特許第6885388号(P6885388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885388
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】レーザマーカ
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20210603BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   B23K26/00 B
   B23K26/00 Q
   B41J2/47 101Z
【請求項の数】11
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-224323(P2018-224323)
(22)【出願日】2018年11月30日
(65)【公開番号】特開2020-82172(P2020-82172A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】野口 慶介
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 和浩
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−118778(JP,A)
【文献】 特開2007−61849(JP,A)
【文献】 特開2007−175735(JP,A)
【文献】 特開2016−123977(JP,A)
【文献】 特開2012−24808(JP,A)
【文献】 実開昭63−174983(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
B41J 2/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を外方へ向けて走査する走査部と、前記レーザ光源が収められた第1筐体と、前記第1筐体に接続され、前記走査部が収められた第2筐体とを有し、前記第2筐体が前記第1筐体に対して回動可能なレーザマーカであって、
前記第2筐体の回動位置を示す検出信号を出力するセンサを備え、
前記第2筐体の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを示す検出信号が前記センサから出力された場合には、前記レーザ光が外方へ出射することが可能な状態になり、
前記第2筐体の回動位置が前記第1回動位置又は前記第2回動位置であることを示す検出信号が前記センサから出力されない場合には、前記レーザ光が外方へ出射することが不可能な状態になることを特徴とするレーザマーカ。
【請求項2】
前記第1回動位置及び前記第2回動位置のいずれか一つを前記第2筐体の回動位置に指定する指定情報が入力されるユーザインターフェースを備え、
前記ユーザインターフェースで入力された指定情報が示す前記第2筐体の回動位置と、前記センサから出力された検出信号が示す前記第2筐体の回動位置とが一致する場合には、前記レーザ光が外方へ出射することが可能な状態になり、
前記ユーザインターフェースで入力された指定情報が示す前記第2筐体の回動位置と、前記センサから出力された検出信号が示す前記第2筐体の回動位置とが異なる場合には、前記レーザ光が外方へ出射することが不可能な状態になることを特徴とする請求項1に記載のレーザマーカ。
【請求項3】
前記第2筐体の回動位置が、前記第1回動位置及び前記第2回動位置のうち、一方の回動位置から他方の回動位置に変更された場合には、前記他方の回動位置を前記第2筐体の回動位置に指定する指定情報が前記ユーザインターフェースで入力されるまで、前記レーザ光が外方へ出射することが不可能な状態になることを特徴とする請求項2に記載のレーザマーカ。
【請求項4】
前記センサは、
前記第2筐体が前記第1回動位置にある場合に前記第2筐体の回動位置を検出する第1センサと、
前記第2筐体が前記第2回動位置にある場合に前記第2筐体の回動位置を検出する第2センサとを備え、
前記第1センサ及び前記第2センサの一方のみが前記第2筐体の回動位置を検出している場合には、前記レーザ光が外方へ出射することが可能な状態になり、
前記第1センサ及び前記第2センサの双方が前記第2筐体の回動位置を検出していない場合には、前記レーザ光が外方へ出射することが不可能な状態になることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
【請求項5】
前記第1センサ及び前記第2センサの双方が前記第2筐体の回動位置を検出している場合には、前記レーザ光が外方へ出射することが不可能な状態になることを特徴とする請求項4に記載のレーザマーカ。
【請求項6】
前記第1筐体と前記第2筐体が並設された方向から視て、前記第1センサから前記第2筐体の回動中心へ向かう第1方向と、前記第2センサから前記第2筐体の回動中心へ向かう第2方向とが直交することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のレーザマーカ。
【請求項7】
前記第2筐体の回動位置が前記第1回動位置又は前記第2回動位置であることを示す検出信号が前記センサから出力された場合には、前記レーザ光源に対する電力の供給が実行され、
前記第2筐体の回動位置が前記第1回動位置又は前記第2回動位置であることを示す検出信号が前記センサから出力されない場合には、前記レーザ光源に対する電力の供給が遮断されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
【請求項8】
前記第2筐体の回動位置が前記第1回動位置又は前記第2回動位置であることを示す検出信号が前記センサから出力されない場合には、前記走査部に対する駆動制御が中止されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
【請求項9】
前記第2筐体が前記第1回動位置及び前記第2回動位置以外にある旨を報知する報知装置を備え、
前記第2筐体の回動位置が前記第1回動位置又は前記第2回動位置であることを示す検出信号が前記センサから出力されない場合には、前記報知装置による報知が行われることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
【請求項10】
前記走査部によって外方へ向けて走査される可視光を出射するガイド光源を備え、
前記第2筐体の回動位置が前記第1回動位置又は前記第2回動位置であることを示す検出信号が前記センサから出力されない場合には、前記可視光が外方へ出射することが不可能な状態になることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
【請求項11】
一端が前記第2筐体に固定されると共に、他端が前記第1筐体に回動可能に差し込まれ、前記第1筐体と前記第2筐体とを接続する連結部と、
前記連結部の他端の外周面から、前記連結部の回動中心から離れる方向へ突出し、前記第2筐体の回動位置が前記第1回動位置又は前記第2回動位置である場合に前記センサで検出される被検出部とを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザマーカに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザ光を出射するレーザマーカに関し、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1に記載の技術は、印刷システムであって、印刷ビーム出口部材がハウジングに対して回転することを可能にする軸受を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−531010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、印刷ビーム出口部材から印刷ビームが外方へ出射されている最中において、印刷ビーム出口部材が軸受を介して回転させられると、印刷ビームが想定外の方向へ出射される虞があり、危険である。
【0005】
そこで、本開示は、上述した点を鑑みてなされたものであり、レーザ光を外方へ向けて走査する走査部が収められた第2筐体が回動させられ、第2筐体が所定位置にない場合に、レーザ光が外方へ出射することが不可能な状態になることによって、安全を確保するレーザマーカを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光を外方へ向けて走査する走査部と、レーザ光源が収められた第1筐体と、第1筐体に接続され、走査部が収められた第2筐体とを有し、第2筐体が第1筐体に対して回動可能なレーザマーカであって、第2筐体の回動位置を示す検出信号を出力するセンサを備え、第2筐体の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを示す検出信号がセンサから出力された場合には、レーザ光が外方へ出射することが可能な状態になり、第2筐体の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを示す検出信号がセンサから出力されない場合には、レーザ光が外方へ出射することが不可能な状態になることを特徴とするレーザマーカを開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、レーザマーカは、レーザ光を外方へ向けて走査する走査部が収められた第2筐体が回動させられ、第2筐体が所定位置にない場合に、レーザ光が外方へ出射することが不可能な状態になることによって、安全を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のレーザマーカの概略構成を表した図である。
図2】同レーザマーカを表した斜視図である。
図3】第2筐体が第1回動位置に固定された状態にあるときの同レーザマーカの一部を表した斜視図である。
図4】第2筐体が第2回動位置に固定された状態にあるときの同レーザマーカの一部を表した斜視図である。
図5図3の同レーザマーカの一部を表した平面図である。
図6図5の線X1−X1で切断された同レーザマーカを表した断面図である。
図7図5の線Y1−Y1で切断された同レーザマーカを表した断面図である。
図8図5の線Y2−Y2で切断された同レーザマーカを表した断面図である。
図9図4の同レーザマーカの一部を表した平面図である。
図10図9の線X1−X1で切断された同レーザマーカを表した断面図である。
図11図9の線Y1−Y1で切断された同レーザマーカを表した断面図である。
図12図9の線Y2−Y2で切断された同レーザマーカを表した断面図である。
図13】同レーザマーカの電気的構成を表したブロック図である。
図14】同レーザマーカの真理値表を表した図である。
図15】同レーザマーカの電気的動作を表したフローチャートである。
図16】同レーザマーカの変更例を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のレーザマーカについて、具体化した実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。以下の説明に用いる図1乃至図12、及び図16では、基本的構成の一部が省略されて描かれており、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。尚、以下の説明において、上下方向、前後方向、及び左右方向は、図2乃至図12、及び図16に示された通りである。
【0010】
図1に表されたように、本実施形態のレーザマーカ1は、レーザユニット10、ダイクロイックミラー12、反射ミラー14、ガルバノスキャナ16、fθレンズ18、及び可視半導体レーザ19等を備えている。
【0011】
レーザユニット10は、レーザ発振器10A及びビームエキスパンダ10B等を有している。レーザ発振器10Aは、CO2レーザ、YAGレーザ等で構成されており、レーザ光Qを出射する。レーザ光Qの光径は、ビームエキスパンダ10Bで調整(例えば、拡大)される。
【0012】
可視半導体レーザ19は、可視可干渉光である可視レーザ光R、例えば、赤色レーザ光を出射する。可視レーザ光Rは、例えば、レーザ光Qでマーキング(印字)加工すべき印字パターンの像を、加工対象物Wに対して投影するために使用される。尚、可視レーザ光Rの波長は、レーザ光Qの波長とは異なる。本実施形態では、例えば、レーザ光Qの波長は1064nmであり、可視レーザ光Rの波長は650nmである。
【0013】
ダイクロイックミラー12では、入射されたレーザ光Qのほぼ全部が透過する。また、ダイクロイックミラー12では、レーザ光Qが透過する略中央位置にて、可視レーザ光Rが45度の入射角で入射され、45度の反射角でレーザ光Qの光路上に反射される。ダイクロイックミラー12の反射率は、波長依存性を持っている。具体的には、ダイクロイックミラー12は、誘電体層と金属層との多層膜構造の表面処理がなされており、可視レーザ光Rの波長に対して高い反射率を有し、それ以外の波長の光をほとんど(99%)透過するように構成されている。
【0014】
尚、図1の点線は、可視レーザ光Rの光軸を示している。これに対して、図1の一点鎖線は、レーザ光Qの光軸を示している。更に、図1の一点鎖線のうち、ダイクロイックミラー12と加工対象物Wとの間にある一点鎖線は、可視レーザ光Rの光軸をも示している。
【0015】
反射ミラー14では、ダイクロイックミラー12を透過したレーザ光Qと、ダイクロイックミラー12で反射した可視レーザ光Rとが、ガルバノスキャナ16に向けて反射される。
【0016】
ガルバノスキャナ16は、反射ミラー14で反射されたレーザ光Qと可視レーザ光Rとを2次元走査するものである。ガルバノスキャナ16では、後述する図13に表されたガルバノX軸モータ17XとガルバノY軸モータ17Yとが、それぞれのモータ軸が互いに直交する状態にされ、更に、各モータ軸の先端部に取り付けられた走査ミラー16X、16Yが内側で互いに対向する状態にされる。そのような状態のガルバノスキャナ16において、各モータ17X、17Yが駆動制御されると、各走査ミラー16X、16Yが回動して、レーザ光Qと可視レーザ光Rとが2次元走査される。この2次元走査方向は、X方向とY方向である。
【0017】
fθレンズ18は、ガルバノスキャナ16によって2次元走査されたレーザ光Qと可視レーザ光Rとを加工対象物W上に集光するものである。従って、レーザ光Qと可視レーザ光Rは、各モータ17X、17Yの駆動制御によって、加工対象物W上で2次元走査される。
【0018】
図2に表されたように、本実施形態のレーザマーカ1は、第1筐体20及び第2筐体30等を備えている。第1筐体20は、後側第1筐体20A及び前側第1筐体20Bで構成されている。後側第1筐体20A、前側第1筐体20B、及び第2筐体30は、略直方体形状である。
【0019】
後側第1筐体20Aは、レーザユニット10等を内蔵するものであって、後側本体22A及び後側カバー24Aを有している。後側本体22Aには、レーザユニット10等が取り付けられ、後側カバー24Aが複数のねじ26Aで固定されている。これにより、第1筐体20には、レーザユニット10が収められている。
【0020】
前側第1筐体20Bは、後側第1筐体20Aの後側本体22Aに対して、前方向側から取り付けられている。前側第1筐体20Bは、ダイクロイックミラー12、反射ミラー14、及び可視半導体レーザ19等を内蔵するものであって、前側本体22B及び前側カバー24Bを有している。前側本体22Bには、ダイクロイックミラー12、反射ミラー14、及び可視半導体レーザ19等が取り付けられ、前側カバー24Bが複数のねじ26Bで固定されている。これにより、第1筐体20には、ダイクロイックミラー12、反射ミラー14、及び可視半導体レーザ19が収められている。
【0021】
第2筐体30は、ガルバノスキャナ16等を内蔵するものであって、本体32及びカバー34を有している。本体32には、ガルバノスキャナ16等が取り付けられ(後述する図6及び図10参照)、カバー34が複数のねじ36で固定されている。これにより、第2筐体30には、ガルバノスキャナ16が収められている。更に、第2筐体30の本体32には、fθレンズ18が嵌められた状態で設けられている(後述する図4及び図6参照)。これにより、ガルバノスキャナ16は、各走査ミラー16X、16Yで反射したレーザ光Qと可視レーザ光Rを、fθレンズ18を経由して、本実施形態のレーザマーカ1の外方で2次元走査することが可能である。
【0022】
第2筐体30と後側第1筐体20Aとの間には、ガルバノスキャナ16のケーブルCが架け渡されている。ケーブルCは、ケーブルグランド200を介して、第2筐体30と後側第1筐体20Aとに引き込まれている。
【0023】
図3及び図4は、本実施形態のレーザマーカ1の前方部分を、前側カバー24Bが前側本体22Bから外された状態で表した斜視図である。本実施形態のレーザマーカ1は、第2筐体30の向きを、図3に表された向きや、図4に表された向きに変更することが可能である。そのため、第2筐体30は、後述する図5等に表された連結部材60によって、前側第1筐体20Bに対して回動可能に設けられている。尚、連結部材60の詳細については、後述する。
【0024】
本実施形態では、第2筐体30の向きが図3に表された向きである場合を「第2筐体30(の回動位置)が第1回動位置にある」といい、この場合には、fθレンズ18が下方向へ向いた状態にある。これに対して、第2筐体30の向きが図4に表された向きである場合を「第2筐体30(の回動位置)が第2回動位置にある」といい、この場合には、fθレンズ18が前方向へ向いた状態にある。本実施形態のレーザマーカ1は、第1筐体20に対して第2筐体30を0度から90度の間で回動させることができる。
【0025】
更に、本実施形態のレーザマーカ1は、後述する図6等に表されたロック機構Lによって、第2筐体30の回動位置を、図3に表された第1回動位置や、図4に表された第2回動位置に固定することが可能である。尚、ロック機構Lは、前側第1筐体20Bの前側本体22Bに設けられたピン50及び取付板52等を備えているが、それらの詳細については、後述する。
【0026】
前側第1筐体20Bが後側第1筐体20Aに取り付けられた箇所には、伝送窓11が、前側本体22Bと後側本体22Aとに亘って設けられている。伝送窓11では、レーザユニット10から出射されたレーザ光Qが、後側第1筐体20Aから前側第1筐体20Bへ向かって通過する。
【0027】
前側第1筐体20Bの前側本体22Bには、ホルダー13、円板40、第1センサS1、第2センサS2、反射ミラー14等が設けられている。ホルダー13は、前側本体22Bに取り付けられている。ホルダー13には、可視半導体レーザ19が、不図示の基板に組み込まれた状態で取り付けられている。また、ホルダー13には、ダイクロイックミラー12等が取り付けられている。更に、ホルダー13の前側壁面には、第1センサS1及び第2センサS2が取り付けられている。第1センサS1及び第2センサS2は、マイクロスイッチである。
【0028】
円板40は、その中央に開口部が設けられると共に、第2筐体30と共に回動するように設けられている。その詳細については、後述する。円板40には、その外周の所定領域において、突出部42が、後側第1筐体20Aの方面へ突き出した状態で形成されている。更に、突出部42には、被検出部44が、後側第1筐体20Aの方面へ突き出した状態で形成されている。
【0029】
被検出部44は、図3に表されたように、第2筐体30の回動位置が第1回動位置にある場合には、第1センサS1のアクチュエータ部に押し付けられる。これにより、第1センサS1は、第2筐体30の回動位置が第1回動位置にあることを検出する。これに対して、被検出部44は、図4に表されたように、第2筐体30の回動位置が第2回動位置にある場合には、第2センサS2のアクチュエータ部に押し付けられる。これにより、第2センサS2は、第2筐体30の回動位置が第2回動位置にあることを検出する。
【0030】
尚、第1センサS1は、第2筐体30の回動位置が第1回動位置にあることを検出するものであれば、いずれの種類のセンサであってもよい。同様にして、第2センサS2は、第2筐体30の回動位置が第2回動位置にあることを検出するものであれば、いずれの種類のセンサであってもよい。
【0031】
反射ミラー14は、前側第1筐体20Bの前側本体22Bにおいて、前後方向及び上下方向で円板40の開口部に対向する位置に取り付けられている。但し、図3及び図4では、反射ミラー14が省略されている。この点は、後述する図5図7図9、及び図11においても、同様である。
【0032】
図5乃至図8は、第2筐体30の回動位置が第1回動位置にある場合の、本実施形態のレーザマーカ1の前方部分を表した図である。図5乃至図7では、前側カバー24Bが前側本体22Bから外された状態で表されている。
【0033】
図5乃至図7に表されたように、連結部材60は、両端面が左右方向で向き合った略円筒形状をなしており、前側第1筐体20Bと第2筐体30とに亘って配設されている。連結部材60の左端は、Oリング62(図6参照)を介して、第2筐体30の本体32にねじ74(図5参照)で固定されている。これに対して、連結部材60の右端は、Xリング64(図6参照)を介して、前側第1筐体20Bの前側本体22Bに差し込まれた状態で取り付けられている。これにより、連結部材60は、第2筐体30を前側第1筐体20Bに対して回動可能にしている。更に、連結部材60の右側端面が、前側第1筐体20B内に配置される。
【0034】
連結部材60の右側端面には、円板40がねじ46(図7参照)で固定されている。これにより、円板40は、連結部材60を介して、第2筐体30と共に回動する。また、突出部42及び被検出部44が、連結部材60の右端の外周面から、連結部材60の回動中心68(図8参照)から離れる方向へ突出した状態になる。更に、前側第1筐体20B内では、円板40の外周面や、円板40から突出した突出部42及び被検出部44が、連結部材60の右端の外周面よりも連結部材60の外方へ突出した状態になる。これにより、連結部材60は、第2筐体30が前側第1筐体20Bに対して回動したときに、前側第1筐体20Bから抜けないように設けられている。尚、突出部42及び被検出部44は、連結部材60の右端付近において、連結部材60の外周面から、連結部材60の回動中心68から離れる方向へ突出した状態にあればよい。
【0035】
それに加えて、円板40、突出部42、及び被検出部44は、前側第1筐体20Bに対して内接した状態になる。更に、連結部材60の左端は、連結部材60の円筒部分から外方へ張り出しており、前側第1筐体20Bの前側本体22Bと第2筐体30の本体32とに挟まれた状態で固定されている。これにより、第2筐体30は、左右方向へ変位することなく、前側第1筐体20Bに対して回動することが可能である。
【0036】
図6及び図7に表されたように、連結部材60は、その両端面で空洞が貫通した中空構造66を有している。中空構造66の空洞左側は、第2筐体30の本体32に設けられた貫通穴38と連通している。これに対して、中空構造66の空洞右側は、前側第1筐体20B内において、円板40の開口部に連通している。これにより、レーザ光Q及び可視レーザ光Rは、前側第1筐体20B内の反射ミラー14で反射した後、連結部材60の中空構造66を通過して、第2筐体30内のガルバノスキャナ16に入射される。
【0037】
もっとも、中空構造66は、レーザ光Q及び可視レーザ光Rが前側第1筐体20Bから第2筐体30へ向けて通過する構造であればよく、筒状の構造に限定されるものでない。従って、例えば、中空構造66は、その空洞が連結部材60の側面で露出する構造であってもよい。但し、そのような場合、中空構造66の空洞が露出した箇所は、前側第1筐体20Bの前側本体22B又は第2筐体30の本体32で遮蔽される。
【0038】
図8に表されたように、ロック機構Lは、上述したピン50及び取付板52に加えて、筐体側孔部29、第1孔部70、及び第2孔部72等を備えている。ピン50は、その軸の外周面から外方へ張り出した鍔部54を有している。ピン50の先端56は、テーパ状に形成されている。ピン50の軸には、鍔部54とテーパ状の先端56との間において、雄ネジ50Aが螺刻されている。
【0039】
筐体側孔部29は、前側第1筐体20Bの前側本体22Bにおいて、連結部材60の右端が差し込まれた穴まで貫いた状態で設けられており、上下方向で段差状に形成されている。筐体側孔部29では、上段側の内径よりも下段側内径が小さい。更に、筐体側孔部29では、下段側内周面において、ピン50の雄ネジ50Aと嵌め合わされる雌ネジ29Aが螺刻されている。
【0040】
取付板52は、前側第1筐体20Bの前側本体22Bの上面において、凸状に曲折された状態で取り付けられている。ピン50は、取付板52を貫通した状態で、筐体側孔部29に差し入れられている。これにより、ピン50の鍔部54は、筐体側孔部29の上段側と取付板52との間に配設されている。更に、ピン50の鍔部54と筐体側孔部29の段差面との間には、コイルバネ80がピン50の軸を挿通した状態で配設されている。コイルバネ80の上端はピン50の鍔部54に押止され、コイルバネ80の下端は筐体側孔部29の段差面に押止されている。そのため、ピン50は、上方向へ付勢される。但し、ピン50は、上方向へ移動すると、鍔部54が取付板52に突き当たる。これにより、ピン50は、取付板52から抜けないように設けられている。
【0041】
第1孔部70及び第2孔部72は、連結部材60に設けられている。第1孔部70及び第2孔部72は、それらの内径が奥へ向かうに連れて小さくなるように形成されることで、テーパ状のピン50の先端56を案内しながら嵌め入れることを可能にしている。従って、第1孔部70及び第2孔部72の内径は、少なくとも、第1孔部70及び第2孔部72がピン50の先端56を案内しながら嵌め入れることが可能な所定深さ域において、奥へ向かうに連れて小さくなっていればよい。
【0042】
第1孔部70及び第2孔部72は、連結部材60の右端が前側第1筐体20Bに差し込まれる方向(左右方向)から視ると、連結部材60の外周面から連結部材60の回動中心68へ向かって形成されている。更に、第1孔部70から連結部材60の回動中心68へ向かう方向(図8では上下方向)と、第2孔部72から連結部材60の回動中心68へ向かう方向(図8では左右方向)とが、90度で交わっている。
【0043】
尚、第1センサS1と第2センサS2とを、前側第1筐体20Bと第2筐体30とが並べられた方向(左右方向)から視ると、第1センサS1のアクチュエータ部から第2筐体30の回動中心68へ向かう方向と、第2センサS2のアクチュエータ部から第2筐体30の回動中心68へ向かう方向とが、90度で交わっている。
【0044】
第2筐体30の回動位置が第1回動位置にある場合には、前側第1筐体20Bの筐体側孔部29と連結部材60の第1孔部70とが連通する。この場合において、ピン50が、コイルバネ80の付勢力に抗して下方に押し下げられ、所定方向へ回されると、ピン50の先端56が、筐体側孔部29から下方向へ突き出して、第1孔部70に嵌め入れられる。これにより、第2筐体30は、第1回動位置に固定された状態になる。その際、ピン50がコイルバネ80によって上方向へ付勢されているが、ピン50の雄ネジ50Aと筐体側孔部29の雌ネジ29Aとが嵌め合わされることによって、ピン50の先端56が第1孔部70から抜け出ないような状態にされている。
【0045】
これに対して、ピン50が所定方向とは反対方向へ回されると、ピン50の雄ネジ50Aが筐体側孔部29の雌ネジ29Aから外れると共に、ピン50の先端56が第1孔部70から抜け出す。その際、ピン50は、コイルバネ80の付勢力によって、上方向へ移動して、連結部材60から離間すると共に、ピン50の先端56が、第1孔部70から抜け出る位置まで移動する。これにより、第2筐体30が第1回動位置に固定された状態は解除される。
【0046】
図7に表されたように、前側第1筐体20Bの前側本体22B内には、円板40よりも上方向側において第1壁面部27が設けられ、円板40よりも下方向側において第2壁面部28が設けられている。これに対して、円板40には、円板40の外周面と突出部42の外周面との間にある段差によって、突出部42の第1端面部42A及び第2端面部42Bが形成されている。
【0047】
そのため、連結部材60の右側端面に固定されている円板40が第2筐体30と共に回動すると、円板40の第1端面部42Aが前側第1筐体20Bの第1壁面部27に突き当たり、あるいは、円板40の第2端面部42Bが前側第1筐体20Bの第2壁面部28に突き当たる。これにより、第2筐体30の回動範囲が制限される。図7では、円板40の第1端面部42Aが前側第1筐体20Bの第1壁面部27に突き当たった状態にあり、そのような状態では、第2筐体30の回動位置が第1回動位置にある。
【0048】
図9乃至図12は、第2筐体30の回動位置が第2回動位置にある場合の、本実施形態のレーザマーカ1の前方部分を表した図である。図9乃至図11では、前側カバー24Bが前側本体22Bから外された状態で表されている。尚、図9乃至図12は、第2筐体30の回動位置が第1回動位置にある場合の、上記図5乃至図8に相当する。そのため、以下の説明では、第2筐体30の回動位置が第1回動位置にある場合と共通する点は省略する。
【0049】
図11に表されたように、円板40の第2端面部42Bが前側第1筐体20Bの第2壁面部28に突き当たった状態になると、第2筐体30の回動位置が第2回動位置にある。
【0050】
第2筐体30の回動位置が第2回動位置にある場合には、図12に表されたように、前側第1筐体20Bの筐体側孔部29と連結部材60の第2孔部72とが連通する。この場合には、ピン50が、コイルバネ80の付勢力に抗して下方に押し下げられ、所定方向へ回されると、ピン50の先端56が、筐体側孔部29から下方向へ突き出して、第2孔部72に嵌め入れられる。これにより、第2筐体30は、第2回動位置に固定された状態になる。その際、ピン50がコイルバネ80によって上方向へ付勢されているが、ピン50の雄ネジ50Aと筐体側孔部29の雌ネジ29Aとが嵌め合わされることによって、ピン50の先端56が第2孔部72から抜け出ないような状態にされている。
【0051】
これに対して、ピン50が所定方向とは反対方向へ回されると、ピン50の雄ネジ50Aが筐体側孔部29の雌ネジ29Aから外れると共に、ピン50の先端56が第2孔部72から抜け出す。その際、ピン50は、コイルバネ80の付勢力によって、上方向へ移動して、連結部材60から離間すると共に、ピン50の先端56が、第2孔部72から抜け出る位置まで移動する。これにより、第2筐体30が第2回動位置に固定された状態は解除される。
【0052】
以上より、前側第1筐体20Bの前側本体22Bに設けられた第1壁面部27及び第2壁面部28は、第2筐体30と共に連結部材60が回動して、突出部42の第1端面部42A又は第2端面部42Bが突き当たることによって、第2筐体30の回動範囲を第1回動位置と第2回動位置の間に制限するものである。また、連結部材60の第1孔部70は第1回動位置に対応し、連結部材60の第2孔部72は第2回動位置に対応するものである。
【0053】
このようにして、ロック機構Lは、前側第1筐体20Bにおいて、連結部材60の回動を固定することによって、第2筐体30を第1回動位置又は第2回動位置で固定する。
【0054】
次に、本実施形態のレーザマーカ1の電気的構成について説明する。図13に表されたように、本実施形態のレーザマーカ1は、印字情報作成部2及びレーザ加工部3で構成されている。先ず、印字情報作成部2の電気的構成について説明する。印字情報作成部2は、入力操作部101、制御部103、CD−R/W113、及び液晶ディスプレイ(LCD)115等を備えている。制御部103には、不図示の入出力インターフェースを介して、入力操作部101、CD−R/W113、及び液晶ディスプレイ115等が接続されている。
【0055】
入力操作部101は、不図示のマウス及びキーボード等から構成されており、例えば、ユーザが第2筐体30の回動位置を第1回動位置及び第2回動位置の中からいずれかを指定する際に使用される。
【0056】
CD−R/W113は、各種データ及び各種アプリケーションソフトウェア等をCD−ROM117から読み込む、又は、CD−ROM117に対して書き込むものである。
【0057】
制御部103は、印字情報作成部2の全体を制御するものであって、CPU105、RAM107、ROM109、及びハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)111等を備えている。CPU105は、印字情報作成部2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置である。CPU105、RAM107、及びROM109は、不図示のバス線により相互に接続されており、相互にデータのやり取りが行われる。更に、CPU105とHDD111は、不図示の入出力インターフェースを介して接続されており、相互にデータのやり取りが行われる。
【0058】
RAM107は、CPU105により演算された各種の演算結果等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM109は、各種のプログラム等を記憶させておくものである。HDD111には、各種アプリケーションソフトウェアのプログラム、及び各種データファイル等が記憶される。
【0059】
次に、レーザ加工部3の電気的構成について説明する。レーザ加工部3は、コントローラ201、ガルバノドライバ213、半導体レーザドライバ215、第1センサS1、第2センサS2、及び24VDC/DC用電源ユニット(24VDCDC)217等から構成されている。
【0060】
コントローラ201は、レーザ加工部3の全体を制御する。コントローラ201には、ガルバノドライバ213、半導体レーザドライバ215、第1センサS1、第2センサS2、及び24VDC/DC用電源ユニット217等が電気的に接続されている。コントローラ201には、印字情報作成部2が双方向通信可能に接続されており、印字情報作成部2から送信された各情報(例えば、印字情報、レーザ加工部3に対する制御パラメータ、ユーザからの各種指示情報等)を受信可能に構成されている。
【0061】
尚、ユーザからの各種指示情報には、第1回動位置及び第2回動位置の中からユーザが第2筐体30の回動位置として指定した結果を示す指定情報が含まれる。
【0062】
コントローラ201は、CPU203、RAM205、ROM207、及びFPGA(Field-Programmable Gate Array)211等を備えている。CPU203は、レーザ加工部3の全体の制御を行う演算装置及び制御装置である。CPU203、RAM205、ROM207、及びFPGA211は、不図示のバス線により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。RAM205は、CPU203により演算された各種の演算結果や印字パターンのXY座標データ等を一時的に記憶させておくためのものである。
【0063】
ROM207は、各種のプログラムを記憶させておくものであり、例えば、印字情報作成部2から送信された印字情報に基づいて印字パターンのXY座標データを算出してRAM205に記憶するプログラムが記憶されている。尚、各種プログラムには、上述したプログラムに加えて、例えば、印字情報作成部2から入力された印字情報に対応する印字パターンの太さ、深さ及び本数、ガルバノスキャナ16によるレーザ光Qを走査する速度等を示す各種制御パラメータをRAM205に記憶するプログラム等がある。更に、ROM207には、フォントの種類別に、直線と楕円弧とで構成された各文字のフォントの始点、終点、焦点、曲率等のデータが記憶されている。
【0064】
CPU203は、ROM207に記憶されている各種のプログラムに基づいて各種の演算及び制御を行う。
【0065】
CPU203は、印字情報作成部2から入力された印字情報に基づいて、印字パターンのXY座標データ、及びガルバノスキャナ16によるレーザ光Qを走査する速度等を示すガルバノ走査速度情報等を算出する。更に、CPU203は、それらの各情報(例えば、印字パターンのXY座標データ、ガルバノ走査速度情報等)に基づいて、ガルバノX軸モータ17XとガルバノY軸モータ17Yの駆動角度、回転速度等を算出して、駆動角度及び回転速度を示すモータ駆動情報をガルバノドライバ213に出力する。
【0066】
ガルバノドライバ213は、コントローラ201から入力されたモータ駆動情報に基づいて、ガルバノX軸モータ17XとガルバノY軸モータ17Yを駆動制御して、レーザ光Qと可視レーザ光Rを2次元走査する。
【0067】
CPU203は、可視半導体レーザ19の点灯開始を指示するオン信号又は消灯を指示するオフ信号を半導体レーザドライバ215に出力する。半導体レーザドライバ215は、コントローラ201から入力されたオン信号又はオフ信号に基づいて、可視半導体レーザ19を点灯駆動又は消灯させる。
【0068】
FPGA211は、コントローラ201に内蔵されており、ガルバノドライバ213、半導体レーザドライバ215、第1センサS1、第2センサS2、及び24VDC/DC用電源ユニット217等が電気的に接続されている。24VDC/DC用電源ユニット217には、マニュアルリセットモード付の安全リレーユニット(以下、「SRU」という。)219が電気的に接続されている。これにより、SRU219は、24VDC/DC用電源ユニット217から電力の供給を受けることができる。SRU219には、DCパワーリレー(DCPR)221が電気的に接続されている。DCパワーリレー221は、レーザ供給電源223とレーザユニット10との間に配線されている。レーザ供給電源223は、レーザユニット10に対して電力を供給するものである。
【0069】
FPGA211が24VDC/DC用電源ユニット217をオフ状態にすることによって、SRU219への電源供給が遮断されると、SRU219は、DCパワーリレー221の接点を開く。そのため、レーザ供給電源223によるレーザユニット10への電力供給が不可能となる。その際、SRU219のマニュアルリセットモードが設定されていれば、SRU219が自己復帰することはない。
【0070】
これに対して、FPGA211が24VDC/DC用電源ユニット217をオン状態にすることによって、SRU219への電源供給が実行されると、SRU219は、マニュアルリセットを実行し、DCパワーリレー221の接点を閉じる。そのため、レーザ供給電源223によるレーザユニット10への電力供給が可能となる。
【0071】
レーザ加工部3の各構成要素は、上述した第1筐体20又は第2筐体30に納めされている。具体的には、ガルバノドライバ213は後側第1筐体20Aに納められ、ガルバノX軸モータ17X及びガルバノY軸モータ17Yは第2筐体30に収められている。尚、ガルバノドライバ213と各モータ17X、17Yとは、上述したケーブルCによって電気的に接続されている。
【0072】
FPGA211には、図14の真理値表225によって示されたロジックが組み込まれている。
【0073】
真理値表225の「第1センサ」の欄において、「1」は、第1センサS1の接点が閉じられた場合を示している。第1センサS1の接点は、第1センサS1のアクチュエータ部に被検出部44が押し付けられることによって閉じられる。この場合、第1センサS1では、第2筐体30の回動位置が第1回動位置にあることを示す、オン信号が検出信号として出力される。その出力されたオン信号は、FPGA211に入力される。これに対して、「0」は、第1センサS1の接点が開かれた場合を示している。第1センサS1の接点は、第1センサS1のアクチュエータ部から被検出部44が離間させられることによって開かれる。この場合、第1センサS1では、上記オン信号は出力されず、第2筐体30の回動位置が第1回動位置にないことを示す、オフ信号が検出信号として出力される。その出力されたオフ信号は、FPGA211に入力される。
【0074】
真理値表225の「第2センサ」の欄において、「1」は、第2センサS2の接点が閉じられた場合を示している。第2センサS2の接点は、第2センサS2のアクチュエータ部に被検出部44が押し付けられることによって閉じられる。この場合、第2センサS2では、第2筐体30の回動位置が第2回動位置にあることを示す、オン信号が検出信号として出力される。その出力されたオン信号は、FPGA211に入力される。これに対して、「0」は、第2センサS2の接点が開かれた場合を示している。第2センサS2の接点は、第2センサS2のアクチュエータ部から被検出部44が離間させられることによって開かれる。この場合、第2センサS2では、上記オン信号は出力されず、第2筐体30の回動位置が第2回動位置にないことを示す、オフ信号が検出信号として出力される。その出力されたオフ信号は、FPGA211に入力される。
【0075】
真理値表225の「センサ状態」の欄において、「0度」は、第2筐体30の回動位置が第1回動位置にあることを両センサS1,S2で検出している場合を示している。つまり、「第1センサ」「第2センサ」の各欄が「1」「0」の組み合わせである場合には、第1センサS1のオン信号と第2センサS2のオフ信号とがFPGA211に入力されるので、両センサS1,S2によって、第2筐体30の回動位置が第1回動位置にあることが検出される。そのため、この場合に対応する「センサ状態」の欄には、「0度」が表記されている。更に、この場合に対応する「24VDCDC」の欄には、「ON」が表記されている。「ON」は、24VDC/DC用電源ユニット217がオン状態にされる場合を示している。つまり、この場合のFPGA211は、24VDC/DC用電源ユニット217をオン状態にする信号を出力する。その出力された信号は、24VDC/DC用電源ユニット217に入力される。これにより、24VDC/DC用電源ユニット217がオン状態にされるので、レーザユニット10への電力供給が可能になる。
【0076】
真理値表225の「センサ状態」の欄において、「90度」は、第2筐体30の回動位置が第2回動位置にあることを両センサS1,S2で検出している場合を示している。つまり、「第1センサ」「第2センサ」の各欄が「0」「1」の組み合わせである場合には、第1センサS1のオフ信号と第2センサS2のオン信号とがFPGA211に入力されるので、両センサS1,S2によって、第2筐体30の回動位置が第2回動位置にあることが検出される。そのため、この場合に対応する「センサ状態」の欄には、「90度」が表記されている。更に、この場合に対応する「24VDCDC」の欄には、「ON」が表記されている。「ON」は、24VDC/DC用電源ユニット217がオン状態にされる場合を示している。つまり、この場合のFPGA211は、24VDC/DC用電源ユニット217をオン状態にする信号を出力する。その出力された信号は、24VDC/DC用電源ユニット217に入力される。これにより、24VDC/DC用電源ユニット217がオン状態にされるので、レーザユニット10への電力供給が可能になる。
【0077】
但し、上述したFPGA211の出力は、両センサS1,S2によって検出された第2筐体30の回動位置が、ユーザが入力操作部101で指定した第2筐体30の回動位置と一致することを条件として行われる。
【0078】
尚、24VDC/DC用電源ユニット217をオン状態にする信号が出力される場合、つまり、真理値表225において、「第1センサ」「第2センサ」の各欄が「1」「0」の組み合わせである場合、又は「第1センサ」「第2センサ」の各欄が「0」「1」の組み合わせである場合には、FPGA211は、ガルバノX軸モータ17X及びガルバノY軸モータ17Yの駆動制御を許可する信号をガルバノドライバ213に出力すると共に、可視半導体レーザ19の点灯を許可する信号を半導体レーザドライバ215に出力する。
【0079】
すなわち、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置にある場合には、レーザユニット10への電力供給が可能になることに加えて、ガルバノスキャナ16の各モータ17X、17Yの駆動制御が可能となり、可視半導体レーザ19の点灯が可能となる。
【0080】
これに対して、真理値表225の「センサ状態」の欄において、「回動中」は、第2筐体30の回動位置が第1回動位置と第2回動位置との間にあることを両センサS1,S2で検出している場合を示している。つまり、「第1センサ」「第2センサ」の各欄が「0」「0」の組み合わせである場合には、第1センサS1のオフ信号と第2センサS2のオフ信号とがFPGA211に入力されるので、両センサS1,S2によって、第2筐体30の回動位置が第1回動位置と第2回動位置との間にあることが検出される。そのため、この場合に対応する「センサ状態」の欄には、「回動中」が表記されている。更に、この場合に対応する「24VDCDC」の欄には、「OFF」が表記されている。「OFF」は、24VDC/DC用電源ユニット217がオフ状態にされる場合を示している。つまり、この場合のFPGA211は、24VDC/DC用電源ユニット217をオフ状態にする信号を出力する。その出力された信号は、24VDC/DC用電源ユニット217に入力される。これにより、24VDC/DC用電源ユニット217がオフ状態にされるので、レーザユニット10への電力供給が不可能になる。
【0081】
真理値表225の「センサ状態」の欄において、「NA」は、両センサS1,S2の検出信号が有効でない場合を示している。つまり、「第1センサ」「第2センサ」の各欄が「1」「1」の組み合わせである場合には、第1センサS1のオン信号と第2センサS2のオン信号とがFPGA211に入力される。しかしながら、両センサS1,S2の各アクチュエータ部に被検出部44が同時に押し付けられることは困難なため、両センサS1,S2の検出信号は、有効でないことが推定される。そのため、この場合に対応する「センサ状態」の欄には、「NA」が表記されている。更に、この場合に対応する「24VDCDC」の欄には、「NA」が表記されている。「NA」は、上述したように、両センサS1,S2の検出信号が有効でない場合を示すが、この場合のFPGA211は、上記の「OFF」と同様にして、24VDC/DC用電源ユニット217をオフ状態にする信号を出力する。その出力された信号は、24VDC/DC用電源ユニット217に入力される。これにより、24VDC/DC用電源ユニット217がオフ状態にされるので、レーザユニット10への電力供給が不可能になる。
【0082】
尚、24VDC/DC用電源ユニット217をオフ状態にする信号が出力される場合、つまり、真理値表225において、「第1センサ」「第2センサ」の各欄が「0」「0」の組み合わせである場合、又は「第1センサ」「第2センサ」の各欄が「1」「1」の組み合わせである場合には、FPGA211は、ガルバノX軸モータ17X及びガルバノY軸モータ17Yの駆動制御を中止する信号をガルバノドライバ213に出力すると共に、可視半導体レーザ19の消灯を指示するオフ信号を半導体レーザドライバ215に出力する。
【0083】
すなわち、第2筐体30の回動位置が第1回動位置と第2回動位置との間にある場合、又は両センサS1,S2の検出信号が有効でない場合には、レーザユニット10への電力供給が不可能になることに加えて、ガルバノスキャナ16の各モータ17X、17Yの駆動制御が中止され、可視半導体レーザ19が消灯される。尚、この場合には、ガルバノスキャナ16及び可視半導体レーザ19の電源供給が遮断されるようにしてもよい。
【0084】
次に、本実施形態のレーザマーカ1の出射制御について説明する。図15のフローチャートで表された出射制御のプログラムは、コントローラ201のROM207に記憶されており、コントローラ201のCPU203により実行される。更に、このプログラムは、レーザマーカ1の電源がオンされることにより実行される。図15のフローチャートで表された出射制御のプログラムでは、先ず、ステップ(以下、単に「S」と表記する。)10において、指定情報取得処理が実行される。
【0085】
この処理では、印字情報作成部2からコントローラ201に入力された指定情報が取得され、その指定情報に基づいて、指定結果が特定される。指定結果とは、ユーザが入力操作部101を介して第1回動位置又は第2回動位置のいずれかを第2筐体30の回動位置として指定した結果である。尚、ユーザの指定結果が特定されるまでは、次のステップの処理は実行されない。
【0086】
ユーザの指定結果が特定されると、検出信号取得処理S12が実行される。この処理では、第1センサS1の検出信号と第2センサS2の検出信号とが取得される。両センサS1,S2の検出信号は、オン信号又はオフ信号である。
【0087】
両センサS1,S2の検出信号が取得されると、センサ状態の判定処理S14が実行される。この判定は、両センサS1,S2の検出信号に基づいて行われる。
【0088】
両センサS1,S2の検出信号の双方がオフ信号である場合(S14;0,0)、又は両センサS1,S2の検出信号の双方がオン信号である場合(S14;1,1)は、出射不可能処理S16が実行される。この処理は、両センサS1,S2の検出信号がFPGA211に入力されることによって行われる。これにより、本実施形態のレーザマーカ1は、第2筐体30の回動位置が第1回動位置と第2回動位置との間にある場合、又は両センサS1,S2の検出信号が有効でない場合に、レーザユニット10への電力供給が不可能な状態になるので、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが不可能な状態になる。更に、本実施形態のレーザマーカ1は、ガルバノスキャナ16の各モータ17X、17Yの駆動制御が中止された状態になり、可視半導体レーザ19が消灯された状態になる。
【0089】
出射不可能処理S16が実行されると、報知処理S18が実行される。この処理では、コントローラ201から印字情報作成部2に情報が入力されることによって、第2筐体30の回動位置が第1回動位置及び第2回動位置以外にある旨のメッセージが、液晶ディスプレイ115に表示される。これにより、ユーザに対して、第2筐体30の回動位置が第1回動位置及び第2回動位置以外にあることが報知される。尚、そのような報知は、スピーカの音又は回転灯の光等で行われてもよい。その後は、上述した指定情報取得処理S10が再び実行される。
【0090】
これに対して、第1センサS1の検出信号がオン信号で第2センサS2の検出信号がオフ信号である場合(S14;1,0)、又は第1センサS1の検出信号がオフ信号で第2センサS2の検出信号がオン信号である場合(S14;0,1)には、センサ状態が指定情報と一致するか否かの判定処理S20が実行される。この処理は、上記S12で取得された両センサS1,S2の検出信号と、上記S10で特定された指定結果とに基づいて行われる。つまり、両センサS1,S2の検出信号で特定された第2筐体30の回動位置が、ユーザが入力操作部101を介して指定した第2筐体30の回動位置(第1回動位置又は第2回動位置のいずれか)と一致するか否かが判定される。
【0091】
センサ状態が指定情報と一致しない場合(S20:NO)、つまり、両センサS1,S2の検出信号で特定された第2筐体30の回動位置が、ユーザが入力操作部101を介して指定した第2筐体30の回動位置と一致しない場合には、上述した出射不可能処理S16が実行される。これにより、本実施形態のレーザマーカ1は、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置にある場合でも、第2筐体30の回動位置とユーザが指定した回動位置とが一致しなければ、レーザユニット10への電力供給が不可能な状態になり、ガルバノスキャナ16の各モータ17X、17Yの駆動制御が中止された状態になり、可視半導体レーザ19が消灯された状態になる。
【0092】
尚、この場合には、コントローラ201から印字情報作成部2に情報が入力されることによって、ユーザが入力操作部101で第2筐体30の回動位置を指定することを促すための、ポップアップウインドウが液晶ディスプレイ115に表示される。
【0093】
これに対して、センサ状態が指定情報と一致する場合(S20:YES)、つまり、両センサS1,S2の検出信号で特定された第2筐体30の回動位置が、ユーザが入力操作部101を介して指定した第2筐体30の回動位置と一致する場合には、検出信号取得処理S22が実行される。この処理は、上述した検出信号取得処理S12と同様である。
【0094】
検出信号取得処理S22が実行されると、センサ状態が変更されたか否かの判定処理S24が実行される。この処理では、本検出信号取得処理S22で取得された両センサS1,S2の検出信号と、上述した検出信号取得処理S12で取得された両センサS1,S2の検出信号とが一致するか否かが判定される。
【0095】
双方の検出信号取得処理S12,S22で取得された両センサS1,S2の検出信号が一致しない場合は、双方の検出信号取得処理S12,S22の時点で第2筐体30の回動位置が異なるので、センサ状態が変更されたと判定される(S24:YES)。そのような場合には、上述した出射不可能処理S16が実行される。これにより、本実施形態のレーザマーカ1は、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置にあり、第2筐体30の回動位置とユーザが指定した回動位置とが一致する場合でも、第2筐体30の回動位置が変更されてしまうと、レーザユニット10への電力供給が不可能な状態になり、ガルバノスキャナ16の各モータ17X、17Yの駆動制御が中止された状態になり、可視半導体レーザ19が消灯されて状態になる。
【0096】
これに対して、双方の検出信号取得処理S12,S22で取得された両センサS1,S2の検出信号が一致する場合は、双方の検出信号取得処理S12,S22の時点で第2筐体30の回動位置が同じであるので、センサ状態が変更されていないと判定される(S24:NO)。そのような場合には、出射可能処理S26が実行される。この処理は、両センサS1,S2の検出信号がFPGA211に入力されることによって行われる。これにより、本実施形態のレーザマーカ1は、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置にあり、第2筐体30の回動位置とユーザが指定した回動位置とが一致し、第2筐体30の回動位置が変更されていない場合には、レーザユニット10への電力供給が可能な状態になるので、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが可能な状態になる。更に、本実施形態のレーザマーカ1は、ガルバノスキャナ16の各モータ17X、17Yの駆動制御が可能な状態になり、可視半導体レーザ19の点灯が可能な状態になる。
【0097】
以上詳細に説明したように、本実施形態のレーザマーカ1では、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを示す検出信号が両センサS1,S2から出力された場合(S14;1,0)(S14;0,1)には、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが可能な状態になる(S26)。また、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを示す検出信号が両センサS1,S2から出力されない場合(S14;0,0)(S14;1,1)には、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが不可能な状態になる(S16)。これにより、本実施形態のレーザマーカ1は、レーザ光Qを第2筐体30の外方へ向けて走査するガルバノスキャナ16が収められた第2筐体30が回動させられ、第2筐体30の回動位置が第1回動位置及び第2回動位置でない場合に、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが不可能な状態になるので、安全を確保することが可能である。
【0098】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、入力操作部101で入力された指定情報が示す第2筐体30の回動位置と、両センサS1,S2から出力された検出信号が示す第2筐体30の回動位置とが一致する場合(S20:YES)には、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが可能な状態になる(S26)。また、入力操作部101で入力された指定情報が示す第2筐体30の回動位置と、両センサS1,S2から出力された検出信号が示す第2筐体30の回動位置とが異なる場合(S20:NO)には、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが不可能な状態になる(S16)。これにより、本実施形態のレーザマーカ1は、レーザ光Qがユーザの意図しない方向へ第2筐体30から出射されることを防止できるので、安全である。
【0099】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、第2筐体30の回動位置が、第1回動位置及び第2回動位置のうち、一方の回動位置から他方の回動位置に変更された場合(S20:YES)(S24:YES)には、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが不可能な状態になる(S16)。しかしながら、他方の回動位置を第2筐体30の回動位置に指定する指定情報が入力操作部101で入力されると(S20:YES)(S24:NO)、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが可能な状態になる(S26)。これにより、本実施形態のレーザマーカ1は、第2筐体30が第1回動位置又は第2回動位置から回動させられた場合には、ユーザに対して、第2筐体30から出射されるレーザ光Qの方向を、入力操作部101での入力操作を介して確認させることにより、レーザ光Qがユーザの意図しない方向へ第2筐体30から出射されることを防止できるので、安全である。
【0100】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、第1センサS1及び第2センサS2の一方のみによって第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを検出している場合(S14;1,0)(S14;0,1)には、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが可能な状態になる(S26)。また、第1センサS1及び第2センサS2の双方によって第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを検出していない場合(S14;0,0)には、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが不可能な状態になる(S16)。よって、本実施形態のレーザマーカ1は、安全である。
【0101】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、第1センサS1及び第2センサS2の双方によって第2筐体30の回動位置が第1回動位置及び第2回動位置であることを検出している場合(S14;1,1)には、レーザ光Qが第2筐体30の外方へ出射することが不可能な状態になる(S16)。よって、本実施形態のレーザマーカ1は、安全である。
【0102】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、前側第1筐体20Bと第2筐体30とが並設された方向(左右方向)から第1センサS1及び第2センサS2を視ると、第1センサS1のアクチュエータ部から第2筐体30の回動中心68へ向かう方向と、第2センサS2のアクチュエータ部から第2筐体30の回動中心68へ向かう方向とが直交している。そのため、本実施形態のレーザマーカ1は、第2筐体30が第1回動位置にあるときのレーザ光Qの出射方向と、第2筐体30が第2回動位置にあるときのレーザ光Qの出射方向とが直交関係になるように構成されている。
【0103】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを示す検出信号が両センサS1,S2から出力された場合(S14;1,0)(S14;0,1)には、レーザユニット10に対する電力の供給が可能な状態になる(S26)。また、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを示す検出信号が両センサS1,S2から出力されない場合(S14;0,0)(S14;1,1)には、レーザユニット10に対する電力の供給が不可能な状態になる(S16)。よって、本実施形態のレーザマーカ1は、安全である。
【0104】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを示す検出信号が両センサS1,S2から出力されない場合(S14;0,0)(S14;1,1)には、ガルバノスキャナ16の各モータ17X、17Yの駆動制御が中止される(S16)。これにより、本実施形態のレーザマーカ1では、第2筐体30の回動によってガルバノスキャナ16のケーブルCにノイズが生じても、第2筐体30の回動中は、ガルバノスキャナ16の各モータ17X、17Yの駆動制御が中止されるので、ガルバノスキャナ16によるレーザ光Qの発振が防止される。
【0105】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを示す検出信号が両センサS1,S2から出力されない場合(S14;0,0)(S14;1,1)には、第2筐体30の回動位置が第1回動位置及び第2回動位置以外にある旨のメッセージが液晶ディスプレイ115に表示される(S18)。よって、本実施形態のレーザマーカ1は、安全である。
【0106】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置であることを示す検出信号が両センサS1,S2から出力されない場合(S14;0,0)(S14;1,1)には、可視半導体レーザ19が消灯され、可視レーザ光Rが第2筐体30の外方へ出射することが不可能な状態になる(S16)。よって、本実施形態のレーザマーカ1は、安全である。
【0107】
また、本実施形態のレーザマーカ1では、連結部材60の左端が第2筐体30の本体32に固定され、連結部材60の右端が前側第1筐体20Bの前側本体22Bに差し込まれた状態で取り付けられ、連結部材60が前側第1筐体20Bと第2筐体30とを接続することで、第2筐体30が回動可能にされている。更に、被検出部44は、連結部材60の右端の外周面から、連結部材60の回動中心68から離れる方向へ突出した状態にあり、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置である場合に、両センサS1,S2のアクチュエータ部に押し付けられる。そのため、両センサS1,S2は、それらのアクチュエータ部が連結部材60の回動中心68から離れているため、前側第1筐体20Bの前側本体22Bに配置し易く、第2筐体30の回動位置が第1回動位置又は第2回動位置にあることを精度良く検出することが可能である。
【0108】
ちなみに、本実施形態において、レーザユニット10は、「レーザ光源」の一例である。ガルバノスキャナ16は、「走査部」の一例である。可視半導体レーザ19は、「ガイド光源」の一例である。連結部材60は、「連結部」の一例である。連結部材60の左端は、「連結部の一端」の一例である。連結部材60の右端は、「連結部の他端」の一例である。連結部材60の回動中心68は、「連結部の回動中心」の一例である。入力操作部101は、「ユーザインターフェース」の一例である。液晶ディスプレイ115は、「報知装置」の一例である。可視レーザ光Rは、「可視光」の一例である。第1センサS1及び第2センサS2は、「センサ」の一例である。第2筐体30の外方は、「外方」の一例である。左右方向は、「第1筐体と第2筐体が並設された方向」の一例である。第1センサS1のアクチュエータ部から第2筐体30の回動中心68へ向かう方向は、「第1方向」の一例である。第2センサS2のアクチュエータ部から第2筐体30の回動中心68へ向かう方向は、「第2方向」の一例である。
【0109】
尚、本開示は、本実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、本実施形態のレーザマーカ1は、上述したように、印字情報作成部2及びレーザ加工部3で構成されてもよし、レーザ加工部3のみで構成されてもよい。
【0110】
また、連結部材60の右端が前側第1筐体20Bの前側本体22Bに固定されると共に、連結部材60の左端が第2筐体30の本体32に回動可能な状態で差し込まれてもよい。但し、そのような場合、ロック機構Lは、第2筐体30において、連結部材60の回動を固定することによって、第2筐体30を第1回動位置又は第2回動位置で固定する。
【0111】
また、連結部材60は、第2筐体30の本体32又は前側第1筐体20Bの前側本体22Bから突出したものであってもよい。
【0112】
また、第2筐体30は、前側第1筐体20Bの前方向側に設けられてもよい。そのような場合、第2筐体30は、前側第1筐体20B内を縦断するレーザ光Q及び可視レーザ光Rの光路上に配置される。そのため、反射ミラー14が不要となる。
【0113】
また、図16に表されたように、コイルバネ80は、取付板52とピン50の鍔部54との間に配設されてもよい。そのような場合、ピン50は、コイルバネ80によって、筐体側孔部29から連結部90へ向けて(下方向へ)付勢される。そのため、第2筐体30の回動位置が第1回動位置及び第2回動位置にない場合には、ピン50は、連結部材60の外周面に当接する。
【0114】
また、第1筐体20及び第2筐体30のうち、一方の筐体にピンが設けられ、そのピンを通す孔部が他方の筐体に設けられることによって、ロック機構Lが構成されてもよい。あるいは、第1筐体20及び第2筐体30の双方に孔部が設けられ、双方の孔部にピンが通されることによって、ロック機構Lが構成されてもよい。
【0115】
また、第1筐体20及び第2筐体30を締め付けて固定するクランプによって、ロック機構Lが構成されてもよい。
【0116】
あるいは、第1筐体20及び第2筐体30のうち、一方の筐体に爪部が設けられ、その爪部を係止する溝部が他方の筐体に設けられることによって、ロック機構Lが構成されてもよい。そのような場合、爪部は、第2筐体30の回動によって、第2筐体30の回動位置が第1回動位置及び第2回動位置にあるときに溝部に係止され、第2筐体30の回動位置が第1回動位置と第2回動位置との間にあるときに溝部から外れる。尚、爪部又は溝部は、連結部材60に設けられてもよい。
【0117】
また、ピン50の先端56は、テーパ状でなくてもよい。そのような場合、第1孔部70及び第2孔部72が、本実施形態のように、それらの内径が奥へ向かうに連れて小さくなるように形成されることで、ピン50が第1孔部70及び第2孔部72へ案内される。また、第1孔部70及び第2孔部72は、それらの内径が奥へ向かうに連れて小さくなるように形成されていなくてもよい。そのような場合、ピン50の先端56が、本実施形態のように、テーパ状で形成されることで、ピン50が第1孔部70及び第2孔部72へ案内される。
【0118】
また、第2筐体30の回動位置は、オン信号及びオフ信号の2値信号で示された本実施形態とは異なり、ハイ信号及びロー信号で示されてもよいし、情報で示されてもよい。
【0119】
また、本実施形態のレーザマーカ1の出射制御は、FGPA211のみで実行されるようにしてもよいし、CPU203のみで実行されるようにしてもよい。
【0120】
また、出射不可能処理S16では、レーザユニット10がレーザ光Qを出射している状態又は可視半導体レーザ19が可視レーザ光Rを出射している状態を維持したままで、レーザ光Q又は可視レーザ光Rの光路上に遮蔽板を移動させることによって実行されてもよい。但し、そのような場合には、出射可能処理S26は、レーザ光Q又は可視レーザ光Rの光路上から遮蔽板を移動させることによって実行される。
【符号の説明】
【0121】
1 レーザマーカ
10 レーザユニット
16 ガルバノスキャナ
19 可視半導体レーザ
20 第1筐体
30 第2筐体
44 被検出部
60 連結部材
68 連結部材の回動中心
101 入力操作部
115 液晶ディスプレイ
203 CPU
205 RAM
207 ROM
211 FPGA
Q レーザ光
R 可視レーザ光
S1 第1センサ
S2 第2センサ
S16 出射不可能処理
S18 報知処理
S26 出射可能処理
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16