特許第6885554号(P6885554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上野精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6885554-回転式部品搬送装置 図000002
  • 特許6885554-回転式部品搬送装置 図000003
  • 特許6885554-回転式部品搬送装置 図000004
  • 特許6885554-回転式部品搬送装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6885554
(24)【登録日】2021年5月17日
(45)【発行日】2021年6月16日
(54)【発明の名称】回転式部品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20210603BHJP
   H01L 21/67 20060101ALI20210603BHJP
   B65G 47/91 20060101ALN20210603BHJP
【FI】
   B65G47/86 G
   H01L21/68 E
   !B65G47/91 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-151483(P2020-151483)
(22)【出願日】2020年9月9日
【審査請求日】2020年9月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591048070
【氏名又は名称】上野精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】増田 高之
(72)【発明者】
【氏名】星出 晃都
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5975556(JP,B1)
【文献】 特開2005−302919(JP,A)
【文献】 特表2015−513992(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/087682(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/84−47/86
H05K 13/00−13/08
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、前記回転体の回転により生じる遠心力が前進方向にかかる配置で該回転体に進退可能に取り付けられ、電子部品を支持する支持部材とを有して、前記電子部品を搬送する回転式部品搬送装置において、
前記回転体の停止中、前記支持部材を前進させる力及び該支持部材を後退させる力の少なくとも一方を発生して該支持部材を移動させる駆動源と、
前記回転体の回転により遠心力が生じている前記支持部材の前進を妨げて、該支持部材を固定し、前記駆動源による前記支持部材の移動時には該支持部材の固定が解除される停止手段と
前記駆動源により前記支持部材が移動する方向とは反対の方向に該支持部材を移動させる弾性力を発生する弾性部材とを備えることを特徴とする回転式部品搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転式部品搬送装置において、前記停止手段は、磁力によって前記支持部材の前進を妨げる永久磁石であることを特徴とする回転式部品搬送装置。
【請求項3】
請求項1記載の回転式部品搬送装置において、前記停止手段は、磁力の発生によって前記支持部材の前進を妨げる電磁石であることを特徴とする回転式部品搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転式部品搬送装置において、前記支持部材と共に進退可能に前記回転体に取り付けられ、該支持部材の軸心周りに該支持部材を回転させる力を発生するモータを更に備えることを特徴とする回転式部品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を搬送する回転式部品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエハから電子部品を取得して搬送する設備では、電子部品を吸着する吸着部材が進退して、ウエハから電子部品を取得する装置や(特許文献1参照)、吸着部材が取り付けられた回転体を回転させて吸着部材に吸着されている電子部品を搬送する装置(特許文献2参照)や、回転体に吸着部材が進退自在に取り付けられている装置が利用されている。
【0003】
回転体に吸着部材が進退自在に取り付けられている装置は、回転体の回転時に生じる遠心力によって前進(回転体の外周側に移動)しようとする吸着部材をコイルスプリング等の弾性部材で支持して、吸着部材の所定以上の前進を防ぐ。ウエハに貼付されている電子部品を吸着部材で吸着する際には、モータ等の駆動手段の作動によって弾性部材の弾性力に抗した力を発生させて吸着部材を前進させる。
【0004】
吸着部材が電子部品に接触した際に電子部品に与えられる負荷は、駆動手段が発生させた力と弾性部材の弾性力との差分となる。従来、吸着部材には他の部材等が取り付けられておらず、しかも、吸着部材は軽量であることから、弾性係数が小さな弾性部材を採用していた。そのため、吸着部材の電子部品への接触時に電子部品にかかる負荷を所定値以下とする調整を安定的に行うことができていた。電子部品は大きな負荷がかかると損傷等が生じるので、電子部品にかかる負荷を所定値以下とすることは重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−186298号公報
【特許文献2】特開2006−108193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、吸着部材に、モータ等を装着しようとすると、従来の弾性部材より弾性係数が大きい弾性部材を採用する必要があり、従来の駆動手段より大きい力を発生させる駆動手段によって弾性部材の弾性力に抗して吸着部材を前進させることとなる。この場合、電子部品に与えられる負荷を所定値以下とする制御を安定的に行うことができないという課題が生じる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、吸着部材等の支持部材から電子部品に与えられる負荷を安定的に所定値以下とする制御が可能な回転式部品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る回転式部品搬送装置は、回転体と、前記回転体の回転により生じる遠心力が前進方向にかかる配置で該回転体に進退可能に取り付けられ、電子部品を支持する支持部材とを有して、前記電子部品を搬送する回転式部品搬送装置において、前記回転体の停止中、前記支持部材を前進させる力及び該支持部材を後退させる力の少なくとも一方を発生して該支持部材を移動させる駆動源と、前記回転体の回転により遠心力が生じている前記支持部材の前進を妨げて、該支持部材を固定し、前記駆動源による前記支持部材の移動時には該支持部材の固定が解除される停止手段と、前記駆動源により前記支持部材が移動する方向とは反対の方向に該支持部材を移動させる弾性力を発生する弾性部材とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る回転式部品搬送装置は、回転体の停止中、支持部材を前進させる力及び支持部材を後退させる力の少なくとも一方を発生して支持部材を移動させる駆動源と、回転体の回転により遠心力が生じている支持部材の前進を妨げて、支持部材を固定し、駆動源による支持部材の移動時には支持部材の固定が解除される停止手段とを備えるので、回転体の回転時に支持部材の所定以上の前進を、従来の弾性部材より弾性係数が大きい弾性部材を用いて防ぐ必要がなく、前進した支持部材から電子部品に与えられる負荷を安定的に所定値以下とする制御が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る回転式部品搬送装置の説明図である。
図2】吸着部材及びそれを進退させる仕組みを示す説明図である。
図3】(A)、(B)は、吸着部材が前進する様子を説明する説明図である。
図4】(A)、(B)は、吸着部材が後退する様子を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る回転式部品搬送装置10は、回転体11と、回転体11の回転により生じる遠心力が前進方向にかかる配置で回転体11に進退可能に取り付けられ、電子部品Wを支持する支持部材の一例である吸着部材12とを有して、電子部品Wを搬送する装置である。以下、詳細に説明する。
【0011】
回転体11は、図1図2に示すように、円盤状であり、水平配置され、回転体11に連結された図示しないモータの間欠的な作動によって鉛直に配された回転軸11aを基準にして、所定角度の回転及び停止を繰り返す。回転体11の上面には、図2に示すように、それぞれ回転体11の半径方向に沿って配された複数の棒状のガイド13が固定され、各ガイド13には、2つのスライドブロック14を介して水平配置された板状のベース台15が進退自在に取り付けられている。
【0012】
各ベース台15の上面には、出力軸に吸着部材12が連結されたモータ16が固定されている。従って、各吸着部材12は、モータ16、ベース台15及びスライドブロック14と共に回転体11の半径方向外側及び内側に進退可能となっている(即ち、モータ16は、吸着部材12と共に進退可能に回転体11に取り付けられている)。本実施の形態では、吸着部材12の前進方向及び後退方向が、回転体11の半径方向外側及び回転体11の半径方向内側にそれぞれ対応する。
モータ16の出力軸は、回転体11の半径方向に配され、吸着部材12の中心に連結されている。モータ16は、出力軸の回転によって、吸着部材12の軸心周りに(中心を基準に)吸着部材12を回転させる力を発生する。なお、図1において、ガイド13やベース台15等の記載は省略されている。
【0013】
1つの吸着部材12、1つのガイド13、2つのスライドブロック14、1つのベース台15及び1つのモータ16を有するユニットを、部品支持ユニット17として、本実施の形態では、回転体11の外周に沿って8つの部品支持ユニット17(吸着部材12)が等ピッチで設けられている。
回転体11は、一度の回転動作によって、部品支持ユニット17(吸着部材12)の配置ピッチに相当する45°の回転(回転軸11aを中心とした時計回りの回転)を行う。従って、回転式部品搬送装置10には、部品支持ユニット17(吸着部材12)の停止位置が8つ設けられている。
【0014】
各部品支持ユニット17において、吸着部材12は、モータ16に対し回転体11の半径方向外側に位置し、平面視して、回転体11の外側に突出している。図示しない真空ポンプが連通された吸着部材12は、真空圧によって電子部品Wを吸着し、吸着している電子部品Wを大気開放もしくは真空破壊によって解放する。
【0015】
吸着部材12に吸着される電子部品Wは、例えば、ダイオード、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、IC(Integrated Circuit)であり、図1図2に示すように、ウエハリングRによって鉛直に配されて固定されたウエハシートSに貼付されている。なお、図1図2は、ウエハシートSに2個の電子部品Wが貼付されているように記載しているが、実際には多数(例えば、数百個)の電子部品Wが貼付されている。
【0016】
また、図1に示すように、回転体11を基準にして、ウエハシートSの反対側には、電子部品Wが貼付されるウエハシートS’が設けられている。ウエハシートS’はウエハシートSに平行して配された状態でウエハリングR’に固定されている。
回転体11が停止している状態で、一の部品支持ユニット17の吸着部材12がウエハシートSに対向して配され、回転体11の中心を基準にして、その部品支持ユニット17の反対側に配された部品支持ユニット17の吸着部材12がウエハシートS’に対向して配される。
【0017】
ベース台15には、図2に示すように、回転体11の半径方向内側に、強磁性体である立設片18が固定され、回転体11には、立設片18を貫通したロッド19を水平に支持した支持材20が固定されている。支持材20は、立設片18に対し回転体11の半径方向内側に配置され、支持材20と立設片18の間には、支持材20に固定された停止手段の一例である永久磁石21が配されている。
【0018】
ロッド19は、回転体11の半径方向外側の端部が、永久磁石21の回転体11の半径方向外側の端部より、回転体11の半径方向外側に位置し、ロッド19には、両端が支持材20及び立設片18にそれぞれ固定されているコイルスプリング22(弾性部材の一例)が装着されている。
平面視して、ベース台15の回転体11の半径方向外側端部には、回転体11の外側で鉛直に配された垂下体24の上端が連結されている。立設片18及び垂下体24はそれぞれ、部品支持ユニット17を構成する部材である。
【0019】
回転体11が回転中、永久磁石21は、図2に示すように、部品支持ユニット17に生じる遠心力に抗して、磁力により立設片18を永久磁石21に密着した状態、即ち、部品支持ユニット17を固定した状態を維持する。本実施の形態では、立設片18が永久磁石21に密着している際の吸着部材12の位置が後退位置である。従って、永久磁石21は、磁力によって回転体11の回転により遠心力が生じている吸着部材12の前進を妨げ、吸着部材12を後退位置で固定することとなる。
【0020】
また、回転体11の下方には、ウエハシートSに対向する位置及びウエハシートS’に対向する位置に、ボイスコイルモータ25(駆動源の一例)及び図示しないボイスコイルモータ(駆動源の一例)がそれぞれ設けられている。ボイスコイルモータ25は、回転体11の半径方向に移動可能な可動軸26を有し、吸着部材12がウエハシートSに対向して停止した部品支持ユニット17に対応する垂下体24を、可動軸26によって、回転体11の半径方向外側に押して、吸着部材12(部品支持ユニット17)をウエハシートSに向けて前進させることができる。本実施の形態では、ウエハシートSに貼付されている電子部品Wに吸着部材12が接触する際の吸着部材12の位置を前進位置とする。
【0021】
ウエハシートS’に対向して配置されたボイスコイルモータは、ボイスコイルモータ25と同じ構造であり、吸着部材12がウエハシートS’に対向して停止した部品支持ユニット17に対応する垂下体24を、可動軸で、回転体11の半径方向外側に押して、吸着部材12(部品維持ユニット17)をウエハシートS’に向けて前進させることができる。本実施の形態では、吸着部材12に吸着されている電子部品WがウエハシートS’に貼付される際の吸着部材12の位置が前進位置である。
【0022】
回転式部品搬送装置10は、ウエハシートSに貼付された電子部品Wを吸着部材12で取得して吸着し、電子部品Wが貼付されていないウエハシートS’に貼り付ける処理を行う。以下、当該処理の動作について説明する。
電子部品Wを吸着していない吸着部材12が、図2に示すように、ウエハシートSに対向した位置で一時停止した状態で、ボイスコイルモータ25が作動し、可動軸26が回転体11の半径方向外側(吸着部材12の前進方向)に移動する。
【0023】
可動軸26は、図3(A)に示すように、垂下体24に接触し、部品支持ユニット17(吸着部材12)をウエハシートSに向けて前進させる。これによって、吸着部材12は、図3(B)に示すように、後退位置から前進位置まで前進し、ウエハシートSに貼付されている電子部品Wに接触して吸着する。
このとき、ボイスコイルモータ25は、永久磁石21による立設片18を固定する力より大きい力を発生させて、部品支持ユニット17を前進させる。
【0024】
そのため、ボイスコイルモータ25は、回転体11の停止中、吸着部材12を後退位置から前進位置まで前進させる力を発生して吸着部材12を移動させることとなり、永久磁石21は、ボイスコイルモータ25の作動による吸着部材12の前進時(即ち、吸着部材12の移動時)に、後退位置での吸着部材12の固定が解除される。なお、ボイスコイルモータ25による吸着部材12の後退位置から前進位置までの前進は、回転体11が停止した際に必ず行われるものではなく、必要に応じて行われる。ここで、吸着部材12が前進位置に配された状態で、立設片18(部品支持ユニット17)には、コイルスプリング22から、回転体11の半径方向内側向きの弾性力が与えられる。
【0025】
吸着部材12が前進位置で電子部品Wを吸着した後、可動軸26は、図4(A)に示すように、回転体11の半径方向内側(吸着部材12の後退方向)に移動し、部品支持ユニット17(吸着部材12)は、コイルスプリング22から立設片18に与えられている弾性力によって、吸着部材12が吸着している電子部品Wと共に後退する。
【0026】
ここで、コイルスプリング22は、吸着部材12を前進位置から後退位置まで後退させる弾性力(即ち、ボイスコイルモータ25により吸着部材12が移動する方向とは反対の方向に吸着部材12を移動させる駆動力)を発生するように設計されている。そのため、可動軸26が、図4(B)に示すように、垂下体24に非接触となるまで回転体11の半径方向内側に移動することによって、吸着部材12は後退位置に配される。本実施の形態では、吸着部材12が後退位置に配された状態で、コイルスプリング22が自然長となる。
【0027】
これによって、立設体18は永久磁石21に密着し、部品支持ユニット17(吸着部材12)は、吸着部材12が後退位置に配された状態で、永久磁石21の磁力により固定される。
そして、回転体11が回転し、吸着部材12は吸着している電子部品Wと共に移動する。吸着部材12に吸着されている電子部品Wは、回転体11が回転及び停止を複数回(本実施の形態では4回)繰り返すことで、ウエハシートS’に対向して配置される。本実施の形態では、吸着部材12に吸着されている電子部品Wは、ウエハシートS’に対向して配置されるまでに、必要に応じて、モータ16により回転されてウエハシートS’に対する角度が調整される。
【0028】
吸着部材12がウエハシートS’に対向して一時停止した部品支持ユニット17は、ボイスコイルモータ25の作動による可動軸26の回転体11の半径方向外側への移動によって、吸着部材12に吸着されている電子部品Wと共にウエハシートS’に向けて前進する。これによって、吸着部材12が後退位置から前進位置まで前進し、吸着部材12に吸着されている電子部品WがウエハシートS’に貼り付けられる。
【0029】
そして、吸着部材12は電子部品Wの吸着状態(支持状態)を解除し、部品支持ユニット17は、可動軸26の回転体11の半径方向内側への移動に伴い、コイルスプリング25の弾性力によって後退する、これにより、立設片18は永久磁石21に接触し、吸着部材12は後退位置に配されて固定される。吸着部材12が後退位置で固定された部品支持ユニット17は、回転体11の回転によって移動する。
【0030】
ここまで説明した回転式部品搬送装置10は、回転体11が回転中に吸着部材12を固定する停止手段として、永久磁石21を有していたが、停止手段は永久磁石21に限定されない。例えば、永久磁石21の代わりに、通電されて磁力を発生させる電磁石を採用することができる。停止手段に電磁石を採用する場合、電磁石は、回転体11の回転により遠心力が生じている吸着部材12の前進を磁力の発生によって妨げる。可動軸26の前進により吸着部材12が前進する際には、電磁力を非通電状態にして磁力を発生させないようにしてもよいし、磁力を発生させた状態を維持するようにしてもよい。
【0031】
電磁石を採用する場合、弾性力によって吸着部材12を前進位置から後退位置まで後退させる弾性部材は必ずしも必要ではなく、吸着部材12が前進位置に配された状態で電磁石に発生された磁力により、立設片18を電磁石に引き寄せて、吸着部材12を後退位置に配するようにしてもよい。
【0032】
また、停止手段として、永久磁石21や電磁石の代わりに、回転体11に昇降可能に取り付けられた昇降ピン及び昇降ピンを昇降させる駆動機構を採用することもできる。昇降ピンは、上昇してベース台15の下部に設けた穴に上部を指し込みベース台15等と共に吸着部材12の前進を妨げ、下降してベース台15の穴から上部が抜かれることで、ベース台15等と吸着部材12を前進できる状態にする。
【0033】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、回転式部品搬送装置は、ウエハシートから電子部品を取得するものに限定されず、他の装置(例えば、他の回転式部品搬送装置)から電子部品を取得するものであってもよい。
そして、電子部材を支持する支持部材は真空圧によって電子部品を吸着する吸着部材に限定されない。例えば、電子部品をクランプして支持する支持部材や、クーロン力によって電子部品を吸着する支持部材を採用可能である。
また、回転体は円盤状でなくてもよいのは言うまでもない。そして、回転体の回転軸は鉛直に配されていなくてもよく、例えば、水平に配されていてもよい。
【0034】
また、回転体が回転中、支持部材が駆動源の作動によって後退するように設計することも可能である。支持部材を後退させる例としては、電子部品を支持部材と共に後退させて、電子部品を撮像する撮像手段の焦点に合う位置に電子部品を配置することが挙げられる。この場合、駆動源は、回転体の回転中、支持部材を後退させる力を発生して支持部材を後退(移動)させるものとなり、後退した支持部材を前進させるために、前進方向(即ち、駆動源により支持部材が移動する方向とは反対の方向)に支持部材を移動させる弾性力を発生させる弾性部材を採用することができる。
【0035】
そして、駆動源として、ボイスコイルモータの代わりに、例えば、サーボモータを採用することができる。サーボモータを駆動源として採用する場合、カム機構等を介してサーボモータの駆動力が部品支持ユニットに与えられる。
また、支持部材を回転させるモータはなくてもよい。当該モータを採用する場合、モータの出力軸を、支持部材に直接連結せず、動力伝達機構を介して支持部材に連結するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
10:回転式部品搬送装置、11:回転体、11a:回転軸、12:吸着部材、13:ガイド、14:スライドブロック、15:ベース台、16:モータ、17:部品支持ユニット、18:立設片、19:ロッド、20:支持材、21:永久磁石、22:コイルスプリング、24:垂下体、25:ボイスコイルモータ、26:可動軸、R、R’:ウエハリング、S、S’:ウエハシート、W:電子部品
【要約】
【課題】支持部材から電子部品に与えられる負荷を安定的に所定値以下とする制御が可能な回転式部品搬送装置を提供する。
【解決手段】回転体11と、回転体11の回転により生じる遠心力が前進方向にかかる配置で回転体11に進退可能に取り付けられ、電子部品Wを支持する支持部材12とを有して、電子部品Wを搬送する回転式部品搬送装置において、回転体11の停止中、支持部材12を前進させる力及び支持部材12を後退させる力の少なくとも一方を発生して支持部材12を移動させる駆動源25と、回転体11の回転により遠心力が生じている支持部材12の前進を妨げ、支持部材12を固定し、駆動源25による支持部材12の移動時には支持部材12の固定が解除される停止手段21とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4