特許第6885539号(P6885539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885539
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】電気圧力鍋
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/08 20060101AFI20210603BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20210603BHJP
【FI】
   A47J27/08 C
   A47J27/00 103N
   A47J27/00 104Z
   A47J27/00 109P
   A47J27/00 109L
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-252481(P2016-252481)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-102627(P2018-102627A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】516028299
【氏名又は名称】有限会社大志
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100118393
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 康裕
(73)【特許権者】
【識別番号】500201602
【氏名又は名称】シロカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲生
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一威
(72)【発明者】
【氏名】竹市 聡
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第201542415(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第104433775(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/08
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋が水平方向に回転されて本体に係止される電気圧力鍋において、
前記蓋が所定位置まで回転されたか否かを検出する非接触型のセンサと、
前記電気圧力鍋の調理の操作に関するメニューボタンを備える操作部と、
前記非接触型のセンサからの情報に基づいて、前記蓋が前記本体に係止される位置にあるか否かを判定し、さらに前記操作部からの操作情報に基づいて、前記メニューボタンが操作された否かを判定するCPUと、
前記電気圧力鍋の内鍋を加熱し、温度情報を前記CPUに出力する加熱部と、を備え、
前記CPUは、前記温度情報に基づいて、前記内鍋が加熱状態であるか否かを判定し、前記蓋が前記本体に係止される位置になく、かつ前記メニューボタンが操作されていない状態において、さらに前記内鍋が加熱状態であると判定された場合には、前記加熱部に前記内鍋の加熱を停止させる、ことを特徴とする電気圧力鍋。
【請求項2】
前記非接触型のセンサは、前記蓋に配設された磁石と、前記本体に配設されたホールセンサと、からなることを特徴とする請求項1に記載の電気圧力鍋。
【請求項3】
前記CPUは、前記蓋が前記本体に係止される位置にない状態において、前記メニューボタンが操作された場合、又は前記メニューボタンが操作されていない場合であって、調理の加熱状態である場合に、警告の報知を行う請求項1に記載の電気圧力鍋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋が水平方向に回転されて本体に係止される電気圧力鍋に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯の沸点を高くすれば、お米のβデンプンを美味しいαデンプンにするα化(糊化)が促進される。そのために釜の圧力を高くして沸点を100度以上に上げる圧力炊飯器が数多く販売されている。また、圧力を上げると硬い根菜、豆、肉、骨などの素材が柔らかくなるために、炊飯のみならず他の調理もできる電気圧力鍋が市販されている。また、電気圧力鍋(圧力炊飯器を含む。)は高温、高圧なので滅菌効果が高い。また、電気圧力鍋は圧力調整弁から少しずつ蒸気が逃げるので、加熱を止めても同じ状態を保っているので省電力となる。
【0003】
このような利点を有する電気圧力鍋は調理時の高い内圧で蓋が開かないように、蓋をしっかり保持しなければならない。多くの電気圧力鍋の蓋はヒンジを支点として開閉するものであり、蓋はヒンジ開閉の先端部分の一箇所でフックにより係止されていた。この構造では蓋の保持の耐圧が低いという問題があり、たとえば、高圧化によるお米のα化の促進にも限界があった。
【0004】
そこで、特許文献1や特許文献2には、蓋が水平方向に回転して、蓋の係止部を回転の周りに複数個所(特許文献1では4箇所、特許文献2では6箇所)設ける構成にして、蓋の耐圧を向上させた電気圧力鍋が考えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−40167号公報
【特許文献2】特開2014−33904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2のように、蓋を水平に回転させて保持させる電気圧力鍋においては、きちんと蓋をセットしない状態で調理を開始することがある。たとえば、蓋を所定距離回転させたときに「カチッ」というような音を伴ってロックされる機構が備わっているにも関わらず、そのロックに気付かずに回転距離が不十分なために係止寸法が不十分で蓋が正しい位置にセットされないことがある。また、無理に蓋を外そうとしたり、蓋を複数のフックに係合させようとする時にいくつかのフックが係合していない状態で無理に蓋を回転させようとしたりして、フック部を損傷させて蓋の位置が正しい位置にセットされないことがある。
【0007】
特に、お年寄りは思いがけないことをして、正しい位置に蓋がセットされないことがある。このように、蓋が正しい位置にセットされないと、蒸気が漏れて釜の内圧が下がったり、蓋が本体パネルから外れたりして、調理を失敗することとなる。特に、蓋が斜めになっていればパッキンがよじれて蒸気が漏れやすくなる。
【0008】
また、蓋が閉まっていると思って蓋の取っ手を持って電気圧力鍋が持ち上げられると、本体が蓋から外れて落ち、お湯やお米がこぼれて火傷したり、服や床などが汚れたりする事故が生じるおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、蓋が水平方向に回転されて本体に係止される電気圧力鍋において、蓋の回転移動位置が所定位置であるか否かを検出するセンサを設けた電気圧力鍋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一つの態様に係る電気圧力鍋は、蓋が水平方向に回転されて本体に係止される電気圧力鍋において、非接触型のセンサを用いて前記蓋が所定位置まで回転されたか否かを検出することを特徴とする。
【0011】
この検出によって、蓋が正しい位置にセットされているか否かを検出することができる。これにより、蓋が正しい位置にセットされていないときは、警報報知や調理中止などを自動的に行うことができ、炊飯などの調理の失敗を防止することができ、また本体が蓋から落下するようなことで生じる電気圧力鍋による事故の低減にもつながる。この検出を行うセンサは露出しない非接触型であるので、接点が露出するようなことはなく意匠を損なうことがない。
【0012】
また、前記非接触型のセンサは、前記蓋に配設された磁石と、前記本体に配設されたホールセンサと、からなることが好ましい。
【0013】
非接触型センサの方法として、蓋側に磁石を配設し、本体側に磁石で接点が閉じるリードリレーを配設する方法も考えられるが、この方法が電気圧力鍋において、沿面距離の規格(ISE−J603351−1)を満足しない場合に、ホールセンサを配設する方法が有効である。また、他の方法として、蓋側に金属を配設し、本体側に金属に発生する電磁誘導の渦電流を検出する近接センサを配設する方法が考えられるが、この方法は高額であり、入手困難な地域がある。この点、蓋側に磁石を配設し、本体側にホールセンサを配設する方法は電気圧力鍋の沿面距離の規格を満足し、高額ではなく、入手が容易である。
【0014】
また、前記蓋が所定位置まで回転されたことが検出されていない状態で調理の操作を行うと警告の報知を行う制御回路を備えることが好ましい。蓋の回転移動位置が所定位置でないときは、ブザーなどの警報音を鳴らしたり、LEDやLCDなどを警報表示させたりして警報すれば、炊飯などの調理の失敗を回避することができ、また電気圧力鍋による事故の低減にもつながる。
【0015】
また、本発明の一つの態様に係る電気圧力鍋は、蓋が水平方向に回転されて本体に係止される電気圧力鍋において、蓋が所定位置まで回転されたか否かを検出する非接触型のセンサと、電気圧力鍋の調理の操作に関するメニューボタンを備える操作部と、非接触型のセンサからの情報に基づいて、蓋が本体に係止される位置にあるか否かを判定し、さらに操作部からの操作情報に基づいて、メニューボタンが操作された否かを判定するCPUと、電気圧力鍋の内鍋を加熱し、温度情報をCPUに出力する加熱部と、を備え、CPUは、温度情報に基づいて、内鍋が加熱状態であるか否かを判定し、蓋が本体に係止される位置になく、かつメニューボタンが操作されていない状態において、さらに内鍋が加熱状態であると判定された場合には、加熱部に内鍋の加熱を停止させる、ことを特徴とする。これにより、蓋の回転移動位置が所定位置でないときは、自動的に調理の加熱を停止させるので、炊飯などの調理の失敗を回避することができ、調理中における電気圧力鍋による事故の低減にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の正面図である。
図2】(A)は、実施形態の平面図であり、(B)は、(A)のIIA−IIA部分断面図である。
図3】実施形態の要部の構成を示す分解斜視図である。
図4】(A)は、実施形態の蓋の本体との係合箇所を示す底面図であり、(B)は本体の蓋との係合箇所を示す平面図である。
図5】実施形態の蓋のロック機構を示す本体の平面図である。
図6】実施形態の要部の構成を示すブロック図である。
図7】実施形態の主要な動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態及び図面を参照にして本発明を実施するための形態を説明するが、以下に示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
[実施形態]
【0018】
図1図4を参照して、実施形態に係る電気圧力鍋1について説明する。電気圧力鍋1は圧力炊飯のみならず、根菜、豆、肉などの圧力料理、無水料理、蒸し料理、スロークッカー、温め直しができる調理機器である。
【0019】
蓋10は本体20から離脱可能である。図2(A)に示すように、蓋10に印刷された「ひらく」、矢印、「しまる」のように、反時計方向に蓋が回転することで蓋10と本体20との係合が解除され、蓋10が上方に持ち上げられると蓋10が本体20から離脱する。なお、蓋10が反時計方向に回転するには、あらかじめ、つまみ11が引っ張られて、ロック解除されなければならない。
【0020】
蓋10が本体20に装着されるときは、蓋10の側壁下方に形成された下方向の三角マーク101が本体20の側壁上方に形成された上方向の三角マーク201と対抗する位置に合されると蓋10が本体20に嵌入する。この状態で蓋10が時計方向に所定位置まで回転されると、反時計方向への回転がロックされる。
【0021】
図2(B)〜図4を参照して、蓋10と本体20の係合について説明する。図2(B)の網掛け部分は蓋10である。蓋10の合成樹脂の内パネル12には、本体20側に突出するリブ121が設けられている。本体20の合成樹脂の上パネル21には、リブ121が嵌入して回動する溝211が形成されている。このリブ121の回動範囲が蓋10の着脱時の回転範囲となる。
【0022】
蓋10のアルミ製の内蓋13の外周部には、内側に向かって突出する突起131(図4(A)の右上がり斜線部分)が6箇所形成されている。内鍋30が入る本体20の金属製の中ケース22の上方の外周部には、外側に向かって突出する突起221(図4(B)の右下がり斜線部分)が6箇所形成されている。図2(B)に示すように、蓋10の底面となる外パネル14の底面14aと本体20の上面となる合成樹脂の上パネル21の天面21aが合わさった状態で蓋10が回転するときに、蓋10の突起131と本体20の突起221によって蓋10と本体20が離間しないように係合される。
【0023】
蓋10のリブ121には金属の表面が露出しないようにコーティングされた磁石15が固着されている。磁石15はリブ121の先端からわずか離間(図2(B)のΔL)して配設されている。このコーティングと隙間により、リブ121の先端が本体20の溝211とこすれて摩耗しても磁石15が露出しにくくなる。
【0024】
本体20の上パネル21には、蓋10の回転が所定位置まで回転され、ロックされている状態で、蓋10の磁石15に対応する位置にホールセンサ(ホール素子)231が配設されたホールセンサ基板23が固着されている。ホールセンサ231は磁界を検出しその大きさに比例したアナログ信号を出力する半導体であり、これを用いることにより、磁石15が閾値の距離以内にあるか否かを判定することが可能となる。このように、電気圧力鍋1は、磁石15とホールセンサ231を用いて、蓋10が所定位置まで回転されているか否かを判定することができる。
【0025】
また、磁石15とホールセンサ231からなるセンサは露出しない非接触型センサであるので、接点が露出するようなことはなく意匠を損なうことがない。なお、他の非接触型センサとして、蓋10に磁石15を配設し、本体20に磁石15で接点が閉じるリードリレーを配設する方法が考えられる。ただし、この方法は電気圧力鍋1では、沿面距離の規格を満足しないおそれがあるので、このような場合にはホールセンサ231を用いる本実施形態がより好ましい。さらに他の方法として、蓋10に金属を配設し、本体20に金属に発生する電磁誘導の渦電流を検出する近接センサを配設する方法が考えられるが、この方法は高額であり、入手困難な地域がある。この点、蓋10に磁石15を配設し、本体20にホールセンサ231を配設する本実施形態の方法は電気圧力鍋の沿面距離の規格を満足し、高額ではなく、入手が容易である。
【0026】
図5を参照して、蓋10の回転のロック機構について説明する。図5において、左上がりの斜線部は本体20の突起221である。
【0027】
A1は、蓋10の三角マーク101と本体20の三角マーク201を合わせて本体20から離脱されていた蓋10を本体20に嵌入しようとするときのつまみ11の位置である。
【0028】
A2は、蓋10の底面14aと本体20の天面21aが合わさったときのつまみ11の位置である。
【0029】
A3は、蓋10が所定位置までの回転された状態であるロック位置まで回転されている途中のつまみ11の位置である。
【0030】
A4は、蓋10が所定位置までの回転された状態であるロック位置まで回転されたときのつまみ11の位置である。
【0031】
B1は、つまみ11のA1の位置での蓋10のリブ121の位置である。B4は、つまみ11のA4の位置での蓋10のリブ121の位置である。この時、蓋10は所定位置まで回転された状態となっている。
【0032】
また、本体20の6つの突起221の内、つまみ11の近傍の突起221はなだらかな斜面221aと円弧面221bと円弧面221bに対して垂直な垂直面221cを有している。つまみ11は図示せぬバネによって内側に付勢されている。
【0033】
蓋10の三角マーク101と本体20の三角マーク201を合わせて蓋10を本体20に嵌入していくと、やがて、つまみ11の先端11a部分が本体20の突起221の斜面221aの稜線に当接する(A1の状態)。このとき、蓋10のリブ121の一端121aの平面は本体20の溝211の一端211aの平面と当接する。
【0034】
さらに蓋10の挿入を進めると、つまみ11の先端11a部分は球面になっているのでつまみ11の先端11aが突起221の斜面221aに乗り上げることにより、つまみ11が外側に移動する(A2の状態)。このとき、蓋10の突起131は本体20の突起221に係合していない。
【0035】
さらに蓋10がロック位置方向へ回転されると、つまみ11の先端11aは本体20の突起221の円弧面221bを滑動する(A3の状態)。このとき、蓋10の突起131は本体20の突起221に係合している。
【0036】
そして蓋10のリブ121の他端121bの平面が本体20の溝211の他端211bの平面と当接するように、蓋10が最後まで回転されると(この状態が所定位置まで回転された状態となる)、つまみ11の先端11aが突起221の斜面221aから外れ、図示せぬバネによってつまみ11が内側に移動される(A4の状態)。
【0037】
これにより、つまみ11の先端11a部分と突起221の垂直面221cの当接によって、蓋10の反時計方向(「ひらく」の方向。)の回転は、阻止(ロック)される。また蓋10の時計方向の回転(「しまる」の方向。)の回転は、蓋10のリブ121の他端121bの平面と本体20の溝211の他端211bの平面の当接によって阻止(ロック)される。
【0038】
次に図6のブロック図と図7のフローチャートを参照して、電気圧力鍋1の動作を説明する。前述のように、磁石15が蓋10に配設され、ロック位置で磁石15に近接してホールセンサ231が本体20に配設されている。そして、図6に示すように、本体20にCPU24、メモリ25、操作部26、ブザー27、表示部28、加熱部29を備えている。
【0039】
メモリ25はCPU24の動作のプログラムとCPU24の動作に必要なデータを記憶し、操作部26はメニューボタン261など調理の操作に必要なボタンを有し、ブザー27は警告音を発し、表示部28は調理に必要な文字を表示し、加熱部29は内鍋30を加熱するために中ケース22を加熱し、また中ケース22の加熱状態をCPU24に出力する。
【0040】
CPU24はホールセンサ231からの情報に基づいて磁石15とホールセンサ231の距離が閾値未満か閾値以上を判断することで蓋10が所定位置となるロック位置まで回転されたか否かを判断し、操作部26からの操作情報や加熱部29からの検出温度情報に基づいて、ブザー27を鳴動制御したり、表示部28を表示制御したり、加熱部29を加熱制御したりする。
【0041】
図7に基づき、CPU24の動作を説明する。CPU24は、蓋10がロック位置にあるか否か(磁石15とホールセンサ231の距離が閾値未満であるか否か)を調べる(ステップS1)。ロック位置になければ(ステップS1のNo)、CPU24はメニューボタン261が操作されたか否かを調べ(ステップS2)、また調理としての加熱状態(保温としての加熱は除く)であるか否かを調べる(ステップS3)。本実施形態の電気圧力鍋1は調理の操作をするときは必ず最初にメニューボタン261が操作される。ステップS1でロック位置にあれば(ステップS1のYes)ステップ1に戻る。
【0042】
ステップS2でメニューボタン261が操作されると(ステップ2のYes)、CPU24は蓋10がロック位置にないのに調理の操作が開始されたものとして、ブザー27を5回鳴動させ、表示部28に「――――」を点滅させる(ステップS4)。つまり、電気圧力鍋1は、蓋10がロック位置まで回転されたことが検出されていない状態で調理の操作が行われると、ブザー27や表示部28により警告の報知を行う。
【0043】
ステップS3で調理の加熱状態であると(ステップS3のYes)、CPU24は調理の加熱を停止させ(ステップS5)、ステップS4を実行しブザー27の鳴動と表示部28の点滅表示をさせる。つまり、電気圧力鍋1は、加熱状態である調理中、蓋10がロック位置まで回転されていなことが検出される、加熱部29での加熱を停止するとともに、ブザー27や表示部28により警告の報知を行う。このような機能は、たとえば調理中に蓋10を回転させてしまったような場合に事故を低減する点で有効である。
【0044】
そしてメニューボタン261が操作されず(ステップS2のNo)かつ調理の加熱状態でもなかったときは(ステップS3のNo)、ステップ1に戻る。
【0045】
上述のように、本実施形態の電気加熱鍋1は蓋10に磁石15を設け、ホールセンサ231をロック位置の磁石15の近傍に設けたので、蓋10が正しい位置にセットされているか否かを検出することができる。これにより、蓋10が正しい位置にセットされていないときは、ブザー27の鳴動や表示部28の点滅表示などの警報報知や、調理の加熱の中止などを自動的に行うことができ、炊飯などの調理の失敗を防止することができる。
【0046】
なお、上述の実施形態では、非接触型のセンサを用いて蓋10が所定位置まで回転されたか否かを検出する際、蓋10が所定位置まで回転された状態をロック位置とし、つまみ11により蓋10の回転が阻止(ロック)された状態で説明した。しかしながら、非接触型のセンサを用いて蓋10が所定位置まで回転されたか否かを検出する際、蓋10が所定位置まで回転された状態が、必ずしも蓋10の回転が阻止された状態である必要はない。つまり、非接触型のセンサを用いて検出するのは、あくまでも蓋10が本体20に係合し、蓋10の位置が蓋10の離脱や蒸気漏れなどの問題は生じない位置に達しているか否かであればよい。したがって、本発明は蓋10の回転ロック機構が無い電気圧力鍋にも適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・・電気圧力鍋
10・・・蓋
101・・・蓋の三角マーク
11・・・つまみ
11a・・・先端
121・・・リブ
131・・・突起
15・・・磁石
20・・・本体
201・・本体の三角マーク
211・・・溝
221・・・突起
231・・・ホールセンサ
24・・・CPU
25・・・メモリ
26・・・操作部
261・・・メニューボタン
27・・・ブザー
28・・・表示部
29・・・加熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7