特許第6885478号(P6885478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6885478電力変換装置、パワーコンディショナ、パワーコンディショナシステム、および電源システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885478
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】電力変換装置、パワーコンディショナ、パワーコンディショナシステム、および電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/10 20060101AFI20210603BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20210603BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20210603BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20210603BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20210603BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20210603BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20210603BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20210603BHJP
【FI】
   H02J1/10
   H02J3/46
   H02J3/38 150
   H02J3/32
   H02J7/35 K
   H02M3/155 W
   H02M3/28 U
   H02M7/48 E
   H02M3/155 H
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-1780(P2020-1780)
(22)【出願日】2020年1月9日
(62)【分割の表示】特願2016-22641(P2016-22641)の分割
【原出願日】2016年2月9日
(65)【公開番号】特開2020-58232(P2020-58232A)
(43)【公開日】2020年4月9日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 純一
(72)【発明者】
【氏名】綾井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】加悦 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】品田 真二郎
【審査官】 佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−126578(JP,A)
【文献】 特開2013−005707(JP,A)
【文献】 特開2008−042999(JP,A)
【文献】 特開2012−120364(JP,A)
【文献】 特開2010−178479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/10
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 3/46
H02J 7/35
H02M 3/155
H02M 3/28
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信の基地局に電力を供給する複合型の電力変換装置であって、
非接地の第1のDCバスと、
太陽光発電パネルと前記第1のDCバスとの間に設けられる第1の非絶縁型DC/DC部と、
蓄電池と前記第1のDCバスとの間に設けられる第2の非絶縁型DC/DC部と、
2電路のうち一方が接地され、前記第1のDCバスより低電圧であって、前記第1のDCバスとは異なる極性の電圧が印加される第2のDCバスと、
前記第2のDCバスを介して前記基地局と接続され、前記第2のDCバスと前記第1のDCバスとの間に設けられる絶縁型DC/DC部と、を備える、電力変換装置。
【請求項2】
前記第1のDCバスには所定の直流電圧が印され、
前記第1の非絶縁型DC/DC部及び前記第2の非絶縁型DC/DC部は、前記第1のDCバスの直流電圧が所定値となるよう、それぞれ、前記太陽光発電パネルによる直流電圧及び前記蓄電池からの直流電圧を変換する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1のDCバスと交流電路との間に設けられるDC/AC部をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1のDCバスと前記絶縁型DC/DC部との間に設けられる第3の非絶縁型DC/DC部をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置と、
前記電力変換装置が収められる筐体とを含む、パワーコンディショナ。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置が複数組設けられ、それぞれの前記絶縁型DC/DC部から1つの前記基地局へ給電路を合流させる、パワーコンディショナシステム。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置と、
前記蓄電池と、を含む、電源システム。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置と、
前記太陽光発電パネルと、
前記蓄電池と、を含む、電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は電力変換装置、パワーコンディショナ、パワーコンディショナシステム、および電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014−42417号公報(特許文献1)にもあるように、携帯電話機などの基地局に直流によって電力を供給するシステムとして、近年、太陽光発電と蓄電池とを組み合わせた複合型のシステムが普及している。
【0003】
図3は、基地局120に直流によって電力を供給する、従来の複合型の電力供給システムの構成を表した概略図である。図3を参照して、システムは、基地局120に−48Vの直流にて電力を供給するためのDCバス114を含む。DCバス114には、DC/DC部112A,112Bを介して1または複数の太陽光発電パネル130A,130B(これらを代表して太陽光発電パネル130と称する)が接続され、DC/DC部113を介して蓄電池ユニット140が接続されている。なお、このようなシステムには、発電量あるいは蓄電量の不足に備えた発電機や、商用電力系統などの交流電源150が接続されていてもよい。交流電源150は、変圧器151および整流器116を介してDCバス114に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−42417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図3のシステムではDCバス114の一方の電路が接地されている。そのため、DCバス114に接続される各DC/DC部112A,112B,113は、いずれも絶縁型DC/DC部とする必要がある。絶縁型DC/DC部は非絶縁型と比較すると電力変換の効率が多少劣る。そのため、システムにおいて絶縁型DC/DC部が用いられるほど、システム全体としての電力変換の効率が劣るという問題がある。また図3のシステムでは、太陽光発電パネル130によって発電された電力を蓄電池ユニット140に蓄電(充電)する際に、太陽光発電パネル130からの電流が絶縁型DC/DC部112Aまたは112Bおよび絶縁型DC/DC部113と、非絶縁型DC/DC部よりも電力変換の効率の多少劣る絶縁型DC/DC部を2つ経由することになる。そのため、充電のための電力変換の効率も低下することになる。
【0006】
本開示のある局面における目的は、高効率で電力変換して通信の基地局に電力を供給することを可能とする電力変換装置、パワーコンディショナ、パワーコンディショナシステム、および電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、通信の基地局に電力を供給する複合型の電力変換装置であって、非接地の第1のDCバスと、太陽光発電パネルと第1のDCバスとの間に設けられる第1の非絶縁型DC/DC部と、蓄電池と第1のDCバスとの間に設けられる第2の非絶縁型DC/DC部と、2電路のうち一方が接地され、第1のDCバスより低電圧であって、第1のDCバスとは異なる極性の電圧が印加される第2のDCバスと、第2のDCバスを介して基地局と接続され、第2のDCバスと第1のDCバスとの間に設けられる絶縁型DC/DC部と、を備える。
【0008】
また、パワーコンディショナは、上記の電力変換装置と、この電力変換装置が収められる筐体とを含む。
【0009】
また、パワーコンディショナシステムは、上記の電力変換装置が複数組設けられ、それぞれの絶縁型のDC/DC部から1つの基地局へ給電路を合流させるものである。
【0010】
また、電源システムは、上記の電力変換装置と蓄電池とを含むか、または上記の電力変換装置と太陽光発電パネルと蓄電池とを含む。
【発明の効果】
【0011】
この開示によると、高効率で電力変換して通信の基地局に電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態にかかる電力変換装置の構成を表した概略図である。
図2】第2の実施の形態における、複数の電力変換装置を含んだシステム構成の一例を表した図である。
図3】従来の複合型の電力供給システムの構成を表した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態の説明]
本実施の形態には、少なくとも以下のものが含まれる。
【0014】
(1)本実施形態に係る電力変換装置は、通信の基地局に電力を供給する複合型の電力変換装置であって、非接地の第1のDCバスと、太陽光発電パネルと第1のDCバスとの間に設けられる第1の非絶縁型DC/DC部と、蓄電池と第1のDCバスとの間に設けられる第2の非絶縁型DC/DC部と、2電路のうち一方が接地され、第1のDCバスより低電圧であって、第1のDCバスとは異なる極性の電圧が印加される第2のDCバスと、第2のDCバスを介して基地局と接続され、第2のDCバスと第1のDCバスとの間に設けられる絶縁型DC/DC部と、を備える。
上記の構成によれば、非絶縁型DC/DC部よりも変換効率が多少劣る絶縁型DC/DC部の数を抑えることができる。従って、電力変換装置全体としての効率を高めることができる。
【0015】
(2)本実施形態に係る電力変換装置において、第1のDCバスには所定の直流電圧が印可され、第1の非絶縁型DC/DC部及び第2の非絶縁型DC/DC部は、第1のDCバスの直流電圧が所定値となるよう、それぞれ、太陽光発電パネルによる直流電圧及び蓄電池からの直流電圧を変換する構成であってもよい。
【0016】
(3)本実施形態に係る電力変換装置において、第1のDCバスと交流電路との間に設けられるDC/AC部をさらに備えてもよい。
上記の構成によれば、交流電路から電力を供給して蓄電池を充電することができる。また、逆に、直流電源から交流電路への電力供給が可能となる。さらに、交流電路に商用電力系統が接続されている場合は、系統連系による売電が可能となる。
【0017】
(4)本実施形態に係る電力変換装置は、第1のDCバスと絶縁型DC/DC部との間に設けられる第3の非絶縁型DC/DC部をさらに備えてもよい。
【0018】
(5)本実施形態に係るパワーコンディショナは、上記構成の電力変換装置と、電力変換装置が収められる筐体とを含む。
上記の構成によれば、すべての電源および負荷に関して必要な電力変換機能を全て搭載したコンパクトな複合型のパワーコンディショナを提供することができる。
【0019】
(6)本実施形態に係るパワーコンディショナシステムは、上記構成の電力変換装置が複数組設けられ、それぞれの絶縁型のDC/DC部から1つの基地局へ給電路を合流させる。
上記の構成によれば、1台の大容量電力変換装置で基地局に給電するよりも、複数の電力変換装置で出力を分担できる。そのため、個々の電力変換装置では、基地局への給電電流を抑制することができる。従って、給電路が距離的に長い場合にも電圧降下を抑制することができる。
【0020】
(7)本実施形態に係る電源システムは、上記構成の電力変換装置と蓄電池とを含む。
(8)本実施形態に係る電源システムは、上記構成の電力変換装置と太陽光発電パネルと蓄電池と、を含む。
【0021】
[実施の形態の詳細]
以下に、図面を参照しつつ、好ましい実施の形態について説明する。
【0022】
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態にかかる電力変換装置の構成を表した概略図である。本実施の形態にかかる電力変換装置(パワーコンディショナ)10は、電源としての1または複数の太陽光発電パネル30A,30Bおよび蓄電池ユニット40と接続されて、太陽光発電パネル30A,30Bの発電によって生じた電力、または蓄電池ユニット40に蓄電された電力を、直流によって基地局20に供給する。1または複数の太陽光発電パネル30A,30Bを代表させて太陽光発電パネル30と称する。
【0023】
蓄電池ユニット40に含まれる蓄電池41は、一例としてリチウムイオンバッテリーである。蓄電池ユニット40にはジャンクションボックス42が接続され、蓄電池41と電力変換装置10とがジャンクションボックス42によって接続される。
【0024】
図1を参照して、電力変換装置10と基地局20とは、電圧が−48VであるDCバス14によって接続されている。DCバス14は、2電路のうち一方が接地されている。電力変換装置10は、DCバス14を介して電力を基地局20に供給する。DCバス14は、電力変換装置10に含まれるものであってもよいし、電力変換装置10には含まれず、電力変換装置10にDCバス14に接続するための機構が設けられていてもよい。DCバス14が電力変換装置10に含まれる場合、電力変換装置10から伸びて基地局20に接続されるDCバスは、電力変換装置10の後述するDC/DC部15Aの出力端に設けられるコネクタや端子台等の接続部において、電力変換装置10に含まれるDCバス14と接続されており、電力変換装置10から基地局20に電力を供給する。
【0025】
電力変換装置10は、DCバス14よりも高電圧なDCバス11を有する。DCバス11の電圧は、一例として350Vである。DCバス11とDCバス14との間には絶縁型DC/DC部15Aが設けられる。DC/DC部15Aは、DCバス11の直流電圧をDCバス14の直流電圧に変換(降圧)する。絶縁型のDC/DC部15Aは電力変換装置10に含まれてもよいし、電力変換装置10外にあってもよい。また、DC/DC部15AとDCバス11との間にはさらに非絶縁型のDC/DC部15Bが設けられ、DCバス11の直流電圧が多段階にDCバス14の直流電圧まで変換(降圧)されてもよい。
【0026】
太陽光発電パネル30A,30BとDCバス11との間には、それぞれ非絶縁型のDC/DC部12A,12Bが設けられる。DC/DC部12A,12Bを代表させてDC/DC部12と称する。DC/DC部12は、太陽光発電パネル30による直流電圧をDCバス11の直流電圧に変換する。太陽光発電パネル30から出力される直流電圧は、一例として300Vである。
また、蓄電池ユニット40とDCバス11との間には非絶縁型のDC/DC部13が設けられる。蓄電池41に蓄電された電力が基地局20に供給される場合、DC/DC部13は、蓄電池41からの直流電圧をDCバス11の直流電圧に変換する。太陽光発電パネル30によって発電された電力が蓄電池41に蓄電される場合、DC/DC部13は、DCバス11の直流電圧を蓄電池41の直流電圧に変換する。
【0027】
電力変換装置10には、さらに、発電量あるいは蓄電量の不足に備えた発電機や商用電力系統などを含む交流電源50が、絶縁トランス51を介して接続されている。交流電源50とDCバス11との間には、絶縁トランス51を介して非絶縁型のDC/AC部16が設けられる。交流電源50および絶縁トランス51を含み、非絶縁型のDC/AC部16に接続される交流回路を、以降の説明では交流電路とも称する。
発電機または商用電力系統である交流電源50から電力が電力変換装置10に供給される場合、つまり交流電路から電力変換装置10に電力が供給される場合、DC/AC部16は交流電圧をDCバス11の直流電圧に変換する。交流電圧は、一例として200Vである。交流電源50が商用電力系統であって、太陽光発電パネル30によって発電された電力が交流電源50に供給される場合、つまり、交流電路に電力変換装置10から電力が供給(逆潮)される場合、DC/AC部16は、DCバス11の直流電圧を商用電力系統の交流電圧に変換する。なお、電力変換装置10に交流電源50が接続されていることは必須ではなく、太陽光発電パネル30の発電量および蓄電池41の蓄電量に十分な余裕がある場合には、交流電源50が接続されていなくてもよい。
【0028】
電力変換装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やメモリなどを有する制御部17を含む。制御部17は、非絶縁型のDC/DC部12,13,15B(設けられている場合)、および、DC/AC部16を制御する。DC/DC部15Aについては、単独の制御部(図示せず)によって制御するようにしてもよいし、また、制御部17によって制御してもよい。
【0029】
また、太陽光発電中、制御部17は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行うようDC/DC部12を制御する。制御部17からの制御信号に従って、DC/DC部12はMPPT制御を行う。
【0030】
また、制御部17は、DCバス11の電圧に応じた電力変換を行うようDC/DC部13を制御する。たとえば、太陽光発電パネル30による発電量が基地局20に供給する電力量よりも少ない場合、DCバス11の電圧が降下するので、DC/DC部13は、蓄電池41を放電させる。これにより、蓄電池41に蓄電されている電力が基地局20に供給される。また、太陽光発電パネル30による発電量が基地局20に供給する電力量を上回る場合、DCバス11の電圧が上昇するので、DC/DC部13は、蓄電池41の充電を行う。これにより、太陽光発電パネル30によって発電された電力により蓄電池41が充電される。このようにして、DCバス11の直流電圧が、制御部17の制御に従うDC/DC部13によって制御される。
【0031】
計測ユニット60は、交流電路の電圧および電流を計測し、計測結果を通信により制御部17に送る。また、逆潮の場合、制御部17は、蓄電池41の放電電力が逆潮されることのないよう監視し、制御する。また、制御部17は、蓄電池ユニット40に含まれるジャンクションボックス42と通信して蓄電池41の蓄電量等の情報を得る。制御部17と計測ユニット60およびジャンクションボックス42との通信は、有線によるものでも無線によるものでもよい。
【0032】
制御部17はジャンクションボックス42から得られた情報に基づいて、蓄電池41の蓄電量が所定量を下回ることを検出すると、交流電路から電力変換装置10に電力供給するための制御を行う。この場合、制御部17からの制御信号に従ってDC/AC部16は、交流電圧をDCバス11の直流電圧に変換する。
【0033】
また、制御部17はDCバス11の電圧を監視して、該電圧が所定電圧以上に上昇していることを検出すると、太陽光発電パネル30によって発電された電力を交流電路に供給(逆潮)するための制御を行う。この場合、制御部17からの制御信号に従ってDC/AC部16は、DCバス11の直流電圧を商用電力系統の交流電圧に変換する。DC/AC部16は、制御部17からの制御信号に従って、DCバス11の電圧が規定の電圧(たとえば350V)に戻るまで、DCバス11の直流電圧を商用電力系統の交流電圧に変換する。これにより、DCバス11の直流電圧が、制御部17の制御に従うDC/AC部16によって制御される。
【0034】
[第1の実施の形態の効果]
本実施の形態にかかる電力変換装置10では、DCバス11の電源(太陽光発電パネル30および蓄電池ユニット40)側に絶縁型のDC/DC部を設けるのではなく、負荷(基地局20)側にのみ絶縁型のDC/DC部(DC/DC部15A)が設けられる。そのため、図3に表されたような従来の電力変換装置よりも絶縁型のDC/DC部の個数が抑えられる。絶縁型のDC/DC部は非絶縁型のDC/DC部より電力変換の効率が多少劣るため、その個数が抑えられることによって、電力変換装置10における電力変換の効率が従来の電力変換装置の電力変換の効率よりも向上する。
【0035】
また、電力変換装置10内はDCバス11によって各電源が接続されている。電力変換装置10は、基地局20に電力を供給する際にDCバス11中の電力を変換して、低電圧での給電路であるDCバス14を用いて基地局20に電力を供給する。そのため、電力変換装置10におけるDCバス14の区間を限定的なものとし、DCバス11を用いない従来の電力変換装置よりも、DCバス14の線路長を短くすることができる。DCバス14は、DCバス11よりも低電圧であるために大電流となる。しかしながら、電力変換装置10におけるDCバス14の線路長が短ければ従来の電力変換装置よりも電圧降下も抑えられ、かつ、従来の電力変換装置よりも低コストな構成とすることができる。
【0036】
また、電力変換装置10において、DCバス11はDC/DC部15Aを介してDCバス14に接続されている。そのため、DCバス11はDCバス14の電圧に影響されることがない。それ故、DCバス11の直流電圧を、たとえば交流電路のピーク電圧(波高値)を超える程度の、比較的高い電圧とすることができる。従って、図3に表されたような従来の電圧変換装置において採用されているように、基地局120の電圧であるDCバス114を電源(太陽光発電パネル30および蓄電池ユニット40)に接続する構成と比較すると、電源と接続されるバスを高電圧で、低電流とすることができる。その結果、電力変換装置10ではDCバス11および全てのDC/DC部の電流容量が低減され、よりコンパクトにすることができる。
【0037】
また、電力変換装置10において、電源である太陽光発電パネル30および蓄電池ユニット40は、それぞれ、非絶縁型のDC/DC部12,13を介してDCバス11に接続される。そのため、たとえば、太陽光発電パネル30によって発電された電力により蓄電池ユニット40を充電する際に、絶縁型のDC/DC部15Aを経由することなく電力が蓄電池ユニット40に供給される。従って、充電のための電力変換の効率を向上させることができる。
【0038】
また、電力変換装置10において、DCバス11は絶縁型のDC/DC部15Aを介してDCバス14および基地局20に接続されているため、たとえば基地局20に落雷によるサージ電圧が発生しても、DC/DC部15Aの存在によって、DCバス11にサージ電圧が侵入することを防止できる。
【0039】
さらに、電力変換装置10にDC/AC部16を介して交流電源50が接続される構成とすることによって、交流電路から供給された電力で蓄電池41を充電することができる。また、逆に、電力変換装置10にDC/AC部16を介して商用電力系統が接続される構成とすることによって、太陽光発電パネル30によって発電された直流による電力を交流によって商用電力系統に供給すること、たとえば系統連系による売電が可能となる。
【0040】
また、電力変換装置10において、蓄電池ユニット40とDCバス11の間に設けられたDC/DC部13によってDCバス11の直流電圧が制御される構成とすることによって、電力変換装置10を交流電路と接続することなく、交流電路から独立した直流電路のみで構成することが可能となる。
【0041】
なお、上記したように、電力変換装置10は図示されない1つの筐体に収められたパワーコンディショナとして提供され得る。また、電力変換装置10および蓄電池ユニット40、もしくは電力変換装置10、蓄電池ユニット40および太陽光発電パネル30を電源システムとして提供することもできる。これにより、すべての電源および負荷に関して必要な電力変換機能を搭載したコンパクトな複合型のパワーコンディショナ、あるいは電源システムとして電力変換装置10を提供することができる。
【0042】
[第2の実施の形態]
複数の電力変換装置を含むシステムを構築し、該システムから1つの基地局20に対して直流によって電力が供給されてもよい。以下の説明では、第1の実施の形態で説明された部品および構成要素と同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
図2は、第2の実施の形態における、複数の電力変換装置10A,10B,…を含んだシステム構成の一例を表した図である。図2を参照して、第2の実施の形態においては、電源としての1または複数の太陽光発電パネル30A,30Bおよび蓄電池ユニット40Aに接続された電力変換装置10Aと、太陽光発電パネル30C,30Dおよび蓄電池ユニット40Bに接続された電力変換装置10Bと、…の複数組の電力変換装置が設けられている。電力変換装置10A,10B,…は、それぞれ絶縁型のDC/DC部15C,15Dを介して、基地局20に接続されたDCバス14に接続されている。これにより、各電力変換装置10A,10B,…からの直流電力はそれぞれ絶縁型のDC/DC15C,15D部によって変換されて、DCバス14を通って基地局20に供給される。
【0043】
さらに、交流電源50も複数設けられて、それぞれ、電力変換装置10A,10B,…に接続されていてもよい。または、図2に表されたように、交流電源50は電力変換装置10A,10B,…よりも少ない数設けられて、複数の電力変換装置に接続されていてもよい。後者の場合、計測ユニット60は複数の電力変換装置10A,10B,…に含まれるすべての制御部17と通信可能であってもよい。または、計測ユニット60はいずれか1つの制御部17とのみ接続されて、各電力変換装置10A,10B,…に含まれる制御部17同士で通信することで計測ユニット60からの情報が共有されてもよい。
【0044】
[第2の実施の形態の効果]
本実施の形態にかかるシステムに複数の電力変換装置10A,10B,…が含まれることによって、複数の電力変換装置で基地局20に供給する電力を分担できる。そのため、1台の大容量電力変換装置のみで基地局20に電力を供給するよりも、個々の電力変換装置が基地局20に供給する電流を抑制することができる。従って、低電圧での給電路であるDCバス14が長くなった場合であっても電圧降下を抑制することができる。
【0045】
[補記]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
10,10A,10B,… 電力変換装置
11,14,114 DCバス
12,12A,12B,13,112A,112B,113,15A〜15D DC/DC部
16 DC/AC部
17 制御部
20,120 基地局
30,30A〜D,130A,130B 太陽光発電パネル
40,40A,40B,140 蓄電池ユニット
41 蓄電池
42 ジャンクションボックス
50 交流電源
51 絶縁トランス
60 計測ユニット
116 整流器
150 交流電源
151 変圧器
図1
図2
図3