特許第6885544号(P6885544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フンダシオ オスピタル ウニベルシタリ バル デブロン−インスティテュート デ レセルカの特許一覧 ▶ セントロ デ インベスティガシオン バイオメディカ エン レッドの特許一覧

<>
  • 特許6885544-ミトコンドリア病の治療 図000004
  • 特許6885544-ミトコンドリア病の治療 図000005
  • 特許6885544-ミトコンドリア病の治療 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6885544
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】ミトコンドリア病の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7076 20060101AFI20210603BHJP
   A61K 31/708 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20210603BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20210603BHJP
   A61K 31/52 20060101ALI20210603BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALN20210603BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20210603BHJP
【FI】
   A61K31/7076
   A61K31/708
   A61K31/7068
   A61K31/7072
   A61P43/00 105
   A61P43/00 111
   A61P43/00 121
   A61K45/00
   A61K31/52
   !C12Q1/6869 ZZNA
   !C12N15/11 Z
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-562304(P2017-562304)
(86)(22)【出願日】2016年6月3日
(65)【公表番号】特表2018-516923(P2018-516923A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】EP2016062636
(87)【国際公開番号】WO2016193421
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年5月31日
(31)【優先権主張番号】15170825.2
(32)【優先日】2015年6月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512274953
【氏名又は名称】フンダシオ オスピタル ウニベルシタリ バル デブロン−インスティテュート デ レセルカ
(73)【特許権者】
【識別番号】515000409
【氏名又は名称】セントロ デ インベスティガシオン バイオメディカ エン レッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティ セベス,ラモン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス ビオーク,エミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ブラスケス ベルメホ,コラ
(72)【発明者】
【氏名】トーレス トロンテラス,ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】カブレラ ペレス,ラケル
(72)【発明者】
【氏名】カマラ ナヴァッロ,ジョランダ
【審査官】 六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】 Drug Discovery Today,2013年 6月28日,18(19/20),p.950-957
【文献】 Human Molecular Genetics,2013年12月20日,23(9),p.2459-2467
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33−33/44
WPI
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン、及びデオキシチミジンを含む、DNAポリメラーゼサブユニットガンマ1(POLG1)における欠陥に起因するミトコンドリアDNA枯渇および/または欠失症候群の治療で使用するため組成物。
【請求項2】
前記症候群の前記治療がポリメラーゼガンマ活性を増加させることによって達成される、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記欠陥がPOLG1おける以下の突然変異:R309C、W748S、V1177L、G848S及びE1143Gの1以上に起因し、位置が配列番号1に関して言及される、請求項1又は2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
他の更なるヌクレオシドを含まない、請求項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記組成物が、ヌクレオシド分解の1以上の薬剤的に許容される阻害剤を更に含む、請求項1〜のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記ヌクレオシド分解の1つの薬剤的に許容される阻害剤を更に含む、請求項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記薬剤的に許容される阻害剤がデオキシアデノシン分解の阻害剤である、請求項5又は6に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記阻害剤がエリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン(EHNA)である、請求項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記欠陥は、POLG1のエキソヌクレアーゼドメイン中にある、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記欠陥は、POLG1のポリメラーゼドメイン中にある、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記欠陥は、POLG1のリンカー領域中にある、請求項1に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬の分野に関し、特にミトコンドリア病の治療に関し、更に詳細には、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の欠失/枯渇に起因するミトコンドリア病に関する。
【背景技術】
【0002】
ミトコンドリアゲノム(mtDNA)は、個々のミトコンドリアにおいて複数のコピーで通常は存在する16.5kbのDNA分子である。
【0003】
メンデルのミトコンドリア病の重要なグループは、それらの産物がmtDNA複製又は維持に関与する核遺伝子における突然変異に起因する。このような稀な障害は、ゲノム間の伝達の欠陥、mtDNA枯渇疾患、mtDNA多重欠失疾患、又はミトコンドリア枯渇及び欠失疾患(MDDS)としても知られている。これらは特定のオーファンコード(orphan code)を有する:ミトコンドリアDNA枯渇症候群についてはORPHA35698、多重ミトコンドリアDNA欠失症候群についてはORPHA254807を有し、また、ミトコンドリアDNA枯渇についてはhttp://www.omim.org/phenotypicSeries/PS603041、多重ミトコンドリアDNA欠失についてはhttp://www.omim.org/phenotypicSeries/PS157640のOMIMデータベースで認識されている。これらの疾患は、罹患組織(例えば、骨格筋、肝臓、脳)の1つ又は組み合わせにおけるmtDNA異常の存在によって特徴づけられる遺伝的及び臨床的に異質な疾患の複雑な群である。
【0004】
これらの障害の重症度及び進行はまた、軽度の兆候(例えば進行性外眼筋麻痺)から、有名なmtDNA枯渇症候群で見られるような乳幼児期での死に至る可能性がある重度の表現型に至るまで非常に多様性がある。
【0005】
これまで、ゲノム間の伝達における欠陥に関連する殆どの遺伝子は、mtDNA複製に直接関与するか、又はDNA合成のビルディングブロックであるデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)の代謝に関与している。しかしながら、MDDSに至る益々増加する突然変異が、未知の病理学的機序によるmtDNA不安定性を引き起こす遺伝子において特定されている(OPA1、MPV17、FBXL4等)。ある遺伝子における欠陥は特異的に枯渇又は多重mtDNA欠失のいずれかに至ると古くから考えられてきた。例えば、DGUOK欠陥は通常、mtDNA枯渇に至り、一方、OPA1欠陥は典型的には多重mtDNA欠失を引き起こす。それにもかかわらず、mtDNA枯渇及び多重欠失がmtDNA複製および修復に影響を及ぼす同じ病原経路の考えられる兆候であり得るという証拠が増えてきている。最近まで幼児期に発症するmtDNA枯渇にのみ関連する遺伝子(TK2、DGUOK)における突然変異は、現在では更に多重mtDNA欠失を引き起こし、場合によっては成人で発症することが判明している。
【0006】
MDDSは多臓器障害であるので、関連する合併症の支援的ケア及び対症療法を提供するために、様々な専門医を含む集学的チームが必要である。
【0007】
現在までに、これらの非常に複雑な疾患の治療に有効な療法は開発されていない。これは基本的に、そのような疾患を引き起こす正確な要因及びメカニズムに関する情報がないこと、1つの症候群と別の症候群との間の多様性等のためである。
【0008】
上記にもかかわらず、dNTP利用可能性が損なわれることが知られているdNTP代謝における欠陥によって引き起こされるMDDSの適切な療法を見出すいくつかの試みがなされている。例えば、最近の実験研究により、デオキシリボヌクレオチド生合成における欠陥のある段階を回避することで、mtDNA枯渇を克服できることが示された。特に、プリンdN一リン酸(dNMP)の添加は、TK2−KOマウスにおけるmtDNA枯渇を救済できることが報告されている(非特許文献1)。更に、非特許文献2は、デオキシリボヌクレオシド及び/又はそれらの異化作用の特異的阻害剤の使用が、dNTPホメオスタシスにおける欠陥のための異なるMDDSを治療するための有効な薬理学的アプローチであり得ることを報告している。
【0009】
試みがなされたにもかかわらず、これらや他のMDDS異型のための治療的アプローチが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Garone C,Garcia−Diaz B,Emmanuele V,Lopez LC,Tadesse S,et al.(2014)Deoxypyrimidine monophosphate bypass therapy for thymidine kinase 2 deficiency.EMBO Molecular Medichine 6:1016−1027.
【非特許文献2】Camara Y,Gonzalez−Vioque E,Scarpelli M,Torres−Torronteras J,Caballero A,et al.(2014)Administration of deoxyribonucleosides or inhibition of their catabolism as a pharmacological approach for mitochondrial DNA depletion syndrome.Human Molecular Genetics 23:2459−2467.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、デオキシリボヌクレオシドの投与によって、dNTP代謝における欠陥によって引き起こされないMDDS疾患におけるmtDNAレベルの回復が可能になることを見出した。
【0012】
これまで、ヌクレオシドの投与は、dNTP代謝における欠陥によって引き起こされるミトコンドリア病の治療においてのみ有効であると一般的に考えられていた。実際、先行技術は、dNTP代謝における欠陥によって引き起こされる疾患を、「欠陥のある」ヌクレオシドの投与によって克服できると仮定した[2]。従って、現在まで、特定のヌクレオチドにおける欠陥によって引き起こされる疾患のみが、問題になっている「欠陥のある」ヌクレオチド/ヌクレオシドの充分な量を投与して治療できることが予想された。
【0013】
先行技術の教示とは逆に、本発明者らは、ポリメラーゼガンマタンパク質1(mtDNA複製機構に関与する酵素の1つ)の触媒サブユニットに影響を及ぼすある突然変異を有するMDDSと以前に診断された患者由来の線維芽細胞サンプルにデオキシリボヌクレオシドを投与した。驚くべきことに、デオキシリボヌクレオシドをそれらのサンプルに投与することによって、患者が保有する突然変異とは独立に、mtDNAレベルが「正常」(健常)レベルに回復されることが判明した(表3、下記参照)。異なる突然変異によって引き起こされる、POLG1酵素の異常機能(最終的に、複製機構の正しい働きにマイナスの影響を及ぼす)は、3人の患者由来の細胞全てについてデオキシリボヌクレオシドを投与することによって同じ程度まで克服することができることは予測できなかった。デオキシリボヌクレオシドの投与でのmtDNAレベルの回復は、mtDNA複製機構欠陥の原因となる突然変異とは無関係であることを示す。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、第1の態様において、本発明は、ミトコンドリアDNA枯渇及び/又は欠失症候群の治療で使用するための1つ以上のカノニカルデオキシリボヌクレオシドを含む組成物を提供するが、但し、前記症候群はデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)代謝における欠陥に起因しないものとする。この態様はまた、ミトコンドリアDNA枯渇及び/又は欠失症候群の治療用薬剤を製造するための1つ以上のカノニカルデオキシリボヌクレオシドを含む組成物の使用として処方することもできるが、但し、前記症候群はデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)代謝における欠陥に起因しないものとする。この態様は、別法として、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)代謝における欠陥に起因しないミトコンドリアDNA枯渇及び/又は欠失症候群の治療法として処方することができ、当該方法は、治療上有効な量の1つ以上のカノニカルデオキシリボヌクレオシドを、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0015】
実験データは、POLGにおける欠陥のために異なる臨床症状に苦しむ患者由来の細胞で得られた。
【0016】
POLGは、DNAポリメラーゼガンマと呼ばれるミトコンドリアDNAポリメラーゼの触媒サブユニットをコードする遺伝子である。真核細胞では、ミトコンドリアDNAは、POLG遺伝子によってコードされる140kDaの触媒サブユニット及びPOLG2遺伝子によってコードされる55kDaの二量体補助サブユニットで構成される三量体タンパク質複合体であるDNAポリメラーゼガンマによって複製される。触媒サブユニットは、3つの酵素活性、つまり、DNAポリメラーゼ活性、誤って組み込まれたヌクレオチドを校正する3’−5’エキソヌクレアーゼ活性、及び塩基除去修復に必要な5’−dRPリアーゼ活性を含む。下記実施例では、患者は、エキソヌクレアーゼ又はポリメラーゼドメイン(R309C(エキソヌクレアーゼドメイン中)、並びにG848S及びV1177L(ポリメラーゼドメイン中))及びリンカー領域(W748S)における突然変異に起因するPOLG欠損症を患っていた。
【0017】
本発明者らは驚くべきことに、デオキシリボヌクレオシドの投与は試験した全てのPOLG突然変異体について「作用する」こと、突然変異がPOLGの機能又は構造のいずれに影響を及ぼすかに関係なく、mtDNAレベルが回復されて健常な対象によって示されるものと同じくらいになる程度で、突然変異POLG形態の酵素活性が実質的に改善されることを見出した。即ち、デオキシリボヌクレオシドの投与は、前記投与前にポリメラーゼ活性が部分的に欠如したPOLG酵素形態を過刺激する。
【0018】
以下で提示する実験データ(下表3にまとめる)により、デオキシリボヌクレオシドの投与が、POLG遺伝子における突然変異とは関係なくmtDNA重合速度を加速するために充分であり得ると結論づけることができる。しかし、これらの知見はまた、(mtDNAコピー数の減少又は多重mtDNA欠失のいずれかによる)mtDNAの減少によって特徴づけられることが知られ、そして複製機構自体からのタンパク質(ポリメラーゼガンマの補助単位をコード化するPOLG1、POLG2;とりわけ、PEO1、MGME1、及びDNA2)又はmtDNA複製に間接的に関与するタンパク質(例えばMPV17)における突然変異に起因する他のMDDS疾患はまた、デオキシリボヌクレオシドの投与によりPOLG酵素活性を過刺激することによって効率的に治療することができる:即ち、POLG活性を増強することで、mtDNAレベルにおいて実質的な増加があり、これは、そのような損失(特定のタンパク質における特定の突然変異)の原因とは関係なく、mtDNAの損失を「中和」することができ、また「正常な」レベルを回復することができることも示唆する。
【0019】
従って、dNに基づく治療方針は、部分的又は完全に活性なポリメラーゼ活性のいずれかによって提供される、mtDNAの複製が攻撃される任意の欠陥におけるmtDNA枯渇を部分的又は完全に相殺することができる。
【0020】
以下に示す実験から、ミトコンドリアDNAレベルの回復は、患者の疾患の重症度とは無関係である可能性があると結論づけることもでき、このことは本発明に大きな治療的価値を付与する。
【0021】
本発明のMDDS対象の治療においてデオキシリボヌクレオシドの投与に関連するさらなる利点はコストであり(安価である)、それらの保存のために特別な要件がないことである。加えて、カノニカルデオキシリボヌクレオシドは全ての生物において通常存在する天然の化合物である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】NCBIデータベースによるPOLG1タンパク質のアミノ酸。強調表示されているのは以下の突然変異である:位置309→システインによるアルギニンの突然変異、位置748→セリンによるトリプトファンの突然変異、位置848→セリンによるグリシンの突然変異、位置1143→グリシンによるグルタミン酸の突然変異、位置1177→ロイシンによるバリンの突然変異。
図2】mtDNA枯渇および欠失症候群(MDDS)に関与する代謝経路の図。その機能不全がMDDSと関連するタンパク質は番号1(dNTP代謝に関与)、番号2(複製機構に属する)または番号3(未知の病理学的機序によってMDDSに関連付けられる)で表示されている。SUCLA2およびSUCLG1とヌクレオチド二リン酸キナーゼとの関連性は実証されているが、それらのdNTP代謝との関係は明らかにされていない。dNTP代謝に関与するが、MDDSおよびデオキシリボヌクレオシド異化酵素の特異的阻害剤とはまだ関連づけられていない他のタンパク質も図示されている:テトラヒドロウリジン(THU);5−クロロ−6−[1−(2−イミノピロリジニル)メチル]ウラシル塩酸塩(TPI)、イムシリンH(IH)及びエリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン(EHNA)。略語:ABAT:4−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ;ADA:アデノシンデアミナーゼ;ANT1:アデニンヌクレオチドトランスロケータ1;CDA:シチジンデアミナーゼ;cdN:細胞質デオキシリボヌクレオチダーゼ;dAdo:デオキシアデノシン;dCK:デオキシシチジンキナーゼ;dCTD:dCMPデアミナーゼ;dCtd:デオキシシチジン;dGK:デオキシグアノシンキナーゼ;dGuo:デオキシグアノシン;dlno:デオキシイノシン;DNA2:DNA複製ヘリカーゼ2;dThd:チミジン;dUrd:デオキシウリジン;ENT1:平衡型ヌクレオシドトランスポータ1;FBXL4:F−ボックス及びロイシンリッチな反復タンパク質4;mdN:ミトコンドリアデオキシリボヌクレオチダーゼ;MFN2:マイトフュージン−2;MGME1:ミトコンドリアゲノム維持エキソヌクレアーゼ1;MPV17:ミトコンドリア内膜MPV17;NDPK:ヌクレオチド二リン酸キナーゼ;NMPK:ヌクレオチド一リン酸キナーゼ;OPA1:視神経萎縮1;PNP:プリンヌクレオシドホスホリラーゼ;POLG1:ポリメラーゼガンマサブユニット1;POLG2:ポリメラーゼガンマサブユニット2;RNR:リボヌクレオチドレダクターゼ;SAMHD1:SAMドメイン及びHDドメイン含有タンパク質1;SUCLA2:β−サブユニット、スクシネート−CoAリガーゼ;SUCLG1:α−サブユニット、スクシネート−CoAリガーゼ;TK1:チミジンキナーゼ1;TK2:チミジンキナーゼ2;TP:チミジンホスホリラーゼ;TS:チミジル酸シンターゼ;Twinkle:ミトコンドリアTwinkleヘリカーゼ。
図3】表示された時間(t0、t7、t14、t21およびt26)で集められた細胞におけるmtDNAレベルを決定するために従った実験設計のスキーム。dNの安定性を培養の2〜3日後(t16〜t17)に細胞培地でモニターした。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、dNTP代謝における欠陥以外の欠陥に起因するMDDSを患っている患者にデオキシリボヌクレオシドを投与すると、mtDNAレベルの回復を達成できるという知見に基づく。ヌクレオシドは、リン酸基のないヌクレオチドとして考えることができるグリコシルアミンである。ヌクレオシドは、単に核酸塩基(窒素含有塩基とも称する)及び五炭糖(リボースまたはデオキシリボースのいずれか)からなるのに対して、ヌクレオチドは、核酸塩基と五炭糖と1つ以上のリン酸基とから構成される。ヌクレオシドにおいて、塩基は、ベータ−グリコシド結合を介してリボース又はデオキシリボースのいずれかと結合する。ヌクレオシドの例としては、シチジン、ウリジン、アデノシン、グアノシン、チミジン、及びおよびイノシンが挙げられる。
【0024】
上記で説明したように、MDDS疾患はミトコンドリアDNA(mtDNA)複製における欠陥に起因する疾患群であり、mtDNAコピー数の減少(mtDNA枯渇症候群)又は多重mtDNA欠失(mtDNA欠失症候群)のいずれかにより特徴づけられる障害を包含する。それらは、これらの種類の病理学の技術に関する参照サイトであるリンク先が存在しない(orphaned)サイト及びOnline Mendelian Inheritance in Man catalogueでよく認識されたものである。
【0025】
このミトコンドリア病群は、所定の遺伝子群における突然変異に起因する充分に認識された障害群を構成し、従ってミトコンドリア障害に関する専門家に周知である。いくつかの例では、この疾患群が呼ばれている名称は様々であり得る:mtDNA枯渇及び欠失症候群[3,4];ゲノム間の伝達(又はシグナル伝達)の欠陥[5];mtDNA複製欠陥[6];等。場合によってはこれらの名称の2以上が同じ刊行物中で共存する。
【0026】
mtDNA複製における欠陥に起因する疾患は、以下のものにおける突然変異に起因し得る:
A:mtDNA複製機構に属するタンパク質をコード化する遺伝子(図2において番号「2」で表示)[7、8、9、10、11]
B:ヌクレオシド/ヌクレオチド異化作用又は同化作用に関与するタンパク質をコード化する遺伝子(図2において番号「1」で表示)[12、13、14、15]
C:機能が未知であるか、あるいはその機能がカテゴリーA又はBに属さず、mtDNA複製プロセスと生化学的に関連づけることができないタンパク質をコード化する遺伝子(図2において番号「3」で表示)。[16、17、18、19、20、21、22、23、24]
【0027】
この分類は当業者には明確に認識されている[3、4、6、25、26、27]。
【0028】
dNTPはDNA合成の基質として複製フォークで必要とされる。哺乳類細胞は、2つの異なる代謝源、細胞質デノボ合成及びサルベージ経路からDNA合成及び修復のための前駆体を取得し、後者は細胞質及びミトコンドリアマトリックスに位置する酵素の2つの平行なセットに基づく。dNTPの合成は、DNA前駆体に関する細胞要求が最高である時点の、核DNA複製にカップリングされる。dNTPプールは複製相(S相)が終わったら、又は非分裂細胞においては、著しく減少する。デノボ合成はリボヌクレオチドレダクターゼ(RNR)の細胞質活性に基づく(それについて最近ミトコンドリアチミジル酸シンターゼが特定されたdTMPを除いて)。RNRは4つのリボヌクレオシド二リン酸全ての対応するデオキシリボヌクレオシド(dN)へのアロステリックに均衡のとれた還元を触媒して、細胞周期のS相の間に高濃度のdNTPを有する細胞を提供する。RNRは2コピーの大サブユニット(R1)と2つの小サブユニット(R2またはp53R2)とを含むヘテロ四量体である。R2は有糸分裂後期においてプロテアソーム依存的分解を受けるが、p53R2は細胞周期全体にわたって存在し、その発現は非分裂細胞においても安定なままである。核ゲノム複製とは異なって、mtDNA合成は細胞分裂から独立して起こる。p53R2によって支持される細胞質デノボ合成は、S相中にR2によって提供されるものと比較するとはるかに低いが、p53R2遺伝子上の突然変異はmtDNA枯渇に至るので、mtDNA維持に対して必須であることが証明された。
【0029】
サルベージ合成経路は、前駆体ヌクレオシドのdNMP、dNDPおよび最終的にはdNTPへの一連のリン酸化に基づく。この経路における最初の律速段階はデオキシヌクレオシドキナーゼによって不可逆的に触媒される。チミジンキナーゼ1(TK1)及びデオキシシチジンキナーゼ(dCK)はサイトゾルで機能し、一方、チミジンキナーゼ2(TK2)及びデオキシグアノシンキナーゼ(dGK)はミトコンドリア内に局在化する。サルベージ経路に関与するミトコンドリアキナーゼの突然変異は、重度のMDDSを引き起こし、そのDNA維持及び修復のためのdNTPのサルベージ供給に関するミトコンドリア依存性を証明する。更なるヌクレオチドキナーゼは4つのdNMP全てを完全にリン酸化して、DNA合成に必要である最終的な対応するdNTPにする。サイトゾル及びミトコンドリアマトリックスは独立した区画であるが、それらは活発に連絡し、今まであまり明らかにされていない担体によりミトコンドリア内膜を超えてプール成分を双方向に交換する。このクロストークの結果として、dNTPプールサイズの変化は、両区画で平行して起こると考えられる。従って、ミトコンドリアは分裂終了細胞におけるdNTPのそれら自身のサルベージ供給に関する欠陥の影響をより受けやすくなり、この場合、サイトゾルプールは大幅に減少した。
【0030】
dNTPプールサイズは、上記同化経路、DNAへの取り込み速度及びdNTP分解の原因となる分解産物反応の間のバランスに依存する。
【0031】
dNTPは、ミトコンドリアポリメラーゼガンマ(POLG)によってDNAに取り込まれる基質として複製フォークで必要とされる。mtDNA複製の正確なモードは現在議論中であるが、ポリメラーゼガンマ(POLG1によってコード化される触媒サブユニットとPOLG2によってコード化される2つの補助サブユニットとによって構成される)、Twinkleヘリカーゼ及び一本鎖結合(SSB)タンパク質によって形成される基本的なミトコンドリアレプリソームがインビトロで再構成された[28]。更なる充分に特徴づけられていない活動は、mtDNA分子(例えば、プライマーゼ、トポイソメラーゼ)の完全なインビボ複製のため、そして異なる刺激及びストレスに反応したプロセスの開始及び調整のために必要である。いくつかの例は、複製プロセス(それぞれ7SRNA、ヘリカーゼ活性の成熟)においてあるレベルで関与するタンパク質をコード化するMGME1及びDNA2遺伝子であり、その突然変異は最近、MDDSと関連づけられた。
【0032】
一実施形態において、症候群の治療は、ポリメラーゼガンマ活性を増加させることによって達成される。
【0033】
一実施形態において、1以上のデオキシリボヌクレオシドはカノニカルデオキシリボヌクレオシドである。有利なことには、そのようなデオキシリボヌクレオシドを用いると、効果の開始は、代謝産物の余分なプロセッシングが必要ないので、更に早くなり得る。加えて、カノニカルデオキシリボヌクレオシドは内在性デオキシリボヌクレオシドと実質的に同一であるので、この疾患の治療に関連する副作用の危険性が低減し得る。
【0034】
本発明の第1の態様の一実施形態において、症候群は、ミトコンドリアDNA複製機構における欠陥に起因する。
【0035】
本発明の第1の態様の別の実施形態において、欠陥は、ミトコンドリアDNA複製機構の1以上のタンパク質における1つ以上の突然変異に起因する。
【0036】
さらに別の実施形態において、タンパク質は、DNAポリメラーゼサブユニットガンマ1(POLG1)、DNAポリメラーゼサブユニットガンマ2(POLG2)、Twinkleタンパク質(PEO1)、ミトコンドリアゲノム維持エキソヌクレアーゼ1(MGME1)、及びヒトヘリカーゼ/ヌクレアーゼDNA2タンパク質からなる群から選択される。別の実施形態において、タンパク質はDNAポリメラーゼサブユニットガンマ1(POLG1)またはTwinkleタンパク質である。
【0037】
ポリメラーゼガンマは、1つの触媒サブユニット(POLG1によってコードされる)と処理能力因子及びDNA結合のモジュレータとして作用する2つの補助サブユニット(POLG2によってコードされる)とによって構成されるヘテロ三量体である。そのNCBIデータベースの受入番号はNP_001119603.1である(図1及び配列番号1としても提供)。
【0038】
POLG関連障害は、幼少期から後期成人期まで存在する広範且つ重複した一連の表現型を提示する。POLG関連障害の臨床表現型には、常染色体劣性及び優性成人発症PEO、ミオクローヌてんかん、ミオパシー、感覚性運動失調(MEMSA)症候群、ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS)、及び感覚性運動失調を含む運動失調−神経障害スペクトラム、神経障害、構音障害、眼筋麻痺(SANDO)症候群、及び肝脳MDS(Alpers−Huttenlocher症候群)が含まれる。最近、MNGIEの臨床的特徴を有するが白質脳症を有さない個体においてPOLG突然変異が特定された。
【0039】
Alpers−Huttenlocher症候群の発生率は約1:50,000であると推定されている。それは、POLG突然変異に関連し、難治性てんかん及び精神運動遅滞、神経障害、及び肝不全を伴う進行性脳症によって特徴づけられる、最も重度の表現型である。罹患者は、通常、2歳から4歳の間で発作(局所、全身性、ミオクローヌス、持続性部分てんかん、またはてんかん重積症)、典型的には視覚または視覚的前兆に関連する頭痛、低血圧、及び精神運動発達退行を提示する。疾患経過の早期で、反射消失および低血圧が存在し、後に痙攣性不全対麻痺が続いて起こり、これは数か月から数年に及び、精神運動発達退行に至る。罹患者は、トランスアミナーゼ上昇を伴う肝臓機能不全、低アルブミン血症、凝血異常、低血糖症、及び高アンモニア血を発症する。肝臓合併症は急速に進行して数ヶ月以内に末期肝不全となる可能性がある。CSFタンパク質は概して上昇する。神経画像処理は、グリオーシス及び全身性脳萎縮を示し得る。肝臓組織学は、大滴性及び小滴性脂肪肝、小葉中心性壊死、線維症、肝硬変、胆管増殖、及びミトコンドリア増殖を示し得る。mtDNA量は肝臓で減少する。疾患進行は様々であり、発症からの平均余命は3ヶ月から12年まで及ぶ。
【0040】
一実施形態において、ミトコンドリアDNA枯渇及び/又は欠失症候群はミトコンドリア複製経路における欠陥に起因し、前記欠陥はPOLG1タンパク質における以下の突然変異の1つ以上に起因する:システインによるアルギニンの位置309での突然変異[29]、セリンによるトリプトファン残基の位置748の突然変異(rs113994097)、セリンによるグリシンの位置848の突然変異(rs113994098)、グリシンによるグルタミン酸の位置1143での突然変異(rs2307441)、及びロイシンによるバリンの位置1177での突然変異。
【0041】
あるいは、本発明の第1の態様の別の実施形態において、欠陥は、ANT1、MPV17、SUCLA2、FBXL4、ABAT、SUCLG1、MFN2、及びOPA1からなる群から選択される1つ以上のタンパク質における1つ以上の突然変異に起因する。第1の態様の別の実施形態において、欠陥は、OPA1、SUCLA2、及びSUCLG1からなる群から選択されるタンパク質における1つ以上の突然変異に起因する。
【0042】
別の実施形態において、1つ以上のデオキシリボヌクレオシドはカノニカルデオキシリボヌクレオシドである。別の実施形態において、1つ以上のデオキシリボヌクレオシドは、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン、及びデオキシチミジンからなる群から選択される。更に別の実施形態において、組成物は4つのカノニカルデオキシリボヌクレオシドを含む。更に別の実施形態において、組成物は4つのカノニカルデオキシリボヌクレオシドを含み、更なるヌクレオシドを含まない(このことは、組成物が「デオキシリボヌクレオシド成分」としてこれら4つのデオキシリボヌクレオシドを一意的に含むが、賦形剤、担体等を含み得ることを意味する)。更に別の実施形態において、組成物は、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシシチジン、及びデオキシグアノシンを含む。更に別の実施形態において、組成物は、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシシチジン、及びデオキシグアノシンを含み、更なるヌクレオシドを含まない(このことは、組成物が「ヌクレオシド成分」としてこれら4つのヌクレオシドを一意的に含むが、賦形剤、担体等を含み得ることを意味する)。
【0043】
当業者は、mtDNAレベルを回復するためのデオキシリボヌクレオシドの一つひとつの量(即ち、ミトコンドリア障害の兆候及び症状を改善するために治療上有効な量)を決定することができる。別の実施形態において、組成物が複数のカノニカルデオキシリボヌクレオシドを含む場合、ヌクレオシドは等モル比で存在する。
【0044】
一実施形態において、組成物は、デオキシアデノシン(dAdo)、デオキシシチジン(dCtd)、デオキシグアノシン(dGuo)、及びデオキシチミジン(通常、チミジン、dThdと呼ばれる)からなり、全てのヌクレオシドが等モル比である組み合わせを含む。
【0045】
別の実施形態において、組成物は、1以上のヌクレオシド分解の薬剤的に許容される阻害剤を更に含む。
【0046】
最新技術の周知のヌクレオシド分解阻害剤がある。非限定的実例としては以下のものが挙げられる:dGuo分解阻害剤としてはインムシリン(Inmucilin)H又はフォロデシン、dCtd分解阻害剤としてはテトラヒドロウリジン、dThd分解阻害剤としては5−クロロ−6−[1−(2−イミノピロリジニル)メチル]ウラシル塩酸塩(TPI)、及びdAdo分解阻害剤としてはエリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン(EHNA)。図1はこれらの阻害剤の作用様式を示す。
【0047】
当業者は、mtDNAレベルを回復するための(1又は複数の)ヌクレオシドの生物学的利用能を保証するために必要な(1又は複数の)阻害剤の量を決定することができる。
【0048】
一実施形態において、組成物は、1つの薬剤的に許容されるヌクレオシド分解阻害剤を更に含む。別の実施形態において、薬剤的に許容される阻害剤は、デオキシアデノシン分解の阻害剤である。別の実施形態において、阻害剤はエリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン(EHNA)である。
【0049】
本明細書中での使用について記載されている活性成分は、そのような組成物が経口、直腸、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内等)、又は吸入経路、浸透圧ポンプ、局所、眼等による送達に適するように選択された薬剤的に好適な賦形剤又は担体を用いて処方することができる。
【0050】
軟膏は、脂肪状、ワックス状、又は合成基剤中に組み込まれた活性成分からなる半固体製剤である。
【0051】
好適なクリームの例としては、油中水及び水中油エマルジョンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。油中水クリームは、セチルアルコール又はセトステアリルアルコール等の脂肪族アルコールの乳化剤及び乳化ワックスに類似しているが、これらに限定されない特性を有する好適な乳化剤を使用することによって処方することができる。水中油クリームは、セトマクロゴール乳化ワックス等の乳化剤を使用して処方することができる。好適な特性には、エマルジョンの粘度を修飾する能力並びに広範囲のpHにわたる物理的及び化学的安定性が含まれる。水溶性又は混和性クリーム基剤は、防腐系を含んでもよく、また緩衝して許容される生理的pHを維持することができる。
【0052】
上記局所投与法に加えて、本発明の化合物を全身投与する様々な方法がある。1つのそのような手段は、対象者が吸引する活性化合物からなる呼吸域粒子のエアゾル懸濁液を含む。活性化合物は肺を介して血流中に吸収され、薬剤的に有効な量で体循環と接触する。呼吸域粒子は、吸入に際して口及び喉頭を通過するのに十分小さい粒子サイズを有する液体又は固体であり得る。
【0053】
対象に活性化合物を全身投与する別の手段は、液剤の点鼻薬の形態の液体/液体懸濁液、又は対象が吸入する呼吸域粒子の鼻腔用スプレーの形態での投与を含む。鼻腔用スプレー又は点鼻薬を製造するための活性化合物の液体医薬組成物は、当業者に公知の技術によって滅菌パイロジェンフリー水又は滅菌食塩水等の好適なビヒクルと活性化合物とを組み合わせることによって調製することができる。
【0054】
活性化合物の全身投与の他の手段は、式Iの化合物を含む医薬組成物が、固体、溶液、エマルジョン、分散液、ミセル、リポソーム等の形態である経口投与を含み、結果として得られる処方は、鼻、経腸、又は非経口適用に適した有機又は無機担体又は賦形剤との混合物で、本明細書における使用について想定された活性化合物を含む。活性成分は、例えば、錠剤、ペレット、カプセル、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、分散可能な粉末又は顆粒、坐剤、溶液、エマルジョン、懸濁液、ハード又はソフトカプセル、カプレット又はシロップ又はエリキシル及び使用に適した任意の他の形態のための通常の非毒性の薬剤的又は生理学的に許容される担体と配合することができる。使用できる担体としては、アカシアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプンペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ジャガイモデンプン、尿素、中鎖長トリグリセリド、デキストラン、及び固体、半固体、又は液体形態の、製剤の製造で使用するのに適した他の担体が挙げられる。更に、補助剤、安定剤、増粘剤、及び着色剤を使用することができる。本明細書中での使用のために想定される活性化合物は、投与されると所望の効果をもたらすために充分な量(即ち、治療上有効な量)で製剤処方中に含まれる。
【0055】
経口送達システム開発の当業者は慣習的基準を用いて選択できるので、粉末、溶液、懸濁液、又は錠剤は生理学的に適合性のビヒクル中に活性化合物を含む。例えば、そのような処方は、薬剤的に洗練された味の良い製剤を提供するために、香味剤(例えばペパーミント、ウィンターグリーン油、又はチェリー)、着色剤、保存剤等から選択される1以上の薬剤を含んでもよい。非毒性で薬剤的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含む錠剤は公知方法によって製造することもできる。使用する賦形剤は、例えば、(1)炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム等の不活性希釈剤、(2)コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸等の造粒剤および崩壊剤、(3)トラガカントガム、コーンスターチ、ゼラチン、アカシア等の結合剤、並びに(4)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク等の潤滑剤であってよい。錠剤はコーティングされていなくてもよいし、又は公知技術によってコーティングして、胃腸管中での崩壊及び吸収を遅らせ、それによってより長時間にわたって作用を持続させることができる。例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレート等の時間遅延材料を用いてもよい。
【0056】
経口使用のための処方がハードゼラチンカプセルの形態である場合、活性成分を、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン等と混合することができる。それらはまた、活性成分が水又は油媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィン、オリーブ油等と混合されているソフトゼラチンカプセルの形態であってもよい。
【0057】
対象に対して活性化合物を全身投与する更なる手段は、治療上有効な量の化合物が体循環に達するような活性化合物の坐剤形態を含む。
【0058】
投与される活性化合物の特定の処方の溶解度に応じて、ミトコンドリア障害の兆候及び症状を改善する一日用量を1又は複数の単位用量投与に分割することができる。
【0059】
明細書及び特許請求の範囲全体にわたって、「含む(comprise)」の語及びこの語の変化形は、他の技術的特徴、添加剤、成分、又はステップを排除することを意図しない。更に、「含む(comprise)」の語は、「からなる(consisting of)」の場合を包含する。発明の更なる目的、利点、及び特徴は、記載の精査により当業者には明らかになるか、又は発明の実施によりわかる可能性がある。以下の実施例を実例として提供し、それらは発明を限定することを意図しない。更に、本発明は本明細書中で記載する特定の好ましい実施形態のあらゆる可能な組み合わせを対象とする。
【実施例】
【0060】
1.方法
患者
POLG欠損症を患っている3人の患者由来の細胞を実験に採用した。全ての対象は我々の治験審査委員会及びヘルシンキ宣言に従ってインフォームドコンセントを提出した。POLGにおける突然変異(RefSeq NP_001119603.1)はサンガー法シーケンシングによって3人の患者全てにおいて特定された。全DNAを、線維芽細胞からQiaAMP Mini(Qiagen)を用いて単離し、関心対象の突然変異部位を含む約500bpのフラグメントを、下記プライマー対及びrTaq(Takara)を用いて従来型PCRによって増幅した:
【0061】
使用したプライマーは以下のとおりであった:
プライマー1(R309C、925 c→t)
順方向プライマー GTCCACACCACCAAGCAGT(配列番号2)
逆方向プライマー GGTCCCAAGCACTATGCTCC(配列番号3)
プライマー2 (W748S c.2243G→C)
順方向プライマー CCTTGCTGAATGCAGGTGCT(配列番号4)
逆方向プライマー TGTGCCTGAAATCACACTCTGT(配列番号5)
プライマー3(G848S c.2542G→A)
順方向プライマー ATGGTCTGCTGAGTGGTTGT(配列番号6)
逆方向プライマー CCCTCAGAGCCCAGTTTCTAC(配列番号7)
プライマー3(E1143G c.3428A→G)
順方向プライマー CCCAGTTTATGACCAGCCGT(配列番号8)
逆方向プライマー CAAGGAACGCTCACCCAAAG(配列番号9)
プライマー4(V1177L c.3529G→C)
順方向プライマー AGGGGAAGCCCTGCTCTAAG(配列番号10)
逆方向プライマー ACAAATGTGTTGTGCTCACCC(配列番号11)
【0062】
シーケンシング反応を、同じプライマー及びBigDye v3.1シーケンシングキット(Life Technologies)を用いて実施し、BigDye X−Terminator精製キット(Life Technologies)によって精製し、そしてABI 3130シーケンサー(Applied Biosystems)で配列決定した。患者1(p.R309C突然変異についてホモ接合性)は重度の神経学的表現型(神経障害、脳症、MNGIE様)を患っていて、20歳で死に至った;患者2(p.W748S及びp.G848S突然変異について複合ヘテロ接合体)は重症度の低い表現型であるが主に神経学的(神経障害、神経科的症状、MNGIE様)を患っていた;患者3(シスp.V1177L及びp.E1143Gにおける2つの優性アミノ酸変化についてヘテロ接合体)はPEO(進行性外眼筋麻痺)、神経科的症状及び近位筋脱力の優性遺伝の周知のパターンを提示した。3人の患者全てからの骨格筋はmtDNA欠失の蓄積を示したが、顕著な枯渇は示さなかった。
【0063】
細胞培養
初代培養線維芽細胞を患者1〜3及び4人の健常ドナーの皮膚バイオプシーから入手した。全ての対象は我々の治験審査委員会及びヘルシンキ宣言にしたがってインフォームドコンセントを提出した。
【0064】
細胞を、37℃及び5%COの加湿インキュベータ中で、2mMのL−グルタミン、100U/mLのペニシリン及びストレプトマイシンを追加した4.5g/Lのグルコース、並びに10%透析ウシ胎仔血清(FBS)(Invitrogen)を含むダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)中、9.5cmの6ウェルプレート中に播種した。緊密なコンフルエンスに達した後、FBSを0.1%まで減じて休止を誘導し、そして5ng/mlのEtBr(エチジウムブロマイド、Merck)での同時処理を開始した(0日、t0)。細胞培地を同じ処理で2〜3日ごとに2週間置換した。第14日(t14)に、EtBrを細胞培地から除去し、全ての細胞のセットの処理を200μΜの4つのデオキシヌクレオシド(dN)全て:dAdo(デオキシアデノシン、Sigma)、dCtd(デオキシシチジン、Sigma)、dGuo(デオキシグアノシン、Sigma)、dThd(デオキシチミジン、Sigma)、及び5μΜのEHNA(Sigma)で開始した。細胞のセットを未処理のままにし、全てのパラメータを平行してモニターした。細胞培地を同じ処理で2〜3日おきに更に12日間置換した。第16又は17日に、培地を集め、更に使用するまで−20℃で保存した。DNA分析のために、細胞を第0、7、14、21、及び26日にトリプシン処理によって収集し、リン酸緩衝食塩水で洗浄し、ペレット化し、そしてDNA単離まで−20℃で保存した(図2)。QiaAMP DNA mini kit(Qiagen)を使用して全DNAを単離した。
【0065】
細胞培養培地中のデオキシヌクレオシド安定性の評価
dN及びいくつかの関連する代謝産物を、タンデム質量分析と結合した液体クロマトグラフィー(LC−MS/MS)によって、Acquity UPLC−MS/MS装置(Acquity UPLC−Xevo(商標)TQ Mass Spectrometer,Waters,Milford,MA)を使用して、以前に記載されているようにして測定した[2]。細胞培地を14,000×g及び4℃で30分間限界ろ過(3kDa Amicon Ultra filters,Millipore)によってタンパク質除去した後、LC−MS/MSシステムに注入した。
【0066】
mtDNA調査
mtDNAコピー数は以前に記載されたように定量的PCRにより評価した[2]。
【0067】
PCR条件及びNishigaki et al.[30]で開示されたプライマーに従ってロングレンジPCRブロットによってmtDNA欠失を調査した:
【0068】
順方向プライマー(F1142〜1516):
ACCGCCCGTCACCCTCCTCAAGTATACTTCAAAGG(配列番号12)
逆方向プライマー(R1180〜1146):
ACCGCCAGGTCCTTTGAGTTTTAAGCTGTGGCTCG(配列番号13)
【0069】
2.結果
EtBr曝露はPOLG欠損休止線維芽細胞においてより大きなmtDNA枯渇を誘導する。
【0070】
mtDNA枯渇の治療可能性を試験する場合の重要な制限は、多くの場合、MDDS患者由来の細胞が細胞培養においてmtDNA異常を示さないという事実である。この理由から、mtDNA複製に影響を及ぼす分子欠陥を証明するために、異なるモデルが開発された。EtBr曝露は、培養された細胞においてmtDNA枯渇させるため、そして正常なmtDNAレベルを回復するそれらの複製能力を分析するために、最新技術で繰り返し用いられてきた(Pontarinet al.“Mammalian ribonucleotide reductase subunit p53R2 is required for mitochondrial DNA replication and DNA repair in quiescent cells”,2012,PNAS,v.109(33),pages 13302−13307)。mtDNA枯渇を健常対照とPOLG欠損静止細胞の両方において、5ng/mlのEtBrに14日間曝露することによって誘導した。すべての細胞において著しいmtDNA枯渇が観察された。しかしながら、全てのPOLG欠損細胞は、健常対照から得られた線維芽細胞株において観察されるものと比べて線維芽細胞株においてより高度のmtDNA枯渇を経験した(mtDNA残留レベル±SEの平均百分率:17.5±2,3%、対照細胞:39.68±6.6%)。このデータは、POLG突然変異に起因する分子欠陥が複製プロセスのEtBr障害を悪化させ得ることを示唆する。
【0071】
POLG欠損線維芽細胞は、dN+EHNAの組み合わせで処理された場合、EtBr強制枯渇後のmtDNAレベルを完全に回復する。
【0072】
EtBr除去後、4つのdN全てで細胞培養培地の補足のmtDNAレベル回復に対する影響を調査した。dAdoが細胞外及び細胞内酵素分解に特に敏感であることが、主にADA(アデノシンデアミナーゼ)によって以前に報告された[2]。従って、dAdo異化作用の部分阻害を発揮し、その安定性を改善するために、培地に等モル濃度の全ての4つのカノニカルdN(200μΜのdGuo、dAdo、dThd、及びdCtd)+5μΜのEHNA(Sigma)を添加した。Camara Y.et al.,2014[2]で開示されたものと同じプロトコルにしたがって、16〜17日で、添加されたdNの濃度を測定し、また2〜3日ならし培地中のそれらの誘導代謝産物の一部を測定した。部分分解にもかかわらず、全ての場合で残存する全てのdNの濃度は最初に添加されたものの70%より高かった(表2)。対照又は患者由来の細胞からの馴らし培地間でdN安定性における有意差は観察されなかった。
【0073】
【表1】
【0074】
結果は、3つの異なるPOLG欠損細胞株及び4つの対照細胞株からの平均±SDである。dUrd:デオキシウリジン;dIno:デオキシイノシン。
【0075】
mtDNA回復を、dN補足の存在下または不在下のいずれかでEtBr除去の前後でモニターした(Camara Y.et al.,2014[2]のプロトコルと同じプロトコルに従う)。対照細胞からのmtDNAコピー数はdN処置に関係なくEtBr除去の12日後に初期レベルの100%を超える値に達した(mtDNA残留レベル±SEの平均百分率:129.8±35.2%処置なし、153.9±40.6%処置あり)。反対に、POLG欠損細胞はdNを追加しなければ正常なmtDNAレベルを回復できなかった(26.6±1.5%)。
【0076】
【表2】
【0077】
値は、0日のmtDNAコピー数に対するmtDNAコピー数の百分率として表す。EtBrで誘発された枯渇の後、細胞を実験第14日からdN+EHNAで処理するか又は処理しない。
【0078】
表3に示す結果から、カノニカルヌクレオシドの投与により、MDDS患者において健常な対象で見られるものに匹敵するmtDNAレベルを達成するのが可能になると結論づけることができる(150.3±21.9%、表3)。従って、このデータは、ヌクレオシドの投与が、dNTP代謝欠陥におけるもの以外の欠陥に起因するMDDSを患っている患者において、mtDNAレベルを「健康な」状態に関連するレベルまで回復できることを表し、この種類の疾患の治療における組み合わせの治療可能性を表す。
【0079】
引用文献
1.Garone C,Garcia−Diaz B,Emmanuele V,Lopez LC,Tadesse S,et al.(2014)Deoxypyrimidine monophosphate bypass therapy for thymidine kinase 2 deficiency.EMBO Molecular Medichine 6:1016−1027.
2.Camara Y,Gonzalez−Vioque E,Scarpelli M,Torres−Torronteras J,Caballero A,et al.(2014)Administration of deoxyribonucleosides or inhibition of their catabolism as a pharmacological approach for mitochondrial DNA depletion syndrome.Human Molecular Genetics 23:2459−2467.
3.Camara Y,Gonzalez−Vioque E,Scarpelli M,Torres−Torronteras J,Marti R(2013)Feeding the deoxyribonucleoside salvage pathway to rescue mitochondrial DNA.Drug Discov Today 18:950−957.
4.Suomalainen A,Isohanni P(2010)Mitochondrial DNA depletion syndromes−many genes,common mechanisms.Neuromuscul Disord 20:429−437.
5.Spinazzola A,Zeviani M(2005)Disorders of nuclear−mitochondrial intergenomic signaling.Gene 354:162−168.
6.Copeland WC(2012)Defects in mitochondrial DNA replication and human disease.Crit Rev Biochem Mol Biol 47:64−74.
7.Naviaux RK,Nyhan WL,Barshop BA,Poulton J,Markusic D,et al.(1999)Mitochondrial DNA polymerase gamma deficiency and mtDNA depletion in a child with Alpers’ syndrome.Ann Neurol 45:54−58.
8.Hakonen AH,Isohanni P,Paetau A,Herva R,Suomalainen A,et al.(2007)Recessive Twinkle mutations in early onset encephalopathy with mtDNA depletion.Brain 130:3032−3040.
9.Kornblum C,Nicholls TJ,Haack TB,Scholer S,Peeva V,et al.(2013)Loss− of−function mutations in MGME1 impair mtDNA replication and cause multisystemic mitochondrial disease.Nat Genet.
10.Ronchi D,Di Fonzo A,Lin W,Bordoni A,Liu C,et al.(2013) Mutations in DNA2 Link Progressive Myopathy to Mitochondrial DNA Instability.Am J Hum Genet.
11.Longley MJ,Clark S,Yu Wai Man C,Hudson G,Durham SE,et al.(2006) Mutant POLG2 disrupts DNA polymerase gamma subunits and causes progressive external ophthalmoplegia.Am J Hum Genet 78:1026−1034.
12.Mandel H,Szargel R,Labay V,Elpeleg O,Saada A,et al.(2001) The deoxyguanosine kinase gene is mutated in individuals with depleted hepatocerebral mitochondrial DNA.Nat Genet 29:337−341.
13.Saada A,Shaag A,Mandel H,Nevo Y,Eriksson S,et al.(2001) Mutant mitochondrial thymidine kinase in mitochondrial DNA depletion myopathy.Nat Genet 29:342−344.
14.Bourdon A,Minai L,Serre V,Jais JP,Sarzi E,et al.(2007) Mutation of RRM2B,encoding p53−controlled ribonucleotide reductase (p53R2),causes severe mitochondrial DNA depletion.Nat Genet 39:776−780.
15.Nishino I,Spinazzola A,Hirano M (1999) Thymidine phosphorylase gene mutations in MNGIE,a human mitochondrial disorder.Science 283:689−692.
16.Rouzier C,Bannwarth S,Chaussenot A,Chevrollier A,Verschueren A,et al.(2012) The MFN2 gene is responsible for mitochondrial DNA instability and optic atrophy ’plus’ phenotype.Brain 135:23−34.
17.Renaldo F,Amati−Bonneau P,Slama A,Romana C,Forin V,et al.(2012) MFN2,a new gene responsible for mitochondrial DNA depletion.Brain.
18.Ostergaard E,Schwartz M,Batbayli M,Christensen E,Hjalmarson O,et al.(2005) A novel missense mutation in SUCLG1 associated with mitochondrial DNA depletion,encephalomyopathic form,with methylmalonic aciduria.Eur J Pediatr 169:201−205.
19.Amati−Bonneau P,Valentino ML,Reynier P,Gallardo ME,Bornstein B,et al.(2008) OPA1 mutations induce mitochondrial DNA instability and optic atrophy ’plus’ phenotypes.Brain 131:338−351.
20.Blakely EL,Butterworth A,Hadden RD,Bodi I,He L,et al.(2012) MPV17 mutation causes neuropathy and leukoencephalopathy with multiple mtDNA deletions in muscle.Neuromuscul Disord 22:587−591.
21.Spinazzola A,Viscomi C,Fernandez−Vizarra E,Carrara F,D’Adamo P,et al.(2006) MPV17 encodes an inner mitochondrial membrane protein and is mutated in infantile hepatic mitochondrial DNA depletion.Nat Genet 38:570−575.
22.Wedding IM,Koht J,Tran GT,Misceo D,Selmer KK,et al.(2014) Spastic paraplegia type 7 is associated with multiple mitochondrial DNA deletions.PLoS One 9:e86340.
23.Bonnen PE,Yarham JW,Besse A,Wu P,Faqeih EA,et al.(2013) Mutations in FBXL4 cause mitochondrial encephalopathy and a disorder of mitochondrial DNA maintenance.Am J Hum Genet 93:471−481.
24.Gai X,Ghezzi D,Johnson MA,Biagosch CA,Shamseldin HE,et al.(2013) Mutations in FBXL4,encoding a mitochondrial protein,cause early−onset mitochondrial encephalomyopathy.Am J Hum Genet 93:482−495.
25.Nogueira C,Almeida LS,Nesti C,Pezzini I,Videira A,et al.(2014) Syndromes associated with mitochondrial DNA depletion.Ital J Pediatr 40:34.
26.Copeland WC (2008) Inherited mitochondrial diseases of DNA replication.Annu Rev Med 59:131−146.
27.Copeland WC (2014) Defects of mitochondrial DNA replication.J Child Neurol 29:1216−1224.
28.Korhonen JA,Pham XH,Pellegrini M,Falkenberg M (2004) Reconstitution of a minimal mtDNA replisome in vitro.Embo J 23:2423−2429.
29.Amiot A,Tchikviladze M,Joly F,Slama A,Hatem DC,et al.(2009) Frequency of mitochondrial defects in patients with chronic intestinal pseudo−obstruction.Gastroenterology 137:101−109.
30.Nihigaki Y,Marti R,Hirano M (2004) ND5 is a hot−spot for multiple atypical mitochondrial DNA deletions in mitochondrial neurogastrointestinal encephalomyopathy.Human Molecular Genetics 13:91−101.
図1
図2
図3
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]