に支持されている。クリップ32は、背面部33が衣服の一部に対向するように、筐体31を衣服の一部に保持する。衣服の一部としては、胸ポケット、ベルトが例示される。
【0020】
上面部37は、上側吸込み口41と上側吹き出し口42と接続口43とが形成されている。上側吸込み口41は、上面部37のうちの背面部33に隣接する領域に形成されている。上側吹き出し口42は、上面部37のうちの前面部34に隣接する領域に形成されている。すなわち、上側吸込み口41は、上側吹き出し口42より背面部33に近い側に配置されている。接続口43は、上側吸込み口41と上側吹き出し口42との間に形成されている。接続口43は、ホース部14の端が接合され、ホース部14の第1パイプ15と第2パイプ16と電力線17とが貫通する。
【0021】
図6は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12を示す右側面図である。右側面部35は、右側面吸込み口44と右側面吹き出し口45とが形成されている。右側面吸込み口44は、右側面部35のうちの背面部33に隣接する領域に形成されている。右側面吹き出し口45は、右側面部35のうちの前面部34に隣接する領域に形成されている。すなわち、右側面吸込み口44は、右側面吹き出し口45より背面部33に近い側に配置されている。
【0022】
図7は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12を示す左側面図である。左側面部36は、左側面吸込み口46と左側面吹き出し口47とが形成されている。左側面吸込み口46は、左側面部36のうちの背面部33に隣接する領域に形成されている。左側面吹き出し口47は、左側面部36のうちの前面部34に隣接する領域に形成されている。すなわち、左側面吸込み口46は、左側面吹き出し口47より背面部33に近い側に配置されている。
【0023】
図8は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12を示す正面図である。熱交換部12は、入力装置48と出力装置49とをさらに備えている。入力装置48は、複数のボタンスイッチから形成され、前面部34に形成された複数の貫通孔から一部が露出するように、筐体31の内部に配置されている。出力装置49は、複数のLEDランプから形成され、前面部34に形成された複数の貫通孔から一部が露出するように、筐体31の内部に配置されている。
【0024】
熱交換部12は、図9に示されているように、バッテリ51と送風機52とポンプ53と熱交換器54とをさらに備えている。図9は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12の筐体31の内部を示す斜視図である。バッテリ51は、筐体31の内部のうちの上面部37から遠い側の下部領域に配置されている。バッテリ51は、直流の電流を供給する。
【0025】
送風機52は、筐体31の内部のうちの上面部37に近い側の上部領域に配置されている。送風機52は、ファン55とモータ56とを備えている。ファン55は、背面部33に沿う平面に垂直である回転軸を中心に回転可能に支持されている。モータ56は、バッテリ51から供給される電力を用いてファン55を回転させる。送風機52は、ファン55が回転することにより、筐体31の内部に空気の流れを生成する。送風機52は、筐体31の内部に空気の流れを生成することにより、上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とから筐体31の外部の空気を筐体31の内部に吸い込む。送風機52は、筐体31の内部に空気の流れを生成することにより、さらに、その吸い込まれた空気を上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とから筐体31の外部に吹き出す。
【0026】
ポンプ53は、筐体31の内部のうちの下部領域と上部領域との間の中間領域に配置されている。ポンプ53は、バッテリ51から供給される電力を用いて、冷却水を温調部11と熱交換部12との間で循環させる。すなわち、ポンプ53は、バッテリ51から供給される電力を用いて、ホース部14の第1パイプ15を介して冷却水を温調部11から熱交換部12に吸引し、ホース部14の第2パイプ16を介して冷却水を熱交換部12から温調部11に送出する。
【0027】
熱交換器54は、送風機52により筐体31の内部を流れる空気が熱交換器54を通過するように、筐体31の内部の上部領域のうちの送風機52と背面部33との間に配置されている。熱交換器54は、水管と複数のフィンとを備えている。水管は、一端がホース部14の第1パイプ15に接合され、他端がホース部14の第2パイプ16に接合されている。複数のフィンは、送風機52により熱交換器54を通過する空気と、ポンプ53により循環される冷却水が流れる水管とに熱的に接触している。熱交換器54は、送風機52により熱交換器54を通過する空気と、ポンプ53により熱交換器54を通過する冷却水との間の熱交換を行う。
【0028】
身体温冷装置10は、図10に示されているように、制御装置61をさらに備えている。図10は、実施例1の身体温冷装置10を示すブロック図である。制御装置61は、コンピュータであり、CPU62(Central Processing Unit)と記憶装置63と入出力インタフェース64とを備えている。CPU62は、制御装置61にインストールされたコンピュータプログラムを実行することにより、記憶装置63と入出力インタフェース64とを制御する。記憶装置63は、制御装置61にインストールされるコンピュータプログラムを記録し、CPU62により利用される情報を記録する。入出力インタフェース64は、身体温冷装置10に設けられる複数のデバイスに接続されている。複数のデバイスは、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2と後側温調部材25−3と送風機52とポンプ53とを含んでいる。CPU62は、入出力インタフェース64を介して、複数のデバイスを制御する。
【0029】
[身体温冷装置10の動作]
温調部11は、身体温冷装置10を用いて利用者68の体温を調節するときに、図11に示されているように、利用者68の身体に取り付けられる。図11は、実施例1の身体温冷装置10の温調部11が利用者68に取り付けられた状態を示す側面図である。帯状部材20は、右側固定部材22−1と左側固定部材22−2との間の距離が利用者68の首の幅より大きくなるように連結部23が変形した状態で、首の周囲を囲むように、配置される。帯状部材20は、さらに、利用者68の首の後に後側温調部材25−3の後側接触面26−3が接触するように、配置される。帯状部材20は、さらに、利用者68の首の皮膚のうちの右頸動脈を覆う右頸動脈部分に右側温調部材25−1の右側接触面26−1が接触し、皮膚のうちの左頸動脈を覆う左頸動脈部分に左側温調部材25−2の左側接触面26−2が接触するように、配置される。このとき、連結部23の板バネは、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とが首を挟むように、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とに弾性力を与える。帯状部材20は、連結部23の板バネの弾性力により、右側温調部材25−1の右側接触面26−1を右頸動脈部分に適切に接触させ、左側温調部材25−2の左側接触面26−2を左頸動脈部分に適切に接触させることができる。
【0030】
温調部11は、さらに、右耳掛け部材24−1が利用者68の右耳69に引っ掛けられ、左耳掛け部材24−2が利用者68の図示しない左耳に引っ掛けられることにより、利用者68の身体に取り付けられる。温調部11は、右耳掛け部材24−1が右耳69に引っ掛けられることにより、右側温調部材25−1が下向にずれ落ちることが防止され、右側温調部材25−1の右側接触面26−1を右頸動脈部分に適切に接触させることができる。温調部11は、左耳掛け部材24−2が左耳に引っ掛けられることにより、左側温調部材25−2が下向にずれ落ちることが防止され、左側温調部材25−2の左側接触面26−2を左頸動脈部分に適切に接触させることができる。
【0031】
熱交換部12は、身体温冷装置10を用いて利用者68の体温を調節するときに、図12に示されているように、利用者68が着用する衣服71に保持される。図12は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12が衣服71に取り付けられた状態を示す側面図である。熱交換部12は、筐体31の背面部33が衣服71に対向するように、配置される。衣服71は、衣服71を利用者68の身体に固定させたり衣服71のずれを防いだりするベルト72を備えている。筐体31は、背面部33が衣服71に対向している状態で、クリップ32がベルト72を挟むことにより衣服71に支持される。
【0032】
身体温冷装置10は、入力装置48が操作されることにより起動する。制御装置61は、身体温冷装置10が起動された後に、入力装置48が操作されることにより、設定温度を設定し、その設定温度を記憶装置63に記録する。制御装置61は、入力装置48が操作されることにより、利用者68の体温の調節を開始する。制御装置61は、利用者68の体温の調節が開始されると、送風機52を制御することにより、筐体31の内部に空気の流れを生成する。熱交換部12は、筐体31の内部に空気の流れが生成されることにより、上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とを介して、筐体31の外部の空気を筐体31の内部に吸い込む。熱交換部12は、筐体31の内部に空気の流れが生成されることにより、さらに、上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とを介して、筐体31の内部の空気を筐体31の外部に吹き出す。制御装置61は、利用者68の体温の調節が開始されると、さらに、ポンプ53を制御することにより、ホース部14を介して温調部11と熱交換部12との間で冷却水を循環させる。ペルティエ素子の接触面の温度は、供給する電流の大きさから推定するようにしても良いし、ペルティエ素子の接触面に設けられた温度センサによって検出されてもよい。
【0033】
制御装置61は、送風機52とポンプ53とが運転しているときに、入出力インタフェース64を介して、右側温調部材25−1の右側接触面26−1の温度が所定の設定温度に等しくなるように、右側ペルティエ素子27−1に所定の電流を供給する。制御装置61は、右側温調部材25−1と同様に、入出力インタフェース64を介して、左側温調部材25−2の左側接触面26−2の温度が設定温度に等しくなるように、左側ペルティエ素子27−2に所定の電流を供給する。制御装置61は、右側温調部材25−1と同様に、入出力インタフェース64を介して、後側温調部材25−3の後側接触面26−3の温度が設定温度に等しくなるように、後側ペルティエ素子27−3に所定の電流を供給する。
【0034】
たとえば、制御装置61は、右側温調部材25−1の右側接触面26−1の温度が設定温度より高いときに、右側ペルティエ素子27−1のうちの右側接触面26−1に近い側の面が吸熱するように、右側ペルティエ素子27−1に電流を適切に供給する。右側温調部材25−1の右側接触面26−1は、右側ペルティエ素子27−1のうちの右側接触面26−1に近い側の面が吸熱することにより、冷却される。制御装置61は、左側接触面26−2の温度と後側接触面26−3の温度とが設定温度より高いときに、左側ペルティエ素子27−2と後側ペルティエ素子27−3とに電流を適切に供給することにより、左側接触面26−2と後側接触面26−3とを冷却する。身体温冷装置10は、右側接触面26−1と左側接触面26−2とが冷却されることにより、利用者68の頸動脈を設定温度に応じて冷却することができる。利用者68は、頸動脈が冷却されることにより、頸動脈を流れる血液が適切に冷却され、体温が低下する。
【0035】
右側ペルティエ素子27−1は、右側接触面26−1に近い側の面が吸熱するときに、右側接触面26−1から遠い側の面が発熱する。右側温調部材25−1のうちの右側接触面26−1の反対側の右側放熱面は、右側ペルティエ素子37−1のうちの右側接触面26−1から遠い側の面が発熱することにより、身体温冷装置10が配置される環境の空気の温度より高い温度に加熱されればよい。身体温冷装置10が配置される環境の空気の温度は、温調部11あるいは熱交換部12に外気温センサを設けることで検出するようにすればよい。右側温調部材25−1の右側放熱面は、ホース部14を介して熱交換部12から温調部11に供給された冷却水に熱的に接触していることにより、冷却水により冷却される。右側ペルティエ素子37−1は、一方の面が吸熱しているときに、他方の面の放熱が十分行われないと、一方の面を冷却する効率が低下する。右側ペルティエ素子37−1は、右側温調部材25−1の右側放熱面が冷却されることによりペルティエ素子の他方の面の放熱が促進されて、冷却効率の低下を防止することができる。
【0036】
熱交換部12から温調部11に供給された冷却水は、右側接触面26−1の右側放熱面により、身体温冷装置10が配置される環境の空気の温度より高い温度に加熱される。その加熱された高温の冷却水は、ホース部14を介して熱交換部12に供給される。温調部11から熱交換部12に供給された高温の冷却水は、上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とから筐体31の内部に吸い込まれた空気により、冷却される。その冷却された冷却水は、ホース部14を介して温調部11に供給される。筐体31の内部に吸い込また空気は、温調部11から熱交換部12に供給された高温の冷却水により、加熱される。その加熱された空気は、上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とから筐体31の外部に吹き出される。
【0037】
たとえば、制御装置61は、右側温調部材25−1の右側接触面26−1の温度が設定温度より低いときに、右側ペルティエ素子27−1のうちの右側接触面26−1に近い側の面が発熱するように、右側ペルティエ素子27−1に電流を適切に供給する。すなわち、制御装置61は、右側接触面26−1の温度が設定温度より低いときに、右側ペルティエ素子27−1が右側接触面26−1を冷却するときと逆の電流が右側ペルティエ素子27−1に流れるように、右側ペルティエ素子27−1に電流を供給する。右側温調部材25−1の右側接触面26−1は、右側ペルティエ素子27−1のうちの右側接触面26−1に近い側の面が発熱することにより、加熱される。制御装置61は、左側接触面26−2の温度と後側接触面26−3の温度とが設定温度より低いときに、左側ペルティエ素子27−2と後側ペルティエ素子27−3とに電流を適切に供給することにより、左側接触面26−2と後側接触面26−3とを加熱する。身体温冷装置10は、右側接触面26−1と左側接触面26−2とが加熱されることにより、利用者68の頸動脈を設定温度に応じて加熱することができる。利用者68は、頸動脈が加熱されることにより、頸動脈を流れる血液が適切に加熱され、体温が上昇する。
【0038】
右側ペルティエ素子27−1は、右側接触面26−1に近い側の面が発熱するときに、右側接触面26−1から遠い側の面が吸熱する。右側温調部材25−1のうちの右側接触面26−1の反対側の右側放熱面は、右側ペルティエ素子37−1のうちの右側接触面26−1から遠い側の面が吸熱する。身体温冷装置10が配置される環境の空気の温度が右側接触面26−1から遠い側の面より低い場合は、右側温調部材25−1の右側放熱面は、ホース部14を介して熱交換部12から温調部11に供給された冷却水に熱的に接触していることにより、冷却水により加熱される。身体温冷装置10が配置される環境の空気の温度が右側接触面26−1から遠い側の面より高い場合は、冷却水を循環させる必要はない。
【0039】
上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とは、右側面部35と左側面部36と上面部37とに形成されていることにより、衣服71により塞がれ難く、塞がれることを防止することができる。熱交換部12は、上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とが塞がれることが防止されることにより、筐体31の内部に空気の流れを適切に生成することができ、熱交換器54が熱交換を適切に行うことができる。身体温冷装置10は、熱交換器54が熱交換を適切に行うことにより、利用者68の体温を適切に調節することができる。
【0040】
筐体31の内部では、モータ56のモータ音、ファン55の風切り音に例示される騒音が発生している。身体温冷装置10は、前面部34に大きな開口部が形成されていないことにより、その騒音が前面部34の側に漏れることを防止することができ、前面部34が対向する側に向かって拡散する騒音の程度を低減することができる。
【0041】
熱交換部12は、上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とから空気が吹き出されることにより、その吹き出される空気をより広い空間に拡散させることができる。身体温冷装置10は、吹き出される空気が広い空間に拡散されることにより、吹き出される空気の流れが利用者のそばに配置される他の物体に与える力を低減することができる。たとえば、実施形態の身体温冷装置10は、利用者のそばに配置される他の物体が吹き飛ばされることを防止することができ、熱交換部12から吹き出される空気が当たる他人の不快感を低減することができる。
【0042】
上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とは、上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とより背面部33に近い側に配置されている。身体温冷装置10は、熱交換器54により伝熱が行われた空気により背面部33の温度が変化することを防止することができ、利用者68の不快感を低減することができる。
【0043】
身体温冷装置10は、右耳掛け部材24−1と左耳掛け部材24−2とが利用者68の両耳に引っ掛けられることにより、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とが下側にずれ落ちることを防止することができる。身体温冷装置10は、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とが下側にずり落ちることが防止されることにより、利用者68の頸動脈の温度を適切に調節することができ、利用者68の体温を適切に調節することができる。
【0044】
比較例の身体温冷装置は、図13に示されているように、既述の実施例1の身体温冷装置10の温調部11が他の温調部101に置換され、他の部分は既述の実施例1の身体温冷装置10と同じである。図13は、比較例の身体温冷装置の温調部101が利用者68に取り付けられた状態を示す側面図である。温調部101は、既述の温調部11から右耳掛け部材24−1と左耳掛け部材24−2とが省略されている。温調部101は、右耳掛け部材24−1が省略されていることにより、右側固定部材22−1が下方にずれ落ち、右側温調部材25−1が右頸動脈部分から外れることがある。左側温調部材25−2は、右側温調部材25−1と同様に、左耳掛け部材24−2が省略されていることにより、左頸動脈部分から外れることがある。比較例の身体温冷装置は、右側温調部材25−1が右頸動脈部分から外れることにより、利用者68の体温を適切に調節することができなくなることがある。
【0045】
実施例1の身体温冷装置10は、右耳掛け部材24−1と左耳掛け部材24−2とが設けられていることにより、比較例の身体温冷装置に比較して、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とがずれ落ちることを防止することができる。実施例1の身体温冷装置10は、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とがずれ落ちることが防止されることにより、利用者68の頸動脈の温度を適切に調節することができ、利用者68の体温を適切に調節することができる。
【0046】
[実施例1の身体温冷装置10の効果]
実施例1の身体温冷装置10は、右側温調部材25−1と右耳掛け部材24−1と右側固定部材22−1とを備えている。右側温調部材25−1は、利用者68の右頸動脈の温度を調節する。右耳掛け部材24−1は、利用者68の右耳69に支持される。右側固定部材22−1は、右頸動脈に対して所定の位置に右側温調部材25−1が保持されるように、右耳掛け部材24−1に右側温調部材25−1を固定する。このような身体温冷装置10は、右側温調部材25−1が右耳69に対して固定されることにより、右側温調部材25−1がずれ落ちにくく、右頸動脈の温度を適切に調節することができる。
【0047】
実施例1の身体温冷装置10は、左側温調部材25−2と左耳掛け部材24−2と左側固定部材22−2とを備えている。左側温調部材25−2は、利用者68の左頸動脈の温度を調節する。左耳掛け部材24−2は、利用者68の左耳に支持される。左側固定部材22−2は、左頸動脈に対して所定の位置に左側温調部材25−2が保持されるように、左耳掛け部材24−2に左側温調部材25−2を固定する。このような身体温冷装置10は、左側温調部材25−2が左耳に対して固定されることにより、左側温調部材25−2がずれ落ちにくく、左頸動脈の温度を適切に調節することができる。実施例1の身体温冷装置10は、右耳掛け部材24−1と左耳掛け部材24−2とが設けられていることにより、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2との両方がずれ落ちにくく、右左頸動脈と左頸動脈との両方の温度を適切に調節することができる。
【0048】
また、実施例1の身体温冷装置10は、右側温調部材25−1と前記左側温調部材25−2とが首を挟むように前記右側温調部材25−1と前記左側温調部材25−2とに弾性力を与える連結部23をさらに備えている。このような身体温冷装置10は、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とを利用者68の右頸動脈部分と左頸動脈部分とにそれぞれ適切に接触させることができる。身体温冷装置10は、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とが首の皮膚の所定の部分に適切に接触することにより、頸動脈の温度を適切に調節することができる。
【0049】
ところで、実施例1の身体温冷装置10の筐体31は、底面が長方形である四角柱に形成され、背面部33と前面部34とが2つの平行面それぞれ沿うように形成されているが、背面部33と前面部34とが平行でない2つの平面に沿うように形成されてもよい。また底面の形状は方形に限るものではなく、円や楕円等で形成されてもよい。筐体31は、さらに、右側面部35と左側面部36とが2つの平行面それぞれ沿うように形成されているが、右側面部35と左側面部36とが平行でない2つの平面に沿うように形成されてもよい。上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とは、筐体31がこのように形成された場合でも、筐体31が取り付けられる利用者68に沿う方向に空気を吸い込むことができる。上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とは、筐体31がこのように形成された場合でも、筐体31が取り付けられる利用者68に沿う方向に空気を吹き出すことができる。背面部33と前面部34とは、筐体31がこのように形成された場合でも、開口部の面積を低減することができる。このため、身体温冷装置10は、筐体31がこのように形成された場合でも、既述の実施例1の身体温冷装置10と同様に、筐体31の内部から前面部34の側に漏れる騒音を低減することができる。
【実施例2】
【0050】
実施例2の身体温冷装置は、図14に示されているように、既述の実施例1の身体温冷装置10の右側固定部材22−1が他の右側固定部材81に置換され、左側固定部材22−2が他の左側固定部材に置換されている。図14は、実施例2の身体温冷装置の右側固定部材81を示す斜視図である。実施例2の身体温冷装置のうちの右側固定部材22−1と左側固定部材22−2と異なる他の部分は、既述の実施例1の身体温冷装置10と同じである。右側固定部材81は、右側固定部材本体82と右側ピン83とを備えている。右側温調部材25−1は、右側固定部材本体82のうちの左側固定部材に対向する右側内側面から右側接触面26−1が露出するように、右側固定部材本体82の内部に配置され、右側固定部材本体82に固定されている。右側固定部材本体82は、複数の右側穴84−1〜84−3が形成されている。
【0051】
右側ピン83は、右耳掛け部材24−1に固定されている。右側ピン83は、複数の右側穴84−1〜84−3の各々に嵌合することにより、右側固定部材本体82に固定される。右側温調部材25−1は、右側ピン83が複数の右側穴84−1〜84−3のうちの第1右側穴84−1に嵌合することにより、右耳掛け部材24−1に対する第1右側位置に配置され、右耳掛け部材24−1に固定される。右側温調部材25−1は、右側ピン83が複数の右側穴84−1〜84−3のうちの第2右側穴84−2に嵌合することにより、右耳掛け部材24−1に対する第2右側位置に配置され、右耳掛け部材24−1に固定される。第2右側位置は、第1右側位置と異なっている。右側温調部材25−1は、右側ピン83が複数の右側穴84−1〜84−3のうちの第3右側穴84−3に嵌合することにより、右耳掛け部材24−1に対する第3右側位置に配置され、右耳掛け部材24−1に固定される。第3右側位置は、第1右側位置と異なり、第2右側位置と異なっている。
【0052】
左側固定部材は、右側固定部材81と同様に、左側固定部材本体と左側ピンとを備えている。左側固定部材本体は、右側固定部材本体82と同様に、左側温調部材25−2に固定され、複数の左側穴が形成されている。左側ピンは、左耳掛け部材24−2に固定され、左側固定部材本体の複数の左側穴の各々に嵌合することにより、左側固定部材本体に固定される。左側温調部材25−2は、左側ピンが複数の左側穴のうちの第1左側穴に嵌合することにより、左耳掛け部材24−2に対する第1左側位置に配置され、左耳掛け部材24−2に固定される。左側温調部材25−2は、左側ピンが複数の左側穴のうちの第2左側穴に嵌合することにより、左耳掛け部材24−2に対する第2左側位置に配置され、左耳掛け部材24−2に固定される。第2左側位置は、第1左側位置と異なっている。左側温調部材25−2は、左側ピンが複数の左側穴のうちの第3左側穴に嵌合することにより、左耳掛け部材24−2に対する第3左側位置に配置され、左耳掛け部材24−2に固定される。第3左側位置は、第1左側位置と異なり、第2左側位置と異なっている。
【0053】
右耳に対する右頸動脈の位置と左耳に対する左頸動脈の位置とは、個体差がある。実施例2の身体温冷装置は、右側ピン83を複数の右側穴84−1〜84−3のうちの適切な右側穴に嵌合させることにより、右側温調部材25−1を右頸動脈部分に適切に接触させることができる。実施例2の身体温冷装置は、さらに、左側ピンを複数の左側穴のうちの適切な左側穴に嵌合させることにより、左側温調部材25−2を左頸動脈部分に適切に接触させることができる。実施例2の身体温冷装置は、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とが頸動脈部分に適切に接触することにより、頸動脈の温度を適切に調節することができる。
【実施例3】
【0054】
実施例3の身体温冷装置は、図15に示されているように、既述の実施例1の身体温冷装置10の温調部11に突起部91が追加され、他の部分は既述の実施例1の身体温冷装置10と同じである。図15は、実施例3の身体温冷装置の温調部を示す側面図である。突起部91は、右耳掛け部材24−1のうちの右側固定部材22−1に接合されている端の反対側の端に接合されている。突起部91は、脈拍センサ92と音響装置93とを備えている。脈拍センサ92と音響装置93とは、突起部91に固定されている。脈拍センサ92は、突起部91が右耳69の穴に入っているときに、利用者68の脈拍を検出する。音響装置93は、イヤホンであり、制御装置61に制御されることにより、音声を出力する。
【0055】
実施例3の身体温冷装置の温調部は、既述の温調部11と同様に利用者68に取り付けられた後に、さらに、突起部91が右耳69の穴に入れられることにより、利用者68に適切に取り付けられる。突起部91は、右耳掛け部材24−1に接合されることにより、実施例3の身体温冷装置の温調部が利用者68に適切に取り付けられるときに、右耳69の穴から外れないように、右耳69に適切に保持されることができる。脈拍センサ92は、突起部91が右耳69に適切に保持されることにより、利用者68の脈拍を確実に検出することができる。このとき、実施例3の身体温冷装置は、脈拍センサ92により検出された脈拍に基づいて複数の温調部材25−1〜25−3を制御することにより、利用者68の体調に応じて体温を調節することができる。音響装置93は、突起部91が右耳69に適切に保持されることにより、音声を確実に利用者68に聞かせることができる。このとき、実施例3の身体温冷装置は、さらに、音響装置93を介して所定の情報を確実に利用者68に通知することができる。
【0056】
なお、突起部91は、脈拍センサ92を備えているが、脈拍と異なる他の生体情報を検出する他の生体センサを備えてもよい。その生体情報としては、利用者68の体温が例示される。またこれらの生体センサは必ずしも突起部91に設けられている必要は無く、利用者の身体に接触する温調部11に設けられていても良い。
【実施例4】
【0057】
実施例4の身体温冷装置は、図16に示されているように、既述の実施例1の身体温冷装置10の右耳掛け部材24−1と左耳掛け部材24−2とが他の頭頂支持部材95に置換され、他の部分は既述の実施例1の身体温冷装置10と同じである。図16は、実施例4の身体温冷装置の温調部を示す側面図である。頭頂支持部材95は、曲げることができる帯から形成され、一端が右側固定部材22−1に接合され、他端が左側固定部材22−2に接合されている。
【0058】
実施例4の身体温冷装置の温調部は、右側固定部材22−1と左側固定部材22−2とが利用者68に適切に取り付けられた後に、さらに、頭頂支持部材95が利用者68の頭頂部に引っ掛けられることにより、利用者68に適切に取り付けられる。実施例4の身体温冷装置の温調部は、頭頂支持部材95が利用者68の頭頂部に支持されることにより、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とが利用者68の頭蓋骨に保持される。実施例4の身体温冷装置の温調部は、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とが利用者68の頭蓋骨に保持されることにより、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とがずれ落ちることを防止することができる。
【実施例5】
【0059】
図17は、実施例5の身体温冷装置の温調部を示す側面図である。実施例5の身体温冷装置は、既述の実施例1の身体温冷装置10の右耳掛け部材24−1と左耳掛け部材24−2とが他の右側帽子支持部材96と左側帽子支持部材とに置換され、他の部分は既述の実施例1の身体温冷装置10と同じである。右側帽子支持部材96は、曲げることができる帯から形成され、一端が右側固定部材22−1に接合され、他端が帽子97に接合されている。左側帽子支持部材は、右側帽子支持部材96と同様に、曲げることができる帯から形成され、一端が左側固定部材22−2に接合され、他端が帽子97に接合されている。
【0060】
右側帽子支持部材96は、右側固定部材22−1と左側固定部材22−2とが利用者68に適切に取り付けられた後に、利用者68が被る帽子97に端が接合される。左側帽子支持部材は、右側帽子支持部材96と同様に、右側固定部材22−1と左側固定部材22−2とが利用者68に適切に取り付けられた後に、利用者68が被る帽子97に端が接合される。実施例5の身体温冷装置の温調部は、右側帽子支持部材96と左側帽子支持部材とが帽子97に接合されることにより、利用者68に適切に取り付けられる。実施例5の身体温冷装置の温調部は、右側帽子支持部材96と左側帽子支持部材とが利用者68の頭頂部に支持されることにより、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とが利用者68の頭蓋骨に保持される。実施例5の身体温冷装置の温調部は、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とが利用者68の頭蓋骨に保持されることにより、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とがずれ落ちることを防止することができる。
【実施例6】
【0061】
実施例6の身体温冷装置は、図18に示されているように、既述の実施例1の身体温冷装置10の温調部11が他の温調部110に置換され、他の部分は既述の実施例1の身体温冷装置10と同じである。図18は、実施例6の身体温冷装置の温調部110を示す斜視図である。温調部110は、既述の温調部11の右耳掛け部材24−1と左耳掛け部材24−2とが省略され、帯状部材20が他の帯状部材111に置換され、他の部分は既述の温調部11と同じである。帯状部材111は、曲げることができる材料から形成され、帯状に形成されている。帯状部材111は、塑性変形する棒材が内部に配置されている。その棒材としては、鉛から形成される棒材が例示される。このため、帯状部材111は、所定の形状に変形させることにより塑性変形し、その形状に形成させることができる。
【0062】
図19は、実施例6の身体温冷装置の温調部110を示す他の斜視図である。温調部110は、右鎖骨載置部材112−1と左鎖骨載置部材112−2とを備えている。右鎖骨載置部材112−1は、帯状部材111の一端に沿うように、かつ、帯状部材111のうちの一方の面に沿うように、配置され、帯状部材111に固定されている。左鎖骨載置部材112−2は、帯状部材111の他端に沿うように、かつ、帯状部材111のうちの右鎖骨載置部材112−1が沿う一方の面に沿うように、配置され、帯状部材111に固定されている。
【0063】
このとき、右側温調部材25−1は、帯状部材111のうちの右鎖骨載置部材112−1が接合される側の端に配置され、帯状部材111のうちの右鎖骨載置部材112−1が接合される側の面に右側接触面26−1が露出するように配置されている。右側温調部材25−1は、帯状部材111に固定され、すなわち、帯状部材111を介して右鎖骨載置部材112−1に固定されている。左側温調部材25−2は、帯状部材111のうちの左鎖骨載置部材112−2が接合される側の端に配置され、帯状部材111のうちの左鎖骨載置部材112−2が接合される側の面に左側接触面26−2が露出するように配置されている。左側温調部材25−2は、帯状部材111に固定され、すなわち、帯状部材111を介して左鎖骨載置部材112−2に固定されている。
【0064】
図20は、実施例6の身体温冷装置の温調部110が利用者68に取り付けられた状態を示す側面図である。帯状部材111は、右鎖骨載置部材112−1が利用者68の右鎖骨に載置されるように、かつ、左鎖骨載置部材112−2が利用者68の左鎖骨に載置されるように、塑性変形される。帯状部材111は、右鎖骨載置部材112−1と左鎖骨載置部材112−2とが鎖骨に載置されるときに、利用者68の右頸動脈部分に右側温調部材25−1の右側接触面26−1が接触するように、塑性変形される。帯状部材111は、右鎖骨載置部材112−1と左鎖骨載置部材112−2とが鎖骨に載置されるときに、さらに、利用者68の左頸動脈部分に左側温調部材25−2の左側接触面26−2が接触するように、塑性変形される。温調部110は、帯状部材111が塑性変形された後に、右側接触面26−1と左側接触面26−2とが右頸動脈部分と左頸動脈部分とに接触するように、右鎖骨載置部材112−1と左鎖骨載置部材112−2とが鎖骨に載置され、利用者68に取り付けられる。
【0065】
温調部110は、このように取り付けられることにより、比較例の身体温冷装置の温調部101に比較して、右側温調部材25−1と左側温調部材25−2とが下向にずれ落ちることを防止することができる。温調部110は、右側接触面26−1と左側接触面26−2とを右頸動脈部分と左頸動脈部分とに適切に接触させることができる。実施例6の身体温冷装置は、右側接触面26−1と左側接触面26−2とが右頸動脈部分と左頸動脈部分とに適切に接触することにより、既述の実施例の身体温冷装置と同様に、利用者68の体温を適切に調節することができる。
【0066】
温調部110は、利用者68に取り付けられるときに、右耳掛け部材24−1と左耳掛け部材24−2とを両耳に引っ掛ける動作が不要であり、既述の実施例1の身体温冷装置10に比較して、利用者68に容易に取り付けられることができる。温調部110は、右耳掛け部材24−1と左耳掛け部材24−2とが省略されていることにより、温調部110が取り付けられていることが他人から判りにくく、既述の実施例の身体温冷装置に比較して、意匠性に優れている。
【0067】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0068】
10 :身体温冷装置
11 :温調部
12 :熱交換部
14 :ホース部
20 :帯状部材
22−1:右側固定部材
22−2:左側固定部材
23 :連結部
24−1:右耳掛け部材
24−2:左耳掛け部材
25−1〜25−3:複数の温調部材
68 :利用者
69 :右耳
81 :右側固定部材
82 :右側固定部材本体
83 :右側ピン
84−1〜84−3:複数の右側穴
91 :突起部
92 :脈拍センサ
93 :音響装置
95 :頭頂支持部材
96 :右側帽子支持部材
97 :帽子
110 :温調部
111 :帯状部材
112−1:右鎖骨載置部材
112−2:左鎖骨載置部材
図1
図2
図3
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図20